(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記泡体の発生または消失に係るタイミングを検出するタイミング検出工程をさらに含み、前記画像投影工程は、検出されたタイミングから経過した時間に応じて前記手または前記泡体に投影する画像を変更する、請求項1から6のいずれか1項に記載の泡プロジェクションマッピング方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0009】
[泡プロジェクションマッピング方法]
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1(a)、
図1(b)及び
図2は、本実施形態の泡プロジェクションマッピング方法を説明するための図である。本実施形態の泡プロジェクションマッピング方法は、泡体1が存在する位置及び範囲の少なくとも一つを検出する泡検出工程と、検出された泡体に対し、画像を投影する画像投影工程と、を含んでいる。なお、本実施形態では、投影される画像を以降、投影画像3と記す。また、本実施形態では、泡検出工程が泡体1の位置と範囲の両方を抽出する例をあげて泡体1を検出する処理を説明する。本実施形態でいう「画像」は、特に制限されるものでなく、図案、図柄、模様、マーク、動画、写真及びテキストの少なくとも一つを示す像をいう。
なお、上記工程は、いずれも後述する泡プロジェクションマッピングシステム(
図4)において実現される。
図1(a)に例示した泡体1は、泡体1を保持する保持者の手Hの上で立体的な形状に吐出されている。本実施形態では、ハンドソープ等の剤を予め定められた立体的な形状に吐出する泡吐出容器を使ってこのような立体的な形状の泡体1を吐出する。泡吐出容器の具体的な構成については後に説明する。
【0010】
図1(a)に示した泡体1は、デザイン化された動物の頭部を模した立体的な形状を有している。このような泡体1に対し、
図1(b)に示したデザイン化された熊の顔を示す投影画像3を投影すると、泡体1が熊のマスコットのように、より立体的に見えるようになる。
ここで、泡体1は球状薄膜の集合体であり、光の乱反射によって白く見える。なお、投影画像3について、
図1(b)では熊の耳、目、鼻及び口の図柄が
図1(a)に示した泡体1に付加されたように見える。しかし、本実施形態は、上記各パーツに対応する複数の画像を独立に泡体1に照射するものであってもよい。また、各パーツを含む一つの画像が泡体1を略覆うように投影してもよい。
ただし、本実施形態は、泡体1がデザイン化されたものに限定されず、立体的な形状を有するものであれば上面視が単なる円形のものであってもよい。
【0011】
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)及び
図2(d)は、投影画像3のバリエーションを示す図である。
図2(a)は泡体1の形状を示す。
図2(b)は
図1(b)に示した投影画像3を示している。
図2(c)は猫を模した投影画像31、
図2(d)はパンダを模した投影画像32を示している。
図2(a)から
図2(d)に示すように、本実施形態では、泡体1の形状を同一にし、投影画像を投影画像3、投影画像31及び投影画像32と変化させることにより、一つの形状の泡体1を使って複数種類の立体物を作成することができる。
【0012】
(泡検出工程)
泡体1の位置は、泡体1の物理的な位置であり、投影画像3を投影すべき位置である。泡体1の範囲は、広がりを持って存在する泡体1が占める空間の範囲である。泡体1の位置及び範囲の検出は、例えば、泡プロジェクションマッピングシステムのビデオカメラ63(
図4)は泡体1を撮像することによって得られた画像情報から泡体1の位置及び範囲を検出することによって実現できる。画像情報上の位置及び範囲とは、例えば、画像を構成する画素の位置や範囲で表すことが可能である。また、泡体1が等方向に広がる既知の形状である場合、泡体1の位置のみを検出することによって泡体1の範囲をも推定することが可能である。
なお、このような泡検出工程では、手Hの位置が比較的高速に移動することから、手H及び泡体1を撮像する装置に、撮影対象の高速移動に追従することができる、所謂高速カメラを使用することが好ましい。
泡体1の検出は、例えば、泡体1を撮像した画像を二値化し、その値によって泡体1の色及び面積を検出し、色及び面積から検出された物体が泡体1であるか否か判定するとよい。さらに、泡体1であると判定された場合、その位置及び範囲が検出される。ただし、画像情報から泡体1の位置や範囲を検出する手法としては、公知のどのような手法を用いてもよい。
【0013】
次に、泡体1の位置及び範囲の検出の一例について説明する。画像情報から泡体1を検出する場合、例えば、予めビデオカメラ63によって撮像される実在の空間(実空間)と、ビデオカメラ63によって撮像された画像情報の画素とが対応付けられている。そして、後述する制御部69が画像情報を解析し、画像情報において泡体1の色(例えば白色)であって、かつ、泡体1とみなせる範囲(上面視形状)を有する画素群を泡体1であるとして検出する。泡体1の色の検出は、画像情報を二値化して行ってもよいし、多色の画像を用いて行ってもよい。また、泡体1の上面視形状は、予め泡体1とみなせるパターンを登録しておき、登録されているパターンと画素群とをマッチングすることによっても実現することができる。なお、画素群の形状(パターン)の切り出しは、白の画素と白以外の画素との境界の連続する範囲を検出することによって可能である。
このような処理において、泡体1の位置の検出は、画素群に含まれる各画素に対応する実空間の座標が示す位置として検出される。また、泡体1の範囲の検出は、画素群の上記境界に内包される範囲として検出される。特に泡体1の位置について代表点を求める場合、このようにして求められた境界に内包される領域の中心点等を代表点としてもよい。そして、投影画像3の中心が代表点に一致するように投影画像3の投影位置を決定するものであってもよい。
上記例は、本実施形態が泡体1の位置及び範囲を検出する一例である。泡体1の位置だけの検出は、例えば、泡体1を吐出する泡吐出装置の前等、実空間における予め決められた位置の座標に白色をした画素群があるか否かを検出する場合に行われる。また、泡体1の範囲のみの検出は、例えば、泡体1の範囲を予め登録されているパターンとマッチング等して泡体1の形状の良否や変形の量及び方向を判断する場合等に行われる。
なお、このような画像情報から対象物を検出する方法は、公知であるからこれ以上の説明を省く。
【0014】
さらに、本実施形態は、上記構成により泡体1の位置及び範囲の少なくとも一つを検出する構成に限定されるものではない。泡体1の位置及び範囲を検出する他の方法としては、例えば、赤外線画像または実空間における赤外線の反射率の他と異なる範囲を泡体1の範囲として検出し、検出された範囲の上面視における重心位置を「泡体の位置」としてもよい。また、泡体1の位置のみの検出は、例えば、泡体1が形成されると考えられる手Hを検出し、手Hの掌の上面視における中心を泡体1の位置としても実現できる。このとき、手Hの位置の検出には赤外センサ等の他のセンサを使用してもよい。
【0015】
上記の画像から泡体1を検出する工程においては、泡体1の形状を判定する泡形状判定工程をさらに含むものであってもよい。つまり、泡形状の判定は、検出された泡体1が予め登録されている泡体1の形状とみなせるか否か(一致の程度が許容範囲内であるか)によって行うことができる。泡体1の形状を判定する処理の一例としては、例えば、泡体1の色と及び面積を用いるものがある。このような方法では、画像情報から泡体1の色(本実施形態では白とする)である確率が高い領域(候補領域と記す)を抽出する。次に、抽出された領域の形状を予め蓄積されている泡形状のテンプレートと比較する。なお、泡体1の形状は、泡体1を吐出する際の状態によって変化するので、テンプレートは形状のバリエーションに応じて複数蓄積されている。次に、複数のテンプレート毎に一致確率分布を生成する。そして、候補領域とテンプレートとの類似度と一致確率分布とを使って候補領域に泡体1が含まれる確率を算出し、確率が閾値以上である場合には最も一致の確率が高いテンプレートが示す形状を泡体1の形状であると判定することができる。
【0016】
泡体1の形状が判定される場合、例えば
図1(a)に示した泡体1の向きを判定することができる。このため、本実施形態では、後の画像投影工程において、投影画像を泡体1の向きに合わせて回転させて投影することが可能になる。泡体1の向きの判定は、例えば、撮像された泡体1の画像情報について、上面視における重心位置と輪郭線の特徴点との関係から泡体1の向き(傾き)を検出し、あらかじめ準備されている標準形状の重心点と輪郭線の特徴点との関係に対して比較して、判定する。輪郭線は泡体の上面視におけるものであり、特徴点は輪郭線に表れる角、変曲点、重心点からの最小距離点と最大距離点等から選択される。泡体1の画像情報と、標準形状と比較することにより、泡体1の向きだけでなく、拡大縮小、移動等も検出できる。
なお、泡体1の形状を判定する処理において、泡体1の形状が吐出容器で設定されている形状と所定の閾値以上に異なる場合、本実施形態では、再度の吐出(やり直し)を促す画像、または音声を提供するようにしてもよい。さらに、泡体1を「失敗」とみなして以降の画像投影工程を行わないようにすることもできる。
【0017】
ところで、本実施形態の泡体1は、
図1(a)、(b)に示したように、保持者の手Hの上で立体形状を形成する。このことから、泡体1の位置及び範囲を検出することに先立って、画像から手Hの位置及び範囲を検出し、手H上に泡体1である確率が高い候補領域がある場合に、この候補領域を泡体1であるとしてその位置及び範囲を検出することができる。
手Hの位置及び範囲の抽出は、例えば、泡体1の位置及び範囲の抽出と同様に、泡体1及び手Hを撮像した画像を二値化して手Hの輪郭を検出することによっても実現できる。また、画像情報から白色以外の色である確率が高い候補領域を抽出し、抽出された候補領域を予め蓄積されている手形状のテンプレートと比較することによっても可能である。手形状のテンプレートは、吐出された泡体1を受けるために上方に掌を向けているものの他、手指を洗浄するために左右の手Hをすり合せる、所謂「揉み手」の状態のものを含む。次に、候補領域とテンプレートとの類似度と一致確率分布とを使って候補領域に手Hが含まれる確率を算出し、複数のテンプレートのうち最も一致の確率が高いテンプレートの形状を手Hの形状であると判定する。そして、手Hであると判定された候補領域の位置及び範囲を検出する。このような処理は、泡検出工程における手Hの検出工程であると共に、本実施形態の手形状判定工程である。
【0018】
手Hの位置を検出し、手Hの上の泡の位置を検出する方法は、次のような利点がある。つまり、本実施形態の泡体1は、予め泡吐出装置において設定された形状に吐出されるが、保持者の操作の状況等によって設定されている形状が崩れる場合がある。このため、画像からパターンマッチング等で泡体1の位置及び範囲を特定すると充分な検出精度が得られないことがある。一方、吐出された泡体1を受ける手Hは、手指等の存在により形状が判別し易い。このことから、本実施形態では、画像情報から先ず手Hの形状を抽出し、これが手Hであると判定する。そして、抽出された手Hの上にあって所定の面積を有するものを泡体1とみなすことにより、泡体1の検出精度を高めることができる。
なお、手Hの形状を判定する処理は、上記の処理に限定されず、公知のどのような方法によって行ってもよい。
【0019】
(画像投影工程)
次に、本実施形態の画像投影工程について説明する。
画像投影工程では、上記泡位置検出工程において検出された位置及び範囲の泡体1に対して投影画像3を投影する工程である。なお、投影画像3とは、投影画像として
図2に示した投影画像3の他、投影画像は
図2に示した投影画像31や投影画像32であってもよいことを表している。本実施形態では、説明の簡単のため、以降投影画像を全て「投影画像3」と記す。本実施形態では、後述するように、投影画像3を投影する投影装置による投影画像3の投影動作(投影画像、投影位置、投影画像の大きさ及び泡体への追従性)を自動的に制御して、泡体1の検出位置に合わせて投影画像3を投影することができる。
泡体1の範囲は、泡体1の吐出量や泡体1を撮像する撮像装置との距離等によって変化する。このため、画像投影工程は、泡検出工程によって検出された泡の範囲に応じて投影する画像の大きさを変更している。このような処理によれば、泡の吐出量や撮像装置の設置高さによらず、泡体1の大きさに応じた適正な画像を投影することができる。
また、泡体1の範囲としては、所定の範囲に対して、縦長、横長、あるいは左右のバランスが異なる、あるいは変化することがある。このため、画像投影工程は、泡検出工程によって検出された泡体1の範囲が所定の範囲に対して変化している場合には、泡体1の範囲の変化に応じて、投影する画像を、縦長、横長、左右のバランスを変える等して変更している。このような処理によれば、泡体1の範囲に応じた適正な画像を投影することができる。
【0020】
上記したように、本実施形態では、泡体1の形状を判定することができる。このため、本実施形態では、泡体1の形状に応じて投影画像を変更することができる。変更される投影画像の変更としては、例えば、上記したように、泡体1の形状がくずれて泡体1の吐出が失敗であると判定された場合、投影画像3に代えて、泡体1の吐出を再度行うように促すメッセージを含む画像を投影することが考えられる。なお、泡体1の形状が適正であって、吐出に成功したと判定された場合には、前述したように投影画像3が泡体1に投影される。
【0021】
また、画像投影工程は、泡検出工程において検出された手Hまたは泡体1の位置に応じて投影する画像を変更するようにしてもよい。例えば、画像投影工程では、保持者が泡体1の泡吐出装置の前に位置しているときと、泡体1を水で流す位置(例えば洗い場)にいるときとで、異なる投影画像を投影することができる。このような例では、保持者が泡吐出装置の前にいるときに、保持者の手Hの上にある泡体1に対し、
図2(b)、
図2(c)及び
図2(d)に示した投影画像3、投影画像31、投影画像32等のいずれかを投影する。また、泡体1を水で流す位置にいる保持者に対しては、例えば、泡体1を使って手指を洗浄することを促すメッセージ等を投影画像として投影するようにしてもよい。
このような本実施形態は、特に子供等に対して手洗いの励行を促すことができる。
【0022】
また、本実施形態は、前記したように、手Hの位置の検出において手Hの形状を判定することができる。手Hの形状の判定により、本実施形態は、掌を上に受けに向けている、あるいは手揉みをしている、といった手Hの状態を判定することができる。投影工程では、手Hの形状を検出し、検出された手Hの形状の変化によって投影する画像を変更するようにしてもよい。このような例としては、例えば、
図1(a)に示したように保持者が泡体1を掌に吐出させたとき、手Hは上に向いている。このとき、投影工程では、例えば、投影画像3、31、32のいずれか一つを泡体1に投影する。また、手Hの形状から手揉みが検出された後、さらに手Hの掌が上に向けられた場合には、例えば
図3に示すように、投影画像3、31、32とは異なる投影画像35を手Hに投影する。なお、投影画像35は、手指の洗浄が終了し、手指が清潔になったことを想起させる図柄であることが望ましい。
【0023】
上記工程において、本実施形態では、泡に係る動作を示唆する画像を手Hまたは泡に投影するようにしてもよい。このような画像としては、例えば、泡吐出装置の前に位置する保持者が保持する泡に対し、投影画像3を所定の時間投影した後、手指の洗浄を行うように促すメッセージを含む画像を投影することが考えられる。
このような処理は、投影画像3が投影された泡体1を保持者が長時間保持することによって手洗いの円滑な動作が滞る、あるいは手洗いに時間がかかりすぎることを防ぐことができる。
【0024】
さらに、手洗いの円滑な動作に支障が出ることを防ぐ方法としては、例えば、手Hまたは泡体1に投影される画像を移動させ、泡を保持する保持者の移動を促すものがある。具体的には、例えば、吐出された泡体1上に投影された投影画像3を保持者の正対方向と直交する方向に移動させる。このとき、保持者は投影画像3が泡体1上から外れることを防ぐため、投影画像3の移動方向に移動する。このようにすれば、保持者が泡吐出装置の前から移動し、次に待つ者が泡吐出装置に向かうことを促すことができる。
【0025】
また、手洗いの動作が妨げられることを防ぐためには、例えば、泡の発生または消失に係るタイミングを検出するタイミング検出工程をさらに含み、画像投影工程は、検出されたタイミングから経過した時間に応じて手Hまたは泡体1に投影する画像を変更するようにしてもよい。具体的には、例えば、泡吐出装置から泡体1が吐出されたことを検出し、泡体1に対して投影画像3を投影する。そして、泡吐出を検出したタイミングから時間の計測を開始し、例えば、吐出から30秒等の所定の時間経過しても手形状が変化しない場合、投影画像3から手洗いを促す投影画像に変更する。さらに、本実施形態は、保持者が手揉みを開始したタイミングから計時を開始し、例えば30秒等の所定の時間の経過後に、手揉み中の手Hに対して手揉みを終了してもよい旨を通知する画像を投影してもよい。
【0026】
なお、手揉みをしている状態の手に向けて投影画像を投影した場合、投影画像は視認し難い画像になるが、この画像は、手揉み中の者が画像の投影に気付けるものであればよい。画像の投影に気付いた者が手揉みを完了して掌を上に向けて手をすすぐ間に投影画像が掌に投影される。手をすすぐ間に投影される投影画像としては、例えば、「もう少しすすいでね」等のテキストを含む画像、あるいは殺菌のイメージから菌を想起させるキャラクターが消失する画像等が考えられる。さらに、掌が重ね合わされた状態にあっても手の甲や指に泡が残っていれば投影画像を投影することができるので、手揉み中の手に残った泡に対して画像を投影してもよい。
また、本実施形態は、例えば、保持者が掌を上に向けたタイミングを泡体1の消失のタイミングとして検出する。そして、このタイミングから時間を計時し、計時時間が例えば20秒等の所定の時間に達したとき、手の洗浄が完了したことを想起させる投影画像を投影してもよい。手の洗浄が完了したことを想起させる投影画像としては、例えば、「手洗い完了」のテキストを含む画像、あるいは清浄な状態を表すのに「ぴかぴか」等の擬態語を用いることから星や光を示す画像を用いてもよい。このように、泡体1の発生または消失のタイミングに応じて順次投影画像を切り替えることにより、本実施形態は、手洗いの励行を促す効果を高めることができる。
【0027】
さらに、第一実施形態では、画像投影工程によって投影される画像と共に音声を提供する音声提供工程を含むようにしてもよい。このようにすれば、例えば、泡体1を使って形成されたキャラクターの口が動くように投影画像を切り替えながら音声を提供し、キャラクターが話す、あるいは歌うといった演出をすることが可能になる。
【0028】
[泡プロジェクションマッピングシステム]
次に、以上説明した泡プロジェクションマッピング方法を実現する泡プロジェクションマッピングシステムを説明する。
[泡検出装置及び画像投影装置]
図4は、本実施形態の泡プロジェクションマッピングシステムを説明するための模式的な図である。泡プロジェクションマッピングシステムは、泡が存在する位置及び範囲の少なくとも一つを検出する泡検出装置である赤外線カメラ61及びビデオカメラ63と、検出された泡体(泡)に対し、画像を投影する画像投影装置であるプロジェクタ65と、を有している。また、本実施形態では、泡体1に赤外線光を照射する赤外線LED照明67を有している。このような構成のうち、赤外線カメラ61が主となるカメラである。ビデオカメラ63は、赤外線カメラ61では泡体1の位置が検出し難い場合に使用される。また赤外線カメラ61は、ミラー62によって撮像範囲を調整している。赤外線カメラ61、ビデオカメラ63及びプロジェクタ65は、
図4のように、手洗いが行われる洗面台等の平板64上において撮像範囲及び投影範囲が一致するように調整されている。
本実施形態では、赤外線カメラ61、ビデオカメラ63及びプロジェクタ65をまとめて光学ユニット60とも記す。
【0029】
また、本実施形態では、赤外線カメラ61、ビデオカメラ63及びプロジェクタ65を例えば制御部69と接続し、制御部69が赤外線カメラ61、ビデオカメラ63及びプロジェクタ65を制御すると共に、赤外線カメラ61及びビデオカメラ63から入力した画像情報を処理するものとした。なお、制御部69には、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す)を用いることができる。
このような構成のうち、ビデオカメラ63は、手Hや泡体1の動きに追従可能な高速カメラである。プロジェクタ65は、手Hや泡体1の動きに追従して投影画像を投影できる高速プロジェクタである。
【0030】
制御部69は、赤外線カメラ61及びビデオカメラ63から入力される情報をリアルタイムで処理し、手H及び泡体1の動きや形状を検出する。また、制御部69は、投影画像の画像情報を生成し、プロジェクタ65に送って投影画像を手Hや泡体1の位置等に合わせて投影させている。
上記動作を実現するため、制御部69は、ユーザの指示を入力するためのユーザインターフェース、指示にしたがって画像情報を作成する、あるいは赤外線カメラ61、ビデオカメラ63から入力された画像情報にしたがって投影画像を制御するためのCPU(Central Processing Unit)を備えている。また、制御部69は、CPU上で動作するプログラム等が蓄積されているメモリ、画像情報の展開等に使用されるワーキングメモリ、展開された画像情報をプロジェクタ65に出力する出力インターフェース等を備えている。
【0031】
ビデオカメラ63は、所定の広がりを持った撮像範囲を撮像し、撮像によって得られた画像情報を制御部69に出力する。制御部69は、入力された画像情報中から手Hや泡体1の位置、範囲及び形状等を検出する。そして、手Hや泡体1の位置及び範囲の情報に基づいてプロジェクタ65に投影画像を出力する。プロジェクタ65は、投影画像を手Hまたは泡体1に投影する。さらに、ビデオカメラ63は、手Hや泡体1の動きに追従して手Hや泡体1を引き続き撮像し、画像情報を制御部69に入力する。制御部69は、画像情報から手Hや泡体1の位置及び形状を検出し、検出された位置に追従するようにプロジェクタ65を駆動する。また、手Hや泡体1の位置や形状に応じて投影画像を切り替えてプロジェクタ65に出力する。
【0032】
なお、第一実施形態は、上記光学ユニット60を用いる構成に限定されるものではない。例えば、光学ユニット60に代えて、サッカードミラーと呼ばれる高速視線制御ユニットと、1000fpsの高速画像処理を用いる光学ユニットを使用してもよい。サッカードミラーは、カメラ全体を動かす代わりに隣接する2つのガルバドミラーを回転させることで視線方向を制御する構成である。このような構成を用いることにより、パン・チルト共に広範囲の視線制御が可能な光学ユニットを提供することができる。
【0033】
また、第一実施形態は、上記プロジェクタ65を使い、予め定められた規定位置(エリア)の泡体1に対し、各エリアに応じた画像を投影している。
図5は、本実施形態の泡プロジェクションマッピングシステムが設置されるエリアを説明するための図である。
図5に示したエリアは、規定位置であるエリアを複数(3つ)有している。3つのエリアA、エリアB及びエリアCで構成されていて、エリアAは、泡吐出装置70が設置されているエリアである。泡体1の保持者Kは、エリアAにおいて泡体1を保持する。エリアBは、保持者Kが泡体1を水で洗い流す洗い場75を備えるエリアである。エリアCは、保持者Kが水に濡れた手を乾燥させるエアブロー90が設置されたエリアである。保持者Kは、エリアAからエリアB、エリアCを順に通過しながら泡体1で手指を洗浄し、乾燥させる。なお、本実施形態では、説明の簡単のため、「保持者」の文言を、泡体1を保持している状態の者のみを指すのではなく、泡体1を保持する前、または泡体1を保持した後の状態にある者をも指している。
図5に示した泡プロジェクションマッピングシステムでは、光学ユニット60a、60b、60cがエリアに設けられていて、光学ユニット60a、60b、60cが一の制御部によって制御されている。
【0034】
また、本実施形態は、光学ユニット60a、60b、60c及び制御部69が、エリアA、エリアB及びエリアCのそれぞれに存在する複数の泡について泡が存在する位置及び範囲の少なくとも一つを検出し、光学ユニット60a、60b、60cに含まれるプロジェクタが検出された泡体1に投影画像を投影する。このようなプロジェクタは、検出された複数の泡体1の各々に投影画像を投影するマルチプロジェクタである。制御部69は、光学ユニット60a、60b、60cにそれぞれ含まれる赤外線カメラやビデオカメラから入力された画像情報に基づいて各エリアにある泡体1の位置や範囲を検出する。光学ユニット60a、60b、60cにそれぞれ含まれるプロジェクタは、検出された各泡体1の位置や範囲に合わせて投影画像を投影する。このような構成によれば、各規定位置の全ての泡体1にその位置や範囲に合わせて高精度に投影画像を投影することができる。
【0035】
また、第一実施形態では、画像投影装置を、予め定められた規定位置にある泡体1に対し、規定位置に応じた投影画像を投影するようにしてもよい。このような点を説明するため、第一実施形態では、
図5に示したエリアA、エリアB及びエリアCをそれぞれ規定位置とする。そして、例えば泡吐出装置70が備えられたエリアAには泡体1の吐出動作に応じた投影画像が対応し、洗い場75が備えられたエリアBには手洗いの動作に応じた投影画像が対応する。また、エアブロー90が備えられたエリアCには手を乾燥する動作に応じた投影画像が対応する。
【0036】
第一実施形態の泡プロジェクションマッピングシステムは、上記したように、規定位置であるエリアを複数有し、プロジェクタ65が、泡体1の保持者Kに対して一のエリアから他のエリアへの移動を促す画像を投影する。
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)は、エリア内の規定位置に投影される投影画像を示す図である。エリアAは、泡吐出装置70の前であって、保持者Kが泡吐出装置70を操作して泡体1を吐出させるときに立つと予測される位置である。エリアBは、洗い場75の前であって、保持者Kが洗い場75で泡体1を洗い流すときに立つと予測される位置である。エリアCは、エアブロー90の前であって、保持者Kが手を乾燥させるときに立つと予測される位置である。第一実施形態では、エリアA、エリアB及びエリアCに立ち位置を示す靴裏等の印を描いておいてもよい。
【0037】
第一実施形態では、光学ユニット60のプロジェクタ65が、このような予め定められたエリアA、エリアB及びエリアCにある泡体1または泡体1を保持する手Hに対し、規定位置に応じた画像を投影する。
図6(a)は、エリアAに対応した投影画像95を示している。投影画像95は、菌を想起させる図案を示している。投影画像95における位置は、エリアAに保持者Kが立って掌に泡体1を乗せたとき、凡そ泡体1に重なると推定される位置に設定されている。このような構成によれば、泡体1を吐出させた保持者Kは、泡吐出装置70から吐出された泡体1上に投影画像95を見ることになる。
図6(b)は、エリアBに対応した投影画像96を示している。投影画像96は、菌の死滅を想起させる図案を示している。第一実施形態の泡プロジェクションマッピングシステムでは、洗い場75で手指の洗浄中の保持者Kの掌の上に投影画像96が表示されることになる。
図6(c)は、エリアCに対応した投影画像97を示している。投影画像97は、手指が清潔になったことを想起させる図案を示している。第一実施形態の泡プロジェクションマッピングシステムでは、保持者Kがエアブロー90前に立って手揉みをし、乾燥を終えた掌の上に投影画像97が表示されることになる。
上記第一実施形態によれば、投影画像95は、掌の上に菌がいることを想起させるから、泡体1の保持者Kは泡体1を使って手指を揉み洗い、すすぐために次のエリアBに向かう。また、投影画像96は、菌の死滅を想起させるから、保持者Kは手のすすぎが完了したとしてすすぎを止めてエリアCに向かう。投影画像97は、手Hが清潔になったことを想起させるから、保持者Kは泡プロジェクションマッピングシステムのエリアの外部に向かうようになる。
【0038】
また、第一実施形態は、
図5に示したように、プロジェクタ65によって投影される画像と共に音声を提供する音声提供装置であるスピーカー85a、85b、85cをエリアA、エリアB及びエリアCにさらに備えている。第一実施形態は、上記投影画像95、96、97の投影と同時にスピーカー85a、85b、85cから保持者Kに移動を促すメッセージを流すようにしてもよい。このようにすれば、保持者Kに次の動作をより明確に指示し、泡プロジェクションマッピングシステムにおける手洗いの流れをより円滑にすることができる。
【0039】
[泡提供装置]
さらに、以上説明した泡プロジェクションマッピングシステムは、泡を提供する泡提供装置である泡吐出装置70を更に含めるようにしてもよい。ここで、泡吐出装置70の構成について、簡単に説明する。また、泡吐出装置70によって吐出される泡体の形状は、特に限定されないが、動物、人、記号及び植物等のいずれを模したものであってもよい。
図7及び
図8は、本実施形態の泡プロジェクションマッピング方法で使用される泡吐出装置を説明するための図である。
図7に示すように、本実施形態に係る泡吐出装置100は、電動式の泡吐出装置であり、内溶液Lを貯留する貯留部10と、内溶液Lを泡化して泡体を生成するフォーマー機構21(
図8)と、泡体を吐出する吐出部20と、を備えている。
図8に示すように、吐出部20は、泡体が通過する泡通過室209と、泡通過室209の下方に垂下し、平面視において閉ループ形状に形成され、内部空間が泡通過室209と連通しているとともに下端に吐出口83が形成されている1つ又は複数の吐出口形成壁部82と、を有する。
【0040】
ここで、吐出口形成壁部82が泡通過室209の下方に垂下するとは、例えば、吐出口形成壁部82の壁面(内面)が鉛直面又は実質的に鉛直面(例えば鉛直に対して5度以内の傾斜を持つ面)になることを意味する。
ただし、本発明はこの例に限らず、吐出口形成壁部82が泡通過室209の下方に垂下するとは、吐出口形成壁部82の軸心が鉛直又は実質的に鉛直(例えば、軸心の方向が鉛直に対して5度以内の傾斜を持つ)になることであっても良い。吐出口形成壁部82の軸心は、吐出口形成壁部82の内部空間の上端位置(基端位置)での平断面における重心と、当該内部空間の下端位置(先端位置)での平断面における重心と、を結ぶ仮想直線である。例えば、吐出口形成壁部82が、錐台形状などのように壁面が傾斜した形状であっても、軸心が鉛直又は実質的に鉛直であれば良い。
また、本明細書において、吐出口形成壁部は、各々閉ループ形状の平面形状を持つ個々の吐出口形成壁部82を指す場合の他、複数の吐出口形成壁部82の集合体(吐出口形成壁部群)を指す場合もある。
【0041】
また、吐出口形成壁部82の下端部は、吐出口形成壁部82の下端近傍(下縁近傍)の部分である。
また、第1部分の下縁は、第1部分における最下部の縁であり、第1部分の下縁の高さ位置は、第1部分の各部の下縁の高さ位置の平均とすることができる。
同様に、第2部分の下縁は、第2部分における最下部の縁であり、第2部分の下縁の高さ位置は、第2部分の各部の下縁の高さ位置の平均とすることができる。
【0042】
泡化される内溶液Lとしては、ハンドソープを代表例として挙げることができるが、これに限られず、洗顔料、クレンジング剤、食器用洗剤、整髪料、ボディソープ、髭剃り用クリーム、ファンデーションや美容液等の肌用化粧料、染毛剤、消毒薬、パンに塗布するクリームなど、泡状で用いられる種々のものを例示することができる。
内溶液Lとしては、粘度が1mPa・s以上15mPa・s以下のものを用いることが好ましい。
【0043】
図7に示すように、泡吐出装置100は、例えば、筐体77と、筐体77に設けられた各種の構成部品と、により構成されている。これら構成部品としては、貯留部10、吐出部20、液体ポンプ(内溶液供給用アクチュエータ)30、気体ポンプ(気体供給用アクチュエータ)40、制御部50及び検出部51などが含まれる。これら構成部品は、例えば、筐体77に収容されている。また、例えば、吐出部20には、フォーマー機構21が一体化されている(
図8参照)。
なお、泡吐出装置100の構成の説明における上下の方向は、泡吐出装置100の設置時における方向を示すものとし、泡吐出装置100が設置された状態で、吐出口形成壁部82が泡通過室209の下方に垂下するようになっている。
図7及び
図8においては、吐出部20からの泡体の吐出方向が下方となる。
【0044】
図7において、筐体77については概略的な側面形状を示し、吐出部20及び検出部51については、泡吐出装置100を側面視したときの概略的な配置(筐体77における配置)を示している。
また、
図7において、液体ポンプ30、気体ポンプ40及び制御部50については、ブロック構成を示している。なお、当然のことながら、泡吐出装置100の制御部50は、
図4に示した光学ユニット60の制御部69とはその制御対象及び機能を全く異にするものである。
筐体77は、例えば、本体部78と、本体部78に支持されているヘッド部79と、を有している。ヘッド部79は、本体部78の上部と一体的に設けられているとともに、本体部78の上部から水平に突出してオーバーハング状態となっている。なお、本体部78からヘッド部79が突出している方向を前方とする。
本体部78には、例えば、貯留部10が格納されている。ヘッド部79には、吐出部20が設けられている。検出部51は、本体部78とヘッド部79との何れに設けられていても良い。また、液体ポンプ30、気体ポンプ40及び制御部50は、本体部78とヘッド部79との何れに格納されていても良い。
吐出部20は、例えば、ヘッド部79の下面から、泡体を吐出するようになっている。すなわち、泡吐出装置100は、例えば、ヘッド部79において泡体が吐出される方の面が下側となる向きで設置される。
なお、吐出部20の一部分又は全体は、ヘッド部79の下面から下方に突出していても良い。
同様に、検出部51の一部分は、ヘッド部79の下面から下方に突出していても良い。また、検出部51は、ヘッド部79ではなく本体部78側に設けられていても良い。
本体部78は、例えばその背面(
図7における右側の面)又は側面(
図7の紙面における奥側又は手前側の面)などが壁面に固定されるようになっていても良いし、洗面台などの台上に載置されるようになっていても良い。
貯留部10は、例えば内溶液Lを貯留する有底筒状で口頸部を有するボトル本体と、ボトル本体の口頸部に着脱可能に装着されたキャップと、を有するボトル容器とすることができる。貯留部10には、内溶液Lが充填されている。すなわち、泡吐出装置100は、貯留部10に充填された内溶液Lを備える。
筐体77は、例えば、当該筐体77に対して貯留部10を着脱可能に構成されている。泡吐出装置100に内溶液Lを補充する方法としては、貯留部10を新しいものに交換する方法、又は、ボトル本体の口頸部からキャップを取り外した状態でボトル本体に内溶液Lを充填する方法などが挙げられる。
【0045】
泡吐出装置100は、更に、貯留部10に差し込まれているとともに液体ポンプ30に接続されている吸引管34と、液体ポンプ30とフォーマー機構21(
図8)とを接続している給液管33と、気体ポンプ40とフォーマー機構21とを接続している給気管41と、を備えている。
液体ポンプ30は、吸引管34を介して、貯留部10内の内溶液Lを吸引し、該内溶液Lを、給液管33を介してフォーマー機構21に送液する。一方、気体ポンプ40は、気体ポンプ40の周囲の雰囲気(つまり空気)を吸引し、該空気を、給気管41を介してフォーマー機構21に送気する。
フォーマー機構21では、液体ポンプ30から送液された内溶液Lと気体ポンプ40から送気された空気とが混合することによって内溶液Lが泡化する。そして、泡化した内溶液Lは吐出部20から吐出される。
【0046】
検出部51は、泡体の吐出対象となる吐出対象物を検出するセンサである。検出部51としては、様々な検出方式のものを用いることができ、例えば、光電センサ等の透過型センサ、反射型センサ、静電容量センサ、接触センサ、或いは超音波センサ等を用いることができる。
吐出対象物としては、例えば、手H、スポンジ、ブラシ等の各種の塗布具、食器、食品、食器に注がれた飲料などを例示することができる。以下では、吐出対象物が手であるものとして説明を行う。
本実施形態の場合、検出部51が吐出対象物を検出することにより泡化した内溶液の吐出の契機となる吐出トリガが発生する。吐出トリガが発生した場合、予め定められた量の泡体が吐出部20から吐出されるように、液体ポンプ30及び気体ポンプ40が動作した後、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の動作が停止する。
【0047】
液体ポンプ30及び気体ポンプ40は、制御部50の制御下で動作し、それぞれ内溶液L及び空気を吐出部20に供給する。
制御部50は、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の制御用プログラムを記憶保持しているROM(Read Only Memory)と、この制御用プログラムに従って制御動作を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域などとして機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えて構成されている。
なお、泡吐出装置100の制御部50、検出部51、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の電源は、商用電源であっても良いし、電池であっても良い。
【0048】
次に、
図8を用いてフォーマー機構21及び吐出部20の構成の一例を説明する。なお、ここでは、説明を簡単にするため、
図8に示される位置関係に基づいて吐出部20の各構成を説明する場合があるが、この説明における各構成の位置関係は、泡吐出装置100の使用時におけるフォーマー機構21及び吐出部20の各構成の位置関係とは必ずしも一致しない。
図8に示すように、フォーマー機構21は、給気管41を介して気体(空気)が導入される気体導入口201と、給液管33を介して内溶液Lが導入される内溶液導入口205と、を有している。
気体導入口201を介してフォーマー機構21に導入された空気は、気体前室202と、狭隘な気体通路203と、をこの順に通して混合室208の混合部207に供給される。
一方、内溶液導入口205を介して吐出部20に導入された内溶液Lは、狭隘な内溶液通路206を介して混合室208の混合部207に供給される。
混合部207において内溶液Lと空気とが混合されることによって、内溶液Lが目の粗い泡体となる。
混合室208の後段にはメッシュ210が設けられている。目の粗い泡体は、メッシュ210を通過することによってきめ細かく均一な泡体となって、吐出部20の泡通過室209に導入される。
【0049】
このように、本実施形態の場合、泡吐出装置100は、内溶液Lを貯留部10からフォーマー機構21に供給する内溶液供給用アクチュエータ(液体ポンプ30)と、フォーマー機構21に気体を供給する気体供給用アクチュエータ(気体ポンプ40)と、気体供給用アクチュエータ及び内溶液供給用アクチュエータの動作制御を行う制御部50と、を更に備えている。そして、制御部50の制御下で、内溶液Lと気体とがフォーマー機構21に供給されることにより、泡体が生成される。
【0050】
フォーマー機構21と吐出部20とは相互に一体的に設けられて、吐出ユニット200を構成している。
吐出ユニット200は、例えば、上端部が閉塞部222によって閉塞されている筒状の筒状部221を有するキャップ部材220と、筒部材230と、流路構成外側スリーブ240と、流路構成内側スリーブ250と、流路構成芯体260と、を備えて構成されている。
キャップ部材220の閉塞部222には、気体導入口201を内部に有する管状部が上に向かって突出した状態に形成されているとともに、内溶液導入口205を有する管状部を挿通させる挿通孔が形成されている。
筒部材230は、筒状の外筒部231と外筒部231よりも小径の筒状の内筒部232とを有する二重筒構造の上部と、外筒部231よりも大径の筒状の保持部234と、保持部234の上端を閉塞している天面部235と、を備えて構成されている。
保持部234の内側の空間が泡通過室209を構成している。泡通過室209は、天面部235の中央に形成された開口を介して、メッシュ210の配置領域と連通している。
筒部材230の外筒部231とキャップ部材220の筒状部221とは、例えば螺合等の固定方向によって相互に固定されている。
流路構成外側スリーブ240は、当該流路構成外側スリーブ240の軸方向(上下方向)において複数段階に内径及び外径が変化する形状の複数段の筒状部を含んで形成されている。すなわち、流路構成外側スリーブ240は、下部ほど内径及び外径が大きくなるように、内径及び外径が段階的に変化している。流路構成外側スリーブ240は、例えば、4段の筒状部を有しており、そのうち最上段の(したがって最小径の)筒状部の内部に内溶液導入口205が形成されている。また、流路構成外側スリーブ240における最下段の筒状部の内部には、当該筒状部の内周面と近接して内筒部232の上部が配置されている。
流路構成内側スリーブ250は、筒状に形成されており、流路構成内側スリーブ250の外周面が内筒部232の内周面に対して密着するように、内筒部232と嵌合している。ただし、流路構成内側スリーブ250の上部は内筒部232よりも上方に突出している。流路構成内側スリーブ250の上部は、流路構成外側スリーブ240における最下段の筒状部の内部から、下から2段目の筒状部の上端近傍に亘って配置されている。
流路構成芯体260は、円柱状に形成されており、流路構成外側スリーブ240と同軸に配置されている。より詳細には、例えば、流路構成芯体260は、流路構成外側スリーブ240における上から2段目の筒状部の内部から、流路構成外側スリーブ240における最下段の筒状部の上端部の内部に亘って配置されている。なお、流路構成芯体260の下部は、流路構成内側スリーブ250の上部の内部に配置されている。流路構成芯体260は、例えば、流路構成外側スリーブ240によって保持されている。
【0051】
気体通路203は、流路構成外側スリーブ240における最下段及び下から2段目の筒状部の内周面と、内筒部232の上部の外周面及び流路構成内側スリーブ250の上部の外周面と、の間隙により形成されている。
また、内溶液通路206は、流路構成外側スリーブ240における上から2段目の筒状部の内周面と流路構成芯体260の上部の外周面との間隙により形成されている。内溶液通路206は、例えば、複数本に分かれている。
また、混合室208は、流路構成内側スリーブ250の内部空間により構成されている。流路構成内側スリーブ250の下端の開口は、メッシュ210により塞がれている。なお、混合部207は、混合室208の上端部であり、当該混合部207において内溶液通路206の下流端と気体通路203の下流端とが合流する。
また、気体前室202は、閉塞部222と閉塞部233との対向間隔であって、且つ、外筒部231の内周面と、流路構成外側スリーブ240において閉塞部222よりも下方に突出している部分の外周面及び内筒部232の下部の外周面と、の間隙により構成されている。気体前室202は、例えば平断面が環状に形成されている。
なお、フォーマー機構21は、上述の構成のうち、少なくとも、気体通路203、内溶液通路206、混合室208(混合室208は混合部207を含む)及びメッシュ210を含んで構成されている。
【0052】
吐出部20は、保持部234の下面側の開口を閉塞する状態で保持部234に保持された泡吐出部品80を更に備えている。
泡吐出部品80は、泡通過室209の下端を画定する板状部81と、板状部81の下面81aから垂下している1つ又は複数の吐出口形成壁部82と、を有する。
泡吐出部品80は、板状部81が水平となる姿勢で、保持部234によって保持される。保持部234は、泡吐出部品80を着脱可能に保持する。
より詳細には、板状部81は平面視円形に形成されており、泡吐出部品80は、板状部81の周縁部から上方に向けて起立している平面視環状の突起である環状突起88と、板状部81の周縁部から板状部81の径方向外方に向けて突出している複数の被係止突起89と、を更に備えている。
一方、保持部234の下面側には、平面視円形に周回していて環状突起88が差し込まれるスリット状の差込穴237と、被係止突起89に対して係合することによって泡吐出部品80を保持する環状の係止部236と、を備えている。なお、泡吐出部品80を下に引っ張ることにより、被係止突起89に対する係止部236の係止が外れて、泡吐出部品80を保持部234から取り外すことができるようになっている。また、環状突起88を差込穴237に対して位置合わせした状態で、泡吐出部品80を上に押し上げることにより、被係止突起89に対して係止部236を係止させて、泡吐出部品80を保持部234により保持させることができる。
また、板状部81の上面81b上には、図示するようにメッシュ270が設けられていても良い。
フォーマー機構21及び吐出部20は、例えば、以上のように構成されている。ただし、吐出部20及びフォーマー機構21は、ここで説明した構造のものに限定されず、他の構造のものであっても良い。
【0053】
図9は、
図8に示した泡吐出部品80を説明するための図であって、先に示した
図8は、
図9中に示した線分8−8に沿う断面図である。
図9に示すように、泡吐出部品80は、円板状の板状部81と、板状部81の下面81aから突出している吐出口形成壁部82と、を備えている。第一実施形態では、吐出口形成壁部82のうち、下面81aの相対的に中央に近い位置に形成される吐出口形成壁部82を吐出口形成壁部82a、相対的に端部に形成される吐出口形成壁部82を吐出口形成壁部82bとする。
本実施形態の場合、各吐出口形成壁部82は、円管状に形成されており、各吐出口形成壁部82の軸心及び壁面が下面81aに対して直交している。各吐出口形成壁部82の下縁には吐出口83が形成されている。
上記構成の吐出部20の下方に手(手の平)を水平に差し出すことにより、当該手が検出部51により検出されて吐出トリガが発生し、液体ポンプ30及び気体ポンプ40がそれぞれ動作することにより、フォーマー機構21に供給された内溶液L及び空気によって泡体が生成され、当該泡体は泡通過室209及びメッシュ270を介して各吐出口形成壁部82から吐出される。その後、所定量の泡体の吐出が完了すると、液体ポンプ30及び気体ポンプ40の動作が停止する。
その結果、手の上に
図1等に示した泡体1が形成されることとなる。
【0054】
以上説明した第一実施形態によれば、所定のエリア内でスクリーンとなるべき泡体の位置及び範囲を検出し、この位置及び範囲に合わせて投影画像を投影することができる。このため、泡をスクリーンにして好適なプロジェクションマッピングを行うことができる。また、第一実施形態によれば、投影画像を切り替える演出により、手洗いの流れが滞ることを防ぎ、手洗いの励行を促すことができる。
【0055】
また、第一実施形態の泡吐出装置は、
図7に示した泡吐出装置100に限定されるものでなく、例えば、
図10に示す手動式の泡吐出装置70であってもよい。
図10は、泡吐出装置70の上方斜視図である。泡吐出装置70は、内溶液Lを貯留する容器本体140と、吐出口を有するヘッド部130と、吐出操作部(ポンプヘッド部39)と、を備えている。ヘッド部130は、容器本体140から送出される内溶液Lを吐出部20より泡状に吐出する。ポンプヘッド部39は、押圧されるごとに所定量の泡状の液体(泡)を吐出部20より吐出させる。これにより、
図1等に示す動物の頭部の形状を有する泡体1が成形される。なお、
図10に示す泡吐出装置70も、例えば、
図9に示す泡吐出部品80の各吐出口形成壁部82を具備している。
【0056】
[第二実施形態]
第二実施形態のプロジェクションマッピングシステムは、一の投影画像Pを撮像範囲の略全体に向けて投影し、投影画像Pの各部分を対応する泡体1または手H上に表示させる構成である。
図11は、第二実施形態のプロジェクションマッピングシステムの撮像範囲全体を説明するための図である。第二実施形態では、プロジェクタ65が、撮像範囲内全体で検出された複数の泡に一つの投影画像Pの一部をそれぞれ投影するようにした。即ち、第二実施形態では、撮像範囲が規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccを含んでいる。規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccの全てで泡体1が検出されたものとする。規定位置aaは、保持者Kが泡吐出装置70に略正対する位置であり、規定位置bbは、保持者Kが洗い場75に略正対する位置であり、規定位置ccは、保持者Kがエアブロー90に略正対する位置である。
【0057】
一方、投影画像Pは、予め規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccの位置に対応させたそれぞれ異なる投影画像を含んでいる。第二実施形態では、規定位置aaに対応する投影画像を例えば
図6(a)に示した投影画像95とし、規定位置bbに示した画像を
図6(b)に示した投影画像95とし、規定位置ccの位置に対応する投影画像を
図6(c)に示した投影画像96とする。このような第二実施形態によれば、規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccを含む一つの投影画像Pを撮像範囲全体に投影すると、規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccの泡体1に、同時に異なる画像を1台のプロジェクタ65を使って投影することができる。また、一の規定位置に複数の泡体1が検出された場合、検出された各泡体1に投影画像3を投影することができる。
【0058】
以下、上記構成を、具体的に説明する。第二実施形態では、ビデオカメラ63が、規定位置aa、規定位置bb及び規定位置cc全体を撮像し、画像情報を制御部69に入力する。制御部69は、画像情報から規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccから泡体1を検出する。なお、第二実施形態では、規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccの全てで泡体1が検出されたものとする。プロジェクタ65は、撮像範囲全体に、投影画像95、96、97の全てが含まれる投影画像Pを投影する。投影画像95、96、97は、投影時の投影画像Pにおいて、予め規定位置aa、規定位置bb及び規定位置ccに対応する位置に配置されている。このとき、規定位置aaにおいては、投影画像95が泡体1上に投影される。また、規定位置bbにおいては投影画像96が泡体1または手Hに投影され、規定位置ccにおいては投影画像97が手Hに投影される。なお、投影画像Pの投影は、一つの泡体1または手Hに合わせて高品質の投影画像が投影されるように行ってもよいし、複数の泡体1のそれぞれに平均的な品質の投影画像が投影されるように行ってもよい。
【0059】
上記した本発明は、以下の技術思想を含むものである。
<1>泡体が存在する位置及び範囲の少なくとも一つを検出する泡検出工程と、検出された泡体に対し、画像を投影する画像投影工程と、を含むことを特徴とする、泡プロジェクションマッピング方法。
<2>前記画像投影工程は、検出された前記泡体の位置または範囲に応じて投影する画像を変更する、<1>の泡プロジェクションマッピング方法。
<3>手の形状を検出する手形状検出工程をさらに含み、前記画像投影工程は、検出された手の形状の変化によって投影する画像を変更する、<1>または<2>の泡プロジェクションマッピング方法。
<4>前記泡検出工程によって検出された前記泡体の形状を判定する泡形状判定工程をさらに含む、<1>から<3>のいずれか1つの泡プロジェクションマッピング方法。
<5>前記画像投影工程は、前記泡形状判定工程における判定の結果に応じて投影する画像を変更する、<4>の泡プロジェクションマッピング方法。
<6>前記画像投影工程は、前記泡体に係る動作を示唆する画像を前記手または前記泡体に投影する、<1>から<5>のいずれに1つの泡プロジェクションマッピング方法。
<7>前記画像投影工程は、前記手または前記泡体に投影される前記画像を移動させ、前記泡体を保持する保持者の移動を促す、<1>から<6>のいずれか1つの泡プロジェクションマッピング方法。
<8>前記泡体の発生または消失に係るタイミングを検出するタイミング検出工程をさらに含み、前記画像投影工程は、検出されたタイミングから経過した時間に応じて前記手または前記泡体に投影する画像を変更する、<3>から<7>のいずれか1つの泡プロジェクションマッピング方法。
<9>前記画像投影工程は、前記泡検出工程によって検出された前記泡体の範囲に応じて投影する画像の大きさを変更する、<1>から<8>のいずれか1つの泡プロジェクションマッピング方法。
<10>前記画像投影工程によって投影される画像と共に音声を提供する音声提供工程をさらに含む、<1>から<9>のいずれか1つの泡プロジェクションマッピング方法。
<11>泡体が存在する位置及び範囲の少なくとも一つを検出する泡検出装置と、検出された前記泡体に対し、画像を投影する画像投影装置と、を有することを特徴とする、泡プロジェクションマッピングシステム。
<12>前記泡検出装置は、複数の前記泡体について前記泡体が存在する位置及び範囲の少なくとも一つを検出し、前記画像投影装置は、検出された複数の前記泡体の各々に前記画像を投影するマルチプロジェクタである、<11>の泡プロジェクションマッピングシステム。
<13>前記画像投影装置は、予め定められた規定位置にある前記泡体に対し、前記規定位置に応じた画像を投影する、<11>または<12>の泡プロジェクションマッピングシステム。
<14>前記規定位置を複数有する、<13>の泡プロジェクションマッピングシステム。
<15>前記画像投影装置によって投影される画像と共に音声を提供する音声提供装置をさらに有する、<11>から<14>のいずれか1つの泡プロジェクションマッピングシステム。
<16>前記泡体を提供する泡提供装置を更に含む、<11>から<15>のいずれか1つの泡プロジェクションマッピングシステム。