(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信頼度計算部は、前記第2の他車両の信頼度よりも前記第1の他車両の信頼度の方が低いときは、前記認識対象の信頼度を前記第1の他車両の信頼度と同じ値に設定することを特徴とする請求項2に記載の車載電子制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
車両の自動運転では、カメラやレーダーなどのセンサで周囲状況を認知し、周囲状況にどのように対応するかに対し、人工知能(機械学習)を用いて判断し、その判断に従い、アクチュエータを駆動させてスロットルやブレーキなど車両操作を行う。
【0014】
自動運転の判断においては、自車が走行する近傍の静的な地図の情報に対して工事情報、渋滞情報や認知された動的な情報を多層的に加えた高精度地図であるローカルダイナミックマップ(Local Dynamic Map)が用いられる。ローカルダイナミックマップを構築する場合に、周囲状況の把握のために自車両のセンサのみを用いているので、センサの検出範囲内という狭い範囲の情報しか収集できない。例えば、交差点に進入する際、自車両の死角となる部分については、自車両のセンサだけではその情報を入手することができない。
【0015】
これに対しては、自車両のセンサの情報だけでなく、他車両のセンサの情報も用いる協調システムが有効である。他車両のセンサにより検出した情報を自車両が車車間通信によって収集することができれば、交差点で自車両の死角となる位置における情報も自車両が収集可能となる。
【0016】
自車両が他車から車両や歩行者等の認識情報を集める場合、車車間通信で集められる情報量は増加する。ローカルダイナミックマップでは、集められる認識情報が多いほど望ましいが、車載電子制御装置ECUに格納されるメモリ容量は限られており、どのような情報を格納するかが課題となる。
【0017】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
一つ目の課題の必要な情報のみをどのように格納するかという点に対し、実施例1、2では、自車進行路領域を用いて不要な情報を除く方法について説明する。
【0019】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1における自動運転用の外界認識装置の概略ブロック図である。
【0020】
車両1は、通信ユニットTCU3、セントラルゲートウェイCGW5、カメラCAM6、車載電子制御装置AD−ECU2、GPS8を備えており、これらは通信路33に接続されている。
【0021】
通信ユニットTCU3は、他車両との間で公知の通信方式により無線により車車間通信データの送受信を行う(通信データ取得部)。セントラルゲートウェイCGW5は、通信ユニットTCU3で受信した車車間通信データの中から必要な情報と不要な情報の取捨選択を行う。カメラCAM6は、例えば自車両から前方を撮像する単眼カメラやステレオカメラであり、撮像された画像は、他車両や歩行者などの認識対象を認識するのに用いられる。GPS8は、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信して地球上における自車両の座標位置を取得する機能を有する。
【0022】
車載電子制御装置AD−ECU2は、車車間通信データと、自車両の位置と、自車両周辺の地図と、自車両周辺の認識対象の情報等に基づいて、自動運転用の制御情報を演算する。車載電子制御装置AD−ECU2は、データインターフェースDIF35と、自車進行路領域部ARA10と、メモリMEM20と、ローカルダイナミックマップ演算部LDM25と、経路計画部PLN30を有している。
【0023】
データインターフェースDIF35は、通信路33との間で種々の情報の入出力を行う。自車進行路領域部ARA10は、自車両の進行路とその周辺を含む領域を自車進行路領域として設定するものである。自車進行路領域部ARA10では、例えば自車両の移動経路となる道路を含むように自車進行路領域を設定し、交差点ではその周辺を含む範囲まで広げた領域を自車進行路領域として設定する。
【0024】
自車進行路領域部ARA10は、進行路領域計算部11と、領域比較部12と、データ選択部13を有している。進行路領域計算部11は、自車位置と地図に基づいて自車進行路領域を計算する。領域比較部12は、車車間通信データに含まれている情報が自車進行路領域40内(
図4参照)の情報であるか、GPSデータを用いて領域比較を行い、データ選択部13は、自車進行路領域40の領域内情報のみを選択する。
【0025】
メモリMEM20(記憶部)は、地
図21の情報と検知座標22の情報が格納されている。ローカルダイナミックマップ演算部LDM25は、センサ等の各検知データをローカルダイナミックマップの座標系に変換する座標計算部26と、座標計算部26の座標計算結果に基づいてローカルダイナミックマップの地図を更新する地図更新部27とを有する。経路計画部PLN30は、ローカルダイナミックマップを元に安全領域計算と経路計算を行う経路計算部31を有する。
【0026】
図2は、本発明の実施例1における自車両と認識対象との位置関係を示す概略図、
図3は、比較例のローカルダイナミックマップを示す図、
図4は、本発明の実施例1におけるローカルダイナミックマップを示す図である。
【0027】
例えば
図2に示す状況では、自車両V0は、自動運転制御により道路R1を走行しており、交差点Iで右折して道路R2に進入するように自動運転経路が設定されている。道路R1は、南北に延びており、東西に延びる道路R2と交差点Iで交差している。道路R2では、他車両V1と他車両V2が交差点Iよりも西側を走行している。他車両V1は、交差点Iを通過して西に向かって進んでおり、他車両V2は、交差点Iよりも手前の位置で東に向かって進んでいる。自車両V0からは他車両V1,V2が建物B1の死角になっており、自車両V0から他車両V1,V2を直接認識することはできない。
【0028】
そして、自車両V0の前方には、先行車両である他車両V3と他車両V4が道路R1を自車両V0と同じ方向(北方向N)に向かって走行している。自車両V0と他車両V3はそれぞれ交差点Iの手前に位置し、他車両V4は、交差点Iを既に通過している。また、交差点Iの東側には道路R2を北方向Nに向かって横断中の2人の歩行者Pが存在している。自車両V0からは歩行者Pが建物B2の死角になっており、自車両V0のセンサでは歩行者Pを検出することはできない。
【0029】
図3は、
図2に示す状況が反映された比較例のローカルダイナミックマップを示す図である。
【0030】
図3に示すローカルダイナミックマップは、自車両V0が有するセンサによって検出した外界の情報のみを用いて構成したものである。
図2と同じ交差点Iの右折進入時であるが、自車両V0のセンサ、例えば、カメラの視野から他車両V3しか認識できておらず、ローカルダイナミックマップでも交差点Iの地図情報に、他車両V3の情報が加えられたのみである。つまり、自車両V0のセンサにより検出した他車両V3の情報のみが、自車両のローカルダイナミックマップに反映されるだけであり、
図2に示す他車両V1、V2、V4、及び歩行者Pの情報は反映されていない。
【0031】
図4は、本発明の実施例1におけるローカルダイナミックマップを示す図であり、自車両のセンサで検出した情報と車車間通信を用いて他車両から取得した情報により構成したローカルダイナミックマップの例を示している。本実施例1では、
図4に示すように、自車両V0は、他車両V3および他車両V2との間で車車間通信C3,C2を行い、自車両V0のセンサのみでは認識できない認識対象(他車両V2、歩行者P)の情報を取得している。自車両V0は、車車間通信で他車両から情報を取得する範囲を自車進行路領域40内に限定している。つまり、他車両V2,V3から自車進行路領域40内の情報のみを取得し、自車進行路領域40以外の他の領域の情報は取得しない。
【0032】
自車進行路41は、自動運転の場合には経路計画にしたがって設定され、運転者による運転の場合には、道路に対する自車両の向き、舵角、速度、及び方向指示器の操作状態等の少なくとも一つの情報に基づいて設定される。自車進行路領域40は、真っ直ぐやカーブなどの道路の形状に応じて設定され、例えば、分岐のない、いわゆる一本道の道路に対しては道路の形状に沿うように設定され、分岐のある、いわゆる交差点では、分岐した道路も含む交差点の形状に沿うように設定される。
【0033】
ローカルダイナミックマップでは、自車両V0を含む一定の領域を、複数の矩形のセグメント領域に分割する。そして、自車両、他車両、及び歩行者などの認識対象が、GPS座標と対応してそれぞれセグメント領域にマッピングされる。例えば、
図3及び
図4では、A0〜A47の48のセグメント領域に分割される。ローカルダイナミックマップは、
図3及び
図4に示すように、セグメント領域ごとに番号(A0〜A47)を付加しており、自車進行路領域40は、セグメント領域で定めることができる。
【0034】
図4には、自車両V0が交差点Iを右折して進入するときの自車進行路41と自車進行路領域40が示されている。
【0035】
自車進行路領域40は、少なくとも自車両V0の自車進行路41を含む複数のセグメント領域の集合であり、本実施例では
図4に太破線で示すように、自車進行路41を含むセグメント領域(A43、A35、A27、A28、A20、A21)の他に、これらの周辺に存在するセグメント領域(A19、A22、A29、A30、A36、A37、A38、A44、A45、A46)も含むように設定されている。
【0036】
図4に示すローカルダイナミックマップは、
図2と同じ交差点の右折進入の経路を示すものであり、
図3と比較して、自車進行路領域40内に自車両V0のセンサでは未検知であった他車両V2や歩行者Pの情報が加えられている。これは、他車両V2の情報や他車両V2のセンサにより検出された歩行者Pの情報が、車車間通信C2,C3で他車両V2,V3から自車両V0に送信され、それを自車両V0の車載電子制御装置AD−ECU2のメモリMEM20に記憶し、ローカルダイナミックマップに反映することで実現している。
【0037】
これにより、自車両V0では死角や視野から見えない歩行者Pなどの情報を得ることができ、さらに安全な経路計画を立てることができる。また、交差点Iの右折と関係の無い、他車両V1や他車両V4の情報を保持、使用しないので、車載電子制御装置AD−ECU2のメモリMEM20の使用量を削減することができる。
【0038】
図5は、本発明の実施例1における車車間通信データのメモリへのデータ保存処理を説明するフローチャートである。
【0039】
一定時間経過したかを判断し(ステップS1)、定期的に自車両の進行路計算を行う(ステップS2)。自車進行路は、(1)車速、舵角、ヨーレート、ウィンカーなどの車両情報、または(2)車載電子制御装置AD−ECU2の経路計画の情報から作成することができる。自車進行路を元にローカルダイナミックマップのセグメント領域の単位で、自車進行路領域の計算を行う(ステップS3)。車車間通信により近傍の車両から通信データを取得する(ステップS4)。通信データには、近傍の車両の情報や近傍の車両が認識した車両や歩行者等の認識対象に関する情報が、GPSデータに関連づけされた形で含まれている。
【0040】
その通信データが自車進行路領域内にあるか否かをGPSデータに基づきローカルダイナミックマップのセグメント領域の領域比較で判断し(ステップS5)、領域内に含まれているデータのみを保存データとして生成し(ステップS6)、メモリMEM20に保存する(ステップS7)。
【0041】
つまり、
図5に示すステップS1からステップS3までの処理が、自車両の進行路に基づいて進行路領域を計算する進行路領域計算部に相当し、ステップS4の処理が、他車両のセンサによって検出された少なくとも一つの認識対象の情報が含まれる通信データを、他車両との間の車車間通信により取得する通信データ取得部に相当する。そして、ステップS5の処理が、認識対象の情報に基づいて認識対象が進行路領域内に存在するものであるか否かを判断する認識対象判定部に相当し、ステップS6とステップS7の処理が、認識対象のうち、進行路領域内に存在するものであると判断された認識対象の情報を記憶する記憶部に相当する。
【0042】
本実施例1の車載電子制御装置AD−ECU2によれば、自車両V0の自車進行路領域40に関わる情報のみをメモリMEM20に保存し、自車進行路領域40の領域外の情報は、メモリMEM20に保存しない。したがって、車載電子制御装置AD−ECU2に保存するメモリ量を削減することができる。また、車車間通信C2,C3によって他車両V2、V3から自車両V0に送信される情報の情報量を減らすことができる。
【0043】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2について
図6を用いて以下に説明する。
図6は、本発明の実施例2における外界認識装置の概略ブロック図である。本実施例において特徴的なことは、実施例1の自車進行路領域部ARA10の一部の機能を、セントラルゲートウェイCGW5に移した点である。本実施例において、実施例1と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0044】
本実施例では、自車進行路領域40は、車載電子制御装置AD−ECU2の進行路領域計算部11にて計算される。自車進行路領域40は、ローカルダイナミックマップのセグメント領域単位が境界となり、その境界のGPS座標が算出される。算出された自車進行路領域40をセントラルゲートウェイCGW5に通知する。セントラルゲートウェイCGW5内には、領域比較部12とデータ選択部13がある。
【0045】
車車間通信データは、通信ユニットTCU3から入力され、セントラルゲートウェイCGW5に送られる。セントラルゲートウェイCGW5では、車車間通信データの情報が自車進行路領域40に関するものであるか、GPS座標を用いて領域比較を行い、データ選択部13にて自車進行路領域40の領域内データのみが選択される。そして、選択された領域内データのみが通信路33を用いて車載電子制御装置AD−ECU2に入力される。
【0046】
本実施例によれば、セントラルゲートウェイCGW5内でデータ選択を行うため、通信路33の利用帯域を削減することができるという作用効果を有する。
【0047】
<実施例3>
次に、本発明の実施例3について
図7から
図10を用いて説明する。
実施例3は、複数の車両からの情報の信頼度をどのように向上させるかという本発明の二つ目の課題を解決するものであり、重複する情報から信頼度を算出する方法について説明する。
【0048】
図7は、本発明の実施例3におけるローカルダイナミックマップを示す図、
図8は、本発明の実施例3における認識物の信頼度の計算データを示す図、
図9は、本発明の実施例3における外界認識装置の概略ブロック図、
図10は、本発明の実施例3における信頼度計算のフローチャートである。
【0049】
図7には、自車両V0が交差点Iを右折する状況でかつ自車進行路領域40内に他車両V2(第1の他車両)と歩行者Pが存在している状況が示されている。そして、自車進行路領域40の外には他車両V5(第2の他車両)が存在している。他車両V5は、自車進行路領域40に含まれていないので、他車両V5の情報はメモリMEM20に保存されない。
図7には、他車両V5とその検知範囲S5が破線で示されているが、説明のために便宜的に示したものであり、実際のローカルダイナミックマップには示されない。他車両V2の検知範囲S2と他車両V5の検知範囲S5のいずれにも歩行者Pが入っており、車両V5と車両V2のどちらも歩行者Pを認識している。
【0050】
自車両V0は、他車両V2と他車両V5の双方から車車間通信で歩行者Pの情報を受けることができる。これらの複数車両V2,V5によってそれぞれ歩行者Pが検知されている場合には、1台の車両のみで検知するよりも確度が高くなる。但し、車車間通信で受け取る情報は、それぞれの車両のセンサの性能に依存し、一律でなく、また、誤った情報を含むかもしれない。そこで、複数車両から得られた情報の確度を信頼度という指標で表すこととする。
【0051】
信頼度の計算では、認識対象が複数の車両で見つかったかどうか、車両と認識対象の距離、という指標から信頼度を算出する。
【0052】
図8に交差点右折時(
図7)の歩行者の信頼度計算の例を示す。車両V5と車両V2はそれぞれ、車両のID60、GPS座標62、認識した歩行者のGPS座標65、歩行者認識の信頼度のデータ66を有しており、自車両V0は、車車間通信でこれらのデータを受け取る。歩行者認識の信頼度は各車両のセンサの認識情報を元に、各車両で独立に付した数値であり、数値が大きい方が信頼度が高くなっている。
【0053】
図8(a)、(b)は、歩行者に近い車両V2の信頼度が歩行者から遠い車両V5の信頼度よりも高いケースと低いケースをそれぞれ示している。
図8(a)では、GPSの座標距離で歩行者Pとの距離が近い車両V2の信頼度が85であるのに対し、歩行者Pとの距離が遠い車両V5の信頼度が72であり、近い車両V2の方が遠い車両V5よりも信頼度が高くなっている。このように車両V2と車両V5の両方で歩行者Pを検出し、歩行者Pとの距離が近い車両V2の信頼度が、距離が遠い車両V5の信頼度よりも高い場合には、歩行者である確度が高いと判断して、歩行者Pの信頼度を上げる計算がなされ、本実施例では、信頼度が90となっている。
【0054】
一方、
図8(b)では、GPSの座標距離で歩行者Pとの距離が近い車両V2の信頼度が40であるのに対し、歩行者Pとの距離が遠い車両V5の信頼度が62であり、近い車両V2の方が遠い車両V5よりも信頼度が低くなっている。このように車両V2と車両V5の両方で歩行者Pを検出し、歩行者Pとの距離が近い車両V2の信頼度が、距離が遠い車両V5の信頼度よりも低い場合には、車両V2と車両V5のどちらも歩行者Pを認識していることを考慮して、信頼度を低い側の信頼度である40に合わせる処理が行われる。
【0055】
本発明の実施例3の構成図を
図9に示す。実施例3は、実施例1の構成に新たに信頼度計算部RCLC50を追加したことを特徴とする。信頼度計算部RCLC50は、ローカルダイナミックマップを生成する際に、車車間通信で得た他車両の認識された車両や歩行者等の認識対象の情報に対し、
図8に示すような信頼度の計算を行う構成を有する。
【0056】
信頼度計算部RCLC50は、その通信データに含まれている他車両の信頼度の情報に基づいて認識対象の信頼度を計算する。通信データには、他車両が認識対象を検出したときの信頼度の情報が含まれている。信頼度計算部RCLC50は、複数の他車両で同一の認識対象を認識した場合に、複数の他車両のそれぞれの信頼度と、複数の他車両から同一の認識対象までのそれぞれの距離とに基づいて、同一の認識対象の信頼度を計算する。
【0057】
本実施例では、信頼度計算部RCLC50は、同一の認識対象に対して距離が短い第1の他車両と距離が長い第2の他車両が存在する場合に、信頼度計算部RCLC50は、第2の他車両の信頼度よりも第1の他車両の信頼度の方が高いときは、認識対象の信頼度を第1の他車両の信頼度よりも高い値に設定し、第2の他車両の信頼度よりも第1の他車両の信頼度の方が低いときは、認識対象の信頼度を第1の他車両の信頼度と同じ値に設定する処理を行う。
【0058】
図10は、信頼度計算の方法の一例を説明するフローチャートである。
まず、ローカルダイナミックマップの自車を含む一定の領域に対し、矩形のセグメント領域で座標を分割し、対象セグメント領域の番号を生成する処理が行われる(ステップS10)。例えば、
図7では、A0〜A47の48のセグメント領域に分割される。そして、自車進行路内の最後セグメントか否かを判断し(ステップS11)、最後セグメントではない場合(NO)には、セグメント内の情報ソースと認識データを読み出す処理を行う(ステップS12)。
【0059】
そして、自車進行路内のセグメント領域について、同一属性の有無の判断を、順番に実行する(ステップS13)。そして、同じセグメント領域内で同じ属性の情報がある(YES)とすると、その属性情報は係数を乗じたα(同一属性カウント)という数値を累算して更新する処理を行う(ステップS14)。
【0060】
これにより、複数の車両から特定の場所に同じ属性の認識情報が得られた場合の累算を行うことができる。そして、最も距離が遠い車両の信頼度より最も距離が小さい車両の信頼度が大きい場合(ステップS16のYES)、確度が高いとして、最も距離が小さい車両の信頼度に、累積係数αの数値を加算して、信頼度の数値を得る(ステップS17)。一方、最も距離が遠い車両の信頼度より最も距離が小さい車両の信頼度が小さい場合には(ステップS16のNO)、確度が高くないとして、最も距離が小さい車両の信頼度そのものとする(ステップS18)。そして、得られた信頼度をローカルダイナミックマップに反映する信頼度書き込みの処理を行う(ステップS19)。
【0061】
例えば
図8(a)に示す例では、歩行者Pに近い車両V2の信頼度85であり、歩行者Pから遠い車両V5の信頼度72よりも高いので、累積係数αの値を加え、信頼度90という値が得られる。一方、
図8(b)に示す例では、歩行者Pに近い車両V2の信頼度40が、歩行者Pから遠い車両V5の信頼度62より低いので、車両V2の信頼度40を用いて、信頼度40という値が得られる。
【0062】
<実施例4>
次に、本発明の実施例4について
図11を用いて説明する。
実施例4は、複数の車両からの情報の信頼度をどのように向上させるかという本発明の二つ目の課題を解決するものであり、自車のセンサから得られる座標を用いて補正することにより精度を向上する方法について説明する。
【0063】
例えば、車車間通信で得た他車両の座標や他車両が認識した車両や歩行者の座標は、GPSデータに基づくものであり、数m程度の誤差が出る場合がある。また、自車両自体のGPSデータも誤差を伴う場合があり、自車両のGPSデータがずれているときは、他車両のGPSデータが正確でも相対的な座標のずれが生じる。
【0064】
一方、ステレオカメラなどの車両に搭載するセンサの距離情報の精度は向上しており、自車両から認識対象までの相対距離は高い精度で得ることができる。他車両のセンサにおいても同様で、他車両から認識対象までの相対距離を高い精度で得ることができる。そこで、本実施例では、車両のGPSデータのずれを自車両のセンサの値で補正することで、他車両の認識対象の座標を補正する処理を行う。
【0065】
図11には、車車間通信C3にて得られた認識対象の座標に対し、自車両V0のセンサから得られる座標を用いて補正する例を示す。自車両V0は車載カメラによって他車両V3を認識できており、他車両V3は他車両V2と歩行者Pが認識できている。自車両V0は、車車間通信C3で他車両V3から、他車両V3と他車両V2と歩行者Pの各GPS座標データを受取る。
【0066】
自車両V0のローカルダイナミックマップでは、自車両V0からの認識対象の相対座標が正しいことが望ましい。このため、相対座標の精度を向上させる為に、他車両V3が認識した認識対象のGPS座標データを補正する。
【0067】
自車両V0と他車両V3のずれは、自車両V0のステレオカメラ等のセンサによって距離Δzと横ずれΔxが高精度に算出される。したがって、自車両V0と他車両V3のGPS座標のずれが、Δz、Δxとなるよう、他車両V3のGPS座標を補正する。そして、その補正量を他車両V3の認識データの車両V2と歩行者PのGPS座標に反映させる。これにより、ローカルダイナミックマップ上で他車両V2と歩行者Pは点線の位置から実線の位置にそれぞれ補正される。
【0068】
図12は、車両V3と車両V2と歩行者Pの各GPS座標とその補正値を示す。ここでは、緯度を+0.0001だけ補正する例となっている。補正したGPS座標がローカルダイナミックマップに反映される。
【0069】
本発明の実施例4の構成図を
図13に示す。実施例4は、実施例1の構成に新たに座標補正部COC(Coordinate Correction)55を追加したことを特徴とする。通信データには、他車両の位置情報と認識対象の位置情報が含まれており、座標補正部COC55は、自車両V0の位置情報と自車両V0のセンサによって検出した他車両の位置情報を用いて、他車両との間の車車間通信により取得した他車両の位置情報を補正する。
【0070】
座標補正部COC55は、他車両の補正後の位置情報を用いて、他車両のセンサによって検出された少なくとも一つの認識対象の位置情報を補正する。具体的には、車車間通信で得られた車両の座標データと、カメラで認識した車両との一致検索を行う一致検索部と、カメラから得た距離(Δz)、横ずれ(Δx)を元に車両の座標データ、並びにその車両が認識した認識対象(車両・歩行者)のGPS座標を補正する座標補正部とを有する。
【0071】
車両の一致検索には、幾つかの方法が考えられる。
(1)カメラでナンバープレートを撮像し、ナンバープレート上のナンバー情報を認識し、その認識したナンバー情報と、車車間通信で送信される車両データのナンバー情報とを比較する。
(2)カメラで車両の特徴種別を認識し、認識した車の特徴種別(色、形式:普通車・トラック、車種名)や相対速度と、車車間通信で送信される車両の特徴種別や相対速度とを比較する。比較する範囲は、自車の近傍の車両に限定する。
【0072】
本発明の実施例4の座標補正のフローチャートを
図14に示す。まず、センサの認識データの有無を判断する(ステップS30)。センサの認識データとは、自車両V0のセンサが認識したデータであり、例えば、
図11の他車両V3を指す。次に、自車両V0のGPSデータを読み出しておく(ステップS31)。他車両V3との相対距離は、カメラなどのセンサで認識でき、正確に求めることができる。自車両V0から他車両V3までの距離(Δz)と横ずれ(Δx)は、センサの認識結果から計算でき、高精度に求めることができる(ステップS32)。
【0073】
メモリから、車車間通信の情報ソース車両データを読み出し(ステップS33)、センサ認識データと一致性検索を行う(ステップS34)。メモリ内に該当車両が有り(ステップS35のYES)、センサ認識データとして該当車両がある場合(ステップS36のYES)には、他車両V3の認識したデータをメモリから読み出し(ステップS37)、自車両V0のGPSデータに、横ずれΔx及び距離Δzを用いた値と、他車両V3のGPSデータの差分から、補正値を算出し、他車両V3の認識データに補正値で補正を行い(ステップS38)、認識データをメモリに書き込む(ステップS39)。
【0074】
本フローチャートには、車車間通信での認識データの受信時刻、GPSデータ取得時刻、センサ(カメラ)での認識データの取得時刻の時刻ずれは含めていないが、自車両、他車両(認識データ)の車速から位置のずれを予測できるため、時刻ずれの補正を掛けることで、取得時刻のずれも対応可能である。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。