(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に、本発明の第1実施形態に係るガス膨張システムについての全体的な構成図を示す。
【0012】
本実施形態では、ガス膨張システムとして、供給される水素ガス等の原料ガスを、冷却することにより、原料ガスを液化させて液化原料ガスを生成する極低温冷凍装置100が示されている。原料ガスは、フィードライン1を流れる過程で冷却される。また、原料ガスを冷却するのに用いられる水素、ヘリウム、ネオン等のプロセスガスが循環ライン3を循環する。
【0013】
〔フィードライン1の構成〕
フィードライン1は、1段目の熱交換器81、初期冷却器73、2段目から6段目の熱交換器82〜86、冷却器88、及び供給系JT(ジュールトムソン)弁16を、その順に通過する。熱交換器81〜86では、原料ガスと冷媒との熱交換が行われ、原料ガスが冷却される。
【0014】
また、フィードライン1は、6段目の熱交換器86から出て供給系JT弁16に入るまでに冷却器88を通る。冷却器88は、冷媒循環ライン3の冷媒が液化した液化冷媒を貯える液化冷媒貯槽40を備えており、その液化冷媒貯槽40内にフィードライン1が通されている。冷却器88では、液化冷媒貯槽40内の液化冷媒によって原料ガスがおよそ液化冷媒の温度(即ち、極低温)まで冷却される。
【0015】
上記のように冷却器88から出た極低温の原料ガスは、供給系JT弁16を通って、低温常圧の液体となる。このようにして液化した原料ガス(即ち、液化原料ガス)は、図示されない貯槽へ送られて貯えられる。
【0016】
〔冷媒循環ライン3の構成〕
冷媒循環ライン3は、冷媒が循環する閉じられた流路であって、熱交換器81〜86内の流路、冷却器73内の流路、2台の圧縮機32,33、2台の膨張タービン37,38、循環系ジュールトムソン弁(以下、「循環系JT弁36」と称する)、液化冷媒貯槽40、及び、それらを繋ぐ配管内の流路などによって形成されている。
【0017】
冷媒循環ライン3のうち冷熱生成ルート42は、高圧圧縮機33、1段目から2段目の熱交換器81〜82の高温側冷媒流路、高圧側の膨張タービン(第1の膨張タービン、以下「高圧膨張タービン37」と称する)、4段目の熱交換器84、低圧側の膨張タービン(第2の膨張タービン、以下「低圧膨張タービン38」と称する)、及び、5段目から1段目の熱交換器85〜81の低温側冷媒流路を順に通過して高圧圧縮機33へ戻る。冷媒ガスは、高圧膨張タービン37及び低圧膨張タービン38を通る際に、そこで膨張されて冷却される。
【0018】
〔高圧膨張タービン37、低圧膨張タービン38の構成〕
高圧膨張タービン37と、低圧膨張タービン38についての構成について説明する。
【0019】
図2に、高圧膨張タービン37と、低圧膨張タービン38についての構成図を示す。
図2には、高圧膨張タービン37及び低圧膨張タービン38におけるそれぞれの回転軸と軸受部との間の領域に供給されるガス供給路及びガス排出路が示されている。
【0020】
上述のように、本実施形態では、2台の膨張タービン37、38を用いて冷媒を膨張させて冷媒を降温させて冷却している。具体的には、高圧膨張タービン37によって膨張させることで冷却した冷媒を低圧膨張タービン38によって再度膨張させて冷却している。これにより、1台の膨張タービンの冷却性能では冷媒に対する冷却の能力が不十分である場合についても、冷媒を再度冷却することにより、より強く冷媒を冷却させることができる。
【0021】
高圧膨張タービン37は、自身が駆動されて運転される際に回転を行う回転軸(第1の回転軸)371を備えている。回転軸371には、一端に、羽根車(第1の羽根車)372が取り付けられている。回転軸371が回転したときには、それに伴って羽根車372が回転する。
【0022】
高圧膨張タービン37は、回転軸371を支持する軸受部(第1の軸受部)376を備えている。軸受部376は、回転軸371を径方向に対して支持するラジアル軸受部(第1のラジアル軸受部)373と、回転軸371を回転軸の軸方向に対して支持するスラスト軸受部(第1のスラスト軸受部)374とを備えている。
【0023】
また、軸受部376は、冷媒による、回転軸371の軸方向に沿う、羽根車372に対し他端側への侵入を阻むためのシール部375を備えている。
【0024】
高圧膨張タービン37では、羽根車372はカバーの内部で回転するので、羽根車372の背面とカバーとの間には隙間が生じる。そこに生じる隙間を通って、回転軸371に沿って羽根車372の他端側に冷媒が侵入する可能性がある。そのような、回転軸371の他端側への冷媒の侵入を阻止するために、回転軸371周りで羽根車の背面に近接した位置であって、回転軸371に沿う冷媒の流れを遮断する位置に、シール部375が配置されている。シール部375が回転軸371に沿う冷媒の流れを遮断する位置に配置されているので、シール部375が軸方向に沿う他端側への冷媒の流れの抵抗となり、冷媒による他端側への漏れ量を少なく抑えることができる。冷媒による軸方向に沿う他端側への漏れ量が少なく抑えられるので、回転軸371及びその周囲の部品が冷媒によって冷却されて温度が過度に低下してしまい、回転軸371及びその周囲の部品が収縮してしまうことを抑えることができる。これにより、回転軸371及びその周囲の部品の寸法精度を高く維持することができ、運転中に回転軸371と軸受部376との間で接触が生じることを抑えることができる。回転軸371と軸受部376との間で接触が抑えられるので、回転軸371による回転を効率良く行うことができる。従って、ガス膨張システムとしての極低温冷凍装置100のエネルギー効率を向上させることができる。また、高圧膨張タービン37の耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、高圧膨張タービン37は、軸受部376(第1の軸受部)に軸受ガスを供給する際の供給路としてのガス供給路(第1のガス供給路)377を備えている。ガス供給路377よりも上流側の流路には、ガス供給路377を流通する軸受ガスの流量を調整する流量調整弁390が設けられている。さらに、高圧膨張タービン37は、ガス供給路377から、軸受部376に供給された軸受ガスがそこから排出されるガス排出路(第1のガス排出路)378を備えている。ガス排出路378よりも下流側であって、後述する低圧膨張タービン38側のガス供給路387よりも上流側の流路408には、ガス排出路378から排出されて低圧膨張タービン38側のガス供給路387に供給される軸受ガスの流量を調整する流量調整弁391が設けられている。
【0026】
なお、軸受部376は、回転軸371と軸受との間の領域(第1の領域)379も含むものとする。
【0027】
本実施形態では、ラジアル軸受部373及びスラスト軸受部374にガスが供給される。
【0028】
適切な圧力によってラジアル軸受部373にガスを供給させると共に回転軸371を回転させることにより、回転軸371がラジアル軸受部373から浮上する。それと共に、回転軸371の径方向に対する位置が維持される。従って、回転軸371とラジアル軸受部373との間が、非接触の状態で維持される。このように、高圧膨張タービン37を運転させる際に、回転軸371とラジアル軸受部373との間が非接触の状態で回転軸371を回転させることができる。回転軸371がラジアル軸受部373に対し非接触の状態で回転軸371が回転するので、回転軸371が回転する際の抵抗を少なく抑えることができる。これにより、高圧膨張タービン37の運転の際の消費エネルギーを少なく抑えることができ、極低温冷凍装置100の運転効率を向上させることができる。
【0029】
また、適切な圧力によってスラスト軸受部374にガスを供給させると共に回転軸371を回転させることにより、回転軸371を軸方向に適切な位置に維持することができる。従って、回転軸371とスラスト軸受部374との間が、非接触の状態で維持される。このように、高圧膨張タービン37を運転させる際に、回転軸371とスラスト軸受部374との間が非接触の状態で回転軸371を回転させることができる。スラスト軸受部374に対し非接触の状態で回転軸371が回転するので、回転軸371が回転する際の抵抗を少なく抑えることができる。これにより、高圧膨張タービン37の運転の際の消費エネルギーをさらに少なく抑えることができ、極低温冷凍装置100のエネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0030】
低圧膨張タービン38についても同様に、自身が駆動されて運転される際に回転を行う回転軸(第2の回転軸)381を備えている。回転軸381には、一端に、羽根車(第2の羽根車)382が取り付けられている。回転軸381が回転したときには、それに伴って羽根車382が回転する。
【0031】
低圧膨張タービン38は、回転軸381を支持する軸受部(第2の軸受部)386を備えている。軸受部386は、回転軸381を径方向に対して支持するラジアル軸受部(第2のラジアル軸受部)383と、回転軸381を回転軸の軸方向に対して支持するスラスト軸受部(第2のスラスト軸受部)384とを備えている。
【0032】
また、軸受部386は、冷媒による、回転軸381の軸方向に沿う、羽根車382に対し他端側への侵入を阻むためのシール部385を備えている。シール部385は、回転軸381周りで羽根車382の背面に近接した位置であって、回転軸381に沿う冷媒の流れを遮断する位置に配置されている。
【0033】
シール部385が回転軸381に沿う冷媒の流れを遮断する位置に配置されているので、シール部385が軸方向に沿う他端側への冷媒の流れの抵抗となり、冷媒による他端側への漏れ量を少なく抑えることができる。低圧膨張タービン38においても、冷媒による軸方向に沿う他端側への漏れ量が少なく抑えられるので、回転軸381及びその周囲の部品が冷媒によって冷却されて温度が過度に低下してしまい、回転軸381及びその周囲の部品が収縮してしまうことを抑えることができる。これにより、回転軸381及びその周囲の部品の寸法精度を高く維持することができ、回転軸381とシール部385との間で接触が生じることを抑えることができる。回転軸381とシール部385との間で接触が抑えられるので、回転軸381による回転を効率良く行うことができる。従って、極低温冷凍装置100のエネルギー効率を向上させることができる。また、低圧膨張タービン38の耐久性を向上させることができる。
【0034】
また、低圧膨張タービン38は、軸受部386に軸受ガスを供給する際の供給路としてのガス供給路(第2のガス供給路)387を備えている。さらに、低圧膨張タービン38は、ガス供給路387から、軸受部386に供給されたガスがそこから排出されるガス排出路(第2のガス排出路)388を備えている。ガス排出路388よりも下流側の流路には、ガス排出路388から排出される軸受ガスの流量を調整する流量調整弁392が設けられている。
【0035】
なお、軸受部386は、回転軸381と軸受との間の領域(第2の領域)389も含むものとする。
【0036】
本実施形態では、ラジアル軸受部383及びスラスト軸受部384にガスが供給されている。
【0037】
適切な圧力によって低圧膨張タービンラジアル軸受部383に軸受ガスが供給されると共に低圧膨張タービン回転軸381が回転することにより、回転軸381がラジアル軸受部383に対し非接触の状態で回転軸381を回転させることができる。従って、回転軸381が回転する際の抵抗を少なく抑えることができる。これにより、低圧膨張タービン38の運転の際の消費エネルギーを少なく抑えることができ、極低温冷凍装置100の運転効率を向上させることができる。
【0038】
また、適切な圧力によってスラスト軸受部384にガスを供給することにより、スラスト軸受部384に対し非接触の状態で回転軸381を回転させることができる。従って、回転軸381が回転する際の抵抗を少なく抑えることができる。これにより、低圧膨張タービン38の運転の際の消費エネルギーをさらに少なく抑えることができ、極低温冷凍装置100の運転効率をさらに向上させることができる。
【0039】
以上のような構成を有する極低温冷凍装置100における冷媒循環ライン3の膨張タービン37、38を流通する冷媒の動作について説明する。
【0040】
高圧圧縮機33で圧縮された冷媒は、高圧圧縮機33から高圧流路31Hを通って分岐部31dに向かう。上述したように、高圧膨張タービン37が駆動されることにより、分岐部31dで分岐する冷媒のうち、大部分が冷熱生成流路31Cを通って高圧膨張タービン37に向かって流れる。
【0041】
冷媒が高圧膨張タービン37に流入すると、そこで高圧膨張タービン37による冷媒の膨張が行われる。回転軸371が回転しそれに伴って羽根車372が回転すると、高圧膨張タービン37の内部に冷媒が取り込まれながら、その冷媒が膨張させられる。冷媒の膨張が行われると、冷媒が降温される。
【0042】
高圧膨張タービン37で膨張が行われた冷媒は、4段目の熱交換器84を通過したのち、低圧膨張タービン38に向かって流れる。
【0043】
また、低圧膨張タービン38が駆動されることにより、冷媒が低圧膨張タービン38に流入し、そこで低圧膨張タービン38による冷媒の膨張が行われる。回転軸381が回転しそれに伴って羽根車382が回転すると、低圧膨張タービン38の内部に冷媒が取り込まれながら、その冷媒が膨張させられる。冷媒の膨張が行われると、そこでさらに冷媒が降温される。
【0044】
低圧膨張タービン38から出た極低温の冷媒は、さらに、5段目の熱交換器85から1段目の熱交換器81までを順に通過して昇温されて(即ち、原料ガス及び高圧流路31Hの冷媒を冷却して)、中圧流路31Mの冷媒と合流する。
【0045】
次に、膨張タービン37、38に供給される軸受ガスについて説明する。
【0046】
冷媒は、高圧膨張タービン37によって膨張された後に低圧膨張タービン38によって膨張されるので、高圧膨張タービン37によって膨張されている際の冷媒の圧力は、低圧膨張タービン38によって膨張されている際の冷媒の圧力よりも高い。そのため、本実施形態では、高圧膨張タービン37のガス排出路378が、低圧膨張タービン38のガス供給路387に接続されている。従って、高圧膨張タービン37のガス排出路378から排出されたガスが、低圧膨張タービン38のガス供給路387に供給される。
【0047】
通常、高圧膨張タービン37における領域379に供給されるガスの圧力は、低圧膨張タービン38における領域389に供給されるガスの圧力よりも高い。このような場合には、高圧膨張タービン37のガス排出路378と低圧膨張タービン38のガス供給路387とを接続することにより、高圧膨張タービン37における領域379に供給されたガスを、低圧膨張タービン38の低圧ガス供給路387に送ることができる。このとき、低圧膨張タービン38のガス供給路387にガスを供給するための供給手段を特別に設けることなく、低圧膨張タービン38の低圧ガス供給路387にガスを供給することができる。従って、極低温冷凍装置100の構成を簡易にすることができる。
【0048】
また、このように高圧膨張タービン37の軸受部376から排出されたガスが、低圧膨張タービン38の軸受部386に供給されることになるので、高圧膨張タービン37の軸受部376で用いられたガスが、高圧膨張タービン37及び低圧膨張タービン38から排出される前に、低圧膨張タービン38の軸受部386で再び用いられることになる。高圧膨張タービン37と低圧膨張タービン38との間で、軸受部で用いられるガスを共通化することにより、高圧膨張タービン37及び低圧膨張タービン38における軸受部に供給されるガスの消費量を少なく抑えることができる。
【0049】
また、膨張タービン37、38における軸受部に供給されるガスの圧力によって回転軸の位置決めが行われることから、軸受部に供給されるガスには、ある程度の圧力を有することが必要とされる。軸受部に供給されるガスを高圧にするには、圧縮機を用いて圧縮する等、ガスに対する加圧工程が必要になる。本実施形態では、圧縮機32、33によって昇圧された冷媒の一部が、膨張タービン37、38における軸受部と回転軸との間の領域に供給されている。
【0050】
圧縮機32、33を駆動することによって冷媒を昇圧させる際には、圧縮機32、33を駆動するためのエネルギーが消費されることになる。仮に、軸受部と回転軸との間の領域に供給されるガスの消費量が多くなると、その分エネルギーの消費量が多くなり、システムのエネルギー効率が低下する可能性がある。
【0051】
本実施形態では、高圧膨張タービン37及び低圧膨張タービン38における軸受部と回転軸との間に供給されるガスの消費量が少なく抑えられるので、システム内で消費されるエネルギーが少なく抑えられる。これにより、冷媒の膨張システムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るガスの膨張システムについて説明する。なお、上記第1実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
第1実施形態では、回転軸を径方向に支持するラジアル軸受部と回転軸を軸方向に支持するスラスト軸受部とのいずれにおいても、高圧膨張タービン37で用いられたガスが低圧膨張タービン38でも用いられている。これに対し、第2実施形態では、回転軸を径方向に支持するラジアル軸受部でのみ、高圧膨張タービン37で用いられたガスが低圧膨張タービン38で用いられている。また、回転軸を軸方向に支持するスラスト軸受部では、高圧膨張タービン37で用いられたガスは、低圧膨張タービン38では用いられていない。
【0054】
第2実施形態における高圧膨張タービン及び低圧膨張タービンの構成について説明する。
図3に、第2実施形態における高圧膨張タービン37a及び低圧膨張タービン38aの構成図を示す。
【0055】
第2実施形態では、高圧膨張タービン37a及び低圧膨張タービン38aにガスを供給する流路393が分岐している。分岐した流路393のうち一方の流路393aは、高圧膨張タービン37aの高圧ガス供給路377に接続されている。流路393aには、流路393aを流通するガスの流量を調整する流量調整弁401が設けられている。分岐した流路393のうち他方の流路393bは、低圧膨張タービン38aのガス供給路387のうちスラスト軸受部384についてのガス供給路387aに接続されている。流路393bには、流路393bを流通するガスの流量を調整する流量調整弁402が設けられている。
【0056】
流路393aが高圧膨張タービン37aの高圧ガス供給路377に接続されているので、高圧膨張タービン37aでは、圧縮機32、33から流路393、流路393aを介して供給されたガスによって回転軸371の位置決めが行われる。
【0057】
第2実施形態では、高圧膨張タービン37aにおけるガス排出路378から排出されるガスの流路のうち、ラジアル軸受部373から排出されたガスの流路403については、低圧膨張タービン38aにおけるガス供給路387のラジアル軸受部383に供給するガス流路387bに接続される。高圧膨張タービン37aにおけるラジアル軸受部373から排出されたガスの流路403には、流路403を流通するガスの流量を調整する流量調整弁405が設けられている。
【0058】
その一方、高圧膨張タービン37aのガス排出路378から排出されるガスの流路のうち、スラスト軸受部374から排出されたガスの流路404については、低圧膨張タービン38aのガス供給路387に接続されず、流路内を流れるガスは外部に排出される。流路404には、流路403を流通するガスの流量を調整する流量調整弁409が設けられている。
【0059】
低圧膨張タービン38aにおけるスラスト軸受部384では、ガス供給路387が流路393bに接続されている。従って、圧縮機32、33からの高圧のガスが、直接的に低圧膨張タービンスラスト軸受部384に供給される。スラスト軸受部384に供給されたガスが高圧に維持されるので、低圧膨張タービン38aの回転軸381の位置決めが確実に行われる。
【0060】
このように、高圧膨張タービン37aにおけるスラスト軸受部374に供給されて、領域379bから排出されたガスは、低圧膨張タービン38aにおけるスラスト軸受部384には供給されない。スラスト軸受部374から排出されたガスは、領域389bで軸受ガスとして用いられずに、流路404を通って高圧膨張タービン37a及び低圧膨張タービン38aから外部に排出される。
【0061】
低圧膨張タービン38aのラジアル軸受部383では、高圧膨張タービン37aからのガス排出路378が、流路403を介して、低圧膨張タービン38aのガス供給路387に接続されている。従って、高圧膨張タービン37aのガス排出路378から排出されるガスが、低圧膨張タービン38aのガス供給路387に供給される。従って、低圧膨張タービン38aのラジアル軸受部383では、高圧膨張タービン37aで用いられたガスが再利用されている。
【0062】
低圧膨張タービン38aのラジアル軸受部383及びスラスト軸受部384で用いられたガスは、流路406を通って外部に排出される。流路406には、流路406を通って外部に排出されるガスの流量を調整する流量調整弁407が設けられている。
【0063】
第2実施形態では、高圧膨張タービン37aのラジアル軸受部373で一旦用いられたガスが低圧膨張タービン38aのラジアル軸受部383で再利用されるので、高圧膨張タービン37aと低圧膨張タービン38aとの間で、ラジアル軸受部で用いられるガスを共通化することができる。これにより、ガスの消費量を少なく抑えることができる。
【0064】
一般に、膨張タービンが運転される際には、スラスト軸受部にかかる負荷は、ラジアル軸受部にかかる負荷よりも大きい。そのため、スラスト軸受部では、ラジアル軸受部よりも、回転軸の位置決めのために大きな力が必要とされる。従って、スラスト軸受部では、ラジアル軸受部よりも、軸受部に供給されるガスに高い圧力が要求される。
【0065】
ガスが軸受部に供給されて回転軸の位置決めに用いられたときには、ガスの供給量が流量調整弁を用いて調整されているので、そこでガスの圧力が低下する。そのため、高圧膨張タービン37aのガス排出路378から排出されたガスを再利用する場合よりも、圧縮機32、33で圧縮されたガスをそのまま供給する場合の方が、圧力が高い状態でガスを使用することができる。従って、低圧膨張タービン38aにおける、比較的負荷の大きなスラスト軸受部384については、高圧膨張タービン37aで使用されたガスを再利用せずに、圧縮機32、33からの高圧のガスが直接的に供給される。従って、高い圧力が必要とされるスラスト軸受部374、384においては、圧力の大きなガスによって回転軸371、381の位置決めが行われるので、回転軸371、381の位置決めを確実に行うことができる。
【0066】
一方、ラジアル軸受部373、383では負荷が比較的小さく、そこに供給されるガスには高い圧力は必要とされない。従って、低圧膨張タービン38aのラジアル軸受部383に供給されるガスには、一旦高圧膨張タービン37aのラジアル軸受部373に供給されて圧力が低下したガスが再利用によって用いられても良い。これにより、ガスの消費量を少なく抑えることができる。
【0067】
このように、ラジアル軸受部373、383でのみ、高圧膨張タービン37aで用いられたガスが低圧膨張タービン38aで再び用いられ、スラスト軸受部374、384では、高圧膨張タービン37aで用いられたガスは、低圧膨張タービン38aで用いられないように構成されてもよい。
【0068】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るガスの膨張システムについて説明する。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
第1実施形態では、ラジアル軸受部及びスラスト軸受部の両方で、高圧膨張タービンの軸受部で用いられたガスが低圧膨張タービンの軸受部で再び用いられている。第2実施形態では、ラジアル軸受部でのみ、高圧膨張タービンの回転軸と軸受部との間で用いられたガスが低圧膨張タービンで再び用いられている。これに対し、第3実施形態では、高圧膨張タービンのラジアル軸受部と回転軸との間の領域及びスラスト軸受部と回転軸との間の領域で用いられたガスが、低圧膨張タービンのシール部と回転軸との間の領域で再び用いられている。
【0070】
図4に、第3実施形態における高圧膨張タービン37b及び低圧膨張タービン38bの構成図を示す。
【0071】
第3実施形態では、高圧膨張タービン37b及び低圧膨張タービン38bにガスを供給する流路394が3つに分岐している。流路394から分岐した流路のうち1つは高圧膨張タービン37bのラジアル軸受部373及びスラスト軸受部374に接続されている。これにより、高圧膨張タービン37bのラジアル軸受部373と、スラスト軸受部374と、にガスを供給することが可能に構成されている。
【0072】
流路394から分岐した流路のうち1つは高圧膨張タービン37bのシール部375に接続されている。これにより、シール部375と高圧膨張タービン回転軸371との間の領域375aにガスを供給することが可能に構成されている。
【0073】
流路394から分岐した流路のうち1つは、低圧膨張タービン38bのラジアル軸受部383及びスラスト軸受部384に接続されている。これにより、低圧膨張タービン38bのラジアル軸受部383と、スラスト軸受部384と、にガスを供給することが可能に構成されている。
【0074】
ガスの流路における分岐点394aから高圧膨張タービン37bのラジアル軸受部373及びスラスト軸受部374に延びる流路394bには、流量調整弁395aが配置されている。流量調整弁395aによって、高圧膨張タービン37bのラジアル軸受部373及びスラスト軸受部374に供給されるガスの供給量を調整することが可能に構成されている。
【0075】
ガスの流路における分岐点394aから高圧膨張タービン37bのシール部375に延びる流路394cには、流量調整弁395bが配置されている。流量調整弁395bによって、高圧膨張タービン37bのシール部375に供給されるガスの供給量を調整することが可能に構成されている。
【0076】
ガスの流路における分岐点394aから低圧膨張タービン38bのラジアル軸受部383及びスラスト軸受部384に延びる流路394dには、流量調整弁395cが配置されている。流量調整弁395cによって、低圧膨張タービン38bのラジアル軸受部383及びスラスト軸受部384に供給されるガスの供給量を調整することが可能に構成されている。
【0077】
高圧膨張タービン37bのガス排出路378よりも下流側の流路には、ガスの流量を調整することが可能な流量調整弁395dが配置されている。流量調整弁395dによって、高圧膨張タービン37bのガス排出路378から排出されるガスの流量を調整することが可能に構成されている。
【0078】
高圧膨張タービン37bのラジアル軸受部373及びスラスト軸受部374から排出されるガスは、流路396を通り、分岐点397で分岐する。分岐点397からの流路のうち、一方の流路398は外部に接続されている。従って、流路398を通るガスは、そのまま外部に排出される。分岐点397からの流路のうち、他方の流路399は、低圧膨張タービン38bのシール部385に接続されている。流路399には、ガスの流量を調整することが可能な流量調整弁395eが配置されている。流量調整弁395eによって、低圧膨張タービン38bのシール部385に供給されるガスの量を調整することが可能に構成されている。
【0079】
低圧膨張タービン38bのガス排出路388よりも下流側の流路には、ガス排出路388から排出されるガスの流量を調整することが可能な流量調整弁395fが設けられている。流量調整弁395fによって、低圧膨張タービン38bのラジアル軸受部383及びスラスト軸受部384から排出されるガスの流量を調整することが可能に構成されている。
【0080】
低圧膨張タービン38bにおけるシール部385と回転軸381との間の領域385aに、高圧のガスを供給することにより、シール部385と回転軸381との間の領域385a内で、冷媒を低圧羽根車382側に押し戻すことができる。冷媒が羽根車382側に押し戻されることにより、冷媒がシール部385と回転軸381との間の領域385aを通過することを抑えることができる。従って、冷媒が、シール部385を挟んで羽根車382側とは他端側の位置に侵入することをさらに少なく抑えることができる。このときシール部385に供給されるガスが、シール部385から一端の側に冷媒を押し出すシールガスとして機能する。冷媒が羽根車382側とは他端側の位置に侵入することが抑えられるので、回転軸及び軸受部が冷却されてしまうことで回転軸及び軸受部の寸法精度が低下することを抑えることができる。
【0081】
低圧膨張タービン38bにおけるシール部385と回転軸381との間の領域385aに供給されたシールガスは、ラジアル軸受部383と回転軸381との間の領域389a及びスラスト軸受部384と回転軸381との間の領域389bからのガスが排出されるガス排出路388に流入することで排出されて回収される。
【0082】
また、第3実施形態では、高圧膨張タービン37bの回転軸371とラジアル軸受部373との間の領域379a及びスラスト軸受部374と回転軸371との間の領域379bで用いられたガスの一部が、分岐点397で分岐し、低圧膨張タービン38bのシール部385と回転軸381との間の領域385aで再び用いられている。
【0083】
第3実施形態では、流路(第2のガス供給路)399を通って、低圧膨張タービン38bにおけるシール部385に供給されるガスは、シール部385と回転軸381との間の領域385aから回転軸381の軸方向に沿う一端の側(低圧羽根車382側)に冷媒を押し出すシールガスである。
【0084】
このように、第3実施形態では、高圧膨張タービン37bのラジアル軸受部373と回転軸371との間の領域379a及びスラスト軸受部374と回転軸371との間の領域379bから排出されたガスが、低圧膨張タービン38bのシール部385と回転軸381との間の領域385aに供給されることになる。従って、高圧膨張タービン37のラジアル軸受部373と回転軸371との間の領域379a及びスラスト軸受部374と回転軸371との間の領域379bで用いられたガスが、高圧膨張タービン37b及び低圧膨張タービン38bから排出される前に、低圧膨張タービン38bのシール部385と回転軸381との間の領域385aで再び用いられることになる。高圧膨張タービン37bのラジアル軸受部373と回転軸371との間の領域379a及びスラスト軸受部374と回転軸371との間の領域379bで用いられるガスと、低圧膨張タービン38bのシール部385と回転軸381との間の領域385aで用いられるガスと、を共通化することにより、高圧膨張タービン37b及び低圧膨張タービン38bにおける軸受部376、386と回転軸371、381との間に供給されるガスの消費量を少なく抑えることができる。従って、システム内で消費されるエネルギーが少なく抑えられる。これにより、極低温冷凍装置100のエネルギー効率を向上させることができる。
【0085】
また、低圧膨張タービン38bにおける膨張の行われている羽根車382周囲の領域では、冷媒が低圧になっている。従って、低圧膨張タービン38bにおけるシール部385と回転軸381との間の領域385aでは圧力が低くなっている。従って、低圧膨張タービン38bにおけるシール部385と回転軸381との間の領域385aの圧力が、高圧膨張タービン37bのガス排出路378の圧力よりも小さい。従って、高圧膨張タービン37bのガス排出路378と、低圧膨張タービン38bのシール部385と回転軸381との間の領域385aと、の間で圧力差が生じる。これにより、高圧膨張タービン37bのガス排出路378と、低圧膨張タービン38bの領域385aと、の間を接続すれば、この間に特別に供給手段を設けなくても、ガス排出路378から排出されるガスを領域385aに供給することができる。このため、ガスを領域385aに供給する供給手段を冷媒の膨張システムの構成から省くことができ、領域385aにガスを供給するための構成が簡易になる。これにより、極低温冷凍装置100の製造コストを少なく抑えることができる。
【0086】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、高圧膨張タービンと低圧膨張タービンとの2台の膨張タービンを用いて冷媒を膨張させて冷却する形態について説明した。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、他の形態が採用されてもよい。例えば、3台以上の複数の膨張タービンが用いられて、それぞれの膨張タービンによって冷媒が膨張されて冷却される形態が採用されてもよい。その際、複数の膨張タービンのうち、いずれか2つの膨張タービンの間で、上記の実施形態に示されるように、ガスの再利用によって軸受部と回転軸との間の領域へのガスの供給が行われても良い。
【0087】
また、複数の膨張タービンが用いられ、そのうちの一部の膨張タービンの間で軸受部と回転軸との間に供給されるガスが再利用される場合には、連続して接続された膨張タービンの間でのみガスが再利用される形態に限定されない。複数の膨張タービンのうち、任意の膨張タービン同士の間で、軸受部と回転軸との間に供給されるガスが再利用されれば良い。
【0088】
また、上記実施形態では、冷媒の圧力が比較的高圧の高圧膨張タービンで用いられたガスが、冷媒の圧力が比較的低圧の低圧膨張タービンで再利用される形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。低圧膨張タービンで用いられるガスの圧力が高圧膨張タービンで用いられるガスの圧力よりも高い場合には、低圧膨張タービンで用いられたガスが高圧膨張タービンで再利用される形態であっても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、軸受部で回転軸の位置決めのために用いられる高圧のガスとして、圧縮機で圧縮されたガスを用いる形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。別の圧縮機によって圧力が高められた高圧のガスによって回転軸の位置決めが行われてもよい。また、圧縮機以外の他の手段によって高圧になったガスによって回転軸の位置決めが行われてもよい。