(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転円板の周縁側から立設された複数の翼片が回転軸に対して放射状に配置された羽根車と、該羽根車を収容するケーシングと、該ケーシングにおける前記回転円板側の一端面を形成する基底板に該ケーシングの外側から取り付けられると共に、前記回転円板の中央にシャフトが固定されて前記羽根車を回転させるモーターと、前記ケーシングにおける前記基底板とは反対側の他端面を形成する蓋板に設けられて、前記複数の翼片の内縁よりも内側の位置に開口した吸入口と、前記羽根車の外周を囲う前記ケーシングの周壁から延設された送風路とを有し、前記モーターの駆動で前記羽根車を回転させることにより、前記吸入口から吸い込んだ気体を、前記送風路に接続された装置に送り込む遠心式ファンにおいて、
前記回転円板には、前記羽根車の回転に伴って該回転円板と前記基底板との間から前記気体を該羽根車の内部の隣り合う前記翼片と前記翼片との間へと還流させる複数の還流孔が、径方向における前記複数の翼片の内縁から外縁までの途中の箇所に設けられており、
前記複数の還流孔は、前記回転円板の径方向における前記複数の翼片の内縁と外縁との中間点よりも内縁側のみに限定して設けられている
ことを特徴とする遠心式ファン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遠心式ファンが接続された燃焼装置では、混合ガスを燃焼させる燃焼室や、燃焼排気が通る排気ダクトに経年による腐食あるいは埃等の堆積が生じたり、燃焼排気を排出する排気口に強い風が吹き付けたりして閉塞が起こることがあり、こうした閉塞によって、遠心式ファンから燃焼装置に気体(空気や混合ガス)を送り込めなくなることが問題となるため、閉塞に強い(すなわち、締切圧が高い)遠心式ファンが求められる。また、混合ガスを送る遠心式ファンでは、閉塞が進むと、ケーシングと回転円板との間の圧力が高まることにより、モーターのシャフトに沿って混合ガスが漏れるおそれがある。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、遠心式ファンの締切圧を向上させると共に、ケーシングと回転円板との間の負圧の維持を図ることが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の遠心式ファンは次の構成を採用した。すなわち、
回転円板の周縁側から立設された複数の翼片が回転軸に対して放射状に配置された羽根車と、該羽根車を収容するケーシングと、該ケーシングにおける前記回転円板側の一端面を形成する基底板に該ケーシングの外側から取り付けられると共に、前記回転円板の中央にシャフトが固定されて前記羽根車を回転させるモーターと、前記ケーシングにおける前記基底板とは反対側の他端面を形成する蓋板に設けられて、前記複数の翼片
の内縁よりも内側の位置に開口した吸入口と、前記羽根車の外周を囲う前記ケーシングの周壁から延設された送風路とを有し、前記モーターの駆動で前記羽根車を回転させることにより、前記吸入口から吸い込んだ気体を、前記送風路に接続された装置に送り込む遠心式ファンにおいて、
前記回転円板には、前記羽根車の回転に伴って該回転円板と前記基底板との間から
前記気体を該羽根車の内部
の隣り合う前記翼片と前記翼片との間へと還流させる複数の還流孔が、径方向における前記複数の翼片の内縁から外縁までの途中の箇所に設けられており、
前記複数の還流孔は、前記回転円板の径方向における前記複数の翼片の内縁と外縁との中間点よりも内縁側のみに限定して設けられている
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の遠心式ファンでは、回転円板の径方向における翼片の内縁から外縁までの途中の箇所に設けられた還流孔を通じて回転円板と基底板との間から気体を羽根車の内部へと還流させるようになっており、還流孔を通った気体の還流が、吸入口を通って流入する気体の流れと衝突することを避けることで、還流させる効果が高まる。このため、送風路に接続された装置の閉塞に伴い遠心式ファンから送り出す風量が低下した状態においても、回転円板と基底板との間の気体を停滞させることなく、積極的に還流させて羽根車の外側に再度吹き出すことにより、還流孔を有しない場合に比べて、遠心式ファンの締切圧を向上させることができる。しかも、装置の閉塞に伴い回転円板と基底板との間に気体が流れ込んでも、還流孔を通じた気体の還流によって、回転円板と基底板との間の圧力上昇を抑制することができるので、閉塞時における回転円板と基底板との間の負圧を維持する性能を向上させることが可能となる。
【0010】
そして、回転する羽根車内の圧力は、翼片の中間点よりも内縁側の方が、気体が吹き出す外縁側に比べて低くなる(負圧の度合が強くなる)傾向にあることから、翼片の中間点よりも内縁側
のみに限定して還流孔を設けておくことによって、外縁側の箇所に設ける場合よりも、気体の還流を強めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施例の遠心式ファン20が接続された燃焼装置の例として給湯器1の構成を示した説明図である。図示されるように給湯器1のハウジング2の内部には、燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを燃焼させるバーナーを内蔵した燃焼ユニット3や、燃焼ユニット3の下方に設置された熱交換器4や、燃焼ユニット3に混合ガスを送る遠心式ファン20などが設けられている。
【0013】
遠心式ファン20の吸入側には、供給ダクト10が接続されており、この供給ダクト10の上流側に、燃焼用空気を供給する空気供給路12と、燃料ガスを供給するガス供給路13とが合流する合流部11が設けられている。合流部11には流量調節弁が内蔵されており、遠心式ファン20に流入する燃焼用空気および燃料ガスの流量を調節することが可能になっている。また、ガス供給路13には、ガス供給路13を開閉する開閉弁(図示省略)や、上流側から圧送される燃料ガスの圧力を大気圧に下げるゼロガバナ14などが設けられている。遠心式ファン20を駆動すると、供給ダクト10から燃焼用空気と燃料ガスとが遠心式ファン20に吸い込まれ、混合ガスが燃焼ユニット3に送り込まれる。尚、本実施例の遠心式ファン20の構造については、後ほど別図を用いて説明する。
【0014】
遠心式ファン20の吐出側に接続された燃焼ユニット3では、内蔵のバーナー(図示省略)で混合ガスの燃焼が行われる。図示した例では、バーナーから下方に向けて混合ガスが噴出するようになっており、下向きに炎が形成されると共に、燃焼排気が下方の熱交換器4に送られる。熱交換器4の一端には給水通路5が接続されており、熱交換器4の他端には給湯通路6が接続されている。給水通路5を通じて供給された上水は、熱交換器4でバーナーの燃焼排気との熱交換によって加熱された後、湯となって給湯通路6に流出する。
【0015】
熱交換器4を通過した燃焼排気は、排気ダクト7を通って、ハウジング2の上部に突出した排気口8から外部に排出される。また、図示した例では、排気口8の外周に給気口9が設けられた二重管構造になっており、給気口9からハウジング2内に取り入れられた燃焼用空気が、空気供給路12を介して遠心式ファン20に吸い込まれる。
【0016】
図2は、本実施例の遠心式ファン20を分解した状態を示した斜視図である。尚、
図2では、遠心式ファン20の上下の配置が
図1に対して反転している。図示されるように遠心式ファン20は、回転することで風を起こす羽根車30や、羽根車30を回転させるモーター40や、羽根車30を収容するケーシング50などを備えている。
【0017】
羽根車30は、モーター40のシャフト41に対して複数(本実施例では21枚)の翼片31が放射状に所定の間隔で配置されて円筒形状になっている。これらの翼片31は、シャフト41の軸方向の一端(図中の下端)が略円形の回転円板32に取り付けられており、他端(図中の上端)が環状の支持板33に取り付けられている。回転円板32は、中央でモーター40のシャフト41に固定されており、モーター40の駆動によってシャフト41を中心に羽根車30が回転する。
【0018】
ケーシング50は、モーター40が外側(図中の下面)に固定される凹形の本体51と、この本体51に対向する凹形の蓋体52とを外縁部分で接合して形成され、図示しないネジなどで固定される。また、ケーシング50は、シャフト41に対する半径が羽根車30の回転方向(図中の反時計回り)に大きくなる形状に周壁が形成されている。そして、周壁の半径が大きい側から接線方向に延設して送風路54が形成されており、送風路54の末端の吐出口55に燃焼ユニット3が接続される。さらに、蓋体52には、羽根車30の径方向の内側の位置に開口した吸入口53が設けられている。この吸入口53に供給ダクト10が接続され、図示しないネジなどで供給ダクト10が蓋体52に固定される。
【0019】
図3は、本実施例の遠心式ファン20を、モーター40のシャフト41を含む平面で切断した断面図である。前述したようにケーシング50は、本体51と蓋体52とを接合して形成されており、本体51と蓋体52との間にOリング56を介在させることで気密性が保たれている。また、蓋体52で羽根車30の支持板33に面する蓋板52aには、供給ダクト10を接合するための接合部52bが設けられており、供給ダクト10と接合部52bとの間は、Oリング57を介在させることで気密性が保たれている。この接合部52bに開口した吸入口53は、複数の翼片31よりも内側に位置している。
【0020】
また、ケーシング50の本体51で羽根車30の回転円板32に面する基底板51aには、モーター40側(図中の下側)に向けて突出した複数(例えば3つ)の凸部51bが設けられており、図示しないネジなどでモーター40が凸部51bに固定されている。シャフト41は基底板51aを貫通しており、モーター40と基底板51aとの間は、パッキン42を介在させることで気密性が保たれている。
【0021】
周知のように遠心式ファン20では、モーター40の駆動によって羽根車30が回転すると、複数の翼片31の間には遠心力によって羽根車30の径方向の内側から外側に混合ガスが吹き出す流れが生じる。すると、羽根車30の内側は負圧になるので、供給ダクト10から混合ガスが吸入口53を通って羽根車30の内側に吸い込まれる。図中の白抜きの矢印は、羽根車30内の混合ガスの流れを模式的に表している。そして、羽根車30の外側に吹き出した混合ガスは、ケーシング50の周壁50aに沿って進み、送風路54(
図2参照)を通って吐出口55から燃焼ユニット3に送り込まれる。
【0022】
図4は、回転している羽根車30内の圧力分布をCAE解析した結果を例示した説明図である。まず、
図4(a)には、シャフト41を含む平面で切断した遠心式ファン20の断面が示されており、シャフト41からケーシング50の周壁50aまでの間を拡大している。そして、
図4(b)には、回転円板32の翼片31側の面に沿った
図4(a)中の一点鎖線上における圧力分布が半径方向の位置に対して示されている。
【0023】
前述したように羽根車30の回転による遠心力で翼片31と翼片31との間の混合ガスが羽根車30の外側に吹き出し、吹き出した混合ガスがケーシング50の周壁50aに衝突することにより、羽根車30と周壁50aとの間では圧力が高まり正圧になっている。一方、羽根車30の外側に混合ガスが吹き出すのに伴い、羽根車30の径方向の翼片31の内縁から外縁までの間では圧力が下がって負圧になっており、特に、翼片31の内縁と外縁との中間点よりも内縁側では、混合ガスが吹き出す外縁側に比べて圧力が低く(負圧の度合が強く)なっている。また、羽根車30の内側(翼片31の内縁よりも中央側)では、供給ダクト10から吸入口53を通って流入する混合ガスが回転円板32に衝突することによって、翼片31と翼片31との間に比べて圧力が高く(負圧の度合が弱く)なっている。
【0024】
このような遠心式ファン20が接続された給湯器1(
図1参照)では、燃焼ユニット3や排気ダクト7に経年による腐食あるいは埃等の堆積が生じたり、排気口8に強い風が吹き付けたりして閉塞が起こることがある。こうした閉塞によって燃焼ユニット3内の圧力が高まると、遠心式ファン20から燃焼ユニット3への混合ガスの圧送が困難となるため、閉塞に強い(すなわち、締切圧の高い)遠心式ファン20が求められる。また、給湯器1の閉塞が進むと、遠心式ファン20内の羽根車30と周壁50aとの間の圧力が上昇することによって、回転円板32と基底板51aとの間にも混合ガスが流れ込み、回転円板32と基底板51aとの間が正圧になることがある。前述したようにモーター40と基底板51aとの間はパッキン42で気密性が保たれているものの、回転するモーター40のシャフト41の周りは気密性を確保することが困難であるため、回転円板32と基底板51aとの間が正圧になると、混合ガスがシャフト41に沿って漏れるおそれがある。そこで、本実施例の遠心式ファン20では、締切圧を向上させると共に、回転円板32と基底板51aとの間の負圧の維持を図るために、羽根車30に以下のような回転円板32を採用している。
【0025】
図5は、本実施例の回転円板32を示した平面図である。図では、翼片31が立設される位置を破線で表している。図示されるように回転円板32の中央には、モーター40のシャフト41が挿通される挿通孔32aが設けられている。また、複数の翼片31の内縁よりも中央側の箇所に複数の第1貫通孔32bが設けられている。図示した例では、直径140mmの回転円板32に対して、同心の直径40mmの円周上に翼片31の内縁が位置しており、その内側の直径35mmの円周上に直径4.5mmの第1貫通孔32bが等間隔に6個設けられている。
【0026】
さらに、回転円板32には、複数の翼片31の内縁から外縁までの途中の箇所に複数の第2貫通孔32cが設けられている。図示した例では、回転円板32と同心の直径70mmの円周上に直径4mmの第2貫通孔32cが設けられており、翼片31の内縁と外縁との中間点(直径90mmの円周上)よりも内縁側に第2貫通孔32cが位置している。また、第2貫通孔32cは、隣り合う翼片31と翼片31との間に1個ずつ設けられており、翼片31が21枚であることと対応して、合計21個の第2貫通孔32cが設けられている。尚、本実施例の第2貫通孔32cは、本発明の「還流孔」に相当している。
【0027】
このような回転円板32を採用した羽根車30を回転させることによって、前述したように翼片31と翼片31との間が負圧になるのに伴い、
図6に白抜きの矢印で模式的に示されるように、回転円板32と基底板51aとの間から混合ガスが第2貫通孔32cを通って羽根車30の内部(翼片31と翼片31との間)へと戻る流れ(還流)を起こすことができる。
【0028】
また、羽根車30の内側(翼片31の内縁よりも中央側)が負圧になるのに伴い、第1貫通孔32bにおいても、回転円板32と基底板51aとの間から羽根車30の内部への混合ガスの還流が起こる。ただし、
図4(b)を用いて前述したように、羽根車30の内側は翼片31と翼片31との間に比べて圧力が高く(負圧の度合が弱く)、しかも第1貫通孔32bを通った混合ガスの還流は、吸入口53を通って流入する混合ガスの流れと対向して衝突することになる(
図3参照)。従って、第1貫通孔32bが混合ガスを還流させる効果は、第2貫通孔32cに比べて小さく、混合ガスの還流は専ら第2貫通孔32cを通じて起こる。こうした第1貫通孔32bは、モーター40の振動に基づく遠心式ファン20の共振音を抑制することなどを目的として、従来から設けられることがあり、本実施例の遠心式ファン20は、第2貫通孔32cによって積極的に混合ガスを還流させることに特徴を有している。以下では、本実施例の遠心式ファン20の特性について、回転円板32に6個の第1貫通孔32bを有するものの第2貫通孔32cは有していない従来例の遠心式ファン20と比較しながら説明する。
【0029】
図7は、遠心式ファン20の風量と静圧との関係を示した風量−静圧特性グラフである。図では、従来例の遠心式ファン20の風量−静圧特性を破線で表し、本実施例の遠心式ファン20の風量−静圧特性を実線で表している。図示されるように本実施例の遠心式ファン20では、風量が0.4m
3/min以下に低下した状態の静圧が従来例の遠心式ファン20に比べて高くなっている。尚、図示した例は、遠心式ファン20の回転数を330Hzとした場合であるが、回転数を変更した場合でも同様の傾向が見られる。
【0030】
前述したように本実施例の回転円板32の第2貫通孔32cが設けられた位置(翼片31と翼片31との間)は、第1貫通孔32bの位置(羽根車30の内側)よりも負圧の度合が強く、しかも第2貫通孔32cを通った混合ガスの還流は、吸入口53を通って流入する混合ガスの流れと衝突することもないので、第2貫通孔32cが混合ガスを還流させる効果は、第1貫通孔32bに比べて大きい。特に、遠心式ファン20の羽根車30と周壁50aとの間の圧力が上昇すると、回転円板32と基底板51aとの間に混合ガスが流れ込み、回転円板32と基底板51aとの間の圧力が高くなることによって、第2貫通孔32cを通じた混合ガスの還流が更に強まる。そのため、回転円板32に第2貫通孔32cを有する本実施例の遠心式ファン20では、回転円板32と基底板51aとの間に混合ガスを停滞させることなく、積極的に還流させて羽根車30の外側に再度吹き出すことにより、第2貫通孔32cを有しない従来例の遠心式ファン20に比べて、締切圧を向上させることができる。
【0031】
また、本実施例の給湯器1では、通常時(未閉塞時)に1.0m
3/min前後の風量で燃焼ユニット3に混合ガスを送ることを想定している。そして、本実施例の遠心式ファン20は、回転円板32に第2貫通孔32cを有するものの、風量が1.0m
3/min前後である状態の静圧については、第2貫通孔32cを有しない従来例の遠心式ファン20とほぼ同等である。従って、本実施例の遠心式ファン20の通常時の使用において、回転円板32に設けた第2貫通孔32cによる大きな影響はないと考えられる。
【0032】
図8は、本実施例の遠心式ファン20における回転円板32と基底板51aとの間の負圧を維持する性能(以下、負圧維持性能)を、従来例の遠心式ファン20と比較した説明図である。遠心式ファン20の負圧維持性能を評価するために、給湯器1の閉塞の程度を異ならせて、回転中のモーター40の電流値、および回転円板32と基底板51aとの間の圧力を計測した。
【0033】
給湯器1の閉塞が進むと、遠心式ファン20からの混合ガスの吐出量が減り、遠心式ファン20の仕事量が減少することになるので、モーター40の電流値は低下する傾向にある。そのため、基準値(未閉塞時の電流値)に対する電流値の低下率に基づいて、閉塞の程度を判断することができる。また、給湯器1の閉塞が進んで遠心式ファン20からの混合ガスの吐出量が減ると、遠心式ファン20内では、羽根車30と周壁50aとの間の圧力が高まることで、回転円板32と基底板51aとの間にも混合ガスが流れ込み、回転円板32と基底板51aとの間の圧力が上昇する。
【0034】
図8には、閉塞に伴って回転円板32と基底板51aとの間の圧力が負圧から正圧へと切り換わる境界(負圧維持限界)におけるモーター40の電流値低下率が例示されており、従来例の遠心式ファン20では、電流値低下率28%までしか負圧を維持できないのに対して、本実施例の遠心式ファン20では、電流低下率38%まで負圧を維持することが可能である。
【0035】
前述したように回転円板32に設けられた第1貫通孔32bや第2貫通孔32cは、回転する羽根車30の内部が負圧になることによって、回転円板32と基底板51aとの間から混合ガスを羽根車30の内部に引き込む(還流させる)効果があり、通常時(未閉塞時)には、従来例の遠心式ファン20も本実施例の遠心式ファン20も共に回転円板32と基底板51aとの間が負圧になっている。そして、第2貫通孔32cは、第1貫通孔32bに比べて、羽根車30の中で負圧の度合が強い位置に設けられており、混合ガスを還流させる効果が大きいため、回転円板32に第2貫通孔32cを有する本実施例の遠心式ファン20では、第2貫通孔32cを有しない従来例の遠心式ファン20よりも閉塞時における負圧維持性能を向上させることができる。
【0036】
また、本実施例の給湯器1では、回転中のモーター40の電流値を監視して、電流値低下率が35%に達すると、閉塞による不完全燃焼のおそれがあるため、燃焼を強制的に停止するようになっている。そして、従来例の遠心式ファン20を用いた場合には、電流値低下率が35%に達するよりも前に、回転円板32と基底板51aとの間が正圧になり、シャフト41に沿って混合ガスが漏れることが懸念される。これに対して、本実施例の遠心式ファン20では、電流値低下率が35%に達しても、回転円板32と基底板51aとの間の負圧が維持され、正圧になる前に強制的に停止されることになるので、シャフト41に沿って混合ガスが漏れること防ぐことができる。
【0037】
図9は、遠心式ファン20を搭載した給湯器1が発する騒音を、羽根車30(モーター40)の回転数を変えながら測定した結果を例示したグラフである。図では、従来例の遠心式ファン20を用いた場合を破線で表し、本実施例の遠心式ファン20を用いた場合を実線で表している。まず、
図9(a)には、6次成分(回転周波数の6倍の周波数)の騒音の測定結果が示されている。前述したように従来例の遠心式ファン20は、回転円板32に6個の第1貫通孔32bを有しており、この第1貫通孔32bを通った混合ガスの還流が、吸入口53を通って流入する混合ガスの流れと衝突することから、衝突による乱流に起因して6次成分の騒音が発生する。
【0038】
これに対して、本実施例の遠心式ファン20は、回転円板32に第2貫通孔32cを有しており、混合ガスの還流は専ら第2貫通孔32cを通じて起こる。そのため、本実施例の遠心式ファン20では、従来例の遠心式ファン20に比べて、第1貫通孔32bを通じての混合ガスの還流が減り、吸入口53を通って流入する混合ガスの流れとの衝突を避けられることから、衝突の乱流に起因する6次成分の騒音の発生を抑制することができる。
【0039】
また、
図9(b)には、21次成分(回転周波数の21倍の周波数)の騒音の測定結果が示されている。本実施例の遠心式ファン20は、回転円板32に21個の第2貫通孔32cを有しており、この第2貫通孔32cを通って混合ガスが還流するものの、21次成分の騒音については、第2貫通孔32cを有しない従来例の遠心式ファン20とほぼ同等である。従って、本実施例の遠心式ファン20において、回転円板32に設けた第2貫通孔32cによる騒音への大きな影響はないと考えられる。
【0040】
以上に説明したように本実施例の遠心式ファン20では、回転円板32の複数の第2貫通孔32cが、回転円板32の径方向における翼片31の内縁から外縁までの途中の箇所に設けられており、第2貫通孔32cを通じて回転円板32と基底板51aとの間から混合ガスを羽根車30の内部へと還流させるようになっている。この第2貫通孔32cを通った混合ガスの還流は、吸入口53を通って流入する混合ガスの流れと衝突することがなく、第2貫通孔32cが混合ガスを還流させる効果は、翼片31の内縁よりも中央側に設けられた第1貫通孔32bに比べて大きい。このため、給湯器1の閉塞に伴い遠心式ファン20から送り出す風量が低下した状態においても、回転円板32と基底板51aとの間の混合ガスを停滞させることなく、積極的に還流させて羽根車30の外側に再度吹き出すことにより、第2貫通孔32cを有しない場合に比べて、遠心式ファン20の締切圧を向上させることができる。しかも、給湯器1の閉塞に伴い回転円板32と基底板51aとの間に混合ガスが流れ込んでも、第2貫通孔32cを通じた混合ガスの還流によって、回転円板32と基底板51aとの間の圧力の上昇を抑制することができるので、閉塞時における負圧維持性能を向上させることが可能となる。
【0041】
また、本実施例の遠心式ファン20では、回転円板32に第2貫通孔32cを設けることによって、第1貫通孔32bを通じての混合ガスの還流が減り、吸入口53を通って流入する混合ガスの流れとの衝突を避けられると共に、第2貫通孔32cを通った混合ガスの還流は、吸入口53を通って流入する混合ガスの流れと衝突することがないことから、衝突の乱流に起因する騒音の発生を抑制することができる。
【0042】
以上、本実施例の遠心式ファン20について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0043】
例えば、前述した実施例の遠心式ファン20では、回転円板32に第1貫通孔32bと第2貫通孔32cとを有しており、その特性について、第1貫通孔32bを有する従来例の遠心式ファン20と比較して説明した。しかし、第1貫通孔32bは必須ではなく、省略してもよい。そして、前述した実施例の回転円板32(
図5参照)から第1貫通孔32bを省略した遠心式ファン20では、回転円板32に第1貫通孔32bおよび第2貫通孔32cの何れも有しない遠心式ファン20と比較すると、第2貫通孔32cを通じた混合ガスの還流によって、遠心式ファン20の締切圧を向上させると共に、閉塞時における回転円板32と基底板51aとの間の負圧維持性能を向上させることができる。
【0044】
また、前述した実施例の遠心式ファン20では、回転円板32の複数の第2貫通孔32cが、回転円板32の径方向における翼片31の内縁と外縁との中間点よりも内縁側の箇所に設けられていた。しかし、第2貫通孔32cを設ける箇所は、回転する羽根車30内で負圧になる翼片31の内縁から外縁までの途中の箇所であればよく、翼片31の中間点よりも外縁側に設けてもよい。翼片31の中間点よりも外縁側では、内縁側よりも翼片31と翼片31との間隔が広がっているので(
図5参照)、第2貫通孔32cの直径を大きくすることが可能となる。ただし、回転する羽根車30内の圧力は、翼片31の中間点よりも内縁側の方が、混合ガスが吹き出す外縁側に比べて低くなる(負圧の度合が強くなる)傾向にあることから(
図4(b)参照)、前述した本実施例のように、翼片31の中間点よりも内縁側の箇所に第2貫通孔32cを設けておくことによって、外縁側の箇所に設ける場合よりも、混合ガスの還流を強めることが可能となる。
【0045】
また、前述した実施例の遠心式ファン20では、羽根車30に21枚の翼片31が取り付けられており、隣り合う翼片31と翼片31との間のそれぞれに1個ずつ第2貫通孔32cが設けられ、回転円板32に合計21個の第2貫通孔32cを有していた。しかし、必ずしも翼片31と翼片31との間のそれぞれに第2貫通孔32cを設けなければならないわけではなく、例えば、一つ置きに設けてもよい。また、翼片31と翼片31との間に2個以上の第2貫通孔32cを径方向に位置をずらして設けてもよい。
【0046】
さらに、前述した実施例の遠心式ファン20では、吸入口53から吸い込んだ燃焼用空気と燃料ガスとの混合ガスを、送風路54の吐出口55から吐出するようになっていた。しかし、吸入口53から吸い込む気体は、混合ガスに限られず、燃焼用空気または燃料ガスを単体で吸い込むようにしてもよい。