特許第6985867号(P6985867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985867
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】接合構造および門型架構
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20211213BHJP
   B32B 13/10 20060101ALI20211213BHJP
   E04C 3/29 20060101ALI20211213BHJP
   E04C 3/36 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   E04B1/30 Z
   B32B13/10
   E04C3/29
   E04C3/36
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-176102(P2017-176102)
(22)【出願日】2017年9月13日
(65)【公開番号】特開2019-52451(P2019-52451A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】芦谷 公滋
(72)【発明者】
【氏名】藤山 淳司
(72)【発明者】
【氏名】道越 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】今津 裕子
(72)【発明者】
【氏名】岡山 真之介
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕介
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−524058(JP,A)
【文献】 特開2008−221591(JP,A)
【文献】 特開2013−053415(JP,A)
【文献】 特開平08−120786(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0086906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/30 − 1/36
E04C 3/00 − 3/46
B32B 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材で構成される複数の被覆体層と、前記被覆体層の間に充填されたセメント系組成物で構成される構造体層を備え、前記構造体層が前記被覆体層よりも厚くなるように構成されている積層部材同士を組み合わせる接合構造であって、
一方の積層部材には、前記被覆体層を設けない状態で前記構造体層を形成した露出部を備え、
他方の前記積層部材には、前記構造体層を設けない非充填部を備え、
前記露出部を前記非充填部に挿嵌して成すことを特徴とする接合構造。
【請求項2】
前記非充填部には、前記露出部の挿嵌方向に沿って突出する接続鉄筋を配置し、
前記露出部には、前記接続鉄筋の配置位置に対応した位置に接続穴を設け、
前記接続穴にグラウト材を注入して前記接続穴に前記接続鉄筋が挿入されるように、前記非充填部に対して前記露出部を挿嵌することを特徴とする請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
木材で構成される複数の被覆体層と、前記被覆体層の間に充填されたセメント系組成物で構成される構造体層を備え、前記構造体層が前記被覆体層よりも厚くなるように構成されている積層部材を門型に組み合わせて構成する門型架構であって、
柱を構成する積層部材と、梁を構成する積層部材との接合部に、請求項1または2に記載の接合構造を適用したことを特徴とする門型架構。
【請求項4】
前記積層部材の積層方向に、前記門型架構を複数、並列配置し、
並列配置した複数の前記門型架構のそれぞれに貫通孔を設け、
各貫通孔を貫くロッドを配置して構成したことを特徴とする請求項3に記載の門型架構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用構造部材に係り、特に木材を基調とした積層部材、並びに、この積層部材同士の接合構造、および、この積層部材を用いた門型架構に関する。
【背景技術】
【0002】
建築用構造部材において、木材を基調とした積層部材としては、例えば特許文献1に開示されているようなものが知られている。特許文献1に開示されている積層部材は、複数の木材を繊維補強セメント複合材料を接合材として張り合わせて集成接合している。このような手法で形成された積層部材は、木材と繊維補強セメントとが交互に層を成す、いわゆるサンドイッチ構造となり、軽量で高い保温性、靱性、および耐荷重性を誇ると記載されている。
【0003】
特許文献1に開示されている構造部材は、セメント層は、あくまで接合材としての使用であり、木材層に比べて薄くなる。また、一般的にセメントは、コンクリートやモルタルに比べて強度が低いため、木材のみの構造体に比べて、積層部材としての性能がどの程度か、具体的には記載されていない。
【0004】
また、建築構造において、単に木材とコンクリートを組合わせるという点については、特許文献2に、木材層の一方の側面にコンクリート層を配置する事が開示されている。特許文献2に開示されている技術では、繊維方向が交差するように配置して積層形成された、いわゆる直交集成材の一方の面に、コンクリート層が打設されている。このような構成とする事で、コンクリート層のみで構成する建築材料よりも軽量で、木材層のみで構成する建築材料よりも耐火性能、および防音性能が向上すると記載されている。
【0005】
特許文献2に開示されている構造部材は、木材層とコンクリート層双方のメリットを引き出す事が可能となる。しかし、構成部材としての木材層には積層構造となる直交集成材を使用し、コンクリート層は、木材層と同等、あるいはそれ以上の厚みを有し、内部に鉄筋を配する構成となる。このため、木材を使用して軽量になるとはいえ、相当な厚みと重量を有する事は明らかであり、躯体における表装材に使用する事は実質的に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−228361号公報
【特許文献2】特開2017−78307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、コンクリート層(セメント系組成物層)の特性を十分に発揮する事を可能とし、かつ構造物の躯体にも使用可能な軽量かつ薄型な積層部材、並びに、この積層部材同士を接合する接合構造、および、この積層部材を接合して構成する門型架構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る積層部材は、木材で構成される複数の被覆体層と、前記被覆体層の間に充填されたセメント系組成物で構成される構造体層を備え、前記構造体層が前記被覆体層よりも厚くなるように構成されていることを特徴とする。これにより、引張力を負担する木材で両面を拘束された構造体層が形成され、単なる接合材としてではなく、木材と協働して躯体を構成するのに必要な強度や合成を発揮する部材となる。
【0009】
また、上記のような特徴を有する積層部材では、前記被覆体層における前記構造体層との対向側側面に、所定の間隔で設けた凹部または開孔を設け、前記凹部または前記開孔に前記セメント系組成物を充填してシアキーを形成する。このような特徴を有することにより、被覆体層と構造体層の接合強度を高めることができる。
【0010】
また、本発明に係る接合構造は、上記特徴を有する積層部材同士を組み合わせる接合構造であって、一方の積層部材には、前記被覆体層を設けない状態で前記構造体層を形成した露出部を備え、他方の前記積層部材には、前記構造体層を設けない非充填部を備え、前記露出部を前記非充填部に挿嵌して成すことを特徴とする。
【0011】
また、上記のような特徴を有する接合構造において、前記非充填部には、前記露出部の挿嵌方向に沿って突出する接続鉄筋を配置し、前記露出部には、前記接続鉄筋の配置位置に対応した位置に接続穴を設け、前記接続穴にグラウト材を注入して前記接続穴に前記接続鉄筋が挿入されるように、前記非充填部に対して前記露出部を挿嵌する。このような特徴を有することにより、凹凸挿嵌した露出部と非充填部とのズレを防ぐことができる。また、接続鉄筋が抜け止めとなり、接合部の接合強度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る門型架構は、上記特徴を有する積層部材を門型に組み合わせて構成する門型架構であって、柱を構成する積層部材と、梁を構成する積層部材との接合部に、上記特徴を有する接合構造を適用したことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記のような特徴を有する門型架構は、前記積層部材の積層方向に、前記門型架構を複数、並列配置し、並列配置した複数の前記門型架構のそれぞれに貫通孔を設け、各貫通孔を貫くロッドを配置して構成する。このような特徴を有することにより、隣接配置された門型架構同士が支え合い、構造物として高い強度を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような特徴を有する積層部材によれば、セメント系組成物により構成される構造体層の特性を十分に発揮し、高い強度を得る事ができる。また、被覆層に木材を使用することにより、構造物の壁面等にも使用可能な軽量かつ薄型な積層部材を実現することができる。
【0015】
また、上記のような特徴を有する接合構造によれば、積層部材を容易に組み合わせることができ、接合部に高い強度を得ることができる。さらに、上記のような特徴を有する門型架構によれば、薄型、軽量でありながら、高い強度を持った門型架構とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る積層部材の構成を示す図である。
図2】実施形態に係る積層部材の製造方法を説明するための図である。
図3】被覆体層に凹部を備え、シアキーを構成した積層部材を示す図である。
図4】被覆体層に貫通孔を備え、シアキーを構成した積層部材を示す図である。
図5】実施形態に係る積層部材における積層構造の数を増やした場合の例を示す図である。
図6】実施形態に係る積層部材同士の接合構造を説明するための図であり、凹凸挿嵌による接合構造の分解斜視図である。
図7】実施形態に係る積層部材同士の接合構造を説明するための図であり、凹凸挿嵌による接合構造の斜視図である。
図8】接合構造を用いて構成した構造体を複数並列配置した場合における強度向上手段の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る積層部材同士の接合構造を説明するための図であり、単純断面同士の接合の分解斜視図である。
図10】実施形態に係る積層部材同士の凹凸挿嵌による接合構造を採用する場合における第1の応用例を示す分解斜視図である。
図11】実施形態に係る積層部材同士の凹凸挿嵌による接合構造を採用する場合における第2の応用例を示す分解斜視図である。
図12】実施形態に係る積層部材同士を実施形態に係る接合構造を用いて接合して門型架構を構成する場合の例を示す正面構成図である。
図13】実施形態に係る積層部材同士を実施形態に係る接合構造を用いて接合して門型架構を構成する場合の例を示す平面構成図である。
図14】実施形態に係る積層部材を板面方向に並列配置して使用する場合におけるジョイント構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の積層部材および門型架構に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す形態は、本発明を実施する上で好適な形態の一部であり、発明の効果を奏する限りにおいて、その形状等を変更したとしても、本発明の一部とみなすことができることはいうまでもない。
【0018】
[基本構成と製造方法]
本実施形態に係る積層部材10は図1に示すように、被覆体層12と、構造体層14を基本として構成されている。被覆体層12は、木材により構成される層であり、杉や檜等、建築材として利用される種類の木材を採用すると良い。構造体層14は、流し込みからの硬化といった、いわゆる打設が可能なセメント系組成物であれば良く、セメントに砂や砂利を混ぜて構成される一般的なコンクリートの他、繊維補強コンクリートや、超高強度繊維補強コンクリート(商品名:DUCTAL(登録商標))などを挙げることができる。
【0019】
このような構成要素を有する積層部材10は、次のようにして構成すれば良い。まず、図2(A)に示すように、対を成すように対向配置した被覆体層12の間に、構造体層の厚みを決めるための型枠16を配置する。次に、図2(B)に示すように、被覆体層12と型枠16により覆われた空間に構造体層14を構成するためのセメント系組成物を充填する。充填したセメント系組成物が硬化した後、図2(C)に示すように型枠16を除去することで、実施形態に係る積層部材10が構成される。
【0020】
このため、積層部材10は、構造体層14を被覆体層12により挟み込み、いわゆるサンドイッチ構造となる。実施形態に係る積層部材10は、被覆体層12の厚みよりも構造体層の厚みの方が、厚くなるように構成する。構造体層14に、所定の厚みを持たせることで、セメント系組成物であるコンクリート等の特性を十分に活かす事ができ、高い強度を得ることができるからである。また、構造体層14の両主面を覆う被覆体層12として木材を使用する事で、火災時などにおいては、構造体層14が直接火炎により加熱される事が無い。このため、構造体層14が加熱されることにより強度低下を生じることを防ぐことができる。
【0021】
[効果]
このような構成の積層部材10によれば、セメント系組成物層の特性を十分に発揮する事が可能となる。また、被覆体層12として木材を使用することで、軽量化を図ることができるため、構造物の壁面等にも使用可能な軽量かつ薄型な積層部材10とすることができる。また、セメント系組成物により構成される構造体層14を木材等により構成される被覆体層12により挟み込んで支持する構造とすることにより、構造体層14の内部に鉄筋等の補強部材を配置する必要が無く、積層部材10全体としての薄型化、および軽量化を図ることができる。
【0022】
[応用形態:シアキー]
上記のような構成とされる積層部材10では、図3図4に示すように、被覆体層12における構造体層14との対向面に、凹部12aや貫通孔12bを設けることができる。凹部12aや貫通孔12bの形状は特に問わないが、凹部12aを形成する際には、断面形状について、開口側を短辺とした台形(いわゆる蟻型)とすると良い。
【0023】
このような凹部12aや貫通孔12bを設けた被覆体層12間に構造体層14を構成するセメント系組成物を充填した場合、セメント系組成物が凹部12aや貫通孔12bに流れ込み、シアキー14aを構成することとなる。これにより、被覆体層12と構造体層14との間の接触面の面積が増えると共に、接合面に沿った方向のズレを抑制することができる。また、凹部12aを蟻型とした場合には、楔効果も得ることができ、被覆体層12と構造体層14との接合強度を向上させることができる。
【0024】
[応用形態:多重積層]
上記実施形態においては、積層部材10は、一対の被覆体層12の間に所定の厚みを持つように構造体層14を配置形成する旨記載した。しかし、構造部材として、さらに高い強度が必要な場合には、図5に示すように被覆体層12の数を増やし、各被覆体層12の間に構造体層14を充填する構成とすると良い。
【0025】
[接合構造]
また、上記のような構成の積層部材10では、以下のようにして、2つ以上の積層部材10を接合し、構造物を構成することができる。
接合構造では図6に示すように、接合対象とする2つの積層部材(仮に、積層部材10a、積層部材10bと称す)に、それぞれ異なる端部処理を施す。積層部材10aに施す一方の端部処理は、対を成す被覆体層12の間から、構造体層14を露出させた露出部18を備える構造とする端部処理である。これに対し、積層部材10bに施す他方の端部処理は、対を成す被覆体層12間に充填される構造体層14に関し、非充填部20を備える構造とする端部処理である。
【0026】
接合対象とする積層部材10a,10bに対して、それぞれ上記のような端部処理を施すことで、他方の端部処理を施した構造体層14の非充填部20に、一方の端部処理により形成された露出部18を挿入することが可能となる。ここで、非充填部20を設けた積層部材10bには、被覆体層12で隠れている構造体層14の端部に、接合鉄筋22を配置する。接合鉄筋22は、構造体層14全体に配設する必要は無く、構造体層14から露出する端部と同等の長さの他端部が埋設されていれば良い。構造体層14の強度向上を図るのでは無く、接合(抜け止め)のための鉄筋だからである。
【0027】
非充填部20に対する接合鉄筋22の配置に伴い、積層部材10aに形成された露出部18には、接合鉄筋22の配置位置に対応した位置に接合穴24が設けられる。このような接合構造では、接合穴にグラウト材を注入し、図7に示すように2つの積層部材10a,10bを凹凸挿嵌させることで、接合が完了する。強度の高い構造体層14を芯として凹凸挿嵌を行う事で、接合部の強度も確保されることとなる。
【0028】
また、上記のような接合構造を用いて構成される構造物が複数存在した場合に、これらを図8に示すように複数、並列配置する場合には、各接合部に貫通孔26を設けるようにしても良い。貫通孔26は、積層部材10a,10bにおける構成要素の積層方向を貫通方向とする穿孔とする。
【0029】
複数の構造物に設けられた各貫通孔26には、これらを貫くロッド28を配置することで、接合部の抜け止め効果を向上させることができる他、積層方向に対する負荷荷重への耐性を高めることができる。
【0030】
上記説明では、接合構造は、露出部18と非充填部20とによる凹凸挿嵌により成される旨記載した。しかしながら、実施形態に係る積層部材10を用いた接合構造としては、単純断面同士の接合も可能である。具体的には、図9に示すように、一方の積層部材10aにおける端部の断面に露出する構造体層14に接合鉄筋22を配置し、他方の積層部材10bにおける端部の断面に露出する構造体層14に接合穴24を形成するというものである。このような構造であっても、接合穴24にグラウト材を注入して両者を接合することで、2つの積層部材10a,10bを接合することができる。
【0031】
[接合構造の応用]
上記説明では、接合構造は、2つの積層部材10(10a,10b)に対してそれぞれ端部処理を行った後、両者を凹凸挿嵌することで構成される旨記載した。しかしながら、実施形態に係る接合構造は、必ずしも端部同士の接合に限られない。
【0032】
例えば、図10に示すように、梁を構成する積層部材10aに対して、中間支柱を構成する積層部材10bを接合する場合には、露出部18を端部ではない部位に設けることができる。また、図11に示すように、柱を構成する積層部材10bの中間部に対して、梁を構成する積層部材10aを接合する場合には、柱を構成する積層部材10bの中間部に、構造体層14の非充填部20を形成し、当該部位に露出部18を挿入する構成(いわゆるホゾとホゾ穴の関係)とすることもできる。
【0033】
[構造物]
上記のような構成の積層部材10は、建築材料として使用するのに十分な強度を持つ。このため、上述した接合構造を用いる事で構造物を構成することもできる。例えば図12は、実施形態に係る積層部材10を用いて門型架構30を形成する場合の例を示す正面図であり、図13は、図12で示す門型架構30の平面構成を示す図である。
【0034】
図12によれば、柱を構成する積層部材10bと梁を構成する積層部材10aとの接合部には、上述した凹凸挿嵌による接合構造を採用している。一方、梁を構成する接合部材10aの長さを延長する接合部には、単純断面同士の接合構造を採用している。
【0035】
また、図13に示すように、同形状の門型架構30を複数並列配置し、これをロッド28で接続する構成とすることで、隣接配置した門型架構30が互いに支え合い、構造物としての強度の向上を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
上記実施形態では、実施形態に係る積層部材10の特性を示すために、積層部材10そのものにより構造物を構成することができる点を開示した。しかしながら、実施形態に係る積層部材10は、板面方向に並列配置することで、壁材や床材など、様々な用途に用いる事ができる。ここで、積層部材10を板面方向に並列配置する用途に適用する場合には、図14に示すように、積層部材10における一方の側面に、構造体層14の露出部18を設け、各積層部材10を凹凸挿嵌により接続可能な構成としても良い。
【符号の説明】
【0037】
10(10a,10b)………積層部材、12………被覆体層、12a………凹部、12b………貫通孔、14………構造体層、14a………シアキー、16………型枠、18………露出部、20………非充填部、22………接合鉄筋、24………接合穴、26………貫通孔、28………ロッド、30………門型架構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14