(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スイッチケース(10)と、このスイッチケース(10)に揺動可能に取付けられる操作ノブ(N)と、この操作ノブ(N)を非操作時には所定の非操作位置(N0)に付勢、保持し得る付勢手段(SW1〜SW3)とを備えており、
前記操作ノブ(N)は、これを前記スイッチケース(10)に対し、前記非操作位置(N0)から所定のプッシュ操作位置(N3)へ第1軸線(L1)回りに揺動させるようにしてプッシュ操作可能であると共に、前記非操作位置(N0)から所定のトグル操作位置(N1,N2)へ、前記第1軸線(L1)と直交する第2軸線(L2)回りに揺動させるようにしてトグル操作可能であるスイッチ装置であって、
前記スイッチケース(10)には、前記操作ノブ(N)が前記プッシュ操作位置(N3)にきたとき該操作ノブ(N)に係合してオン又はオフに切換わるプッシュ用スイッチ(SW3)と、前記操作ノブ(N)が前記トグル操作位置(N1,N2)にきたとき該操作ノブ(N)に係合してオン又はオフに切換わるトグル用スイッチ(SW1,SW2)とが設けられ、
前記操作ノブ(N)と前記プッシュ用スイッチ(SW3)との係合部である第1の係合部(a3)は前記第2軸線(L2)上に配置され、
前記操作ノブ(N)と前記トグル用スイッチ(SW1,SW2)との係合部である第2の係合部(a1,a2)は、前記第1の係合部(a3)よりも、前記第2軸線(L2)に沿う方向で前記第1軸線(L1)に近い位置に配置され、
前記操作ノブ(N)に対する前記トグル操作及び前記プッシュ操作が誤って両方共行われたときに、その操作途中から何れか一方の操作しかできなくなるように該操作ノブ(N)の揺動変位を規制するストッパ手段(ST1,ST2)が、前記スイッチケース(10)及び該操作ノブ(N)間に設けられ、
前記ストッパ手段(ST1,ST2)は、前記第2の係合部(a1,a2)を通り且つ第2軸線と平行な仮想直線と、前記第1の係合部(a3)を通り且つ第1軸線と平行な仮想直線との交点の近傍部に配置されることを特徴とする、スイッチ装置。
前記操作ノブ(N)に対する前記トグル操作及び前記プッシュ操作が誤って両方共行われたときに、その操作途中から何れか一方の操作しかできなくなるように該操作ノブ(N)の揺動変位を規制するストッパ手段(ST1,ST2)が、前記スイッチケース(10)及び該操作ノブ(N)間に設けられることを特徴とする、請求項2又は3に記載のスイッチ装置。
前記付勢手段は、前記第1軸線(L1)回りの揺動方向で前記操作ノブ(N)を前記非操作位置(N0)に付勢、保持し得る第1付勢手段(SW3)と、前記第2軸線(L2)回りの揺動方向で前記操作ノブ(N)を前記非操作位置(N0)に付勢、保持し得る第2付勢手段(SW1,SW2)とを含み、
前記プッシュ用スイッチ(SW3)が前記第1付勢手段に兼用されると共に、前記トグル用スイッチ(SW1,SW2)が前記第2付勢手段に兼用されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のスイッチ装置。
前記操作ノブ(N)は、非操作位置(N0)及び第1トグル操作位置(N1)間、並びに非操作位置(N0)及び第2トグル操作位置(N2)間で前記第2軸線(L2)回りに揺動することで、互いに逆向きの二方向にトグル操作可能であり、
前記トグル用スイッチは、前記操作ノブ(N)が前記第1トグル操作位置(N1)にきたとき該操作ノブ(N)に係合してオン又はオフに切換わるように前記スイッチケース(10)の前記第2軸線(L2)を挟んで一方側に設けた第1トグル用スイッチ(SW1)と、前記操作ノブ(N)が前記第2トグル操作位置(N2)にきたとき該操作ノブ(N)に係合してオン又はオフに切換わるように前記スイッチケース(10)の前記第2軸線(L2)を挟んで他方側に設けた第2トグル用スイッチ(SW2)とを含むことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施形態に基づいて以下に説明する。
【0024】
図1及び
図6において、自動車の車室内の適所、例えばインストルメントパネル(図示せず)には、本発明に係るスイッチ装置Aが、ドライバーによる指操作を可能として設置、固定される。スイッチ装置Aは、スイッチケース10と、そのスイッチケース10に内蔵される第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2及びプッシュ用スイッチSW3と、スイッチケース10に揺動可能に取付けられて上記スイッチSW1〜SW3を操作可能な単一の操作ノブNと、その操作ノブNを通常は(即ち非操作時には)所定の非操作位置N0に付勢、保持し得る付勢手段(本実施形態ではスイッチSW1〜SW3が兼用)とを有する。スイッチケース10は、図示しない適当な取付手段によりインストルメントパネルに着脱可能に取付けられる。
【0025】
図2〜
図5も併せて参照して、スイッチ装置Aは、操作ノブNを非操作位置N0から操作者を基準として奥側、即ち後述するプッシュ操作位置N3側に押し込む(即ちプッシュ操作する)ことでプッシュ用スイッチSW3をオンに切換えるプッシュスイッチ機能と、操作ノブNを非操作位置N0から後述する第1又は第2トグル操作位置N1,N2側に押圧傾動させる(即ち第1又は第2トグル操作する)ことで第1又は第2トグル用スイッチSW1,SW2をオンに切換えるトグルスイッチ機能とを備える。
【0026】
即ち、スイッチ装置Aは、スイッチケース10に対し単一の操作ノブNを非操作位置N0(
図2で実線位置)から所定のプッシュ操作位置N3(
図2で二点鎖線位置)へ第1軸線L1回りに揺動させるようにしてプッシュ操作可能であると共に、同操作ノブNを非操作位置N0(
図4で実線位置)から所定の第1トグル操作位置N1(
図4で二点鎖線位置)又はその反対側の第2トグル操作位置N2(不図示)へ、第1軸線L1と直交する第2軸線L2回りに揺動させるようにして2方向(例えば操作者から見て上側と下側、或いは左側と右側)にトグル操作可能である。
【0027】
そして、操作ノブNは、スイッチケース10の操作面(後述するケース蓋12の上面)に沿って各々延び且つスイッチケース10内の定点(交点O)で直交する第1,第2軸線L1,L2の何れの軸線回りにも揺動可能として、スイッチケース10に取付けられる。その取付構造については、後で詳述する。
【0028】
スイッチ装置Aの上記した各スイッチSW1〜SW3は、自動車の運転操作に関係する種々の電子機器の操作に任意に採用可能である。例えば、エアコン操作に絡めて使用する場合には、プッシュ用スイッチSW3をオンとしたときにエアコンが起動し、また第1又は第2トグル用スイッチSW1,SW2をオンとしたときにエアコンのブロワの風量を増大又は減少させるように使用可能である。
【0029】
スイッチケース10は、本実施形態では上面を開放した扁平な角筒状のケース本体11と、ケース本体11の周壁部11wに係脱可能に係止されてケース本体11の開放上面を覆うケース蓋12と、ケース本体11の下面に複数の固着手段(例えばボルトb)で着脱可能に接合されるケース基板13とを備える。
【0030】
ケース基板13は電子基板を兼ねるもので、そのケース基板13の上面に、第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2のスイッチボディ31,32と、プッシュ用スイッチSW3のスイッチボディ33が固定される。それらスイッチボディ31〜33は、ケース基板13内の電子回路に接続される。
【0031】
一方、操作ノブNの下面には、第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2に対応した位置において、トグルスイッチ押圧用突起61,62がそれぞれ突設され、またプッシュ用スイッチSW3に対応した位置において、プッシュスイッチ押圧用突起63が突設される。そして、それらスイッチ押圧用突起61〜63は、ケース本体11に形成された複数の貫通孔11h1,11h2を通して対応するスイッチSW1〜SW3をオン操作可能である。
【0032】
第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2及びプッシュ用スイッチSW3として、本実施形態ではマイクロスイッチが使用される。その各スイッチSW1〜SW3は、従来周知のマイクロスイッチと同様、規定された動きと規定されたばね荷重で開閉動作する接点機構(不図示)を内蔵したスイッチボディ31〜33と、そのスイッチボディ31〜33に所定の張出位置と所定のスイッチ押込位置(即ちスイッチオン位置)との間で摺動可能に支持される操作子(例えばピストン状の押しボタン)41〜43とを備える。
【0033】
本実施形態において、各々の接点機構は、接点機構が備える戻しばねの弾発力で、通常はオフ状態に保持される。また各々の操作子41〜43は、操作ノブN(即ちスイッチ押圧用突起61〜63)から操作力を受けない自由状態では、上記戻しばねの弾発力で張出位置に保持される。
【0034】
図2〜
図5において実線(
図3では実線及び点線)は、操作ノブNが非操作位置N0に
在って、各操作子41〜43が上記張出位置にあるか、或いは張出位置より僅かに下がった位置にある状態を示しており、このとき、各スイッチSW1〜SW3はオフの状態である。
【0035】
また
図2において二点鎖線は、操作ノブNがプッシュ操作位置N3に在って、プッシュ用スイッチS3の操作子43が上記スイッチ押込位置に押し込まれた状態を示す。
【0036】
また
図4において二点鎖線は、操作ノブNが第1トグル操作位置N1に在って、第1トグル用スイッチS1の操作子41が上記スイッチ押込位置に押し込まれた状態を示す。尚、
図4には、操作ノブNが第2トグル操作位置N2に在る状態は図示されていないが、それは、
図4に二点鎖線で示される操作ノブNの状態と、第2軸線L2を通る鉛直線を対称軸として線対称の位置関係にある。
【0037】
而して、操作子41〜43は、操作ノブNに対し第1又は第2トグル操作或いはプッシュ操作がなされたときは、その操作に対応したスイッチ押圧用突起61〜63に係合、連動して上記スイッチ押込位置まで押し込まれることで、その操作に対応した接点機構をオンに切換えることができる。
【0038】
ケース蓋12には、操作ノブNのノブ本体Naを露出させる矩形状の開口12hが設けられる。ケース蓋12及びケース本体11の相互間は、その間に設けた弾性係止手段18により係脱可能に係止、固定される。尚、ケース蓋12をケース本体11に別の固定手段(例えばボルト)により着脱可能に固着してもよい。
【0039】
図7も併せて参照して、操作ノブNは、上記したノブ本体Naと、そのノブ本体Naの下面に一体に連設されてノブ本体Naよりも幅広に形成されるノブベースNbとを備えており、ノブベースNbは、ケース蓋12直下のスイッチケース10内に収容される。ノブ本体Naは、ケース蓋12の開口12hに対応した略直方体状の扁平なノブ本体基部14と、ノブ本体基部14の上面中央部に立設されるノブ本体先部15とを有する。
【0040】
ノブ本体先部15は、第1又は第2トグル操作の際に操作レバーとして機能する(即ち操作ノブNを第2軸線L2回りに揺動操作する)もので、本実施形態では第2軸線L2に沿って延びる横長のレバー状に形成される。また、ノブ本体先部15は、これの頂部に対するプッシュ操作の際に押しボタンとしても機能する(即ち操作ノブNを第1軸線L1回りに押込揺動させる)ものであり、その場合は、ノブ本体先部15の頂部の、特に第1軸線L1から最も離れた端部乃至その近傍部を押込操作することで、プッシュ操作を効率よく軽快に行うことができる。
【0041】
ノブ本体Naの外表面には、操作ノブNの操作方向を表す絵柄等の表示部が、必要に応じて適宜に付される。例えば、本実施形態ではノブ本体基部14の外表面に2方向のトグル操作方向を表示する矢印y1,y2が、またノブ本体先部15の外表面にはプッシュ操作方向を表示する矢印y3がそれぞれ表記されている。尚、これら矢印y1〜y3に代えて又は加えて、トグル操作方向やプッシュ操作方向を示唆する文字や絵文字を表記してもよい。尚また、これらの表示部を省略してもよい。
【0042】
次に、操作ノブNをスイッチケース10に、第1,第2軸線L1,L2回りにそれぞれ揺動可能として取付けるための取付構造の一例を、
図8〜
図11も併せて参照して説明する。
【0043】
第2軸線L2に沿う方向での操作ノブN(具体的にはノブベースNb)の一側部には、第2軸線L2上に延びる主軸部21が一体に形成されており、また同じく操作ノブNの他
側部には、第2軸線L2上で主軸部21とは反対側に延びる副軸部22が一体に形成される。
【0044】
主軸部21の先部外周面には、第1,第2軸線L1,L2の交点Oを中心とする球面で下半部外周面が形成される球面部21aが設けられる。またその球面部21aに対応してスイッチケース10(ケース本体11)の上面には、球面部21aに相対摺動可能に当接して球面部21aの第1,第2軸線L1,L2回りの各回動を許容する平坦な支持面11aが設けられ、支持面11aは本発明の球面支持部を構成する。
【0045】
球面部21aの、第2軸線L2を挟んで一方側の側面と他方側の側面には、第1軸線L1上で互いに逆向きに延びる第1,第2短軸部51,52が一体に突設される。また主軸部21の基部は、第2軸線L2上に延び且つ球面部21aよりも小径の基部軸21bとして構成され、この基部軸21bを介して球面部21aがノブベースNbに片持ち状に支持される。
【0046】
ケース本体11の上面には、主軸部21に対応した位置に平断面コ字状の第1案内壁W1が突設される。第1案内壁W1の相対向する両側壁部には、第1,第2短軸部51,52の外周面を第2軸線L2に沿う方向で且つ摺動可能に挟む上端開放の第1,第2スリットs1,s2がそれぞれ形成される。一方、第1案内壁W1の中間壁部には、基部軸21bの外周面を第1軸線L1に沿う方向で且つ摺動可能に挟む上端開放の第3スリットs3が形成される。
【0047】
このように第1,第2短軸部51,52の外周面を、第2軸線L2に沿う方向で第1,第2スリットs1,s2が各々摺動可能に挟むことで、球面部21aは、それの中心位置が第2軸線L2に沿う方向で固定されると共に第2軸線L2回りの回動が案内される。また基部軸21bの外周面を第1軸線L1に沿う方向で第3スリットs3が挟むことで、球面部21aは、それの中心位置が第1軸線L1に沿う方向で固定されると共に第1軸線L1回りの回動が案内される。
【0048】
ケース蓋12の下面には、基部軸21bの外周面上部に係合するストッパ突起12aが突設される。このストッパ突起12aにより、基部軸21bの第3スリットs3上方への抜け出しを直接阻止することができ、更には球面部21aの支持面11aからの浮き上がりを抑えることができる。従って、支持面11a上の球面部21aは、その中心高さが一定高さに保たれる。
【0049】
かくして、球面部21aの中心(即ち第1,第2軸線L1,L2の交点O)がスイッチケース10内の定位置に固定される定点となり、球面部21a(従って操作ノブN)は、第1,第2軸線L1,L2の何れの軸線回りにも回動(揺動)可能である。
【0050】
ところで第3スリットs3の相対向する両内側面は、本実施形態では少なくとも上端開口に近い部位が、上端開口に向かうにつれて徐々に窄まった斜面(非平行面)に形成される。これにより、第3スリットs3に基部軸21bを上方より押し込んで挟入させた状態では、ケース蓋12がケース本体11に対し未装着の場合でも基部軸21bが第3スリットs3に仮止め可能となる。尚、上記斜面を無くして、第3スリットs3の相対向する両内側面を全域に亘り平行面に形成してもよい。
【0051】
而して、基部軸21b及び第1,第2短軸部51,52の各外周面、並びに第1〜第3スリットs1〜s3及びストッパ突起12aは、本発明の主軸部案内手段Gmを構成する。そして、この主軸部案内手段Gmは、支持面11aと協働して第1,第2軸線L1,L2の交点Oをスイッチケース10内の定位置に固定しつつ主軸部21の第1,第2軸線L
1,L2回りの各回動を案内する。
【0052】
また、ケース本体11の上面には、副軸部22に対応した位置において、第1軸線L1に沿う方向に延びる第2案内壁W2が突設される。この第2案内壁W2には、副軸部22の外周面を第1軸線L1に沿う方向で且つ摺動可能に挟む上端閉塞の第4スリットs4が形成される。そして、操作ノブNが非操作位置N0にあるときに、副軸部22の外周面上部が第4スリットs4の上端閉塞部に係合することで操作ノブNの第1軸線L1回りの上方揺動限界(上限位置)が規定される。従って、操作ノブNは非操作位置N0よりも上方に第1軸線L1回りに揺動することはない。
【0053】
而して、副軸部22の外周面及び第4スリットs4は、互いに協働して本発明の副軸部案内手段Gsを構成し、この副軸部案内手段Gsは、副軸部22の第2軸線L2回りの回動を許容しながら第1軸線L1回りの揺動を案内す
る。尚、本実施形態の第4スリットs4は、操作ノブN(副軸部22)の第1軸線L1回りの上方揺動限界(非操作位置N0)を規定するストッパ手段にも兼用され、それだけスイッチ装置Aの構造簡素化が図られる。
【0054】
また、操作ノブNとスイッチケース10間には、操作ノブNを通常は非操作位置N0に付勢、保持し得る付勢手段が設けられる。そして、この付勢手段は、第1軸線L1回りの揺動方向で操作ノブNを非操作位置N0に付勢、保持し得る第1付勢手段と、第2軸線L2回りの揺動方向で操作ノブNを非操作位置N0に付勢、保持し得る第2付勢手段とで構成される。
【0055】
第1付勢手段として、特に本実施形態ではプッシュ用スイッチSW3が兼用される。即ち、そのプッシュ用スイッチSW3のスイッチボディ33に内蔵される接点機構の戻しばね(図示せず)の弾発力で操作ノブNを、第1軸線L1回りの揺動方向で非操作位置N0に付勢、保持可能としている。尚、本発明では、プッシュ用スイッチSW3から別個独立した専用のばね部材を、第1付勢手段として操作ノブNとスイッチケース10間に介装し、このばね部材の弾発力で操作ノブNを第1軸線L1回りの揺動方向で非操作位置N0に付勢、保持するようにしてもよい。
【0056】
また第2付勢手段として、特に本実施形態では第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2が兼用される。即ち、第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2のスイッチボディ31,32に内蔵される接点機構の戻しばね(図示せず)の弾発力で操作ノブNを、第2軸線L2回りの揺動方向で非操作位置N0に付勢、保持可能としている。尚、本発明では、第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2から別個独立した専用のばね部材を、第2付勢手段として操作ノブNとスイッチケース10間に介装し、このばね部材の弾発力で操作ノブNを第2軸線L2回りの揺動方向で非操作位置N0に付勢、保持するようにしてもよい。
【0057】
かくして、操作ノブNはスイッチケース10に、スイッチケース10内の定点(交点O)で直交する第1,第2軸線L1,L2の何れの軸線回りにも揺動変位可能に取付けられる。そして、その取付状態で、プッシュ操作時における操作ノブNとプッシュ用スイッチSW3との
係合部である第1の係合部a3(即ちプッシュスイッチ押圧用突起63とプッシュ用スイッチSW3の操作子43との係合部)は、第2軸線L2上で、且つ第1軸線L1から十分離間した位置に配置される。
【0058】
一方、第1,第2トグル操作時における操作ノブNと第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2との
係合部である第2の係合部a1,a2(即ちトグルスイッチ押圧用突起61,62と第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2の操作子41,42との係合部)は、第1軸線L1に沿う方向で第2軸線L2を挟んでその両側に離間し、且つ操作ノブNとプッシュ用スイッチSW3との
係合部である第1の係合部a3よりも、第2軸線L2に沿う方向で第1軸線L1に近い位置に配置される。
【0059】
さらにスイッチケース10及び操作ノブN間には、操作ノブNに対する第1又は第2トグル操作、及びプッシュ操作が誤って両方共行われたときに、その操作途中から何れか一方の操作しかできなくなるように操作ノブNの揺動変位を規制する第1,第2ストッパ手段ST1,ST2が設けられる。
【0060】
第1ストッパ手段ST1は、本実施形態では操作ノブNに対し第1トグル操作及びプッシュ操作が誤って両方とも行われたときに、ノブベースNb下面のうち下降変位が略最大となる部位(即ち平面視(例えば
図8)でトグルスイッチ押圧用突起61を通り且つ第2軸線L2と平行な仮想直線と、プッシュスイッチ押圧用突起63を通り且つ第1軸線L1と平行な仮想直線との交点の近傍部)に下向きに突設される第1突起71と、この第1突起71に操作途中で係合し得るようにケース本体11上面に突設された第1支点突起81とを備える。
【0061】
また第2ストッパ手段ST2は、本実施形態では操作ノブNに対し第2トグル操作及びプッシュ操作が誤って両方とも行われたときに、ノブベースNb下面のうち下降変位が略最大となる部位(即ち平面視(例えば
図8)でトグルスイッチ押圧用突起62を通り且つ第2軸線L2と平行な仮想直線と、プッシュスイッチ押圧用突起63を通り且つ第1軸線L1と平行な仮想直線との交点の近傍部)に下向きに突設される第2突起72と、この第2突起72に操作途中で係合し得るようにケース本体11上面に突設された第2支点突起82とを備える。
【0062】
次に、前記実施形態の作用を説明する。
【0063】
スイッチ装置Aの組立に際しては、第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2及びプッシュ用スイッチSW3が予め上面に装着されたケース基板13と、ケース基板13の上方を覆うケース本体11とをボルトbで結合し、次いでケース本体11上に操作ノブNを、前記した取付構造を以て取付け、更に操作ノブN及びケース本体11上面を覆うケース蓋12を、ケース本体11に弾性係止手段18を以て係止、固定する。
【0064】
特にケース本体11に操作ノブNを取付けるに際しては、ケース本体11の第2案内壁W2の第4スリットs4に操作ノブNの副軸部22を挿入すると共に、第1案内壁W1の第3スリットs3に操作ノブNの基部軸21bを上方より押込んで嵌入させ、更に第1案内壁W1の第1,第2スリットs1,s2に第1,第2短軸部51,52を上方より嵌入させる。この場合、第3スリットs3の相対向する両内側面が前述の如く上端開口に向かうにつれて徐々に窄まった斜面に形成される関係で、ケース蓋12がケース本体11に対し未装着の場合でも基部軸21bが第3スリットs3に仮止め可能となる。従って、ケース蓋12をケース本体11に取付ける前から、操作ノブNをケース本体11に仮組みしてサブアッセンブリとして取り扱い可能となるため、組立作業性が良好である。
【0065】
そして、ケース蓋12をケース本体11に取付けた状態では、操作ノブN下面のストッパ突起12aが基部軸21bの外周面上部に係合することで、基部軸21bの第3スリットs3上方への抜け出しが確実に阻止されると共に、球面部21aの支持面11aからの浮き上がり(上方変位)が抑えられる。
【0066】
かくして、スイッチケース10の組立作業と、スイッチケース10への操作ノブNの組付作業が終了し、即ち、スイッチ装置Aの組立作業が完了する。
【0067】
尚、ケース本体11上に操作ノブNを組み付けた(即ちケース本体11及び操作ノブNをサブアッセンブリ化した)後で、ケース基板12をケース本体11に接合するようにしてもよい。
【0068】
而して、スイッチ装置Aの組立完了状態において、操作ノブNは、スイッチケース10に対し、スイッチケース10内の定点(交点O)で直交する第1,第2軸線L1,L2の何れの軸線回りにも揺動変位可能である。
【0069】
しかも操作ノブNの非操作時には、第1付勢手段を兼ねるプッシュ用スイッチSW3(具体的にはスイッチボディ33に内蔵される接点機構の戻しばねの弾発力)により、操作ノブNが第1軸線L1回りの揺動方向で非操作位置N0に付勢、保持され、また、第2付勢手段を兼ねる第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2(具体的にはスイッチボディ31,32に内蔵される接点機構の戻しばねの弾発力)により、操作ノブNを第2軸線L2回りの揺動方向で非操作位置N0に付勢、保持される。これにより、専用の第1,第2付勢手段を特別に設ける必要がなくなり、それだけスイッチ装置Aの構造の小型化・簡素化が図られる。
【0070】
組立後のスイッチ装置Aにおいて、操作ノブNを非操作位置N0から奥側、即ちプッシュ操作位置N3側に押し込む(即ちプッシュ操作する)と、操作ノブNが第1軸線L1回りに揺動してプッシュ用スイッチSW3に係合することで同スイッチSW3をオンに切換えるプッシュスイッチ機能が発揮される。一方、操作ノブNを非操作位置N0から所定の第1又は第2トグル操作位置N1,N2側に押圧傾動させる(即ち第1又は第2トグル操作する)と、操作ノブNが第2軸線L2回りに揺動して第1又は第2トグル用スイッチSW1,SW2に係合することで同スイッチSW1,SW2をオンに切換えるトグルスイッチ機能が発揮される。
【0071】
特に本実施形態では、プッシュ操作時における操作ノブNとプッシュ用スイッチSW3との
係合部である第1の係合部a3(即ちプッシュスイッチ押圧用突起63とプッシュ用スイッチSW3の操作子43との係合部)が、第2軸線L2上に配置される。これにより、トグル操作時に操作ノブNが第2軸線L2回りに揺動しても、その揺動変位がプッシュ用スイッチSW3に対する操作変位(ストローク)とはならないため、プッシュ用スイッチSW3が操作ノブNでオンされる虞れはない。
【0072】
その上、第1,第2トグル操作時における操作ノブNと第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2との
係合部である第2の係合部a1,a2(即ちトグルスイッチ押圧用突起61,62と第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2の操作子41,42との係合部)は、操作ノブNとプッシュ用スイッチSW3との
係合部である第1の係合部a3よりも第2軸線L2に沿う方向で第1軸線L1に近い位置に配置される。このように前者の係合部a1,a2と後者の係合部a3の、第1軸線L1(即ち操作ノブNの揺動支点)からの距離に少なからず距離差が設定されるため、プッシュ操作時に操作ノブNが第1軸線L1回りに揺動したときに、第1軸線L1から遠く離れたプッシュ用スイッチSW3は操作ノブNの十分な押込ストロークを以て確実にオンされ、一方、第1軸線L1に近い第1,第2トグル用スイッチSW1,SW2は、これらスイッチに対する操作ノブNの押込ストロークが比較的短いので、オンされる虞れはない。
【0073】
かくして、本実施形態では単一の操作ノブNでトグル操作及びプッシュ操作を、何れも誤操作なく的確に行うことができるため、誤操作防止を図るためにプッシュ用スイッチSW3とトグル用スイッチSW1,SW2の仕様(例えば操作ストロークや操作荷重)を大幅に変更する必要はなくなり、部品管理や組立作業性を簡素化する上で頗る有利となる。
しかもトグル操作及びプッシュ操作のための操作ノブNが単一部品化されるため、スイッチ装置Aの部品点数の削減、延いては構造の小型化・簡素化が図られ、車体空間等の狭小なスペースにも無理なく配備可能となる。
【0074】
更に本実施形態では、スイッチケース10及び操作ノブN間に、操作ノブNに対する第1又は第2トグル操作と、プッシュ操作とが誤って両方共行われたときに、その操作途中から何れか一方の操作しかできなくなるように操作ノブNの揺動変位を規制する第1,第2ストッパ手段ST1,ST2が設けられる。
【0075】
例えば、第1ストッパ手段ST1の特設によれば、操作ノブNに対し第1トグル操作及びプッシュ操作が誤って両方とも行われた場合に、
図5の二点鎖線で例示したように第1トグル用スイッチSW1及びプッシュ用スイッチSW3がオンされる前の操作途中段階(このときの操作ノブNの位置NXを参照)で、第1突起71が第1支点突起81に係合するに至り、それ以降は、第1支点突起81が支点となって操作ノブNが第1トグル操作及びプッシュ操作の何れしか行えなくなる。これにより、第1トグル用スイッチSW1及びプッシュ用スイッチSW3が両方オンされるスイッチ誤作動の防止に有効である。
【0076】
尚、操作ノブNに対して第1トグル操作又はプッシュ操作の一方だけを正しく操作した場合は、その少なくとも操作途中段階で(本実施形態では当該操作に対応するスイッチSW1又はSW3がオンとなる操作最終段階でも)第1突起71が第1支点突起81に係合するには至らず、従って、その正規の第1トグル操作又はプッシュ操作に対し第1ストッパ手段ST1が障害となる虞れはない。
【0077】
また第2ストッパ手段ST2の特設によれば、操作ノブNに対し第2トグル操作及びプッシュ操作が誤って両方とも行われた場合に、第2トグル用スイッチSW2及びプッシュ用スイッチSW3がオンされる前の操作途中段階で、第2突起72が第2支点突起82に係合するに至り、それ以降は、第2支点突起82が支点となって操作ノブNが第2トグル操作及びプッシュ操作の何れしか行えなくなる。これにより、第2トグル用スイッチSW2及びプッシュ用スイッチSW3が両方ともオンされるスイッチ誤作動の防止に有効である。
【0078】
尚、操作ノブNに対し第2トグル操作及びプッシュ操作が誤って両方とも行われた場合の操作ノブNの位置NX′は、
図5に示されていないが、それは、第1トグル操作及びプッシュ操作が誤って両方とも行われた場合に
図5に二点鎖線で示される前記位置NXと、第2軸線L2を通る鉛直線を対称軸として線対称の位置関係にある。
【0079】
また、操作ノブNに対して第2トグル操作又はプッシュ操作の一方だけを正しく操作した場合は、その少なくとも操作途中段階で(本実施形態では当該操作に対応するスイッチSW2又はSW3がオンとなる操作最終段階でも)第2突起72が第2支点突起82に係合するには至らず、従って、その正規の第2トグル操作又はプッシュ操作に対し第2ストッパ手段ST2が障害となる虞れはない。
【0080】
更に本実施形態では、操作ノブNの一側部に、第2軸線L2上に延びる主軸部21が設けられ、主軸部21に、第1,第2軸線L1,L2の交点Oを中心とする球面部21aが設けられると共に、その球面部21aに相対摺動可能に当接して球面部21aの第1,第2軸線L1,L2回りの各回動を許容する球面支持部としての支持面11aがスイッチケース10に設けられる。そして、主軸部21とスイッチケース10間には、支持面11aと協働して上記交点Oをスイッチケース10内の定位置に固定しつつ主軸部21の第1,第2軸線L1,L2回りの各回動を案内する主軸部案内手段Gmが設けられる。これにより、主軸部21が操作ノブNに一体化されて部品点数の削減が図られ、操作ノブNの揺動
支持構造の簡素化、延いてはコスト節減が図られる。
【0081】
その上、操作ノブNの他側部には、第2軸線L2上に延びる副軸部22が設けられ、副軸部22とスイッチケース10間には、副軸部22の第2軸線L2回りの回動を許容しながら第1軸線L1回りの回動を案内する副軸部案内手段Gsが設けられる。これにより、操作ノブNがこれの一側部(即ち主軸部21)側でケース本体11に片持ち支持されても、操作ノブNの自由端部(他側部)側の第1軸線L1回りの揺動を副軸部案内手段Gsで安定よく的確に案内可能となるため、スイッチケース10の操作ノブNに対する片持ち支持部(例えば第1案内壁W1)や主軸部21の荷重負担が軽減され、スイッチ装置Aの耐久性向上を図る上で有利である。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0083】
例えば、前記実施形態では、本発明のスイッチ装置Aを自動車のインストルメントパネルに設けたものを例示したが、スイッチ装置Aの設置場所は、実施形態に限定されず、自動車の室内の適所(例えば、ステアリングコラム、ステアリング
、カーナビ操作部、ドア内面等)に設置してもよく、或いはまた、自動車以外の車両、例えば自動二輪車の適所(例えばハンドルカバー等)に設置してもよい。また、車両以外の種々の機械装置に設置してもよい。
【0084】
また前記実施形態では、操作ノブNを非操作位置N0及び第1トグル操作位置N1間、並びに非操作位置N0及び第2トグル操作位置N2間で第2軸線L2回りに揺動させることで、互いに逆向きの二方向にトグル操作可能な(即ち非操作位置N0の両側に第1,第2トグル操作位置N1,N2を有する)スイッチ装置Aを例示したが、本発明のスイッチ装置Aは、実施形態に限定されない。例えば、第2トグル操作位置を持たず、単一のトグル操作位置と非操作位置間でのみトグル操作するスイッチ装置にも、本発明を適用可能である。
【0085】
また前記実施形態では、スイッチ装置Aが、操作ノブNを非操作位置N0から押し込む(即ちプッシュ操作する)ことでプッシュ用スイッチSW3をオンとし、同操作ノブNを非操作位置N0から第1又は第2トグル操作位置N1,N2側に押圧傾動(即ちトグル操作)することで第1又は第2トグル用スイッチSW1,SW2をオンとするものを例示したが、本発明では、操作ノブNに対するプッシュ操作時にプッシュ用スイッチSW3をオフとしてもよく、またトグル操作時に第1又は第2トグル用スイッチSW1,SW2をオフとしてもよい。
【0086】
また前記実施形態では、第1,第2軸線L1,L2の何れの軸線回りにも操作ノブNが揺動可能な、スイッチケース10への操作ノブ取付構造として、操作ノブNに主軸部21及び副軸部22を一体化し、これら主軸部21及び副軸部22をスイッチケース10に相対揺動可能に連結したものを示した。しかし、操作ノブNの取付構造は、実施形態に限定されず、少なくとも操作ノブNが、スイッチケース10内の定点(交点O)で直交する第1,第2軸線L1,L2回りにそれぞれ揺動変位可能な取付構造であればよい。例えば、第2軸線L2を中心軸線とする第2軸部と、その第2軸部の一端部に一体に連なり且つ第1軸線L1を中心軸線とする第1軸部とを有する略T字状の軸部材(図示せず)を、操作ノブNとは別個独立した部品として製作し、この軸部材を介して操作ノブNをスイッチケース10に揺動可能に支持する構造(より具体的には第1軸部をスイッチケース10に第1軸線L1回りに相対回動可能にピボット連結すると共に、第2軸部を操作ノブNに第2軸線L2回りに相対回動可能にピボット連結する構造)としてもよい。
【0087】
また前記実施形態では、スイッチケース10に、操作ノブとして本発明の操作ノブNを1個だけ設けたものを例示したが、本発明では、スイッチケース10に本発明の操作ノブNを複数設けてもよく、或いはまた、他のスイッチ機能を有する操作ノブ(例えばプッシュ操作専用の操作ノブ、トグル操作専用の操作ノブ等)を併設してもよい。