特許第6985973号(P6985973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トーソー株式会社の特許一覧

特許6985973電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法
<>
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000002
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000003
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000004
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000005
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000006
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000007
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000008
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000009
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000010
  • 特許6985973-電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985973
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47H 5/02 20060101AFI20211213BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20211213BHJP
【FI】
   A47H5/02
   E05F15/643
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-82309(P2018-82309)
(22)【出願日】2018年4月23日
(65)【公開番号】特開2019-187688(P2019-187688A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2021年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】植本 雄司
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−167119(JP,A)
【文献】 特開2006−265983(JP,A)
【文献】 特開2005−113371(JP,A)
【文献】 実開昭62−120876(JP,U)
【文献】 特開2015−119941(JP,A)
【文献】 実開平03−075285(JP,U)
【文献】 特開2002−194948(JP,A)
【文献】 特開2001−200677(JP,A)
【文献】 特開平09−299225(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1194628(KR,B1)
【文献】 特開2000−139095(JP,A)
【文献】 米国特許第06924730(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00−99/00
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータによりカーテンレールに沿ったベルトを回転させてランナーを移動させることによりカーテンの開閉を制御する電動カーテンの制御装置であって、
前記カーテンの開要求を認識する開要求認識部と、
前記電動モータの動力を前記ベルトに伝達するクラッチ部材をオン動作させて前記電動モータと前記ベルトとを締結するクラッチ駆動部と、
前記電動モータと前記ベルトとが締結された後、前記電動モータを駆動して前記ランナーを移動させることにより前記カーテンの開動作を実行するモータ駆動部と、
前記カーテンが全開位置に到達したことを検出する検出部と、
前記カーテンが全開位置に到達したことを検出したとき前記モータ駆動部により前記電動モータの駆動を停止し、その時点から所定時間間隔ごとに前記クラッチ部材による前記電動モータと前記ベルトとの締結状態を次第に弱めるクラッチ制御部と
を備える電動カーテンの制御装置。
【請求項2】
前記クラッチ制御部は、前記クラッチ部材による前記電動モータと前記ベルトとの締結状態をPWM信号により制御する
請求項1に記載の電動カーテンの制御装置。
【請求項3】
前記クラッチ制御部は、前記PWM信号のデューティー比を前記所定時間間隔ごとに小さくして最終的にデューティー比を0にする
請求項2に記載の電動カーテンの制御装置。
【請求項4】
前記モータ駆動部は、前記電動モータをPWM信号により駆動制御する
請求項2に記載の電動カーテンの制御装置。
【請求項5】
電動モータによりカーテンレールに沿ったベルトを回転させてランナーを移動させることによりカーテンの開閉を制御する電動カーテンの制御方法であって、
前記カーテンの開要求を開要求認識部により認識する開要求認識ステップと、
前記電動モータの動力を前記ベルトに伝達するクラッチ部材をクラッチ駆動部によりオン動作させて前記電動モータと前記ベルトとを締結するクラッチ駆動ステップと、
前記電動モータと前記ベルトとが締結された後、モータ駆動部によって前記電動モータを駆動して前記ランナーを移動させることにより前記カーテンの開動作を実行するモータ駆動ステップと、
前記カーテンが全開位置に到達したことを検出部により検出する検出ステップと、
前記カーテンが全開位置に到達したことを検出したとき前記モータ駆動部により前記電動モータの駆動を停止し、その時点から所定時間間隔ごとに前記クラッチ部材による前記電動モータと前記ベルトとの締結状態をクラッチ制御部により次第に弱めるように制御するクラッチ制御ステップと
を有する電動カーテンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法に関し、特に、電動カーテンを全開状態としたときの反発戻りを抑制する電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータによりカーテンレールのベルトを介して走行する複数のカーテンランナー(以下、これを単に「ランナー」ともいう。)を設け、カーテンの上部を複数のランナーに取り付けた状態で電動によりカーテンを開閉する電動開閉カーテンがある。
【0003】
このような電動開閉カーテン(以下、これを単に「電動カーテン」ともいう。)では、カーテンの全閉位置および全開位置にリミットスイッチが設けられており、これによりカーテンを開閉した際にランナーが全閉位置および全開位置で停止される。
【0004】
しかし、実際上、カーテンがランナーにより吊り下げられた状態において、電動モータの駆動力によりカーテンを全開位置まで移動させた直後に電動モータを停止させた場合、全開位置で折り畳まれたカーテンの生地が弾性を持ち、その反発力で折り畳まれたカーテンが全閉方向へ再度移動してしまうことがある。このような現象は、電動カーテンにおいて、カーテンを全開動作させたときに生じるため、ユーザに対する見栄えがよくない。
【0005】
そこで、電動開閉カーテンの制御装置においては、カーテンが反発して戻ったときの戻り位置を記憶しておき、それ以降カーテンを全開動作する際、その戻り位置をカーテンの全開時の停止位置とすることにより、反発戻りが無くユーザに対して見栄えをよくすることができる(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5553995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した電動開閉カーテンでは、カーテンが全開位置まで開いた状態とは言えず、全開命令を受けたとしても、中途半端な位置までカーテンを移動するに留まってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、カーテンの全開位置からの戻りを抑制し、ユーザに対する見栄えを向上し得る電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、電動モータによりカーテンレールに沿ったベルトを回転させてランナーを移動させることによりカーテンの開閉を制御する電動カーテンの制御装置であって、前記カーテンの開要求を認識する開要求認識部と、前記電動モータの動力を前記ベルトに伝達するクラッチ部材をオン動作させて前記電動モータと前記ベルトとを締結するクラッチ駆動部と、前記電動モータと前記ベルトとが締結された後、前記電動モータを駆動して前記ランナーを移動させることにより前記カーテンの開動作を実行するモータ駆動部と、前記カーテンが全開位置に到達したことを検出する検出部と、前記カーテンが全開位置に到達したことを検出したとき前記モータ駆動部により前記電動モータの駆動を停止し、その時点から所定時間間隔ごとに前記クラッチ部材による前記電動モータと前記ベルトとの締結状態を次第に弱めるクラッチ制御部とを備える。
【0010】
本発明において、前記クラッチ制御部は、前記クラッチ部材による前記電動モータと前記ベルトとの締結状態をPWM信号により制御することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記クラッチ制御部は、前記PWM信号のデューティー比を前記所定時間間隔ごとに小さくして最終的にデューティー比を0にすることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記モータ駆動部は、前記電動モータをPWM信号により駆動制御することが好ましい。
【0013】
本発明は、電動モータによりカーテンレールに沿ったベルトを回転させてランナーを移動させることによりカーテンの開閉を制御する電動カーテンの制御方法であって、前記カーテンの開要求を開要求認識部により認識する開要求認識ステップと、前記電動モータの動力を前記ベルトに伝達するクラッチ部材をクラッチ駆動部によりオン動作させて前記電動モータと前記ベルトとを締結するクラッチ駆動ステップと、前記電動モータと前記ベルトとが締結された後、モータ駆動部によって前記電動モータを駆動して前記ランナーを移動させることにより前記カーテンの開動作を実行するモータ駆動ステップと、前記カーテンが全開位置に到達したことを検出部により検出する検出ステップと、前記カーテンが全開位置に到達したことを検出したとき前記モータ駆動部により前記電動モータの駆動を停止し、その時点から所定時間間隔ごとに前記クラッチ部材による前記電動モータと前記ベルトとの締結状態をクラッチ制御部により次第に弱めるように制御するクラッチ制御ステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カーテンの全開位置からの戻りを抑制し、ユーザに対する見栄えを向上し得る電動カーテンの制御装置および電動カーテンの制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る電動カーテンにおいてカーテンの全閉状態を示す略線図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電動カーテンにおいてカーテンの全開状態を示す略線図である。
図3】本発明の実施の形態に係るカーテンレールの内部構造を示す略線図である。
図4】本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示す外観斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る制御装置の回路構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態に係る制御装置の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図7】本発明の実施の形態に係るモータ駆動用PWM信号生成部の構成を示す機能ブロック図である。
図8】本発明の実施の形態に係るクラッチ駆動用PWM信号生成部の構成を示す機能ブロック図である。
図9】本発明の実施の形態に係るクラッチ制御に係るPWM信号のデューティー比を所定時間間隔ごとに調整する際の制御時間tの説明に供するグラフである。
図10】本発明の実施の形態に係るクラッチ制御方法の説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る。
【0017】
ここでは、説明の便宜上、図1乃至図4において、水平方向(矢印ab方向)をカーテンの開閉方向、特に図中左側をカーテンが閉まる閉側(矢印a方向)とし、図中右側をカーテンが開く開側(矢印b方向)とする。また、垂直方向(矢印cd方向)をカーテン吊下方向、特に図中上側を天井側(矢印c方向)とし、図中下側を床側(矢印d方向)とする。
【0018】
<電動カーテンの全体構成>
図1および図2に示すように、電動カーテン1は、片開き型の電動カーテンであり、主に、カーテンレール2、カーテン材3、およびモータ制御ユニット4を備えている。なお、電動カーテン1は片開き型に限るというものではなく、両開き型であってもよい。
【0019】
カーテンレール2は、水平方向(矢印ab方向)に延びるレール状部材であり、複数のランナー5が水平方向(矢印ab方向)にベルト7とともに移動可能に取り付けられ、それら複数のランナー5にはカーテン材3を吊り下げた状態で保持するための吊下具6が取り付けられている。
【0020】
また、図3に示すように、ランナー5は、カーテンレール2内を走行する無端状のベルト7に結合されている。ベルト7は、そのベルト7を移動させるプーリ14に結合されている。
【0021】
したがって、ベルト7の水平方向(矢印ab方向)への移動と共にランナー5が移動することにより、カーテン材3がランナー5と共に閉側(矢印a方向)から開側(矢印b方向)または開側(矢印b方向)から閉側(矢印a方向)へ向かって移動される。
【0022】
なお、複数のランナー5のうち、特に水平方向(矢印ab方向)における最も閉側(矢印a方向)に位置するランナー5については、図2に示すように、カーテン材3の位置を検出するためのランナー(以下、これを「カーテン位置検出ランナー」ともいう。)5sとする。
【0023】
カーテン材3は、吊下具6を介してカーテンレール2に吊り下げられており、カーテン材3がカーテンレール2の閉側(矢印a方向)から開側(矢印b方向)に向かって畳み込まれると図示しない窓が露出し、カーテン材3がカーテンレール2の開側(矢印b方向)から閉側(矢印a方向)に向かって引き出されると図示しない窓が覆われる。
【0024】
<モータ制御ユニットの構成>
図4および図5に示すように、モータ制御ユニット4は、電動モータ11、この電動モータ11の回転軸11aに取り付けられた電磁クラッチ12、回転検出器13および電動モータ11および電磁クラッチ12を駆動制御する制御装置15を備えている。
【0025】
電動モータ11は、例えばDCブラシレスモータであり、制御装置15から供給されるPWM(Pulse Width Modulation)信号(以下、これを「モータ駆動用PWM信号」ともいう。)により回転軸11aを所望の回転数、トルクおよび角度等に回転駆動する駆動源である。
【0026】
クラッチ部材としての電磁クラッチ12は、ベルト7を走行させるプーリ14(図3)に連結された出力側回転軸12aを有している。この電磁クラッチ12は、動力伝達機構であり、コイルの通電に応じて発生する電磁力を利用し、電動モータ11の回転軸11aの動力を出力側回転軸12aを介してプーリ14に伝達するように締結する。
【0027】
また電磁クラッチ12は、電動モータ11の回転軸11aの動力を出力側回転軸12aを介してプーリ14に伝達しないように解放する。なお、電磁クラッチ12においても、制御装置15から供給されるPWM信号(以下、これを「クラッチ駆動用PWM信号」ともいう。)により制御される。
【0028】
検出部としての回転検出器13は、電磁クラッチ12の出力側回転軸12aと一体に取り付けられているスリット板13a、および、光センサ13bからなる。スリット板13aは、円盤状部材であり、その外周縁に対して周方向にわたって複数の凹部が等間隔で形成されている。光センサ13bは、LED等の発光素子およびフォトダイオード等の受光素子からなる。
【0029】
回転検出器13は、回転中のスリット板13aの凹部を通過した光を光センサ13bにより受光し、その光の列をパルス信号として捕え、そのパルス信号をモータ制御ユニット4の制御装置15へ出力する。制御装置15は、パルス信号に基づいてプーリ14を介して駆動されるベルト7の移動距離および移動速度等を検出することが可能である。
【0030】
具体的に、制御装置15は、各種データの記憶領域やワークエリアとして用いられるメモリ26と接続された制御部21、モータ駆動回路22、クラッチ駆動回路23、パルス信号入力回路24、リモートコントローラ(以下、これを「リモコン」ともいう。)27からの操作命令を受け付ける操作命令受付回路25を有している。
【0031】
制御部21は、制御装置15全体を統括制御するとともに、モータ駆動回路22、クラッチ駆動回路23、パルス信号入力回路24、操作命令受付回路25との間でデータ授受を行う。なお、制御装置15は、電源供給部28から供給される電源電力によって起動される。
【0032】
特に、制御部21は、モータ駆動回路22およびクラッチ駆動回路23に対してデューティー比を調整したPWM信号を出力することにより電動モータ11および電磁クラッチ12を駆動制御する。ここで、制御部21からモータ駆動回路22へ出力するモータ駆動用PWM信号と、制御部21からクラッチ駆動回路23へ出力するクラッチ駆動用PWM信号とは同じではなく異なっている。
【0033】
モータ駆動回路22は、制御部21からのモータ駆動用PWM信号に従って電動モータ11の回転軸11aを所望の回転速度で駆動制御する。クラッチ駆動回路23は、制御部21からのクラッチ駆動用PWM信号に従って電磁クラッチ12を駆動制御することにより、電動モータ11とプーリ14との締結状態(締結または解放)をコントロールする。
【0034】
パルス信号入力回路24は、回転検出器13の光センサ13bで受光したパルス信号を入力し、そのパルス信号を制御部21へ出力する。操作命令受付回路25は、リモコン27からカーテンの開命令または閉命令をカーテン操作命令として受け付け、それを制御部21へ出力する。
【0035】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM、インタフェース等からなるマイクロコンピュータ構成であり、プログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現される。制御部21としての各種機能は、コンピュータの各種ハードウェア資源とコンピュータプログラムとが協働することによって実現される。
【0036】
図6に示すように、制御部21は、コンピュータプログラムによりソフトウェア的に構成され、カーテン操作命令判別部31、モータ駆動用PWM信号生成部32、クラッチ駆動用PWM信号生成部33、および、カーテン位置検出部34を備えている。
【0037】
カーテン操作命令判別部31は、操作命令受付回路25からのカーテン操作命令(開命令または閉命令)に基づいて、リモコン27を操作したユーザの意思が開命令であるか閉命令であるかを判別し、その判別結果をモータ駆動用PWM信号生成部32およびクラッチ駆動用PWM信号生成部33へ出力する。
【0038】
モータ駆動用PWM信号生成部32は、電動モータ11を駆動するためのモータ駆動回路22へ出力するモータ駆動用PWM信号を生成して出力する。図7に示すように、モータ駆動用PWM信号生成部32は、モータON待ち時間設定部321、モータ駆動用PWM信号出力部322、および、モータ駆動用デューティー比設定部323を有している。
【0039】
モータ駆動用PWM信号生成部32のモータON待ち時間設定部321は、電磁クラッチ12を介して電動モータ11とプーリ14とを締結した後に、モータ駆動回路22を介して電動モータ11を駆動するまでの待ち時間を設定する機能部である。
【0040】
待ち時間を設定する理由としては、電磁クラッチ12をON動作させて電動モータ11とプーリ14との締結を開始した場合でも、瞬時に締結されることはないので、電動モータ11とプーリ14とが完全に締結されるのを待つ必要があるからである。
【0041】
もしも、電動モータ11とプーリ14との締結が完了する前に、電磁クラッチ12をON動作させて電動モータ11を駆動してしまうと、電動モータ11の空転が起きてしまう。この場合、パルス信号入力回路24からのパルス信号をカーテン位置検出部34が誤カウントしてしまい、カーテン材3のカーテン位置の検出に位置ずれが発生してしまう。このような事態を回避するために、待ち時間を設定している。
【0042】
モータ駆動用PWM信号生成部32のモータ駆動用PWM信号出力部322は、モータ駆動用デューティー比設定部323により設定されたデューティー比に基づいて、モータ駆動回路22に出力するモータ駆動用PWM信号を生成して出力する機能部である。
【0043】
モータ駆動用PWM信号生成部32のモータ駆動用デューティー比設定部323は、カーテン操作命令判別部31およびカーテン位置検出部34から供給された信号に基づいてモータ駆動用PWM信号のデューティー比を設定する機能部であり、その設定したデューティー比をモータ駆動用PWM信号出力部322へ出力する。
【0044】
クラッチ駆動用PWM信号生成部33は、電磁クラッチ12を駆動するためのクラッチ駆動用PWM信号を生成してクラッチ駆動回路23へ出力する機能部である。
【0045】
図8に示すように、クラッチ駆動用PWM信号生成部33は、クラッチ制御時間設定部331、クラッチ駆動用PWM信号出力部332、クラッチ駆動用デューティー比設定部333、および、クラッチ制御判別部334を有している。
【0046】
クラッチ駆動用PWM信号生成部33のクラッチ制御時間設定部331は、図9に示すように、電磁クラッチ12により電動モータ11とプーリ14との締結状態を段階的に解放していく際の各段階での制御時間tを設定する機能部である。
【0047】
クラッチ駆動用PWM信号生成部33のクラッチ駆動用PWM信号出力部332は、クラッチ駆動用デューティー比設定部333により設定されたデューティー比に基づいてクラッチ駆動用PWM信号を生成し、これをクラッチ駆動回路23へ出力する機能部である。
【0048】
クラッチ駆動用PWM信号生成部33のクラッチ駆動用デューティー比設定部333は、カーテン操作命令判別部31およびモータ駆動用PWM信号生成部32から供給された信号に基づいてクラッチ駆動用PWM信号のデューティー比を設定する機能部である。クラッチ駆動用PWM信号生成部33は、その設定したデューティー比をクラッチ駆動用PWM信号出力部332へ出力する。
【0049】
クラッチ駆動用PWM信号生成部33のクラッチ制御判別部334は、クラッチ制御時間設定部331により設定された制御時間tに基づいて、電動モータ11とプーリ14との締結状態をどのように制御するかを判別する機能部であり、その判別結果に応じた制御命令をクラッチ駆動用デューティー比設定部333へ出力する。
【0050】
制御部21のカーテン位置検出部34(図6)は、パルス信号入力回路24からのパルス信号をカウントすることにより、電動モータ11の回転軸11aの回転速度(実測値)や、ベルト7と一体に移動されるカーテン位置検出ランナー5sの位置、すなわちカーテン材3の閉側(矢印a方向)の位置や開側の位置を検出する機能部である。
【0051】
<動作および効果>
以上の構成において、図10に示すように、制御部21のカーテン操作命令判別部31は、リモコン27を介して入力されたカーテン操作命令(開命令または閉命令)を操作命令受付回路25からカーテン操作命令判別部31を介して受け取り、そのカーテン操作命令が開命令であるか否かを判別する(ステップsp1)。
【0052】
ここで、否定結果が得られると、これは開命令ではなく閉命令であることを意味する。このときカーテン操作命令判別部31は、モータ駆動用PWM信号生成部32およびクラッチ駆動用PWM信号生成部33の双方に対して閉命令を出力する。
【0053】
この場合、制御部21では、クラッチ駆動用PWM信号生成部33を介して生成したクラッチ駆動用PWM信号により電磁クラッチ12を駆動して電動モータ11とプーリ14とを締結した後、モータ駆動用PWM信号生成部32を介して生成したモータ駆動用PWM信号により電動モータ11を駆動することにより、カーテン材3を予め定められた全閉位置まで移動させると共に、開命令を受け取るまで待ち受ける。
【0054】
これに対して、カーテン操作命令が開命令であった場合、肯定結果が得られるため(ステップsp1:Yes)、このときカーテン操作命令判別部31は、モータ駆動用PWM信号生成部32およびクラッチ駆動用PWM信号生成部33に対して開命令を通知する。
【0055】
クラッチ駆動用PWM信号生成部33のクラッチ駆動用デューティー比設定部333は、開命令に基づいて電磁クラッチ12に対するクラッチ駆動用PWM信号のデューティー比を100%として設定する。クラッチ駆動用PWM信号生成部33のクラッチ駆動用PWM信号出力部332は、クラッチ駆動用デューティー比設定部333により設定されたデューティー比100%のクラッチ駆動用PWM信号を生成してクラッチ駆動回路23へ出力する。これによりクラッチ駆動回路23は、デューティー比100%のクラッチ駆動用PWM信号により電磁クラッチ12を介して電動モータ11とプーリ14とを瞬時に締結させる(ステップsp2)。
【0056】
モータ駆動用PWM信号生成部32のモータON待ち時間設定部321は、電磁クラッチ12を介して電動モータ11とプーリ14とを締結した後に、モータ駆動回路22を介して電動モータ11を駆動するまでのモータON待ち時間(この場合、例えば100[msec])を設定する(ステップsp3)。
【0057】
そして、モータON待ち時間設定部321は、このモータON待ち時間(100[msec])が経過したか否かを内部クロックに基づいて判定し、まだモータON待ち時間が経過していない場合に否定結果を得、モータON待ち時間が経過した場合に肯定結果を得る(ステップsp4)。
【0058】
モータ駆動用PWM信号生成部32のモータ駆動用デューティー比設定部323は、モータON待ち時間が既に経過したので、モータ駆動用PWM信号出力部322から出力するモータ駆動用PWM信号のデューティー比を1%に設定してモータ駆動回路22へ出力する(ステップsp5)。
【0059】
モータ駆動用デューティー比設定部323は、カーテン材3が所望の移動速度に到達するまで、例えば10[msec]毎にデューティー比を所定の割合(例えば1%から始まり、10%、20%、30%、……、90%、100%)で上げるように設定してモータ駆動用PWM信号出力部322へ出力する。モータ駆動用PWM信号出力部322は、10[msec]毎にデューティー比を増大させたモータ駆動用PWM信号をモータ駆動回路22に出力することにより、電動モータ11によりカーテン材3を所望の移動速度にまで徐々に上昇してカーテンレール2の全開位置まで移動させることができる(ステップsp6)。
【0060】
ここで、モータ駆動用PWM信号生成部32のモータ駆動用PWM信号出力部322では、一定時間(例えば60[msec])毎にカーテン位置検出部34により検出されたパルス数のカウント値に基づいて算出される電動モータ11の回転軸11aの回転速度(実測値)と目標の回転速度とを比較し、その比較結果に応じてモータ駆動用デューティー比設定部323によりデューティー比を加減する。これにより、電動モータ11によりカーテン材3を所望の移動速度に制御することができる。
【0061】
カーテン位置検出部34は、パルス信号入力回路24からのパルス信号のカウント値に基づいてカーテン位置検出ランナー5sの位置、すなわちカーテン材3の閉側(矢印a方向)の位置が全開位置に到達したか否かを判定する(ステップsp7)。
【0062】
ここで否定結果が得られると、これは、カーテン材3の閉側(矢印a方向)の位置が全開位置に到達していないことを表しており、このときステップSP6に戻って全開位置に到達するまで上述の処理を繰り返す。カーテン位置検出部34は、カーテン材3の閉側(矢印a方向)の位置が全開位置に到達したことを検出した場合、その旨を意味する検出信号をモータ駆動用PWM信号生成部32へ通知する。
【0063】
モータ駆動用PWM信号生成部32のモータ駆動用デューティー比設定部323は、カーテン位置検出部34から全開位置に到達した旨の通知を受けると、電動モータ11を停止するためにモータ駆動用PWM信号のデューティー比0%に設定する。モータ駆動用PWM信号出力部322は、デューティー比0%のモータ駆動用PWM信号をモータ駆動回路22へ出力することにより電動モータ11の駆動を停止する(ステップsp8)。
【0064】
なお、このときモータ駆動用PWM信号生成部32のモータ駆動用PWM信号出力部322は、電動モータ11の駆動を停止したので、その旨の通知をクラッチ駆動用PWM信号生成部33へ出力する。
【0065】
クラッチ駆動用PWM信号生成部33のクラッチ制御時間設定部331は、電磁クラッチ12により電動モータ11とプーリ14との締結状態を段階的に解放していく際の各段階における制御時間t(例えば50[msec])を設定する(ステップsp9)。
【0066】
クラッチ駆動用PWM信号出力部332は、図9に示したように、クラッチ駆動用デューティー比設定部333により最初の段階すなわちデューティー比100%のクラッチ駆動用PWM信号を生成して出力し(ステップsp10)、その状態において制御時間t(50[msec])を経過したか否かを判定する(ステップsp11)。
【0067】
ここで、デューティー比100%のクラッチ駆動用PWM信号を出力したままの状態で制御時間tを経過していない場合、再度ステップsp10に戻り、制御時間tを経過するまでクラッチ駆動用PWM信号を出力する(ステップsp10)。
【0068】
これに対し、クラッチ制御時間設定部331は、デューティー比100%のクラッチ駆動用PWM信号を出力したまま制御時間tを経過したことを判定した場合、このクラッチ駆動用PWM信号のデューティー比が0%であったか否かを判定する(ステップsp12)。
【0069】
ここで、デューティー比が0%ではなかった場合、ステップsp9に戻り、クラッチ制御時間設定部331において、再度、制御時間t(例えば50[msec])を設定する。
【0070】
そして、クラッチ駆動用PWM信号出力部332は、次の段階例えばデューティー比75%のクラッチ駆動用PWM信号を生成して出力し(ステップsp10)、その状態において制御時間t(50[msec])を経過したか否かを判定する(ステップsp11)。
【0071】
このように、クラッチ駆動用PWM信号生成部33において、ステップsp9乃至ステップsp12を繰り返し、デューティー比50%、デューティー比25%のクラッチ駆動用PWM信号をそれぞれ制御時間tだけ出力する。
【0072】
その後、クラッチ駆動用PWM信号出力部332は、最終的にクラッチ駆動用PWM信号のデューティー比が0%であったと判定した場合、クラッチ駆動用PWM信号出力部332からのクラッチ駆動用PWM信号の出力を停止して処理を終了する。
【0073】
これによりクラッチ駆動用PWM信号生成部33は、電磁クラッチ12による電動モータ11とプーリ14との締結状態を瞬時に開放するのではなく、段階的に時間をかけて徐々に解放することができる。
【0074】
かくして、モータ制御ユニット4は、カーテン材3を全開位置まで移動させた場合であっても、カーテン材3の生地による弾性力(反発力)を弱めさせることができるので、カーテン材3を全開位置に移動させた直後にカーテン材3が全閉方向へ移動してしまうことを抑制し、ユーザに対する見栄えについても向上することができる。
【0075】
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、デューティー比100%のクラッチ駆動用PWM信号を出力したまま50[msec]の制御時間tが経過すると、次に、デューティー比75%のクラッチ駆動用PWM信号を50[msec]の制御時間tだけ出力し、その後、デューティー比0%になるまでデューティー比50%、25%と段階的に減らしながらクラッチ駆動用PWM信号を50[msec]の制御時間tだけ出力するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、デューティー比および制御時間tを任意に設定し、電動モータ11とプーリ14との締結状態を更に細かく段階的に解放するようにしてもよい。
【0076】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0077】
1…電動カーテン、2…カーテンレール、3…カーテン材、4…モータ制御ユニット、5…ランナー、5s…カーテン位置検出ランナー、6…吊下具、7…ベルト、11…電動モータ、11a…回転軸、12…電磁クラッチ、12a…出力側回転軸、13…回転検出器、13a…スリット板、13b…光センサ、14…プーリ、15…制御装置、21…制御部、22…モータ駆動回路、23…クラッチ駆動回路、24…パルス信号入力回路、25…操作命令受付回路、26…メモリ、27…リモートコントローラ(リモコン)、28…電源供給部、31…カーテン操作命令判別部、32…モータ駆動用PWM信号生成部、33…クラッチ駆動用PWM信号生成部、34…カーテン位置検出部、321…モータON待ち時間設定部、322…モータ駆動用PWM信号出力部、323…モータ駆動用デューティー比設定部、331…クラッチ制御時間設定部、332…クラッチ駆動用PWM信号出力部、333…クラッチ駆動用デューティー比設定部、334…クラッチ制御判別部、t…制御時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10