(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記最表面層は、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、更に抗菌剤:0.1〜5質量部及び消臭剤:5〜15質量部を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の床材。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の床材においては、ウレタンアクリレートとアクリレートを主成分として含む最表面層の構成を規定したものであり、最表面層以外の他の構成については、何ら限定するものではなく、例えば後記
図1にその断面構造を例示するような床材も、本発明の床材に含まれる。
【0020】
まず、最表面層を構成する各成分について説明する。本発明の床材における最表面層は、上記のようにウレタンアクリレートとアクリレートを主成分として含む。このうちウレタンアクリレートは、適度な柔軟性を有し、クラックが生じにくい(すなわち、耐クラック性の良好な)樹脂である。ウレタンアクリレートの柔軟性は、官能基の数によっても影響される。官能基の数が多くなるにつれて、最表面層が硬くなって脆くなり、耐クラック性が劣化する。最表面層に適度な柔軟性を与えて耐クラック性を良好にするためには、ウレタンアクリレートの官能基数は、1〜4であることが好ましい。
【0021】
一方、アクリレートは、最表面層に艶消し性を付与する樹脂である。アクリレートによる艶消し性付与効果は、官能基の数によっても影響される。官能基の数が多くなるにつれて、アクリレートが硬くなって艶消し性が低下する。最表面層に適度な艶消し性を与えるためには、アクリレートの官能基数は、1または2であることが好ましい。
【0022】
最表面層としての基本的な特性を発揮させるためには、前記ウレタンアクリレートの樹脂量と前記アクリレートの樹脂量の質量割合も適切にする必要がある。こうした観点から、質量割合(ウレタンアクリレートの樹脂量:アクリレートの樹脂量)が、40:60〜70:30であることが必要である。
【0023】
ウレタンアクリレートの樹脂量が多くなって(アクリレートの樹脂量が少なくって)、上記質量割合を外れると、良好な艶消し性が得られない。また、ウレタンアクリレートの樹脂量が少なくなって(アクリレートの樹脂量が多くなって)、上記質量割合を外れると、良好な艶消し性が得られるが、ウレタンアクリレートによる効果が低減し、最表面層の耐摩耗性や耐汚染性が劣化する。質量割合(ウレタンアクリレートの樹脂量:アクリレートの樹脂量)は、好ましくは50:50〜65:35である。
【0024】
最表面層には、その一部に(例えば、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計に対して40質量%程度まで)ウレタンアクリレートとアクリレート以外の樹脂を含有させてもよい。このような樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を挙げることができる。この最表面層中には、所定量の無機粒子、樹脂ビーズ、表面調整剤及び光重合開始剤を含有させる。
【0025】
無機粒子は、床材に艶消し性を付与するためには含有させるものであり、その代表的なものとして、前述したシリカ粒子が挙げられるが、酸化アルミニウム粒子や酸化チタン粒子等であってもよく、その1種または2種以上を用いることができる。このうち、艶消し性・透明度の発現性を考慮すると、シリカ粒子であることが好ましい。また無機粒子の平均粒径は、1〜5μm程度であることが好ましい。
【0026】
無機粒子は、後述する樹脂ビーズの作用効果との関係から、無添加であってもよいが、含有させる場合には、その含有量はウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましい。しかしながら、無機粒子の含有量が過剰になると、後述する表面調整剤による効果が低減され、耐汚染性が悪くなる。こうした観点から、無機粒子の含有量は、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、10質量部以下とする必要がある。好ましくは、8質量部以下である。
【0027】
無機粒子を最表面層に含有させた場合には、床材の艶消し性は良好になるが、良好な耐摩耗性を兼備することが難しくなる。そこで、本発明の最表面層には、上記のような無機粒子とともに、或いは無機粒子の代わりに、樹脂ビーズを含有させる。この樹脂ビーズを最表面層中に含有させることによって、床材の耐摩耗性を向上させることができる。
【0028】
上記樹脂ビーズの種類としては、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂からなるものであってもよいが、マトリックスの一部をなすウレタンアクリレートとの馴染み性が良好であることを考慮すると、ウレタンからなる樹脂ビーズであることが好ましい。
【0029】
樹脂ビーズは、ウレタンアクリレートに比べて硬いものであり、このような樹脂ビーズをウレタンアクリレート内に分散させることによって、最表面層の耐摩耗性を向上させることができる。またこのような樹脂ビーズは、たとえウレタンアクリレートと同種の樹脂を用いた場合であっても、マトリックスとなるウレタンアクリレートと光屈折率が異なるので、艶消し性を付与する機能を発揮する。
【0030】
樹脂ビーズは基本的には球状であるが、必ずしも真球状である必要はなく、多少いびつな形状であっても良い。また、樹脂ビーズの平均粒径(いびつな形状の場合は、長径と短径の平均)は、特に限定されないが、5〜20μm程度であることが好ましく、より好ましくは10〜15μm程度である。
【0031】
上記の効果を有効に発揮させるためには、樹脂ビーズの含有量は、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、1質量部以上とする必要がある。好ましくは5質量部以上である。しかしながら、樹脂ビーズの含有量が過剰になると、最表面層の硬度が高くなって脆くなり、最表面層にクラックが発生しやすくなる。したがって、樹脂ビーズの含有量は、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、15質量部以下とする必要がある。好ましくは、10質量部以下である。
【0032】
樹脂ビーズは、上記のように最表面層の耐摩耗性を向上させるとともに、艶消し性向上にも寄与する。こうした観点からして、無機粒子を含有しない場合であっても、本発明で目的とする艶消し性と耐摩耗性を付与することはできる。
【0033】
但し、樹脂ビーズが、艶消し性と耐摩耗性の両特性を向上させるという点を考慮すれば、樹脂ビーズと無機粒子の両方を併用する場合には、樹脂ビーズを無機粒子よりも多く含有させることが有効である。上記のような場合には、無機粒子と樹脂ビーズの合計含有量は、ウレタンアクリレート100質量部に対して、5〜15質量部程度とすることが好ましい。
【0034】
表面調整剤は、耐汚染性を向上させるために含有させる。すなわち、表面調整剤は、最表面層を形成する際に、コーティング剤に低い表面張力を与えるように作用し、コーティング剤に優れた均一塗布性を実現し、最表面層表面の平滑度を高めるため、床材の耐汚染性が優れたものとなる。
【0035】
床材の耐汚染性とは、例えば、最表面層に微細な凹凸が存在したり、微細な疵が存在したりすると、キャスターなどの黒色ゴムが付着しやすくなるのであるが、このような汚れがつきにくく、拭き掃除等の簡単なメンテナンスで汚れが落ちやすい特性を意味する。
【0036】
こうした効果を発揮させるためには、表面調整剤の含有量は、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、5質量部以上とする必要がある。好ましくは7質量部以上である。しかしながら、表面調整剤の含有量が過剰になっても、最表面層の強度が低下して耐摩耗性が劣化するので、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、20質量部以下とする必要がある。好ましくは、15質量部以下である。上記のような作用を発揮する表面調整剤としては、代表的には、フッ素系紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0037】
本発明の床材においては、最表面層内に無機粒子や樹脂ビーズを分散して含有させることによって、耐摩耗性の向上を図るものであり、前記特許文献3、4に示されるような、合成樹脂粒状体や無機充填材を樹脂表面から露出または突出させることによって耐摩耗性を向上させる技術とは異なる。本発明の床材では、上記のような表面調整剤を最表面層に含有させることによって、最表面層表面における平滑度を高めて、耐汚染性をも良好にできる。
【0038】
本発明の最表面層には、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、溶融状態にあるコーティング剤に対して、紫外線照射によってウレタンアクリレートの硬化を開始させ、ウレタンアクリレートを最表面層として形成する効果を発揮する。
【0039】
こうした効果を発揮させるためには、光重合開始剤の含有量は、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、1質量部以上とする必要がある。好ましくは、3質量部以上である。しかしながら、光重合開始剤の含有量が過剰になっても、その効果が飽和するので、8質量部以下とする必要がある。好ましくは、7質量部以下である。
【0040】
本発明で用いる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0041】
最表面層中には、本発明の目的を阻害しない範囲で、抗菌剤、消臭剤等を含有させてもよい。抗菌剤としては、ニトリル系化合物、ピリジン系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、有機ヨード系化合物、チアゾール系化合物、ベンズイミダゾール化合物、わさび成分(アリルイソチオシアネート)、銀・亜鉛・銅などの無機系の化合物等が挙げられる。また消臭剤としては、無機系化合物と有機系化合物があり、無機系化合物では、銀イオンや亜鉛イオンを有する珪酸塩化合物、銀イオンや亜鉛イオンを有するリン酸塩化合物、銀イオンや亜鉛イオンを有するリン酸カルシウム化合物、活性炭、ホタテ貝殻を焼成した水酸化カルシウム等が挙げられる。これらを含有する場合に、抗菌剤では、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、0.1〜5質量部程度が好ましく、より好ましくは0.5〜1質量部程度である。また消臭剤では、ウレタンアクリレートとアクリレートの合計100質量部に対して、5〜15質量部程度が好ましく、より好ましくは5〜10質量部程度である。
【0042】
上記のような最表面層は、耐摩耗性、耐汚染性及び耐クラック性等に優れたものとなるが、これらの特性を有効に発揮させて本発明の目的を達成するためには、最表面層の厚さも適切な範囲とする必要がある。すなわち、本発明の最表面層の厚さは、0.01〜0.03mmとする必要があり、最表面層の厚さをこの範囲内とすることによって、上記の特性が有効に発揮される。
【0043】
最表面層の厚さが0.01mmよりも薄くなると、耐摩耗性が劣化するばかりか、樹脂ビーズの影響によって、表面の平滑度が低下し、耐汚染性も悪くなる。また、艶消し性も若干低下する。一方、最表面層の厚さが0.03mmよりも厚くなると、最表面層の靱性が低下して耐クラック性が劣化する。好ましくは0.02mm以下である。
【0044】
上記のような構成の最表層を有する床材においては、最表面層のグロス値が20以下であるような優れた艶消し性を発揮できる。このグロス値は10以下であることが好ましい。なお、グロス値は、艶消し性を示す値であり、JIS Z 8741:1997に準拠して求められる。
【0045】
本発明の床材は、最表面層の構成を規定したものであって、最表面層の裏面の構成(すなわち、他の積層構成)については、何ら限定するものではないが、例えば下記のような構成を例示できる。
【0046】
具体的には、本発明の一実施形態に係る床材1は、例えば、
図1に示すように、最表面層2の裏面に、透明樹脂層3、印刷層4、非発泡層5、補強層6、発泡層7及び不織布層8を備える。
【0047】
(透明樹脂層3)
透明樹脂層3は、最表面層をサポートして最表面層に疵等が発生しないようにする作用を発揮する。また透明樹脂層を設けずに、最表面強化層だけでその機能を発揮させようとすると、最表面層の厚みが厚くなり過ぎ、最表面層が硬くなるとともに、コストアップを招くことにもなる。
【0048】
透明樹脂層3の具体的な構成としては、例えば重合度が1000〜1500程度のペーストポリ塩化ビニル(以下、「ペーストPVC」と記載することがある)を主体とし、これにブレンドポリ塩化ビニル(以下、「ブレンドPVC」と記載することがある)を配合し、更に可塑剤(例えば、フタル酸ジオクチル)を配合することによって構成される。この透明樹脂層3は、上記の効果を発揮させるためには、その厚さは、例えば0.1〜1.5mm程度であることが好ましく、より好ましくは0.12〜1.0mm程度である。
【0049】
(印刷層4)
印刷層4は、床材に、色彩や装飾を付与するために配置されるものであり、例えば、熱可塑性樹脂シート表面に、木目調等の装飾を印刷して構成される。
【0050】
(非発泡層5)
非発泡層5は、床材に耐キャスター性を付与するという作用を発揮するものであり、例えば重合度が1000〜1500程度のペーストPVCを主体とし、これにブレンドPVCを配合し、更に可塑剤(例えば、フタル酸ジオクチル)と共に、充填剤(強化剤)としての重質炭酸カルシウムを配合することによって構成される。この非発泡層5は、上記の効果を発揮させるためには、その厚さは、例えば0.1〜1.5mm程度であることが好ましく、より好ましくは0.12〜1.0mm程度である。
【0051】
なお、耐キャスター性とは、キャスター付き機器の移動がある場所で使用される床材に要求される特性であり、キャスターによるねじり力に対する床材表面の耐性を意味する。この耐キャスター性は、JIS A 1455に規定される「耐キャスター性試験A法」によって評価される特性である。
【0052】
(補強層6)
補強層6は、床材の寸法安定性を高め、ソリを防止するという作用を発揮するものであり、例えば重合度が1000〜1500程度のペーストPVCを、補強材としてのガラス繊維製不織布に含浸することによって構成される。このとき用いるガラス繊維製不織布は、目付量が30〜80g/m
2程度であるものが好ましく、より好ましくは32〜60g/m
2程度である。また補強層6は、上記の効果を発揮させるためには、その塗布量は200〜500g/m
2程度であることが好ましく、より好ましくは250〜450g/m
2程度である。
【0053】
(発泡層7)
発泡層7は、床材に衝撃吸収性を付与するために配置されるものであり、例えば重合度が1000〜1500程度のペーストPVCを主体とし、これにブレンドPVCを配合し、更に可塑剤(例えば、フタル酸ジオクチル)、重質炭酸カルシウムと共に、発泡剤を配合することによって構成される。
【0054】
すなわち、上記のような発泡剤を配合することによって、発泡層7内に多数の独立気泡を形成させ、床材の衝撃吸収性を高める。このとき用いる発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルホドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の熱分解型有機発泡剤を挙げることができる。
【0055】
発泡層7を配置することによって上記の効果を発揮させるためには、発泡層7における発泡倍率は3〜5程度であることが好ましい。また、発泡層7の厚さは0.5〜5mm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜3mm程度である。
【0056】
なお、衝撃吸収性とは、床材のクッション性を示す特性であり、例えば、JIS A 6519の床の硬さ試験に準じて測定した最大加速度(G値)で評価される。
【0057】
(不織布層8)
不織布層8は、本発明の床材を床下地(前記
図1参照)に接着する際に、床材と床下地の接着強度を高めるために配置される。この不織布層8は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維からなる不織布層によって構成される。不織布層8の塗布量は10〜50g/m
2程度であることが好ましい。
【0058】
図1に示したような床材は、床下地の表面に接着剤9によって接着され、少なくとも耐摩耗性、耐汚染性及び耐クラック性に優れた床構造を形成する。本発明の床材は、
図1に示した構成に限らず、要求される特性に応じて、各層の積層順や積層数を変更することも可能である。また、
図1に示したような積層構造を実現する方法としては、特に限定はなく、通常用いられている方法によって積層することができる。
【0059】
そして、ウレタンアクリレートとアクリレートを主成分として含む最表面層は、最終的に積層構造の最表面に形成する。この最表面層は、無機粒子や樹脂ビーズ等を分散して含有させることや、塗布性を考慮すれば、ウレタンアクリレートとアクリレートを無溶媒型のコーティング剤として用いて最表面層を形成することが好ましい。無溶媒型のコーティング剤を用いることによって、コーティング剤の相分離を招くことなく、コーティング剤中の無機粒子や樹脂ビーズ等を均一に分散させることができる。
【0060】
ウレタンアクリレートとアクリレートを主成分として含むコーティング剤は、溶融させた状態で床材の最表面に塗布される。このコーティング剤は、光重合開始剤を含有しており、紫外線照射することによって、ウレタンアクリレートが重合硬化し、本発明の床材の最表面層となる。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0062】
なお、本実施例で使用した各成分の詳細は以下の通りである。
・ウレタンアクリレート:3官能ウレタンアクリレート、5官能ウレタンアクリレート
・アクリレート:単官能アクリレート
・無機粒子:シリカ粒子(平均粒径5μm)
・樹脂ビーズ:ウレタンビーズ(平均粒径6μm)
・光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・表面調整剤:フッ素系紫外線硬化樹脂
・抗菌剤:Ag−Cu系化合物
・消臭剤:亜鉛イオンを有する珪酸塩化合物
上各記成分を用い、以下に示す方法により最表面層2を形成した。
【0063】
表1、2に示す成分割合(表中の成分の数値はすべて質量部を示す)で、各種原料を混合し、無溶媒型で均一なコーティング剤を調製し、このコーティング剤を、透明樹脂層3(
図1)上に塗布して、最表面層2を、表1、2に示す厚さで形成した。
【0064】
前記
図1に示した積層構造を形成する他の層(最表面層以外の層)の構成は、下記の通りである。
【0065】
(透明樹脂層3)
(1)重合度が1000〜1500のペーストPVC
(2)ブレンドPVC
(3)可塑剤:DOP(フタル酸ジオクチル)
(4)厚さ:0.3mm
(印刷層4)
熱可塑性樹脂シートに、印刷したものを用いた。
(非発泡層5)
(1)重合度が1000〜1500のペーストPVC
(2)ブレンドPVC
(3)可塑剤:DOP(フタル酸ジオクチル)
(4)充填剤:重質炭酸カルシウム
(5)厚さ:0.2mm
(補強層6)
(1)重合度が1000〜1500のペーストPVC
(2)可塑剤:DOP(フタル酸ジオクチル)
(3)補強材:ガラス繊維製不織布、目付量40/m
2
(4)塗布量:315g/m
2
(発泡層7)
(1)重合度が1000〜1500のペーストPVC
(2)ブレンドPVC
(3)可塑剤:DOP(フタル酸ジオクチル)
(4)充填剤:重質炭酸カルシウム
(5)発泡剤:ADCA(アゾジカルボンアミド)
(6)発泡倍率:3.7倍
(7)厚さ:2mm
(不織布層8)
(1)PET繊維からなる不織布層
(2)塗布量:12g/m
2
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
上述のようにして得られた試料(実施例1〜10及び比較例1〜9)について、以下の評価試験を行った。
【0069】
[艶消し性]
光沢度計を用い、JIS Z 8741:1997に準拠して、グロス値を測定し、下記の基準で艶消し性を評価した。
◎:グロス値が10以下(艶消し性に優れる)
○:グロス値が11以上、20以下(艶消し性が良好)
×:グロス値が21以上(艶消し性が悪い:「てかり」が生じる)
【0070】
[耐摩耗性]
JIS K 7204に準拠してテーバ摩耗試験を行い(荷重:9.80N)、試験前と試験後の試験片表面の磨耗跡の状態を観察し、下記の基準で耐摩耗性を評価した。
◎:摩耗跡なし(耐摩耗性が優れる)
○:擦ると摩耗跡が若干でてくる
×:摩耗跡が完全に見える
【0071】
[耐汚染性]
上記テーバ摩耗試験後の試験片に、カーボン粉末を振り掛け、試験片表面におけるカーボン粉末の付着の有無を観察し、下記の基準で耐汚染性を評価した。
◎:カーボン粉末の付着なし(耐汚染性が優れる)
○:カーボン粉末の微量の付着あり(耐汚染性が良好)
×:カーボン粉末の付着あり(耐汚染性が悪い)
【0072】
[耐クラック性]
JIS A 1454に準拠して柔軟性試験を行い、試験片表面のクラック発生状況から、下記の基準で耐クラック性を評価した。
○:クラック発生なし
×:クラック発生あり
【0073】
以上の評価結果を表3、4に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
表3からわかるように、本発明で規定する要件を満足する床材(実施例1〜10)は、耐摩耗性、耐汚染性及び耐クラック性のいずれにおいても優れていた。
【0077】
これに対し、本発明で規定するいずれかの要件を満足しない床材(表4の比較例1〜9)では、いずれかの特性で劣っていた。具体的には、比較例1は、最表面層2を形成しなかった例であり、透明樹脂層3の存在によって耐クラック性は良好であったものの、艶消し性、耐摩耗性及び耐汚染性が劣化している。
【0078】
比較例2は、アクリレートの樹脂量が多くなった例であり、艶消し性及び耐クラック性では良好であったものの、耐摩耗性及び耐汚染性が劣化している。比較例3は、アクリレートの樹脂量が少なくなった例であり、耐摩耗性、耐汚染性及び耐クラック性は良好であったものの、艶消し性が劣化している。
【0079】
比較例4は、樹脂ビーズの含有量が過剰になった例であり、艶消し性、耐摩耗性及び耐汚染性は良好であったものの、耐クラック性が劣化している。比較例5は、無機粒子の含有量が過剰となり、また無機粒子の含有量が樹脂ビーズの含有量よりも多くなった例であり(無機粒子と樹脂ビーズの含有量も好ましい範囲を外れる)、艶消し性及び耐クラック性は良好であったものの、耐摩耗性及び耐汚染性が劣化している。
【0080】
比較例6は、最表面層2の厚さが薄くなった例であり、耐クラック性は良好であったものの、艶消し性、耐摩耗性及び耐汚染性が劣化している。比較例7は、最表面層2の厚さが薄くなっている例であり、耐クラック性は良好であったものの、艶消し性、耐摩耗性及び耐汚染が劣化している。
【0081】
比較例8は、最表面層2の厚さが厚くなっている例であり、艶消し性、耐摩耗性及び耐汚染性は良好であったものの、耐クラック性が劣化している。比較例9は、5官能ウレタンアクリレートを用いた例であり、艶消し性、耐摩耗性及び耐汚染性は良好であったものの、耐クラック性が劣化している。