(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0014】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置を備えた印刷システムの概略構成図である。
図2は、印刷装置の印刷部の平面図である。
図3は、
図1に示す印刷システムの制御ブロック図である。なお、以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0016】
図1、
図3に示すように、本実施の形態に係る印刷システム1は、巻出装置2と、印刷装置3と、巻取装置4とを備える。
【0017】
巻出装置2は、長尺な帯状の印刷媒体Pを印刷装置3へ巻き出す。巻出装置2は、媒体ロール支持軸11と、ブレーキ12と、巻出装置制御部13とを備える。
【0018】
媒体ロール支持軸11は、媒体ロール16を回転可能に支持する。媒体ロール16は、印刷媒体Pがロール状に巻かれたものである。
【0019】
ブレーキ12は、媒体ロール支持軸11にブレーキをかける。これにより、媒体ロール16と後述する印刷装置3の搬送ローラ43との間の印刷媒体Pに張力が付与される。
【0020】
巻出装置制御部13は、ブレーキ12を制御する。巻出装置制御部13は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0021】
印刷装置3は、媒体ロール16から巻き出された印刷媒体Pを搬送しつつ、印刷媒体Pに画像を印刷する。印刷装置3は、搬送部21と、印刷部22A,22Bと、穴センサ(請求項の検出部に相当)23A,23Bと、操作パネル24と、印刷装置制御部(請求項の制御部に相当)25とを備える。なお、印刷部22A,22B等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0022】
搬送部21は、媒体ロール16から印刷媒体Pを引き出しつつ搬送する。搬送部21は、ガイドローラ31〜40と、20本のヘッド下ローラ41と、蛇行制御部42と、一対の搬送ローラ43と、搬送モータ44と、エンコーダ45とを備える。
【0023】
ガイドローラ31〜40は、印刷装置3内で搬送される印刷媒体Pをガイドする。ガイドローラ31〜40は、搬送される印刷媒体Pに従動回転する。ガイドローラ31〜40、ヘッド下ローラ41、搬送ローラ43、および後述する蛇行制御部42の蛇行制御ローラ46,47により、印刷装置3における印刷媒体Pの搬送経路が形成される。
【0024】
ガイドローラ31,32は、巻出装置2と蛇行制御部42との間で印刷媒体Pをガイドする。ガイドローラ31は、印刷装置3の下部の左端部に配置されている。ガイドローラ32は、ガイドローラ31と後述する蛇行制御部42の蛇行制御ローラ46との間に配置されている。
【0025】
ガイドローラ33〜39は、蛇行制御部42と搬送ローラ43との間で印刷媒体Pをガイドする。ガイドローラ33は、後述する蛇行制御部42の蛇行制御ローラ47の左方のやや上方に配置されている。ガイドローラ34は、ガイドローラ33の上方に配置されている。ガイドローラ35は、ガイドローラ34とほぼ同じ高さで、ガイドローラ34の右方に配置されている。ガイドローラ36は、ガイドローラ35の下方であって、ガイドローラ33より高い位置に配置されている。ガイドローラ37は、ガイドローラ36の左方であって、ガイドローラ33,34間の印刷媒体Pの右側近傍であり、ガイドローラ36とほぼ同じ高さである位置に配置されている。ガイドローラ38は、ガイドローラ37の右下方に配置されている。ガイドローラ39は、ガイドローラ38のやや右側の下方に配置されている。
【0026】
ガイドローラ40は、搬送ローラ43と巻取装置4との間で印刷媒体Pをガイドする。ガイドローラ40は、印刷装置3の下部の右端部に配置されている。
【0027】
ヘッド下ローラ41は、ガイドローラ34,35間およびガイドローラ36,37間において、後述するヘッドユニット51の下で印刷媒体Pを支持する。ガイドローラ34,35間およびガイドローラ36,37間に、それぞれ10本ずつのヘッド下ローラ41が配置されている。そして、ヘッド下ローラ41は、各ヘッドユニット51の直下に2本ずつ配置されている。ヘッド下ローラ41は、搬送される印刷媒体Pに従動回転する。
【0028】
蛇行制御部42は、印刷媒体Pの搬送方向に直交する幅方向(前後方向)における位置の変動である蛇行を補正するものである。蛇行制御部42は、蛇行制御ローラ46,47と、蛇行制御モータ48とを備える。
【0029】
蛇行制御ローラ46,47は、印刷媒体Pをガイドするとともに、印刷媒体Pの蛇行を補正するためのローラである。蛇行制御ローラ46,47は、搬送される印刷媒体Pに従動回転する。蛇行制御ローラ46,47は、左右方向から見て、印刷媒体Pの幅方向に対して傾くように回動することで、印刷媒体Pを幅方向に移動させて蛇行を補正する。蛇行制御ローラ46は、ガイドローラ32の右方に配置されている。蛇行制御ローラ47は、蛇行制御ローラ46の上方に配置されている。
【0030】
蛇行制御モータ48は、左右方向に平行な回動軸回りに蛇行制御ローラ46,47を回動させる。
【0031】
一対の搬送ローラ43は、媒体ロール16から印刷媒体Pを引き出しつつ、巻取装置4へ向けて印刷媒体Pを搬送する。一対の搬送ローラ43は、ガイドローラ39,40間に配置されている。
【0032】
搬送モータ44は、搬送ローラ43を回転駆動させる。
【0033】
エンコーダ45は、ガイドローラ34に接続され、ガイドローラ34の所定の回転角度ごとにパルス信号を出力する。
【0034】
印刷部22A,22Bは、それぞれ印刷媒体Pのおもて面、うら面に印刷を行う。印刷部22Aは、ガイドローラ34,35間の印刷媒体Pの上方近傍に配置されている。印刷部22Bは、ガイドローラ36,37間の印刷媒体Pの上方近傍に配置されている。印刷部22A,22Bは、それぞれ5つのヘッドユニット51を備える。
【0035】
ヘッドユニット51は、インクジェットヘッド56を有する。インクジェットヘッド56は、搬送される印刷媒体Pへインクを吐出して画像を印刷する。印刷部22において、5つのヘッドユニット51のインクジェットヘッド56は、それぞれ異なる色のインクを吐出する。インクジェットヘッド56は、複数のヘッドモジュール57を有する。本実施の形態では、
図2に示すように、インクジェットヘッド56は、10個のヘッドモジュール57を有する。
【0036】
ヘッドモジュール57は、前後方向(主走査方向)に沿って配置された複数のノズル(図示せず)からなるノズル列を有し、ノズルからインクを吐出する。インクジェットヘッド56において、10個のヘッドモジュール57は、前後方向に沿って千鳥配置されている。具体的には、10個のヘッドモジュール57は、前後方向に配列され、かつ、1つおきに、印刷媒体Pの搬送方向(左右方向)における位置をずらして配置されている。
【0037】
穴センサ23A,23Bは、印刷媒体Pとして後述する穴付きの連続用紙SPが用いられる場合において、穴76を検出する。穴センサ23Aは、印刷媒体Pの搬送方向における印刷部22Aの最上流(最も左側)のヘッドユニット51の上流側(左側)近傍の所定位置に配置されている。穴センサ23Bは、印刷部22Bの最上流(最も右側)のヘッドユニット51の上流側(右側)近傍の所定位置に配置されている。穴センサ23は、前後方向においては、連続用紙SPの前側の穴76または後側の穴76を検出可能な位置に配置されている。穴センサ23は、例えば、発光部および受光部を有する光学式センサからなる。
【0038】
操作パネル24は、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作パネル24は、表示部61と、入力部62とを備える。
【0039】
表示部61は、各種の入力画面等の画像を表示する。表示部61は、液晶表示パネル等を有する。
【0040】
入力部62は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部62は、各種の操作キー、タッチパネル等を有する。
【0041】
印刷装置制御部25は、印刷装置3の各部の動作を制御する。印刷装置制御部25は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0042】
印刷装置制御部25は、印刷媒体Pとして後述する穴付きの連続用紙SPが用いられる場合において、連続用紙SPの搬送開始時における、穴センサ23Aから連続用紙SP上の印刷開始基準位置までの穴76の数を、おもて面用の設定値Cfsとして設定する。この設定値Cfsは、印刷部22Aによる印刷を開始させるタイミングを決定するために用いられるものである。設定値Cfsは、ユーザ操作により入力されるものである。印刷装置制御部25は、搬送部21による連続用紙SPの搬送開始から穴センサ23Aにより検出された穴76のカウント値Cfnがおもて面用の設定値Cfsに到達したタイミングに基づき、印刷部22Aによる連続用紙SPのおもて面への印刷を開始させる。
【0043】
また、印刷装置制御部25は、印刷媒体Pとして連続用紙SPが用いられる場合において、連続用紙SPの搬送開始時における、穴センサ23Bから連続用紙SP上の印刷開始基準位置までの穴76の数を、うら面用の設定値Crsとして設定する。この設定値Crsは、印刷部22Bによる印刷を開始させるタイミングを決定するために用いられるものである。設定値Crsは、上述したおもて面用の設定値Cfsと同様に、ユーザ操作により入力されるものである。印刷装置制御部25は、搬送部21による連続用紙SPの搬送開始から穴センサ23Bにより検出された穴76のカウント値Crnがうら面用の設定値Crsに到達したタイミングに基づき、印刷部22Bによる連続用紙SPのうら面への印刷を開始させる。
【0044】
巻取装置4は、印刷装置3で印刷された印刷媒体Pを巻き取る。巻取装置4は、巻取軸71と、巻取モータ72と、巻取装置制御部73とを備える。
【0045】
巻取軸71は、印刷媒体Pを巻き取って保持する。
【0046】
巻取モータ72は、巻取軸71を
図1における時計回り方向に回転させる。巻取軸71の回転により、印刷媒体Pが巻取軸71に巻き取られる。
【0047】
巻取装置制御部73は、巻取モータ72の駆動を制御する。巻取装置制御部73は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0048】
次に、穴付きの連続用紙SPについて、
図4を参照して説明する。
【0049】
図4に示すように、穴付きの連続用紙SPは、長尺な帯状に形成されている。連続用紙SPは、印刷システム1で印刷される際、長手方向を搬送方向として搬送される。
【0050】
連続用紙SPには、いわゆるスプロケット穴である複数の穴76が形成されている。穴76は、連続用紙SPの幅方向(短手方向)における一方の側端部および他方の側端部において、連続用紙SPの搬送方向(長手方向)に沿って、所定ピッチで並んで形成されている。
【0051】
連続用紙SPには、幅方向に平行な複数のミシン目77が形成されている。ミシン目77は、搬送方向において連続用紙SPを所定長さの1ページ分の印刷領域78ごとに区切るものである。すなわち、ミシン目77は、各ページの印刷領域78の境界位置に形成されている。連続用紙SPは、ミシン目77によりページ単位で切り離すことができるようになっている。
【0052】
次に、穴付きの連続用紙SPを印刷媒体Pとして用いて印刷する際の印刷システム1の動作について説明する。
【0053】
連続用紙SPに印刷する場合、まず、連続用紙SPが印刷システム1にセットされている。すなわち、連続用紙SPがロール状に巻かれた媒体ロール16が、巻出装置2の媒体ロール支持軸11に保持されている。そして、媒体ロール16から引き出された連続用紙SPが、印刷装置3内の搬送経路に沿って引き回され、連続用紙SPの先端部が巻取装置4の巻取軸71に取り付けられている。
【0054】
連続用紙SPが印刷システム1にセットされた状態で、ユーザが、上述したおもて面用の設定値Cfs、およびうら面用の設定値Crsを設定入力する操作を行う。
【0055】
具体的には、まず、ユーザが、
図5に示すように、穴センサ23Aより上流側にあるミシン目77のなかから、印刷開始基準位置としたい1つのミシン目77を、基準ミシン目77kに決定する。
【0056】
次いで、ユーザが、穴センサ23Aから連続用紙SP上の印刷開始基準位置までの穴76の数を、おもて面用の設定値Cfsとして、入力部62を操作して設定入力する。すなわち、ユーザが、穴センサ23Aの検出対象位置から基準ミシン目77kまでの穴76の数を、おもて面用の設定値Cfsとして設定入力する。
【0057】
また、ユーザが、穴センサ23Bから連続用紙SP上の印刷開始基準位置までの穴76の数を、うら面用の設定値Crsとして、入力部62を操作して設定入力する。すなわち、ユーザが、穴センサ23Bの検出対象位置から基準ミシン目77kまでの穴76の数を、うら面用の設定値Crsとして設定入力する。
【0058】
ここで、印刷装置3の搬送部21には、印刷媒体Pの搬送経路に沿って、定規(図示せず)が設置されている。ユーザは、この定規により穴センサ23A,23Bの検出対象位置から基準ミシン目77kまでの搬送経路上の距離を把握できる。そして、ユーザは、その距離を、穴76のピッチに基づき穴76の数に換算することで、設定値Cfs,Crsを取得できる。
【0059】
ユーザにより入力部62に対して設定値Cfs,Crsを入力する操作が行われると、印刷装置制御部25は、設定値Cfs,Crsを設定する。
【0060】
この後、印刷システム1に印刷ジョブが入力されると、連続用紙SPに対する印刷動作が開始される。
図6は、連続用紙SPに対する印刷動作を説明するためのフローチャートである。
【0061】
図6のステップS1において、印刷装置制御部25は、ウェブWの搬送を開始させる。具体的には、印刷装置制御部25は、搬送モータ44により搬送ローラ43の駆動を開始させる。また、印刷装置制御部25は、巻出装置制御部13および巻取装置制御部73に連続用紙SPの搬送開始を指示する。連続用紙SPの搬送開始が指示されると、巻出装置制御部13はブレーキ12の駆動を開始させ、巻取装置制御部73は巻取モータ72により巻取軸71の駆動を開始させる。
【0062】
これにより、巻出装置2から巻取装置4へ向かう連続用紙SPの搬送が開始される。巻出装置2のブレーキ12により媒体ロール支持軸11にブレーキがかけられることで、媒体ロール16と搬送ローラ43との間において連続用紙SPに張力が付与されつつ、連続用紙SPが搬送される。
【0063】
また、ステップS1において、印刷装置制御部25は、穴センサ23A,23Bのそれぞれにおいて検出された穴76のカウントを開始する。
【0064】
次いで、ステップS2において、印刷装置制御部25は、連続用紙SPの搬送開始から穴センサ23Aで検出された穴76のカウント値Cfnが、おもて面用の設定値Cfsに到達したか否かを判断する。ここで、カウント値Cfnが設定値Cfsに到達するのは、穴センサ23Aが基準ミシン目77kの下流側に隣接する穴76を検出した時点である。カウント値Cfnが設定値Cfsに到達していないと判断した場合(ステップS2:NO)、印刷装置制御部25は、ステップS2を繰り返す。
【0065】
カウント値Cfnが設定値Cfsに到達したと判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、印刷装置制御部25は、印刷開始基準位置がおもて面用の印刷部22Aに到達する時点で連続用紙SPの搬送速度が所定の印刷搬送速度に到達しているか否かを判断する。印刷開始基準位置が印刷部22Aに到達する時点は、基準ミシン目77kが印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56に到達する時点である。
【0066】
ここで、連続用紙SPは、搬送開始後、所定の加速度で加速される。そして、連続用紙SPが印刷搬送速度に到達すると、印刷装置制御部25は、その時点から連続用紙SPを印刷搬送速度で定速搬送するよう搬送モータ44を制御する。印刷搬送速度は、印刷部22による印刷を行うための連続用紙SPの搬送速度として設定された速度である。
【0067】
印刷装置3において、連続用紙SPの加速中に印刷部22による印刷を行うと印刷画像の伸長が生じる。このため、連続用紙SPが印刷搬送速度に到達してから印刷部22による印刷を開始する。
【0068】
連続用紙SPが印刷搬送速度に到達するまでの加速度は一定である。このため、搬送開始からカウント値Cfnが設定値Cfsに到達するまでの時間により、その到達時点から連続用紙SPが印刷搬送速度に到達する時点までの搬送量が分かる。また、ミシン目77とその下流側に隣接する穴76との間の距離は固定値である。穴センサ23Aと印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56との間の搬送経路上の距離も固定値である。すなわち、カウント値Cfnが設定値Cfsに到達してから、基準ミシン目77kが印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56に到達するまでの間の連続用紙SPの搬送量は固定値である。
【0069】
このことから、搬送開始からカウント値Cfnが設定値Cfsに到達するまでの時間により、印刷開始基準位置がおもて面用の印刷部22Aに到達するまでに連続用紙SPが印刷搬送速度に到達するか否かを判断できる。
【0070】
そこで、印刷装置制御部25は、印刷開始から予め算出された規定時間が経過するまでにカウント値Cfnが設定値Cfsに到達した場合、印刷開始基準位置が印刷部22Aに到達する時点で、連続用紙SPが印刷搬送速度に到達していると判断する。
【0071】
印刷開始基準位置が印刷部22Aに到達する時点で連続用紙SPが印刷搬送速度に到達していると判断した場合(ステップS3:YES)、ステップS4において、印刷装置制御部25は、印刷開始基準位置からの連続用紙SPのおもて面の印刷を開始させる。
【0072】
この際、印刷装置制御部25は、カウント値Cfnが設定値Cfsに到達したタイミングに基づき、印刷部22Aによる連続用紙SPのおもて面への印刷を開始させる。
【0073】
具体的には、印刷装置制御部25は、カウント値Cfnが設定値Cfsに到達したタイミングからのエンコーダ45の出力パルス数に基づき、印刷開始基準位置が印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56に到達したか否かを判断する。ここで、印刷装置制御部25は、カウント値Cfnが設定値Cfsに到達したタイミングからのエンコーダ45の出力パルス数から換算される連続用紙SPの搬送量が、穴センサ23Aと印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56との間の搬送経路上の距離と、ミシン目77とその下流側に隣接する穴76との間の距離との合計に到達すると、印刷開始基準位置が印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56に到達したと判断する。
【0074】
そして、印刷装置制御部25は、印刷開始基準位置が印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56に到達したと判断すると、印刷ジョブに基づく当該インクジェットヘッド56によるインク吐出制御を開始する。
【0075】
印刷装置制御部25は、印刷部22Aの最上流のインクジェットヘッド56以外の各インクジェットヘッド56についても同様にして、印刷開始基準位置が当該インクジェットヘッド56に到達すると、印刷ジョブに基づく当該インクジェットヘッド56によるインク吐出制御を開始する。
【0076】
このようにして、連続用紙SPのおもて面に対する印刷開始基準位置(基準ミシン目77k)からの印刷が開始され、印刷開始基準位置より上流側の各ページに対するおもて面の印刷が行われる。
【0077】
おもて面の印刷開始後、ステップS5において、印刷装置制御部25は、連続用紙SPの搬送開始から穴センサ23Bで検出された穴76のカウント値Crnが、うら面用の設定値Crsに到達したか否かを判断する。ここで、カウント値Crnが設定値Crsに到達するのは、穴センサ23Bが基準ミシン目77kの下流側に隣接する穴76を検出した時点である。カウント値Crnが設定値Crsに到達していないと判断した場合(ステップS5:NO)、印刷装置制御部25は、ステップS5を繰り返す。
【0078】
カウント値Crnが設定値Crsに到達したと判断した場合(ステップS5:YES)、ステップS6において、印刷装置制御部25は、印刷開始基準位置からの連続用紙SPのうら面の印刷を開始させる。
【0079】
この際、印刷装置制御部25は、上述したおもて面への印刷の場合と同様に、カウント値Crnが設定値Crsに到達したタイミングに基づき、印刷部22Bによる連続用紙SPのうら面への印刷を開始させる。
【0080】
具体的には、印刷装置制御部25は、カウント値Crnが設定値Crsに到達したタイミングからのエンコーダ45の出力パルス数に基づき、印刷開始基準位置が印刷部22Bの最上流のインクジェットヘッド56に到達したか否かを判断する。ここで、印刷装置制御部25は、カウント値Crnが設定値Crsに到達したタイミングからのエンコーダ45の出力パルス数から換算される連続用紙SPの搬送量が、穴センサ23Bと印刷部22Bの最上流のインクジェットヘッド56との間の搬送経路上の距離と、ミシン目77とその下流側に隣接する穴76との間の距離との合計に到達すると、印刷開始基準位置が印刷部22Bの最上流のインクジェットヘッド56に到達したと判断する。
【0081】
そして、印刷装置制御部25は、印刷開始基準位置が印刷部22Bの最上流のインクジェットヘッド56に到達したと判断すると、印刷ジョブに基づく当該インクジェットヘッド56によるインク吐出制御を開始する。ここで、印刷部22Bは印刷部22Aより下流側にあるため、印刷開始基準位置が印刷部22Bに到達する時点では、連続用紙SPが印刷搬送速度に到達してないことはない。
【0082】
印刷装置制御部25は、印刷部22Bの最上流のインクジェットヘッド56以外の各インクジェットヘッド56についても同様にして、印刷開始基準位置が当該インクジェットヘッド56に到達すると、印刷ジョブに基づく当該インクジェットヘッド56によるインク吐出制御を開始する。
【0083】
このようにして、連続用紙SPのうら面に対する印刷開始基準位置(基準ミシン目77k)からの印刷が開始され、印刷開始基準位置より上流側の各ページに対するうら面の印刷が行われる。
【0084】
うら面の印刷開始後、ステップS7において、印刷装置制御部25は、印刷ジョブに基づく印刷が終了したか否かを判断する。印刷ジョブに基づく印刷が終了していないと判断した場合(ステップS7:NO)、印刷装置制御部25は、ステップS7を繰り返す。
【0085】
印刷ジョブに基づく印刷が終了したと判断した場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、印刷装置制御部25は、連続用紙SPの搬送を終了させる。具体的には、印刷装置制御部25は、搬送モータ44を停止させる。また、印刷装置制御部25は、巻出装置制御部13および巻取装置制御部73に連続用紙SPの搬送終了を指示する。連続用紙SPの搬送終了が指示されると、巻出装置制御部13はブレーキ12を停止させ、巻取装置制御部73は巻取モータ72を停止させる。これにより、一連の印刷動作が終了となる。
【0086】
ステップS3において、印刷開始基準位置が印刷部22Aに到達する時点で連続用紙SPが印刷搬送速度に到達していないと判断した場合(ステップS3:NO)、ステップS9において、印刷装置制御部25は、設定値Cfs,Crsを変更する。
【0087】
具体的には、印刷装置制御部25は、設定値Cfs,Crsのそれぞれに1つの印刷領域78あたりの穴76の数を加算して、新たな設定値Cfs,Crsを設定する。ここで、1つの印刷領域78あたりの穴76の数は、例えば、ユーザ操作により入力される。設定値Cfs,Crsの変更後、印刷装置制御部25は、ステップS2に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0088】
上述のように設定値Cfs,Crsを変更することで、印刷開始基準位置(基準ミシン目77k)が1ページ分、上流側にずれる。このため、印刷開始のタイミングが先送りされる。これにより、連続用紙SPが印刷搬送速度に到達していない状態で印刷開始されることによる印刷画像の伸長が回避される。
【0089】
以上説明したように、印刷装置3では、連続用紙SPに印刷を行う際、印刷装置制御部25は、連続用紙SPの搬送開始時における、穴センサ23Aから連続用紙SP上の印刷開始基準位置までの穴76の数を、おもて面用の設定値Cfsとして設定する。また、印刷装置制御部25は、連続用紙SPの搬送開始時における、穴センサ23Bから連続用紙SP上の印刷開始基準位置までの穴76の数を、うら面用の設定値Crsとして設定する。
【0090】
そして、印刷装置制御部25は、連続用紙SPの搬送開始から穴センサ23Aにより検出された穴76のカウント値Cfnがおもて面用の設定値Cfsに到達したタイミングに基づき、印刷部22Aによるおもて面への印刷を開始させる。また、印刷装置制御部25は、連続用紙SPの搬送開始から穴センサ23Bにより検出された穴76のカウント値Crnがうら面用の設定値Crsに到達したタイミングに基づき、印刷部22Bによるうら面への印刷を開始させる。
【0091】
これにより、印刷装置制御部25は、穴センサ23で検出された穴76をカウントすることで、搬送される連続用紙SP上の印刷開始基準位置を把握して印刷開始させることができる。したがって、印刷装置3によれば、穴付きの連続用紙SPに対して、所望の位置から印刷開始することが可能となる。
【0092】
また、印刷装置制御部25は、印刷開始基準位置が印刷部22Aに到達する時点で連続用紙SPの搬送速度が印刷搬送速度に到達していないと判断した場合、設定値Cfs,Crsのそれぞれに1つの印刷領域78あたりの穴76の数を加算することで設定値Cfs,Crsを変更して印刷開始のタイミングを先送りする。これにより、連続用紙SPが印刷搬送速度に到達していない加速中の状態では、ミシン目77の位置を印刷開始基準位置とする印刷が開始されない。この結果、印刷画像の伸長を回避しつつ、ミシン目77の位置を印刷開始基準位置として印刷開始できる。
【0093】
なお、上述した実施の形態では、穴付きの帯状の印刷媒体が、ミシン目77が形成された連続用紙SPである場合について説明したが、穴付きの帯状の印刷媒体が、ページごとの印刷領域を区切るミシン目がないものであってもよい。この場合でも、ユーザ所望の印刷開始基準位置を決定し、搬送開始時における、穴センサから印刷媒体上の印刷開始基準位置までの穴の数を、印刷を開始させるタイミングを決定するために用いる設定値として設定すればよい。
【0094】
また、上述した実施の形態では、巻出装置および巻取装置が別装置として印刷装置に接続された構成を示したが、印刷装置に巻出部および巻取部が組み込まれた構成でもよい。
【0095】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0096】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0097】
(付記1)
搬送方向に沿って所定ピッチで穴が並んで形成された帯状の印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記穴を検出する検出部と、
前記搬送部による印刷媒体の搬送開始時における、前記検出部から印刷媒体上の印刷開始基準位置までの前記穴の数を設定値として設定し、前記搬送部による印刷媒体の搬送開始から前記検出部により検出された前記穴をカウントし、そのカウント値が前記設定値に到達したタイミングに基づき、前記印刷部による印刷媒体への印刷を開始させる制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【0098】
(付記2)
印刷媒体は、前記搬送方向において所定長さの印刷領域ごとに区切られており、
前記印刷開始基準位置は、いずれかの隣接する前記印刷領域間の境界位置に設定されるものであり、
前記制御部は、
前記カウント値が前記設定値になると、前記印刷開始基準位置が前記印刷部に到達する時点で印刷媒体の搬送速度が所定の印刷搬送速度に到達しているか否かを判断し、
前記印刷開始基準位置が前記印刷部に到達する時点で印刷媒体の搬送速度が前記印刷搬送速度に到達していないと判断した場合、前記設定値に1つの前記印刷領域あたりの前記穴の数を加算することで前記設定値を変更して印刷開始のタイミングを先送りすることを特徴とする付記1に記載の印刷装置。