(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分Aa)及びAb)の混合物は、前記混合物におけるアミド基あたり、アミド基に含まれない、少なくとも6.5個のC原子を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド成形組成物。
前記少なくとも一種の非結晶性又は微結晶性ポリアミドAb)は、PA6I/6T、PAMACM9、PAMACM10、PAMACM12、PAMACM13、PAMACM14、PAMACM16、PAMACM17、PAMACM18、PAPACM10、PAPACM12、PAPACM13、PAPACM14、PAPACM16、PAPACM17、PAPACM18、PATMDC10、PATMDC12、PATMDC13、PATMDC14、PATMDC16、PATMDC17、PATMDC18、PAMACM10/10、PAMACMI/12、PAMACMT/12、PA6I/MACMI/MACMT、PAMACMI/MACMT/12、PAMACMI/MACMT/MACM12、PAMACMI/MACMT/MACM12/12、PA6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA6I/6T/MACMI、PAMACMI/MACM36、PAMACMT/MACM36、PAMACMI/MACM12、PAMACMT/MACM12、PAMACM6/11、PAMACM10/10、PAMACM12/PACM12、PAMACM14/PACM14、PAMACM18/PACM18及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
前記ガラス充填剤は、ガラスの組成に対して、0〜6重量%のアルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物の含有量を有するガラスからなる、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
前記ポリアミド成形組成物は、少なくとも一種の添加剤を含み、添加剤は、無機及び有機安定剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、光保護手段、UV安定剤、UV吸収剤又はUVブロック剤、潤滑剤、離型剤、分離手段、鎖延長剤、着色剤、マーキング手段、無機顔料、有機顔料、IR吸収剤、NIR吸収剤、フォトクロミック剤、蛍光増白剤、ポリテトラフルオロエチレン、ハロゲンフリー難燃剤、天然層ケイ酸塩、合成層ケイ酸塩、チョーク又はタルクから選択され最大3.5の比誘電率を有する充填剤、最大100nmの粒子サイズを有するナノスケール充填剤からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
前記ポリアミド成形組成物は、EN ISO 178(2010)に従って測定した、少なくとも200MPaの溶接線強度を有する、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
前記成形品は、0.3〜300GHzの周波数を有する電磁波で通信を行う装置の構成要素、ハウジング又はハウジング部品に関している、ことを特徴とする請求項13に記載の成形品。
前記成形品は、送受信装置、携帯電話、タブレット、ラップトップ、ナビゲーションデバイス、監視カメラ、写真撮影用カメラ、センサ、ダイビングコンピュータ、オーディオユニット、リモコン、スピーカ、ヘッドホン、ラジオ、テレビ、家電製品、キッチン用品、ドアオープナー又はゲートオープナー、車両中央ロック用操作装置、キーレス自動車用キー、温度測定装置又は温度表示装置、測定装置及び制御装置の構成要素、ハウジング又はハウジング部品からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項14に記載の成形品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
アミド基あたりのC原子
AB−ポリアミドの場合、窒素原子とカルボニル基との間のC原子の数は、アミド基あたりのC原子の数に等しい。AB−ポリアミドの例は、ラウリンラクタムからなるポリアミド12である。ここで、窒素原子とカルボニル基との間のC原子数は11である。
【0013】
ジアミン及びジカルボン酸から形成されたAABB−ポリアミドの場合、アミド基あたりのC原子の数は、ジアミンの2つの窒素原子の間のC原子(C
DS)と、ジカルボン酸の2つのカルボキシ基の間のC原子(C
DA)との合計を2で除算した数、すなわち、(C
DA+C
DS)/2である。2つの窒素及び2つのカルボキシ基から2つのアミド基が形成され得るため、2で除算することが必要である。AABB−ポリアミドの例は、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(MACM)及びドデカン二酸から形成されたポリアミドMACM12である。MACMは、2つの窒素の間に15のC原子を有し、ドデカン二酸は、2つのカルボキシ基の間に10のC原子を有するため、アミド基あたり(15+10)/2=12.5のC原子が存在する。
【0014】
ポリアミドAa)及びAb)の混合物(=ポリアミド成形
組成物の成分(A))は、アミド基に含まれない、アミド基あたり少なくとも5.7の平均C原子数を有する。したがって、この少なくとも5.7のC原子数は、混合物におけるAa)及びAb)の全ポリアミドの平均に関しており、混合物中のポリアミドの重量比について考慮する必要がある。
【0015】
非結晶性又は微結晶性ポリアミド
非結晶性ポリアミド又は微結晶性ポリアミドは、示差走査熱量測定(DSC)を用いて20K/分の加熱速度で、ISO11357−2(2013)に従って測定したときに、最大50J/g、特に好ましくは最大25J/g、特に非常に好ましくは0〜22J/gの溶解熱を示す。
【0016】
微結晶性ポリアミドは、部分的に結晶性のポリアミドであり、したがって所定の融点を有する。しかし、前記ポリアミドは、結晶子(クリスタリット)の寸法が小さいため、2mmの厚さを有して形成されるプレートが依然として透明である、すなわち、その光透過率がASTM D 1003−13(2013)に従って測定したときに少なくとも75%となる形態をなしている。
【0017】
本発明によるポリアミド成形
組成物に用いられる微結晶性ポリアミドの場合、ISO11357−3(2013)に従って測定した融点は、好ましくは最大で255℃である。
【0018】
非結晶性ポリアミドは、微結晶性ポリアミドと比較して、より低い融解熱を有する。非結晶性ポリアミドは、ISO11357−2(2013)に従って、20K/分の加熱速度で、動的に示差走査熱量測定(DSC)により測定したときに、好ましくは最大で5J/g、特に好ましくは最大で3J/g、特に非常に好ましくは0〜1J/gの溶融熱を示す。
【0019】
非結晶性ポリアミドは、非晶性のため融点がない。
【0020】
ポリアミド及びそのモノマーの綴り及び略語
本発明の意味において、用語「ポリアミド」(略語PA)は、一般的な用語であり、ホモポリアミド及びコポリアミドを含むと理解されたい。ポリアミド及びそのモノマーについて用いる綴り及び略語は、ISO規格1874−1(2011、(D))による規定に対応している。本明細書において使用する略語は、モノマーのIUPAC名と同義に使用され、特に、モノマーについて以下の略語を使用する。ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン(3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとも呼ばれる。CAS番号6864−37−5)をMACMと略記し、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとも呼ばれる。CAS番号1761−71−3)をPACMと略記し、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルシクロヘキシル)メタン(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとも呼ばれる。CAS番号65962−45−0)をTMDCと略記し、テレフタル酸(CAS番号100−21−0)をTと略記し、イソフタル酸(CAS番号121−95−5)をIと略記する。
【0021】
数量データ
本発明によるポリアミド成形
組成物は、成分(A)〜(C)を含む。但し、成分(A)〜(C)は合計で100重量%となる。各成分(A)〜(C)の数量データの設定範囲は、所定の範囲内で、個々の成分の各々について任意の量を選択できるものと理解されたい。全ての成分(A)〜(C)の合計が100重量%となる条件を満たしていれば、個々の成分について任意の量を選択することができる。
【0022】
比誘電率
「誘電率」(ε)は、電界に導入されたときの分子の挙動の指標である。誘電率は、「比誘電率」(ε
r)及び「真空誘電率」(ε
0)について、式ε=ε
r・ε
0となる関係を有している。「比誘電率」(ε
r)は、材料に依存した値を表し、「誘電率」(ε)及び「真空誘電率」(ε
0)の商である。材料のタイプに加えて、「比誘電率」(ε
r)は、また、電界の周波数及び温度に依存する。比誘電率は、好ましくは、IEC61189−2−721(2015)に従って測定される。
【0023】
ポリアミド成形
組成物
本発明の好ましい実施例によれば、ポリアミド成形
組成物の歪みは、0.5%以下、好ましくは0.4%以下、特に好ましくは0.3%以下である。歪みは、好ましくはISO294−3(2002)に従って測定される。
【0024】
本発明の他の好ましい実施例によれば、成分Aa)及びAb)の混合物は、アミド基に含まれない、少なくとも6.5個、好ましくは8.5個及び特に好ましくは10.0個のC原子を有する。
【0025】
本発明のさらなる好ましい実施例によれば、PA10、PA11、PA12、PA516、PA610、PA612、PA614、PA616、PA618、PA1010、PA1012、PA1014、PA1016、PA1018及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはPA10、PA11、PA12、PA516、PA612、PA616、PA1010、PA1012、PA1016、PA1212及びこれらの混合物から選択される少なくとも一種の部分結晶性脂肪族ポリアミドAa)が提供される。
【0026】
本発明の好ましい実施例によれば、少なくとも一種の非結晶性又は微結晶性ポリアミドAb)は、PA6I/6T、PAMACM9、PAMACM10、PAMACM12、PAMACM13、PAMACM14、PAMACM16、PAMACM17、PAMACM18、PAPACM10、PAPACM12、PAPACM13、PAPACM14、PAPACM16、PAPACM17、PAPACM18、PATMDC10、PATMDC12、PATMDC13、PATMDC14、PATMDC16、PATMDC17、PATMDC18、PAMACM10/10、PAMACMI/12、PAMACMT/12、PA6I/MACMI/MACMT、PAMACMI/MACMT/12、PAMACMI/MACMT/MACM12、PAMACMI/MACMT/MACM12/12、PA6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA6I/6T/MACMI、PAMACMI/MACM36、PAMACMT/MACM36、PAMACMI/MACM12、PAMACMT/MACM12、PAMACM6/11、PAMACM10/10、PAMACM12/PACM12、PAMACM14/PACM14、PAMACM18/PACM18及びこれらの混合物からなる群から選択される。PA6I/6T、PAMACM12、PAMACM14、PATMDC12、PATMDC14、PAMACMI/12、PA6I/6T/MACMI/MACMT、PAMACMI/MACMT/12、PAMACMI/MACMT/MACM12、PA6I/6T/MACMI/MACMT/12、PAMACM10/10、PAMACM12/PACM12、PAMACM14/PACM14、PAMACM18/PACM18及びこれらの混合物が好ましい。PA6I/6T、PAMACM12、PAMACMI/12、PAMACMI/MACMT/12、PAMACMI/MACMT/MACM12、PAMACM12/PACM12及びこれらの混合物が特に好ましい。
【0027】
本発明の他の好ましい実施例によれば、非結晶性又は微結晶性のポリアミドAb)は、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも140℃、特に好ましくは少なくとも155℃、最も好ましくは少なくとも180℃のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、好ましくはISO11357−2(2013)に従って測定される。
【0028】
本発明の他の好ましい実施例によれば、成分(A)の部分結晶性ポリアミドAa)の割合は、60〜85重量%、好ましくは65〜80重量%である。
【0029】
本発明の好ましい実施例によれば、成分(A)の非結晶性又は微結晶性ポリアミドAb)の割合は、15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%である。
【0030】
本発明の他の好ましい実施例によれば、ポリアミド成形
組成物における成分(A)の割合は、ポリアミド成形
組成物の総重量に対して、34.9〜69.9重量%、好ましくは39.7〜59.7重量%、特に好ましくは44.5〜54.4重量%である。
【0031】
本発明の他の好ましい実施例によれば、ポリアミド成形
組成物における成分(B)の割合は、ポリアミド成形
組成物の総重量に対して、30〜65重量%、好ましくは40〜60重量%、特に好ましくは45〜55重量%である。
【0032】
本発明の他の好ましい実施例によれば、ポリアミド成形
組成物における成分(C)の割合は、ポリアミド成形
組成物の総重量に対して、0.1〜8重量%、好ましくは0.3〜6重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0033】
本発明の他の好ましい実施例によれば、ポリアミド成形
組成物における成分(A)の割合は、ポリアミド成形
組成物の総重量に対して、34.9〜69.9重量%、好ましくは39.7〜59.7重量%、特に好ましくは44.5〜54.4重量%であり、ポリアミド成形
組成物における成分(B)の割合は、ポリアミド成形
組成物の総重量に対して、30〜65重量%、好ましくは40〜60重量%、特に好ましくは45〜55重量%であり、ポリアミド成形
組成物における成分(C)の割合は、ポリアミド成形
組成物の総重量に対して、0.1〜8重量%、好ましくは0.3〜6重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0034】
本発明の好ましい実施例によれば、ガラス充填剤(ガラスフィラー)は、ガラスの組成に対して、0〜10重量%、好ましくは0〜8重量%、好ましくは0〜6重量%のアルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物の含有量を有するガラスからなる。
【0035】
ガラス充填剤は、ファイバー(繊維)、粉砕繊維(ground fibres)、粒子、フレーク、ボール及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、ファイバー、粒子、フレーク及びこれらの混合物からなる。
【0036】
ガラス充填剤は、表面処理され得る。これは、適切なサイズの又は接着性の系で行うことができる。この目的のために、例えば、脂肪酸、ワックス、シラン、チタネート、ポリアミド、ウレタン、ポリヒドロキシエーテル、エポキシド、ニッケル及びこれらの組合せ又は混合物に基づく系を用いることができる。好ましくは、ガラス充填剤は、アミノシラン、エポキシシラン、ポリアミド又はこれらの混合物で表面処理される。
【0037】
成分(B)のガラス充填剤としてファイバーが選択された場合、ガラスファイバーは、切断繊維(カットファイバー)、エンドレスファイバー及びこれらの混合物からなる群から選択され、ファイバーは、円形、楕円形、長円形、正方形又は長方形の断面を有する。
【0038】
ガラスファイバーは、細長い外観又は螺旋状の外観を有する。カットガラスファイバーは、好ましくは1〜25mm、好ましくは1.5〜20mm、特に好ましくは2〜12mm、特に非常に好ましくは2〜8mmの繊維長さを有する。
【0039】
カットガラスファイバーは、好ましくは、5〜20μm、好ましくは5〜15μm、特に好ましくは6〜12μmの直径を有する。
【0040】
ガラスファイバーがエンドレスファイバー(ロービング)として用いられる場合、当該ファイバーは、好ましくは、最大20μm、好ましくは最大18μm、特に好ましくは5〜14μmの直径を有する。
【0041】
フラットなガラスファイバーの場合、アスペクト比、すなわち補助断面軸に対する主断面軸の比は、1.5〜8、好ましくは2〜6、特に好ましくは3〜5である。
【0042】
フラットなガラスファイバーの断面軸の長さは、3〜40μmである。好ましくは、補助断面軸の長さは、3〜20μm、特に好ましくは4〜10μmであり、主断面軸の長さは、6〜40μm、特に好ましくは12〜30μmである。
【0043】
本発明によるポリアミド成形
組成物を補強するため、円形(丸形)及び非円形の(フラットな)断面を有するファイバーの混合物を用いてもよい。
【0044】
ガラス充填剤(B)としてガラスボール又はガラス粒子を選択する場合、平均体積直径(d
50)は、ASTM B822−10(2010)に従ってレーザー回折によって測定したときに、0.3〜100μm、好ましくは5〜80μm、特に好ましくは17〜70μmである。
【0045】
本発明の他の好ましい実施例によれば、ポリアミド成形
組成物は、少なくとも一種の添加剤を含み、特に、添加剤は、無機及び有機安定剤、特に酸化防止剤、オゾン分解防止剤、光保護手段、UV安定剤、UV吸収剤又はUVブロック剤、潤滑剤、離型剤、分離手段、鎖延長剤、着色剤、マーキング手段、無機顔料、有機顔料、IR吸収剤、NIR吸収剤、フォトクロミック剤、離型剤、蛍光増白剤、ポリテトラフルオロエチレン、ハロゲンフリー難燃剤、天然層ケイ酸塩、合成層ケイ酸塩、好ましくはISO13320によるレーザー測定によって測定した、最大100nmの平均粒子サイズを有するナノスケール充填剤、最大3.5の比誘電率を有する充填剤、例えばチョーク又はタルク、からなる群から選択される。
【0046】
本発明の他の好ましい実施例によれば、成形
組成物は、EN ISO 178(2010)に従って測定した、少なくとも200MPa、好ましくは少なくとも250MPaの溶接線強度を有する。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、成分(A)は成分Aa)及びAb)のみからなる。
【0048】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、ポリアミド成形
組成物は成分(A)、(B)及び(C)のみからなる。
【0049】
成形品
さらに、本発明は、本発明によるポリアミド成形
組成物を含む成形品、好ましくはこのポリアミド成形
組成物からなる成形品に関する。
【0050】
本発明の好ましい実施例によれば、成形品は、0.3〜300GHzの周波数、すなわち1
μm〜1mmの波長の電磁波で通信を行う装置の構成要素、ハウジング又はハウジング部品に関する。
【0051】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、成形品は、送受信装置、携帯電話、タブレット、ラップトップ、ナビゲーションデバイス、監視カメラ、写真撮影用カメラ、センサ、ダイビングコンピュータ、オーディオユニット、リモコン、スピーカ、ヘッドホン、ラジオ、テレビ、家電製品、キッチン用品、ドアオープナー又はゲートオープナー、車両中央ロック用操作装置、キーレス自動車用キー、温度測定装置又は温度表示装置、測定装置及び制御装置の構成要素、ハウジング又はハウジング部品からなる群から選択される。
【0052】
本発明による主題について、以下の実施例を参照してより詳細に説明する。なお、主題は、本明細書に示す特定の実施例に限定されない。
【0053】
1 測定方法
本願の範囲内で、以下の測定方法を使用した。
【0054】
相対粘度
ISO307(2007)に従って20℃で相対粘度を測定した。このために、0.5gのポリマー顆粒を100mlのm−クレゾールに計量供給し、前記規格のセクション11に従って、RV=t/t
0により相対粘度(RV)の計算を行った。
【0055】
ガラス転移温度(Tg)及び融点
ISO11357−2及び−3(2013)に従って、顆粒についてガラス転移温度及び融点を測定した。20K/分の加熱速度による2度の加熱時の各々において示差走査熱量測定(DSC)を実行した。最初の加熱後、試料をドライアイスで急冷した。第2の加熱中にガラス転移温度(Tg)及び融点を測定した。
【0056】
ピーク最大値における温度を融点として示した。ガラス転移温度(Tg)として示されたガラス転移範囲の平均を「半高(half height)」法に従って測定した。
【0057】
引張弾性率
規格:ISO/CD3167(2003)に従って製造されたISOテンションバー(タイプA1、大きさ170×20/10×4mm)について、ISO527(2012)に従って、23℃の温度でかつ1mm/分の引張り速度で引張弾性率を測定した。
【0058】
引き裂き強度及び破断伸び
基準ISO/CD3167(2003)に従って製造されたISOテンションバー、タイプA1(大きさ170×20/10×4mm)について、ISO527(2012)に従って、23℃の温度でかつ5mm/分の引張速度で引き裂き強度及び破断伸びを測定した。
【0059】
シャルピーの衝撃強度
基準ISO/CD3167(2003)に従って製造されたISO試験バー、タイプB1(大きさ80×10×4mm)について、ISO179/2
*eU(1997、
*2=instrumented)に従って、23℃の温度で、シャルピーによる衝撃強度を測定した。
【0060】
シャルピーのノッチ衝撃強度
基準ISO/CD3167(2003)に従って製造されたISO試験バー、タイプB1(大きさ80×10×4mm)について、ISO179/2
*eA(1997、
*2=instrumented)に従って、23℃の温度で、シャルピーによるノッチ衝撃強度を測定した。
【0061】
溶接線強度
試験片として組み立てられた携帯電話の2つのハーフシェル(99.7×49.7×7.1mm)について、圧力フィン(圧力フィンの半径=5mm)を有するツヴィック社(Zwick)のTC−FR010TH.A50試験機を用いて、EN ISO178(2010)による曲げ試験により、100mm/分の試験速度で溶接線強度を測定した。携帯電話のハーフシェルに対する圧力フィンの位置は、
図1の左側の図(参照符号1)に示しており、携帯電話のハーフシェルのさらなる測定値は
図1の右側の図に示している。5つの試験片の測定値の平均が示されている。
【0062】
比誘電率
ポーランドに所在するQWED社のスプリットポスト誘電共振器(SPDR)(www.qwed.euで入手可能な測定に関する情報を含むパンフレット参照)により、注型フィルム(poured film)を有する80×80×3mmのプレートについて、IEC61189−2−721(2015)に従って比誘電率ε
rを測定する。測定周波数は2.45GHzであり、測定温度は23℃である。
【0063】
成形収縮
成形収縮を測定するためのプレート(タイプD2、60×60×2mm、注型フィルム)の製造をISO294−3(2002)及びアメンドメント1(2006)に従って実施した。室温条件(23℃、50%相対湿度)で14日間プレートを保管した後、モールドキャビティの寸法、実際には成形
組成物の溶融物の流れ方向に対して長手方向及び横断方向に対して、ISO294−4(2001)により成形収縮を測定した。5枚のプレートの測定値の平均が示されている。成形
組成物の溶融物の流れ方向に対する長手方向と横断方向との成形収縮の差は歪みとも言う。
【0064】
着色試験
ゼブラ(Zebra)社製のMO−120−MC(黒色)タイプのフェルトチップペンを用いて、注型フィルムあるいは長さ2cmのペイントされた正方形に対して平行又は垂直をなした、等間隔の5本のラインをプレート(ISO294−3(2002)及びアメンドメント1(2006)による、タイプD1、60×60×1mm、注型フィルム)に適用した。次いで、ペイントされたプレートを、70℃及び相対湿度65%の空調キャビネット内に1時間保存した後、空調キャビネットから取り出して、実験室内において室温で1時間冷却する。次いで、エタノールで1回飽和したティッシュペーパーでマーキングを10回拭く。結果は、1〜5:1=マーキングの完全削除、5=マーキングに変化なし、として評価される。
【0065】
ガラスファイバー組成物
エネルギー分散X線蛍光分光法(ED−XRF)によりガラスファイバー組成物を測定した。装置として、スペクトロ アナリティカル インストゥルメンツ(Spectro Analytical Instruments GmbH)社のSpectro XEPOS Heタイプの分光計を使用した。底部にポリプロピレン(PP)フィルムを有するPP製のキュベットにガラスファイバーを配置する。X線源は50Wの出力を有し、60kVまで動作する。各々の元素の決定には、以下のターゲット、コンプトン/セカンダリモリブデン、バークラ散乱体コランダム、セカンダリターゲットコバルト及びセカンダリターゲットパラジウムを用いた。測定時間はそれぞれ180秒とした。
【0066】
2 出発材料
実施例及び比較例に用いた材料を表1a,1b及び表2に示す。
【0070】
3.1 PA成形
組成物の形成
本発明によるポリアミド成形
組成物の形成のため、通常の配合機、例えば、一軸又は二軸スクリュー押出機又はスクリューニーダーにより、成分(A)、(B)、及び、場合により(C)が混合される。成分は、重量測定計量秤を介して供給口又はサイドフィーダーに個別に計量供給されるか、あるいは、ドライブレンドの形態で供給される。成分(B)(ガラス充填剤)は、好ましくはサイドフィーダーを介してポリマー溶融物に計量供給される。
【0071】
添加剤(成分C)を用いる場合、添加剤は直接又はマスターバッチの形態で導入され得る。好ましくは、マスターバッチのキャリア材料は、ポリアミド又はポリオレフィンに関する。ポリアミドの中でも、特に、各々の成分Aa)のポリアミドであるPA11、PA12、PA612、PA1010又はPA1212は上記の目的に適している。
【0072】
ドライブレンドの形成のため、成分(A)及び場合により成分(C)の乾燥顆粒を密閉容器中で混合する。この混合物を、タンブルミキサー、偏心ミキサー又はタンブルドライヤーを用いて10〜40分間に亘って均質化する。吸湿を避けるために、乾燥した保護ガス下で行ってもよい。
【0073】
コンパウンディングは、250〜320℃の設定シリンダー温度で行われ、第1シリンダーの温度は110℃以下に設定され得る。ノズルの前で真空化を行うか、あるいは大気に対して脱気を行うことができる。溶融物はストランド状に排出され、水浴において10〜80℃の温度で冷却され、次いで、顆粒状化される。顆粒は、窒素下又は真空下でかつ80〜120℃で0.1重量%以下の含水量となるまで乾燥される。顆粒状化は、同様に水中顆粒状化によって行ってもよい。
【0074】
本発明によるポリアミド成形
組成物の射出成形による処理は、250〜320℃のシリンダー温度で行われ、供給口からノズルに向けて増加及び減少する温度プロファイルが用いられ得る。金型の温度は、40〜140℃、好ましくは60〜80℃の温度に設定される。
【0075】
3.2 実施例1によるポリアミド成形
組成物の形成
ドライブレンドを形成するため、ポリアミド(Aa1)及び(Ab1)の乾燥した顆粒を添加物(C1)及び(C6)とともに、実際には表3に示す比率で混合した。この混合物をタンブルミキサーにより約20分に亘って均質化した。
【0076】
ワーナー&フライダー社(Werner&Pfleiderer)の二軸スクリュー押出機、タイプZSK25において、表3に示す比率でポリアミド成形
組成物を形成した。計量秤を介して供給口へとドライブレンドを計量供給した。計量秤を介してサイドフィーダーにガラスファイバー(B1)を計量供給し、サイドフィーダーにより、ノズルの前の溶融した6つのハウジングユニットへとガラスファイバー(B1)を搬送した。
【0077】
第1のハウジングの温度を70℃に設定し、残りのハウジングの温度を260〜280℃に設定した。250rpmの回転速度及び15kg/時の処理量で大気に対して脱気を行った。ストランドを水浴で冷却し、切断し、得られた顆粒を真空(30mbar)下で110℃の温度で24時間に亘って、0.1重量%未満の含水量となるまで乾燥した。
【0078】
3.3 試験片の製造
アーブルグ(Arburg)社製の射出成形機であるオールラウンダー420C 1000−250を用いて試験片を製造した。250℃〜290℃に上昇するシリンダー温度を用いた。金型温度は60℃とした。
【0079】
特に具体的に示していない場合、乾燥状態で試験片を用いた。このため、射出成形後に試験片を、乾燥環境下、すなわちシリカゲルの存在下において室温で少なくとも48時間に亘って保存した。
【0080】
3.4 結果
以下の表3及び表6,7(一部)は、本発明の実施例に関するものであり、表4,5及び表6,7(一部)は比較例を示している。
【0081】
成分(A)、(B)及び(C)について、表において重量%で量データをそれぞれ示した。表3〜5において、「アミド基あたりのC原子」という項目は、混合物における、アミド基に含まれない、アミド基あたりのC原子の平均数であると理解されたい。
【0087】
4 結果の考察
実施例1〜9によるポリアミド成形
組成物は、5.8重量%又は7.6重量%のアルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物の含有量を有する、本発明によるガラス充填剤を含み、表3から、比誘電率は2.45GHzでは3.22〜3.47であると分かる。他方、表4に記載の比較例10〜14によるポリアミド成形
組成物は、アルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物(20.2重量%又は15.4重量%)の含有量がより高いガラス充填剤を含み、2.45GHzにおける比誘電率は3.73〜3.93と著しく高い。アルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物の含有量が20.2重量%であるガラス充填剤を有し、3.67〜4.21の比誘電率を有する表5に記載の比較例15〜17についても同様である。他の点で同一の組成に基づいて、例えば、実施例1は、比較例10及び15(比誘電率は実施例1では3.24であり、比較例6では3.73、比較例11では3.67である)と直接的に比較され、実施例2は、比較例12と比較される(比誘電率は実施例2では3.35であり、比較例12では3.84である)。
【0088】
さらに、比較例18,19及び21は、部分結晶性脂肪族ポリアミド(成分Aa)が単独で本発明によるガラス充填剤と組み合わされたときに、3.64又は3.67の高い誘電率がもたらされることを示している。本発明による実施例との比較から(例えば、比較例18又は19と同様にポリアミドが合計で49.3重量%である実施例1と比較して)、低誘電率を達成するために、部分結晶性脂肪族(成分Aa)と非結晶性又は微結晶性ポリアミド(成分Ab)とのブレンドを用いることが必須であると結論づけられる。比較例20において、部分結晶性脂肪族(成分Aa)と非結晶性ポリアミド(成分Ab)とのブレンドは、本発明によるガラスファイバーと組み合わされて存在している。しかし、このポリアミド成形
組成物の誘電率は3.69と相対的に高くなっている。このことから、低い比誘電率を達成するためには、混合物において、アミド基に含まれないアミド基あたりのC原子の平均数(比較例20では5.3のみ)及びブレンド比が必須であることが推測される。
【0089】
表6から明らかなように、本発明によるポリアミド成形
組成物は、改良された防汚性の挙動を示す。
図2は、実施例22による着色試験(組成は本発明による実施例4のポリアミド成形
組成物と同一である)を示し、
図3は比較例23による着色試験を示している。双方の図において、左側の図は、下記のポイント1に示した、エタノールで処理する前のプレートを示し、右側の図は、エタノールで処理した後のプレートを示している。本発明によるポリアミド成形
組成物から形成され、成分Ab)の少ないプレートの防汚性の挙動は、過度の成分Ab)を有する比較例23のポリアミド成形
組成物による防汚性の挙動と比べて著しく良好である。
【0090】
さらに、実施例24及び実施例25(組成は本発明による実施例1,2のポリアミド成形
組成物の組成と同一である)に係る本発明のポリアミド成形
組成物からなる成形品の310MPa又は289MPaである溶接線強度は、混合物(A)におけるポリアミドAa)とAb)との比が本発明と異なる、具体的には過度の成分Ab)を有するポリアミド成形
組成物からなる成形品よりも著しく高いことが、表7から分かる。比較例26に係るポリアミド成形
組成物の溶接線強度は、僅か136MPaである。
【0091】
要約すると、3.5未満の(<3.5)の低い比誘電率を有し、良好な防汚性の挙動及び良好な機械的特性、特に良好な溶接線強度を有するポリアミド成形
組成物は、本発明の発明者により見出された特別な特徴的な組み合わせにより得られる。