(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985844
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20211213BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20211213BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20211213BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
B25F5/00 C
H02J50/10
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-153886(P2017-153886)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-33609(P2019-33609A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】田渕 功
【審査官】
坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−243909(JP,A)
【文献】
特開2016−049594(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/029778(WO,A1)
【文献】
特開2015−109785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 1/00− 5/02
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス給電による電力を受電する受電コイルと、
前記受電コイルで受電された電力で充電される充電対象と、
前記受電コイルによる受電を制御する制御部と、
オン状態の場合に前記充電対象と前記制御部とを電気的に接続し、オフ状態の場合に前記充電対象と前記制御部とを電気的に切断する第1スイッチと、
ワイヤレス給電の開始を検出した場合に前記第1スイッチをオン状態にする検出部と、
オン状態の場合に前記第1スイッチのオン状態を維持する信号を出力し、オフ状態の場合に前記第1スイッチのオン状態を維持する信号の出力を停止する第2スイッチと、
を備え、
前記制御部は、
前記充電対象と電気的に接続された場合に、前記第2スイッチをオン状態にし、
ワイヤレス給電の終了を検出してから所定期間が経過した場合に、前記第2スイッチをオフ状態に切り替える、
電動工具。
【請求項2】
前記検出部は、前記受電コイルによる受電が開始された場合に光を発するフォトダイオード及び前記フォトダイオードの光を受光した場合に前記第1スイッチをオン状態にするフォトトランジスタを含むフォトカプラである、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記充電対象とアクチュエータとの電気的接続を切り替える第3スイッチをさらに備え、
前記制御部は、ワイヤレス給電の開始を検出した場合に、前記第3スイッチをオフ状態に切り替える、
請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記制御部は、ワイヤレス給電の終了を検出した場合に、前記第3スイッチをオン状態に切り替える、
請求項3に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インパクトドライバ等の電動工具は、着脱式のリチウムイオン電池等に蓄電された電力で駆動することがあった。このようなリチウム電池等を充電する際は、一般的に、これを電動工具から取り外して、有線式の専用充電器等によって充電する手法が採られる。
【0003】
このような構成の電動工具に対して、近年、ワイヤレス給電の受電装置と、受電装置に接続されたキャパシタ等とを内蔵する電動工具が用いられ始めている。このような内蔵型のキャパシタ等は、電動工具の本体から取り外すことなく、ワイヤレス給電の受電装置によって充電することが可能である。
【0004】
ワイヤレス給電の受電装置には、受電の開始や終了等を含む一連のプロセスを制御するマイクロコンピュータ等の制御部が搭載されることがある。例えば、下記特許文献1には、ワイヤレス給電による受電のプロセスを制御する制御部が搭載された携帯機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−109785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような受電のプロセスを制御する制御部は、キャパシタ等の充電対象から電力の供給を受けて動作するように構成されることがある。このような構成を採る場合、受電装置の受電のプロセスを制御していない期間にも、待機電力を消費するため、充電対象の蓄電残量を減らしてしまう。そのため、従来、制御部の電源を手動スイッチでオン、オフできる構成を採り、充電対象を充電する場合に制御部の電源を入れ、それ以外の期間は制御部の電源を切ることとして、制御部により消費される待機電力を低減させる試みもされていた。しかしながら、電動工具のように頻繁に駆動と充電を繰り返す機器の場合、充電を開始する度に手動スイッチによって制御部の電源を入れるのでは、操作が煩雑となる。
【0007】
そこで、本発明は、煩雑な操作を行わずとも、ワイヤレス給電による受電を開始できる電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電動工具は、ワイヤレス給電による電力を受電する受電コイルと、受電コイルで受電された電力で充電される充電対象と、受電コイルによる受電を制御する制御部と、オン状態の場合に充電対象と制御部とを電気的に接続し、オフ状態の場合に充電対象と制御部とを電気的に切断する第1スイッチと、ワイヤレス給電の開始を検出した場合に第1スイッチをオン状態にする検出部と、を備える。
【0009】
この態様によれば、検出部によってワイヤレス給電の開始が検出され、第1スイッチがオン状態に移行することで、制御部と充電対象とが自動的に接続される。よって、煩雑な操作を行わずとも、ワイヤレス給電による受電を開始することができる。
【0010】
上記態様において、第1スイッチのオン状態を維持する信号を出力する第2スイッチをさらに備え、制御部が充電対象に電気的に接続された場合に、制御部は、第2スイッチに信号を出力させてもよい。
【0011】
この態様によれば、検出部によって第1スイッチのオン状態が維持されなくなった場合であっても、第2スイッチによって第1スイッチのオン状態が維持されることとなり、充電対象の充電が完了した後も、制御部によって受電を制御できる状態が維持される。
【0012】
上記態様において、検出部は、受電コイルによる受電が開始された場合に光を発するフォトダイオード及びフォトダイオードの光を受光した場合に第1スイッチをオン状態にするフォトトランジスタを含むフォトカプラであってもよい。
【0013】
この態様によれば、フォトダイオードによって受電コイルによる受電を検出し、フォトトランジスタによって第1スイッチをオン状態に切り替えることで、受電コイルと第1スイッチを絶縁することができ、ノイズの影響を低減してワイヤレス給電の開始を検出できる。
【0014】
上記態様において、充電対象とアクチュエータとの電気的接続を切り替える第3スイッチをさらに備え、制御部は、ワイヤレス給電の開始を検出した場合に、第3スイッチをオフ状態に切り替えてもよい。
【0015】
この態様によれば、充電対象の充電中に誤ってアクチュエータを動作させることが防止され、安全性を高めることができる。
【0016】
上記態様において、制御部は、ワイヤレス給電の終了を検出した場合に、第3スイッチをオン状態に切り替えてもよい。
【0017】
この態様によれば、充電対象の充電が終了した場合に、煩雑な操作を行わずともアクチュエータを動作させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、煩雑な操作を行わずとも、ワイヤレス給電による受電を開始できる電動工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る受電装置を含むワイヤレス給電システムの概要を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る受電装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る受電装置により実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る受電装置10を含むワイヤレス給電システムの概要を示す図である。同図に示すワイヤレス給電システムは、本実施形態に係る電動工具100に非接触で給電するシステムであり、電動工具100に備えられた受電装置10と、送電装置30とを含む。電動工具100は、受電装置10の他に充電対象20及びアクチュエータ22を備え、受電装置10によって受電した電力Eを充電対象20に充電し、充電対象20に受電された電力でアクチュエータ22を駆動する。電動工具100は、例えばインパクトドライバであってよく、アクチュエータ22はモータ等であってよい。充電対象20は、例えば電気2重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ又は鉛蓄電池であってよい。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る受電装置10の機能ブロック図である。本実施形態に係る受電装置10は、電動工具100に備えられ、受電した電力Eを充電対象20に充電する。もっとも、受電装置10は、電動工具100以外の機器に備えられてもよいし、受電装置10によって受電された電力Eは、充電対象20以外の機器に供給されてもよい。
【0023】
受電装置10は、受電コイル11及び受電回路12を備える。受電コイル11は、ワイヤレス給電により、送電装置30の送電コイルから伝送される電力Eを受電する。受電回路12は、整流平滑回路13、フォトカプラ14、制御部15、第1スイッチ16、第2スイッチ17及び第3スイッチ18を含む。
【0024】
整流平滑回路13は、受電コイル11によって受電した高周波電力を入力として受け付け、高周波電力を整流し、平滑化して出力する。
【0025】
制御部15は、受電コイル11による受電を制御する。制御部15は、例えばマイクロコンピュータで構成されてよく、ワイヤレス給電による受電の開始や終了等を含む一連のプロセスの制御を行う。
【0026】
第1スイッチ16は、受電コイル11で受電された電力Eで充電される充電対象20と制御部15との電気的接続を切り替える。第1スイッチ16は、オン状態の場合に充電対象20と制御部15とを電気的に接続し、オフ状態の場合に充電対象20と制御部15とを電気的に切断する。第1スイッチ16は、ゲートが検出部(フォトカプラ14)に接続され、ソース及びドレインの一方が充電対象20に接続され、ソース及びドレインの他方が制御部15に接続されたトランジスタである。本例において、第1スイッチ16は、ゲートがフォトカプラ14に含まれるフォトトランジスタ14bに接続され、ソースが充電対象20に接続され、ドレインが制御部15に接続されたPチャネル型の電界効果トランジスタである。もっとも、第1スイッチ16は、Nチャネル型の電界効果トランジスタや、その他のトランジスタで構成されてもよいし、トランジスタ以外のスイッチング素子で構成されてもよい。
【0027】
フォトカプラ14は、検出部であり、ワイヤレス給電の開始を検出した場合に第1スイッチ16をオン状態にする。フォトカプラ14は、受電コイル11による受電が開始された場合に光を発するフォトダイオード14a及びフォトダイオード14aの光を受光した場合に第1スイッチ16をオン状態にするフォトトランジスタ14bを含む。フォトカプラ14は、ワイヤレス給電の開始を検出した場合に、第1スイッチ16のゲートにソース電圧よりも十分に低い電圧、例えばソース電圧よりも10V程度低い電圧を与え、第1スイッチ16をオン状態にする。
【0028】
フォトダイオード14aによって受電コイル11による受電を検出し、フォトトランジスタ14bによって第1スイッチ16をオン状態に切り替える構成を採ることで、受電コイル11と第1スイッチ16を絶縁することができ、ノイズの影響を低減してワイヤレス給電の開始を検出できる。
【0029】
第2スイッチ17は、第1スイッチ16のオン状態を維持する信号を出力する。第2スイッチ17は、ゲートが制御部15に接続され、ドレインが第1スイッチ16のゲートに接続され、ソースが接地電位に接続されたNチャネル型の電界効果トランジスタである。もっとも、第2スイッチ17は、Pチャネル型の電界効果トランジスタや、その他のトランジスタで構成されてもよいし、トランジスタ以外のスイッチング素子で構成されてもよい。
【0030】
第3スイッチ18は、充電対象20とアクチュエータ22との電気的接続を切り替える。第3スイッチ18は、ゲートが制御部15に接続され、ソースが充電対象20に接続され、ドレインがアクチュエータ22に接続されたPチャネル型の電界効果トランジスタである。もっとも、第3スイッチ18は、Nチャネル型の電界効果トランジスタや、その他のトランジスタで構成されてもよいし、トランジスタ以外のスイッチング素子で構成されてもよい。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係る受電装置10により実行される処理のフローチャートである。当該処理は、ワイヤレス給電の開始を検出して、制御部15の電源を自動的にオン状態とする処理である。
【0032】
はじめに、受電装置10は、送電装置30から受電を開始する(S11)。制御部15は、ワイヤレス給電の開始を検出した場合に、第3スイッチ18をオフ状態に切り替える(S12)。これにより、充電対象20の充電中に誤ってアクチュエータ22を動作させることが防止され、安全性を高めることができる。
【0033】
送電装置30の送電コイルから伝送される電力を、受電装置10の受電コイル11で受電し、フォトカプラ14のフォトダイオード14aに電流が流れると、フォトダイオード14aが発光し、フォトトランジスタ14bがオン状態となる。これにより、フォトカプラ14は、第1スイッチ16のゲートに対して、第1スイッチ16をオン状態とする信号(ロー電圧)を出力する。第1スイッチ16は、フォトカプラ14からの信号により、オン状態に移行する(S13)。
【0034】
第1スイッチ16がオン状態に移行することで、制御部15と充電対象20とが電気的に接続され、制御部15の電源がオン状態となる。制御部15が充電対象20に電気的に接続された場合に、制御部15は、第2スイッチ17に対して、第1スイッチ16のオン状態を維持する信号を出力させる。より具体的には、制御部15は、第2スイッチ17のゲートにハイ電圧を印加して、第2スイッチ17をオン状態とする(S14)。これにより、第2スイッチ17により第1スイッチ16のゲートに対してオン状態を維持する信号、すなわちロー電圧が出力され、このロー電圧が印加されている間、フォトカプラ14から信号が出力されなくなった場合であっても第1スイッチ16のオン状態が維持される(S15)。
【0035】
受電が終了して(S16)、制御部15によってワイヤレス給電の終了が検出された場合に、制御部15は、第3スイッチ18をオン状態に切り替える(S17)。これにより、充電対象20の充電が終了した場合に、煩雑な操作を行わずともアクチュエータ22を動作させることができるようになり、電動工具100の利便性が向上する。その後、制御部15は、受電が終了してから所定期間が経過したか否かを判定する(S18)。ここで、所定期間は、例えば5分間であってよい。所定期間が経過していない場合(S18:No)、制御部15は待機を続ける。一方、所定期間経過した場合(S18:Yes)、制御部15は、第2スイッチ17のゲートに印加していたハイ電圧の出力を停止し、第2スイッチ17をオフ状態に切り替える(S19)。第2スイッチ17がオフ状態に移行することで、第1スイッチ16のゲートにロー電圧が印加されなくなり、第1スイッチ16がオフ状態に移行する(S20)。これにより、制御部15と充電対象20との電気的接続が切断され、制御部15の電源が切られる。以上により、本実施形態に係る受電装置10により実行される処理が終了する。
【0036】
本実施形態に係る受電装置10によれば、検出部(フォトカプラ14)によってワイヤレス給電の開始が検出され、第1スイッチ16がオン状態に移行することで、制御部15と充電対象とが自動的に接続される。よって、煩雑な操作を行わずとも、ワイヤレス給電による受電を開始することができる。また、本実施形態に係る電動工具100によれば、受電装置10を備えることで、煩雑な操作を行わずとも、ワイヤレス給電による受電を開始することができる。
【0037】
また、検出部によって第1スイッチ16のオン状態が維持されなくなった場合であっても、第2スイッチ17によって第1スイッチ16のオン状態が維持されることとなり、充電対象20の充電が完了した後も、制御部15によって受電を制御できる状態が維持される。また、手動による制御部15の電源オフや、充電対象20の取り外し等によって制御部15の電源が一度オフになった場合であっても、制御部15の電源を再度オンすれば第2スイッチ17によって第1スイッチ16のオン状態が維持されることになるため、何ら特別な操作を行わずとも制御部15によって受電を制御できる状態に復帰することができる。
【0038】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
10…受電装置、11…受電コイル、12…受電回路、13…整流平滑回路、14…フォトカプラ、14a…フォトダイオード、14b…フォトトランジスタ、15…制御部、16…第1スイッチ、17…第2スイッチ、18…第3スイッチ、20…充電対象、22…アクチュエータ、30…送電装置、100…電動工具、E…電力