(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動ガイド機構は、前記複数のガイドローラのうち、前記反転部が設けられた前記ガイドローラと当該ガイドローラに前記反転部とは反対側で隣接するガイドローラとの間に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、回転コネクタが異音を発する機構を明らかにすべく、ハイスピードカメラを用いて回転コネクタの挙動を観察したところ、フラットケーブルが潤滑に移動しないことがあり、そのような場合に音が発生していることが明らかになった。また、本発明者らは、潤滑に移動しない原因を解明すべく更に鋭意検討を行った。この結果、回転コネクタの輸送中などにフラットケーブルがローラに巻き付けられた状態で高温下に保持されると、フラットケーブルを構成するポリエチレンテレフタレート(PET)の軟化及び硬化が生じて、巻き癖が発生していることが明らかになった。
【0012】
ここで、フラットケーブルの巻き癖について説明する。
図1A〜
図1Cは、巻き癖が生じていないフラットケーブルの動作を示す模式図であり、
図2A〜
図2Bは、巻き癖が生じたフラットケーブルの動作を示す模式図である。
【0013】
図1Aに示すように、回転コネクタにおいては、ロータの内筒部901とステータの外筒部902との間に環状の空間が形成され、この空間内にフラットケーブル903が収納される。フラットケーブル903の一端はステータに接続され、他端はロータに接続される。上記の環状空間内には、環状空間の周方向に沿って複数のガイドローラ911、912、913、914、915及び916を保持するローラホルダ910も収容されている。ガイドローラ911〜916は、この順で円環状に配置されている。フラットケーブル903はU字状に湾曲され、ガイドローラ912側からガイドローラ911に掛けられている。ガイドローラ911のガイドローラ916側、すなわちガイドローラ912とは反対側に反転部921が設けられ、フラットケーブル903は、反転部921を介して内筒部901及び外筒部902のそれぞれに巻回されている。
【0014】
このような回転コネクタでは、内筒部901を備えたロータが外筒部902を備えたステータに対して相対的に回転する。例えば、ロータが反時計回り(counterclockwise:CCW)方向に回転すると、
図1Bに示すように、ロータからフラットケーブル903が巻き解かれ、フラットケーブル903が反転部921をCCW方向に押す。この結果、ローラホルダ910もCCW方向に回転し、フラットケーブル903は外筒部902に沿ってステータに巻き付けられていく。
【0015】
また、ロータが時計回り(clockwise:CW)方向に観点すると、
図1Cに示すように、ロータがフラットケーブル903を内筒部901に沿って巻き取り、フラットケーブル903がガイドローラ911をCW方向に引っ張る。この結果、ローラホルダ910もCW方向に回転し、フラットケーブル903がステータから巻き解かれていく。
【0016】
図1A〜
図1Cでは、フラットケーブル903を線状に図示しているが、フラットケーブル903も厚さを有しており、ガイドローラ911〜916と内筒部901、外筒部902との間には、フラットケーブル903を収容するための隙間が設けられている。例えば、内筒部901側には4枚程度のフラットケーブル903を収容できる隙間があり、外筒部902側には2枚程度のフラットケーブル903を収容できる隙間がある。
【0017】
回転コネクタ中では、このようなフラットケーブル903の巻き取り及び巻き解きが行われる。フラットケーブル903は可撓性を有しているため、フラットケーブル903は撓みながら、滑らかに巻き取られたり、巻き解かれたりする。
【0018】
ところが、回転コネクタの輸送中などにフラットケーブル903がU字状に湾曲されてガイドローラ911に掛けられた状態で高温下に保持されると、フラットケーブル903に巻き癖が生じることがある。これは、フラットケーブル903を構成するPETが高温下で軟化し、その後に室温程度まで冷やされて硬化したときに、高温下での形状を保持するためである。このような巻き癖は、例えば
図1Aに示す状態で発生する。
【0019】
そして、巻き癖が発生した状態でロータがCCW方向に回転すると、
図2Aに示すように、ロータからフラットケーブル903が巻き解かれ、フラットケーブル903が反転部921をCCW方向に押す。この結果、ローラホルダ910もCCW方向に回転し、フラットケーブル903はステータに巻き付けられていく。このとき、フラットケーブル903に巻き癖が発生していると、その部分の可撓性が低いため、フラットケーブル903は外筒部902に沿って撓むことができない。このため、
図2Aに示すように、フラットケーブル903に、巻き癖が発生した部分からガイドローラ912にかけて外筒部902から離間した部分903aが生じる。この際に、部分903aが振動して異音が発生することがある。また、ロータの回転を続けると、部分903aがフラットケーブル903の外筒部902に巻き付けられている部分に衝突して異音が発生することもある。巻き癖の程度によっては、ガイドローラ911とガイドローラ912との間の部分903aだけでなく、ガイドローラ912とガイドローラ913との間に、外筒部902から離間した部分903bが生じ、部分903bに起因した異音が発生することもある。
【0020】
また、ロータがCW方向に観点すると、
図2Bに示すように、ロータがフラットケーブル903を巻き取り、フラットケーブル903がガイドローラ911をCW方向に引っ張る。この結果、ローラホルダ910もCW方向に回転し、フラットケーブル903がステータから巻き解かれていく。このとき、フラットケーブル903に巻き癖が発生していると、その部分の可撓性が低いため、フラットケーブル903は内筒部901に沿って撓むことができない。このため、
図2Bに示すように、フラットケーブル903に、巻き癖が発生した部分からガイドローラ912にかけて内筒部901から離間した部分903cが生じる。この際に、部分903cが振動して異音が発生することがある。また、ロータの回転を続けると、部分903cがフラットケーブル903の内筒部901に巻き付けられている部分に衝突して異音が発生することもある。巻き癖の程度によっては、内筒部901側だけでなく、外筒部902から離間した部分903dが生じ、部分903dに起因した異音が発生することもある。
【0021】
本発明者らは、このような知見に基づいて下記の実施形態に想到した。
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。
図3は、本開示の実施形態に係る回転コネクタを示す外観斜視図である。
【0023】
図3には、本開示の実施形態に係る回転コネクタ1の回転軸Iが示されると共に、回転軸Iに平行なZ軸が示される。以下では、説明上、Z方向のZ1側を「上側」とし、Z方向のZ2側を「下側」とし、軸方向、径方向、及び周方向は、回転軸Iを基準とする。具体的には、軸方向とは、回転軸Iの方向を指す。径方向内側とは、回転軸Iに近い側を指し、径方向外側とは、回転軸Iに遠い側を指す。また、周方向とは、回転軸Iまわりの周方向を指す。また、フレキシブルプリント配線(Flexible Printed Circuits:FPC)基板を以下では単にFPCと記載する。
【0024】
回転コネクタ1は、車両のステアリングコラム(図示せず)と、ステアリングシャフト(図示せず)と一体に回転する電子部品(図示せず)との間で電気信号を伝送するための接続装置である。
【0025】
図3に示すように、回転コネクタ1は、ロータ200及びステータ300を含む。
【0026】
ロータ200は、ステアリングコラムに内包されたステアリングシャフトが軸方向に挿通される。ロータ200は、径方向内側に内筒部201を画成する円環状の部材である。ロータ200は、例えば樹脂材料により形成される。ロータ200の内筒部201により画成される径方向内側の空間には、ステアリングシャフトが軸方向に挿通される。ロータ200は、ステータ300に対し、回転軸I(第1の回転軸の一例)を回転中心として相対的に回転可能に支持される。
【0027】
ステータ300は、車両に固定される。ステータ300は、ステアリングコラムに取り付けられる。ステータ300には、ロータ200が回転自在に組み付けられる。ステータ300は、径方向外側に外筒部301を画成する円環状の部材である。
【0028】
図4は、回転コネクタ1に含まれるフラットケーブル及びローラホルダを示す模式図であり、
図5は、ローラホルダを示す斜視図である。
【0029】
図4に示すように、回転コネクタ1においては、ロータ200の内筒部201とステータ300の外筒部301との間に環状の空間が形成され、この空間内にフラットケーブル601が収納される。フラットケーブル601の一端はステータ300に接続され、他端はロータ200に接続される。上記の環状空間内には、環状空間の周方向に沿って複数のガイドローラ401、402、403、404、405及び406を保持するローラホルダ400も収容されている。ガイドローラ401〜406は、この順で円環状に配置されている。フラットケーブル601はU字状に湾曲され、ガイドローラ402側からガイドローラ401に掛けられている。ガイドローラ401のガイドローラ406側、すなわちガイドローラ402とは反対側に反転部411が設けられ、フラットケーブル601は、反転部411を介して内筒部201及び外筒部301のそれぞれに巻回されている。
【0030】
ローラホルダ400は、ガイドローラ401とガイドローラ402との間に可動ガイド機構420を有し、ガイドローラ403とガイドローラ404との間に可動ガイド機構430を有する。可動ガイド機構420は、ローラホルダ400から上方に延びる支柱428、及び支柱428に回転可能に取り付けられた保持レバー423を有する。保持レバー423の一端に外側補助ローラ421(外側ガイド部材の一例)が回転可能に保持されており、保持レバー423の他端に内側補助ローラ422(内側ガイド部材の一例)が回転可能に保持されている。外側補助ローラ421及び内側補助ローラ422の回転軸は、ロータ200の回転軸と平行である。
【0031】
図6は、保持レバー423、433の裏側を示す斜視図であり、
図7は、支柱428、438を示す斜視図である。
【0032】
保持レバー423の一端に開口部423aが形成され、他端に開口部423bが形成されている。外側補助ローラ421は、その内側に係止片421aを有しており、係止片421aが開口部423a内に挿入されて開口部423a内で保持レバー423に回転可能に係止されている。同様に、内側補助ローラ422は、その内側に係止片422aを有しており、係止片422aが開口部423b内に挿入されて開口部423b内で保持レバー423に回転可能に係止されている。保持レバー423は開口部423aと開口部423bとの間に回転中心としての円筒部424(第2の回転軸の一例)を有し、支柱428は弾性を具備して先端にフック状の形状を有し、支柱428の先端が円筒部424の先端に回転可能に係止されている。また、保持レバー423の裏面に突起425が形成されており、この突起425にトーションバネ(ねじりコイルバネ)429の一端が固定されて、保持レバー423は、トーションバネ429により保持レバー423の円筒部424周りの回転方向に付勢されている。支柱428はトーションバネ429のコイル部分を貫通しており、トーションバネ429の他端は、支柱428の周囲に設けられた拘束部427により、円筒部424周りの回転方向に弾性力を有した状態でローラホルダ400に固定される。
【0033】
可動ガイド機構430は、可動ガイド機構420と同様に、外側補助ローラ431(外側ガイド部材の一例)、内側補助ローラ432(内側ガイド部材の一例)、保持レバー433、円筒部434(第2の回転軸の一例)、突起435、拘束部437、支柱438及びトーションバネ439等を有する。
【0034】
可動ガイド機構420においては、外側補助ローラ421がロータ200の回転軸Iから遠ざかり、内側補助ローラ422がロータ200の回転軸Iに近づくように、トーションバネ429が支柱428を回転中心にして保持レバー423を円筒部424周りに回転させる。従って、トーションバネ429の弾性力をもって、外側補助ローラ421がフラットケーブル601を外筒部301に向けて押圧し、内側補助ローラ422がフラットケーブル601を内筒部201に向けて押圧する。
【0035】
同様に、可動ガイド機構430においては、外側補助ローラ431がロータ200の回転軸Iから遠ざかり、内側補助ローラ432がロータ200の回転軸Iに近づくように、トーションバネが支柱438を回転軸にして保持レバー433を円筒部434周りに回転させる。従って、トーションバネ439の弾性力をもって、外側補助ローラ431がフラットケーブル601を外筒部301に向けて押圧し、内側補助ローラ432がフラットケーブル601を内筒部201に向けて押圧する。
【0036】
このように構成された回転コネクタ1においては、ガイドローラ401とガイドローラ402との間では、可動ガイド機構420により、フラットケーブル601が外筒部301及び内筒部201の両方に向けて押圧される。従って、ガイドローラ401に掛けられた状態でフラットケーブル601に巻き癖が生じていたとしても、フラットケーブル601は環状空間内に膨らみにくく、外筒部301及び内筒部201の近傍に保持される。このため、フラットケーブル601の振動に伴う音や、外筒部301又は内筒部201上でのフラットケーブル601同士の衝突に伴う音を抑制することができる。
【0037】
また、外側補助ローラ421及び内側補助ローラ422が、ロータ200の回転軸Iと平行な回転軸を中心に回転可能であるため、フラットケーブル601の外側補助ローラ421及び内側補助ローラ422への接触に伴う摺動の負荷を低減することができる。このため、より安定してフラットケーブル601を外筒部301又は内筒部201に押圧することができる。
【0038】
更に、一つの保持レバー423に外側補助ローラ421及び内側補助ローラ422が取り付けられているため、簡素な構成でCCW方向の回転時に生じる異音及びCW方向の回転時に生じる異音の両方を抑制することができる。
【0039】
また、ガイドローラ401から離れたガイドローラ403とガイドローラ404との間に、可動ガイド機構420と同様の可動ガイド機構430が設けられているため、この領域やその近傍での音の発生も抑制することができる。つまり、可動ガイド機構420は巻き癖を解消するものではないため、可動ガイド機構420から離間した領域において巻き癖に伴うフラットケーブル601の膨らみが生じるおそれがあるが、このような膨らみは可動ガイド機構430により抑制され、音の発生も抑制される。
【0040】
可動ガイド機構の数は限定されず、3以上であってもよい。複数の可動ガイド機構が設けられる場合、これらは分散して配置されることが好ましい。可動ガイド機構の作用効果を偏りなく得るためである。また、そのうちの一つは、反転部が設けられたガイドローラと当該ガイドローラに反転部とは反対側で隣接するガイドローラとの間に設けられていることが好ましい。この部分で巻き癖に伴うフラットケーブルの膨らみが最も顕著になりやすいからである。
【0041】
フラットケーブル601を外側補助ローラ421及び内側補助ローラ422で押圧するための弾性力はトーションバネ429以外の弾性部材を用いて生じさせてもよい。ただし、トーションバネ429は、省スペースで十分な弾性力を発生させることができる点で好ましい。
【0042】
なお、フラットケーブルに代えて、フレキシブルプリント配線(Flexible Printed Circuits:FPC)基板が用いられてもよい。フラットケーブル及びFPC基板は可撓性ケーブルの一例である。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。