特許第6985847号(P6985847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985847
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】渋滞特定装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20211213BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G08G1/01 E
   G08G1/09 F
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-156762(P2017-156762)
(22)【出願日】2017年8月15日
(65)【公開番号】特開2019-36113(P2019-36113A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 延寧
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−134529(JP,A)
【文献】 特開2006−059058(JP,A)
【文献】 特開2015−018396(JP,A)
【文献】 特開2011−033402(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0011484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路の種別に応じて速度閾値および時間閾値を決定する閾値決定部と、
前記車両の車速が前記速度閾値以下となる時間が連続して前記時間閾値以上である場合、前記車両が前記速度閾値以下で前記時間閾値以上連続して走行した道路の区間を渋滞区間と特定する区間特定部と、
を有し、
前記区間特定部は、
前記渋滞区間が複数ある場合、複数の前記渋滞区間のうち、任意の2つの前記渋滞区間の間に相当する中間区間を特定し、
前記中間区間を前記車両が走行した平均車速をVc_aveとし、前記速度閾値をV_thredとし、前記時間閾値をT_thredとし、前記中間区間を前記車両が走行した時間をΔtcとしたとき、
前記平均車速Vc_aveが、
Vc_ave ≦ V_thred × (2 − T_thred / Δtc)
となる条件を満足するとき、前記中間区間を渋滞区間と特定する渋滞特定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞特定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、道路種別毎に渋滞区間を特定するための車両の速度(閾値)を規定することについて開示がある。そして、道路を走行する車両の速度が閾値以下となる継続時間が所定時間を超える場合、車両が走行した道路区間を渋滞区間と特定することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−059058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者は、車両の速度が閾値以下となる継続時間が渋滞とされる所定時間以下である道路区間においても、渋滞であると感じる場合がある。しかし、特許文献1の技術では、車両の速度が閾値以下となる継続時間が所定時間以下であれば、その道路区間を渋滞区間として特定しない。そのため、運転者が渋滞であると感じる道路区間であっても渋滞区間とみなされない場合があり、結果、渋滞区間を精度よく特定することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、渋滞区間を精度よく特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の渋滞特定装置は、車両が走行する道路の種別に応じて速度閾値および時間閾値を決定する閾値決定部と、前記車両の車速が前記速度閾値以下となる時間が連続して前記時間閾値以上である場合、前記車両が前記速度閾値以下で前記時間閾値以上連続して走行した道路の区間を渋滞区間と特定する区間特定部と、を有し、前記区間特定部は、前記渋滞区間が複数ある場合、複数の前記渋滞区間のうち、任意の2つの前記渋滞区間の間に相当する中間区間を特定し、前記中間区間を前記車両が走行した平均車速をVc_aveとし、前記速度閾値をV_thredとし、前記時間閾値をT_thredとし、前記中間区間を前記車両が走行した時間をΔtcとしたとき、前記平均車速Vc_aveが、
Vc_ave ≦ V_thred × (2 − T_thred / Δtc)となる条件を満足するとき、前記中間区間を渋滞区間と特定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、渋滞区間を精度よく特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のプローブ交通情報システムの概略構成図である。
図2】自動車に搭載される渋滞特定装置の機能ブロック図である。
図3】記憶部に記憶された渋滞速度閾値データおよび渋滞継続時間閾値データの一例を示す図である。
図4】本実施形態における第1の特定方法および第2の特定方法を説明する説明図である。
図5】各道路種別における渋滞意識調査結果を示すプロット図である。
図6】本実施形態における渋滞特定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態のプローブ交通情報システム1の概略構成図である。本実施形態のプローブ交通情報システム1は、複数の自動車(プローブ車両)20と、基地局40と、通信回線60と、サーバ80とにより構成される。
【0013】
複数の自動車20は、それぞれ渋滞特定装置100を備える。渋滞特定装置100は、無線通信回線を通じて基地局40と双方向で通信する。基地局40は、インターネットなどの通信回線60を通じてサーバ80と双方向で通信する。
【0014】
渋滞特定装置100は、道路を走行する自動車20(自車両)の位置情報、速度情報および渋滞情報などのプローブ交通情報を基地局40および通信回線60を介してサーバ80に送信する。渋滞特定装置100の構成については後述する。
【0015】
サーバ80は、通信回線60および基地局40を介して、自動車20に搭載される渋滞特定装置100からプローブ交通情報を受信する。サーバ80は、複数の自動車20から受信した複数のプローブ交通情報に含まれる渋滞情報に基づいて、渋滞情報マップを生成する。また、サーバ80は、通信回線60および基地局40を介して、生成した渋滞情報マップのうち、各自動車20で所望される一部を示す部分渋滞情報マップを各自動車20に搭載される渋滞特定装置100に送信する。
【0016】
図2は、自動車20に搭載される渋滞特定装置100の機能ブロック図である。渋滞特定装置100は、車速センサ102と、方位センサ104と、加速度センサ106と、GPS受信部108と、表示部110と、記憶部112と、制御部120と、通信部130とを備える。
【0017】
車速センサ102は、自動車20の速度(車速)を検出し、自動車20の速度を示す信号を制御部120に出力する。方位センサ104は、自動車20の進行方位を検出し、自動車20の進行方位を示す信号を制御部120に出力する。加速度センサ106は、自動車20の加速度を検出し、自動車20の加速度を示す信号を制御部120に出力する。
【0018】
GPS受信部108は、複数の衛星から送信される電波を予め定められた一定の周期で受信して演算することで、受信点すなわち自動車20の現在位置(緯度、経度)を測定し、自動車20の現在位置情報を生成する。また、GPS受信部108は、生成した現在位置情報を制御部120に出力する。
【0019】
表示部110は、例えば、液晶、有機ELなどのディスプレイを備える。表示部110は、ディスプレイ上に、地図、自動車20の現在位置、候補経路、部分渋滞情報マップなどを表示する。
【0020】
記憶部112には、道路地図データを含む地図データベースが記憶されている。また、地図データベースには、人口集中地区(DID:Densely Inhabited District)を示す人口集中地区データが記憶されている。ここで、人口集中地区とは、統計データに基づいて一定の基準により都市的地域を定めたものである。また、記憶部112には、道路の種別毎に予め設定された、渋滞速度閾値データおよび渋滞継続時間閾値データが記憶されている。渋滞速度閾値データおよび渋滞継続時間閾値データについては、後述する。
【0021】
制御部120は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、渋滞特定装置100を統括的に制御する。制御部120は、例えば、記憶部112から道路地図データを取得し、GPS受信部108で生成された現在位置情報とマッチングさせ、表示部110に地図および地図上における自動車20の現在位置を表示させる。
【0022】
また、制御部120は、自動車20が走行した道路区間における渋滞区間を特定する。渋滞区間を特定するため、制御部120は、閾値決定部122、区間特定部124および生成部126として機能する機能部を有する。また、制御部120は、後述する通信部130を制御し、渋滞区間の特定結果(渋滞情報)をサーバ80に送信させる。
【0023】
閾値決定部122は、GPS受信部108および記憶部112から取得した情報およびデータに基づいて、自動車20が現在走行している道路の道路種別(以下で詳述する人口集中地区内高速道路、人口集中地区外高速道路、一般道路等)を決定する。また、閾値決定部122は、決定した道路種別に応じた渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値を決定する。閾値決定部122による道路種別、渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値の決定方法については後述する。
【0024】
区間特定部124は、閾値決定部122が決定した渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値に基づいて、自動車20が走行した道路区間における渋滞区間を特定する。換言すれば、閾値決定部122が決定した渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値に基づいて、自動車20が走行した道路区間が渋滞区間であるか否かを判定する。区間特定部124による渋滞区間の特定方法については後述する。
【0025】
生成部126は、区間特定部124が特定した渋滞区間に基づいて、渋滞区間に関する情報(渋滞情報)生成する。また、生成部126は、所定時間(例えば、0.1秒)ごとの自動車20の速度情報、位置情報(現在位置情報)、走行時間情報、および加減速度に関する情報を生成する。さらに、生成部126は、自動車20の速度情報、位置情報、走行時間情報、加減速度に関する情報、渋滞情報をまとめたプローブ交通情報を生成する。制御部120は、生成部126が生成したプローブ交通情報を通信部130に出力する。
【0026】
通信部130は、生成されたプローブ交通情報を基地局40に送信する。また、通信部130は、サーバ80により生成される部分渋滞情報マップを、基地局40を介して受信する。通信部130は、基地局40から部分渋滞情報マップを受信した場合、受信した部分渋滞情報マップを制御部120に出力する。
【0027】
以下に、閾値決定部122による道路種別、渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値の決定方法について説明する。まず、閾値決定部122は、GPS受信部108から現在位置情報を取得し、記憶部112から道路地図データおよび人口集中地区データを取得する。
【0028】
閾値決定部122は、現在位置情報および道路地図データに基づいて、自動車20が現在走行している道路の道路種別が、高速道路および一般道路のうちいずれに該当するかを決定する。
【0029】
道路種別が高速道路に該当すると決定した場合、閾値決定部122は、人口集中地区データに基づいて、その高速道路の道路種別が、つぎに示す高速道路種別のうちいずれに該当するかを決定する。本実施形態において、高速道路種別は、人口集中地区内高速道路、および、人口集中地区外高速道路の2種類である。ここで、人口集中地区内高速道路とは、高速道路のうち、人口集中地区内に配される高速道路をいう。人口集中地区外高速道路とは、高速道路のうち、人口集中地区外に配される高速道路をいう。
【0030】
このようにして、閾値決定部122は、自動車20が現在走行している道路の道路種別が、人口集中地区内高速道路、人口集中地区外高速道路、および、一般道路のうちいずれに該当するかを決定する。
【0031】
道路種別を決定した後、閾値決定部122は、記憶部112から渋滞速度閾値データおよび渋滞継続時間閾値データを取得する。閾値決定部122は、決定した道路種別、および、取得したデータに基づいて、渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値を決定する。
【0032】
図3は、記憶部112に記憶された渋滞速度閾値データおよび渋滞継続時間閾値データの一例を示す図である。渋滞速度閾値データは、道路種別毎に設定された渋滞速度閾値を表すデータである。渋滞継続時間閾値データは、道路種別毎に設定された渋滞継続時間閾値を表すデータである。
【0033】
図3に示すように、道路種別が人口集中地区内高速道路である場合、渋滞速度閾値は、20km/hであり、渋滞継続時間閾値は、10分である。また、道路種別が人口集中地区外高速道路である場合、渋滞速度閾値は、40km/hであり、渋滞継続時間閾値は、5分である。また、道路種別が一般道路である場合、渋滞速度閾値は、10km/hであり、渋滞継続時間閾値は、5分である。このように、渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値は、道路種別毎に渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値のうち少なくとも一方が異なる値である。
【0034】
つぎに、区間特定部124による渋滞区間の特定方法について説明する。区間特定部124は、以下で説明する第1の特定方法および第2の特定方法を用いて渋滞区間を特定する。なお、以下では、自動車20が走行する道路の種別(道路種別)が人口集中地区内高速道路である場合について説明する。
【0035】
図4は、本実施形態における第1の特定方法および第2の特定方法を説明する説明図である。ここで、図4(a)は、自動車20の時刻と車速との関係を示すグラフである。また、図4(b)は、第1の特定方法により特定された渋滞区間と第2の特定方法により特定された中間区間を示す図である。また、図4(c)は、最終的に特定された全渋滞区間(統合渋滞区間)を示す図である。
【0036】
まず、区間特定部124は、閾値決定部122が決定した渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値を取得する。ここでは、区間特定部124は、渋滞速度閾値として20(km/h)、および、渋滞継続時間閾値として10(分)を取得する。
【0037】
つぎに、区間特定部124は、以下に示す第1の特定方法を用いて、自動車20が走行した走行区間(道路区間)における渋滞区間を特定する。第1の特定方法は、渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値に基づいて、自動車20の走行区間における渋滞区間を特定する方法である。
【0038】
区間特定部124は、自動車20の走行区間において、自動車20の速度(車速)が渋滞速度閾値以下となる時間が連続して渋滞継続時間閾値以上となる第1の区間があるか否かを判定する。
【0039】
例えば、図4(a)に示す例を用いて説明すると、時刻t1は、自動車20の車速が渋滞速度閾値以下となる時刻である。また、時刻t2は、自動車20の車速が渋滞速度閾値を超えた時刻である。また、時刻t1とt2の間の時間は、渋滞継続時間閾値以上となる時間である。したがって、区間特定部124は、自動車20が時刻t1から時刻t2まで走行した走行区間を第1の区間と特定する。
【0040】
また、時刻t3は、自動車20の車速が渋滞速度閾値以下となる時刻である。また、時刻t4は、自動車20の車速が渋滞速度閾値を超えた時刻である。しかし、時刻t3と時刻t4の間の時間は、渋滞継続時間閾値未満となる時間である。したがって、区間特定部124は、自動車20が時刻t3から時刻t4まで走行した走行区間を第1の区間と特定しない。
【0041】
また、時刻t5は、自動車20の車速が渋滞速度閾値以下となる時刻である。そして、時刻t6は、時刻t5から、自動車20の車速が渋滞速度閾値以下となる時間が連続して渋滞継続時間閾値に達した時刻である。つまり、時刻t5と時刻t6の間の時間は、渋滞継続時間閾値に相当する時間である。したがって、区間特定部124は、時刻t6となった時点で、自動車20が時刻t5から時刻t6まで走行した走行区間を第1の区間と特定する。
【0042】
そして、区間特定部124は、自動車20の走行区間に第1の区間がある場合、その第1の区間を渋滞区間と特定する。具体的に、区間特定部124は、自動車20の速度が20km/h以下となる継続時間が10分以上となる自動車20の走行区間(第1の区間)を、渋滞区間と特定する。
【0043】
しかしながら、このように渋滞区間を特定した場合でも、運転者は、特定された渋滞区間以外の道路区間において、渋滞であると感じる場合がある。例えば、上記第1の特定方法を用いて特定された渋滞区間が所定の道路区間を挟んで連続するような場合、運転者は、その所定の道路区間において車両の車速が渋滞速度閾値以下となる継続時間が渋滞継続時間閾値未満であっても、渋滞であると感じる場合がある。
【0044】
そこで、各道路種別において運転者が知覚する渋滞の意識調査を実施した。図5は、各道路種別における渋滞意識調査結果を示すプロット図である。図5(a)は、人口集中地区内高速道路における、渋滞継続時間(車両の走行時間)と車両の平均車速に基づく運転者の渋滞意識調査結果を示している。図5(b)は、人口集中地区外高速道路における、渋滞継続時間と車両の平均車速に基づく運転者の渋滞意識調査結果を示している。図5(c)は、一般道路における、渋滞継続時間と車両の平均車速に基づく運転者の渋滞意識調査結果を示している。
【0045】
図5中、Aは、渋滞意識調査結果から判定された、運転者が渋滞であると感じやすい渋滞領域である。図5中、Bは、渋滞意識調査結果から判定された、運転者が渋滞であると感じにくい非渋滞領域である。図5中、Cは、渋滞領域Aと非渋滞領域Bとの境界を示す境界線である。
【0046】
図5に示す渋滞意識調査結果から、この結果が刺激と知覚の関係において心理学の分野において著名なブロッホの法則に当てはまるものとし、ブロッホの法則に基づく渋滞の定義付けを行った。
【0047】
ブロッホの法則とは、下記式(1)で示されるように、刺激強度とその持続時間の積がある閾値に対して一定になることであり、人間の知覚においてよく成立する法則である。下記式(1)において、Iは刺激強度であり、Tは持続時間であり、Kは閾値(又は刺激閾)である。
【0048】
I × T = K(一定) ・・・ 式(1)
図5に示す渋滞意識調査結果に基づいて、運転者の知覚に基づく渋滞領域Aと非渋滞領域Bとの境界の近似曲線(境界線C)を導出した。導出した近似曲線を上記式(1)に基づいて表すと下記式(2)のようになる。
【0049】
(2 × V_thred − Vc_ave) × Δtc ≧ V_thred × T_thred ・・・ 式(2)
上記式(2)における(2 × V_thred − Vc_ave)は、上記式(1)におけるI(刺激強度)に相当する。ここで、V_thredは、図3に示す渋滞速度閾値であり、Vc_aveは、車両の平均車速である。つまり、平均車速が小さいほど刺激強度の値が大きくなり、運転者は、渋滞であると感じやすくなる。Δtcは、上記式(1)におけるT(持続時間)に相当する。ここで、Δtcは、車両の走行時間である。つまり、走行時間が長いほど持続時間の値が大きくなり、運転者は、渋滞であると感じやすくなる。V_thred × T_thredは、上記式(1)におけるK(閾値)に相当する。ここで、T_thredは、図3に示す渋滞継続時間閾値である。
【0050】
この式(2)を変換すると、下記式(3)のようになる。本実施形態では、図5に示す渋滞意識調査結果に基づいて導出された下記式(3)を用いて、第1の特定方法により特定された渋滞区間以外の渋滞区間があるか否かを判定する。以下、下記式(3)を用いて人間の知覚に基づく渋滞区間を特定する方法(第2の特定方法)について説明する。
Vc_ave ≦ V_thred × (2 − T_thred / Δtc) ・・・ 式(3)
【0051】
区間特定部124は、第1の特定方法を用いて渋滞区間を特定した後、第2の特定方法を用いて、第1の特定方法により特定された渋滞区間以外の渋滞区間を特定する。本実施形態では、第2の特定方法は、第1の特定方法により特定された渋滞区間(第1の区間)が複数ある場合に実行される。第2の特定方法では、区間特定部124は、予め定められた所定の条件に基づいて、互いに隣り合う2つの渋滞区間の間に相当する中間区間を渋滞区間と特定する。
【0052】
まず、区間特定部124は、第1の特定方法により渋滞区間(第1の渋滞区間)が特定された時点で、それ以前に第1の特定方法により特定された渋滞区間(第2の渋滞区間)が存在するか否か判定する。すなわち、第1の渋滞区間が特定された(具体的に、車速が20km/h以下となる継続時間が10分に達した)時点で、それ以前に第2の渋滞区間(第1の区間)が特定されているか否か判定する。
【0053】
区間特定部124は、第1の渋滞区間が特定された時点よりも前に第2の渋滞区間が特定されている場合、これら2つの渋滞区間(第1の渋滞区間と第2の渋滞区間)の間に相当する全区間を中間区間と特定する。
【0054】
例えば、図4(a)に示す例を用いて説明すると、時刻t6は、第1の特定方法により渋滞区間(第1の渋滞区間)が特定された時点である。また、時刻t1から時刻t2まで自動車20が走行した区間は、時刻t6より以前に第1の特定方法により特定された渋滞区間(第2の渋滞区間)である。したがって、区間特定部124は、図4(b)に示すように、第1の渋滞区間と第2の渋滞区間の間に相当する全区間(すなわち、時刻t2から時刻t5まで自動車20が走行した区間)を中間区間と特定する。
【0055】
つぎに、区間特定部124は、中間区間を自動車20が走行した時間が渋滞継続時間閾値以下であるか否か判定する。ここで、渋滞継続時間閾値は、閾値決定部122が決定した渋滞継続時間閾値と同じ値である。つまり、ここでは、中間区間を自動車20が走行した時間が10分以下であるか否か判定する。例えば、図4(a)に示す例を用いて説明すると、区間特定部124は、時刻t2から時刻t5までの時間が渋滞継続時間閾値(10分)以下であるか否か判定する。区間特定部124は、中間区間を自動車20が走行した時間が渋滞継続時間閾値を超える(渋滞継続時間閾値以下ではない)場合、その中間区間を、渋滞区間と特定しない。
【0056】
一方、区間特定部124は、中間区間を自動車20が走行した時間が渋滞継続時間閾値以下である場合、その中間区間が上記式(3)を満足する第2の区間であるか否かを判定する。
【0057】
ここで、上記式(3)におけるVc_aveは、中間区間を自動車20が走行した平均車速である。また、上記式(3)におけるV_thredは、閾値決定部122により決定された渋滞速度閾値である。また、上記式(3)におけるT_thredは、閾値決定部122により決定された渋滞継続時間閾値である。また、上記式(3)におけるΔtcは、中間区間を自動車20が走行した時間である。
【0058】
区間特定部124は、中間区間が上記式(3)を満足する第2の区間である場合、その第2の区間を渋滞区間と特定する。すなわち、区間特定部124は、中間区間を自動車20が走行した平均車速が上記式(3)を満たす場合、その中間区間(第2の区間)を渋滞区間と特定する。換言すれば、中間区間を自動車20が走行した平均車速が、中間区間を自動車20が走行した時間に応じて変化する中間速度閾値以下である場合、その中間区間を渋滞区間と特定する。
【0059】
第2の特定方法を用いて渋滞区間を特定した後、区間特定部124は、第1の区間(第2の渋滞区間)と、第2の区間(中間区間)と、第1の区間(第1の渋滞区間)を統合する(繋ぎ合わせる)。そして、区間特定部124は、図4(c)に示すように、これらの区間を統合した全区間を、自動車20が走行した道路における渋滞区間(統合渋滞区間)と特定する。区間特定部124は、最終的に特定した全渋滞区間(統合渋滞区間)の情報を生成部126に出力する。以下に、渋滞特定処理の流れを纏める。
【0060】
図6は、本実施形態における渋滞特定処理の流れを示すフローチャートである。まず、閾値決定部122は、GPS受信部108および記憶部112から取得した情報およびデータに基づいて、自動車20が現在走行している道路の道路種別を決定する(ステップS401)。そして、閾値決定部122は、決定した道路種別に応じた渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値を決定する(ステップS402)。
【0061】
つぎに、区間特定部124は、決定した渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値に基づいて、自動車20の走行区間に渋滞区間があるか(渋滞区間を特定したか)否か判定する(ステップS403)。渋滞区間があると判定した場合(ステップS403においてYES)、ステップS404に進む。渋滞区間がないと判定した場合(ステップS403においてNO)、ステップS405に進み、自動車20の走行区間に渋滞区間はないとして(ステップS405)、渋滞特定処理を終了する。
【0062】
区間特定部124は、渋滞区間を特定した場合、その渋滞区間(第1の渋滞区間)を特定した時点よりも以前に他の渋滞区間(第2の渋滞区間)が特定されているか否か判定する(ステップS404)。他の渋滞区間(第2の渋滞区間)が特定されている場合(ステップS404においてYES)、ステップS406に進む。他の渋滞区間(第2の渋滞区間)が特定されていない場合(ステップS404においてNO)、ステップS407に進み、1の渋滞区間を特定したとして記憶部112に記憶し(ステップS407)、渋滞特定処理を終了する。
【0063】
区間特定部124は、他の渋滞区間(第2の渋滞区間)が特定されている場合、第1の渋滞区間と第2の渋滞区間との間に相当する全区間を中間区間と特定する(ステップS406)。
【0064】
区間特定部124は、中間区間を自動車20が走行した時間が渋滞継続時間閾値以下であるか否か判定する(ステップS408)。中間区間を自動車20が走行した時間が渋滞継続時間閾値以下であると判定した場合(ステップS408においてYES)、ステップS409に進む。中間区間を自動車20が走行した時間が渋滞継続時間閾値以下でないと判定した場合(ステップS408においてNO)、ステップS407に進み、第1の渋滞区間および第2の渋滞区間を特定したとして記憶部112に記憶し(ステップS407)、渋滞特定処理を終了する。
【0065】
区間特定部124は、中間区間が上記式(3)を満たすか否か判定する(ステップS409)。中間区間が上記式(3)を満たすと判定した場合(ステップS409においてYES)、ステップS410に進む。中間区間が上記式(3)を満たさないと判定した場合(ステップS409においてNO)、ステップS407に進み、第1の渋滞区間および第2の渋滞区間を特定したとして記憶部112に記憶し(ステップS407)、渋滞特定処理を終了する。
【0066】
区間特定部124は、中間区間が上記式(3)を満たす場合、中間区間を渋滞区間と特定する。また、区間特定部124は、第1の渋滞区間、中間区間、第2の渋滞区間を合わせた全区間を渋滞区間と特定し、特定した渋滞区間を統合渋滞区間として記憶部112に記憶し(ステップS410)、渋滞特定処理を終了する。
【0067】
以上のように、区間特定部124は、第1の特定方法および第2の特定方法を用いて、渋滞区間を特定する。そのため、本実施形態によれば、第1の特定方法のみを用いて渋滞区間を特定する場合と比較して、渋滞区間を精度よく特定することができる。
【0068】
区間特定部124により渋滞区間を特定した後、生成部126は、特定された渋滞区間に関する情報(渋滞情報)を含むプローブ交通情報を生成する。そして、通信部130は、生成部126が生成したプローブ交通情報を基地局40に送信する。上述したように、基地局40に送信されたプローブ交通情報は、サーバ80に送信される。
【0069】
サーバ80は、基地局40から送信されたプローブ交通情報を受信する。基地局40は、無線通信回線を通じて複数の自動車20と通信を行っている。したがって、サーバ80は、複数の自動車20により生成された複数のプローブ交通情報を受信することができる。
【0070】
サーバ80は、複数の自動車20から受信した複数のプローブ交通情報に含まれる渋滞情報に基づいて、渋滞情報マップを生成する。また、サーバ80は、通信回線60および基地局40を介して、生成した渋滞情報マップのうち、自動車20が所望する、例えば、候補経路に対応する部分渋滞情報マップを自動車20に搭載される渋滞特定装置100に送信する。
【0071】
例えば、所定の自動車(自車両)20が目的地に向かって走行している場合、サーバ80は、所定の自動車20の現在位置と目的地との間の区間における部分渋滞情報マップを所定の自動車20に搭載される渋滞特定装置100に送信する。所定の自動車20に搭載される渋滞特定装置100は、部分渋滞情報マップを受信すると、表示部110に受信した部分渋滞情報マップを表示させることができる。そして、所定の自動車20の運転者は、表示部110に表示された部分渋滞情報マップを参照することで、運転経路を変更・再設定することができる。
【0072】
このように、サーバ80は、複数の自動車20から受信した複数のプローブ交通情報(渋滞情報)に基づいて渋滞情報マップを作成することができる。渋滞情報マップは、プローブ交通情報を受信する度に随時更新される。サーバ80は、随時更新される最新の渋滞情報マップの一部の部分渋滞情報マップを複数の自動車20の位置および進行方位等に応じて送信することができる。これにより、各自動車20の運転者は、現在の自車両の位置と目的地までの間の区間における、詳細な渋滞情報を取得することができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0074】
上記実施形態において、渋滞速度閾値および渋滞継続時間閾値の具体的な数値を図3に示したが、図3に示す各渋滞速度閾値および各渋滞継続時間閾値は一例であり、これに限定されない。
【0075】
また、上記実施形態において、中間区間は、第1の渋滞区間が特定された時点よりも前に第2の渋滞区間があると判定した場合、その2つの渋滞区間の間に相当する全区間を中間区間と特定した。しかし、これに限定されず、例えば、複数の渋滞区間のうち、任意の2つの渋滞区間の間に相当する全区間を中間区間と特定してもよい。
【0076】
また、上記実施形態において、中間区間は、2つの渋滞区間の間に相当する全区間とした。しかし、これに限定されず、中間区間は、2つの渋滞区間の間に相当する一部の区間であってもよい。つまり、中間区間は、2つの渋滞区間の間の少なくとも一部の区間であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態において、中間区間を自動車20が走行した時間が渋滞継続時間閾値以下であるか否か判定する際に、道路種別に応じて決定された渋滞継続時間閾値を用いる例を挙げて説明した。しかし、これに限定されず、道路種別に応じて決定された渋滞継続時間閾値とは異なる所定の閾値を用いて、中間区間を自動車20が走行した時間が所定の閾値以下であるか否か特定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、渋滞特定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0079】
100 渋滞特定装置
122 閾値決定部
124 区間特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6