(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
図1は、実施の形態に係るフィルム成形装置1の概略構成を示す。フィルム成形装置1は、チューブ状のフィルムを成形する。フィルム成形装置1は、ダイ10と、フィルム厚調節部2と、一対の安定板4と、一対のピンチロール5と、厚み計測センサ6と、制御装置7と、を備える。
【0012】
ダイ10は、押出機(不図示)より供給された溶融樹脂をチューブ状に成形する。ダイ10は特に、リング状のスリット18(
図2で後述)から溶融樹脂を押し出すことにより、溶融樹脂をチューブ状に成形する。
【0013】
フィルム厚調節部2は、ダイ10から押し出された溶融樹脂を、フィルム厚を調節するとともに冷却する。溶融樹脂が冷却されると、フィルムが成形される。
【0014】
一対の安定板4は、フィルム厚調節部2の上方に配置され、成形されたフィルムを一対のピンチロール5の間に案内する。ピンチロール5は、安定板4の上方に配置され、案内されたフィルムを引っ張り上げながら扁平に折りたたむ。折りたたまれたフィルムは、巻取機(不図示)によって巻き取られる。
【0015】
厚み計測センサ6は、フィルム厚調節部2と安定板4との間に配置される。厚み計測センサ6は、所定の周期で、チューブ状のフィルムの周りを周りながら周方向の各位置におけるフィルム厚を計測する。厚み計測センサ6による計測値は制御装置7に送られる。
【0016】
制御装置7は、厚み計測センサ6から受け付けた測定結果に応じた制御指令をフィルム厚調節部2に送る。フィルム厚調節部2は、この制御指令を受けて、フィルム厚のばらつきが小さくなるようスリット18(特にその吐出口)の幅を調節する。
【0017】
図2は、ダイ10およびフィルム厚調節部2を示す断面図である。
図3は、ダイ10およびフィルム厚調節部2の上面図である。
図3では、冷却装置3、支持部材58および閉塞部材66の表示を省略している。
【0018】
ダイ10は、ダイ本体11と、内周部材12と、外周部材14と、を含む。内周部材12は、ダイ本体11の上面に載置される略円柱状の部材である。外周部材14は、環状の部材であり、内周部材12を環囲する。内周部材12と外周部材14との間には、リング状に上下方向に延びるスリット18が形成される。このスリット18を溶融樹脂が上側に向かって流れ、スリット18の吐出口(すなわち上端開口)18aから溶融樹脂が押し出され、吐出口18aの幅に応じた厚さのフィルムが形成される。
【0019】
ダイ本体11の外周には、複数のヒータ56が装着される。また、外周部材14の下部(具体的には後述の大径部27)の外周と、外周部材14の上部(具体的には後述の小径部25)の外周にもヒータ56が装着される。ダイ本体11および外周部材14は、ヒータ56によって所要の温度に加熱される。これにより、ダイ10の内部を流れる溶融樹脂を適度な温度および溶融状態に保つことができる。
【0020】
フィルム厚調節部2は、冷却装置3と、複数(ここでは32個)の調節ユニット16と、支持部材58と、閉塞部材66と、複数(調節ユニット16と同数、ここでは32個)の放熱部材68と、を含む。
【0021】
冷却装置3は、ダイ10の上方に配置される。冷却装置3は、エアーリング8と、環状の整流部材9と、を備える。エアーリング8は、内周部が下方に凹んだリング状の筐体である。エアーリング8の内周部には、上側に開口したリング状の吹出口8aが形成されている。吹出口8aは特に、リング状のスリット18と同心となるよう形成される。
【0022】
エアーリング8の外周部には、複数のホース口8bが周方向に等間隔で形成されている。複数のホース口8bのそれぞれにはホース(不図示)が接続され、このホースを介してブロワー(不図示)からエアーリング8内に冷却風が送り込まれる。エアーリング8内に送り込まれた冷却風は、吹出口8aから吹き出て溶融樹脂に吹き付けられる。
【0023】
整流部材9は、吹出口8aを取り囲むようエアーリング8内に配置される。整流部材9は、エアーリング8内に送り込まれた冷却風を整流する。これにより、冷却風は、周方向において均一な流量、風速で、吹出口8aから吹き出る。
【0024】
複数の調節ユニット16は、外周部材14の上端側を囲むように周方向に例えば等間隔に配置される。調節ユニット16は特に、片持ち状に外周部材14に取り付けられる。複数の調節ユニット16はそれぞれ、外周部材14に径方向内向きの押圧荷重または径方向外向きの引張荷重を付与できるよう構成される。したがって、複数の調節ユニット16を調節することによって、吐出口18aの幅を周方向で部分的に調節でき、フィルム厚を周方向で部分的に制御できる。フィルム厚に周方向でばらつきが生じている場合、例えば、肉厚が薄い部分に対応する(例えば肉厚が薄い部分の下方に位置する)調節ユニット16から外周部材14に引張荷重を付与させ、肉厚が薄い部分の下方の吐出口18aの間隙を大きくする。これにより、フィルム厚のばらつきが小さくなる。
【0025】
支持部材58は、環状の部材であり、外周部材14の上部を環囲するように複数の調節ユニット16に載置され固定される。支持部材58の上方には冷却装置3が固定される。つまり支持部材58は冷却装置3を支持する。
【0026】
閉塞部材66は、中央に孔が形成された薄い円板状の部材であり、エアーリング8の内周部と複数の調節ユニット16との間に設けられる。閉塞部材66の詳細な機能構成は、
図9に関連して後述する。
【0027】
複数の放熱部材68は、外周部材14(具体的には後述のフレキシブルリップ部22)を囲むように配置され、フレキシブルリップ部22の温度を周方向でより均一化するための均一化手段として機能する。放熱部材68の詳細な機能構成は、
図11に関連して後述する。
【0028】
図4、5は、外周部材14の上部とそれに取り付けられた調節ユニット16を示す斜視図および側面図である。
図4、5では、調節ユニット16を1つだけ示し、残りの調節ユニット16の表示を省略している。
図6、7は、調節ユニット16を示す斜視図である。
図7では、一対の支持部材30の一方を取り外した状態を示す。
【0029】
外周部材14の上部は、上端に形成された小径部25と、小径部25の下方に小径部25よりも大径に形成された中径部26と、中径部26の下方に中径部26よりも大径に形成された大径部27と、を有する。小径部25は、フレキシブルリップ部22を有する。フレキシブルリップ部22は、周方向に沿って設けられた凹状の切り欠き部20より上側の小径部25の部分をいう。フレキシブルリップ部22は、切り欠き部20を境に弾性変形する。フレキシブルリップ部22は、円筒状の本体部28と、本体部28から径方向外側に張り出す環状の張出環囲部29と、を含む。
【0030】
調節ユニット16は、外周部材14に取り付けられる一対の支持部材30と、一対の支持部材30に固定される回動軸32と、回動軸32を支点として回動可能に支持されるレバー34と、レバー34による回転力を受けて軸線方向に作動する作動ロッド36と、作動ロッド36とフレキシブルリップ部22とを軸線方向に連結する連結部材38と、作動ロッドを軸線方向に摺動可能に支持する軸受部材40と、レバー34に回転力を付与するアクチュエータ24と、を含む。
【0031】
一対の支持部材30は、平板状に形成され、互いに平行となるよう外周部材14にねじ留めされる。一対の支持部材30の間には、レバー34を介在させるためのスペースが設けられる。軸受部材40は、長方体状に形成され、支持部材30の径方向内側にて外周部材14にねじ留めされる。軸受部材40には、径方向に貫通する挿通孔42が形成されている。挿通孔42の内周面がいわゆる滑り軸受(無給油タイプの軸受)を構成し、作動ロッド36を摺動可能に支持する。
【0032】
回動軸32は、その軸が水平方向を向き、かつ、径方向に略直交するよう一対の支持部材30に固定される。
【0033】
作動ロッド36は、段付円柱状に形成され、その中間部が軸受部材40の挿通孔42に挿通される。作動ロッド36の軸方向外側には、縮径部44が設けられている。縮径部44は、後述するようにレバー34との連結部として機能する。作動ロッド36の軸方向内側には、凹状の係合部46が設けられている。係合部46は、後述するように連結部材38との接続部として機能する。フレキシブルリップ部22の張出環囲部29の外周面(以下、「受圧面23」と呼ぶ)は、作動ロッド36の先端面と対向する。
【0034】
連結部材38は、縦断面視で二股形状に形成される。具体的には、連結部材38には、軸方向において外周部材14と対向する面に、下側に突出する係合部48,50が設けられている。係合部48は、作動ロッド36の係合部46と概ね相補形状をなす。また、フレキシブルリップ部22の張出環囲部29には、軸方向下向きに凹んだ環状の係合溝52が形成されている。係合部50は、この係合溝52と概ね相補形状をなす。
【0035】
係合部48が係合部46に、係合部50が係合溝52に係合するよう作動ロッド36と連結部材38とがねじ留めされる。係合部48と係合部46との互いの対向面はテーパ面とされている。これにより、ねじ54を締結するにつれて作動ロッド36の先端面がフレキシブルリップ部22の受圧面23に押しつけられ、作動ロッド36とフレキシブルリップ部22とがしっかりと固定される。連結部材38の係合部50と、作動ロッド36の先端部とによりフレキシブルリップ部22の一部が挟まれる。これにより、作動ロッド36がその軸線方向にフレキシブルリップ部22と接続される。
【0036】
レバー34は、径方向に延びる長尺板状の本体60を有し、その一端部が回動軸32に回動可能に支持されている。レバー34は、非作動の状態において本体60と作動ロッド36とがほぼ平行となるように設けられている。また、本体60の一端部からその本体60の軸線と直角方向に延出するように二股形状の連結部62が設けられている。すなわち、連結部62は一対の連結片64からなり、それらの間隔が作動ロッド36の縮径部44の外径よりやや大きく、それらの幅が縮径部44の長さよりもやや小さく構成されている。このような構成により、連結部62が縮径部44に嵌合する態様でレバー34と作動ロッド36とが連結される。
【0037】
なお、レバー34の回転力が作動ロッド36に直接付与される構成であれば、本実施形態に限定されない。例えば、連結部62が本体60の軸線から直角方向に延出しない構成としてもよい。本体60の軸線と連結部62の延出方向とが鋭角をなしてもよいし、あるいは鈍角をなしてもよい。また、レバー34が非作動の状態において本体60と作動ロッド36とが平行とならないようにしてもよい。
【0038】
アクチュエータ24は、本実施の形態では空圧駆動式であり、圧縮空気の給排により作動する二組のベローズ70,72およびベローズ71,73と、第1ベース75と、第1ベース75の軸方向下側に配置される第2ベース76と、4本の連結棒77と、を含む。第1ベース75と第2ベース76は、軸方向に離間して配置され、4本の連結棒77により連結される。レバー34と第1ベース75との間にベローズ70,72が配置され、レバー34と第2ベースとの間にベローズ71,73が配置されている。すなわち、レバー34の力点となる端部は、ベローズ70,72とベローズ71,73との間に挟まれるように支持される。ベローズ70,72またはベローズ71,73の一方に圧縮空気が供給されることにより、レバー34が図中時計回りまたは反時計回りに回転駆動される。
【0039】
図5では、圧縮空気の供給によりベローズ70,72に圧力が付与されベローズ70,72が伸長すると、レバー34が図中反時計回りに回動し、その回転力が作動ロッド36の軸線方向左側(すなわち径方向外側)への力に変換される。その結果、フレキシブルリップ部22に対して引っ張り荷重が付与され、対応する(すなわちその調節ユニット16の径方向内側の)スリット18の吐出口18aの部分の間隙が増大する方向に変化する。一方、圧縮空気の供給によりベローズ71,73に圧力が付与されベローズ71,73が伸長すると、レバー34が図中時計回りに回動し、その回転力が作動ロッド36の軸線方向右側(すなわち径方向内側)への力に変換される。その結果、フレキシブルリップ部22に対して押圧荷重が付与され、対応するスリット18の部分の間隙が減少する方向に変化する。
【0040】
このような空圧駆動を実現するために、第1ベース75に形成された供給路75aや第2ベース76に供給された供給路76aを介して、図示しない圧力調整装置から圧縮空気が供給される。圧力調整装置は、調節動作制御部83(後述)からの制御指令に基づいて、ベローズ70〜73内の圧力を制御する。
【0041】
図8は、調節ユニット16の動作を説明するための説明図である。
図8(A)は調節ユニット16の中立状態(ベローズ70〜73がともに非作動の状態)を示し、
図4(B)は調節ユニット16の拡開作動状態(ベローズ70,72のみが作動した状態)を示す。
【0042】
調節ユニット16によれば、レバー34の回転力が作用点Pにおいて作動ロッド36に直接付与される。すなわち、レバー34の回転力が作動ロッド36の軸線方向の力としてフレキシブルリップ部22に付与される。その際、作動ロッド36が外周部材14により安定に支持されるため、その軸線方向の力がフレキシブルリップ部22へ効率良く伝達される。その結果、内周部材12と外周部材14との間の間隙調整のための駆動力を効率的に作用させることが可能となる。
【0043】
本実施の形態では、
図8(A)に示すように、レバー34と作動ロッド36との接続点(レバー34の作用点P)と、回動軸32(レバー34の支点)とを結ぶ直線L1が、作動ロッド36の軸線L2と直交するように構成される。これにより、回動軸32を中心として作用点Pを通る仮想円Cの接線方向と、作動ロッド36の軸線方向とが一致する。
【0044】
このため、
図8(B)に示すように、レバー34の回転力の作用点Pにおける方向と、作動ロッド36の軸線方向とが一致する。その結果、レバー34の回転力がそのまま作動ロッド36の軸線方向の駆動力となり、力の伝達効率を最大限に高めることができる。すなわち、フレキシブルリップ部22を拡開作動させる際のアクチュエータ24の駆動力を極めて効率的に作用させることが可能となる(図中太線矢印参照)。
【0045】
図示を省略するが、調節ユニット16の狭小作動状態(ベローズ71,73のみが作動した状態)においても、
図8(B)における力の向きが逆になるだけで、レバー34の回転力の作用点Pにおける方向と、作動ロッド36の軸線方向とが一致する。その結果、拡開作動時と同様にレバー34の回転力がそのまま作動ロッド36の軸線方向の駆動力となり、力の伝達効率を最大限に高めることができる。すなわち、調節ユニット16によれば、スリット18の吐出口18aの間隔調整のための駆動力を効率的に作用させることが可能となる。
【0046】
なお、レバー34の回転力が作動ロッド36に直接付与される構成であれば、本実施形態に限定されない。例えば、連結部62の延出方向(回動軸32と作用点Pとを結ぶ方向)と作動ロッド36の軸線方向とが鋭角又は鈍角をなす結果、レバー34の回転力の作用点Pにおける方向(便宜上「回転力作用方向」ともいう)と、作動ロッド36の軸線方向(便宜上「軸線力作用方向」ともいう)とが一致しない構成としてもよい。その場合、本体60と作動ロッド36とが平行である一方、本体60の軸線と連結部62の延出方向とが鋭角又は鈍角をなすものでもよい。あるいは、本体60の軸線と連結部62の延出方向とが直角をなす一方、本体60と作動ロッド36とが平行でないものでもよい。あるいは、本体60の軸線と連結部62の延出方向とが鋭角又は鈍角をなし、且つ本体60と作動ロッド36とが平行でないものでもよい。また、本体60として少なくとも一部に屈曲部又は湾曲部を有するもの(軸線を必ずしも特定できない構成)を採用してもよい。
【0047】
図9は、調節ユニット16とその周辺を示す断面図である。まず、仮に閉塞部材66がない場合を考える。この場合、エアーリング8の吹出口8aから上向きに冷却風が吹き上げられることにより、吹出口8aの下方の空間90、すなわちエアーリング8と溶融樹脂と複数の調節ユニット16とによって囲まれる空間90は、負圧になる。これにより、外周部材14のフレキシブルリップ部22の本体部28とエアーリング8の内周部との間の環状の隙間84を通じてエアーリング8の下方から空間90に空気が流れ込み、溶融樹脂に吹き付けられる。具体的には、調節ユニット16の下方または/および外周側から、調節ユニット16間の複数(ここでは32)の隙間を通ってエアーリング8と複数の調節ユニット16との間の空間88に空気が流れ込み、その空間88から空間90に空気が流れ込む。調節ユニット16間の隙間は周方向に不連続であるため、空間88に流れ込む空気の風量は周方向でばらつき、したがって空間88から空間90に流れ込む空気の風量も周方向でばらつく。周方向で風量が不均一な風が溶融樹脂に吹き付けられると、溶融樹脂が固化するタイミングが周方向で不均一となり、フィルム厚が周方向で不均一となる。
【0048】
これに対し本実施の形態では、エアーリング8の内周部と調節ユニット16との間に閉塞部材66が設けられている。閉塞部材66は隙間84を塞ぐよう構成される。言い換えると、閉塞部材66は、外周部材14および複数の調節ユニット16とエアーリング8との間から、エアーリング8の内周側を通ってエアーリング8の上方に向かう流路を塞ぐよう構成される。
【0049】
具体的には、フレキシブルリップ部22の本体部28の上端外縁に、下側に凹んだ環状の凹部94が形成されている。閉塞部材66は、内径が、凹部94の底面94aの内径(本体部28の上面28aの外径)よりも大きく、底面94aの外径よりも小さく形成されている。閉塞部材66は、下面66aの内周側端部が凹部94の底面94aに当接(載置)し、下面66aの外周側端部が支持部材58に当接(載置)するよう設けられている。
【0050】
閉塞部材66により、空間90への空気の流れ込みが抑制される。なお、閉塞部材66はフレキシブルリップ部22に当接するもののフレキシブルリップ部22に固定はされないので、フレキシブルリップ部22は調節ユニット16からの荷重を受けて弾性変形しうる。つまり、閉塞部材66は、フレキシブルリップ部22の弾性変形を阻害しない。
【0051】
図10は、制御装置7の機能および構成を模式的に示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0052】
制御装置7は、保持部80と、取得部81と、決定部82と、調節動作制御部83と、を含む。取得部81は、厚み計測センサ6による計測値を取得する。保持部80は、フィルム厚と、厚み計測センサ6によりそのフィルム厚が計測された場合に以降に成形されるフィルムを目標のフィルム厚にするために調節ユニット16が外周部材14に加えるべき荷重と、を対応付けて記憶する。
【0053】
決定部82は、フィルム厚のばらつきを小さくするために各調節ユニット16が外周部材14に付与すべき荷重を決定する。決定部82は特に、厚み計測センサ6による計測値と保持部80とを参照して、外周部材14に付与すべき荷重を決定する。また、決定部82は、決定した荷重が外周部材14に付与されるように、調節ユニット16のベローズ70〜73の圧力をいくつに制御するかを算出する。調節動作制御部83は、ベローズ70〜73の圧力が決定部82によって算出された圧力となるよう圧力調整装置に制御指令を送る。
【0054】
以上のように構成されたフィルム成形装置1の動作を説明する。ダイ10の吐出口18aから溶融樹脂が押し出され、冷却装置3は押し出された溶融樹脂に冷却風を吹き付ける。これにより、フィルムが成形される。この際、厚み計測センサ6は、所定の周期で、周方向の各位置におけるフィルム厚を計測する。制御装置7は、厚み計測センサ6による計測値に基づいて、フィルム厚のばらつきが小さくなるようフィルム厚調節部2の各調節ユニット16を制御する。
【0055】
以上がフィルム成形装置1の基本構成とその動作である。続いて、フレキシブルリップ部22の温度を均一化するための均一化手段について説明する。
図11は、
図3のA−A端面図である。
図11では、閉塞部材66の表示を省略している。
図3と
図11を参照する。
【0056】
調節ユニット16は、各構成部品が金属材料からなり、すなわち熱伝達率が比較的高い材料からなり、かつ、各構成部品がダイ10のようにはヒータ56で加熱されていない。したがって、調節ユニット16は、ダイ10、特にそのフレキシブルリップ部22に対する放熱部材として機能する。
【0057】
調節ユニット16の大きさの都合上、連結部材38が周方向に隙間なく配置されるように調節ユニット16を配置することができない。そのため、フレキシブルリップ部22の張出環囲部29には、放熱部材として機能する複数の調節ユニット16が周方向に間隔をあけて接続されることになる。
【0058】
ここで、仮に放熱部材68がない場合を考える。この場合、張出環囲部29には放熱部材(調節ユニット16)が周方向に間隔をあけて接続されるため、張出環囲部29の温度は周方向で不均一になる。具体的には、張出環囲部29には、放熱部材として機能する調節ユニット16が接続されている部分(以下、「接続部分」と呼ぶ)と、放熱部材として機能する調節ユニット16が接続されていない部分(以下、「非接続部分」と呼ぶ)とで温度差が生じる。すると、フレキシブルリップ部22の本体部28にも、張出環囲部29の接続部分に対応する(すなわち接続部分の径方向内側の)部分と張出環囲部29の非接続部分に対応する部分とで温度差が生じ、その結果、本体部28により溶融樹脂から奪われる熱にも、張出環囲部29の接続部分に対応する部分と張出環囲部29の非接続部分に対応する部分とで差が生じる。つまり、ダイ10から押し出される溶融樹脂の温度は周方向に不均一となる。溶融樹脂の温度が周方向で不均一となると、溶融樹脂が固化するタイミングが周方向で不均一となり、フィルム厚が周方向で不均一となる。
【0059】
これに対し本実施の形態では、張出環囲部29の非接続部分には、放熱部材68が接続される。つまり、張出環囲部29には、調節ユニット16の連結部材38と放熱部材68とが、周方向にほぼ隙間なく交互に接続される。これにより、張出環囲部29には接続部にも非接続部にも放熱部材が接続されるため、放熱部材68がない場合と比べて張出環囲部29ひいてはフレキシブルリップ部22の温度が周方向でより均一となる。
【0060】
本実施の形態の放熱部材68は、第1部材78と、第2部材79と、を含む。第1部材78は、調節ユニット16の連結部材38と実質的に同一(つまり、形状、寸法、および素材が設計上同じ)の部材である。第2部材79は、作動ロッド36の先端側すなわち連結部材38が取り付けられる側の部分に相当する部材である。具体的には、第2部材79は、調節ユニット16の作動ロッド36における凹状の係合部46のうちの連結部材38の係合部48が係合(接触)する部分を含んでいればよい。
【0061】
調節ユニット16は、張出環囲部29に加えて、中径部26および大径部27にも接続され(接触し)、それらによって支持される。これに対し、放熱部材68は、張出環囲部29のみと接続され(接触し)、張出環囲部29のみによって支持される。
【0062】
以上、説明した本実施の形態に係るフィルム成形装置1によると、フレキシブルリップ部22の張出環囲部29には、調節ユニット16の連結部材38と放熱部材68とが、周方向にほぼ隙間なく交互に接続される。つまり、張出環囲部29には、何かしらの放熱部材が周方向にほぼ隙間なく接続される。これにより、放熱部材68がない場合と比べると、張出環囲部29の温度が周方向でより均一になり、その結果、ダイ10から押し出される溶融樹脂の温度も周方向でより均一になり、フィルム厚が周方向でより均一となる。
【0063】
また、本実施の形態に係るフィルム成形装置1によると、放熱部材68は、張出環囲部29のみと接続されるため、中径部26や大径部27にも接続されている場合と比べてより張出環囲部29の熱を放熱させる。そのため、放熱部材68が中径部26や大径部27にも接続されている場合と比べて、放熱部材68が張出環囲部29から奪う熱の量を、調節ユニット16が張出環囲部29から奪う熱の量に近づけることができる。その結果、ダイ10から押し出される溶融樹脂の温度が周方向でより均一になり、フィルム厚が周方向でより均一となる。
【0064】
また、本実施の形態に係るフィルム成形装置1によると、放熱部材68の構成部品のひとつである第1部材78が調節ユニット16の構成部品のひとつである連結部材38と同一であるため、放熱部材68ひいてはフィルム成形装置1の製造コストを低減できる。
【0065】
以上、実施の形態に係るフィルム成形装置の構成と動作ついて説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0066】
(変形例1)
図12は、変形例に係る放熱部材68とその周辺を示す端面図である。
図12は
図11に対応する。本変形例では、放熱部材68は、隣接する2つの調節ユニット16の軸受部材40の上方まで延び、それらに載置されている。具体的には、第2部材79が軸受部材40の上方まで延び、例えば
図12に示すように第2部材79が屈曲しながら軸受部材40の上方まで延び、軸受部材40に載置される。なお、フレキシブルリップ部22の弾性変形を阻害しないように、放熱部材は軸受部材40に載置されるだけで軸受部材40に固定はされない。
【0067】
本変形例によれば、放熱部材68は、張出環囲部29と、隣接する2つの調節ユニット16の軸受部材40の2箇所で支持されるため、放熱部材68が張出環囲部29のみによって支持される場合と比べて放熱部材68が安定して保持される。
【0068】
(変形例2)
図13(
A)、(
B)はそれぞれ、他の変形例に係る放熱部材68とその周辺を示す端面図である。
図13(
A)、(
B)はそれぞれ、
図11に対応する。放熱部材68は、下側に突出して係合溝52に係合する係合部96と、張出環囲部29よりも径方向外側において上下方向に延びて中径部26の上面と当接する延伸部97と、係合部96と延伸部97とを接続する接続部98と、を有する。例えば放熱部材68は、係合部96と延伸部97との間に張出環囲部29が挟み込まれるように張出環囲部29に対して圧入されることで、張出環囲部29に対して固定される。
【0069】
図13(
A)の例では、延伸部97は、上側部分97aと、上側部分97aよりも下側に位置する下側部分97bと、上側部分97aと下側部分97bとを接続する弾性ヒンジ部97cと、を有する。下側部分97bは、ダイ10の外周部材14の中径部26の上面に当接する。
【0070】
弾性ヒンジ部97cは、フレキシブルリップ部22の弾性変形に伴って弾性変形可能なように構成される。具体的には例えば、弾性ヒンジ部97cは、少なくとも径方向の厚みが上側部分97aや下側部分97bの厚みよりも薄くなるよう形成される。これにより、放熱部材68の延伸部97の下端が中径部26の上面に当接していても、フレキシブルリップ部22の弾性変形は阻害されない。
【0071】
図13(
B)の例では、延伸部97の下端部は、縦断面視で円形状に形成される。延伸部97の下端部は、半球状に形成されてもよい。フレキシブルリップ部22が弾性変形すると、放熱部材68は傾動する。この際、放熱部材68の延伸部97の下端部は、中径部26の上面を転がる。逆にいうと、延伸部97の下端部が中径部26の上面と転がり接触できるように当該下端部が断面視で円形状に形成されていることにより、放熱部材68が傾動できる。そのため、放熱部材68の延伸部97の下端が中径部26の上面に当接していても、フレキシブルリップ部22の弾性変形は阻害されない。
【0072】
これらの変形例によれば、放熱部材68は、張出環囲部29と中径部26の2箇所で支持されるため、放熱部材68が張出環囲部29のみによって支持される場合と比べて放熱部材68が安定して保持される。
【0073】
(変形例3)
実施の形態および上述の変形例では特に言及しなかったが、張出環囲部29ひいてはフレキシブルリップ部22の温度をより均一にするためには、放熱部材68と放熱部材として機能する調節ユニット16の放熱性能(すなわち熱抵抗)が近いほど好ましい。
【0074】
したがって、放熱部材68の熱抵抗を調節ユニット16の熱抵抗により近づけるように、好ましくは同じにするように、放熱部材68の材質、大きさ、形状(表面積をより広くするような形状)を決定すればよい。
【0075】
例えば放熱部材68を調節ユニット16よりも熱抵抗が小さい材質により構成することで、調節ユニット16よりも小さい放熱部材68で調節ユニット16と実質的に同じ熱抵抗を実現できる、あるいは調節ユニット16と同じ素材で放熱部材68を構成した場合と比べて熱抵抗をより調節ユニット16に近づけることができる。
【0076】
なお、放熱部材68には荷重がかからないので、放熱部材68の強度は考慮せずに、その材質、大きさ、形状を決定できる。
【0077】
(変形例4)
フィルム成形装置1は、放熱部材68に代えてまたは放熱部材68に加えて、均一化手段としての断熱材を備えていてもよい。断熱材は、調節ユニット16がフレキシブルリップ部22と接触しないように、調節ユニット16の作動ロッド36および連結部材38とフレキシブルリップ部22との間に設けられればよい。本変形例によれば、フレキシブルリップ部22の熱が調節ユニット16に伝わらなくなるため、調節ユニット16が周方向に間隔をあけて張出環囲部29に接続されていることに起因して張出環囲部29に周方向の温度差が生じるのが抑止され、その結果、フィルム厚が周方向でより均一となる。
(変形例5)
実施の形態では、調節ユニット16によりスリット18の吐出口18aの径方向の隙間を広くしたり狭くしたりすることにより、フィルム厚を周方向で部分的に変化させる場合について説明したが、これに限られない。冷却装置3から吹き出る冷却風の風量および風温の少なくとも一方を周方向で部分的に変化させることにより、フィルム厚を周方向で部分的に変化させてもよい。この場合、冷却装置3は、エアーリング8内に、風量を調節するための複数のバルブや、複数のヒータを備えてもよい。
【0078】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。