(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985832
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】全一次燃焼式バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/02 20060101AFI20211213BHJP
F23D 14/16 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
F23D14/02 B
F23D14/16 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-138842(P2017-138842)
(22)【出願日】2017年7月18日
(65)【公開番号】特開2019-20045(P2019-20045A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴大
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−009839(JP,A)
【文献】
特表2017−505422(JP,A)
【文献】
実開平03−064314(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/02
F23D 14/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板部とを備える全一次燃焼式バーナであって、燃焼板部は、額縁状のバーナ枠と、バーナ枠で囲われる開口部をバーナボディ側から覆うように設けられる金属繊維製ニットと、バーナ枠との間に金属繊維製ニットを挟む、多数の分布孔が形成された分布板とで構成され、
バーナ枠は、開口部と同一面上に位置する開口周縁部と、開口周縁部からバーナボディ側に屈曲した側板部とを有するものにおいて、
バーナ枠の開口周縁部に、金属繊維製ニットのみをスポット溶接し、分布板の側端に、バーナボディ側に屈曲した屈曲部を曲成して、バーナ枠の側板部に分布板の屈曲部をスポット溶接することを特徴とする全一次燃焼式バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板部とを備える全一次燃焼式バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の全一次燃焼式バーナにおいて、燃焼板部を、額縁状のバーナ枠と、バーナ枠で囲われる開口部をバーナボディ側から覆うように設けられる金属繊維製ニットと、バーナ枠との間に金属繊維製ニットを挟む、多数の分布孔が形成された分布板とで構成し、バーナボディ内に供給された混合気が分布孔と金属繊維製ニットとを介して開口部から噴出するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、開口部と同一面上に位置するバーナ枠の開口周縁部に、金属繊維製ニットと分布板とを一緒にスポット溶接している。
【0003】
ここで、金属繊維製ニットと分布板とを一緒にスポット溶接すると、金属繊維製ニットから分布板に溶接個所を介して熱が伝わりやすくなる。そして、金属繊維製ニットは燃焼中かなり高温になるため、溶接個所を介しての伝熱で分布板も高温になってしまい、逆火を生じやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−9839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、金属繊維製ニットから分布板への伝熱を抑制できるようにした全一次燃焼式バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、内部に混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板部とを備える全一次燃焼式バーナであって、燃焼板部は、額縁状のバーナ枠と、バーナ枠で囲われる開口部をバーナボディ側から覆うように設けられる金属繊維製ニットと、バーナ枠との間に金属繊維製ニットを挟む、多数の分布孔が形成された分布板とで構成され
、バーナ枠は、開口部と同一面上に位置する開口周縁部と、開口周縁部からバーナボディ側に屈曲した側板部とを有するものにおいて、
バーナ枠の開口周縁部に、金属繊維製ニットのみをスポット溶接し、
分布板の側端に、バーナボディ側に屈曲した屈曲部を曲成して、バーナ枠の側板部に分布板の屈曲部をスポット溶接することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、金属繊維製ニットの溶接個所であるバーナ枠の開口周縁部から離れたバーナ枠の部分
である側板部に分布板が
屈曲部においてスポット溶接されるため、金属繊維製ニットから分布板への伝熱が抑制される。従って、分布板は然程高温にならず、逆火を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の全一次燃焼式バーナを具備する燃焼装置の斜視図。
【
図5】実施形態の全一次燃焼式バーナの燃焼板部の分解状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図4に示す燃焼装置は、内部に混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)が供給されるバーナボディ11と、バーナボディ11の下向きの開放面111を覆う燃焼板部12とを備える本発明の実施形態の全一次燃焼式バーナ1と、バーナボディ11の開放面111を囲うボディフランジ部112にビス21で締結される上端の接合フランジ部22を有する燃焼筐2とを備えている。燃焼筐2の内部には、給湯用の熱交換器3が収納されている。
【0011】
熱交換器3は、多数のフィン31とこれらフィン31を貫通する複数の吸熱管32とを備えるフィンチューブ型熱交換器で構成されている。燃焼筐2の横方向一側と他側の側板23,24の外面には、隣り合う2本の吸熱管32,32の接続路を各側板23,24との間に画成する接続蓋33が複数取付けられており、全ての吸熱管32が直列に接続される。また、上流端の吸熱管32に接続される接続路を横方向他側の側板24との間に画成する接続蓋33には入水口34が設けられている。
【0012】
また、燃焼筐2の後側の側板25の熱交換器3より上方の部分の内側には、管から成る上下3本の第1水路5
1が側板25に接するように配置され、燃焼筐2の前側の側板26の熱交換器3より上方の部分の内側にも、管から成る上下3本の第3水路5
3が側板26に接するように配置されている。また、燃焼筐2の横方向一側の側板23の外面には、上下3本の第1水路5
1と熱交換器3の下流端の吸熱管32との接続路を側板23との間に画成する流入側ヘッダ蓋51と、上下3本の第3水路5
3の接続路を側板23との間に画成する流出側ヘッダ蓋52とを取付け、流出側ヘッダ蓋52に出湯口53を設けている。更に、燃焼筐2の横方向他側の側板24には、
図2、
図3に示す如く、後側の第1水路5
1と前側の第3水路5
3とを接続する第2水路5
2が設けられている。第2水路5
2は、側板24に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆うように側板24の外面に取付けた蓋54とで構成されている。そして、入水口34から供給される水が熱交換器3で加熱され、加熱された水が流入側ヘッダ蓋51内の接続路と第1水路5
1と第2水路5
2と第3水路5
3と流出側ヘッダ蓋52内の接続路とを介して出湯口53から出湯されるようにしている。また、燃焼筐2の横方向一側の側板23には、流出側ヘッダ蓋52内の接続路の上部から後方にのびる、側板23に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆う流出側ヘッダ蓋52に一体の蓋52aとで構成される第4水路5
4が設けられている。そして、これら第1乃至第4水路5
1〜5
4に流れる水により燃焼筐2の各側板23〜26が冷却されるようにしている。
【0013】
また、燃焼筐2の前側の側板26には、上方から1番目と2番目の2本の第3水路5
3,5
3の間の側板部分を貫通して燃焼筐2内に突出する点火電極61と接地電極62とフレームロッド63とを有する電極部品6が装着されている。尚、電極部品6には、燃焼筐2内を視認できる覗き窓64が付設されている。
【0014】
次に、全一次燃焼式バーナ1について詳述する。バーナボディ11には、混合気を供給するファン4を接続する流入口113が開設されている。流入口113には、ファン4停止時にバーナボディ11内に残留する混合気がファン4側に逆流することを阻止する逆止弁13が装着されている。逆止弁13は、流入口113に嵌め込まれる樹脂製の弁筐131と、バーナボディ11内を向く弁筐131の開口部に開閉自在に軸着された樹脂製の弁板132とで構成されている。
【0015】
図5、
図6も参照して、燃焼板部12は、額縁状のバーナ枠121と、バーナ枠121で囲われる開口部122をバーナボディ11側(上方)から覆うように設けられる金属繊維製ニット123と、バーナ枠121との間に金属繊維製ニット123を挟む、多数の分布孔124aが形成された分布板124とで構成されている。そして、バーナボディ11内に供給された混合気が分布孔124aと金属繊維製ニット123とを介して開口部122から噴出し、全一次燃焼(二次空気が不要な燃焼)する。尚、開口部122は、前後方向に沿う断面形状が円弧状に湾曲しており、同様に金属繊維製ニット123及び分布板124も前後方向に沿う断面形状が円弧状に湾曲している。
【0016】
バーナ枠121は、開口部122と同一面上に位置する開口周縁部121aと、開口周縁部121aからバーナボディ11側(上方)に屈曲した側板部121bと、側板部121bの上端から外方に張出す枠フランジ部121cとを有している。そして、枠フランジ部121cをボディフランジ部112と接合フランジ部22との間に挟み込み、更に、枠フランジ部121cとボディフランジ部112との間にパッキン7を介設して、シール性を確保している。また、枠フランジ部121cの下面に断熱材8を装着している。
【0017】
金属繊維製ニット123は、その周縁部をバーナ枠121の開口周縁部121aの上面に重ね合せた状態で、当該開口周縁部121aに全周に亘り一定間隔でスポット溶接している。
図6の×印aは金属繊維製ニット123のスポット溶接個所を示している。尚、金属繊維製ニット123を開口周縁部121aにスポット溶接するのは、膨張収縮による金属繊維製ニット123のゆるみを防止するためである。
【0018】
ところで、分布板124を金属繊維製ニット123と一緒に開口周縁部121aにスポット溶接することも考えられるが、これでは以下の不具合を生ずる。即ち、金属繊維製ニット123から分布板124に溶接個所を介して熱が伝わりやすくなるため、燃焼中に金属繊維製ニット123からの溶接個所を介しての伝熱で分布板124がかなり高温になってしまい、逆火を生じやすくなる。
【0019】
そこで、本実施形態では、開口周縁部121aにスポット溶接するのは金属繊維製ニット123のみとしている。そして、分布板124の横方向両端に、上方への屈曲部124bを曲成し、開口周縁部121aからバーナボディ11側(上方)にオフセットしたバーナ枠121の部分である側板部121bに屈曲部124bをスポット溶接している。
図6の×印bは屈曲部124bのスポット溶接個所を示している。以上の構成によれば、分布板124の溶接個所が金属繊維製ニット123の溶接個所から離れるため、金属繊維製ニット123から分布板124への伝熱が抑制される。従って、分布板124は然程高温にならず、逆火を効果的に防止できる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態の全一次燃焼式バーナは、バーナボディ11の開放面111が下を向くように配置しているが、この開放面11が上を向くように配置する全一次燃焼式バーナにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1…全一次燃焼式バーナ、11…バーナボディ,111…開放面、12…燃焼板部、121…バーナ枠、121a…開口周縁部、121b…側板部
、122…開口部、123…金属繊維製ニット、124…分布板、124a…分布孔
、124b…屈曲部。