(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分Aの結晶子径に対するBET粒径の比率[BET粒径(nm)/結晶子径(nm)]が0.8以上1.5以下である、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
前記配合工程の前に、有機酸の存在下で酸化セリウム粒子を湿式粉砕して単結晶酸化セリウム粉砕粒子(成分A)を得る工程をさらに含む、請求項11に記載の半導体基板用研磨液組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らが鋭意検討した結果、単結晶酸化セリウム粉砕粒子(以下、「単結晶粉砕セリア粒子」ともいう)と所定の糖類化合物とを含有する研磨液組成物を用いることで、驚くべきことに、酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつ、窒化珪素膜の研磨速度を抑制できることを見出した。
【0015】
すなわち、本開示は、一態様において、単結晶酸化セリウム粉砕粒子(成分A)と、糖類化合物(成分B)と、水と、を含み、成分Aは、結晶子径が5nm以上40nm以下であり、又は、有機酸の存在下で酸化セリウム粒子を湿式粉砕して得られる粒子であり、成分Bは、グルコース、ガラクトース、及び、グルコース又はガラクトースがグリコシド結合した化合物から選ばれる少なくとも1種である、半導体基板用研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)に関する。本開示の本開示の研磨液組成物によれば、酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつ、窒化珪素膜の研磨速度を抑制できる。
【0016】
本開示の効果発現のメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
所定の糖類化合物(成分B)が窒化珪素膜に吸着し、単結晶粉砕セリア粒子(成分A)と窒化珪素膜との直接接触を阻害し、窒化珪素膜の加水分解を抑制するため、酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつ、窒化珪素膜の研磨速度を抑制できると考えられる。
ただし、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0017】
本開示において「研磨選択性」は、研磨ストッパ膜の研磨速度に対する被研磨膜の研磨速度の比(被研磨膜の研磨速度/研磨ストッパ膜の研磨速度)と同義であり、「研磨選択性」が高いと、前記研磨速度比が大きいことを意味する。
【0018】
[単結晶粉砕セリア粒子(成分A)]
本開示の研磨液組成物に含まれる単結晶粉砕セリア粒子(成分A)は、一又は複数の実施形態において、有機酸の存在下でセリア粒子を湿式粉砕して得られる単結晶粉砕セリア粒子である。成分Aは、1種類の単結晶粉砕セリア粒子であってもよいし、2種以上の単結晶粉砕セリア粒子の組合せであってもよい。
【0019】
湿式粉砕時に使用される有機酸としては、例えば、ピコリン酸及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。湿式粉砕方法としては、例えば、遊星ビーズミル等による湿式粉砕が挙げられる。
【0020】
成分Aの結晶子径は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下が更に好ましい。より具体的には、成分Aの結晶子径は、5nm以上40nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましく、15nm以上25nm以下が更に好ましい。本開示において、成分Aの結晶子径は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
【0021】
成分Aの窒素吸着(BET)法による平均粒径(以下、「BET粒径」ともいう)は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下が更に好ましい。より具体的には、成分AのBET粒径は、5nm以上40nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましく、15nm以上25nm以下が更に好ましい。本開示において、成分AのBET粒径は、窒素吸着(BET)法によって算出されるBET比表面積S(m
2/g)を用いて算出されるBET比表面積換算粒径であり、BET法により算出される平均一次粒子径と呼ばれる場合もある。BET比表面積は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0022】
成分Aの結晶子径(nm)に対する成分AのBET粒径(nm)の比率(BET粒径/結晶子径)は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、0.8以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、0.95以上が更に好ましく、そして、1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましい。より具体的には、比率(BET粒径/結晶子径)は、0.8以上1.5以下が好ましく、0.9以上1.3以下がより好ましく、0.95以上1.1以下が更に好ましい。
【0023】
成分Aの動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)により測定される平均粒径(以下、「DLS粒径」ともいう。)は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、25nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、40nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、150nm以下が好ましく、130nm以下がより好ましく、110nm以下が更に好ましい。より具体的には、成分AのDLS粒径は、25nm以上150nm以下が好ましく、30nm以上130nm以下がより好ましく、40nm以上110nm以下が更に好ましい。本開示において、成分AのDLS粒径は、動的光散乱法により測定される散乱強度分布に基づく体積平均粒径をいう。DLS粒径は、例えば、固形分濃度が0.1質量%の成分Aスラリーを準備し、これをマルバーン社製のゼータサイザーナノZS(動的光散乱法)にて測定される体積平均粒径であり、動的光散乱法により測定される平均二次粒子径と呼ばれる場合もある。
【0024】
成分Aの形状としては、特に限定されなくてもよく、例えば、多面体状等が挙げられる。
【0025】
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が更により好ましい。より具体的には、成分Aの含有量は、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.15質量%以上3質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の単結晶粉砕セリア粒子の組合せである場合、成分Aの含有量はそれらの合計含有量をいう。
【0026】
[糖類化合物(成分B)]
本開示の研磨液組成物に含まれる糖類化合物(成分B)は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、グルコース、ガラクトース、及び、グルコース又はガラクトースがグリコシド結合した化合物から選ばれる少なくとも1種の糖類化合物である。グルコース又はガラクトースがグリコシド結合した化合物としては、一又は複数の実施形態において、グルコース及びガラクトースの少なくとも一方に由来する構成単位を含む化合物が挙げられる。グルコース又はガラクトースがグリコシド結合した化合物としては、一又は複数の実施形態において、複数個(少なくとも2個以上)の単糖がグリコシド結合した化合物であって、該化合物を構成する複数個の単糖のうちの少なくとも1つがグルコース又はガラクトースである化合物が挙げられる。
グルコースは、α−グルコースでもよいし、β−グルコースでもよい。例えば、α−グルコースがグリコシド結合した化合物としては、下記式(I)で表される構成単位及び下記式(II)で表される構成単位の少なくとも一方を含む糖類化合物が挙げられる。成分Bは、1種類の糖類化合物であってもよいし、2種以上の糖類化合物の組合せであってもよい。
【化1】
【0027】
成分Bとしては、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、及び多糖から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
成分Bの単糖としては、例えば、グルコース、ガラクトースが挙げられる。
成分Bの二糖としては、例えば、ラクトース[構成:グルコース+ガラクトース]、イソマルツロース[構成:グルコース+フルクトース]、スクロース[構成:グルコース+フルクトース]等が挙げられる。イソマルツロースの具体例としては、例えば、三井製糖社製の商品名「パラチノース」等が挙げられる。
成分Bの三糖としては、例えば、ラフィノース[構成:グルコース+ガラクトース+フルクトース]等が挙げられる。
成分Bの四糖としては、例えば、アカルボース、スタキオースが挙げられる。
成分Bのオリゴ糖としては、例えば、構成単位がグルコースのみであるオリゴ糖が挙げられ、具体的には、ゲンチオオリゴ糖等が挙げられる。ゲンチオオリゴ糖の具体例としては、例えば、日本食品化工社製の商品名「ゲントース♯45」等が挙げられる。
成分Bの多糖としては、例えば、ポリデキストロース等が挙げられる。ポリデキストロースは、例えば、グルコースとソルビトールとクエン酸を89:10:1で加熱して製造されうる。ポリデキストロースの具体例としては、例えば、ダニスコ社製の商品名「ライテスIII」、「ライテスパウダー」、「ライテスII」、「ライテスウルトラ」、「ライテスファイバーHF」;テート&ライル社製の商品名「スターライトIII」、「スターライトエリート」、「プロミター85」;太陽化学社製の商品名「サンファイバー」;等が挙げられる。
【0028】
成分Bが多糖である場合、成分Bの構造としては、直鎖構造、環状構造、分岐構造が挙げられる。
【0029】
成分Bがオリゴ糖又は多糖である場合、成分Bの重量平均分子量は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、400以上が好ましく、800以上がより好ましく、850以上が更に好ましく、900以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、2800以下が好ましく、2500以下がより好ましく、2300以下が更に好ましい。より具体的には、成分Bの重量平均分子量は、400以上2800以下が好ましく、800以上2500以下がより好ましく、850以上2300以下が更に好ましく、900以上2300以下が更に好ましい。
【0030】
本開示において重量平均分子量は、液体クロマトグラフィー(株式会社日立製作所製、L−6000型高速液体クロマトグラフィー)を使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって下記条件で測定できる。
検出器:ショーデックスRI SE−61示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel α−M」と「TSKgel α−M」を直列につないだものを使用した。
溶離液:50mmoL/LiBr水溶液
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
標準ポリマー:分子量が既知の単分散プルラン(Shodex社製のSTD−Pシリーズ)
【0031】
本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.8質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、4質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。より具体的には、成分Bの含有量は、0.1質量%以上4質量%以下が好ましく、0.3質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下が更に好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下が更に好ましい。成分Bが2種以上の糖類化合物の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計の含有量をいう。
【0032】
本開示の研磨液組成物中の成分Aに対する成分Bの質量比B/A(成分Bの含有量/成分Aの含有量)は、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.8以上が更に好ましく、1以上が更に好ましく、3以上が更に好ましく、5以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、80以下が好ましく、30以下がより好ましく、15以下が更に好ましく、10以下が更に好ましい。より具体的には、質量比B/Aは、0.01以上80以下が好ましく、0.1以上30以下がより好ましく、0.8以上15以下が更に好ましく、1以上10以下が更に好ましく、3以上10以下が更に好ましく、5以上10以下が更に好ましい。
【0033】
[水]
本開示の研磨液組成物は、媒体として水を含有する。該水は、半導体基板の品質向上の観点から、イオン交換水、蒸留水、超純水等の水からなるとより好ましい。本開示の研磨液組成物における水の含有量は、成分A、成分B、水及び後述する任意成分の合計含有量を100質量%とすると、成分A、成分B及び後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
【0034】
[任意成分]
<有機酸(成分C)>
本開示の研磨液組成物は、有機酸(以下、「成分C」ともいう)がさらに配合されたものであってもよい。本開示の研磨液組成物に成分Cがさらに配合された場合、研磨後の基板表面の平坦性を向上できる。具体的には、表面に凹凸を有する被研磨膜が形成された半導体基板(以下、「パターン基板」ともいう。)を研磨したときに、研磨時間を短縮できる。すなわち、パターン基板の平坦化速度を向上できる。さらに、凸部(アクティブ部)の酸化珪素膜が研磨された後に露出する窒化珪素膜の研磨も抑制することができる(オーバーポリッシュ耐性)。
ここで、オーバーポリッシュ耐性について説明する。一般的に、シャロートレンチ素子分離構造の形成工程において、凸部(アクティブ部)の酸化珪素膜を完全に除去するためオーバーポリッシュを行うことがある。その際、酸化珪素膜の除去後に露出するストップ膜である窒化珪素膜を研磨することになるが、オーバーポリッシュ時における窒化珪素膜の研磨が抑制されていることが望ましく、これをオーバーポリッシュ耐性という。
【0035】
成分Cは、1種類の有機酸であってもよいし、2種類以上の有機酸の組合せであってもよい。成分Cとしては、例えば、カルボキシル基を有する有機酸が挙げられ、具体的には、ピコリン酸及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。成分Cは、成分Aの調製(粉砕時)に用いられる有機酸の種類と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、平坦化速度の向上及びオーバーポリッシュ耐性の向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。より具体的には、成分Cの含有量は、0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.03質量%以上0.3質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい。成分Cが2種以上の有機酸の組合せである場合、成分Cの含有量はそれらの合計の含有量をいう。
【0037】
本開示の研磨液組成物中の成分Aに対する成分Cの質量比C/A(成分Cの含有量/成分Aの含有量)は、平坦化速度の向上及びオーバーポリッシュ耐性の向上の観点から、0.001以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましく、0.5以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、1以下が更に好ましい。より具体的には、質量比C/Aは、0.001以上10以下が好ましく、0.1以上5以下がより好ましく、0.3以上1以下が更に好ましく、0.5以上1以下が更に好ましい。
【0038】
<その他の成分>
本開示の研磨液組成物は、必要に応じてその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、pH調整剤、界面活性剤、成分B以外の糖類化合物、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤等が挙げられる。前記その他の成分は、本開示の効果を損なわない範囲で研磨液組成物に配合されることが好ましく、本開示の研磨液組成物中のその他の成分の含有量は、研磨速度確保の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.0025質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、研磨選択性向上の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、その他の成分の含有量は、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.0025質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
【0039】
前記pH調整剤としては、例えば、酸性化合物及びアルカリ化合物が挙げられる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ギ酸、及びレブリン酸等の有機酸や成分Cの有機酸;等が挙げられる。なかでも、汎用性の観点から、塩酸、硝酸及び酢酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、塩酸及び酢酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。アルカリ化合物としては、例えば、アンモニア、及び水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物;アルキルアミン、及びアルカノールアミン等の有機アルカリ化合物;等が挙げられる。なかでも、半導体基板の品質向上の観点から、アンモニア及びアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、アンモニアがより好ましい。
【0040】
前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル酢酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、及びアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアクリルアミド等のノニオン性ポリマー、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等が挙げられる。
【0041】
本開示の研磨液組成物は、ポリ(アミノ酸)及びタンパク質から選ばれる少なくとも1種を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0042】
[研磨液組成物の調製]
本開示の研磨液組成物は、成分A及び水を含むスラリー、成分B、並びに、所望により成分C及びその他の成分を公知の方法で配合する工程を含む製造方法によって製造できる。例えば、本開示の研磨液組成物は、少なくとも成分A、成分B及び水を配合してなるものとすることができる。成分Aが複数種類の単結晶粉砕セリア粒子の組合せである場合、成分Aは、複数種類の単結晶粉砕セリア粒子をそれぞれ配合することにより得ることができる。成分Bが複数種類の糖類化合物の組合せである場合、成分Bは、複数種類の糖類化合物をそれぞれ配合することにより得ることができる。
【0043】
すなわち、本開示は、一態様において、成分Aと成分Bと水とを配合する配合工程を含む、半導体基板用研磨液組成物の製造方法(以下、「本開示の研磨液組成物の製造方法」ともいう)に関する。本開示の研磨液組成物の製造方法は、一又は複数の実施形態において、前記配合工程の前に、有機酸の存在下で酸化セリウム粒子を湿式粉砕して成分Aを得る工程をさらに含むことができる。本開示の研磨液組成物製造方法において、前記配合工程は、一又は複数の実施形態において、成分Cをさらに配合する工程を含むことができる。
【0044】
本開示において「配合する」とは、成分A、成分B及び水、並びに必要に応じて成分C及びその他の成分を同時に又は順に混合することを含む。混合する順序は特に限定されない。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。本開示の研磨液組成物の製造方法における各成分の配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の含有量と同じとすることができる。
【0045】
本開示の研磨液組成物の実施形態は、全ての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型であってもよいし、使用時に混合される、いわゆる2液型であってもよい。2液型の研磨液組成物の一実施形態としては、成分Aを含む第1液と、成分Bを含む第2液とから構成され、使用時に第1液と第2液とが混合されるものが挙げられる。第1液と第2液との混合は、研磨対象の表面への供給前に行われてもよいし、これらは別々に供給されて被研磨基板の表面上で混合されてもよい。第1液及び第2液はそれぞれ必要に応じて上述した成分C及びその他の成分を含有することができる。
【0046】
本開示の研磨液組成物のpHは、酸化珪素膜の研磨速度確保、及び窒化珪素膜の研磨速度抑制の観点から、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、5.3以上が更に好ましく、5.5以上が更に好ましく、5.7以上が更に好ましく、そして、9以下が好ましく、8.5以下がより好ましく、8以下が更に好ましく、7.5以下が更に好ましく、7以下が更に好ましく、6.5以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物のpHは、4以上9以下が好ましく、5以上8.5以下がより好ましく、5.3以上8以下が更に好ましく、5.5以上7.5以下が更に好ましく、5.7以上7以下が更に好ましく、5.7以上6.5以下が更に好ましい。本開示において、研磨液組成物のpHは、25℃における値であって、pHメータを用いて測定でき、具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。
【0047】
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、研磨液組成物の研磨への使用を開始する時点での前記各成分の含有量をいう。本開示の研磨液組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存および供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて水で適宜希釈して研磨工程で使用することができる。希釈割合としては5〜100倍が好ましい。
【0048】
[被研磨膜]
本開示の研磨液組成物を用いて研磨される被研磨膜としては、例えば、酸化珪素膜が挙げられる。したがって、本開示の研磨液組成物は、一実施形態において、半導体基板の素子分離構造を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨に好適に使用できる。
【0049】
[研磨液キット]
本開示は、研磨液組成物を製造するためのキットであって、成分Aを含有する分散液が容器に収納された成分A分散液、及び、前記成分A分散液とは別の容器に収納された成分Bを含む、研磨液キット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。本開示の研磨液キットによれば、酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつ、窒化珪素膜の研磨速度を抑制できる研磨液組成物が得られうる。
【0050】
本開示の研磨液キットの一実施形態としては、例えば、成分A及び水を含む分散液(第1液)と成分Bを含む溶液(第2液)とを相互に混合されていない状態で含有し、これらが使用時に混合される研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記第1液と前記第2液とが混合された後、必要に応じて水を用いて希釈されてもよい。前記第1液及び第2液にはそれぞれ、必要に応じて上述した成分C及びその他の成分が含まれていてもよい。
【0051】
[半導体基板の製造方法]
本開示は、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程(以下、「本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう)を含む、半導体基板の製造方法(以下、「本開示の半導体基板の製造方法」ともいう。)に関する。本開示の半導体基板の製造方法によれば、研磨工程において酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつ、窒化珪素膜の研磨速度の抑制が可能となるため、基板品質が向上した半導体基板を効率よく製造できるという効果が奏されうる。
【0052】
本開示の半導体基板の製造方法の具体例としては、まず、シリコン基板を酸化炉内で酸素に晒すことよりその表面に二酸化シリコン層を成長させ、次いで、当該二酸化シリコン層上に窒化珪素(Si
3N
4)膜又はポリシリコン膜等の研磨ストッパ膜を、例えばCVD法(化学気相成長法)にて形成する。次に、シリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された研磨ストッパ膜とを含む基板、例えば、シリコン基板の二酸化シリコン層上に研磨ストッパ膜が形成された基板に、フォトリソグラフィー技術を用いてトレンチを形成する。次いで、例えば、シランガスと酸素ガスを用いたCVD法により、トレンチ埋め込み用の被研磨膜である酸化珪素(SiO
2)膜を形成し、研磨ストッパ膜が被研磨膜(酸化珪素膜)で覆われた被研磨基板を得る。酸化珪素膜の形成により、前記トレンチは酸化珪素膜の酸化珪素で満たされ、研磨ストッパ膜の前記シリコン基板側の面の反対面は酸化珪素膜によって被覆される。このようにして形成された酸化珪素膜のシリコン基板側の面の反対面は、下層の凸凹に対応して形成された段差を有する。次いで、CMP法により、酸化珪素膜を、少なくとも研磨ストッパ膜のシリコン基板側の面の反対面が露出するまで研磨し、より好ましくは、酸化珪素膜の表面と研磨ストッパ膜の表面とが面一になるまで酸化珪素膜を研磨する。本開示の研磨液組成物は、このCMP法による研磨を行う工程に用いることができる。
【0053】
CMP法による研磨では、被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で、本開示の研磨液組成物をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面の凹凸部分を平坦化させる。本開示の半導体基板の製造方法において、シリコン基板の二酸化シリコン層と研磨ストッパ膜との間に他の絶縁膜が形成されていてもよいし、被研磨膜(例えば、酸化珪素膜)と研磨ストッパ膜(例えば、窒化珪素膜)との間に他の絶縁膜が形成されていてもよい。
【0054】
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程において、研磨パッドの回転数は、例えば、30〜200r/分、被研磨基板の回転数は、例えば、30〜200r/分、研磨パッドを備えた研磨装置に設定される研磨荷重は、例えば、20〜500g重/cm
2、研磨液組成物の供給速度は、例えば、10〜500mL/分に設定できる。研磨液組成物が2液型研磨液組成物の場合、第1液及び第2液のそれぞれの供給速度(又は供給量)を調整することで、被研磨膜及び研磨ストッパ膜のそれぞれの研磨速度や、被研磨膜と研磨ストッパ膜との研磨速度比(研磨選択性)を調整できる。
【0055】
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程において、被研磨膜(例えば、酸化珪素膜)の研磨速度は、生産性向上の観点から、好ましくは500Å/分以上、より好ましくは800Å/分以上、更に好ましくは1200Å/分以上である。
【0056】
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程において、研磨ストッパ膜(例えば、窒化珪素膜)の研磨速度は、研磨選択性向上及び研磨時間の短縮化の観点から、好ましくは500Å/分以下、より好ましくは300Å/分以下、更に好ましくは150Å/分以下である。
【0057】
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程において、研磨速度比(被研磨膜の研磨速度/研磨ストッパ膜の研磨速度)は、研磨時間の短縮化の観点から、1.01以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.6以上が更に好ましい。本開示において研磨選択性は、研磨ストッパの研磨速度に対する被研磨膜の研磨速度の比(被研磨膜の研磨速度/研磨ストッパ膜の研磨速度)と同義であり、研磨選択性が高いとは、研磨速度比が大きいことを意味する。
【0058】
[研磨方法]
本開示は、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、基板の研磨方法(以下、本開示の研磨方法ともいう)に関する。
【0059】
本開示の研磨方法を使用することにより、研磨工程において酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつ、窒化珪素膜の研磨速度の抑制が可能となるため、基板品質が向上した半導体基板の生産性を向上できるという効果が奏されうる。具体的な研磨の方法及び条件は、上述した本開示の半導体基板の製造方法と同じようにすることができる。
【0060】
本開示は、さらに以下の組成物、製造方法に関する。
<1> 単結晶酸化セリウム粉砕粒子(成分A)と、糖類化合物(成分B)と、水と、を含み、
成分Aは、結晶子径が5nm以上40nm以下であり、
成分Bは、グルコース、ガラクトース、及び、グルコース又はガラクトースがグリコシド結合した化合物から選ばれる少なくとも1種である、半導体基板用研磨液組成物。
【0061】
<2> 単結晶酸化セリウム粉砕粒子(成分A)と、糖類化合物(成分B)と、水と、を含み、
成分Aは、有機酸の存在下で酸化セリウム粒子を湿式粉砕して得られる粒子であり、
成分Bは、グルコース、ガラクトース、及び、グルコース又はガラクトースがグリコシド結合した化合物から選ばれる少なくとも1種である、半導体基板用研磨液組成物。
<3> 前記有機酸が、ピコリン酸、及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種である、<2>に記載の研磨液組成物。
<4> 成分Aの結晶子径は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上がより好ましい、<1>から<3>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<5> 成分Aの結晶子径は、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下が更に好ましい、<1>から<4>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<6> 成分Aの結晶子径は、5nm以上40nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましく、15nm以上25nm以下が更に好ましい、<1>から<5>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<7> 成分AのBET粒径は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上がより好ましい、<1>から<6>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<8> 成分AのBET粒径は、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下が更に好ましい、<1>から<7>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<9> 成分AのBET粒径は、5nm以上40nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましく、15nm以上25nm以下が更に好ましい、<1>から<8>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<10> 成分Aの結晶子径に対する成分AのBET粒径の比率(BET粒径/結晶子径)は、0.8以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、0.95以上が更に好ましい、<1>から<9>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<11> 比率(BET粒径/結晶子径)は、1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましい、<1>から<10>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<12> 比率(BET粒径/結晶子径)は、0.8以上1.5以下が好ましく、0.9以上1.3以下がより好ましく、0.95以上1.1以下が更に好ましい、<1>から<11>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<13> 成分AのDLS粒径は、25nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、40nm以上が更に好ましい、<1>から<12>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<14> 成分AのDLS粒径は、150nm以下が好ましく、130nm以下がより好ましく、110nm以下が更に好ましい、<1>から<13>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<15> 成分AのDLS粒径は、25nm以上150nm以下が好ましく、30nm以上130nm以下がより好ましく、40nm以上110nm以下が更に好ましい、<1>から<14>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<16> 成分Aの含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上がより好ましい、<1>から<15>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<17> 成分Aの含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更により好ましい、<1>から<16>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<18> 成分Aの含有量は、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.15質量%以上3質量%以下が更に好ましい、<1>から<17>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<19> 成分Bは、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、及び多糖から選ばれる少なくとも1種である、<1>から<18>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<20> 成分Bの重量平均分子量は、400以上が好ましく、800以上がより好ましく、850以上が更に好ましく、900以上が更に好ましい、<1>から<19>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<21> 成分Bの重量平均分子量は、2800以下が好ましく、2500以下がより好ましく、2300以下が更に好ましい、<1>又は<20>に記載の研磨液組成物。
<22> 成分Bの重量平均分子量は、400以上2800以下が好ましく、800以上2500以下がより好ましく、850以上2300以下が更に好ましく、900以上2300以下が更に好ましい、<1>から<21>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<23> 成分Bの構成単位が、グルコースのみである、<1>から<22>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<24> 成分Bが、グルコース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、イソマルツロース、ラフィノース、ゲンチオオリゴ糖及びポリデキストロースから選ばれる少なくとも1種である、<1>から<23>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<25> 成分Bの含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましい、<1>から<24>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<26> 成分Bの含有量は、4質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい、<1>から<25>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<27> 成分Bの含有量は、0.1質量%以上4質量%以下が好ましく、0.3質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下が更に好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下が更に好ましい、<1>から<26>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<28> 成分Aに対する成分Bの質量比B/Aは、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.8以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、3以上が更に好ましく、5以上が更に好ましく、<1>から<27>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<29> 成分Aに対する成分Bの質量比B/Aは、80以下が好ましく、30以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましい、<1>から<28>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<30> 質量比B/Aは、0.01以上80以下が好ましく、0.1以上30以下がより好ましく、0.8以上15以下が更に好ましく、1以上10以下が更に好ましく、3以上10以下が更に好ましく、5以上10以下が更に好ましい、<1>から<29>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<31> 有機酸(成分C)がさらに配合された、<1>から<30>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<32> 成分Cは、ピコリン酸、及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種である、<31>に記載の研磨液組成物。
<33> 成分Cの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい、<31>又は<32>に記載の研磨液組成物。
<34> 成分Cの含有量は、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい、<31>から<33>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<35> 成分Cの含有量は、0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.03質量%以上0.3質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい、<31>から<34>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<36> 成分Aに対する成分Cの質量比C/Aは、0.001以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい、<31>から<35>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<37> 成分Aに対する成分Cの質量比C/Aは、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、1以下が更に好ましい、<31>から<36>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<38> 質量比C/Aは、0.001以上10以下が好ましく、0.1以上5以下がより好ましく、0.3以上1以下が更に好ましく、0.5以上1以下が更に好ましい、<31>から<37>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<39> pHは、4以上が好ましく、5以上が好ましく、5.3以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、5.7以上が更に好ましい、<1>から<38>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<40> pHは、9以下が好ましく、8.5以下がより好ましく、8以下がより好ましく、7.5以下がより好ましく、7以下がより好ましく、6.5以下が更に好ましい、<1>から<39>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<41> pHは、4以上9以下が好ましく、5以上8.5以下がより好ましく、5.3以上8以下が更に好ましく、5.5以上7.5以下が更に好ましく、5.7以上7以下が更に好ましく、5.7以上6.5以下が更に好ましい。<1>から<40>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<42> 単結晶酸化セリウム粉砕粒子(成分A)と、糖類化合物(成分B)と、水とを配合する配合工程を含み、
成分Bは、グルコース、ガラクトース、及び、グルコース又はガラクトースがグリコシド結合した化合物から選ばれる少なくとも1種である、半導体基板用研磨液組成物の製造方法。
<43> 前記配合工程の前に、有機酸の存在下で酸化セリウム粒子を湿式粉砕して単結晶酸化セリウム粉砕粒子(成分A)を得る工程をさらに含む、<42>に記載の半導体基板用研磨液組成物の製造方法。
<44> 前記配合工程は、有機酸(成分C)をさらに配合する工程を含む、<42>又は<43>に記載の半導体基板用研磨液組成物の製造方法。
<45> <1>から<41>のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、半導体基板の製造方法。
<46> <1>から<41>のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、基板の研磨方法。
【実施例】
【0062】
1.研磨液組成物の調製(実施例1〜19及び比較例1〜5)
セリア砥粒A1〜A5(成分A、非成分A)、糖類化合物(成分B)、有機酸(成分C)、及び水を混合して実施例1〜19及び比較例1〜5の研磨液組成物を得た。研磨液組成物中の各成分の含有量、及び研磨液組成物のpHを表1に示す。研磨液組成物のpHは、1規定のアンモニア水溶液を用いて調整した。
【0063】
研磨液組成物の調製に用いたセリア砥粒A1〜A5、糖類化合物(成分B)及び有機酸(成分C)を以下に示す。
<セリア砥粒(成分A、非成分A)>
A1〜A2:セリア粒子を表1に示す有機酸の存在下で湿式粉砕して得られた単結晶粉砕セリア粒子(成分A)
A3:多結晶粉砕セリア粒子[昭和電工社製の「GPL−C1010」](非成分A)
A4:単結晶コロイダルセリア粒子[ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン社製の「ZENUS HC-30」](非成分A)
A5:多結晶コロイダルセリア粒子[ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン社製の「ZENUS HC-60」](非成分A)
<糖類化合物(成分B)>
グルコース[単糖]
ガラクトース[単糖]
ラクトース[二糖、構成:グルコース+ガラクトース]
スクロース[二糖、構成:グルコース+フルクトース]
イソマルツロース[二糖、構成:グルコース+フルクトース、三井製糖社製の「パラチノース」]
ラフィノース[三糖、構成:グルコース+ガラクトース+フルクトース]
ゲンチオオリゴ糖[オリゴ糖、構成単位:グルコースのみ、重量平均分子量430、日本食品化工社製の「ゲントース#45」]
ポリデキストロース[多糖、構成:グルコースとソルビトールとクエン酸とを混合し重合させたもの、重量平均分子量1400、デュポン社製の「ライテスII」]
<有機酸(成分C)>
ピコリン酸
グルタミン酸
【0064】
2.各パラメータの測定方法
(1)研磨液組成物のpH
研磨液組成物の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜電波工業社製、「HM−30G」)を用いて測定した値であり、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して1分後の数値である。
【0065】
(2)セリア砥粒の結晶子径
セリア砥粒の粉体を粉末X線回折測定にかけ、29〜30°付近に出現するセリアの(111)面のピークの半値幅、回折角度を用い、シェラー式よりセリア砥粒の結晶子径(nm)を算出した。
シェラー式:結晶子径(Å)=K×λ/(β×cosθ)
K:シェラー定数、λ:X線の波長=1.54056Å、β:半値幅、θ:回折角2θ/θ
【0066】
(3)セリア砥粒の平均一次粒径
セリア砥粒の平均一次粒径(nm)は、下記窒素吸着(BET)法によって得られるBET比表面積S(m
2/g)を用い、セリア粒子の真密度を7.2g/cm
3として算出した。
【0067】
(4)BET比表面積
セリア砥粒をイオン交換水に分散させたセリア砥粒分散液を120℃で3時間熱風乾燥した後、メノウ乳鉢で細かく粉砕しサンプルを得た。測定直前に120℃の雰囲気下で15分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置「フローソーブIII2305」、島津製作所製)を用いてBET法によりセリア砥粒(成分A、非成分A)のBET比表面積S(m
2/g)を測定した。
【0068】
3.研磨液組成物(実施例1〜18及び比較例1〜5)の評価
[試験片の作成]
<ブランケット基板>
シリコンウェーハの片面に、TEOS−プラズマCVD法で厚さ2000nmの酸化珪素膜(ブランケット膜)を形成したものから、40mm×40mmの正方形片を切り出し、酸化珪素膜試験片(ブランケット基板)を得た。
同様に、シリコンウェーハの片面に、CVD法で厚さ700nmの窒化珪素膜(ブランケット膜)を形成したものから、40mm×40mmの正方形片を切り出し、窒化珪素膜試験片(ブランケット基板)を得た。
<パターン基板>
評価用サンプルとして、アドバンテック社製のCMP特性評価用ウエハ(商品名:STI MIT 864、直径200mm)を用意した。評価用サンプルは、シリコン基板とその上に配置された厚み150nmの窒化珪素膜を備える。窒化珪素膜はCVD法により形成されている。この積層体には、深さ350nm(150nm+200nm)の溝が形成されている。窒化珪素膜上には、厚み450nmの酸化珪素膜(以下、「P−TEOS膜」という)が配置されている。P−TEOS膜はテトラエトキシシラン(TEOS)を用いるプラズマCVD法により形成されている。このP−TEOS膜は、その平面が61個の領域(20mm×20mm)に分割されており、各領域は、さらに25個の小領域(4mm×4mm)に分割されている。尚、評価用の試験片として、20mm×20mmの領域を2つ含むような40mm×40mmの正方形片を切り出したものを準備した。さらに小領域は、10%〜100%の範囲の密度を有する100μmピッチ及び1〜1000μmの範囲のピッチを有する50%密度を有するものであった。ここで、50%密度とは、空間幅/(空間幅+ライン幅)×100%=50%である、反復構造の配列中の空間と定義される。たとえば、空間幅+ライン幅=1000ミクロンであるならば、50%密度は500ミクロンの幅を有する。
【0069】
[酸化珪素膜(被研磨膜)の研磨速度]
研磨装置として、定盤径380mmのテクノライズ製「TR15M−TRK1」を用いた。また、研磨パッドとしては、ニッタ・ハース社製の硬質ウレタンパッド「IC−1000/Suba400」を用いた。前記研磨装置の定盤に、前記研磨パッドを貼り付けた。前記試験片をホルダーにセットし、試験片の酸化珪素膜を形成した面が下になるように(酸化珪素膜が研磨パッドに面するように)ホルダーを研磨パッドに載せた。さらに、試験片にかかる荷重が300g重/cm
2となるように、錘をホルダーに載せた。研磨パッドを貼り付けた定盤の中心に、研磨液組成物を50mL/分の速度で滴下しながら、定盤及びホルダーのそれぞれを同じ回転方向に100r/分で1分間回転させて、酸化珪素膜試験片の研磨を行った。研磨後、超純水を用いて洗浄し、乾燥して、酸化珪素膜試験片を後述の光干渉式膜厚測定装置による測定対象とした。
【0070】
研磨前及び研磨後において、光干渉式膜厚測定装置(SCREENセミコンダクターソリューションズ社製「VM−1230」)を用いて、酸化珪素膜の膜厚を測定した。酸化珪素膜の研磨速度は下記式により算出した。結果は、比較例1を100とした相対値を表1に示した。
酸化珪素膜の研磨速度(Å/分)
=[研磨前の酸化珪素膜厚さ(Å)−研磨後の酸化珪素膜厚さ(Å)]/研磨時間(分)
【0071】
[窒化珪素膜(研磨ストッパ膜)の研磨速度]
試験片として酸化珪素膜試験片の代わりに窒化珪素膜試験片を用いること以外は、前記[酸化珪素膜の研磨速度の測定]と同様に、窒化珪素膜の研磨及び膜厚の測定を行った。窒化珪素膜の研磨速度は下記式により算出した。結果は、比較例1を100とした相対値を表1に示した。
窒化珪素膜の研磨速度(Å/分)
=[研磨前の窒化珪素膜厚さ(Å)−研磨後の窒化珪素膜厚さ(Å)]/研磨時間(分)
【0072】
[研磨速度比]
窒化珪素膜の研磨速度に対する酸化珪素膜の研磨速度の比を研磨速度比とし、下記式により算出し、下記表1に示した。研磨速度比の値が大きいほど、研磨選択性が高いことを示す。
研磨速度比=酸化珪素膜の研磨速度(Å/分)/窒化珪素膜の研磨速度(Å/分)
【0073】
[パターン基板の平坦化速度]
パターン基板を用いたこと以外は、上記ブランケット基板と同様の条件で研磨し、表面の凹凸の段差が無くなるまでの研磨速度を求めた。表1では、凹部と凸部のパターン線幅がそれぞれ100μmであるパターン部における研磨速度について比較例1を100とした相対値を示す。数値が高いほど、パターン基板の平坦化速度が良好であることを示す。
【0074】
[オーバーポリッシュ耐性]
研磨後のパターン基板をさらにオーバーポリッシュ(研磨時間20秒)を行い、オーバーポリッシュ時における研磨速度を求めた。表1では、比較例1を100とした相対値を示す。数値が低いほど、オーバーポリッシュ耐性に優れていることを示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示されるように、成分A及び成分Bを含有する実施例1〜19は、比較例1〜6に比べて、酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつ、窒化珪素膜の研磨速度が抑制されていた。成分Cをさらに含む実施例1〜17は、成分Cを含まない実施例18に比べて、パターン基板の平坦化速度が向上し、オーバーポリッシュ耐性に優れていた。