(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る電力供給装置、及び制御システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数のシャッター装置に対して電力を供給するための電力供給装置を備える制御システムに関するものである。
【0021】
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁、床、天井等)において出入口や窓を設置するために形成された開口部である。また、シャッター装置は、防犯や防火のために、建物の開口部に取り付けられる装置であり、例えば、重量シャッター等を電動駆動可能な全ての形式のシャッター装置を含む概念である。また、シャッター装置の開閉方向については、例えば上下方向、左右方向等が該当する。また、シャッター装置を構成するシャッターカーテンの状態とは、例えば、シャッターカーテンによって開口部を全閉した「全閉状態」と、シャッターカーテンによって開口部を全開した「全開状態」と、開口部の一部を開いて当該開口部の他の一部を閉じている「半開状態」とを含む概念である。なお、実施の形態では、全閉状態におけるシャッターカーテンの位置を「全閉位置」と称し、全開状態におけるシャッターカーテンの位置を「全開位置」と称する。以下、実施の形態では、シャッター装置が、集合住宅の如き建物の駐車場の複数の入出口の各々に設けられた複数の上下開閉式の重量電動シャッターである場合について説明する。
【0022】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0023】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る開閉制御システムについて説明する。この実施の形態1は、外部電源手段をバッテリとした形態である。
【0024】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る制御システムが適用される開閉システムの構成について説明する。以下の説明では、
図1のX方向を開閉システムの左右方向又は幅方向(−X方向を開閉システムの左方向、+X方向を開閉システムの右方向)、
図1のY方向を開閉システムの上下方向(+Y方向を開閉システムの上方向、−Y方向を開閉システムの下方向)、X方向及びY方向に直交する方向を前後方向(
図1の紙面の手前側に至る方向を開閉システムの前方向(建物の屋外側の方向)、
図1の紙面の奥側に至る方向を開閉システムの後方向(建物の屋内側の方向))と称する。
【0025】
開閉システム1は、建物の壁に設けられた第1開口部2a及び第2開口部2bの開閉を行うためのシステムであり、概略的に、第1シャッター装置10a、第2シャッター装置10b、及び電力供給装置100を備えている。なお、後述する第1シャッター装置10aの「開閉移動制御部84a」、後述する第2シャッター装置10bの「開閉移動制御部84a」、及び「電力供給装置100」は、特許請求の範囲の「制御システム」を構成する構成要素に対応する。また、これら第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bを特に区別する必要のないときは、単に「シャッター装置10」と総称する。
【0026】
また、この開閉システム1を構成する各装置の接続形態については、以下に示す通りとなる。すなわち、後述する第1シャッター装置10aの制御装置80は、電力供給装置100と配線4を介して電気的に接続されていると共に、後述する第2シャッター装置10bの制御装置80は、電力供給装置100と配線4を介して電気的に接続されている。このような接続により、後述する第1シャッター装置10aの制御装置80及び後述する第2シャッター装置10bの制御装置80の各々と、電力供給装置100との相互間で通信及び電力供給を行うことができる。
【0027】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置)
次に、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの構成について説明する。第1シャッター装置10aは、第1開口部2aを開閉するための装置であり、第2シャッター装置10bは、第2開口部2bを開閉するための装置である。ただし、これら第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々の構成はそれぞれ略同一であるので、以下では、第1シャッター装置10aの構成のみについて説明することとする。
【0028】
この第1シャッター装置10aは、
図1に示すように、シャッター収納部11、ガイドレール20、シャッターカーテン30、開閉機40、巻取軸(図示省略)、シャッター側操作装置50、上限検知部60、下限検知部70、及び制御装置80を備えている。ただし、第1シャッター装置10aに関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。
【0029】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−シャッター収納部)
シャッター収納部11は、第1シャッター装置10aの各部を収納するための中空体である。
図1に示すように、このシャッター収納部11は、建物の壁における第1開口部2aの上端部よりも上方に設置されている。また、このシャッター収納部11の内部には、開閉機40、巻取軸、上限検知部60、下限検知部70、及び制御装置80が収容されていると共に、巻取軸にてシャッターカーテン30が巻上げられた状態では、シャッターカーテン30の少なくとも一部が、シャッター収納部11の内部に収容される。また、このシャッター収納部11の具体的な構成については任意であるが、例えば、折り曲げ成形された複数のスチール製の板状体を、ビスや取付ネジ等の取付具によって相互に接続して形成している。
【0030】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−ガイドレール)
ガイドレール20は、シャッターカーテン30を第1開口部2aの開閉方向(上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール20は、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、第1シャッター装置10aの左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、建物の壁に対して直接的に固定されており、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている。
【0031】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−シャッターカーテン)
シャッターカーテン30は、巻取軸によって閉鎖移動又は開放移動されることで、シャッターカーテン30の状態を全開状態、全閉状態、又は半開状態とする遮蔽手段である。このシャッターカーテン30は、
図1に示すように、複数のスラット31を備えており、各スラット31の上下の両端部に形成された嵌合部(図示省略)を介して複数のスラット31が相互に嵌合接続されている。また、このシャッターカーテン30の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール20のコ字状の開放端部を介してガイドレール20の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール20の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール20の外部に脱落しないように規制されている。また、このシャッターカーテン30の下端部には、座板32が接続されている。この座板32は、シャッターカーテン30の状態が全閉状態である場合において建物の床面と近接し、又は接触するように配置されたものであり、シャッターカーテン30の下端部の左右方向全長にわたって形成されている。
【0032】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−開閉機)
開閉機40は、巻取軸を回転駆動することによって電動でシャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させる開閉移動手段であり、例えばシャッター用の開閉機等を用いて構成されている。
【0033】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−巻取軸)
巻取軸は、シャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させるための回動軸である。この巻取軸は、例えば公知の巻取軸等を用いて構成されており、左右方向に沿って設置されている。また、この巻取軸にはシャッターカーテン30の上端に連結された連結部(図示省略)が接続されており、この巻取軸を回転させることで、連結部を介してシャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させることができる。また、この巻取軸の左端部(又は右端部)がチェーン(図示省略)を介して開閉機40の出力軸に連結されているので、開閉機40の出力軸の回転に伴って巻取軸を回転させることができる。
【0034】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−シャッター側操作装置)
シャッター側操作装置50は、シャッターカーテン30の閉鎖移動又は開放移動に関する操作入力を受け付ける装置である。このシャッター側操作装置50は、
図1に示すように、第1開口部2aの近傍に設けられており、例えば公知の有線式操作装置等を用いて構成され、具体的には、シャッターカーテン30の開放移動を行う旨を指示する開放ボタン、シャッターカーテン30の閉鎖移動を行う旨を指示する閉鎖ボタン、及びシャッターカーテン30の閉鎖移動又は開放移動を停止させる旨を指示する停止ボタンを備えている(いずれも図示省略)。そして、これら開放ボタン、閉鎖ボタン、又は停止ボタンがユーザによって押圧された場合に、当該押圧されたボタンに応じた第1操作信号(すなわち、開放信号、閉鎖信号、停止信号)を制御装置80を介して開閉機40に出力することで、開閉機40によってシャッターカーテン30が電動で閉鎖移動又は開放移動させたり、あるいはシャッターカーテン30の閉鎖移動又は開放移動を電動で停止させることができる。なお、実施の形態1では、シャッター側操作装置50は、制御装置80と有線で通信するものとして説明するが、これに限られず、例えば、制御装置80と無線で通信するものであってもよい。あるいは、これら有線式及び無線式のシャッター側操作装置50の両方を第1シャッター装置10aに設けてもよい。
【0035】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−上限検知部、下限検知部)
上限検知部60は、シャッターカーテン30の下端部が部屋の天井3の面と面一となる位置(以下、「上限位置」と称する。)に達しているか否かを検出する上限検知手段である。また、下限検知部70は、シャッターカーテン30の下端部が、部屋の床面近傍に設定された位置(例えば、床面から所定距離(数cm)だけ上方側に設定された位置等。以下、「下限位置」と称する。)に達しているか否かを検出する下限検知手段である。これら上限検知部60及び下限検知部70は、例えばカウンター式のリミットスイッチ等の公知の検知センサを用いて構成されており、開閉機40の近傍位置にそれぞれ設置されている。
【0036】
また、この上限検知部60が開閉機40の出力軸の回転数を検出するカウンター式のリミットスイッチである場合の具体的な検知動作については任意であるが、例えば、上限検知部60においては、開閉機40の出力軸の回転数が、シャッターカーテン30の下端部が第1開口部2aの下端部から上限位置に到達するまでに必要な必要回転数に達していない場合には、上限検知信号を出力しないが、開閉機40の出力軸の回転数が上記必要回転数に達している場合には、上限検知信号を出力する。また、この下限検知部70が開閉機40の出力軸の回転数を検出するカウンター式のリミットスイッチである場合の具体的な検知動作については任意であるが、例えば、下限検知部70においては、開閉機40の出力軸の回転数が、シャッターカーテン30の下端部が第1開口部2aの上端部から下限位置に到達するまでに必要な必要回転数に達していない場合には、下限検知信号を出力しないが、開閉機40の出力軸の回転数が上記必要回転数に達している場合には、下限検知信号を出力する。
【0037】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−制御装置)
制御装置80は、第1シャッター装置10aの各部を相互に連動させる装置である。この制御装置80は、開閉機40、シャッター側操作装置50、上限検知部60、下限検知部70、及び電力供給装置100と配線4を介して電気的に接続されており、
図2に示すように、入力部81、出力部82、電源部83、制御部84、及び記憶部85を備えている。
【0038】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−制御装置−入力部)
入力部81は、第1操作信号、第2操作信号、上限検知信号、下限検知信号、後述する第1起動信号、後述する第2起動信号、後述する指定完了信号、後述する解除信号、後述する終了信号等の入力を受け付ける入力手段であり、例えば公知の入力端子等を用いて構成されている。
【0039】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−制御装置−出力部)
出力部82は、信号を開閉機40に出力する出力手段であり、例えば公知の出力端子等を用いて構成されている。
【0040】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−制御装置−電源部)
電源部83は、図示しない商用電源又は電力供給装置100から供給される電力を、制御装置80の各部、開閉機40、シャッター側操作装置50、上限検知部60、又は下限検知部70に供給する電源手段である。
【0041】
ここで、電源部83の電力供給方法については任意であるが、実施の形態1では、以下の通りとなる。すなわち、商用電源からの電力供給が可能である場合には、商用電源から供給される電力を、制御装置80の各部、開閉機40、シャッター側操作装置50、上限検知部60、及び下限検知部70に対して供給する。また、停電等によって商用電源からの電力供給が可能でない場合に、後述する電力供給処理のうち後述する第1電力供給処理のSB4の処理又は後述する第2電力供給処理のSC1(第2シャッター装置10bの場合には、後述するSC5の処理)において電力供給が行われている場合には、電力供給装置100から供給される電力を制御装置80の各部、開閉機40、シャッター側操作装置50、上限検知部60、及び下限検知部70に対して供給する。この場合には、第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30を開閉移動させることが可能な容量の電力が電力供給装置100から供給される。一方、後述する電力供給処理のうち後述する第1電力供給処理のSB4の処理又は後述する第2電力供給処理のSC1の処理(第2シャッター装置10bの場合には、後述するSC5の処理)において電力供給が行われていない場合には、電力供給装置100から供給される電力を制御装置80の各部のみに対して供給する。この場合には、電力供給装置100のバッテリ105の電力消費を低減するために、シャッター装置10の制御装置80を駆動させることが可能な容量の電力が第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに対して供給される。
【0042】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−制御装置−制御部)
制御部84は、制御装置80の各部を制御する制御手段である。この制御部84は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(なお、後述する電力供給装置100の制御部107についても同様とする)。
【0043】
また、この制御部84は、
図2に示すように、機能概念的に、開閉移動制御部84aを備えている。開閉移動制御部84aは、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bのうち、電力供給装置100によって電力が供給される対象となるシャッター装置10(以下、「対象シャッター装置」と称する)が第1シャッター装置10aである場合に、第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30を開閉移動させる開閉移動制御手段である。また、この制御部84によって実行される処理の詳細については後述する。
【0044】
(構成−第1シャッター装置、第2シャッター装置−制御装置−記憶部)
記憶部85は、制御装置80の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な公知の記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる(なお、後述する電力供給装置100の記憶部108についても同様とする)。
【0045】
(構成−電力供給装置)
図1に戻り、次に、電力供給装置100の構成について説明する。電力供給装置100は、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに対して電力を供給するための装置である。この電力供給装置100は、
図1に示すように、建物の屋内において建物の壁に設けられており、
図3に示すように、操作部101、入力部102、出力部103、水圧検知部(図示省略)、検知部104、バッテリ105、電力変換部106、制御部107、及び記憶部108を備えている。
【0046】
(構成−電力供給装置−操作部)
操作部101は、対象シャッター装置(第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10b)のシャッターカーテン30の開閉移動に関する操作指示を受け付けるための操作手段である。この操作部101は、例えばタッチパネル等の公知の操作手段を用いて構成されており、シャッター側操作装置50と同様に、開放ボタン、閉鎖ボタン、及び停止ボタンを備えていることに加えて、対象シャッター装置を指定した旨を指示する指定ボタンを備えている(いずれも図示省略)。そして、これら開放ボタン、閉鎖ボタン、停止ボタン、又は指定ボタンがユーザによって押圧された場合に、当該押圧された信号(実施の形態1では、開放ボタン、閉鎖ボタン、及び停止ボタンに応じた第2操作信号(すなわち、開放信号、閉鎖信号、停止信号)や指定ボタンに応じた指定信号)を制御装置80に出力することで、開閉機40によってシャッターカーテン30が電動で閉鎖移動又は開放移動させたり、シャッターカーテン30の閉鎖移動又は開放移動を電動で停止させたり、又は対象シャッター装置を指定することができる。
【0047】
(構成−電力供給装置−入力部)
入力部102は、第2操作信号、指定信号、上限検知信号、下限検知信号、後述する水圧検知信号、又は後述する検知信号等の入力を受け付ける入力手段であり、例えば公知の入力端子等を用いて構成されている。
【0048】
(構成−電力供給装置−出力部)
出力部103は、信号を第1シャッター装置10aの制御装置80又は第2シャッター装置10bの制御装置80に出力する出力手段であり、例えば公知の出力端子等を用いて構成されている。
【0049】
(構成−電力供給装置−水圧検知部)
水圧検知部は、建物の壁において第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10bのいずれか一方の近傍に設けられた送水口金具(図示省略)に対して消防ホース等を用いて建物の屋外側から送水した際の水圧(又は水量)を検知し、この検知結果を示す水圧検知信号を出力する水圧検知手段であり、例えば、公知の水圧センサ等を用いて構成されており、上記送水口金具の近傍に設けられている。
【0050】
(構成−電力供給装置−検知部)
検知部104は、バッテリ105の状態を検知し、この検知結果を示す検知信号を出力する検知手段である。ここで、「バッテリ105の状態」とは、ある時点におけるバッテリ105の有り様を意味し、例えば、バッテリ105の温度状態、バッテリ105の電力消費状態等を含む概念であるが、実施の形態1では、バッテリ105の温度状態として説明する。この検知部104は、例えば公知の温度センサを用いて構成されており、バッテリ105の近傍に設けられている。
【0051】
(構成−電力供給装置−バッテリ)
バッテリ105は、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに対して電力を供給することが可能な外部電源手段であると共に、電力を蓄電する蓄電手段であり、例えば、公知のシャッター用のバッテリ等を用いて構成されている。また、このバッテリ105の容量の設定方法については任意であるが、実施の形態1では、第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10bのいずれ一方のシャッターカーテン30を開閉移動させることが可能な容量に設定している(なお、後述する発電機109の容量の設定方法についても同様とする)。これにより、バッテリ105の容量を第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30を同時に開閉移動させることが可能な容量に設定した場合に比べて小さくすることができるので、バッテリ105の設置コストを低減することが可能となる。
【0052】
(構成−電力供給装置−電力変換部)
電力変換部106は、バッテリ105に蓄電された電力を所定の電力に変換する電力変換手段であり、例えば公知の電力変換装置(一例として、三相電力生成装置等)を用いて構成されている。
【0053】
(構成−電力供給装置−制御部)
制御部107は、電力供給装置100の各部を制御する制御手段であり、
図3に示すように、機能概念的に、指定部107a、供給制御部107b、及び判定部107cを備えている。
【0054】
指定部107aは、操作部101から出力される指定信号に基づいて、対象シャッター装置を指定するものである。なお、上述した「操作部101の指定ボタン」及び「指定部107a」は、特許請求の範囲における「指定手段」に対応する。
【0055】
供給制御部107bは、指定部107aによって指定された対象シャッター装置に対してバッテリ105から電力を供給させる供給制御手段である。
【0056】
判定部107cは、検知部104から出力される検知信号に基づいて、破損可能性状態であるか否かを判定するものである。ここで、「破損可能性状態」とは、バッテリ105(又は後述する発電機109)が破損する可能性が高い状態を意味する。なお、上述した「検知部104」及び「判定部107c」は、特許請求の範囲における「判定手段」に対応する。また、この制御部107によって実行される処理の詳細については後述する。
【0057】
(構成−電力供給装置−記憶部)
記憶部108は、電力供給装置100の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。
【0058】
(処理)
次に、このように構成された開閉システム1によって実行される処理について説明する。この開閉システム1によって実行される処理は、電力供給処理と開閉処理とに大別される。以下、電力供給処理と開閉処理とのそれぞれについて説明する。
【0059】
(処理−電力供給処理)
まず、電力供給処理について説明する。電力供給処理は、シャッター装置10に対して電力を供給するための処理である。この開閉処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態1では、電力供給装置100の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。また、この電力供給処理の前提としては、具体的には、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30の状態が全閉状態であるとして説明する(なお、開閉処理の前提についても同様とする)。
【0060】
電力供給処理が起動されると、
図4に示すように、まず、SA1において電力供給装置100の制御部107は、第1電力供給タイミングが到来したか否かを判定する。ここで、「第1電力供給タイミング」とは、後述する第1電力供給処理を実行するタイミングを意味する。この第1電力供給タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、操作部101を介して所定操作が受け付けられたか否かに基づいて判定し、所定操作が受け付けられた場合には第1電力供給タイミングが到来したと判定し、所定操作が受け付けられていない場合には第1電力供給タイミングが到来していないと判定する。そして、電力供給装置100の制御部107は、第1電力供給タイミングが到来したと判定された場合(SA1、Yes)にはSA2へ移行し、第1電力供給タイミングが到来していないと判定された場合(SA1、No)にはSA4へ移行する。
【0061】
SA2において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって第1起動信号を、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに向けて出力させて、第1電力供給処理(SA3)を起動させ、その後SA1へ移行する。ここで、「第1起動信号」とは、後述する第1開閉処理の起動を指示する信号を意味する。なお、この第1電力供給処理の処理内容の詳細については、後述する。
【0062】
SA4において電力供給装置100の制御部107は、第2電力供給タイミングが到来したか否かを判定する。ここで、「第2電力供給タイミング」とは、後述する第2電力供給処理を実行するタイミングを意味する。この第2電力供給タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、SA4の処理時において水圧検知部から水圧検知信号の入力を入力部102によって受け付けて、当該受け付けた水圧検知信号が示す水圧量が閾値を上回っているか否かに基づいて判定し、閾値を上回っている場合には第2電力供給タイミングが到来したと判定し、閾値を上回っていない場合には第2電力供給タイミングが到来していないと判定する。そして、電力供給装置100の制御部107は、第2電力供給タイミングが到来していないと判定された場合(SA4、No)にはSA1へ移行し、第2電力供給タイミングが到来したと判定された場合(SA4、Yes)にはSA5へ移行する。
【0063】
SA5において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって第2起動信号を、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに向けて出力させて、第2電力供給処理(SA6)を起動させ後、SA1へ移行し、以下同様に、SA1からSA6の処理を繰り返す。ここで、「第2起動信号」とは、後述する第2開閉処理の起動を指示する信号を意味する。なお、この第2電力供給処理の処理内容の詳細については、後述する。
【0064】
(処理−電力供給処理−第1電力供給処理)
次に、
図4のSA3の第1電力供給処理について説明する。第1電力供給処理は、対象シャッター装置に対して電力を供給するための処理である。
【0065】
第1電力供給処理が起動されると、
図5に示すように、SB1において電力供給装置100の指定部107aは、第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10bのいずれか1つが、対象シャッター装置として選択的に指定されたか否かを判定する。ここで、対象シャッター装置が指定されたか否かを判定する方法については任意であるが、例えば、SB1の処理時において操作部101から出力される指定信号の入力が入力部102によって受け付けられたか否かに基づいて判定し、指定信号の入力が受け付けられた場合には対象シャッター装置が指定されたと判定し、指定信号の入力が受け付けられていない場合には対象シャッター装置が指定されていないと判定する(なお、後述するSB9の処理についても同様とする)。そして、電力供給装置100の指定部107aは、対象シャッター装置が指定されたと判定されるまで待機し(SB1、No)、対象シャッター装置が指定されたと判定された場合(SB1、Yes)には、SB1の処理時において操作部101から入力が受け付けられた指定信号が示すシャッター装置10を対象シャッター装置として指定し、その後SB2へ移行する。
【0066】
SB2において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって指定完了信号をSB1にて指定された対象シャッター装置に向けて出力させる。ここで、「指定完了信号」とは、SB1において対象シャッター装置が指定された旨を示す信号を意味する。
【0067】
SB3において電力供給装置100の判定部107cは、検知部104の検知結果に基づいて、破損可能性状態であるか否かを判定する。この破損可能性状態であるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、SB3の処理時において検知部104から検知信号の入力を入力部102によって受け付けて、当該受け付けた検知信号が示すバッテリ105の温度が閾値を上回っているか否かに基づいて判定し、閾値を上回っている場合には破損可能性状態であると判定し、閾値を上回っていない場合には破損可能性状態でないと判定する。そして、電力供給装置100の制御部107は、破損可能性状態でないと判定された場合(SB3、No)にはSB4へ移行し、破損可能性状態であると判定された場合(SB3、Yes)にはSB7へ移行する。
【0068】
SB4において電力供給装置100の供給制御部107bは、SB4の処理直前に指定されている対象シャッター装置(具体的には、SB1又は後述するSB9にて指定された対象シャッター装置)に対してバッテリ105から電力を供給させる。
【0069】
SB5において電力供給装置100の制御部107は、操作部101から出力される第2操作信号の入力が入力部102によって受け付けられたか否かを判定する。そして、電力供給装置100の制御部107は、第2操作信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SB5、Yes)にはSB6へ移行し、第2操作信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SB5、No)にはSB9へ移行する。
【0070】
SB6において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって第2操作信号を、SB6の処理直前に指定されている対象シャッター装置(具体的には、SB1又は後述するSB9にて指定された対象シャッター装置)に向けて出力させる。
【0071】
SB7において電力供給装置100の制御部107は、SB7の処理直前に指定されている対象シャッター装置(具体的には、SB1又は後述するSB9にて指定された対象シャッター装置)に対するバッテリ105からの電力供給を停止させる(なお、SB7の処理直前に既に対象シャッター装置に対する電力供給が停止している場合には、当該停止している状態を維持する)。このような処理により、バッテリ105の過剰な使用等によってバッテリ105が破損することを回避でき、電力供給装置100においてバッテリ105の破損に起因する故障の発生を抑制することが可能となる。
【0072】
SB8において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって停止信号(操作部101から出力される停止信号と同一の信号)を、SB8の処理直前に指定されている対象シャッター装置(具体的には、SB1又は後述するSB9にて指定された対象シャッター装置)に向けて出力させる。
【0073】
SB9において電力供給装置100の指定部107aは、第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10bのいずれか1つ(具体的には、SB9の処理直前に指定されている対象シャッター装置(具体的には、SB1又は後述するSB9にて指定された対象シャッター装置)とは異なるシャッター装置10)が、対象シャッター装置として選択的に指定されたか否かを判定する。そして、電力供給装置100の指定部107aは、対象シャッター装置が指定されたと判定された場合(SB9、Yes)には、SB9の処理直前に指定されていた対象シャッター装置の指定を解除すると共に、SB9の処理時において操作部101から入力が受け付けられた指定信号が示すシャッター装置10を対象シャッター装置として指定し、その後SB10へ移行する。一方、対象シャッター装置が指定されていないと判定された場合(SB9、No)にはSB12へ移行する。
【0074】
SB10において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって指定完了信号を、SB10の処理直前に指定されている対象シャッター装置(具体的には、SB1又は後述するSB9にて指定された対象シャッター装置)に向けて出力させると共に、SB9において対象シャッター装置の指定が解除されたシャッター装置10に向けて出力させる。ここで、「解除信号」とは、対象シャッター装置の指定が解除された旨を示す信号を意味する。
【0075】
SB11において電力供給装置100の供給制御部107bは、SB9において対象シャッター装置の指定が解除されたシャッター装置10に対するバッテリ105からの電力供給を停止させる。
【0076】
SB12において電力供給装置100の制御部107は、終了タイミングが到来したか否かを判定する。ここで、「終了タイミング」とは、対象シャッター装置に対するバッテリ105(又は後述する発電機109)からの電力供給を終了するタイミングを意味する。また、この終了タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、操作部101を介して所定操作が受け付けられたか否かに基づいて判定し、所定操作が受け付けられた場合には終了タイミングが到来したと判定し、所定操作が受け付けられていない場合には終了タイミングが到来していないと判定する。そして、電力供給装置100の制御部107は、終了タイミングが到来したと判定された場合(SB12、Yes)にはSB13へ移行する。一方、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SB12、No)にはSB3へ移行し、SB12において終了タイミングが到来したと判定されるまで、SB3からSB12の処理を繰り返す。このようなSB3からSB12の処理の繰り返しにより、例えば、電力供給装置100から電力を供給しているSB1にて指定された対象シャッター装置(第1対象シャッター装置)に代えて、SB9にて指定された対象シャッター装置(第2対象シャッター装置)に電力が供給する場合には、SB11においてSB1にて指定された対象シャッター装置に対するバッテリ105からの電力供給を停止させると共に、SB4においてSB9にて指定された対象シャッター装置に対してバッテリ105から電力を供給させることができる。よって、電力供給装置100の無駄な電力消費を回避でき、SB9にて指定された対象シャッター装置に対して駆動に必要な電力を確実に供給することが可能となる。
【0077】
SB13において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって終了信号を第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに向けて出力させ、その後第1電力供給処理を終了し、
図4の電力供給処理に戻る。ここで、「終了信号」とは、後述する第1開閉処理の終了を指示する信号である。
【0078】
このような第1電力供給処理により、従来技術(2つのシャッター装置10に対して決められた順に電力を供給する技術)に比べて、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bのうちユーザのニーズに対応するシャッター装置10に対して電力を効果的に供給させることができ、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0079】
(処理−電力供給処理−第2電力供給処理)
次に、
図4のSA6の第2電力供給処理について説明する。第2電力供給処理は、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに対して決められた順に電力を供給するための処理である。
【0080】
第2電力供給処理が起動されると、
図6に示すように、SC1において電力供給装置100の供給制御部107bは、第1シャッター装置10aに対してバッテリ105から電力を供給させる。
【0081】
SC2において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって開放信号(操作部101から出力される開放信号と同一の信号)を第1シャッター装置10aに向けて出力させる。
【0082】
SC3において電力供給装置100の制御部107は、第1停止タイミングが到来したか否かを判定する。ここで、「第1停止タイミング」とは、第1シャッター装置10aに対する電力供給を停止するタイミングを意味する。また、この第1停止タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、SC3の処理時において第1シャッター装置10aから出力される上限検知信号の入力が入力部102によって受け付けられたか否か(すなわち、シャッターカーテン30の状態が全開状態であるか否か)、又はSC2の処理後から所定時間経過したか否かに基づいて判定し、上限検知信号の入力が受け付けられた場合又は所定時間経過した場合には第1停止タイミングが到来したと判定し、上限検知信号の入力が受け付けられていない場合又は所定時間経過していない場合には第1停止タイミングが到来していないと判定する。なお、この所定時間の設定方法については任意であるが、例えば、シャッターカーテン30の状態が、全閉状態から災害に対する措置を適切に講じることが可能な状態(一例として、シャッターカーテン30の下端部が床面から3m上方に位置する状態等)にするために必要な時間に設定されることが望ましい(なお、SC7の所定時間の設定方法についても同様とする)。そして、電力供給装置100の制御部107は、第1停止タイミングが到来したと判定されるまで待機し(SC3、No)、第1停止タイミングが到来したと判定された場合には(SC3、Yes)にはSC4へ移行する。
【0083】
SC4において電力供給装置100の供給制御部107bは、第1シャッター装置10aに対するバッテリ105からの電力供給を停止させる。
【0084】
SC5において電力供給装置100の供給制御部107bは、第2シャッター装置10bに対してバッテリ105から電力を供給させる。
【0085】
SC6において電力供給装置100の制御部107は、出力部103によって開放信号(操作部101から出力される開放信号と同一の信号)を第2シャッター装置10bに向けて出力させる。
【0086】
SC7において電力供給装置100の制御部107は、第2停止タイミングが到来したか否かを判定する。ここで、「第2停止タイミング」とは、第2シャッター装置10bに対する電力供給を停止するタイミングを意味する。また、この第2停止タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、SC7の処理時において第2シャッター装置10bから出力される上限検知信号の入力が入力部102によって受け付けられたか否か(すなわち、シャッターカーテン30の状態が全開状態であるか否か)、又はSC6の処理後から所定時間経過したか否かに基づいて判定し、上限検知信号の入力が受け付けられた場合又は所定時間経過した場合には第2停止タイミングが到来したと判定し、上限検知信号の入力が受け付けられていない場合又は所定時間経過していない場合には第2停止タイミングが到来していないと判定する。そして、電力供給装置100の制御部107は、第2停止タイミングが到来したと判定されるまで待機し(SC7、No)、第2停止タイミングが到来したと判定された場合には(SC7、Yes)にはSC8へ移行する。
【0087】
SC8において電力供給装置100の供給制御部107bは、第2シャッター装置10bに対するバッテリ105からの電力供給を停止させ、その後第2電力供給処理を終了し、
図4の電力供給処理に戻る。
【0088】
このような第2電力供給処理により、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに対して決められた順に電力を供給することができ、ユーザが操作部101を操作することなく、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに対して電力を供給することができる。
【0089】
(処理−開閉処理)
次に、開閉処理について説明する。開閉処理は、シャッター装置10のシャッターカーテン30を開閉移動させるための処理である。この開閉処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態1では、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの電源が投入された後に起動され、電力供給処理と並行して実行されるものとして説明する。なお、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々の開閉処理はそれぞれ略同一であるので、以下では、第1シャッター装置10aの開閉処理のみについて説明することとする。
【0090】
開閉処理が起動されると、
図7に示すように、SD1において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図4のSA2において電力供給装置100から出力される第1起動信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、第1起動信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SD1、No)にはSD2へ移行し、第1起動信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SD1、Yes)には第1開閉処理(SD5)を起動させ、その後SD1へ移行する。なお、この第1開閉処理の処理内容の詳細については、後述する。
【0091】
SD2において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図4のSA5において電力供給装置100から出力される第2起動信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、第2起動信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SD2、No)にはSD3へ移行し、第2起動信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SD2、Yes)には第2開閉処理(SD6)を起動させ、その後SD1へ移行する。なお、この第2開閉処理の処理内容の詳細については、後述する。
【0092】
SD3において第1シャッター装置10aの制御部84は、第1シャッター装置10aのシャッター側操作装置50から出力される第1操作信号、第1シャッター装置10aの上限検知部60から出力される上限検知信号、又は第1シャッター装置10aの下限検知部70から出力される下限検知信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの制御部84は、第1操作信号等の入力が受け付けられていないと判定された場合(SD3、No)にはSD1へ移行し、第1操作信号等の入力が受け付けられたと判定された場合(SD3、Yes)にはSD4へ移行する。
【0093】
SD4において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、SD3に受け付けられた第1操作信号、上限検知信号、又は下限検知信号に基づいて、シャッターカーテン30を開閉移動させたり、又はシャッターカーテン30の開閉移動を停止させ、その後SD1へ移行し、以降同様に、SD1からSD6の処理を繰り返す。
【0094】
このシャッターカーテン30を開閉移動させる制御方法については任意であるが、実施の形態1では、以下に示す通りとなる(なお、後述するSE4の処理についても同様とする)。すなわち、SD3にて第1操作信号の開放信号又は閉鎖信号の入力が受け付けられた場合には、その後当該開放信号又は閉鎖信号の入力の受け付けが継続していなくてもシャッターカーテン30の開放移動又は閉鎖移動を行わせる(いわゆる、「自己保持操作によるシャッターカーテン30の開閉移動の制御」を行う)。ただし、これに限られず、例えば、SD3にて第1操作信号の開放信号又は閉鎖信号の入力が受け付けられた場合において、この開放信号又は閉鎖信号の入力が受け付けられている間にのみシャッターカーテン30の開放移動又は閉鎖移動を行わせてもよい(いわゆる、「押切操作によるシャッターカーテン30の開閉移動の制御」を行う)。また、SD3にて第1操作信号の停止信号、上限検知信号、又は下限検知信号の入力が受け付けられた場合には、シャッターカーテン30の開閉移動を停止させる。なお、実施の形態1では、電力供給装置100のバッテリ105の電力消費を低減する観点から、商用電源からの電力供給が可能でない場合には、SD3及びSD4の処理を実行させないものとする。
【0095】
(処理−開閉処理−第1開閉処理)
次に、
図7のSD5の第1開閉処理について説明する。第1開閉処理は、対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させるための処理である。
【0096】
第1開閉処理が起動されると、
図8に示すように、SE1において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図5のSB2又はSB10において電力供給装置100から出力される指定完了信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、指定完了信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SE1、No)にはSE2へ移行し、指定完了信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SE1、Yes)にはSE3へ移行する。
【0097】
SE2において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図5のSB13において電力供給装置100から出力される終了信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、終了信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SE2、No)にはSE1へ移行し、終了信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SE2、Yes)には、第1開閉処理を終了し、
図7の開閉処理に戻る。
【0098】
SE3において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図5のSB6において電力供給装置100から出力される第2操作信号、第1シャッター装置10aの上限検知部60から出力される上限検知信号、又は第1シャッター装置10aの下限検知部70から出力される下限検知信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、第2操作信号等の入力が受け付けられたと判定された場合(SE3、Yes)にはSE4へ移行し、第2操作信号等の入力が受け付けられていないと判定された場合(SE3、No)にはSE5へ移行する。
【0099】
SE4において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、SE3に受け付けられた第2操作信号、上限検知信号、又は下限検知信号に基づいて、シャッターカーテン30を開閉移動させたり、又はシャッターカーテン30の開閉移動を停止させる。このようなSE3、SE4の処理により、あらかじめ記憶された操作指示に基づいて対象シャッター装置(第1シャッター装置10a)のシャッターカーテン30を開閉移動させる場合に比べて、ユーザのニーズに応じて対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させることができ、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0100】
SE5において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図5のSB10において電力供給装置100から出力される解除信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、解除信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SE5、Yes)にはSE6へ移行し、解除信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SE5、No)にはSE7へ移行する。
【0101】
SE6において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、シャッターカーテン30の開閉移動を停止させ(あるいは、SE6の処理直前に既にシャッターカーテン30の開閉移動が停止している場合には、当該停止している状態を維持する)、その後SE1へ移行する。
【0102】
SE7において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図5のSB13において電力供給装置100から出力される終了信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、終了信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SE7、No)にはSE3へ移行し、終了信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SE7、Yes)には、第1開閉処理を終了し、
図7の開閉処理に戻る。
【0103】
このような第1開閉処理により、電力供給装置100から供給される電力を用いて第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30を開閉移動させる場合に、電力供給装置100によって指定された対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させることができ、ユーザのニーズに対応するシャッター装置10のシャッターカーテン30を効果的に開閉移動させることが可能となる。
【0104】
(処理−開閉処理−第2開閉処理)
次に、
図7のSD6の第2開閉処理について説明する。第2開閉処理は、第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30を開放移動させるための処理である。
【0105】
第2開閉処理が起動されると、
図9に示すように、SF1において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、
図6のSC2において電力供給装置100から出力される開放信号の入力が入力部81によって受け付けられたか否かを判定する。
【0106】
SF2において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、SF1にて受け付けられた開放信号に基づいて、シャッターカーテン30を開放移動させる。
【0107】
SF3において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、シャッターカーテン30の状態が全開状態であるか否かを判定する。このシャッターカーテン30の状態が全開状態であるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、SF3の処理時において第1シャッター装置10aの上限検知部60から出力される上限検知信号の入力が受け付けられたか否かに基づいて判定し、上限検知信号の入力が受け付けられている場合には全開状態であると判定し、上限検知信号の入力が受け付けられていない場合には全開状態でないと判定する。そして、第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、全開状態であると判定されるまで待機し(SF3、No)、全開状態であると判定された場合(SF3、Yes)にはSF4へ移行する。
【0108】
SF4において第1シャッター装置10aの開閉移動制御部84aは、シャッターカーテン30の開放移動を停止させ、その後第2開閉処理を終了し、
図7の開閉処理に戻る。
【0109】
このような第2開閉処理により、電力供給装置100から供給される電力を用いて、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30を迅速に開放移動させることができ、例えば、火災等の災害に対する措置(一例として、消火措置等)を迅速に講じることが可能となる。
【0110】
(処理−具体的な処理内容)
続いて、開閉システム1によって実行される処理が実行される具体的な状況及びその場合の処理内容について、以下で説明する。
【0111】
(処理−具体的な処理内容−1つ目の具体的な例)
最初に、1つ目の具体的な例について説明する。1つ目の具体的な例については、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30の状態が全閉状態において、火災以外の原因(例えば、落雷等)により建物で停電が発生している場合に、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30の状態を半開状態にする場合には、以下に示す処理が行われる。
【0112】
すなわち、まず、電力供給処理では、
図4のSA1において第1電力供給タイミングが到来したと判定されると、
図4のSA2において第1起動信号が第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに向けて出力された後に、第1電力供給処理(SA3)が起動される。一方、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々の開閉処理では、
図7のSD1において
図4のSA2にて出力された第1起動信号の入力が受け付けられると、第1開閉処理(SD5)が起動される。
【0113】
次に、第1電力供給処理では、まず、
図5のSB1において第1シャッター装置10aが対象シャッター装置として指定されると、
図5のSB2において指定完了信号が電力供給装置100から第1シャッター装置10aに向けて出力され、
図5のSB4において第1シャッター装置10aに対して電力供給装置100のバッテリ105から電力が供給される。次に、
図5のSB5において第2操作信号(具体的には、開放信号)の入力が受け付けられると、
図5のSB6においてこの第2操作信号が第1シャッター装置10aに向けて出力される。一方、第1シャッター装置10aの第1開閉処理では、
図8のSE1において
図5のSB2にて出力された指定完了信号の入力が受け付けられると共に、
図8のSE3において
図5のSB5にて出力された第2操作信号(開放信号)の入力が受け付けられると、
図8のSE4において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30が開放移動される。
【0114】
次いで、第1電力供給処理では、第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30の下端部が全閉位置と全開位置との相互間に位置する際に、
図5のSB5において第2操作信号(具体的には、停止信号)の入力が受け付けられると、
図5のSB6においてこの第2操作信号が第1シャッター装置10aに向けて出力される。一方、第1シャッター装置10aの第1開閉処理では、
図8のSE3において
図5のSB5にて出力された第2操作信号(停止信号)の入力が受け付けられると、
図8のSE4において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30の開放移動が停止される。
【0115】
次に、第1電力供給処理では、まず、
図5のSB9において第2シャッター装置10bが対象シャッター装置として指定されると、
図5のSB10において指定完了信号が電力供給装置100から第2シャッター装置10bに向けて出力されると共に、解除信号が電力供給装置100から第1シャッター装置10aに向けて出力される。次いで、
図5のSB11において第1シャッター装置10aに対する電力供給装置100のバッテリ105からの電力供給が停止された後、
図5のSB4において第2シャッター装置10bに対して電力供給装置100のバッテリ105から電力が供給される。そして、
図5のSB5において第2操作信号(具体的には、開放信号)の入力が受け付けられると、
図5のSB6においてこの第2操作信号が第2シャッター装置10bに向けて出力される。一方、第1シャッター装置10aの第1開閉処理では、
図8のSE5において解除信号の入力が受け付けられると、
図8のSE6において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30の開放移動の停止状態が維持される。また、第2シャッター装置10bの第1開閉処理では、
図8のSE1において
図5のSB2にて出力された指定完了信号の入力が受け付けられると共に、
図8のSE3において
図5のSB5にて出力された第2操作信号(開放信号)の入力が受け付けられると、
図8のSE4において第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30が開放移動される。
【0116】
次いで、第1電力供給処理では、第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30の下端部が全閉位置と全開位置との相互間に位置する際に、
図5のSB5において第2操作信号(具体的には、停止信号)の入力が受け付けられると、
図5のSB6においてこの第2操作信号が第2シャッター装置10bに向けて出力される。一方、第2シャッター装置10bの第1開閉処理では、
図8のSE3において
図5のSB5にて出力された第2操作信号(停止信号)の入力が受け付けられると、
図8のSE4において第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30の開放移動が停止される。
【0117】
このような1つ目の具体的な例に対応する処理により、停電時には、電力供給装置100から出力される第2操作信号に基づいて、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30を開放移動させたり、当該シャッターカーテン30の開放移動を停止させることができ、ユーザのニーズに応じて第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30を開閉移動させることが可能となる。
【0118】
(処理−具体的な処理内容−2つ目の具体的な例)
次に、2つ目の具体的な例について説明する。2つ目の具体的な例については、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30の状態が全閉状態において、火災により建物で停電が発生している場合に、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30の状態を全開状態にする場合には、以下に示す処理が行われる。
【0119】
すなわち、まず、電力供給処理では、第1シャッター装置10aの近傍に設けられた送水口金具に対して消防ホースを用いて送水することによって
図4のSA1において第2電力供給タイミングが到来したと判定されると、
図4のSA5において第2起動信号が第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに向けて出力された後に、第2電力供給処理(SA6)が起動される。一方、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々の開閉処理では、
図7のSD2において
図4のSA5にて出力された第2起動信号の入力が受け付けられると、第2開閉処理(SD6)が起動される。
【0120】
次に、第2電力供給処理では、
図6のSC1において第1シャッター装置10aに対して電力供給装置100のバッテリ105から電力が供給された後に、
図6のSC2において開放信号が第1シャッター装置10aに向けて出力される。一方、第1シャッター装置10aの第2開閉処理では、まず、
図9のSF1において
図6のSC2にて出力された開放信号の入力が受け付けられると、
図9のSF2において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30が開放移動される。そして、
図9のSF3において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30の状態が全開状態であると判定されると、
図9のSF4において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30の開放移動が停止される。
【0121】
次いで、第2電力供給処理では、第1シャッター装置10aから出力される上限検知信号が入力されることによって
図6のSC3において第1停止タイミングが到来したと判定されると、
図6のSC4において第1シャッター装置10aに対する電力供給装置100のバッテリ105からの電力供給が停止され、
図6のSC5において第2シャッター装置10bに対して電力供給装置100のバッテリ105から電力が供給された後に、
図6のSC6において開放信号が第2シャッター装置10bに向けて出力される。一方、第2シャッター装置10bの第2開閉処理では、まず、
図9のSF1において
図6のSC2にて出力された開放信号の入力が受け付けられると、
図9のSF2において第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30が開放移動される。そして、
図9のSF3において第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30の状態が全開状態であると判定されると、
図9のSF4において第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30の開放移動が停止される。
【0122】
このような2つ目の具体的な例に対応する処理により、停電時には、電力供給装置100から供給される電力を用いて、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30を迅速に開放移動させることができ、消火措置を迅速に講じることが可能となる。
【0123】
(処理−具体的な処理内容−3つ目の具体的な例)
次に、3つ目の具体的な例について説明する。3つ目の具体的な例については、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30の状態が全閉状態において、建物で停電が発生していない場合に、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30の状態を全開状態にする場合には、以下に示す処理が行われる。
【0124】
すなわち、まず、第1シャッター装置10aの開閉処理では、
図7のSD3において第1シャッター装置10aのシャッター側操作装置50から出力される第1操作信号(具体的には、開放信号)の入力が受け付けられると、
図7のSD4において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30が開放移動される。そして、
図7のSD3において第1シャッター装置10aの上限検知部60から出力される上限検知信号の入力が受け付けられると、
図7のSD4において第1シャッター装置10aのシャッターカーテン30の開放移動が停止される。
【0125】
次に、第2シャッター装置10bの開閉処理では、
図7のSD3において第2シャッター装置10bのシャッター側操作装置50から出力される第1操作信号(具体的には、開放信号)の入力が受け付けられると、
図7のSD4において第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30が開放移動される。そして、
図7のSD3において第2シャッター装置10bの上限検知部60から出力される上限検知信号の入力が受け付けられると、
図7のSD4において第2シャッター装置10bのシャッターカーテン30の開放移動が停止される。
【0126】
このような3つ目の具体的な例に対応する処理により、通常時には、商用電源から供給される電力を用いて、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々のシャッターカーテン30を開放移動させたり、当該シャッターカーテン30の開放移動を停止させることができ、通常のシャッター装置と同様の制御を行うことが可能となる。
【0127】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、複数のシャッター装置10のいずれか1つを対象シャッター装置として選択的に指定する指定手段と、指定手段によって指定された対象シャッター装置に対してバッテリ105から電力を供給させる供給制御部107bと、を備えたので、従来技術(2つのシャッター装置10に対して決められた順に電力を供給する技術)に比べて、複数のシャッター装置10のうちユーザのニーズに対応するシャッター装置10に対して電力を効果的に供給させることができ、複数のシャッター装置10の使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0128】
また、電力供給装置100から電力を供給している第1対象シャッター装置に代えて、第2対象シャッター装置に電力が供給する場合には、供給制御部107bが、第1対象シャッター装置に対するバッテリ105からの電力供給を停止させると共に、第2対象シャッター装置に対してバッテリ105から電力を供給させるので、電力供給装置100の無駄な電力消費を回避でき、第2対象シャッター装置に対して駆動に必要な電力を確実に供給することが可能となる。
【0129】
また、供給制御部107bが、破損可能性状態でないと判定された場合には、対象シャッター装置に対するバッテリ105からの電力供給を継続させ、破損可能性状態であると判定された場合には、対象シャッター装置に対するバッテリ105からの電力供給を停止させるので、バッテリ105の過剰な使用等によってバッテリ105が破損することを回避でき、電力供給装置100においてバッテリ105の破損に起因する故障の発生を抑制することが可能となる。
【0130】
また、複数のシャッター装置10のうち、電力供給装置100によって電力が供給される対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させる開閉移動制御部84aを備えたので、電力供給装置100から供給される電力を用いて複数のシャッター装置10のシャッターカーテン30を開閉移動させる場合に、電力供給装置100によって指定された対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させることができ、ユーザのニーズに対応するシャッター装置10のシャッターカーテン30を効果的に開閉移動させることが可能となる。
【0131】
また、開閉移動制御部84aが、操作部101によって受け付けられた操作指示に基づいて対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させるので、あらかじめ記憶された操作指示に基づいて対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させる場合に比べて、ユーザのニーズに応じて対象シャッター装置のシャッターカーテン30を開閉移動させることができ、複数のシャッター装置10の使用におけるユーザの利便性を一層向上させることが可能になる。
【0132】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る制御システムについて説明する。この実施の形態2は、外部電源手段をバッテリ及び発電機とした形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0133】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る制御システムが適用される開閉システムの構成について説明する。実施の形態2に係る開閉システム1は、実施の形態1に係る開閉システム1とほぼ同様に構成されている。ただし、電力供給装置100の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0134】
(構成−電力供給装置)
次に、電力供給装置100の構成の詳細について説明する。この電力供給装置100は、
図10に示すように、操作部101、入力部102、出力部103、水圧検知部(図示省略)、検知部104、バッテリ105、発電機109、電力変換部106、制御部107、及び記憶部108を備えている。
【0135】
(構成−電力供給装置−操作部)
操作部101は、開放ボタン、閉鎖ボタン、停止ボタン、及び指定ボタンを備えていることに加えて、バッテリ105又は発電機109のいずれか一方の切り替えを指示する切替ボタンを備えている(いずれも図示省略)。そして、切替ボタンがユーザによって押圧された場合に、指定ボタンに応じた切替信号を制御装置80に出力することで、電力の供給元をバッテリ105又は発電機109のいずれか一方に切り替えることができる。
【0136】
(構成−電力供給装置−発電機)
発電機109は、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bに対して電力を供給することが可能な外部電源手段であると共に、電力を発生させる電力発生手段であり、例えば、公知の発電機等を用いて構成されている。なお、実施の形態2では、この発電機109は、電力供給装置100にあらかじめ設置されているものとして説明するが、これに限られず、例えば、電力供給装置100にあらかじめ設置されておらず、外部から持ち運んで電力供給装置100に取り付けたものであってもよい。
【0137】
(構成−電力供給装置−制御部)
制御部107は、
図10に示すように、機能概念的に、指定部107a、供給制御部107b、判定部107c、及び切替部107dを備えている。このうち、切替部107dは、操作部101から出力される切替信号に基づいてバッテリ105又は発電機109のいずれか一方を選択的に切り替えることにより、当該切り替えられたバッテリ105又は発電機109のいずれか一方からの対象シャッター装置に対する電力供給を可能とするものである。なお、上述した「操作部101の切替ボタン」及び「切替部107d」は、特許請求の範囲における「切替手段」に対応する。
【0138】
(処理)
次に、このように構成された開閉システム1によって実行される処理について説明する。実施の形態2に係る開閉システム1によって実行される処理は、実施の形態1に係る開閉システム1によって実行される処理とほぼ同様に構成されている。ただし、第1電力供給処理の処理内容については、下記に示す工夫が施されている。
【0139】
(処理−第1電力供給処理)
ここで、第1電力供給処理について説明する。なお、実施の形態2に係る第1電力供給処理における
図11のSB1、SB2、SB5からSB15は、実施の形態2に係る第1電力供給処理における
図5のSB1からSB13とそれぞれ同様であるので、説明を省略する。
【0140】
図11に示すように、SB3において電力供給装置100の制御部107は、操作部101から出力される切替信号の入力が入力部102によって受け付けられたか否かを判定する。そして、電力供給装置100の制御部107は、切替信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SB3、Yes)にはSB4へ移行し、切替信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SB3、No)にはSB5へ移行する。
【0141】
SB4において電力供給装置100の切替部107dは、操作部101から出力される切替信号に基づいて、バッテリ105又は発電機109のいずれか一方を電力の供給元として切り替え、その後SB5へ移行する。
【0142】
このような第1電力供給処理により、SB6において、対象シャッター装置に対してSB6にて切り替えられたバッテリ105又は発電機109のいずれか一方から電力が供給されるので、使用状況に応じてバッテリ105又は発電機109のいずれか一方からの電力供給を切り替えることができ、バッテリ105又は発電機109が破損することを一層回避することができる。
【0143】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、供給制御部107bが、対象シャッター装置に対して切替手段によって切り替えられたバッテリ105又は発電機109のいずれか一方から電力を供給させるので、使用状況に応じてバッテリ105又は発電機109のいずれか一方からの電力供給を切り替えることができ、バッテリ105又は発電機109が破損することを一層回避することができる。
【0144】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0145】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0146】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、電力供給装置100を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部107を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に記憶部108を設けてもよい。
【0147】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0148】
(シャッター装置について)
上記実施の形態1、2では、シャッター装置10の設置数が2台(第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10b)であると説明したが、これに限られず、例えば、3台以上であってもよい。この場合には、第2電力供給処理において、3台以上のシャッター装置10に対して決められた順に電力供給装置100から電力が供給される。また、第2開閉処理において、3台以上のシャッター装置10の各々のシャッターカーテン30の開放移動を決められた順に行う。
【0149】
(電力供給装置について)
上記実施の形態1、2では、電力供給装置100が、第1シャッター装置10aの制御装置80及び第2シャッター装置10bの制御装置80と接続されていると説明したが、これに限られず、例えば、第1シャッター装置10aの制御装置80及び第2シャッター装置10bの制御装置80の各々と取り外し可能に接続されてもよい。これにより、例えば、電力供給装置100を既設の複数のシャッター装置10に容易に接続することができ、既設の複数のシャッター装置10に対して電力を供給することが可能となる。
【0150】
また、上記実施の形態1、2では、電力供給装置100の操作部101が、タッチパネルを用いて構成されていると説明したが、これに限られず、例えば、ハードスイッチを用いて構成されてもよい。
【0151】
また、上記実施の形態1、2では、電力供給装置100の検知部104が、温度センサを用いて構成されていると説明したが、これに限られず、例えば、バッテリ105の電力消費状態を検知できるように、電力量センサを用いて構成されてもよい。
【0152】
また、上記実施の形態1では、電力供給装置100のバッテリ105を備えていると説明したが、これに限られず、例えば、バッテリ105を省略して、発電機(具体的には、電力供給装置100にあらかじめ設置された発電機、又は外部から持ち運んで電力供給装置100に取り付けた発電機等)を備えてもよい。この場合には、電力供給装置100の電力変換部106を省略してもよい。
【0153】
また、上記実施の形態1、2では、電力供給装置100が、検知部104及び判定部107cを備えていると説明したが、これに限られず、例えば、検知部104及び判定部107cを省略してもよい。この場合には、例えば、実施の形態1に係る第1電力供給処理の
図5のSB3、SB7、及びSB8の処理を省略できる。
【0154】
(水圧検知部について)
上記実施の形態1、2では、水圧検知部が電力供給装置100に設けられていると説明したが、これに限られず、例えば、電力供給装置100に代えて、第1シャッター装置10a及び第2シャッター装置10bの各々に設けられてもよい。この場合には、電力供給処理の
図4のSA4において、第1シャッター装置10a又は第2シャッター装置10bのいずれか一方の水圧検知部(又は両方の水圧検知部)から水圧検知信号の入力を入力部102によって受け付けられた場合に、
図4のSA5へ移行させる。
【0155】
(開閉システムによって実行される処理について)
上記実施の形態では、開閉システムによって実行される処理においては、第2電力供給処理及び第2開閉処理が実行されると説明したが、これに限られず、例えば、第2電力供給処理及び第2開閉処理を省略してもよい。この場合には、
図4のSA4からSA6の処理、及び
図7のSD2、SD6の処理を省略できる。
【0156】
(第1電力供給処理について)
上記実施の形態1では、SB2及びSB10の処理が実行されると説明したが、これに限られず、例えば、SB2及びSB10を省略してもよい(なお、実施の形態2に係る第1電力供給処理についても同様とする)。この場合には、第1開閉処理の
図8のSE1、SE5、及びSE6の処理を省略することができる。また、上記実施の形態1では、SB13の処理が実行されると説明したが、これに限られず、例えば、SB13を省略してもよい(なお、実施の形態2に係る第1電力供給処理についても同様とする)。この場合には、電力供給処理の
図4のSA2及びSA5を省略できると共に、開閉処理の
図7のSD1、SD2、SD5、及びSD6を省略できるが、
図7のSD3において第2操作信号(開放信号、閉鎖信号、停止信号)の入力が受け付けられるようにする。
【0157】
また、上記実施の形態1では、SB5及びSB6の処理が実行されると説明したが、これに限られず、例えば、SB5及びSB6を省略してもよい。この場合には、第1開閉処理の
図8のSE3において、第2操作信号の入力に代えて、シャッター側操作装置50から出力される第1操作信号(開放信号、閉鎖信号、停止信号)の入力が受け付けられるようにする。また、
図8のSE4において、SE3に受け付けられた第1操作信号に基づいて、シャッターカーテン30を開閉移動させたり、又はシャッターカーテン30の開閉移動を停止させる。また、電力供給装置100の操作部101の開放ボタン、閉鎖ボタン、及び停止ボタン(操作手段)を省略してもよい。
【0158】
(第1開閉処理について)
上記実施の形態1、2では、SE3において、第2操作信号、上限検知信号、又は下限検知信号の入力が受け付けられると説明したが、これに限られず、例えば、これらの信号に加えて、シャッター側操作装置50から出力される第1操作信号(開放信号、閉鎖信号、停止信号)の入力が受け付けられてもよい。この場合には、SE4において、SE3に受け付けられた第1操作信号に基づいて、シャッターカーテン30を開閉移動させたり、又はシャッターカーテン30の開閉移動を停止させてもよい。
【0159】
(付記)
付記1の電力供給装置は、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数のシャッター装置に対して電力を供給するための電力供給装置であって、前記複数のシャッター装置に対して電力を供給することが可能な外部電源手段と、前記複数のシャッター装置のいずれか1つを、前記外部電源手段から電力が供給される対象となる対象シャッター装置として選択的に指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された前記対象シャッター装置に対して前記外部電源手段から電力を供給させる供給制御手段と、を備えた。
【0160】
付記2の電力供給装置は、付記1に記載の電力供給装置において、当該電力供給装置から電力を供給している前記対象シャッター装置である第1対象シャッター装置に代えて、前記第1対象シャッター装置とは異なる前記対象シャッター装置である第2対象シャッター装置に電力が供給する場合には、前記供給制御手段は、前記第1対象シャッター装置に対する前記外部電源手段からの電力供給を停止させると共に、前記第2対象シャッター装置に対して前記外部電源手段から電力を供給させる。
【0161】
付記3の電力供給装置は、付記1又は2に記載の電力供給装置において、前記外部電源手段が破損する可能性が高い破損可能性状態であるか否かを判定する判定手段を備え、前記供給制御手段は、前記判定手段によって前記破損可能性状態でないと判定された場合には、前記対象シャッター装置に対する前記外部電源手段からの電力供給を継続させ、前記判定手段によって前記破損可能性状態であると判定された場合には、前記対象シャッター装置に対する前記外部電源手段からの電力供給を停止させる。
【0162】
付記4の電力供給装置は、付記1から3のいずれか一項に記載の電力供給装置において、前記外部電源手段は、電力を蓄電するバッテリと、電力を発生させる発電機と、を含み、前記バッテリ又は前記発電機のいずれか一方を選択的に切り替えることにより、当該切り替えられた前記バッテリ又は前記発電機のいずれか一方からの前記対象シャッター装置に対する電力供給を可能とする切替手段を備え、前記供給制御手段は、前記対象シャッター装置に対して前記切替手段によって切り替えられた前記バッテリ又は前記発電機のいずれか一方から電力を供給させる。
【0163】
付記5の制御システムは、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数のシャッター装置であって、対応する前記開口部を開閉するシャッターカーテンを備える複数のシャッター装置を制御するための制御システムであって、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力供給装置と、前記複数のシャッター装置のうち、前記電力供給装置によって電力が供給される対象シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させる開閉移動制御手段と、を備えた。
【0164】
付記6の制御システムは、付記5に記載の制御システムにおいて、前記対象シャッター装置のシャッターカーテンの開閉移動に関する操作指示を受け付けるための操作手段を備え、前記開閉移動制御手段は、前記操作手段によって受け付けられた前記操作指示に基づいて前記対象シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させる。
【0165】
(付記の効果)
付記1に記載の電力供給装置によれば、複数のシャッター装置のいずれか1つを対象シャッター装置として選択的に指定する指定手段と、指定手段によって指定された対象シャッター装置に対して外部電源手段から電力を供給させる供給制御手段と、を備えたので、従来技術(2つのシャッター装置に対して決められた順に電力を供給する技術)に比べて、複数のシャッター装置のうちユーザのニーズに対応するシャッター装置に対して電力を効果的に供給させることができ、複数のシャッター装置の使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0166】
付記2に記載の電力供給装置によれば、電力供給装置から電力を供給している第1対象シャッター装置に代えて、第2対象シャッター装置に電力が供給する場合には、供給制御手段が、第1対象シャッター装置に対する外部電源手段からの電力供給を停止させると共に、第2対象シャッター装置に対して外部電源手段から電力を供給させるので、電力供給装置の無駄な電力消費を回避でき、第2対象シャッター装置に対して駆動に必要な電力を確実に供給することが可能となる。
【0167】
付記3に記載の電力供給装置によれば、供給制御手段が、破損可能性状態でないと判定された場合には、対象シャッター装置に対する外部電源手段からの電力供給を継続させ、破損可能性状態であると判定された場合には、対象シャッター装置に対する外部電源手段からの電力供給を停止させるので、外部電源手段の過剰な使用等によって外部電源手段が破損することを回避でき、電力供給装置において外部電源手段の破損に起因する故障の発生を抑制することが可能となる。
【0168】
付記4に記載の電力供給装置によれば、供給制御手段が、対象シャッター装置に対して切替手段によって切り替えられたバッテリ又は発電機のいずれか一方から電力を供給させるので、使用状況に応じてバッテリ又は発電機のいずれか一方からの電力供給を切り替えることができ、バッテリ又は発電機が破損することを一層回避することができる。
【0169】
付記5に記載の制御システムによれば、複数のシャッター装置のうち、電力供給装置によって電力が供給される対象シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させる開閉移動制御手段を備えたので、電力供給装置から供給される電力を用いて複数のシャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させる場合に、電力供給装置によって指定された対象シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させることができ、ユーザのニーズに対応するシャッター装置のシャッターカーテンを効果的に開閉移動させることが可能となる。
【0170】
付記6に記載の制御システムによれば、開閉移動制御手段が、操作手段によって受け付けられた操作指示に基づいて対象シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させるので、あらかじめ記憶された操作指示に基づいて対象シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させる場合に比べて、ユーザのニーズに応じて対象シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させることができ、複数のシャッター装置の使用におけるユーザの利便性を一層向上させることが可能になる。