特許第6985912号(P6985912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985912
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】料金システム及び出札装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20211213BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20211213BHJP
【FI】
   G07B15/00 P
   G06Q50/30
   G07B15/00 N
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-234387(P2017-234387)
(22)【出願日】2017年12月6日
(65)【公開番号】特開2019-101918(P2019-101918A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
(72)【発明者】
【氏名】浦 功征
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−069055(JP,A)
【文献】 特開2014−164416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の乗客が移動可能な区間を複数の経由地ごとに分割し、2つの前記経由地ごとに該経由地どうしの距離に相当する料金が定められ、前記乗客が保有する金額を示す保有金額を記憶し、前記乗客により前記交通機関が利用された際に、前記乗客の出発地から到着地までの移動距離を特定し、前記移動距離が、前記経由地のうちの第1経由地を通過してから、前記経由地のうちの前記第1経由地に隣接する第2経由地を通過する前に、前記乗客に設定された保有距離を超えた場合に、前記第1経由地から前記到着地までの距離に相当する金額を前記保有金額から減算する料金システム。
【請求項2】
前記到着地において、前記乗客が前記交通機関の設備外に出場する際に、前記移動距離を特定する
請求項1に記載の料金システム。
【請求項3】
前記保有距離が適用される適用区間を記憶する
請求項2に記載の料金システム。
【請求項4】
前記乗客に対して予め移動が許可された許可区間を記憶し、前記適用区間は前記許可区間を含まない
請求項3に記載の料金システム。
【請求項5】
前記乗客が保有する金額を示す保有金額を記憶し、前記移動距離が前記保有距離を超えた場合に、相当する金額を前記保有金額から減算する
請求項1から4のいずれか1項に記載の料金システム。
【請求項6】
前記乗客が前記保有距離よりも前記保有金額による精算を優先する設定をした場合に、前記金額を前記保有金額から減算する
請求項5に記載の料金システム。
【請求項7】
前記出発地から前記到着地までの経路が複数存在する場合に、移動する距離が最短になる経路により移動した場合の距離を前記移動距離として特定する
請求項1から6のいずれか1項に記載の料金システム。
【請求項8】
前記出発地から前記到着地までを実際に移動した経路に沿って計測した距離を前記移動距離として特定する
請求項1から6のいずれか1項に記載の料金システム。
【請求項9】
前記保有距離から前記移動距離を減じた距離を乗客に報知する
請求項1から8のいずれか1項に記載の料金システム。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の料金システムにおいて、検知した前記乗客の支払いの額に応じて、前記保有距離を新たに記憶、又は変更する出札装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改札で交通機関の乗客から料金を徴収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード及びICカードに用いられる暗号技術等の発達により0.1秒等の短い時間で乗車料金等の情報をやり取りする改札機が普及するようになった。これに伴い、鉄道等の交通機関の乗客から料金を徴収する態様にも様々なものが検討されている。
【0003】
特許文献1には、ICカードに記憶されたデータに基づいて乗車距離を算出し、算出した乗車距離に応じて所定の利益を与えるポイントを付与してICカードに記憶させるようにした自動改札システムが記載されている。この技術で乗車距離に応じて付与されるポイントは、例えば、50km乗車するごとに1点加算されるといったもので、100ポイントに達すると、乗車券や定期乗車券の購入価格の割引や、特定のイベントへの無料招待券等に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−45361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたシステムで、交通機関を利用して移動した距離そのものに対しては、ICカードに蓄積された金額が適用される。したがって、このシステムでは、乗客が移動する距離や移動のために費やされる時間そのものを予め購入し、移動したときの支払いの際にそれらを利用することはできない。
【0006】
本発明は、交通機関を利用して移動する距離や移動のために費やされる時間そのものを予め購入可能な料金システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、交通機関の乗客が移動可能な区間を複数の経由地ごとに分割し、2つの前記経由地ごとに該経由地どうしの距離に相当する料金が定められ、前記乗客が保有する金額を示す保有金額を記憶し、前記乗客により前記交通機関が利用された際に、前記乗客の出発地から到着地までの移動距離を特定し、前記移動距離が、前記経由地のうちの第1経由地を通過してから、前記経由地のうちの前記第1経由地に隣接する第2経由地を通過する前に、前記乗客に設定された保有距離を超えた場合に、前記第1経由地から前記到着地までの距離に相当する金額を前記保有金額から減算する料金システムを、第1の態様として提供する。
【0008】
第1の態様の料金システムによれば、乗客は、経由地どうしの距離に相当する料金に従って精算することができる。
【0009】
第1の態様の料金システムにおいて、前記到着地において、前記乗客が前記交通機関の設備外に出場する際に、前記移動距離を特定するという構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0010】
第2の態様の料金システムによれば、予め購入された距離を超える利用がされたときに乗客の設備外への出場を禁止することができる。
【0011】
第2の態様の料金システムにおいて、前記保有距離が適用される適用区間を記憶するという構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0012】
第3の態様の料金システムによれば、保有距離が適用される適用区間とそれ以外の区間を区別することができる。
【0013】
第3の態様の料金システムにおいて、前記乗客に対して予め移動が許可された許可区間を記憶し、前記適用区間は前記許可区間を含まないという構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0014】
第4の態様の料金システムによれば、乗客に対して予め移動が許可された許可区間における移動に関して、保有距離が適用されない。
【0015】
第1から第4のいずれかの態様の料金システムにおいて、前記乗客が保有する金額を示す保有金額を記憶し、前記移動距離が前記保有距離を超えた場合に、相当する金額を前記保有金額から減算するという構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0016】
第5の態様の料金システムによれば、移動距離が保有距離を超えた場合にも精算することができる。
【0017】
第5の態様の料金システムにおいて、前記乗客が前記保有距離よりも前記保有金額による精算を優先する設定をした場合に、前記金額を前記保有金額から減算するという構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0018】
第6の態様の料金システムによれば、乗客は、保有距離による精算と、保有金額による精算との優先順位を予め決めておくことができる。
【0019】
第1から第6のいずれかの態様の料金システムにおいて、前記出発地から前記到着地までの経路が複数存在する場合に、最短の経路により移動した場合の距離を前記移動距離として特定するという構成が第7の態様として採用されてもよい。
【0020】
第7の態様の料金システムによれば、経路が複数存在する場合に、乗客にとって最も損失が少ない一つの経路が決定される。
【0021】
第1から第6いずれかの態様の料金システムにおいて、前記出発地から前記到着地までを実際に移動した経路に沿って計測した距離を前記移動距離として特定するという構成が第8の態様として採用されてもよい。
【0022】
第8の態様の料金システムによれば、経路が複数存在する場合に実際の移動に基づいた精査がされる。
【0023】
第1から第8のいずれかの態様の料金システムにおいて、前記保有距離から前記移動距離を減じた距離を乗客に報知するという構成が第9の態様として採用されてもよい。
【0024】
第9の態様の料金システムによれば、乗客は、移動することにより変化した移動可能な距離を知ることができる。
【0027】
本発明は、第1から第のいずれかの態様の料金システムにおいて、検知した前記乗客の支払いの額に応じて、前記保有距離を新たに記憶、又は変更する出札装置を、第11の態様として提供する。
【0028】
第11の態様の料金システムによれば、乗客は、交通機関を利用して移動する距離そのものを予め購入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】料金システム9の全体構成を示す図。
図2】ICカード1及び改札機2の構成を示す図。
図3】ICカード1の機能的構成を示す図。
図4】処理表126の例を示す図。
図5】保有距離121の例を示す図。
図6】経路の特定を説明するための図。
図7】ICカード1の精算方法を決定する動作の流れを示す図。
図8】ICカード1が行う距離精算の動作の流れを示す図。
図9】変形例におけるICカード1の機能的構成を示す図。
図10】保有時間121aの例を示す図。
図11】変形例における精算を説明するための図。
図12】変形例の出札装置7を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施形態>
<料金システムの全体構成>
以下、本発明の一実施形態に係る料金システム9を説明する。料金システム9は、予め乗客に設定された距離(保有距離)を上限として移動を許可するサービスを提供するシステムである。
【0031】
ここで「保有距離」とは、予め乗客に設定された距離であって、乗客が移動可能な距離の上限を示す距離であり、乗客が料金システム9を備える交通機関を利用して移動すると、その移動した距離が減算されるものである。
【0032】
図1は、料金システム9の全体構成を示す図である。料金システム9は、ICカード1、改札機2、駅サーバ装置3、通信回線4、及びサーバ装置5を有する。また、料金システム9は、図1に破線で示すリーダライタ6を有していてもよい。リーダライタ6は、ICカード1に記憶された内容を読み出したり、保有金額を追加する、いわゆる「チャージ」をしたりすることに用いられる。リーダライタ6は駅サーバ装置3と通信可能に接続される。
【0033】
ICカード1は、乗客が交通機関の設備を利用する際に所持する、集積回路(IC: Integrated Circuit)を内蔵したカードであり、改札機2とともに、例えば、ISO/IEC 18092規格に準拠した近接無線通信を実現する。
【0034】
改札機2は、所定の距離に近づいたICカード1と、例えば上述した規格に準拠した近接無線通信をして情報のやり取りをし、ICカード1を所持する乗客が設備外へ出場することの可否を判定する装置である。改札機2は、図示しない開閉扉を有し、乗客の出場を許可しない場合に、この開閉扉を駆動して乗客の進行を妨げる機能を有する。
【0035】
通信回線4は、交通機関の専用回線やインターネット等であり、サーバ装置5と駅サーバ装置3とを接続する。
【0036】
駅サーバ装置3は、改札機2と接続し、改札機2がICカード1から得た情報を蓄積又は処理する。また、駅サーバ装置3は、通信回線4を介してサーバ装置5と接続しており、蓄積した情報をサーバ装置5に転送する。駅サーバ装置3は、駅ごとに1つ設けられていてもよく、また複数、備えられていてもよい。
【0037】
サーバ装置5は、交通機関を利用する乗客の情報を集計するデータサーバ装置である。料金システム9は、サーバ装置5を複数、有していてもよい。サーバ装置5は、交通機関の決めた区画ごとに備えられていてもよい。
【0038】
料金システム9は、構成するいずれかの装置が故障しても機能を維持する必要があるため、乗客の移動に伴って発生する処理の情報をICカード1に一時的に記憶する。しかし、ICカード1で記憶可能なデータ量には限りがあるため、これらの処理の情報は、駅サーバ装置3、さらにサーバ装置5と通信可能である場合に、より上位の装置に転送される。
【0039】
<ICカード及び改札機の構成>
図2は、ICカード1及び改札機2の構成を示す図である。図1に示す通り、ICカード1は、制御部11、記憶部12、再生部16、近接通信部17、及び受電部10を有する。また、図1に示す通り、改札機2は、電源部20、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24、発振部26、及び近接通信部27を有する。
【0040】
電源部20は、改札機2の各部に電力を供給するとともに、近接したICカード1に電力を供給する。
【0041】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUがROM及び記憶部22に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読み出して実行することにより改札機2の各部を制御する。
【0042】
記憶部22は、ソリッドステートドライブ等の記憶手段であり、制御部21のCPUに読み込まれる各種のプログラムを記憶する。また、記憶部22は、ICカード1と暗号通信を行うための鍵情報や、ICカード1から読み出した情報等を記憶する。
【0043】
通信部23は、有線又は無線により駅サーバ装置3に接続する通信回路である。
表示部24は、例えば、改札機2の筐体の天板に設けられた液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、制御部11の制御の下、画像を表示する。
【0044】
発振部26は、水晶、セラミック、シリコン、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等を用いた振動子を備え、決められたクロックを発生する。発生したクロックは、制御部21のCPUの動作の統制や、信号の搬送波の周波数を調整するため等に用いられる。
【0045】
近接通信部27は、図示しないアンテナコイルを有し、このアンテナコイルを用いて、ICカード1に電力を供給するとともにクロックを伝送する。また、近接通信部27は、電磁誘導による結合を利用してICカード1と情報の通信を行う。この通信には、所定の変調方式、符号化方式が用いられる。
【0046】
改札機2の近接通信部27は、発振部26で発生した、例えば13.56MHzの信号を変調、増幅してアンテナコイルに加える。これによりアンテナコイルからは13.56MHzの強い交流磁界が発生する。なお、このアンテナコイルは、例えば、改札機2の筐体のうち、天板の内側であって、乗客が通過する方向の上流側等に取り付けられている。
【0047】
ICカード1の近接通信部17は、図示しないアンテナコイルを有する。このアンテナコイルを改札機2のアンテナコイルに近づけると、改札機2のアンテナコイルで発生している磁界の一部がICカード1のアンテナコイルを貫き交流電流が発生する。
【0048】
これによりICカード1と改札機2とは電磁結合する。近接通信部17は、例えば上述した13.56MHzの搬送波を反射させるとともに、伝送する情報に応じてこの反射を変化させる。これにより近接通信部17は、改札機2へ情報を伝送する。
【0049】
受電部10は、上述したICカード1と改札機2との電磁結合によりアンテナコイルに発生した交流電圧を直流に変換し、より低い電圧に変圧して電力を得る。受電部10が得た電力は、ICカード1の各部に供給される。受電部10を用いることにより、ICカード1は電池等の電源を必要としない。
【0050】
制御部11は、CPU、ROM、RAMを有し、CPUがROM及び記憶部12に記憶されているプログラムを読み出して実行することによりICカード1の各部を制御する。
【0051】
記憶部12は、ソリッドステートドライブ等の記憶手段であり、制御部11のCPUに読み込まれる各種のプログラムを記憶する。
【0052】
再生部16は、アンテナコイルに発生する交流電圧を波形整形してクロックを再生させる。再生したクロックは、制御部11のCPUの動作の統制や、信号の搬送波の周波数を調整するため等に用いられる。再生部16を用いることにより、ICカード1は固有の発振部を必要としない。
【0053】
<ICカードの機能的構成>
図3は、ICカード1の機能的構成を示す図である。図3に示す通り、ICカード1の制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、認証部110、特定部111、判定部112、算出部113、更新部114、及び報知部115として機能する。
【0054】
また、記憶部12には、上述したプログラムのほか、カードID120、保有距離121、適用区間122、許可区間123、保有金額124、優先設定125、処理表126、及び鍵表127を有する。なお、図3において、再生部16、及び受電部10を省略する。
【0055】
カードID120は、ICカード1のそれぞれに割当てられた固有の識別情報である。鍵表127は、ICカード1が改札機2と暗号通信を行う際に、暗号化処理・復号処理に用いる複数の鍵の情報を記述した表である。
【0056】
認証部110は、記憶部12からカードID120及び鍵表127を読み出し、これらを用いて近接通信部17を介して改札機2と暗号通信を行い、改札機2から求められた情報の読み書きに関する認証を行う。なお、認証部110が行う認証の機能は、改札機2の制御部21により行われてもよい。
【0057】
図4は、処理表126の例を示す図である。処理表126は、例えば、ICカード1の精算に関する直近20件の処理の情報を記述した表である。処理表126には、出発時刻、出発地の識別情報、到着時刻、及び到着地の識別情報の組が1つの処理を示す単位として記述される。
【0058】
特定部111は、乗客が交通機関の設備外に出場する際に、その乗客が改札機2にかざしたICカード1の認証部110による認証が成功すると、処理表126から最新の処理の情報を読み出して、その出発地の識別情報を取得する。ICカード1の制御部11は、近接通信部17から、改札機2の属する駅を示す識別情報を得ており、この識別情報により識別される駅を仮の到着地として、上述した出発地からのこの仮の到着地までの移動距離を特定する。移動距離の特定には、隣接する駅間の距離を記述した表を用いてもよい。この表は、移動距離の特定の際に、改札機2が近接したICカード1に提供してもよいし、ICカード1の記憶部12に予め記憶されていてもよい。
【0059】
保有距離121は、例えば、契約した乗客に定額で提供される移動可能な距離を示す情報である。図5は、保有距離121の例を示す図である。図5(a)に示す保有距離121は、上限距離及び積算距離の2つの項目を含む。上限距離は、乗客の契約期間にわたって有効な情報であり、乗客が契約期間内において、毎月等、所定の期間(更新期間)ごとに無料で移動することが可能な距離の上限を示す情報である。積算距離は、上述した更新期間に乗客が移動した距離の積算値を示す情報である。
【0060】
記憶部12が、図5(a)に示す保有距離121を記憶する場合、保有距離121のうち上限距離は所定の値、例えば300km(キロメートル)のまま、契約期間内にわたって変更されず、契約期間の終了に伴って削除される。また、この場合、保有距離121のうち、積算距離は、更新期間中は、移動した距離が積算され、更新期間が切り替わる更新期日を迎えるごとに、ゼロ等に初期化される。図5(a)に示すように、積算距離が例えば42kmというように上限距離の300kmを超えない場合、乗客には移動が許可される。
【0061】
また、図5(b)に示す保有距離121には、上限距離が記述される。図5(b)に示す保有距離121に記述された上限距離は、契約期間の開始日に所定の値、例えば300kmに設定され、更新期間中は、移動する度に移動距離が減算される。そしてこの上限距離は、更新期間が切り替わる更新期日を迎えるごとに、上述した所定の値に初期化される。図5(b)に示すように、上限距離が例えば258kmというように0kmを下回らない場合、乗客には移動が許可される。
【0062】
判定部112は、特定部111が特定した移動距離が乗客に設定された保有距離121に関する条件を満たすか否か判定し、この条件を満たすと判定する場合にその乗客の出場を許可する。
【0063】
この条件とは、例えば、図5(a)に示す保有距離121を用いる場合、特定した移動距離を積算することで更新される積算距離が、上限距離を超えないといったものである。
【0064】
また、この条件とは、例えば、図5(b)に示す保有距離121を用いる場合、特定した移動距離を減算することで更新される上限距離が、ゼロを下回らないといったものである。
【0065】
適用区間122とは、上述した契約に基づいて保有距離121が適用される区間を示す情報である。許可区間123とは、例えば定期乗車券の対象区間のように、所定期間に限り予め乗客に対して移動が許可された区間を示す情報である。乗客は、上述した所定期間において、この許可区間123の区間内をどれだけ移動したとしても、許可区間123はこの所定期間内で変化しない。
【0066】
記憶部12に適用区間122が記憶されている場合、判定部112は、上述した契約をした乗客のICカード1から適用区間122を読み出して、特定した移動距離のうちこの適用区間122に示される区間内を移動した距離と、保有距離121とに基づいて、乗客の出場の可否を判定する。判定の結果、乗客の出場を拒否する場合、判定部112は、近接通信部17を介して改札機2に対し、開閉扉を閉めて乗客を出場させないように指示をする。
【0067】
また、判定部112は、乗客のICカード1から許可区間123を読み出して、許可区間123に示される区間内を移動した距離を、出発地から到着地までの移動距離から除外する。
【0068】
図6は、経路の特定を説明するための図である。図6(a)に示す通り、適用区間122が駅Pと駅Qとを結ぶ区間であるとき、出発地である駅Aから到着地である駅Bまでの区間は、この適用区間122の内側である。この場合、駅Aから駅Bまでの移動は、全て保有距離121が適用される。
【0069】
例えば、図6(a)に示すように、駅Aから駅Bまでの経路が、駅A→駅C→駅Bと、駅A→駅D→駅Bとの2通りある場合、特定部111は、これら2通りのうち距離が最短である駅A→駅C→駅Bの経路に沿った距離を移動距離として特定してもよい。すなわち、特定部111は、出発地から到着地までの経路が複数存在する場合に、最短の経路により移動した場合の距離を移動距離として特定してもよい。
【0070】
また、特定部111は、出発地から到着地までの経路が複数存在する場合に、実際に移動した経路に沿って計測した距離を移動距離として特定してもよい。上述した図6(a)に示す場合、駅A→駅C→駅Bに沿った距離の方が、駅A→駅D→駅Bに沿った距離に比べて短いとしても、実際に乗客が駅Aを出発し、駅Dを経由してから駅Bに到着した場合には、駅A→駅D→駅Bに沿った距離が移動距離として特定される。
【0071】
例えば、乗客が駅Aから駅Bへの移動中に駅Dで途中下車し、ICカード1を、駅Dの構内で営業する店舗に設置されたリーダライタ6にかざして買い物をしたとする。このとき、この買い物に関する情報は、リーダライタ6を経由して駅サーバ装置3、及びサーバ装置5に集計される。そして、乗客が駅Bから設備外に出場しようとするときに、改札機2は、サーバ装置5から取得した上記の買い物の情報をICカード1に伝えればよい。
【0072】
ICカード1には、乗客が駅Aを出発して駅Bに到着するまでの間に駅Dに立ち寄ったことが伝えられるため、駅A→駅D→駅Bに沿った距離が移動距離として特定される。なお、乗客の追跡には全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)が用いられてもよい。この場合、ICカード1には、航法衛星から送られる航法信号を受信する受信機が備えられていてもよい。
【0073】
保有金額124は、乗客の保有する金額を示す数値であって、この乗客が移動する権利を金額に換算したものである。
【0074】
優先設定125は、乗客が保有距離121よりも保有金額124による精算を優先するか否かを定めた情報である。
【0075】
優先設定125は、例えば、保有金額124と閾値とを比較した結果に応じて変化してもよい。また、優先設定125は、保有距離121と閾値とを比較した結果に応じて変化してもよく、この場合の閾値は、例えば更新期日までの日数等に応じて変化してもよい。
【0076】
算出部113は、特定された移動距離により、保有距離121を更新するための情報を算出する。算出部113は、例えば、図5(a)に示す保有距離121の積算距離に移動距離を積算することにより、又は、図5(b)に示す保有距離121の上限距離から移動距離を減算することにより、更新部114が保有距離121を更新するための情報を算出する。
【0077】
また、算出部113は、上述した算出の結果、移動距離が保有距離121を超えた場合に、超過した距離に相当する金額を保有金額124から減算することにより、更新部114が保有金額124を更新するための情報を算出する。
【0078】
また、算出部113は、ICカード1の優先設定125に、保有距離121よりも保有金額124による精算を優先することが設定されている場合であって、移動距離が保有距離121を超えた場合に、移動距離に相当する金額を保有金額124から減算してもよい。
【0079】
図6(b)に示すケースでは、出発地である駅Aから到着地である駅Bまでの区間のうち、駅Qから駅Bまでの区間は、駅Pと駅Qとを結ぶ適用区間122の外側である。したがって、駅Aから駅Bまでの移動のうち、駅Aから駅Qまでの移動に相当する距離が対象距離Lとなり、この対象距離Lに対して保有距離121が適用される。このとき、駅Qから駅Bまでの移動に相当する距離は、対象距離Lに含まれない超過距離Lxとなり、例えば、保有金額124から別途支払われる。
【0080】
なお、出発地から到着地までの経路に、適用区間122を含むものと含まないものとが存在するとき、算出部113は、適用区間122の外について支払う金額の少ない経路を選択して、選択した経路に応じた金額を保有金額124から減算してもよい。
【0081】
例えば、図6(c)に示すように、出発地である駅Aから到着地である駅Bまでの経路に、適用区間122を含まない駅A→駅Bと、適用区間122を含む駅A→駅V→駅W→駅Bとの2種類が存在するケースを考える。なお、駅Vは、適用区間122のうち、駅Aに最も近い駅であり、駅Wは、適用区間122のうち、駅Bに最も近い駅である。
【0082】
この場合に、算出部113は、適用区間122を含まない駅A→駅Bに相当する金額M1と、適用区間122を含む駅A→駅V→駅W→駅Bのうち、適用区間122ではない駅A→駅Vに相当する金額M2と、駅W→駅Bに相当する金額M3とを算出する。
【0083】
そして、算出部113は、金額M2と金額M3とを合計した金額M4と、金額M1とを比較して、安価な金額を保有金額124から減算すればよい。
【0084】
さらに、出発地から到着地までの経路に、適用区間122を含むもの、許可区間123を含むもの、それらのいずれをも含まないもの、が存在するとき、算出部113は、適用区間122の外について支払う金額の少ない経路を選択して、選択した経路に応じた金額を保有金額124から減算してもよい。
【0085】
例えば、図6(d)に示すように、出発地である駅Aから到着地である駅Bまでの経路に、適用区間122及び許可区間123のいずれも含まない駅A→駅Bと、適用区間122を含む駅A→駅V→駅W→駅Bと、許可区間123を含む駅A→駅J→駅K→駅Bと、の3種類が存在するケースを考える。なお、駅Xから駅Yまでは、許可区間123である。また、駅Jは、許可区間123のうち、駅Aに最も近い駅であり、駅Kは、許可区間123のうち、駅Bに最も近い駅である。
【0086】
この場合、算出部113は、上述した金額M4、金額M1に加えて、金額M7を算出する。この金額M7とは、許可区間123を含む駅A→駅J→駅K→駅Bのうち、許可区間123ではない駅A→駅Jに相当する金額M5と、駅K→駅Bに相当する金額M6との合計である。
【0087】
そして、算出部113は、金額M4、金額M1、及び金額M7を比較して、最も安価な金額を保有金額124から減算すればよい。
【0088】
更新部114は、算出部113により算出された情報に基づいて、保有距離121及び保有金額124を更新する。また、更新部114は、乗客の出場が許可された場合に、処理表126に記述された最新の処理における到着地を、改札機2から受取った仮の到着地により更新し、到着時刻を現在時刻により更新する。
【0089】
報知部115は、保有距離121から移動距離を減じた距離を示す情報を、近接通信部17を介して改札機2に送信し、この情報を受信した改札機2の表示部24に、この情報に応じた距離を示す画像を表示させることにより、この距離を乗客に報知する。
【0090】
<ICカードの動作>
<精算方法の決定動作>
図7は、ICカード1の精算方法を決定する動作の流れを示す図である。ICカード1の受電部10は、改札機2との電磁結合から電力を得て、この電力を制御部11に供給する。起動した制御部11は、ICカード1の近接通信部17が、改札機2の近接通信部27と通信可能に近接しているか否かを判断する(ステップS101)。これらが近接していないと判断する場合(ステップS101;NO)、制御部11は、この判断を続ける。
【0091】
ICカード1の近接通信部17が、改札機2の近接通信部27と通信可能に近接していると判断する場合(ステップS101;YES)、制御部11は、改札機2から求められた情報の読み書きに関する認証処理を行い、この認証が成功したか否かを判断する(ステップS102)。
【0092】
認証が失敗したと判断する場合(ステップS102;NO)、制御部11は、近接通信部17を介して改札機2に対し異常を通知する(ステップS103)。
【0093】
認証が成功したと判断する場合(ステップS102;YES)、制御部11は、ICカード1の乗客に、定額で移動可能な距離を設定する契約が有るか否かを判断する(ステップS104)。この契約がないと判断する場合(ステップS104;NO)、制御部11は、ICカード1に記憶されている保有金額124から移動に伴う料金を精算する一般精算を行う(ステップS105)。
【0094】
上述した契約が有ると判断する場合(ステップS104;YES)、制御部11は、距離精算を行う(ステップS200)。
【0095】
<距離精算の動作>
図8は、ICカード1が行う距離精算の動作の流れを示す図である。制御部11は、更新期日を超過しているか否かを判断する(ステップS201)。
【0096】
更新期日を超過していないと判断する場合(ステップS201;NO)、制御部11は処理をステップS205に進める。更新期日を超過していると判断する場合(ステップS201;YES)、制御部11は、現在が契約期間内であるか否かを判断する(ステップS202)。
【0097】
現在が契約期間内でないと判断する場合(ステップS202;NO)、制御部11は、保有距離121を消去する(ステップS203)。現在が契約期間内であると判断する場合(ステップS202;YES)、制御部11は、保有距離121を初期化する(ステップS204)。
【0098】
制御部11は、出発地から到着地までの移動距離を特定し(ステップS205)、その移動のうち、適用区間122の外を移動している部分があるか否かを判断する(ステップS206)。適用区間122の外を移動している部分があると判断する場合(ステップS206;YES)、制御部11は、特定した移動距離を、適用区間122の内である対象距離に限定する(ステップS207)。適用区間122の外を移動している部分はないと判断する場合(ステップS206;NO)、制御部11は、特定した移動距離をそのまま対象距離として扱うので、ステップS207を行わない。
【0099】
制御部11は、乗客の出発地から到着地までを移動する複数の経路が有るか否かを判断する(ステップS208)。複数の経路がないと判断する場合(ステップS208;NO)、制御部11は、処理をステップS212に進める。
【0100】
複数の経路が有ると判断する場合(ステップS208;YES)、制御部11は、複数の経路から1つの経路を選択する設定が有るか否か判断する(ステップS209)。設定がないと判断する場合(ステップS209;NO)、制御部11は、複数の経路のうち、最短の経路を選択する(ステップS210)。設定が有ると判断する場合(ステップS209;YES)、制御部11は、この設定を読み出して設定に応じて複数の経路のうち精算に用いる経路を選択する(ステップS211)。
【0101】
制御部11は、保有距離121及び保有金額124と、選択された経路に基づく移動距離とを比較して、精算が可能であるか否かを判断する(ステップS212)。精算が可能でないと判断する場合(ステップS212;NO)、制御部11は、乗客の出場を許可しないよう改札機2に指示をし、乗客に警告をする(ステップS213)。
【0102】
精算が可能であると判断する場合(ステップS212;YES)、制御部11は、精算を行う(ステップS214)。このとき、保有距離121及び保有金額124の内容の少なくともいずれかが更新される。
【0103】
以上示した通り、料金システム9において、乗客に購入された距離は保有距離121としてICカード1に記憶され、乗客の出場を許可するか否かの判断に用いられるので、乗客は、交通機関を利用して移動する距離そのものを予め購入することができる。
【0104】
上述した実施形態における装置の構成、形状、大きさ、配置関係等は本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、様々に変更されてよい。
【0105】
<変形例>
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0106】
<変形例1>
ICカード1の制御部11によって実行されるプログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットなどの通信回線経由でダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサなどが用いられる。
【0107】
<変形例2>
上述した実施形態において、乗客に購入される価値は、交通機関を利用して移動する距離であったが、移動のために費やされる時間であってもよい。図9は、変形例におけるICカード1の機能的構成を示す図である。図9に示すICカード1では、記憶部12に保有距離121に代えて保有時間121aが記憶されている。
【0108】
保有時間121aは、例えば、契約した乗客に定額で提供される時間単位の価値であり、移動に費やされる時間を含めて、交通機関の設備内に滞在が可能な時間を示す情報である。
【0109】
すなわち「保有時間」とは、予め乗客に設定された時間であって、乗客が移動に費やすことが可能な時間の上限を示す時間であり、乗客が料金システム9を備える交通機関を利用した時間が減算されるものである。
【0110】
図10は、保有時間121aの例を示す図である。図10(a)に示す保有時間121aは、上限時間及び積算時間の2つの項目を含む。上限時間は、乗客の契約期間にわたって有効な情報であり、乗客が契約期間内において、毎月等、所定の期間(更新期間)ごとに無料で交通機関の設備内に滞在することが可能な時間の上限を示す情報である。積算時間は、上述した更新期間に乗客が滞在した時間の積算値を示す情報である。
【0111】
記憶部12が、図10(a)に示す保有時間121aを記憶する場合、保有時間121aのうち上限時間は所定の値、例えば40時間のまま、契約期間内にわたって変更されず、契約期間の終了に伴って削除される。また、この場合、保有時間121aのうち、積算時間は、更新期間中は、移動を含め設備内に滞在した時間が積算され、更新期間が切り替わる更新期日を迎えるごとに、ゼロ等に初期化される。図10(a)に示すように、積算時間が例えば12.4時間というように上限時間の40時間を超えない場合、乗客には移動や滞在が許可される。
【0112】
また、図10(b)に示す保有時間121aには、上限時間が記述される。図10(b)に示す保有時間121aに記述された上限時間は、契約期間の開始日に所定の値、例えば40時間に設定され、更新期間中は、移動する度に上限時間からその移動時間が減算される。更新期間が切り替わる更新期日を迎えるごとに、上述した所定の値に初期化される。図10(b)に示すように、上限時間が例えば27.6時間というように0時間を下回らない場合、乗客には移動や滞在が許可される。
【0113】
<変形例3>
上述した実施形態において、記憶部12は、適用区間122を記憶していたが、例えば交通機関が提供する全区間を対象とする場合に、適用区間122を記憶しなくてもよい。この場合、特定した移動距離はそのまま対象距離として扱われる。
【0114】
<変形例4>
上述した実施形態において、記憶部12は、許可区間123を記憶していたが、例えば乗客に対して予め移動することが許可されていない場合、許可区間123を記憶していなくてもよい。
【0115】
<変形例5>
上述した実施形態において、記憶部12は、保有金額124を記憶していたが、保有金額124は記憶していなくてもよい。記憶部12は、保有金額124に代えて、例えばクレジットカード等の請求金額の積算額を記憶してもよい。
【0116】
<変形例6>
上述した実施形態において、制御部11は、保有距離121から移動距離を減じた距離を示す情報を改札機2に送信する報知部115として機能していたが、この距離の報知は行われなくてもよい。この場合、制御部11は、報知部115として機能しなくてもよい。
【0117】
<変形例7>
上述した実施形態において、制御部11は、移動距離が保有距離121を超えた場合に、超過した距離に相当する金額を保有金額124から減算することにより、更新部114が保有金額124を更新するための情報を算出する算出部113として機能していたが、移動距離が保有距離121を超えた地点が駅間にある場合に、駅間の距離に対して定められた料金を補正する計算を行ってもよい。
【0118】
図11は、変形例7における精算を説明するための図である。図11(a)に示す保有距離121には、上限距離として12kmが記憶されている。また、図11(b)に示す保有金額124には、2000円が記憶されている。そして、この交通機関では、図11(c)に示す料金表が予め定められている。図11(c)に示す料金表は、保有金額124によって精算する場合に用いられる料金であって、精算の対象となる駅間の距離ごとに料金を定めた表である。
【0119】
図11(d)に示す駅A、駅B及び駅Cは、全て乗客に対して記憶された適用区間122に含まれる。駅Aと駅Bとは隣接していても、隣接していなくてもよく、その間の距離は10kmである。駅Bと駅Cとは隣接しており、その間の距離は5kmである。
【0120】
駅Aに居る乗客は、図11(a)に示す保有距離121と、図11(b)に示す保有金額124をそれぞれ保有している。ここで、この乗客が駅Aから駅Bを経由して駅Cに到着すると、駅Bを出てから駅Bに隣接する駅Cに至る途中で乗客の保有距離121である12kmは消費される。このとき、以下の2通りの精算方法が考えられる。
【0121】
第1の精算方法は、乗客が経由する経由地を基準として保有距離121と保有金額124とからそれぞれ精算を行う方法である。例えば、駅Bから駅Cまでの間に保有距離121である12kmが超過したとすると、料金システム9は、12kmのうち、駅Aから駅Bまでの距離10kmを減算し、2kmを残す。
【0122】
そして、料金システム9は、駅Bから駅Cまでの距離である5kmと上述した料金表とに従って保有金額124から減算する料金を決定する。図11(c)に示す料金表によれば、5kmは、「4km以上7km未満」であるから、料金システム9は、料金を220円に決定して、保有金額124から減算する。その結果、保有金額124は、1780円になる。
【0123】
すなわち、第1の精算方法を行う料金システム9は、乗客が移動可能な区間を複数の経由地ごとに分割し、2つの経由地ごとにその経由地どうしの距離に相当する料金が定められている。
【0124】
また、この第1の精算方法を行う料金システム9は、乗客が保有する金額を示す保有金額を記憶し、出発地から到着地までの移動距離が、経由地のうちの第1経由地を通過してから、経由地のうちの第1経由地に隣接する第2経由地を通過する前に、保有距離を超えた場合に、第1経由地から到着地までの距離に相当する金額を保有金額から減算する。
【0125】
第2の精算方法は、実際の距離に応じた精算方法である。この場合、料金システム9は、実際に超過した距離に応じて精算を行う。すなわち、上述した通り、駅Bから駅Cまでの間に保有距離121である12kmが超過したとすると、料金システム9は、保有距離121から12kmを減算する。これにより、保有距離121はゼロになる。
【0126】
そして、駅Aから駅Cまでの実際の距離である15kmと上述した12kmとの差である3kmを、上述した「実際に超過した距離」として特定し、料金表にしたがって、この「実際に超過した距離」に応じた料金を決定する。図11(c)に示す料金表によれば、3kmは「2km以上4km未満」であるから、料金システム9は、料金を180円に決定して、保有金額124から減算する。その結果、保有金額124は、1820円になる。
【0127】
料金システム9は、例えば、優先設定125等の記憶内容に応じて、上述した第1の精算方法と第2の精算方法とを使い分けてもよい。これにより、乗客に多様な精算方法が提供される。
【0128】
<変形例8>
ICカード1は、携帯電話機等の電源を備えた移動体端末に組み込まれていてもよい。この場合、ICカード1は、受電部10を有していなくてもよく、移動体端末に備えられた電源から電力を得ればよい。
【0129】
<変形例9>
上述した実施形態において、リーダライタ6は、ICカード1に記憶された内容を読み出し保有金額を追加する機能を有していたが、ICカード1の所有者からの指示及び支払い等を検知して、保有距離121又は保有時間121aを変更する出札装置に組み入れられていてもよい。
【0130】
図12は、変形例9の出札装置7を説明するための図である。出札装置7は、上述したリーダライタ6と、通貨処理機70、及び操作パネル71を有する。通貨処理機70は、コインメックやビルバリデータ等の通貨を識別するデバイスであり、紙幣や貨幣等の通貨を検知し、識別し、貯蔵し、払い戻す機能を実現する。
【0131】
操作パネル71各種の指示をするための操作ボタン等の操作子を備えており、利用者による操作を受付けてその操作内容に応じた信号を通貨処理機70に供給する。
【0132】
操作パネル71は、利用者の指又はスタイラスペン等の操作体を検知するタッチパネルを有してもよい。また、操作パネル71は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有してもよい。
【0133】
上述したタッチパネルは透明であり、表示画面は、この透明のタッチパネルの下に重ねて配置されてもよい。この表示画面とタッチパネルとは、いずれも、通貨処理機70によって制御される。
【0134】
ICカード1を所持する乗客が、通貨処理機70の図示しない通貨投入口に通貨を投入すると、通貨処理機70は、投入された通貨を検知し、識別し、操作パネル71に電力を供給する。
【0135】
乗客が、操作パネル71に対して保有距離121又は保有時間121aを増やす旨の操作をすると、操作パネル71は、この操作を受付けてその内容を示す信号を通貨処理機70に送る。通貨処理機70は、乗客の支払いの額と、上述した操作の内容とに応じてリーダライタ6に指示をする。この指示を受けたリーダライタ6は、ICカード1と電磁結合により接続し、指示に基づいて保有距離121又は保有時間121aを増やすよう変更する。
【0136】
なお、例えば、保有距離121が、予め定められた下限の距離を下回ったら決められた距離を増加させるといった設定がされている場合、出札装置7は、操作パネル71を有しなくてもよい。
【0137】
すなわち、上述した出札装置7は、検知した乗客の支払いの額に応じて、料金システム9において記憶される保有距離121又は保有時間121aを変更する。
【0138】
この出札装置7により、乗客には、交通機関を利用して移動する距離や移動のために費やされる時間そのものが予め購入可能となる。
【符号の説明】
【0139】
1…ICカード、10…受電部、11…制御部、110…認証部、111…特定部、112…判定部、113…算出部、114…更新部、115…報知部、12…記憶部、120…カードID、121…保有距離、121a…保有時間、122…適用区間、123…許可区間、124…保有金額、125…優先設定、126…処理表、127…鍵表、16…再生部、17…近接通信部、2…改札機、20…電源部、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…表示部、26…発振部、27…近接通信部、3…駅サーバ装置、4…通信回線、5…サーバ装置、6…リーダライタ、9…料金システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12