(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)は、本発明のハニカム触媒の一例を模式的に示す斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示すハニカム触媒の正面図であり、
図1(c)は、
図1(b)に示したハニカム触媒の一部Aを拡大した拡大正面図である。
【0020】
(発明の詳細な説明)
[ハニカム触媒]
まず、本発明のハニカム触媒について説明する。
【0021】
本発明のハニカム触媒は、セリア−ジルコニア複合酸化物とアルミナとを含む押出成形体からなるハニカム構造体を備えたハニカム触媒であって、上記ハニカム触媒を構成するハニカム構造体の外壁の一部に比表面積が10m
2/g以下の外壁塗布材が塗布されていることを特徴とする。
【0022】
本発明のハニカム触媒では、セリア−ジルコニア複合酸化物とアルミナとを含むハニカム構造体の外壁の一部に外壁塗布材が塗布されている。
上記ハニカム構造体は、セリア−ジルコニア複合酸化物の粒子(以下、CZ粒子ともいう)とアルミナ粒子とを含む押出成形体を焼成することにより作製されたハニカム焼成体により構成されており、上記ハニカム触媒は、上記ハニカム構造体の隔壁に触媒が担持されたものである。
本発明のハニカム触媒が上記した成分を有していることは、X線回折(XRD)にて確認することができる。
【0023】
本発明のハニカム触媒を構成するハニカム構造体は、単一のハニカム焼成体を備えていてもよいし、複数個のハニカム焼成体を備えていてもよく、複数個のハニカム焼成体が接着剤層により結合されていてもよい。
【0024】
本発明のハニカム触媒では、ハニカム触媒を構成するハニカム構造体の長手方向には、複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設され、少なくとも上記隔壁の表面に貴金属からなる触媒が担持されていることが望ましい。
上記ハニカム触媒において、上記隔壁に触媒として機能する貴金属が担持されていると、排ガス浄化用のハニカム触媒として好適に使用することができる。
【0025】
図1(a)は、本発明のハニカム触媒の一例を模式的に示す斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示すハニカム触媒の正面図であり、
図1(c)は、
図1(b)に示したハニカム触媒の一部Aを拡大した拡大正面図である。
【0026】
図1に示すハニカム触媒10は、複数の貫通孔11aが隔壁11bを隔てて長手方向に並設された単一のハニカム焼成体からなるハニカム構造体11を備えている。ハニカム構造体11は、CZ粒子とアルミナ粒子とを含み、押出成形体の形状を有しており、外壁にはクラック12が形成されており、形成されたクラック12には、比表面積が10m
2/g以下の外壁塗布材13が充填されている。また、
図1(c)に示すように、隔壁11bの表面には、貴金属からなる触媒15が担持されている。
【0027】
本発明のハニカム触媒によれば、ハニカム触媒を構成するハニカム構造体の外壁の一部に比表面積が10m
2/g以下の外壁塗布材が塗布されており、塗布された外壁塗布材の比表面積が小さいので、触媒を含む液中にハニカム構造体を浸漬させて触媒を担持させた際、外壁部に付着する触媒の量を少なくすることができ、ハニカム触媒を使用する際、排ガスと接触せず、排ガス浄化に役立たない触媒の量を低減させることができる。
【0028】
また、本発明のハニカム触媒では、ハニカム触媒を構成するハニカム構造体の製造工程において、クラック等が発生した場合であっても、上記外壁塗布材の塗布によりクラック等の内部には外壁塗布材が充填され、補修されているので、触媒として使用中にクラックが伸展しにくく、クラック等に起因する破損等を発生しにくくすることができる。
【0029】
また、本発明のハニカム触媒では、外壁部に外壁塗布材が塗布されているので、外壁部に凹凸が形成され、ハニカム触媒を用いた排ガス浄化装置において、保持マットでハニカム触媒を保持する際にも、保持マットとの摩擦係数が大きくなり、触媒として使用中にハニカム触媒が保持マットから脱落する等の事故を防止することができる。
【0030】
外壁塗布材の比表面積は、10m
2/g以下であるが、8m
2/g以下であることが望ましく、5m
2/g以上であることがより望ましい。
このような特性を有する外壁塗布材としては、α−アルミナを含むものが望ましく、その比表面積は、2.0〜10m
2/gが望ましい。α−アルミナの比表面積が小さいので、α−アルミナを含む外壁塗布材の比表面積を小さくすることができる。
【0031】
外壁塗布材の比表面積は、ハニカム構造体から外壁塗布材のみをサンプリングして、JIS R 1626:1996(ファインセラミックス粉体の気体吸着 BET法による比表面積の測定方法)に準拠した方法により求めることができる。
【0032】
上記外壁塗布材は、α−アルミナの外に、例えば、無機バインダ及び有機バインダを含んでいてもよい。また、上記外壁塗布材は、さらに無機繊維及びウィスカのうち、少なくとも1種を含んでいてもよい。外壁塗布材に含まれる上記無機バインダ及び上記有機バインダは、乾燥、脱脂させることにより、大部分の水分、有機分が除去された状態となる。
【0033】
上記外壁塗布材における無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0034】
上記外壁塗布材における有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0035】
上記外壁塗布材における無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナファイバ、ムライトファイバ、アルミナファイバ、シリカファイバ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
【0036】
上記外壁塗布材に含まれるウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなるウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
さらに、上記外壁塗布材には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
【0038】
外壁塗布材中のα−アルミナの含有量は、50〜80重量%が望ましい。α−アルミナの比表面積は、BET比表面積で2〜8m
2/gと小さいので、α−アルミナを外壁塗布材中、50〜80重量%含有させることにより、外壁塗布材の表面積を小さくすることができる。
【0039】
上記ハニカム構造体において、CZ粒子を構成するセリア−ジルコニア複合酸化物は、排ガス浄化触媒の助触媒(酸素貯蔵材)として用いられている材料である。セリア−ジルコニア複合酸化物としては、セリアとジルコニアとが固溶体を形成したものが好ましい。
【0040】
本発明のハニカム触媒において、セリア−ジルコニア複合酸化物は、セリウム以外の希土類元素をさらに含んでいてもよい。希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられる。
【0041】
本発明のハニカム触媒は、セリア−ジルコニア複合酸化物とアルミナとを含む押出成形体からなるハニカム構造体を備えている。
本発明のハニカム触媒において、セリア−ジルコニア複合酸化物は、セリアを30重量%以上含むことが好ましく、40重量%以上含むことがより好ましく、一方、セリアを90重量%以下含むことが好ましく、80重量%以下含むことがより好ましい。また、セリア−ジルコニア複合酸化物は、ジルコニアを60重量%以下含むことが好ましく、50重量%以下含むことがより好ましい。このようなセリア−ジルコニア複合酸化物はセリア比率が高いため、酸素吸蔵能(OSC)が高い。
【0042】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体を構成するアルミナ粒子の種類は特に限定されないが、θ相のアルミナ粒子(以下、θ−アルミナ粒子ともいう)であることが望ましい。
θ−アルミナ粒子をセリア−ジルコニア複合酸化物の仕切り材として用いることにより、それぞれの粒子が使用中に熱により焼結することを防ぐことができるため、触媒機能を維持することが可能となる。さらに、アルミナ粒子をθ相とすることにより、耐熱性を高くすることができる。
【0043】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体は、製造時に無機バインダとして用いられる無機粒子を含むことが望ましく、ベーマイトに由来するγ−アルミナ粒子を含むことがより望ましい。
【0044】
本発明のハニカム触媒において、上記ハニカム構造体は、無機繊維を含むことが望ましく、アルミナ繊維を含むことがより望ましい。
ハニカム構造体がアルミナ繊維等の無機繊維を含んでいると、ハニカム構造体の機械的特性を改善することができる。
【0045】
なお、無機繊維とは、アスペクト比が5以上のものをいい、無機粒子とは、アスペクト比が5未満のものをいう。
【0046】
本発明のハニカム触媒において、上記ハニカム構造体を構成するCZ粒子の平均粒子径は耐熱衝撃性を向上させる観点から、1〜50μmであることが望ましい。また、CZ粒子の平均粒子径は1〜30μmであることがより望ましい。CZ粒子の平均粒子径が1〜50μmであると、ハニカム触媒とした際に、表面積が大きくなるため、OSCを高くすることができる。
【0047】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体を構成するアルミナ粒子の平均粒子径は特に限定されないが、ガス浄化性能及び暖機性能を向上させる観点から、1〜10μmであることが望ましく、1〜5μmであることがより望ましい。
【0048】
ハニカム構造体を構成するCZ粒子及びアルミナ粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製 S−4800)を用いて、ハニカム構造体のSEM写真を撮影することにより求めることができる。
【0049】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体を構成するCZ粒子の含有割合は、25〜75重量%であることが望ましい。
本発明のハニカム触媒において、上記ハニカム構造体におけるセリア−ジルコニア複合酸化物粒子の占める割合が25〜75重量%であると、セリウムのOSCを高めることができる。
【0050】
本発明のハニカム触媒において、アルミナ粒子の含有割合は、15〜35重量%であることが望ましい。
【0051】
本発明のハニカム触媒において、上記隔壁の比表面積は、20〜100m
2/gであることが望ましい。
隔壁の比表面積を外周塗布材より大きくしておくことで、より隔壁に貴金属が担持されやすくなる。
【0052】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体の直径に対する長さの比(長さ/直径)は、0.5〜0.9であることが望ましく、0.6〜0.8であることがより望ましい。
【0053】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体の直径は、130mm以下であることが望ましく、125mm以下であることがより望ましい。また、ハニカム構造体の直径は、85mm以上であることが望ましい。
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体の直径を130mm以下にすることにより、ハニカム構造体内の温度分布を小さくすることができるため、ハニカム構造体の耐熱衝撃性をさらに向上させることができる。
【0054】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体の長さは、65〜120mmであることが望ましく、70〜110mmであることがより望ましい。
【0055】
上記ハニカム構造体の形状としては、円柱状に限定されず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
【0056】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体の隔壁の厚さは、均一であることが望ましい。具体的には、ハニカム構造体の隔壁の厚さは、0.05〜0.50mmであることが望ましく、0.05〜0.30mmであることがより望ましい。
【0057】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体に形成されている貫通孔の形状としては、四角柱状に限定されず、三角柱状、六角柱状等が挙げられる。
【0058】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度は、31〜155個/cm
2であることが望ましい。
【0059】
本発明のハニカム触媒において、ハニカム構造体の気孔率は、40〜70%であることが望ましい。ハニカム構造体の気孔率を上記範囲とすることにより、ハニカム構造体の強度を維持しつつ、高い排ガス浄化性能を発揮することができる。
【0060】
ハニカム構造体の気孔率は、以下に説明する重量法にて測定することができる。
(1)ハニカム構造体を10セル×10セル×10mmの大きさに切断して、測定試料とする。この試料をイオン交換水中およびアセトンを用いて超音波洗浄した後、オーブンにて100℃で乾燥する。
(2)測定顕微鏡(Nikon製 Measuring Microscope MM−40倍率100倍)を用いて、試料の断面形状の寸法を計測し、幾何学的な計算から体積を求める(なお、幾何学的な計算から体積を求めることができない場合は、飽水重量と水中重量を実測して、体積を計測する)。
(3)計算上求められた体積およびピクノメーターで測定した試料の真密度から、試料が完全な緻密体であったと仮定した場合の重量を計算する。なお、ピクノメーターでの測定手順は以下の通りである。
(4)ピクノメーターによる真密度の測定方法
ハニカム構造体を粉砕し、23.6ccの粉末を調整し、得られた粉末を200℃で8時間乾燥させる。その後、Auto Pycnometer 1320(Micromeritics社製)を用いて、JIS−R−1620(1995)に準拠し真密度を測定する。なお、この時の排気時間は40分とする。
(5)次に、試料の実際の重量を電子天秤(A&D製 HR202i)にて測定する。
(6)気孔率は、以下の計算式(1)にて計算する。
100−(実際の重量/緻密体としての重量)×100(%)・・・(1)
【0061】
本発明のハニカム触媒においては、ハニカム構造体を構成する隔壁の表面に貴金属からなる触媒が担持されていることが望ましい。
貴金属としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属が挙げられる。
【0062】
本発明のハニカム触媒において、貴金属の担持量は、0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
本明細書において、貴金属の担持量とは、ハニカム構造体の見掛けの体積当たりの貴金属の重量をいう。なお、ハニカム構造体の見掛けの体積は、空隙の体積を含む体積であり、接着層の体積を含むこととする。
【0063】
[ハニカム触媒の製造方法]
次に、本発明のハニカム触媒を製造する方法について説明する。
(原料ペースト調製工程)
本発明のハニカム触媒の製造方法においては、まず、原料ペースト調製工程として、CZ粒子、アルミナ粒子、無機繊維、無機バインダ等を含む原料ペーストを調製する。上記原料ペーストには、有機バインダ、造孔剤、成形助剤、分散媒等が含まれていてもよい。
【0064】
CZ粒子の重量割合は、40〜60重量%が好ましく、アルミナ粒子の重量割合は、15〜35重量%が好ましい。また、無機繊維は、5〜15重量%が好ましく、無機バインダの重量割合は、10〜20重量%が好ましい。
【0065】
CZ粒子は、助触媒として使用され、担持される触媒の触媒作用を強化する働きがあるが、CZ粒子の含有割合が40重量%未満であると、上記の触媒作用を強化する働きが弱くなり、CZ粒子を使用するメリットがなくなり、一方、CZ粒子の含有割合が60重量%を超えると、アルミナ等の他の材料の割合が少なくなるので、耐熱性を有するハニカム構造体の製造が難しくなる。
【0066】
アルミナ粒子の含有割合が15重量%未満では、気孔分布のコントロールが難しくなり、浄化性能に優れたハニカム構造体の製造が難しくなる。一方、アルミナ粒子の含有割合が35重量%を超えると、相対的にCZ粒子の割合が少なくなり、CZ粒子による触媒作用を強化する働きが弱くなってしまう。アルミナ粒子としては、θ−アルミナ粒子が望ましい。
【0067】
アルミナ粒子に対するCZ粒子の重量比(CZ粒子/アルミナ粒子)は、1.0〜3.0であることが望ましい。
【0068】
重量比(CZ粒子/アルミナ粒子)が1.0〜3.0であると、CZ粒子の含有率が高く、このCZ粒子は、助触媒として使用されるものであるので、担持される触媒の触媒作用を強化することができ、ハニカム触媒としての性能をより高めることができる。
【0069】
無機繊維の含有割合が5重量%未満では、無機繊維による焼結体の強化の程度が弱く、ハニカム構造体の機械的特性が悪化し、一方、無機繊維の含有割合が15重量%を超えると、他の材料の割合が少なくなるので、浄化性能が低下することになる。
【0070】
無機バインダの含有割合が10重量%未満では、無機バインダの含有割合が少なすぎるため、原料ペーストの粘度が低くなり、押出成形が難しくなり、一方、無機バインダの含有割合が20重量%を超えると、無機バインダの量が多すぎるため、原料ペーストの粘度が低くなりすぎ、やはり押出成形により所定の形状を形成することが難しくなる。
【0071】
アルミナ粒子の平均粒子径、特にθ−アルミナの平均粒子径は、1〜5μmが望ましく、CZ粒子の平均粒子径も、1〜5μmが望ましいが、使用するアルミナ粒子の平均粒子径は、CZ粒子の平均粒子径よりも大きいことが望ましい。
【0072】
原料として用いるアルミナ粒子及びCZ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN社製 MASTERSIZER2000)を用いて測定することができる。
【0073】
上記した割合のCZ粒子、アルミナ粒子、無機繊維及び無機バインダ、並びに、造孔剤を使用することにより、暖機性能に優れたハニカム構造体を製造することができる。
【0074】
上記造孔剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、コークス、デンプン等が挙げられる、本発明では、アクリル樹脂、コークス及びデンプンのうち2種類以上を用いることが望ましい。
造孔剤とは、焼成体を製造する際、焼成体の内部に気孔を導入するために用いられるものをいう。造孔剤の含有割合は、原料組成物全体に対して1〜10重量%が望ましい。
【0075】
原料ペーストを調製する際に用いる他の原料としては、有機バインダ、成形助剤、分散媒等が挙げられる。
【0076】
有機バインダとしては、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0077】
分散媒としては、特に限定されないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0078】
成形助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0079】
原料ペーストを調製する際には、上記した原料を混合混練することが望ましく、混合混練の際には、ミキサー、アトライタ等を用いて混合してもよく、ニーダー等を用いて混練してもよい。
【0080】
(成形工程)
本発明のハニカム触媒を製造する方法では、上記方法により調製した原料ペーストを成形することにより、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する。具体的には、上記原料ペーストを用いて押出成形することにより、ハニカム成形体を作製する。
【0081】
具体的には、原料ペーストを押出成形用の金型を通過させることにより、所定の形状の貫通孔を有するハニカム成形体の連続体を形成し、所定の長さにカットすることにより、ハニカム成形体とする。
【0082】
(乾燥工程)
本発明のハニカム触媒を製造する方法では、上記成形工程により成形された成形体を乾燥する。
この際、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥し、ハニカム乾燥体を作製することが望ましい。これらのなかでは、マイクロ波乾燥機及び凍結乾燥機を用いた凍結乾燥方法が望ましい。
凍結乾燥においては、ハニカム触媒を凍結した後に、減圧することがさらに望ましい。
凍結乾燥を行う際に、凍結の条件としては、温度は、−30℃以下で1〜48時間凍結させ、その後、凍結した状態の成形体を1〜600Paに減圧し、1〜120時間、減圧環境下で水分を昇華させることが望ましい。
【0083】
上記成形体を凍結乾燥することにより、原料ペースト中の多くの水分が凍結状態のまま昇華するので、マクロ気孔が形成され易く、マクロ気孔の気孔径を大きくすることができる。そのため、ハニカム触媒として使用した場合に、周囲の排ガスが気孔の内部に拡散し易く、より浄化性能に優れたハニカム触媒を製造することができる。
【0084】
本明細書においては、乾燥前のハニカム成形体、焼成工程を行う前のハニカム成形体及びハニカム乾燥体をまとめてハニカム成形体とも呼ぶ。
【0085】
(焼成工程)
本発明のハニカム触媒を製造する方法において、焼成工程として、乾燥工程により乾燥された成形体を焼成することにより、ハニカム触媒を構成するハニカム焼成体(ハニカム構造体)を作製する。なお、この工程は、ハニカム成形体の脱脂及び焼成が行われるため、「脱脂・焼成工程」ということもできるが、便宜上「焼成工程」という。
【0086】
焼成工程の温度は、800〜1300℃であることが望ましく、900〜1200℃であることがより望ましい。また、焼成工程の時間は、1〜24時間であることが望ましく、
3〜18時間であることがより望ましい。焼成工程の雰囲気は特に限定されないが、酸素濃度が1〜20%であることが望ましい。
【0087】
(外壁塗布材塗布工程)
以上の工程により、ハニカム焼成体を備えたハニカム構造体を製造することができるが、上記焼成工程により、ハニカム構造体の表面にクラックが形成されることとなるので、外壁塗布材を用いてクラックが形成された部分に外壁塗布材を充填し、ハニカム構造体の外壁に外壁塗布材を付着させる。
【0088】
外壁塗布材は、α−アルミナのほかに、乾燥前の無機バインダや有機バインダ、及び、無機繊維等を含んでいるので、ペースト状であり、このペースト状の外壁塗布材を、刷毛、ヘラ、ブラシ、コテ、スキージ等を用いてクラックの内部に充填し、ハニカム構造体の外壁に外壁塗布材を付着させる。この後、乾燥などの熱処理を行うことにより、外壁塗布材中の水分を除去するとともに固化させ、外壁塗布材がハニカム構造体の外壁より剥離しないようにする。外壁塗布材に含まれる上記無機バインダ及び上記有機バインダは、乾燥、脱脂させることにより、大部分の水分、有機分が除去された状態とすることが望ましい。
【0089】
(担持工程)
本発明のハニカム触媒を製造する方法では、外壁塗布材が付着したハニカム構造体の隔壁の表面に貴金属からなる触媒を担持させる。
隔壁の表面に貴金属からなる触媒を担持する方法としては、例えば、貴金属もしくは錯体を含む溶液にハニカム焼成体又はハニカム構造体を浸漬した後、引き上げて加熱する方法等が挙げられる。
【0090】
本発明のハニカム触媒を製造する方法において、上記担持工程では、貴金属の担持量が0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
【0091】
本発明のハニカム触媒を製造する方法において、複数個のハニカム焼成体が接着層を介して接着されてなるハニカム構造体は、複数個のハニカム焼成体の両端面を除く外周面に接着層用ペーストを塗布して、接着させた後、乾燥固化することにより作製することができる。接着層用ペーストとしては、原料ペーストと同じ組成のものが挙げられる。
【0092】
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0093】
(実施例1)
CZ粒子(平均粒子径:2μm)を26.4重量%、θ−アルミナ粒子(平均粒子径:2μm)を13.2重量%、アルミナ繊維(平均繊維径:3μm、平均繊維長:60μm)を5.3重量%、無機バインダとしてベーマイトを11.3重量%、有機バインダとしてメチルセルロースを5.3重量%、造孔剤としてアクリル樹脂を2.1重量%、同じく造孔剤としてコークスを2.6重量%、成形助剤として界面活性剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテルを4.2重量%、及び、イオン交換水を29.6重量%混合混練して、原料ペーストを調製した。
【0094】
押出成形機を用いて、原料ペーストを押出成形して、円柱状のハニカム成形体を作製した。そして、減圧マイクロ波乾燥機を用いて、ハニカム成形体を出力1.74kW、減圧6.7kPaで12分間乾燥させた後、昇温速度30℃/minで昇温させ、1100℃で10時間脱脂・焼成することにより、ハニカム焼成体からなるハニカム構造体を作製した。
【0095】
実施例1で作製したハニカム構造体の形状は、直径が103mm、長さが105mmの円柱状であり、貫通孔の密度が77.5個/cm
2(500cpsi)、隔壁の厚さが0.127mm(5mil)、外壁の厚さが0.3mmであり、外周の数ヶ所にクラックが形成されていた。
【0096】
そこで、α−アルミナ38重量%、平均繊維長20μmのアルミナファイバ20重量%、シリカゾル8重量%(ゾル中のSiO
2の含有率:30重量%)、カルボキシメチルセルロース1重量%、水酸化アルミニウム3重量%、アクリル樹脂発泡剤1重量%、非イオン系界面活性剤4重量%、ポリビニルアルコール1重量%及び水24重量%を含む外壁塗布材用ペーストを用いて、クラックの内部に上記ペーストを充填し、その後、100℃で5分間乾燥させ、1000℃で5時間熱処理した。
【0097】
ジニトロジアンミンパラジウム硝酸溶液([Pd(NH
3)
2(NO
2)
2]HNO
3、パラジウム濃度100g/L)と硝酸ロジウム溶液([Rd(NO
3)
3]、ロジウム濃度50g/L)を3:1の体積割合で混合し、混合溶液を調製した。この混合溶液中に、上記工程により製造されたハニカム構造体を浸漬し、24時間保持した。その後、ハニカム構造体を110℃で2時間乾燥し、窒素雰囲気中500℃で1時間焼成することによって、ハニカム構造体にパラジウムとロジウム触媒を担持させたハニカム触媒を得た。
【0098】
(実施例2)
外壁塗布材用ペーストの製造工程において、シリカゾルをアルミナゾルに変えた以外は実施例1と同様にしてハニカム触媒を得た。
【0099】
(比較例1)
ハニカム成形体乾燥後の昇温速度を0.3℃/minにした以外は実施例1と同様にしてハニカム触媒を得た。このハニカム触媒にはクラックが生じなかったため、外壁塗布材の塗布は行わなかった。
【0100】
[外壁塗布材及び隔壁の比表面積の測定]
実施例1及び2で得られたハニカム構造体から剥して得た外壁塗布材、及び、実施例1、2及び比較例1のハニカム構造体の隔壁の比表面積を、JIS R 1626:1996(ファインセラミックス粉体の気体吸着 BET法による比表面積の測定方法)に準拠した方法により測定した。
【0101】
その結果、実施例1の外壁塗布材のBET比表面積は、6m
2/gであり、実施例2の外壁塗布材のBET比表面積は、8m
2/gであり、実施例1、2及び比較例1でのハニカム構造体の隔壁のBET比表面積は、40m
2/gであった。
【0102】
[Pd及びRhの担持量の測定]
実施例1、2及び比較例1に係るハニカム触媒に関し、実施例1、2では外壁塗布材部に担持された触媒量を求め、比較例1では外壁塗布材がないため外壁に担持された触媒量を求めた。
触媒量(Pd及びRh)はICP発光分光分析(ICP−AES)により測定することができる。ICP−AESとしては、ICP発光分光分析装置(島津製作所製:ICPE−9000)を用いて測定することができる。なお、測定条件は、次の通りとする。
Pdの測定は、試料の前処理として、200℃、2時間乾燥した、外壁塗布材および外壁から採取した試料0.1gを白金皿にとり、30mlの王水を加えて加熱する。これを50mlの水溶液となるように調整し、測定試料とする。
Rhの測定は、試料の前処理として、200℃、2時間乾燥した、外壁塗布材および外壁から採取した試料0.1gを白金皿にとり、5mlの硝酸と20mlのフッ化水素酸と5mlの硫酸を加えて、硫酸白煙発生まで加熱する。これを50mlの水溶液となるように調整し、測定試料とする。
測定試料を装置に入れ、PdとRhとをそれぞれ元素を指定して、測定を行う。
【0103】
その結果、実施例1、2に係るハニカム触媒では、外壁塗布材1kgあたりの触媒の担持量は、パラジウムとロジウムの合計で0.5g、0.7gであり、比較例1に係るハニカム触媒では、外壁1kgあたりの触媒の担持量は、パラジウムとロジウムの合計で4gであり、実施例1、2に係るハニカム触媒では、触媒の担持量が少なくなっていることが判明した。これは、実施例1に係るハニカム触媒の外壁塗布材の比表面積が小さいので、外壁塗布材に対するハニカム触媒の担持量が少なくなったためであると推定される。