(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の内管それぞれの前記基端側の端部が、前記基端側開口部に対して摺動可能となるように、前記複数の内管それぞれの前記基端側の端部と前記基端側開口部との間隙を封止するシール部を備える請求項3に記載の反応槽用バッフル板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、反応槽内において、撹拌機およびバッフル板に加えて、例えば挿入管および温度測定器等の異なる機能を有する機器をさらに備える場合、反応槽において、それぞれの機器を該反応槽内にアクセスさせるためノズル(挿通孔)を設ける必要がある。ここで、反応槽内の内面が、例えばグラスライニングなど耐腐食性処理されている場合、接液する箇所(例えば反応槽の側面や底面)にノズルを設け、バッフル板、挿入管および温度測定器等を、反応槽内に設けることはシール性やグラスライニングの施工上、避けることが望ましい。そこで、ノズルは、通常、反応槽における撹拌領域外に位置する反応槽の上面(上蓋)に形成される。
【0007】
また、ノズルの用途は挿入管、温度計に限られるものでは無く、原料投入、排気、加圧、減圧用と多岐にわたり、数多くの用途を満足させるために多数のノズルを設ける必要がある。
【0008】
しかしながら、反応槽の上面において形成可能なノズルのサイズおよび個数には制限があるため、異なる機能を有する機器ごとにノズルを設けることができない場合がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、撹拌機およびバッフル板を備えた反応槽内に、さらに異なる機能を有する機器を設ける場合であっても、反応槽に別途、ノズルを形成する必要がない、あるいは形成すべきノズルの個数を低減させることができるバッフル板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る反応槽用バッフル板は、上記した課題を解決するために、反応槽に形成されたノズルを通じて該反応槽内に挿通された、外面がグラスライニング処理され、内部が中空となった細長形状の反応槽用バッフル板であって、基端側が前記ノズルの開口部の縁部で支持され、先端側が前記反応槽内に挿入されており、前記内部において、前記基端側から前記先端側に向かって延伸する、異なる機能に用いられる複数の内管を備え、前記複数の内管のうち、少なくとも1つの内管の内面はガラスで被覆されている。
【0011】
上記構成によると、前記反応槽用バッフル板の内部に複数の内管が備えられているため、該内管を例えば、温度測定器等の測定器を収容する収容空間として利用することができる。さらにまた、複数の内管のうち少なくとも1つの内管は、内面がガラスで被膜されている。このため、この内面がガラスで被覆されている内管を、反応槽内に流体を挿入する、あるいは反応槽内の流体を吸引する流体流通路として利用することができる。
【0012】
よって、温度測定器等の測定器、あるいは流体流通路を設ける必要がある場合であっても、バッフル板内に形成された内管を利用して反応槽内にアクセスさせることができるため、反応槽に測定器用または流体流通路用のノズルを別途、形成する必要がない。
【0013】
したがって、本発明に係る反応槽用バッフル板は、撹拌機および反応槽用バッフル板を備えた反応槽内に、さらに異なる機能の機器を設ける場合であっても、反応槽に別途、ノズルを形成する必要がない、あるいは形成すべきノズルの個数を低減させることができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明の他の態様に係る反応槽用バッフル板は、上記した構成において、前記複数の内管のうち、前記内面が前記ガラスで被覆された内管は、前記反応槽内に流入させる、あるいは反応槽内から排出させる流体が流通する流体流通路であり、前記内面が前記ガラスで被覆されていない内管は、前記反応槽内の温度を検知する温度計測器を収容する収容管であってもよい。
【0015】
上記構成によると、反応槽用バッフル板内において流体流通路および温度計測器用の収容管を設けることができるため、流体流通路および温度計測器を反応槽内に設置するにあたって反応槽にノズルをそれぞれ形成する必要がない。また、流体流通路および収容管は、反応槽用バッフル板内に収容されており、反応槽内に曝されないため、撹拌に伴い生じる力が及ぼされることがない。このため、通常より強度を高める必要がないために径寸法が通常より大きくなることを防ぐことができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る反応槽用バッフル板は、上記した構成において、前記基端側において、前記複数の内管を挿通させ前記内部に導くための基端側開口部をそれぞれ備え、前記複数の内管それぞれの前記先端側の端部は、当該反応槽用バッフル板の先端側の端部と接合されており、前記複数の内管それぞれの前記基端側の端部は、前記基端側開口部に対して該内管の長手方向に沿って移動可能となる構成であってもよい。
【0017】
上記構成によると、各内管は反応槽用バッフル板の先端側の端部と接合されているが、反応槽用バッフル板の基端側開口部では長手方向に沿って移動可能となっている。このため、反応槽用バッフル板と内管とが異なる熱膨張率の材質から形成されている場合、あるいは反応槽用バッフル板と内管との温度差により両者の熱膨張率が異なる場合であっても、両者の熱膨張率の差によって内管または反応槽用バッフル板が破損することを防ぐことができる。
【0018】
本発明の他の態様に係る反応槽用バッフル板は、上記した構成において、前記複数の内管それぞれの前記基端側の端部が、前記基端側開口部に対して摺動可能となるように、前記複数の内管それぞれの前記基端側の端部と前記基端側開口部との間隙を封止するシール部を備える構成であってもよい。
【0019】
上記構成によるとシール部を備えるため、反応槽用バッフル板内の気密性または水密性を高めることができるとともに、運転時に内管が振動することを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る反応槽用バッフル板は、以上に説明したように構成され、撹拌機およびバッフル板を備えた反応槽内に、さらに異なる機能の機器を設ける場合であっても、反応槽に別途、ノズルを形成する必要がない、あるいは形成すべきノズルの個数を低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下において本実施の形態に係る反応槽1の構成を、
図1を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る反応槽1の構成の一例を模式的に示した端面図である。なお、本実施の形態では、反応槽1として流体状の原料の反応処理を行うために用いられる容器を例に挙げ説明するが、これに限定されるものではなく、流体状の原料を撹拌させるために用いられる容器であればよい。
【0023】
本発明の実施の形態に係る反応槽1は、例えば、化学工場などにおいて流体状の原料の反応処理を行うために用いられる、グラスライニング処理された容器であり、
図1に示すように、槽本体11、撹拌翼32、回転駆動部31、およびジャケット33、バッフル板(反応槽用バッフル板)34を備えてなる構成である。
【0024】
槽本体11は、竪型円筒形状の容器であり、反応処理する原料を貯留する貯留空間を有する。
図1に示すように槽本体11の下面11aおよび上面11bは上下方向にそれぞれ突出して湾曲した略円弧状の皿形を有している。
図1において特に図示しないが下面11aには、槽本体11内の原料(反応後の原料)を排出させるための排出ノズルが設けられていてもよい。例えば、この排出ノズルに不図示の制御バルブ(例えば、フラッシュバルブ等)を設け、この制御バルブを開くことにより、排出ノズルを介して槽内に貯留された原料が排出される構成とすることができる。
【0025】
槽本体11の上面11bには、
図1に示すように撹拌翼用ノズル13、バッフル板用ノズル14、およびマンホール15が一体的に設けられている。撹拌翼用ノズル13は、撹拌翼32を槽本体11内にアクセスさせるためのノズルである。撹拌翼32は、外面がグラスライニング処理された、円筒棒状部材の回転軸およびその端部に設けられた羽部材を備えた構成となっている。撹拌翼32の端部のうち、槽本体11内側にある端部を先端部とし、撹拌翼用ノズル13側にある端部を基端部とした場合、撹拌翼32の先端部には羽部材が設けられており、基端部は撹拌翼用ノズル13から槽本体11の外方に向かって突出し、槽本体11の上面11bに固定された回転駆動部31に連結されている。
【0026】
回転駆動部31は、いわゆる、電動機付き減速機であり、撹拌翼32の回転軸を回転させるものである。回転駆動部31が駆動し、回転軸を回転させることにより、撹拌翼32の先端部に設けられた羽部材が回転し、反応槽1内に貯留されている原料を撹拌する。
【0027】
バッフル板用ノズル14は、バッフル板34を槽本体11内にアクセスさせるためのノズルである。バッフル板34は、外面がグラスライニング処理され、内部が中空となった細長形状の部材であり、撹拌翼32により効率よく原料を混合させることができるようにするための、所謂、邪魔板である。
【0028】
バッフル板34は、その基端側がバッフル板用ノズル14の開口部の縁部(フランジ部)で支持され、バッフル板34の先端側が槽本体11内に挿通される。バッフル板34の内部には、バッフル板34の基端側から先端側に向かって延伸する、異なる機能に用いられる複数の内管41が備えられている。なお、バッフル板34の詳細な説明については後述する。
【0029】
マンホール15は、洗浄または点検において作業者等が槽本体11内に入ったり、液体を投入したりするための開口部であり、密閉のための蓋体16が設けられている。
【0030】
また、加熱源として槽本体11の外周を取り囲むようにジャケット33が取り付けられている。ジャケット33に流入する熱媒体によって槽本体11内を加熱することができる。なお、このジャケット33によって覆われている槽本体11内の範囲を、原料を撹拌するための領域(撹拌領域)としてもよい。
【0031】
(バッフル板)
以下において、
図2を参照して本発明の実施の形態に係るバッフル板34の構成について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係るバッフル板34の構成の一例を示す平面図である。なお、
図2に示すバッフル板34の平面図では、その一部が該バッフル板34の内部構造を示す端面図となっている。
【0032】
バッフル板34は、円柱形状と楕円柱形状とを組み合わせた細長形状の中空の部材であって外面がグラスライニング処理されている。なお、
図2において、バッフル板34の基端側から中間位置までの区間が円柱形状部分であり、中間位置から先端部にかけて円柱形状部分よりも幅広となっている部分が楕円柱形状部分である。バッフル板34における円柱形状部分と楕円柱形状部分との境目は、円柱形状部分から楕円形状部分に向かって徐々に幅広となるように形成されている。なお、バッフル板34の形状は
図2に示すような細長形状に限定されるものではなく、基端部から先端部まで同じ径寸法の円柱形状であってもよいし、楕円柱形状であってもよい。バッフル板34は、撹拌翼32によって撹拌された原料の流れにおいて乱流を生じさせ、原料の混合を効率よく行える形状であればよい。
【0033】
また、バッフル板34の基端側には、該バッフル板34の外面から外方に向かって突出し、バッフル板用ノズル14の縁部(フランジ部)と当接する円板形状の鍔部37が設けられている。そして、
図1に示すようにこの鍔部37とバッフル板用ノズル14の縁部との当接部を固定部材によって固定させることでバッフル板34を槽本体11の上面11bから下面11aに向かって延伸させた状態で支持することができる。
【0034】
なお、バッフル板34は、上記したように鍔部37を備え、バッフル板用ノズル14の縁部(フランジ部)で支持される構造であったがこれに限定されるものではない。例えば、
図3に示すように、バッフル板34は、鍔部37を備えておらず、バッフル板用ノズル14の開口部から外部に向かって真っすぐに延伸した筒形状となっている。そして、バッフル板用ノズル14から外部に突出したバッフル板34の基端側部分を囲うバッフルガイド21によって支持される構成であってもよい。なお、
図3は、本発明の実施の形態に係る反応槽1におけるバッフル板34の支持構成の一例を模式的に示した端面図である。
【0035】
具体的には、
図3に示すように、バッフルガイド21は、複数のノズル用固定ボルト22によってバッフル板用ノズル14の縁部に固定されている。また、バッフルガイド21は、複数の槽本体用固定ボルト23によって槽本体11の上面11bにも固定されている。
【0036】
バッフル板用ノズル14の開口部近傍には、バッフル板用ノズル14とバッフル板34との間隙を封止するシール部であるグランドパッキン24が設けられている。このグランドパッキン24は、バッフルガイド21とバッフル板用ノズル14の縁部との間に設けられた円環形状のパッキン受け板25と、このパッキン受け板25よりもバッフル板34の基端側に位置する、フランジを有する円筒形状のパッキン押さえ板26との間に配置されている。そして、グランドパッキン24は、パッキン受け板25とパッキン押さえ板26とによって挟持されている。
【0037】
また、バッフルガイド21は、バッフル板34を支持するため、該バッフルガイド21からバッフル板34に向かって突出した複数の支持ボルト27を備えている。つまり、バッフル板34の基端側の端部近傍における周面には、この支持ボルト27を挿通させるための複数の支持開口部が形成されている。そして、この支持ボルト27をバッフル板34の支持開口部に挿通させることによりバッフル板34を支持するように構成されている。すなわち、バッフル板34を槽本体11内から外部に向かって突出させ、バッフルガイド21内に沿うように配置させる。そして、支持ボルト27を支持開口部に挿通させることによってバッフルガイド21はバッフル板34を支持することができる。
【0038】
また、
図2に示すように中空のバッフル板34内には該バッフル板34の長手方向に沿って延伸した第1内管41aおよび第2内管41bが設けられている。なお、第1内管41aおよび第2内管41bを特に区別する必要が無い場合は単に内管41と称する。また、バッフル板34内に設けられる内管41の個数はこの2本に限定されるものではなく、2本以上備えられていてもよい。内管41は、バッフル板34の径寸法と反応槽1内に設ける機能(機器)とに応じて適宜設けられる。
【0039】
第1内管41aは、例えば、炭素鋼などの金属製の管から形成されており、第1内管41aの内面はガラスで被覆されている。例えば、第1内管41aの内面は、グラスライニング処理が施されていてもよいし、あるいは第1内管41a内にガラスを流しこみ、このガラスによって内面を覆うように形成してもよい。このように、第1内管41aは内面がガラスにより被覆されているため、第1内管41a内は耐腐食性を有することができる。
【0040】
また、バッフル板34の先端部には第1内管41aの外径寸法に応じた開口寸法を有する第1先端側開口部34a1が形成されており、この第1先端側開口部34a1部分で第1内管41aの先端部が、例えば、溶接等により接合されている。これにより、第1内管41aの先端部はバッフル板34の先端部に固定され、第1内管41aを通じて流体が槽本体11内に流出したり、槽本体11内の流体が第1内管41a内に流入したりすることができる。一方、バッフル板34の基端部には、第1内管41aを挿通させ、バッフル板34内に導くための第1基端側開口部34a2が形成されている。第1基端側開口部34a2の開口寸法は、第1内管41aの外径寸法に応じたものとなっている。
【0041】
このため、第1内管41aは、反応槽1の槽本体11内に外部から液体または気体などの流体を挿入させる挿入管、または撹拌されている原料を槽本体11内から吸引させる吸引管として機能する流体流通路(流体流通管)とすることができる。例えば、第1内管41aを吸引管として利用する際には、図示しないポンプを用いて第1基端側開口部34a2側に設けられた第1内管41aのフランジを通じて槽本体11内の流体を吸引する。又は槽本体11内を加圧することで、この槽本体11内の流体を押し出すようにして第1内管41aを通じて外部へ取り出すようにしても良い。なお、同様に第1内管41aを挿入管として利用する際には図示しない原料や気体の供給管を第1内管41aに接続させて流体を供給する。
【0042】
なお、耐腐食性を高めるため、第1内管41aの先端部とバッフル板34の先端部との接合部分の外面はグラスライニング処理が施される。
【0043】
また、
図4に示すように、バッフル板34内の気密性または水密性を高め、かつ第1内管41aが所定の位置に保持されるように位置決めするとともに、第1基端側開口部34a2において第1内管41aが該第1内管41aの長手方向に沿って摺動可能となるように、第1基端側開口部34a2と第1内管41aとの間隙を、第1シール部(シール部)36aによって封止している。第1シール部36aは、例えば、グランドパッキンを例示することができる。
図4は、
図2に示すバッフル板34の基端側の内部構造を示す端面図である。
図4は、
図2に示すバッフル板34の基端側のA部分を拡大して示している。
【0044】
なお、バッフル板34内の気密性および水密性を高める必要性が無い場合は、必ずしも第1内管41aの周面と第1シール部36aとは接する必要はなく、第1基端側開口部34a2において第1内管41aが該第1内管41aの長手方向に沿って移動可能となる構成であればよい。
【0045】
このように、第1内管41aは、その先端部がバッフル板34の先端部に固定される一方、基端側はフリーとなったいわゆる片持ち支持の状態でバッフル板34内に設けられている。そして、バッフル板34の基端側において第1内管41aの長手方向に沿って、該第1内管41aが摺動可能となるようにシーリングされている。このため、バッフル板34と第1内管41aとが異なる熱膨張率の材質から形成されている場合、あるいはバッフル板34と第1内管41aとの温度差により両者の熱膨張率が異なる場合であっても、両者の熱膨張率の差によって第1内管41aまたはバッフル板34が破損することを防ぐことができる。
【0046】
また、槽本体11内における撹拌時、または第1内管41aを流体流通路として利用する際、バッフル板34が振動する可能性があるが第1シール部36aを有することによりバッフル板34と第1内管41aとが個別に振動して破損することを抑制できる。
【0047】
また、流体流通路として機能する第1内管41aを、バッフル板34内に設けることができる。このため、流体流通路(第1内管41a)を反応槽1内に設置するにあたって反応槽1の槽本体11にノズルを個別に形成する必要がない。また、流体流通路は、バッフル板34内に収容されており、反応槽1の槽本体11内に曝されないため、撹拌に伴い生じる力が及ぼされることがない。このため、通常より強度を高める必要がないため、流体流通路の径寸法(またはノズルのサイズ)が通常より大きくなることを防ぐことができる。
【0048】
なお、反応槽1の上面11b(上蓋)は大きさが決まっているため複数のノズルを設けようとしても、設けることができる数は限られる。特に小型な反応槽1(例えば5m
3以下)の場合は設けることができるノズルの個数制限が顕著である。このため、流体流通路を設けるため、又は温度測定器を設けるためのみに、ノズルを利用することは他用途でのノズルの利用を制限することになるため好ましくない。しかしながら、本発明の実施の形態に係る反応槽1においては、バッフル板34に流体流通路として機能する第1内管41a、および後述する、温度測定器の収容管として機能する第2内管41bを備えることによりノズルを有効に利用できる。
【0049】
第2内管41bは、第1内管41aと同様に金属製の管によって形成されて、先端部が検知部収容管35と接合されている。検知部収容管35は、例えば、温度測定器の感温部(不図示)など測定器の検知部を収容させる管である。なお、第2内管41bと検知部収容管35とによって本発明の収容管を実現する。
図2に示すように検知部収容管35は、バッフル板34の先端から外方に突出した円柱形状をしており、その先端部は閉じている。検知部収容管35の基端部は、第2内管41bの先端部と、例えば、溶接等により接合されており、検知部収容管35内と第2内管41b内とは連通するように構成されている。なお、第2内管41bは、必ずしも第1内管41aのように内面をガラスによって被覆された構成とする必要はない。
【0050】
また、
図2に示すように、バッフル板34の先端部には、検知部収容管35の基端部の外径寸法に応じた開口寸法を有する第2先端側開口部34bが形成されており、この第2先端側開口部34bに検知部収容管35の基端部を挿通させた状態で、バッフル板34と検知部収容管35とが、例えば、溶接等により接合されている。そして、検知部収容管35の外面、および検知部収容管35とバッフル板34との接合部分の外面はグラスライニング処理されている。このため、検知部収容管35の外面は、バッフル板34の外面と同様に耐腐食性を有することとなり、検知部収容管35内に収容された測定器の検知部が槽本体11内の原料等により腐食されることを防ぐことができる。
【0051】
また、バッフル板34の基端側には、第2内管41bを挿通させ、バッフル板34内に導くための第2基端側開口部34b2が形成されている。第2基端側開口部34b2の開口寸法は、第2内管41bの外径寸法に応じたものとなっている。また、第2内管41bの内径寸法は、該第2内管41b内に収容される測定器(温度測定器)の断面形状に応じた寸法となっている。
【0052】
上記した構成により、検知部収容管35と第2内管41bとによって、バッフル板34内に測定器の収容空間を形成することができる。それ故、反応槽1内に温度測定器などの測定器を設けるにあたり、バッフル板34内に形成された第2内管41bを利用して反応槽1内にアクセスさせることができる。よって、反応槽1内に温度測定器などの測定器を設ける場合、反応槽1内に測定器を挿通させるためのノズルを個別に形成する必要がない。
【0053】
また、上記では、第2内管41bと検知部収容管35とによって形成された収容空間に温度測定器を収容する例を挙げて説明したが、この収容空間に収容する測定器は温度測定器に限定されるものではない。第2内管41bおよび検知部収容管35の形状は、収容される測定器および該測定器の検知部の形状に応じたものとすることが好適である。
【0054】
また、第1内管41a及び第2内管41bの内面を何れもガラスで被覆し、それぞれ反応槽1内に流体を挿入する流体流通路、反応槽1内の流体を吸引する流体流通路、あるいは圧力測定器を挿入するための挿入路としてもよい。更にまた、バッフル板34内において第3内管を設けても良い。
【0055】
また、バッフル板34内の気密性または水密性を高め、かつ第2内管41bが所定の位置に保持されるように位置決めするとともに、第2基端側開口部34b2において第2内管41bが該第2内管41bの長手方向に沿って摺動可能となるように、該第2基端側開口部34b2と第2内管41bとの間隙を、第2シール部(シール部)36bによって封止している。第2シール部36bは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のシールを例示することができる。
【0056】
なお、バッフル板34内の気密性および水密性を高める必要性が無い場合は、必ずしも第2内管41bの周面と第2シール部36bとは接する必要はなく、第2基端側開口部34b2において第2内管41bが該第2内管41bの長手方向に沿って移動可能となる構成であればよい。
【0057】
このように、第2内管41bは、第1内管41aと同様に、その先端部がバッフル板34の先端部に固定される一方、その基端部はフリーとなったいわゆる片持ち支持の状態でバッフル板34内に設けられている。そして、バッフル板34の基端部において第2内管41bの長手方向に沿って、該第2内管41bが摺動可能となるようにシーリングされている。このため、バッフル板34と第2内管41bとが異なる熱膨張率の材質から形成されている場合、あるいはバッフル板34と第1内管41aとの温度差により両者の熱膨張率が異なる場合であっても、両者の熱膨張率の差によって第2内管41bまたはバッフル板34が破損することを防ぐことができる。
【0058】
また、温度測定器等の測定器の収容管として機能する第2内管41bを、バッフル板34内に設けることができる。このため、測定器を反応槽1内に設置するにあたって反応槽1にノズルを形成する必要がない。
【0059】
また、バッフル板34内に設けられた第2内管41bを温度測定器の収容管とし、第1内管41aを挿入管として利用する構成の場合、温度測定器と挿入管とが別々に配置される構成と比較して、単にノズルの使用を削減できるだけでなく、供給される気体又は液体の挿入管出口の温度を正確に測定できる。このため反応槽1の槽本体11内で行われる反応を制御しやすくなる。