特許第6985930号(P6985930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000002
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000003
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000004
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000005
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000006
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000007
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000008
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000009
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000010
  • 特許6985930-自律移動体の運用方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985930
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】自律移動体の運用方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20211213BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G05D1/02 H
   B62K17/00
【請求項の数】28
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-252233(P2017-252233)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-109990(P2018-109990A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-256196(P2016-256196)
(32)【優先日】2016年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏二
(72)【発明者】
【氏名】石田 喜三
(72)【発明者】
【氏名】奥村 純平
(72)【発明者】
【氏名】川崎 雄一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 将之
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−024390(JP,A)
【文献】 特開2012−014482(JP,A)
【文献】 特開2008−142876(JP,A)
【文献】 特開2012−161851(JP,A)
【文献】 特開2011−031762(JP,A)
【文献】 特開2015−191264(JP,A)
【文献】 特開2003−038580(JP,A)
【文献】 特開2003−288687(JP,A)
【文献】 特開2016−014948(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0128086(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B62K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含み、
前記利用者の候補の隣に並んでいる他者が存在する場合における前記搭乗用位置は、前記利用者の候補の周囲のうち、前記他者との間に前記利用者の候補が存在するように決定された位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項2】
利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含み、
前記第1の場合に、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作は、前記利用者の候補の視線又は顔の正面又は体の正面が前記利用可能状態の自律移動体に向けられていることを必要条件として実行される動作であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項3】
利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え、
前記第2の場合に、前記利用可能状態の自律移動体に周囲に対して、該自律移動体が利用可能状態である旨の報知を行う第4ステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項4】
利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え、
前記第1の場合に、前記利用者の候補の存在位置が、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した場所であるか否かを判断する第5ステップと、該第5ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用可能状態の自律移動体を動作させ、又は前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用者の候補に対する報知を行う第6ステップとをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記利用可能状態の自律移動体又はその周辺には、該自律移動体の周辺に存在する各人の外観又は動作を認識するためのセンサが備えられており、前記第1ステップでは、該センサの出力に基づいて、前記利用者の候補を探索することが実行されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1ステップでは、前記自律移動体の周辺に存在する各人の移動距離又は移動速度を示す情報を取得し、該情報に基づいて、前記利用者の候補を探索することが実行されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1ステップでは、前記自律移動体の周辺に存在する各人の疲労度合、又は各人の移動の負担度合を判断し、該疲労度合又は負担度合に基づいて、前記利用者の候補を探索することが実行されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、該利用者の候補の前方側の目標位置まで移動させる動作を含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項9】
請求項8記載の自律移動体の運用方法は、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の後方側から該候補の側方を通って前記目標位置まで移動させる動作と、該移動後に、前記利用可能状態の自律移動体の前部が、前記利用者の候補に向くように該自律移動体を方向転換させる動作とを含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項10】
請求項9記載の自律移動体の運用方法は、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体の方向転換後に、該自律移動体を傾動させる動作をさらに含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項11】
請求項〜10のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記目標位置は、前記利用者の候補の斜め前方側の位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項12】
請求項〜11のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記目標位置は、前記利用者の候補の中心視野領域内の位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項13】
請求項3〜12のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項14】
請求項1,2,13のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記搭乗用位置は、前記利用者の候補の正面、背面及び側面のいずれかの位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項15】
請求項1,2,13,14のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記搭乗用位置は、前記利用者の候補の周囲のうち、該周囲の他の位置よりも相対的に空きスペースが広い位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項16】
請求項2,13〜15のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記利用者の候補の隣に並んでいる他者が存在する場合における前記搭乗用位置は、前記利用者の候補の周囲のうち、前記他者との間に前記利用者の候補が存在するように決定された位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項17】
請求項1,13〜16のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1の場合に、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作は、前記利用者の候補の視線又は顔の正面又は体の正面が前記利用可能状態の自律移動体に向けられていることを必要条件として実行される動作であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補に対する該自律移動体の向きを所定の向きに向けた状態で該利用者の候補の周囲に停止させる動作を含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項19】
請求項18記載の自律移動体の運用方法において、
前記所定の向きは、前記利用者の候補の搭乗用の所定の向きであることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1の場合に、前記利用可能状態の自律移動体への前記利用者の候補の注意を喚起する報知を行う第3ステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第2の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を停止状態に維持する動作と、該自律移動体の傾動及び旋回のうちの一方又は両方の動作を繰り返す動作とのうちのいずれかの動作を含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項22】
請求項1,2,4〜21のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第2の場合に、前記利用可能状態の自律移動体に周囲に対して、該自律移動体が利用可能状態である旨の報知を行う第4ステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項23】
請求項1〜3,5〜22のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記第1の場合に、前記利用者の候補の存在位置が、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した場所であるか否かを判断する第5ステップと、該第5ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用可能状態の自律移動体を動作させ、又は前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用者の候補に対する報知を行う第6ステップとをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記自律移動体の利用可能エリアに、複数の利用可能状態の自律移動体を配置する第Aステップをさらに備えており、該第Aステップでは、前記利用可能エリアのうち、人の密集度合の観測値又は予測値が低いエリアよりも高いエリアに、より多くの利用可能状態の自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記自律移動体の利用可能エリアに、複数の利用可能状態の自律移動体を配置する第Aステップをさらに備えており、前記利用可能エリアに存在する各人の疲労度合の高低又は各人の移動の負担度合の高低を推定し、前記利用可能エリアのうち、前記疲労度合又は前記負担度合が高いと推定された人の人数が、少ないエリアよりも多いエリアに、より多くの利用可能な自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記利用者の候補が、前記利用可能状態の自律移動体から離脱した後、該利用者の候補が該利用可能状態の自律移動体の周囲の所定範囲の領域から逸脱したことが検知されてから、該利用可能状態の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記利用者の候補が、前記利用可能状態の自律移動体から離脱した後、該利用者の候補が所定の動作を行ったことが検知されてから、該利用可能状態の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【請求項28】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
前記利用者の候補が、前記利用可能状態の自律移動体から離脱した後、該利用者の候補が移動を開始したことが検知されてから、該利用可能状態の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動体の運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律した移動を行い得る自律移動体として、例えば特許文献1、2等に見られる如き倒立振子型車両が従来より知られている。この種の倒立振子型車両は、その全体重心を、倒立振子の質点の如くバランス状態に保つように移動し得る車両であり、周囲のセンシング情報等を使用することで、自律した移動を行うことが可能である。
【0003】
ここで、倒立振子型車両(以降、単に車両ということがある)の全体重心のバランス状態というのは、より詳しくは、全体重心に作用する重力と、該全体重心に作用する慣性力(遠心力等)と、車両が路面から受ける路面反力とにより車両に発生するモーメント(水平軸周り方向のモーメント)がゼロもしくはほぼゼロとなるように、動力学的な釣合がとれた状態を意味する。
【0004】
この場合、例えば、車両の停車時、又は一定速度での定常的な直進走行時におけるバランス状態は、全体重心が、車両の接地部の直上もしくはほぼ直上に位置する状態となる。一方、車両の旋回時におけるバランス状態は、慣性力たる遠心力により車両に発生するモーメントと重力により車両に発生するモーメントとが打ち消し合うように、全体重心が車両の接地部の直上から、旋回中心側にずれた状態となる。
【0005】
なお、自律移動体としては、上記の如き車両に限らず、電動式の車椅子、電動カート等も従来より知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−198500号公報
【特許文献2】特開2014−198503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記車両の如き自律移動体は、例えば、各種イベント会場、公共施設等における簡易な移動手段として活用し得る。この場合、車両の周辺に存在する人が、事前の配車手続等を必要とせずに、簡便に該車両を利用し得る機会を高めることが望まれる。
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、自律移動体の周辺に存在する人が、事前の配車手続等を必要とせずに、簡便に該自律移動体を利用し得る機会を高めることを可能とする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自律移動体の運用方法は、上記の目的を達成するために、利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含み、
前記利用者の候補の隣に並んでいる他者が存在する場合における前記搭乗用位置は、前記利用者の候補の周囲のうち、前記他者との間に前記利用者の候補が存在するように決定された位置であることを特徴とする(第1発明)。
本発明の自律移動体の運用方法は、利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え、
前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含み、
前記第1の場合に、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作は、前記利用者の候補の視線又は顔の正面又は体の正面が前記利用可能状態の自律移動体に向けられていることを必要条件として実行される動作であることを特徴とする。
本発明の自律移動体の運用方法は、利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え、
前記第2の場合に、前記利用可能状態の自律移動体に周囲に対して、該自律移動体が利用可能状態である旨の報知を行う第4ステップをさらに備えることを特徴とする。
本発明の自律移動体の運用方法は、利用可能状態の自律移動体の周辺に存在する人の中に、該自律移動体の利用者の候補が存在するか否かを判断する第1ステップと、
前記利用者の候補が存在すると判断した場合である第1の場合と、存在しないと判断した場合である第2の場合とで、前記利用可能状態の自律移動体に互いに異なる組み合わせパターンの動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれを行わせる第2ステップとを備え、
前記第1の場合に、前記利用者の候補の存在位置が、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した場所であるか否かを判断する第5ステップと、該第5ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用可能状態の自律移動体を動作させ、又は前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用者の候補に対する報知を行う第6ステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
ここで「組み合せパターン」とは、自律移動体が実行し得る複数の動作のうちから選択された少なくとも2つ以上の動作を組み合わせたものを指す。したがって、本発明において、構成要素となる動作が同じ組み合せパターンは、各動作を実行するタイミングの相違(例えば、複数の動作を同時に行うか所定の順序で行うか)、各動作の時間的な長短の相違等に関わらず、同一の組み合わせパターンとして取り扱われる。
【0011】
本発明によれば、前記第1ステップにおいて、前記利用者の候補が存在すると判断された場合(第1の場合)と、存在しないと判断された場合(第2の場合)とで、それぞれの場合に適した組み合わせパターンの動作を、前記第2ステップで自律移動体に行わせることができる。
【0012】
このため、前記利用者の候補が存在すると判断された場合(第1の場合)には、該利用者に候補に対して、利用可能状態の自律移動体(以降、利用可能移動体ということがある)を利用することを積極的にアピールするような動作を行わせることが可能となる。
【0013】
また、前記利用者の候補が存在すると判断された場合(第2の場合)には、利用可能移動体の周辺に存在する任意の人に対して、該自律移動体に対する興味、もしくは好感度等を高めるような動作を行わせることが可能となる。
【0014】
ひいては、利用可能移動体の周辺に存在する人の、該利用可能移動体を利用しようとする意欲を高めることが可能となる。そして、この場合、該利用可能移動体を利用しようとする人は、該利用可能移動体を直ちに利用することが可能となる。
【0015】
従って、第1発明によれば、利用可能移動体の周辺に存在する人が、事前の配車手続等を必要とせずに、簡便に該利用可能移動体を利用し得る機会を高めることが可能となる。
【0016】
上記第1発明では、前記利用可能状態の自律移動体又はその周辺には、該自律移動体の周辺に存在する各人の外観又は動作を認識するためのセンサ(例えば、カメラ等)が備えられており、前記第1ステップでは、該センサの出力に基づいて、前記利用者の候補を探索することが実行されることが好ましい(第2発明)。
【0017】
これによれば、前記センサの出力に基づいて、前記利用者の候補を探索することで、前記利用可能移動体の利用の要求度合もしくは必要性の高い人等、利用可能移動体を利用することに適した人を、前記利用者の候補として探索することが可能となる。
【0018】
また、上記第1発明では、前記第1ステップでは、前記自律移動体の周辺に存在する各人の移動距離又は移動速度を示す情報を取得し、該情報に基づいて、前記利用者の候補を探索することが実行されることが好ましい(第3発明)。
【0019】
ここで、人の移動距離又は移動速度は、その人の疲労度合、健康状態等との相関性を有する。従って、第3発明によれば、人の疲労度合もしくは健康状態等を考慮した態様で、利用可能移動体を利用することに適した人を、前記利用者の候補として探索することが可能となる。
【0020】
また、第1発明では、前記第1ステップにおいて、前記センサの出力に基づいて、前記自律移動体の周辺に存在する各人の疲労度合、又は各人の移動の負担度合を判断し、該疲労度合又は負担度合に基づいて、前記利用者の候補を探索することが実行されることが好ましい(第4発明)。
【0021】
これによれば、前記疲労度合又は負担度合がより高い人を、前記利用者の候補として探索することが可能となる。その結果、利用可能移動体を利用ことの要求度合もしくは必要性の高い人を、前記利用者の候補として探索することが可能となる。
【0022】
なお、前記疲労度合又は負担度合は、例えば前記第2発明におけるセンサの出力、あるいは、前記第3明における移動距離又は移動速度を示す情報等に基づいて、判断することが可能である。
【0023】
上記第1〜第4発明では、前記第1の場合用の動作は、例えば、前記利用可能状態の自律移動体を、該利用者の候補の前方側の目標位置まで移動させる動作を含み得る(第5発明)。
【0024】
これによれば、利用者の候補が、その前方側(正面側)で、前記目標位置に移動した利用可能移動体を視認することとなるため、該利用可能移動体の存在を、利用者の候補に対して確実にアピールすることができる。その結果、利用可能移動体を利用することに対する該利用者の候補の興味もしくは意欲を高めることが可能となる。
【0025】
上記第5発明では、前記第1の場合用の動作は、例えば、該利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の後方側から該候補の側方を通って前記目標位置まで移動させる動作と、該移動後に、前記利用可能状態の自律移動体の前部が、前記利用者の候補に向くように該自律移動体を方向転換させる動作とを含み得る(第6発明)。
【0026】
これによれば、前記利用可能移動体は、利用者の候補を後側から追い抜いた後、該利用者の候補に振り向くという人の動作に類似する動作を行うこととなる。このため、利用可能移動体に対する利用者の候補の親近感を高めることが可能となる。ひいては、利用可能移動体を利用することに対する該利用者の候補の興味もしくは意欲をより一層高めることが可能となる。
【0027】
上記第6発明では、前記第1の場合用の動作は、例えば、前記利用可能状態の自律移動体の方向転換後に、該自律移動体を傾動させる動作をさらに含み得る(第7発明)。
【0028】
これによれば、利用可能移動体の方向転換後の傾動動作によって、例えば、利用者の候補に対してお辞儀をする、もしくは、首をかしげる等の人の動作に類似する動作を、利用可能移動体に行わせることが可能となる。このため、利用可能移動体に対する利用者の候補の好感度を高めることが可能となる。ひいては、利用可能移動体を利用することに対する該利用者の候補の興味もしくは意欲をより一層高めることが可能となる。
【0029】
上記第5〜第7発明では、前記目標位置は、前記利用者の候補の斜め前方側の位置であることが好ましい(第8発明)。
【0030】
これによれば、利用者の候補の前方側で、該利用者の移動の妨げとならない目標位置に、前記利用可能移動体が利用者の後方側から移動するので、利用可能移動体に対する利用者の候補の好感度を好適に高めることが可能となる。ひいては、利用可能移動体を利用することに対する該利用者の候補の興味もしくは意欲をより一層高めることが可能となる。
【0031】
上記第5〜第8発明では、前記目標位置は、前記利用者の候補の中心視野領域内の位置であることが好ましい(第9発明)。
【0032】
これによれば、利用者の候補が、前記目標位置に到達した利用可能移動体を容易に認識することができる。
【0033】
上記第1〜第9発明では、前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含むことが好ましい(第10発明)。
【0034】
なお、「搭乗用位置」というのは、より詳しくは、その位置の自律移動体に前記利用者の候補が搭乗することが可能となる位置であると共に、前記利用者の候補の周囲で、該候補に接近した位置を意味する。
【0035】
かかる第10発明によれば、前記利用者の候補は、自身がさほど移動せずとも、前記搭乗用位置に移動した利用可能移動体に速やかに搭乗することが可能となる。
【0036】
なお、第10発明を第5〜第9発明と組み合わせる場合には、第5〜第9発明における動作の実行後に、第10発明における動作を利用可能移動体に実行させることが好ましい。
【0037】
上記第10発明では、前記搭乗用位置としては、例えば、前記利用者の候補の正面、背面及び側面のいずれかの位置を採用し得る(第11発明)。
【0038】
上記第10発明又は第11発明では、前記搭乗用位置は、前記利用者の候補の周囲のうち、該周囲の他の位置よりも相対的に空きスペースが広い位置であることが好ましい(第12発明)。
【0039】
ここで、上記空きスペースというのは、前記利用者の候補が、前記利用可能移動体への搭乗動作時に、他の物体との干渉等の阻害要因を生じることなく、該搭乗動作を行うことが可能な空間を意味する。
【0040】
かかる第12発明によれば、前記利用者の候補は、前記搭乗用位置に移動した利用可能移動体に容易に搭乗することが可能となる。
【0041】
上記第10〜第12発明では、前記利用者の候補の隣に並んでいる他者が存在する場合における前記搭乗用位置は、前記利用者の候補の周囲のうち、前記他者との間に前記利用者の候補が存在するように決定された位置であることが好ましい(第13発明)、
【0042】
これによれば、前記利用者の候補は、隣に並んでいる他者に干渉することなく、利用可能移動体に速やかに搭乗することが可能となる。
【0043】
上記第10〜第13発明では、前記第1の場合に、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作は、前記利用者の候補の視線又は顔の正面又は体の正面が前記利用可能状態の自律移動体に向けられていることを必要条件として実行される動作であることが好ましい(第14発明)。
【0044】
これによれば、前記利用者の候補が、利用可能移動体の存在を認識している状態か、もしくは認識している可能性が高い状態で、該利用可能移動体を前記搭乗用位置に移動させるので、利用者の候補が自身への利用可能移動体の接近に対して違和感を覚えたりするのを防止することが可能となる。
【0045】
上記第1〜第14発明では、前記第1の場合用の動作は、前記利用可能状態の自律移動体を、前記利用者の候補に対する該自律移動体の向きを所定の向きに向けた状態で該利用者の候補の周囲に停止させる動作を含むことが好ましい(第15発明)。
【0046】
これによれば、利用可能移動体が、その向きを、利用者の候補に対して所定の向きに向けた状態で該利用者の候補の周囲に停止するため、該利用者の候補は、利用可能移動体に搭乗し得る状態になったことを認識し易くなる。
【0047】
なお、第15発明を前記第10〜第14発明と組み合わせる場合には、前記利用可能移動体を、前記利用者の候補に対する該利用可能移動体の向きを所定の向きに向けた状態で該利用者の候補の周囲に停止させる位置は、前記搭乗用位置であることが好ましい。
【0048】
上記第15発明では、前記所定の向きは、前記利用者の候補の搭乗用の所定の向きであることが好ましい(第16発明)。
【0049】
これによれば、利用者の候補は、利用可能移動体が搭乗しやすい向きに向いた状態で該利用可能移動体への搭乗を行うことが可能となる。
【0050】
上記第1〜第16発明では、前記第1の場合に、前記利用可能状態の自律移動体への前記利用者の候補の注意を喚起する報知を行う第3ステップをさらに備えてもよい(第17発明)。
【0051】
これによれば、利用者の候補に、利用可能移動体を認識させることの効果をより一層高めることができる。
【0052】
なお、第3ステップの実行タイミングは、第1の動作の実行前、実行中及び実行後のいずれのタイミングでもよい。
【0053】
上記第1〜第17発明では、前記第2の場合用の動作は、例えば前記利用可能状態の自律移動体を停止状態に維持する動作と、該自律移動体の傾動及び旋回のうちの一方又は両方の動作を繰り返す動作とのうちのいずれかの動作を含み得る(第18発明)。
【0054】
これによれば、前記利用者の候補が存在しないと判断した場合に、利用可能移動体に実行させる動作が、該利用可能移動体を停止状態に維持する動作である場合には、該利用可能移動体のエネルギー消費を抑制することができる。
【0055】
また、利用可能移動体に実行させる動作が、該利用可能移動体の傾動及び旋回のうちの一方又は両方の動作を繰り返す動作である場合には、該利用可能移動体は、単純な移動動作と異なる動作を繰り返すこととなる。この結果、該利用可能移動体の周囲に存在する任意の人に対して、利用可能移動体の存在をアピールすることが可能となる。ひいては、利用可能移動体の周囲に存在する人が、利用可能移動体を利用することに興味もしくは意欲を持つことの可能性を高めることが可能となる。
【0056】
上記第1〜第18発明では、前記第2の場合に、前記利用可能状態の自律移動体に周囲に対して、該自律移動体が利用可能状態である旨の報知を行う第4ステップをさらに備えてもよい(第19発明)。
【0057】
これによれば、利用可能移動体の周囲に存在する任意の人に対して、利用可能移動体の存在をアピールすることの効果をより一層高めることができる。
【0058】
なお、第4ステップの実行タイミングは、第2の動作の実行前、実行中及び実行後のいずれのタイミングでもよい。
【0059】
上記第1〜第19発明では、前記第1の場合に、前記利用者の候補の存在位置が、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した場所であるか否かを判断する第5ステップと、該第5ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用可能状態の自律移動体を動作させ、又は前記利用者の候補を、前記利用可能状態の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用者の候補に対する報知を行う第6ステップとをさらに備えることが好ましい(第20発明)。
【0060】
これによれば、利用者の候補は、利用可能移動体への搭乗に適した位置で、利用可能移動体に搭乗することが可能となる。ひいては、利用者の候補は、利用可能移動体への搭乗を容易に行うことが可能となる。
【0061】
上記第1〜第20発明では、前記自律移動体の利用可能エリアに、複数の利用可能状態の自律移動体を配置する第Aステップをさらに備えており、該第Aステップでは、前記利用可能エリアのうち、人の密集度合の観測値又は予測値が低いエリアよりも高いエリアに、より多くの利用可能状態の自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されることが好ましい(第21発明)。
【0062】
これによれば、人の密集度合の観測値又は予測値が相対的に高いエリアには、より多くの利用可能移動体が配置されるので、当該エリアで、より多くの人に、利用可能移動体を利用することに対する興味もしくは意欲を持たせることが可能となると共に、より多くの人が、利用可能移動体を実際に利用することが可能となる。
【0063】
上記第1〜第20発明では、前記自律移動体の利用可能エリアに、複数の利用可能状態の自律移動体を配置する第Aステップをさらに備える場合において、前記利用可能エリアに存在する各人の疲労度合の高低又は各人の移動の負担度合の高低を推定し、前記利用可能エリアのうち、前記疲労度合又は前記負担度合が高いと推定された人の人数が、少ないエリアよりも多いエリアに、より多くの利用可能な自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されるという態様を採用することもできる(第22発明)。
【0064】
これによれば、疲労度合又は移動の負担度合が相対的に高い人の人数が多いエリアには、より多くの利用可能移動体が配置されるので、各疲労度合又は移動の負担度合が相対的に高い人が、利用可能移動体を利用できる機会を高めることができる。
【0065】
上記第1〜第22発明では、前記利用者の候補が、前記利用可能状態の自律移動体から離脱した後、該利用者の候補が該利用可能状態の自律移動体の周囲の所定範囲の領域から逸脱したことが検知されてから、該利用可能状態の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることが好ましい(第23発明)。
【0066】
あるいは、前記利用者の候補が、前記利用可能状態の自律移動体から離脱した後、該利用者の候補が所定の動作を行ったことが検知されてから、該利用可能状態の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることが好ましい(第24発明)。
【0067】
あるいは、前記利用者の候補が、前記利用可能状態の自律移動体から離脱した後、該利用者の候補が移動を開始したことが検知されてから、該利用可能状態の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることが好ましい(第25発明)。
【0068】
これらの発明によれば、前記利用者の候補が自律移動体の利用を終了したとみなし得る状況になってから、該自律移動体の移動を開始することができる。なお、第23〜第24発明は、相互に組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明の実施形態における一例の自律移動体としての倒立振子型車両の側面図。
図2】実施形態の倒立振子型車両の動作制御に係る構成を示すブロック図。
図3】利用可能な倒立振子型車両の配置状態の例と、該倒立振子型車両の配車に関する統括管理装置とを示す図。
図4】第1実施形態での倒立振子型車両の制御装置の処理及び該倒立振子型車両の動作を示すフローチャート。
図5図4のSTEP3における倒立振子型車両の動作を説明するための図。
図6】第2実施形態での倒立振子型車両の制御装置の処理及び該倒立振子型車両の動作を示すフローチャート。
図7】第3実施形態での利用可能な倒立振子型車両の配置状態の例と、該倒立振子型車両の配車に関する統括管理装置とを示す図。
図8図8A及び図8Bは、本発明の第4実施形態での倒立振子型車両の動作を説明するための図。
図9】本発明の第5実施形態での倒立振子型車両の動作を説明するための図。
図10】本発明の自律移動体の他の例としての電動カートを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0070】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1図4を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本実施形態における自律移動体の構成を説明する。
【0071】
図1に示すように本実施形態の自律移動体は、例えば倒立振子型車両1である。この倒立振子型車両1(以降、単に車両1ということがある)は、基体2と、路面上を移動可能な第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4と、車両1の利用者が搭乗する乗員搭乗部5とを備える。
【0072】
第1の移動動作部3は、車両1の主たる移動動作部であり、路面上を全方向(任意の方向)に移動し得るように構成されている。一例として、第1の移動動作部3は、円環状の芯体6(以下、環状芯体6という)と、この環状芯体6の円周方向(軸心周り方向)に等角度間隔で並ぶようにして該環状芯体6に外挿された複数の円環状のローラ7とを備える。なお、図1では、一部のローラ7だけが代表的に図示されている。
【0073】
各ローラ7は、環状芯体6の軸心周りに該環状芯体6と一体に回転可能とされていると共に、各ローラ7の配置位置での環状芯体6の横断面の中心軸(環状芯体6の軸心を中心とする円周の接線方向の軸)周りに回転可能とされている。
【0074】
かかる構造の第1の移動動作部3は、その下部のローラ7を、車両1の移動環境の床面、地面等の路面に接地させた状態で、環状芯体6をその軸心周りに回転駆動することと、各ローラ7をその軸心周りに回転駆動することとの一方又は両方を行うことで、路面上を全方向に移動することが可能である。
【0075】
以降の説明では、図1に示す如く、環状芯体6の軸心が水平になるように第1の移動動作部3を路面に接地させた状態での環状芯体6の軸心方向(図1では紙面に垂直な方向)をY軸方向、Y軸方向に直交する水平軸方向をX軸方向、鉛直方向をZ軸方向とする。また、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向をそれぞれ、車両1の前後方向、左右方向、上下方向(高さ方向)とする。そして、X軸、Y軸、Z軸の正方向を、それぞれ車両1の前方向、左方向、上方向とする。
【0076】
第1の移動動作部3は、その環状芯体6が基体2に対して相対回転し得るように基体2に組み付けられている。本実施形態では、基体2は、路面に接地させた第1の移動動作部3の下部を除く部分を覆うように設けられている。そして、第1の移動動作部3の環状芯体6が、その軸心周りに、基体2に対して相対回転し得るように基体2に軸支されている。
【0077】
このため、第1の移動動作部3の接地状態では、基体2は、第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心を支点として、Y軸周り方向(ピッチ方向)に傾動可能である。さらに、基体2は、第1の移動動作部3の接地部(下部)を支点として、第1の移動動作部3と共に、X軸周り方向(ロール方向)に傾動可能である。
【0078】
基体2の内部には、第1の移動動作部3を移動させる駆動力を発生する第1のアクチュエータ装置8が搭載されている。この第1のアクチュエータ装置8は、環状芯体6を回転駆動するアクチュエータ8aと、各ローラ7を回転駆動するアクチュエータ8bとから構成される。これらのアクチュエータ8a,8bは、例えば電動モータ、油圧アクチュエータ等により構成される。
【0079】
そして、アクチュエータ8a,8bは、それぞれ、図示を省略する動力伝達機構を介して環状芯体6、各ローラ7に回転駆動力を付与する。該動力伝達機構は、公知の構造のものでよい。
【0080】
基体2には、乗員搭乗部5が組み付けられている。本実施形態では、乗員搭乗部5は、車両1の利用者が着座するシートにより構成されており、基体2と一体に傾動し得るように基体2の上端部に固定されている。そして、車両1の利用者は、その前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向に向けた姿勢で、乗員搭乗部5に着座することが可能となっている。
【0081】
基体2には、さらに乗員搭乗部5に着座した利用者がその足を載せる足載せ部9が組み付けられている。該足載せ部9は、基体2の左右の両側部の下部に各々突設されている。
【0082】
第2の移動動作部4は、車両1の旋回もしくは方向転換を円滑に行い得るようにするための補助的な移動動作部であり、路面上を全方向(任意の方向)に移動し得るように構成されている。この第2の移動動作部4は、本実施形態では、例えばオムニホイールにより構成されている。第2の移動動作部4としてのオムニホイールは、同軸心の一対の環状芯体(図示省略)と、各環状芯体に、回転軸心を該環状芯体の円周方向に向けて回転自在に外挿された複数の樽状のローラ13とを備える公知の構造のものである。
【0083】
この場合、第2の移動動作部4は、その一対の環状芯体の軸心をX軸方向(前後方向)に向けて第1の移動動作部3の後方に配置され、ローラ13を介して路面に接地される。
【0084】
なお、上記一対の環状芯体の一方側のローラ13と、他方側のローラ13とは、該環状芯体の周方向に位相をずらして配置されており、該一対の環状芯体の回転時に、該一対の環状芯体の一方側のローラ13と、他方側のローラ13とのうちのいずれか一方が路面に接地するようになっている。
【0085】
かかる構成の第2の移動動作部4は、基体2又は第1の移動動作部3に連結されている。より詳しくは、第2の移動動作部4は、オムニホイール(一対の環状芯体及び複数のローラ13の全体)の上部側の部分を覆う筐体14を備える。そして、筐体14に、オムニホイールの一対の環状芯体がその軸心周りに回転し得るように軸支されている。
【0086】
さらに、筐体14から基体2側に延設されたアーム15が、前記第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心周りに所定の角度範囲で揺動し得るように、基体2に軸支され、又は環状芯体6の軸心部に軸支されている。
【0087】
これにより、第2の移動動作部4が、環状芯体6の軸心周りに、基体2に対して揺動し得るように、アーム15を介して基体2又は第1の移動動作部3に連結されている。このため、第1の移動動作部3と第2の移動動作部4との両方を接地させたまま、乗員搭乗部5及び基体2をY軸周り方向(ピッチ方向)に傾動させることが可能となっている。
【0088】
また、第2の移動動作部4は、第1の移動動作部3及び基体2と共に、X軸周り方向(ロール方向)に傾動することが可能である。
【0089】
なお、第2の移動動作部4は、路面に押し付けられるようにバネにより付勢されていてもよい。
【0090】
上記の如く構成された第2の移動動作部4は、その一対の環状芯体の回転と、ローラ13の回転とのうちの一方又は両方を行なうことで、第1の移動動作部3と同様に、路面上を全方向に(任意の方向に)移動することが可能となっている。
【0091】
第2の移動動作部4の筐体14には、第2の移動動作部4を駆動するアクチュエータ17が取り付けられている。本実施形態では、アクチュエータ17は、第2の移動動作部4の一対の環状芯体を回転駆動するように該一対の環状芯体に連結されている。該アクチュエータ17は、例えば電動モータ、油圧アクチュエータ等により構成され得る。
【0092】
従って、本実施形態では、アクチュエータ17により第2の移動動作部4の一対の環状芯体を回転駆動することで、第2の移動動作部4をY軸方向に移動させることが可能となっている。一方、第2の移動動作部4のX軸方向での移動(ローラ13の回転)は、第1の移動動作部3のX軸方向での移動に追従して従動的に行なわれるようになっている。
【0093】
以上が本実施形態における車両1の機構的な構成である。
【0094】
補足すると、路面上を全方向に移動し得る第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4、並びにそれらの駆動系は、上記のものに限らず、種々様々な構造のものを採用し得る。例えば、第1の移動動作部3及びその駆動系の構造として、PCT国際公開公報WO/2008/132778、あるいは、PCT国際公開公報WO/2008/132779にて本願出願人が提案した構造のものを採用してもよい。また、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4は、互いに同じ構造のものであってもよい。
【0095】
図1での図示は省略したが、本実施形態の車両1には、該車両1の動作制御のための構成要素として、図2に示すように、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成された制御装置21と、車両1の動作状態もしくは外界状態等を観測するための各種センサと、後述する統括管理装置30、あるいは他車両1、あるいは車両1の利用者が所持する図示しない携帯端末機(スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット端末等。以降、ユーザ端末機という)と制御装置21との間の無線通信を行うための通信装置27と、各種報知を行うための報知ランプ28とが搭載されて
いる。
【0096】
上記センサには、例えば、鉛直方向に対する乗員搭乗部5の傾斜角度(=基体2の傾斜角度)を計測するための傾斜センサ22、車両1のヨー方向(Z軸周り方向)の角速度を計測するためのヨーレートセンサ23、車両1の周辺環境に存在する物体(人、移動物体、設置物等)を認識するための外界認識センサとしてのカメラ24、車両1への利用者の搭乗の有無を検知するための搭乗検知センサ25、車両1の自己位置を検出するための位置センサ26等が含まれる。これらのセンサの出力(検出データ)が制御装置21に入力される。
【0097】
上記外界認識センサとしては、カメラ24の代わりに、又はカメラ24に加えて、例えば、レーザ・レンジ・ファインダー等の測距センサ、あるいは、レーダ装置等も使用し得る。
【0098】
また、傾斜センサ22は、例えば加速度センサ及びジャイロセンサ(角速度センサ)の組により構成され得る。この場合、傾斜センサ22は、その構成要素のセンサとして、ヨーレートセンサ23を含み得る。
【0099】
また、搭乗検知センサ25としては、例えば乗員搭乗部5又は足載せ部9に作用する荷重を検出する荷重センサ等を使用し得る。また、位置センサ26としては、例えばGPSセンサ等を使用し得る。
【0100】
報知ランプ28は、複数の発光色(例えば、青、黄、赤)の光を出力し得るように、発光ダイオード等の発光素子により構成され、出力する光を車両1の外部から視認し得るように、基体2に取付られている。
【0101】
制御装置21は、実装されるハードウェア構成又はプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、前記アクチュエータ8a,8b,17の動作制御(ひいては、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御)を行う機能と、報知ランプ28の発光を制御する機能とを有するように構成されている。
【0102】
この場合、前記アクチュエータ8a,8b,17の動作制御に関して制御装置21が実行する制御処理は、車両1に利用者が搭乗していない状態での動作モード(以降、非搭乗動作モードという)の制御処理と、車両1に利用者が搭乗している状態での動作モード(以降、搭乗動作モードという)の制御処理とに大別される。
【0103】
これらの動作モードでの制御処理の概要を以下に説明しておく。
【0104】
搭乗動作モードでは、制御装置21は、例えば、乗員(乗員搭乗部5に着座した利用者)の体重移動(重心の移動)、あるいは、乗員のユーザ端末機の操作等による車両1の動作指令に応じて、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する。
【0105】
この場合、車両1の全体重心のバランス状態を確保しつつ、車両1が所要の移動速度で移動もしくは旋回するように第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動が制御される。なお、搭乗動作モードでの車両1の全体重心は、より詳しくは、車両1と、乗員とを合わせた全体の重心を意味する。また、全体重心のバランス状態は、全体重心に作用する重力と、該全体重心に作用する慣性力(遠心力等)と、車両1が路面から受ける路面反力とにより車両に発生するモーメント(水平軸周り方向のモーメント)がゼロもしくはほぼゼロとなるように、動力学的な釣合がとれた状態を意味する。
【0106】
搭乗モードにおける制御装置21の具体的な制御処理は、例えば次のように行われる。すなわち、制御装置21は、所定の制御処理周期で、例えば、次式(1a),(1b)により、第1の移動動作部3のX軸方向の並進加速度の目標値DVw1_cmd_x及びY軸方向の並進加速度の目標値DVw1_cmd_yを決定し、これらの目標値を積分してなる並進移動速度(目標値)を実現するように、アクチュエータ8a,8bを制御することで、第1の移動動作部3の移動を制御する。
【0107】
DVw1_cmd_x=Kvb_x・(Vb_cmd_x−Vb_act_x)
+Kth_y・(θb_cmd_y−θb_act_y)
−Kw_y・ωb_act_y ……(1a)
DVw1_cmd_y=Kvb_y・(Vb_cmd_y−Vb_act_y)
+Kth_x・(θb_cmd_x−θb_act_x)
−Kw_x・ωb_act_x ……(1b)
【0108】
ここで、式(1a)の右辺におけるVb_cmd_xは、車両1の全体重心のX軸方向の並進移動速度の目標値、Vb_act_xは、車両1の全体重心のX軸方向の実際の並進移動速度、θb_cmd_yは、乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向(ピッチ方向)の傾斜角度の目標値、θb_act_yは、乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向(ピッチ方向)の実際の傾斜角度、ωb_act_yは、乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向(ピッチ方向)の実際の傾斜角度の時間的変化率(傾斜角速度)、Kvb_x,Kth_y,Kw_yは、それぞれ所定値のゲイン(フィードバックゲイン)である。
【0109】
また、式(1b)の右辺におけるVb_cmd_yは、車両1の全体重心のY軸方向の並進移動速度の目標値、Vb_act_yは、車両1の全体重心のY軸方向の実際の並進移動速度、θb_cmd_xは、乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向(ロール方向)の傾斜角度の目標値、θb_act_xは、乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向(ロール方向)の実際の傾斜角度、ωb_act_xは、乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向(ロール方向)の実際の傾斜角度の時間的変化率(傾斜角速度)、Kvb_y,Kth_x,Kw_xは、それぞれ所定値のゲイン(フィードバックゲイン)である。
【0110】
この場合、実際の傾斜角度θb_act_x,θb_act_y及びその時間的変化率(傾斜角速度)ωb_act_x,ωb_act_yの値としては、傾斜センサ22の出力により示される計測値を使用し得る。
【0111】
また、全体重心の実際の並進移動速度Vb_act_x,Vb_act_yの値としては、例えば、次式(2a),(2b)により算出される推定値を使用し得る。
【0112】
Vb_act_x=Vw1_act_x+h・ωb_act_x ……(2a)
Vb_act_y=Vw1_act_y+h・ωb_act_y ……(2b)
【0113】
なお、Vw1_act_xは第1の移動動作部3のX軸方向の実際の並進移動速度、Vw1_act_yは第1の移動動作部3のY軸方向の実際の並進移動速度、hは全体重心の高さ(設定値)である。Vw1_act_x,Vw1_act_yの値としては、適宜のセンサよる計測値を使用し得る。あるいは、Vw1_act_x,Vw1_act_yの擬似的な推定値として、制御装置21の前回の制御処理周期で決定した並進速度の目標値(DVw1_cmd_x,DVw1_cmd_yのそれぞれの積分値)を使用することも可能である。
【0114】
また、式(1a),(1b)における全体重心の並進移動速度の目標値Vb_cmd_x,Vb_cmd_yとしては、例えば、乗員の重心の移動量(乗員搭乗部5に対する相対的な移動量)の推定値に応じて決定した値、あるいは、乗員がユーザ端末機の操作等に応じて設定した指令値、あるいは、これらの合成値を使用し得る。
【0115】
また、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yとしては、全体重心の並進移動速度Vb_act_x,Vb_act_yが目標値に整定した状態で、全体重心のバランス状態を確保し得る傾斜角度の値を使用し得る。
【0116】
この場合、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yは、車両1の直進走行時には、全体重心が第1の移動動作部3の接地部の直上(もしくはほぼ直上)となる状態での乗員搭乗部5(又は基体2)の傾斜角度であり、車両1の旋回走行時には、全体重心に作用する遠心力によって車両1に発生するモーメントと、全体重心に作用する重力によって車両1に発生するモーメントとが釣り合う状態での乗員搭乗部5(又は基体2)の傾斜角度である。
【0117】
なお、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yは、一時的に、全体重心のバランス状態を確保し得る傾斜角度の値からずらした値に設定することも可能である。
【0118】
また、制御装置21は、搭乗動作モードにおいて、例えば、次式(3)により、車両1の第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yを決定し、この目標値を実現するように、アクチュエータ17を制御することで、第2の移動動作部4の移動を制御する。
【0119】
Vw2_cmd_y=Vw1_cmd_y−L・ωcmd_z ……(3)
【0120】
ここで、式(3)の右辺におけるVw1_cmd_yは、前記式(1b)により算出される第1の移動動作部3のY軸方向の並進加速度の目標値DVw1_cmd_yを積分してなる並進移動速度(目標値)、ωcmd_zは、車両1のZ軸周り方向(ヨー方向)の角速度の目標値、Lは、第1の移動動作部3の接地部と第2の移動動作部4の接地部との間の既定の距離である。
【0121】
上記式(3)により、第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yは、第1の移動動作部3のY軸方向の並進移動速度との速度差によって、車両1のヨー方向の角速度の目標値ωcmd_zを実現するように決定される。
【0122】
この場合、角速度の目標値ωcmd_zとしては、例えば、Y軸方向での乗員の重心の移動量の推定値に応じて決定した値、あるいは、Y軸方向での全体重心の並進移動速度の目標値もしくは検出値に応じて決定した値、あるいは、Y軸方向での第1の移動動作部3の並進移動速度の目標値もしくは検出値に応じて決定した値、あるいは、乗員が携帯端末機の操作等に応じて設定した指令値等を使用し得る。
【0123】
なお、角速度の目標値ωcmd_zは、車両1の旋回中心が、第1の移動動作部3の接地部に存在し、もしくは、該第1の移動動作部3の接地部と第2の移動動作部4の接地部との間に存在するように設定することが好ましい。そして、第1の移動動作部3のX軸方向の並進移動速度の目標値又は検出値が小さいほど、車両1の旋回中心が、第1の移動動作部3の接地部に近づくように、角速度の目標値ωcmd_zを設定することが好ましい。
【0124】
補足すると、ωcmd_z=0の場合には、式(3)により算出される第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yは、第1の移動動作部3のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw1_cmd_yに一致する。従って、ωcmd_z=0の場合、すなわち、車両1の直進走行時には、第2の移動動作部4は、第1の移動動作部3と同じ並進移動速度で移動するように制御される。
【0125】
搭乗動作モードでは、以上の如く、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御が行われる。
【0126】
一方、非搭乗動作モードでは、制御装置21は、例えば、後述する統括管理装置30から与えられる動作指令に応じて、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する。より詳しくは、車両1が、統括管理装置30から与えられる動作指令に応じた所要の移動速度で並進移動もしくは旋回し、あるいは、乗員搭乗部5及び基体2が所要の傾動動作を行うように第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動が制御される。
【0127】
この場合、制御装置21は、非搭乗動作モードにおいて、前記式(1a),(1b),(2a),(2b)と同様の式により、第1の移動動作部3の並進加速度の目標値DVw1_cmd_x,DVw1_cmd_yを決定し、これらの目標値を積分してなる並進移動速度(目標値)を実現するように、アクチュエータ8a,8bを制御する。
【0128】
また、制御装置21は、前記式(3)と同様の式により、第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yを決定し、この目標値を実現するように、アクチュエータ17を制御する。
【0129】
ただし、非搭乗動作モードでの車両1の全体重心は、車両1単体の全体重心である。また、非搭乗動作モードでは、前記式(1a),(1b),(2a),(2b)の演算で使用するゲインKvb_x,Kth_y,Kw_y,Kvb_y,Kth_x,Kw_xの設定値、全体重心の高さhの設定値は、非搭乗動作モード用の設定値であり、一般には搭乗動作モードでの値と異なる。
【0130】
また、前記式(1a),(1b)の演算で使用する全体重心の並進移動速度の目標値Vb_cmd_x,Vb_cmd_y、及び、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_y、並びに、前記式(3)の演算で使用するヨー方向の角速度の目標値ωcmd_zは、統括管理装置30から与えられる動作指令に応じて決定される。
【0131】
なお、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yは、車両1の定常的な移動時(並進移動時もしくは旋回時)、あるいは定常的な停車時には、非搭乗動作モードでの全体重心のバランス状態を確保し得る値に設定される。
【0132】
非搭乗動作モードでは、以上の如く、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御が行われる。
【0133】
補足すると、搭乗動作モード等における車両1のより詳細な動作制御の手法としては、例えば前記特許文献1等に本願出願人が提案した手法等を採用し得る。ただし、搭乗動作モード及び非搭乗動作モードにおける車両1の動作制御の手法は、上記の手法に限らず、他の手法であってもよい。車両1の動作制御の手法は、車両1の全体重心のバランス状態を確保し得るように、車両1を移動させることができる手法であれば、どのような手法であってもよい。
【0134】
次に、本実施形態における車両1の運用方法を具体的に説明する。
【0135】
本実施形態では、以上説明した車両1は、例えば、各種イベント会場、あるいは、公共施設等の利用可能エリアにおいて、利用者が、移動手段として利用し得る車両1として活用される。
【0136】
この場合、利用可能エリアには、複数の車両1が備えられる。そして、利用されていない状態の各車両1(以降、利用可能車両1という)の配車等が、統括管理装置30により管理される。なお、利用可能車両1は、本発明における利用可能状態の倒立振子型車両に相当する。
【0137】
統括管理装置30は、CPU等を含む1つ以上の電子回路ユニット、あるいは、1つ以上のコンピュータ、あるいは、これらの組み合わせにより構成される。そして、統括管理装置30は、各車両1の制御装置21、あるいは、利用者のユーザ端末機と、適宜、通信を行うことが可能である。
【0138】
この統括管理装置30は、利用可能エリアにおける各利用可能車両1の配置エリアを、適宜決定し、その配置エリアに各利用可能車両1を移動させるように、各利用可能車両1に動作指令を与える。
【0139】
この場合、統括管理装置30は、例えば、利用可能エリアにあらかじめ設置された監視カメラ(図示省略)、あるいは、各車両1に搭載されたカメラ24の撮像画像を取得し、該撮像画像に基づいて、利用可能エリアの各所における人の密集度合(単位面積当たりの人数)を適宜、検知する。そして、統括管理装置30は、検知した密集度合(観測値)に応じて、利用可能エリアにおける利用可能車両1の配置を決定する。
【0140】
具体的には、統括管理装置30は、図3に示すように、人の密集度合が相対的に低いエリアよりも、該密集度合が相対的に高いエリアに、より多くの利用可能車両1を配置するように、各利用可能車両1の配置エリアを決定する。
【0141】
なお、例えば、利用可能エリアの各所における人の密集度合の経時変化を、あらかじめ収集した統計データ等に基づいて予測し、その予測に基づいて、各利用可能車両1の配置エリアを決定することも可能である。例えば、ある時間帯に特定のエリアにおける人の密集度合が高くなることが予測される場合に、その時間帯又はその近辺の時間帯に、該特定のエリアに配置される利用可能車両1の台数を、他のエリアよりも多くするように、各利用可能車両1の配置エリアを決定してもよい。
【0142】
統括管理装置30は、各利用可能車両1の制御装置21に、上記の如く決定した配置エリアへの移動を指示する動作指令を送信する。このとき、各利用可能車両1の制御装置21は、受信した動作指令により指定された配置エリアまで利用可能車両1を移動させるように、非搭乗動作モードでの制御処理により、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御を行う。
【0143】
この場合、各利用可能車両1の移動経路、該移動経路上での利用可能車両1の全体重心の移動速度の目標値、及び該移動経路上での利用可能車両1のヨー方向の角速度の目標値は、例えば、利用可能エリアに設置された監視カメラの撮像画像、もしくは各利用可能車両1のカメラ24の撮像画像等に基づいて、統括管理装置30又は各利用可能車両1の制御装置21の処理により、あるいは、統括管理装置30及び各利用可能車両1の制御装置21の協働処理により決定される。
【0144】
利用可能エリアでの利用可能車両1の配置は上記の如く行われる。このように利用可能車両1を利用可能エリア内で配置する処理が、本発明における第Aステップの処理に相当する。
【0145】
次に、上記の如く利用可能エリア内の所要の配置エリアに配置された利用可能車両1の動作(配置エリアでの動作)に関して説明する。
【0146】
本実施形態では、所要の配置エリアに配置された各利用可能車両1の制御装置21は、統括管理装置30から与えられる動作指令に応じて、あるいは、該制御装置21にあらかじめ実装されたシーケンスプログラムに応じて、配置エリア内で、該利用可能車両1の利用者の候補を探索する処理を実行し、その探索結果に応じて、利用可能車両1に所定の動作を行わせる。
【0147】
具体的には、図4のフローチャートに示す如く、各利用可能車両1の制御装置21の処理及び各利用可能車両1の動作が行われる。
【0148】
図4を参照して、配置エリアに配置された各利用可能車両1の制御装置21は、該利用可能車両1の周辺に存在する人の中から、該利用可能車両1の利用者の候補を探索する処理を実行し(STEP1)、該利用者の候補が存在するか否かを判断する(STEP2)。
【0149】
STEP1の処理は、例えば次のように実行し得る。すなわち、利用可能車両1の制御装置21は、該利用可能車両1のカメラ24の撮像画像、あるいは、該利用可能車両1の配置エリアに設置された監視カメラの撮像画像を取得する。
【0150】
そして、制御装置21は、撮像画像から、所定の条件に適合する人を探索して、該所定の条件を満たす人を、利用可能車両1の利用者の候補として決定する。例えば、制御装置21は、撮像画像から、利用可能車両1の利用の要求度合もしくは必要性が高いとみなし得る人を抽出し、該人を利用者の候補として決定する。
【0151】
この場合、より具体的には、制御装置21は、例えば、撮像画像に写っている人の顔の画像等から、該人の疲労度合の高低を判断し、疲労度合が高いと判断し得る人を、利用者の候補として決定する。
【0152】
あるいは、制御装置21は、例えば、撮像画像に写っている人が所持する荷物の画像、該人の歩き方のパターン、該人の座り方のパターン、荷物を所持する人の腕の動かし方のパターン等から、該人の移動の負担度合の高低を判断し、負担度合が高いと判断し得る人を、利用者の候補として決定する。
【0153】
これにより、利用可能車両1の周辺から、利用可能車両1を利用することの要求度合もしくは必要性が高いとみなし得る人を、利用者の候補として適切に決定できる。
【0154】
なお、利用可能車両1の周辺に存在する人の疲労度合、又は移動の負担度合を判断する手法としては、上記の手法以外に、例えば次のような手法を用いてもよい。
【0155】
この手法では、統括管理装置30は、例えば、利用可能エリア内の各人のユーザ端末機との通信を行うことで、各人の位置情報を逐次取得し、該位置情報の時系列に基づいて、各人の移動距離及び移動速度の一方又は両方を把握する。
【0156】
そして、統括管理装置30(又は利用可能車両1の制御装置21)は、利用可能車両1の周辺の各人の移動距離又は移動速度に基づいて、各人の疲労度合又は移動の負担度合の高低を判断する。例えば、移動距離が所定値を超えた人の疲労度合を高いと判断し、移動距離が所定値以下の人の疲労度合を低いと判断する。あるいは、移動速度が所定値よりも速い人は、移動の負担度合が低いと判断し、移動速度が所定値よりも遅い人は、移動の負担度合が高いと判断する。
【0157】
なお、例えば移動距離と移動速度との両方を総合的に反映させて、各人の疲労度合又は移動の負担度合の高低を判断するようにしてもよい。
【0158】
補足すると、利用者の候補を決定する手法は、上記の手法に限られない。例えば、撮像画像に写っている人の目線等に基づいて、利用者の候補を決定してもよい。例えば、利用可能車両1を注視しているとみなし得る人を、利用者の候補として決定してもよい。あるいは、例えば、利用可能車両1に対して手招きをしている人を、利用者の候補として決定してもよい。あるいは、例えば利用可能車両1の周辺の各人の移動距離及び移動速度の一方又は両方の情報から、直接的に(疲労度合もしくは負担度合を推定せずに)、利用者の候補を決定してもよい。
【0159】
STEP1の処理は、以上の如く実行される。なお、利用可能車両1のカメラ24により、該利用可能車両1の配置エリアの幅広い範囲での撮像画像を取得し得るように、STEP1の処理と並行して、利用可能車両1をその配置エリアで適宜移動もしくは旋回させることを行ってもよい。
【0160】
前記STEP2の判断結果が肯定的となった場合(STEP1の探索処理により利用者の候補を探索することができた場合)には、利用可能車両1の制御装置21は、該利用可能車両1に所定の第1動作(詳細は後述)を行わせるように、該利用可能車両1の第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する(STEP3)。
【0161】
また、例えばSTEP1の探索処理を所定時間、実行しても、利用者の候補を探索することができなかった場合には、前記STEP2の判断結果が否定的になる。この場合には、利用可能車両1の制御装置21は、利用可能車両1に前記第1動作と異なる所定の第2動作(詳細は後述)を行わせるように、利用可能車両1の第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する(STEP4)。
【0162】
以上の如く、配置エリアにおける各利用可能車両1の制御装置21の処理及び該利用可能車両1の動作が行われる。なお、図4のフローチャートに示す処理及び動作は、例えば定期的に繰り返すことも可能である。補足すると、上記STEP1,2の処理は、本発明における第1ステップの処理に相当し、STEP3,4の処理は、本発明における第2ステップの処理に相当する。また、STEP2の判断結果が肯定的になる場合が、本発明における第1の場合に相当し、STEP2の判断結果が否定的になる場合が、本発明における第2の場合に相当する。そして、第1の動作及び第2の動作が、それぞれ、本発明における第1の場合用の動作、第2の場合用の動作に相当する。
【0163】
本実施形態では、上記第1動作及び第2動作は、利用可能車両1の動作の組み合わせパターンが互いに異なる動作である。
【0164】
ここで「組み合せパターン」とは、車両1が実行し得る複数の動作のうちから選択された少なくとも2つ以上の動作を組み合わせたものを指す。したがって、構成要素となる動作が同じ組み合せパターンは、各動作を実行するタイミングの相違(例えば、複数の動作を同時に行うか所定の順序で行うか)、各動作の時間的な長短の相違等に関わらず、同一の組み合わせパターンとして取り扱われる。
【0165】
この場合、第1動作及び第2動作のそれぞれは、車両1の複数の基本動作を複合させた動作として実現し得る。
【0166】
上記基本動作としては、例えば、車両1の傾動動作(基体2及び乗員搭乗部5が傾動する動作)、車両1の並進移動動作(第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4が同一方向に並進移動する動作)、車両1の旋回動作(第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の向きがヨー方向に変化する動作)、及び車両1の移動停止動作(第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の空間的な位置が一定もしくはほぼ一定に維持される動作)が挙げられる。
【0167】
なお、車両1の傾動動作は、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動により実現し得る動作である。従って、車両1の傾動動作は、車両1の並進移動動作又は旋回動作との複合動作である。
【0168】
また、車両1の旋回動作は、第1の移動動作部3の接地部の位置を一定もしくはほぼ一定に保ちつつ、車両1の旋回(方向転換)を行う動作(以降、自転旋回動作という)と、曲率を有する経路上で第1の移動動作部3の移動を行いながら、車両1の旋回走行を行う動作(以降、公転旋回動作という)とを含む。
【0169】
そして、車両1の傾動動作、並進移動動作及び旋回動作のそれぞれは、例えば、該動作の動作方向(傾動方向、並進移動方向、旋回方向(時計周り方向又は反時計周り方向))、動作速度(傾動速度、並進移動速度、旋回速度(ヨー方向の角速度))、動作量(傾動量、並進移動量、旋回角度(ヨー方向の回転角度))、あるいは、該動作の継続時間の区分によって、さらに複数の基本動作に分類し得る。
【0170】
なお、上記公転旋回動作は、例えば、旋回中心の位置(利用者の候補に対する相対的な位置)、あるいは、旋回半径(もしくは移動経路の曲率)の区分によって、さらに複数の基本動作に分類することも可能である。
【0171】
また、車両1の移動停止動作は、その継続時間、あるいは、移動停止時における第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の位置もしくは向き(利用者の候補に対する相対的な位置もしくは向き)の区分によって、さらに複数の基本動作に分類することが可能である。
【0172】
前記第1動作及び第2動作は、それぞれ、上記の如く分類し得る複数の基本動作を組み合わせた動作として、種々様々のパターンで設定し得る。
【0173】
本実施形態では、利用可能車両1の制御装置21が、利用者の候補を探索することができた場合に、利用可能車両1に実行させる第1動作は、例えば、利用者の候補が、利用可能車両1に好感もしくは親近感を持つことができ、該利用可能車両1を利用することに対する利用者の候補の興味もしくは意欲を高めることができるように設定されている。
【0174】
かかる第1動作としては、例えば、次のような動作を採用し得る。すなわち、第1動作では、利用可能車両1は、まず、利用者の候補の後方側から該候補の側方を通って、該候補の前方側(正面側)の目標位置に達するように、並進移動動作及び旋回動作(公転旋回動作)の一方又は両方の移動動作を行う。換言すれば、利用可能車両1は、利用者の候補を、該候補の後側から追い越して、該利用者の前方側の目標位置に達するように移動する。
【0175】
この場合、上記目標位置としては、例えば利用者の候補の斜め前方側の位置を採用し得る。より具体的には、上記目標位置は、例えば図5の点P1で示すように、利用者の候補の中心視野領域内のうち、該利用者の候補からの距離が所定値以下となる領域(所謂、パーソナル領域)から逸脱した位置で、該利用者の候補の斜め前方側の位置に設定される。
【0176】
この場合、利用者の候補の中心視野領域は、例えば該利用者の候補の撮像画像等から推定される。また、上記パーソナル領域は、その領域内に他の物体等が近づくと、人が不快感を感じやすい領域(人を中心とする円形領域)であり、一般的には、人からの距離が、例えば70cm以下となる領域をパーソナル領域として採用し得る。
【0177】
これにより、利用可能車両1を、利用者の候補の移動を妨げることがないように該利用者の候補の前方側に移動させ、該利用可能車両1の存在を利用者の候補に気付かせることができる。
【0178】
なお、図5に示した例では、目標位置(点P1)は、利用者の候補の右側に設定されているが、利用者の候補の左側に目標位置を設定してもよい。該目標位置は、利用者の候補の右側及び左側のうち、例えば、利用可能車両1をより短時間で到達させ得る側に設定し得る。あるいは、利用者の候補の右側及び左側のいずれの側に目標位置を設定するかを、例えば、該利用者の候補の周辺の混雑度合、もしくは、障害物の存在状況等に応じて選定してもよい。
【0179】
また、例えば、利用者の候補から目標位置までの距離をある程度大きくすると共に、該目標位置を利用者の候補の中心視野領域の中心線上に設定することも可能である。
【0180】
次いで、利用可能車両1は、その前方(X軸の正方向)を、利用者の候補に向けるように、旋回動作(方向転換)を行う。該旋回動作は、自転旋回動作及び公転旋回動作のいずれであってもよい。この旋回動作は、人が振り向く動作に類似する動作である。この動作により、利用可能車両1に対する利用者の候補の親近感もしくは好感度を高めることができる。
【0181】
なお、人が振り向く動作との類似性をより高める上では、利用可能車両1が、利用者の候補の右側前方に位置している状態では、利用可能車両1を反時計周り方向(上方から見て反時計周り方向)に旋回させることが好ましい。また、利用可能車両1が、利用者の候補の左側前方に位置している状態では、利用可能車両1を時計周り方向(上方から見て時計周り方向)に旋回させることが好ましい。
【0182】
次いで、利用可能車両1は、乗員搭乗部5及び基体2を、ロール方向の所定角度だけ、右側又左側に一時的に傾動させ、さらに元の傾斜位置(車両1の全体重心のバランス状態を確保し得る位置)に戻すという傾動動作を所定回数(1回もしくは複数回)、実行する。
【0183】
この傾動動作は、利用者の候補に、利用可能車両1を利用するかどうかを尋ねる如く、人がその頭部を傾ける動作(小首をかしげる動作)に類似する動作である。この動作により、利用可能車両1に対する利用者の候補の親近感もしくは好感度をより一層高めることができる。ひいては、利用可能車両1を利用することに対する利用者の候補の興味もしくは意欲を高めることができる。
【0184】
なお、利用可能車両1を右側又左側に傾動させることの代わりに、又は該傾動動作に加えて、利用可能車両1の基体2及び乗員搭乗部5を、前傾側に所定の傾斜角度だけ一時的に傾動させ、さらに元の傾斜位置に戻すという傾動動作を所定回数(1回もしくは複数回)、実行するようにしてもよい。このように、利用可能車両1を前傾側に傾動させる動作は、人のお辞儀動作に類似する動作であるので、当該傾動動作によっても、利用可能車両1に対する利用者の候補の好感度もしくは親近感を高めることができる。
【0185】
以上の一連の動作が、第1動作の一例である。かかる第1動作の実行後に、利用者の候補が利用可能車両1を利用することを決定した場合には、例えば、該利用者の候補のユーザ端末機と、利用可能車両1の制御装置21との通信を行うことで、利用可能車両1を利用する旨の情報が、利用可能車両1の制御装置21に与えられる。その後は、利用者の候補は、利用可能車両1を移動手段として実際に利用することができるようになる。
【0186】
なお、利用可能車両1を利用する旨の情報を、利用可能車両1の制御装置21に与えることは、利用者の候補のユーザ端末機から前記統括管理装置30を介して行うようにしてもよい。あるいは、利用可能車両1を利用する旨の情報を、例えば、利用者の候補が音声により制御装置21に伝達したり、あるいは、例えば、利用可能車両1に備えられたスイッチの操作等により、当該情報を制御装置21に伝達することも可能である。
【0187】
補足すると、利用者の候補を探索できた場合に、利用可能車両1に第1動作を実行させることに加えて、該第1動作の実行開始前、又は実行中、又は実行後に、例えば利用可能車両1の報知ランプ28を、所定色(例えば黄色)で発光させることにより、利用可能車両1に対する利用者の候補の注意を喚起する報知を視覚的に行うようにしてもよい。かかる報知は、本発明における第3ステップでの報知に相当する。
【0188】
また、利用可能車両1の動作の終了間際に、報知ランプ28の発光色を特定の色又はパターンで変化させ、該利用可能車両1が「停止する」ことを周囲に対して報知してもよい。
【0189】
なお、利用者の候補の注意を喚起する報知は、報知ランプ28の発光とは別の態様で行ってもよい。例えば、当該報知を、利用可能車両1に備えられた表示器もしくはプロジェクター等により視覚的に行ったり、あるいは、利用可能車両1に備えられたスピーカから、音声もしくは音楽等により聴覚的に行うことも可能である。また、当該報知を、例えば利用者の候補のユーザ端末機を介して行うことも可能である。
【0190】
次に、利用可能車両1の制御装置21が、前記STEP1の探索処理で利用者の候補を探索することができなかった場合に、利用可能車両1に実行させる第2動作としては、例えば次のような動作を採用し得る。
【0191】
すなわち、第2動作では、利用可能車両1は、例えば停車状態(移動停止状態)を維持する。これにより、利用可能車両1に搭載されている図示しないバッテリの電力消費を極力抑制することができる。
【0192】
あるいは、利用可能車両1は、例えば、移動を停止した後、ヨー方向での時計周り方向及び反時計周り方向に、交互に所定の回転角度ずつ、自転旋回動作を行うことを連続的に、もしくは間欠的に繰り返す。
【0193】
このような第2動作は、人がきょろきょろする動作に類似する動作である。このため、利用可能車両1の周囲に存在する人のうちに、該利用可能車両1に興味を抱く人が現れる可能性が高まる。その結果、利用者の候補を探索する処理を再開したときに、利用者の候補がみつかる可能性が高まる。
【0194】
なお、上記の如く利用可能車両1の自転旋回動作を行いながら、該利用可能車両1の制御装置21が、該利用可能車両1のカメラ24(又は該利用可能車両1の配置エリアに設置された監視カメラ)の撮像画像から、利用可能車両1の周囲に存在する人の人数、行動パターン等を監視することも可能である。そして、例えば、該人数、行動パターン等の所定の変化が発生したときに、それをトリガーとして、利用者の候補を探索する処理を再開してもよい。
【0195】
あるいは、上記撮像画像から、例えば、利用可能車両1の周囲に存在する各人の視線の方向を監視し、利用可能車両1に視線を向けている人の人数が所定数以上となったときに、それをトリガーとして、利用者の候補を探索する処理を再開してもよい。
【0196】
なお、第2動作では、利用可能車両1に存在する人の該利用可能車両1に対する興味、もしくは好感度もしくは親近感を高めるために、上記した自転旋回動作以外の動作を利用可能車両1に行わせるようにしてもよい。例えば、利用可能車両1に自転旋回動作の代わりに、公転旋回動作を行わせるようにしてもよい。あるいは、例えば利用可能車両1の基体2及び乗員搭乗部5を、ロール方向で左右に交互に傾動させることを繰り返してもよい。あるいは、8の字状軌道等の所定の軌道パターンで移動させる動作、あるいは、犬、猫等の小動物の動作に類似する動作等、遊戯性を有する動作を第2動作として、利用可能車両1に実行させるようにしてもよい。
【0197】
また、利用者の候補を探索できなかった場合に、利用可能車両1に第2動作を実行させることに加えて、該第2動作の実行開始前、又は実行中、又は実行後に、例えば利用可能車両1の報知ランプ28を、所定色(例えば青色)で発光させることにより、利用可能車両1が、利用可能な状態である旨の報知を、利用可能車両1の周囲に存在する人に対して行うようにしてもよい。かかる報知は、本発明における第4ステップでの報知に相当する。
【0198】
なお、利用可能車両1が、利用可能な状態である旨の報知は、報知ランプ28の発光とは別の態様で行ってもよい。例えば、当該報知を、利用可能車両1に備えられた表示器もしくはプロジェクター等により視覚的に行ったり、あるいは、利用可能車両1に備えられたスピーカから、音声もしくは音楽等により聴覚的に行うことも可能である。また、当該報知を、利用可能車両1の周辺に存在する各人のユーザ端末機を介して行うことも可能である。
【0199】
本実施形態では、以上の如く、配置エリアでの利用可能車両1の動作が行われる。これにより、利用可能車両1を利用することの要求度合もしくは必要性が高い利用者は、該利用可能車両1の配車を受けるための事前手続を必要とせずに、該利用可能車両1を簡便且つ快適に(心地よく)利用することができる。
【0200】
また、利用可能車両1が前記した如く、人の密集度合に応じて利用可能領域内の各所に配置されるため、人の密集度合が比較的多いエリアでは、多くの利用者の候補を探索し得る可能性を高め、ひいては、より多くの利用者が利用可能車両1を利用することとなる可能性を高めることができる。
【0201】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図6を参照して説明する。本実施形態では、利用者の候補を探索できた場合に、前記第1動作の実行後に、利用者の候補の存在位置が利用可能車両1への搭乗に適した位置であるか否かを判断し、当該搭乗に適さない位置である場合には、当該搭乗に適した位置に利用者の候補を誘導する。
【0202】
具体的には、図6のフローチャートを参照して、利用可能車両1の制御装置21は、前記STEP3で利用可能車両1に第1動作を実行させた後、利用者の候補の現在の存在位置が、利用可能車両1への搭乗に適した位置であるか否かを判断する処理をSTEP5で実行する。このSTEP5は、本発明における第5ステップに相当する。
【0203】
この判断処理では、例えば、利用可能車両1のカメラ24の撮像画像、又は利用可能エリア内に設置された監視カメラの撮像画像に基づいて、利用者の候補の周辺に、当該搭乗に適した十分な空きスペースが在るか否か判断され、当該空きスペースが在る場合に、利用者の候補の現在の存在位置が、利用可能車両1への搭乗に適した位置であると判断される。
【0204】
また、利用者の候補の周辺に比較的多くの他者もしくは他車両1が存在したり、あるいは、該周辺に種々の設置物もしくは展示物が存在する場合等、利用者の候補の周辺に十分な空きスペースが無い場合には、利用者の候補の現在の存在位置が、利用可能車両1への搭乗に適した位置でないと判断される。
【0205】
なお、STEP5の判断処理では、撮像画像以外の情報、例えば、統括管理装置30等にあらかじめ記憶保持された地図データ、あるいは、利用可能エリア内の各利用者のユーザ端末機との通信により得られる各利用者の位置情報、あるいは、利用可能エリア内の各車両1の位置情報等を使用してもよい。
【0206】
STEP5の判断結果が肯定的である場合には、図6のフローチャートの処理は終了する。
【0207】
一方、STEP5の判断結果が否定的である場合には、利用可能車両1の制御装置21は、次に、STEP6において、上記撮像画像等に基づいて、利用者の候補の周辺から、利用可能車両1への搭乗に適した位置(以降、搭乗適正位置という)を決定する。この場合、例えば、周辺の空きスペースが比較的広く、且つ、平坦な箇所に搭乗適正位置が決定される。
【0208】
さらに、STEP7において、制御装置21は、利用者の候補を搭乗適正位置に誘導する誘導処理を実行する。この誘導処理では、制御装置21は、例えば、利用可能車両1の報知ランプ28を点滅させながら、該利用可能車両1に利用者の候補を追従させるように、該利用可能車両1を移動させることで、利用者の候補を搭乗適正位置に誘導する。このSTEP7の処理は、STEP6の処理と併せて、本発明における第6ステップに相当する。
【0209】
なお、利用可能車両1に備えられた表示器もしくはプロジェクター等により、搭乗適正位置を利用者の候補に視覚的に提示したり、あるいは、音声案内を用いて聴覚的に利用者の候補を搭乗適正位置に誘導してもよい。
【0210】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、利用者の候補は、利用可能車両1に搭乗し易い場所で、該利用可能車両1の利用を開始することができる。このため、利用者の候補は、より一層快適に、利用可能車両1を利用することができる。
【0211】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図7を参照して説明する。利用可能エリアにおいて、利用可能車両1を各所に配置する態様は、前記第1実施形態で説明した態様に限られない。本実施形態では、例えば、利用可能エリア内の各人の疲労度合あるいは移動の負担度合を推定し、該疲労度合又は負担度合を考慮した態様で、利用可能車両1の配置を行う。
【0212】
具体的には、統括管理装置30は、例えば、前記第1実施形態で説明した手法と同様の手法で、利用可能エリア内の各人の疲労度合又は移動の負担度合の高低を判断する。
【0213】
そして、統括管理装置30は、疲労度足又は移動の負担度合が高いと判断された人の分布に応じて、利用可能車両1の配置を決定する。
【0214】
具体的には、統括管理装置30は、図7に示す如く、疲労度合又は移動の負担度合が高いと判断された人の人数が相対的に少ないエリアよりも、疲労度合又は移動の負担度合が高いと判断された人の人数が相対的に多いエリアに、より多くの利用可能車両1を配置するように、各利用可能車両1の配置エリアを決定する。
【0215】
そして、統括管理装置30は、各利用可能車両1の制御装置21に、上記の如く決定した配置エリアへの移動を指示する動作指令を送信する。このとき、第1実施形態に関して説明した場合と同様に、各利用可能車両1が指示された配置エリアに移動する。
【0216】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1実施形態又は第2実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、疲労度合又は移動の負担度合が高い人が多いエリアにおいて、各利用可能車両1の周辺から、利用者の候補が見つかり易くなる。そのため、利用可能車両1を利用してもらう機会を高めることができる。
【0217】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図8A及び図8Bを参照して説明する。本実施形態では、利用者の候補を探索できた場合の第1動作は、利用者の候補が利用可能車両1に搭乗する直前の最後の動作として、以下に説明する動作(以降、搭乗直前動作という)を含む。
【0218】
この搭乗直前動作は、例えば、第1実施形態におけるSTEP3での動作に続いて実行される。あるいは、搭乗直前動作は、例えば第2実施形態におけるSTEP5の判断結果が肯定的である場合に、もしくは、STEP7で利用者の候補を搭乗適正位置に誘導した後に実行される。
【0219】
利用可能車両1の制御装置21は、あらかじめ実装されたプログラムにより、あるいは、統括管理装置30から与えられる指令に応じて、次のように利用可能車両1に搭乗直前動作を実行させる。
【0220】
すなわち、制御装置21は、利用者の候補の周囲のうちの、該候補に近接した位置(例えば利用者の候補のパーソナル領域の境界付近で、該候補から所定距離の位置)に、該候補に利用可能車両1への搭乗行為を行わせるための搭乗用位置を決定する。
【0221】
この場合、搭乗用位置は、例えば、利用者の候補の周囲の複数の候補位置から選定される。例えば、図8Aに示す如く、利用者の候補の正面位置PF、左側方位置PL、右側方位置PR及び背面位置PBが搭乗用位置の候補位置とされ、これらの候補位置PF,PL,PR,PBから搭乗用位置が選定される。
【0222】
この選定処理では、図8Aに示す如く、例えば、候補位置PF,PL,PR,PBのうち、周囲の空きスペース(各候補位置から一定の距離内の領域での空きスペース)が他の候補位置よりも相対的に広いものとなっている候補位置(図8Aでは、候補位置PL)が搭乗用位置として選定される。
【0223】
この場合、各候補位置の周囲の空きスペースの大小は、例えば、該候補位置から一定の距離内の領域のうち、利用可能車両1への搭乗行為の妨げとなる障害物が存在しない部分の面積に基づいて評価される(当該面積が大きいほど、空きスペースが大きいと評価する)。この評価は、例えば利用可能車両1のカメラ24、あるいは利用可能車両1の周辺の監視カメラ、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像を用いて行われる。
【0224】
また、本実施形態では、例えば図8Bに示す如く、利用者の候補の隣に並んでいる他者が存在する場合には、利用者の候補の周囲の複数の候補位置PF,PL,PR,PBのうち、他者との間に利用者の候補が存在することとなる位置(利用者の候補を挟んで、他者と反対側の位置)にあるか、もしくはその位置に最も近い候補位置が優先的に搭乗用位置として選定される。
【0225】
例えば、図8Bに示す如く、利用者の候補の左側に他者が存在する場合おいて、利用者の候補の正面側の候補位置PF、右側の候補位置PR、及び背面側の候補位置PBのそれぞれの周囲の空きスペースが互いに同程度である場合には、右側の候補位置PRが搭乗用位置として選定される。
【0226】
なお、他者と反対側の候補位置(図8Bでは右側の候補位置PR)の周囲の空きスペースが、他者の存在位置近辺の候補位置を除く他の候補位置(図13Bでは正面側の候補位置PF又は背面側の候補位置PB)の周囲の空きスペースよりも、ある程度以上、小さい場合には、当該他の候補位置を、搭乗用位置として選定することが望ましい。
【0227】
利用可能車両1の制御装置21は、上記のように搭乗用位置を選定した後、図8A又は図8Bの一点鎖線の矢印で例示する如く、利用可能車両1を、選定した搭乗用位置まで移動させ、該搭乗用位置にて停車させる。この場合、制御装置21は、該搭乗用位置では、利用可能車両1の向きが、利用者の候補に対して所定の向きに向くように該利用可能車両1を動作させる。
【0228】
上記所定の向きは、利用者の候補が、搭乗用位置に停車した利用可能車両1にスムーズに搭乗しやすい向き(搭乗用の向き)である。本実施形態では、例えば、利用可能車両1は、搭乗用位置において、該利用可能車両1の正面前方を利用者の候補に向けた状態で停車される。
【0229】
このようにすることで、利用者の候補は、搭乗用位置に停車した利用可能車両1の側方や後方に移動することを必要とせずに、速やかに利用可能車両1に搭乗することが可能である。例えば、利用者の候補は、その背中を利用可能車両1に向かるように転回した上で、自身の背後の利用可能車両1の乗員搭乗部5(シート)を、自身の股下に配置させるように動かすことで、容易に利用可能車両1に搭乗することができる。
【0230】
本実施形態では、以上の如く、利用可能車両1を選定した搭乗用位置まで移動させ、該搭乗用位置で利用可能車両1の正面前方を利用者の候補に向けた状態で停車させる動作が前記搭乗直前動作である。
【0231】
このような搭乗直線動作を利用可能車両1に実行させることで、該利用可能車両1は、空きスペースが広く、また、他者が存在しない搭乗用位置で、該利用可能車両1への搭乗を行い易い搭乗用の向きに向いた状態で停車する。このため、その後、利用者の候補は、容易、且つ速やかに利用可能車両1に搭乗することができる。
【0232】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1〜第3実施形態のいずれかと同じでよい。
【0233】
なお、本実施形態において、利用可能車両1を、選定した搭乗用位置に移動させるときに、利用者の候補の視線又は顔の正面又は体の正面が利用可能車両1に向けられていることを必要条件として、利用可能車両1の搭乗用位置への移動を開始するようにしてもよい。この場合、利用者の候補の視線又は顔の正面又は体の正面が利用可能車両1に向けられているか否かの判断は、例えば、利用可能車両1のカメラ24、あるいは、利用可能車両1の周辺の監視カメラ、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像を用いて行われる。
【0234】
上記の如く、利用者の候補の視線又は顔の正面又は体の正面が利用可能車両1に向けられていることを必要条件として、利用可能車両1の搭乗用位置への移動を開始することで、利用者の候補が利用可能車両1を認識しているか、もしくは認識している可能性が高い状態で、該利用可能車両1の搭乗用位置への移動が行われる。このため、利用者の候補に違和感を及ぼすことなく、利用可能車両1を利用者の候補に接近させることができる。
【0235】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を図9を参照して説明する。本実施形態では、利用者の候補が利用可能車両1に搭乗した後(該利用可能車両1を利用した後)に、利用可能車両1を以下に説明する如く動作させる。
【0236】
すなわち、本実施形態では、利用可能車両1の制御装置21は、利用者の候補が利用可能車両1の利用を終了して、該利用可能車両1から降車した後(図9の矢印Y1)した後、該利用者の候補が、利用可能車両1から離れるように移動し(図9の矢印Y2)、且つ、利用者の候補から所定距離内の領域(例えばパーソナル領域)から利用可能車両1が逸脱したことが検知された場合に、利用可能車両1の移動(図9の矢印Y3)を開始する。
【0237】
ここで、利用者の候補の移動の検知、並びに、該候補と利用可能車両1との間の距離の検知は、例えば利用可能車両1のカメラ24、あるいは利用可能車両1の周辺の監視カメラ、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像を用いて行われる。
【0238】
また、利用可能車両1の移動は、例えば、前記統括管理装置30から利用可能車両1の制御装置21に与えられる目標地点等の指令に基づいて行われる。
【0239】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1〜第4実施形態のいずれかと同じでよい。
【0240】
本実施形態では、上記のように、利用者の候補が利用可能車両1から降車(離脱)した後の利用可能車両1の移動を行うことで、利用者の候補による利用可能車両1の利用が確かに終了したとみなし得る状況になってから、利用可能車両1を移動させることができる。
【0241】
なお、例えば、利用者の候補が、利用可能車両1から離れるように移動しことが検知されるという条件と、利用者の候補から所定距離内の領域から利用可能車両1が逸脱したことが検知されるという条件とのいずれかの条件が成立した場合に、利用可能車両1の移動を開始してもよい。
【0242】
また、例えば降車後の利用者の候補を、利用可能車両1のカメラ24、あるいは利用可能車両1の周辺の監視カメラ、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像により監視し、該利用者の候補が所定の動作(例えば、利用可能車両1に対して手を振る等の動作)を行ったことが検知された場合に、利用可能車両1の移動を開始してもよい。
【0243】
[他の実施形態]
以下に他の実施形態をいくつか例示する。以上説明した各実施形態では、本発明の自律移動体の一例として、図1に示した構成の倒立振子型車両1を例にとって説明したが、本発明の適用対象の自律移動体は、他の構成の移動体であってもよい。例えば、自律移動体の一例としての倒立振子型車両は、第2の移動動作部4を備えない車両であってもよい。あるいは、倒立振子型車両は、例えば、人が起立した姿勢で搭乗し得るように構成された車両であってもよい。
【0244】
あるいは、倒立振子型車両は、例えば、路面上を全方向に移動可能な移動動作部と、これが組み付けられた基体とが傾動せず、乗員搭乗部が、該基体に対して傾動し得るように取り付けられた構成の車両であってもよい。
【0245】
あるいは、倒立振子型車両は、乗員搭乗部に加えて、もしくは、乗員搭乗部の代わりに、荷物搭載部を有し、該荷物搭載部に利用者の荷物を搭載した状態で、利用者のユーザ端末機から与えられる指示に応じて、あるいは、利用者の移動に追従して、移動し得るように構成されていてもよい。
【0246】
さらに、本発明の自律移動体は、倒立振子型車両に限らず、例えば、図10に例示する如き、一人乗りの電動カート50であってもよく、あるいは、公知の構造の電動式の車椅子であってもよい。自律移動体が、図10に例示する如き電動カート50である場合、該電動カート50のシート50a(乗員搭乗部)は、上下方向の軸心周りに回転可能であり、その回転状態で、電動カート50の側方からシート50aに着座し得るようになっている。このため、前記第4実施形態で説明した搭乗用位置での電動カート50の搭乗用の向きとしては、該電動カート50の側面が、利用希望者に向くような向きであることが望ましい。
【0247】
また、自律移動体が、電動式の車椅子である場合には、前記第4実施形態で説明した搭乗用位置での車椅子の搭乗用の向きとしては、該車椅子の正面前方が利用希望者に向くような向きであることが望ましい。
【0248】
また、組み合わせパターンが互いに相違する前記第1動作及び第2動作は、前記した形態の動作に限られず、組み合わされる基本動作の種類が異なるものであればよい。そのため、例えば、それぞれの動作を構成する基本動作が互いに同一であれば、基本動作を実行する順番だけが互いに異なる形態の動作も、基本動作を実行する回数だけが互いに異なる形態の動作も、同一の組み合わせパターンとして取り扱われる。
【0249】
具体的には、例えば、第1動作を、利用者の候補の正面(認識し得る位置)で並進移動及び旋回によって利用者の候補へ接近する動作と傾動する動作とを組み合わせた動作として規定し、第2動作を、時計回り方向への自転旋回動作と反時計回り方向への自転旋回動作とを組み合わせた動作として規定することができる。
【0250】
このとき、利用者の候補の正面で接近する動作と傾動する動作とを組み合わせた動作が行われた場合には、傾動の回数が1回であっても2回でもあっても、あるいは、接近する動作と傾動する動作の実行順序がどのような順序であっても、組み合わされる基本動作の種類は同一のものであるので、いずれも第1動作として取り扱われる。
【0251】
また、時計回り方向への自転旋回動作と反時計回り方向への自転旋回動作とを組み合わせた動作が行われた場合には、いずれの方向への自転旋回動作が先に行われたとしても、あるいは、2つの方向への自転旋回動作による往復を1セット行っても2セット行っても、組み合わされる基本動作の種類は同一のものであるので、いずれも第2動作として取り扱われる。
【0252】
また、前記実施形態では、利用可能エリアに前記した如く複数の利用可能車両1(自律移動体)を配置するようにしたが、利用可能エリアにおける利用可能車両1(自律移動体)の配置形態は、他の形態であってもよい。例えば、利用可能エリアに複数の利用可能車両1(自律移動体)を均一もしくはほぼ均一に分布させるように該利用可能車両1(自律移動体)を配置してもよい。
【0253】
また、車両1(自律移動体)の制御装置21により実行される前述の種々の演算処理のうちの少なくとも一部が統括管理装置30により実行されてもよい。これとは逆に、統括管理装置30により実行される前述の種々の演算処理のうちの少なくとも一部が1つ以上の車両1(自律移動体)の制御装置21により実行されてもよい。さらに、車両1(自律移動体)の制御装置21及び統括管理装置30によりそれぞれ実行される前述の種々の演算処理のうちの少なくとも一部が、1つ以上の車両1(自律移動体)の制御装置21と統括管理装置30とが連携する協働処理により実行されてもよい。
【符号の説明】
【0254】
1…倒立振子型車両(自律移動体)、50…電動カート(自律移動体)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10