特許第6985978号(P6985978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985978
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】予混合装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/62 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   F23D14/62
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-100205(P2018-100205)
(22)【出願日】2018年5月25日
(65)【公開番号】特開2019-203668(P2019-203668A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2020年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公博
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−181011(JP,A)
【文献】 特開2004−285894(JP,A)
【文献】 特開平11−50863(JP,A)
【文献】 特開2007−120487(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/103636(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0284663(US,A1)
【文献】 特開2014−185676(JP,A)
【文献】 特開2008−175064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、ガス供給路の下流端がファンの上流側の空気供給路に設けられたガス吸引部に接続され、ガス吸引部より上流側の空気供給路の部分に、空気供給路の長手方向に平行な開き姿勢と空気供給路の長手方向に直交する閉じ姿勢とに回動自在なバタフライ弁が設けられ、バタフライ弁は、空気供給路の長手方向に直交する弁軸を介してモータに連結され、モータによりバタフライ弁が回動されるようにしたものにおいて、
バタフライ弁の外周縁又はバタフライ弁を配置した空気供給路の部分の周壁面の少なくとも周方向3箇所に、バタフライ弁を閉じ姿勢にした状態でバタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間に生ずるクリアランスと同等高さの凸部が突設され、
バタフライ弁の閉じ姿勢でバタフライ弁が空気供給路の長手方向に直交する面に沿う任意の方向に移動可能となるように、弁軸又はバタフライ弁は、モータ又は弁軸に遊びを持たせて連結されることを特徴とする予混合装置。
【請求項2】
バタフライ弁の外周縁に凸部が突設され、凸部は、バタフライ弁の閉じ姿勢で空気供給路の周壁面に点接触する形状に形成されることを特徴とする請求項1記載の予混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の予混合装置として、ガス供給路の下流端がファンの上流側の空気供給路に設けられたガス吸引部に接続され、ガス吸引部より上流側の空気供給路の部分に、空気供給路の長手方向に平行な開き姿勢と空気供給路の長手方向に直交する閉じ姿勢とに回動自在なバタフライ弁を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。尚、バタフライ弁は、空気供給路の長手方向に直交する弁軸を介してモータに連結され、モータによりバタフライ弁が回動される。
【0003】
ところで、バタフライ弁を閉じ姿勢にした状態において、バタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間にはクリアランスを生ずる。ここで、クリアランスは、バタフライ弁の全周に亘り均一にすべきである。然し、バタフライ弁が空気供給路に対し偏心した状態で組付けられることにより、バタフライ弁の周方向一部でクリアランスが狭くなり、クリアランスの狭窄部に流れる空気により異音が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−181011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、上記クリアランスがバタフライ弁の全周に亘り均一になるようにした予混合装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、ガス供給路の下流端がファンの上流側の空気供給路に設けられたガス吸引部に接続され、ガス吸引部より上流側の空気供給路の部分に、空気供給路の長手方向に平行な開き姿勢と空気供給路の長手方向に直交する閉じ姿勢とに回動自在なバタフライ弁が設けられ、バタフライ弁は、空気供給路の長手方向に直交する弁軸を介してモータに連結され、モータによりバタフライ弁が回動されるようにしたものにおいて、バタフライ弁の外周縁又はバタフライ弁を配置した空気供給路の部分の周壁面の少なくとも周方向3箇所に、バタフライ弁を閉じ姿勢にした状態でバタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間に生ずるクリアランスと同等高さの凸部が突設され、バタフライ弁の閉じ姿勢でバタフライ弁が空気供給路の長手方向に直交する面に沿う任意の方向に移動可能となるように、弁軸又はバタフライ弁は、モータ又は弁軸に遊びを持たせて連結されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、バタフライ弁を閉じ姿勢に回動すると、バタフライ弁が、上記遊びによる動きで、複数個所の凸部に案内されて空気供給路と同心になるように位置決めされる。従って、バタフライ弁を閉じ姿勢にした状態でバタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間に生ずるクリアランスは、バタフライ弁の全周に亘り均一になる。その結果、クリアランスの狭窄部に流れる空気により異音が発生することを防止できる。
【0008】
また、本発明においては、バタフライ弁の外周縁に凸部が突設され、凸部は、バタフライ弁の閉じ姿勢で空気供給路の周壁面に点接触する形状に形成されることが望ましい。これによれば、空気供給路の周壁面に対する凸部の食付きを生じても、これを容易に解除でき、バタフライ弁が閉じ姿勢でロックすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の予混合装置を示す切断側面図。
図2図1のII−II線で切断した断面図。
図3図1のIII−III線で切断した断面図。
図4図1のIV−IV線で切断した拡大切断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、Bは、混合気が噴出して燃焼する燃焼面Baを有する全一次燃焼式バーナ等から成るバーナである。バーナBにはファンFが接続されており、本発明の実施形態の予混合装置1により、空気に燃料ガスを混合して、混合気をファンFを介してバーナBに供給するようにしている。
【0011】
予混合装置1は、装置本体たるケーシング2内に設けられた、ファンFの上流側の空気供給路3と、燃料ガスを供給するガス供給路4とを備えている。ガス供給路4には、図3に示す如く開閉弁5と比例弁やゼロガバナから成る流量調節弁6とが介設された上流側ガス供給路4aを介して燃料ガスが供給される。更に、ガス供給路4の下流端は、空気供給路3に設けられたガス吸引部31に接続され、燃料ガスがガス吸引部31から空気供給路3内に吸引される。また、予混合装置1は、ガス吸引部31より上流側の空気供給路3の部分の通気抵抗を大小に切換える空気抵抗切換手段と、流量調節弁6よりも下流側のガス供給路4の部分の通気抵抗を大小に切換えるガス抵抗切換手段とを備えている。
【0012】
ここで、流量調節弁6として比例弁を用いる場合は、要求燃焼量に応じた量の燃料ガスが供給されるように比例弁が制御され、更に、バーナBに供給される混合気の空燃比が一定になるように、要求燃焼量に応じてファン回転数が制御される。但し、要求燃焼量が所定値以下になって、ファン回転数が送風量の比例特性を維持できる下限回転数以下になったり、比例弁電流(比例弁への通電電流)がガス供給量の比例特性を維持できる下限電流以下になった場合には、要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できなくなる。
【0013】
また、流量調節弁6として、二次ガス圧を大気圧に維持するゼロガバナを用いる場合、燃料ガスの供給量は、二次ガス圧である大気圧と空気供給路3内の負圧との差圧に応じて変化する。そして、空気供給路3内の負圧がファン回転数に応じて変化するため、燃料ガスの供給量はファン回転数即ち空気の供給量に応じて変化する。従って、要求燃焼量に応じてファン回転数を制御することにより、要求燃焼量に応じた量の空気及び燃料ガスがバーナBに供給されることになる。このものでも、ファン回転数が送風量の比例特性を維持できる下限回転数以下になると、要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できなくなる。そのため、要求燃焼量が所定値以下になったときに、空気抵抗切換手段で空気供給路3の通気抵抗を大きくして、ファン回転数を上記下限回転数以下にせずに、所定値以下の要求燃焼量に応じた量の空気を供給できるようにする必要がある。また、空気供給路3の通気抵抗を大きくするだけでは、空気供給路3内の負圧の増加で燃料ガスの供給量が要求燃焼量に応じた量を超えてしまうため、空気供給路3の通気抵抗を大きくするのに合わせて、ガス供給路4の通気抵抗も大きくする必要がある。
【0014】
そこで、要求燃焼量が所定値以下になったときに、空気抵抗切換手段で空気供給路3の通気抵抗を大きくすると共にガス抵抗切換手段でガス供給路4の通気抵抗を大きくし、所定値以下の要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できるようにしている。
【0015】
図2図3も参照して、空気抵抗切換手段は、ガス吸引部31より上流側の空気供給路3の部分に、空気供給路3の長手方向に平行な開き姿勢(図2に仮想線で示す姿勢)と空気供給路3の長手方向に直交する閉じ姿勢(図2に実線で示す姿勢)とに回動自在に設けられた円板から成るバタフライ弁7で構成されている。バタフライ弁7は、空気供給路3の長手方向に直交する弁軸71を介してモータ72に連結されている。そして、要求燃焼量が所定値以下になったときに、モータ72の作動で、バタフライ弁7を開き姿勢から閉じ姿勢になるように回動させる。
【0016】
ガス供給路4には、ガス吸引部31に連通する下流端のガス室41の上流側に位置して、ガス室41に常時連通する通路部分42に対して並列の弁室81が設けられている。そして、弁室81内に、弁室81の下端の弁座82に形成した、通路部分42に連通する弁孔83を開閉する切換弁8を設け、この切換弁8によりガス抵抗切換手段を構成している。切換弁8を閉弁させると、弁室81を介してのガスの流れが遮断され、ガス供給路4の通気抵抗が大きくなる。
【0017】
切換弁8は、バタフライ弁7の回動に伴い連動機構9を介して開閉動作される。この連動機構9は、図1図3に示す如く、弁軸71に連結したカム91と、切換弁8に連結される、一端がカム91に当接可能なロッド92とで構成されている。バタフライ弁7を開き姿勢に回動させると、カム91によりロッド92が押し上げられ、切換弁8が弁バネ84の付勢力に抗して開弁され、また、バラフライ弁7を閉じ姿勢に回動させると、カム91によるロッド92の押し上げが解除され、切換弁8が弁バネ84の付勢力で閉弁される。
【0018】
また、バタフライ弁7が配置された空気供給路3の部分は、ケーシング2内に設けた筒体32で囲われている。ケーシング2内には、筒体32を囲う環状の空隙が設けられており、この空隙によりバタフライ弁7に並列な副通路33を構成している。そして、バタフライ弁7を閉じ姿勢に回動させたとき、バタフライ弁7を配置した空気供給路3の部分の周壁面、即ち、筒体32の内周面とバタフライ弁7の外周縁との間に生ずるクリアランスと副通路33のみに空気が流れ、空気供給路3の通気抵抗が大きくなるようにしている。
【0019】
ガス吸引部31の上流側に隣接する空気供給路3の部分にはベンチュリ部34が設けられている。ベンチュリ部34の下流側に隣接する空気供給路3の部分は、ベンチュリ部34よりも大径の筒部35で囲われている。そして、ベンチュリ部34の下流端部を筒部35の上流端部に環状の間隙を存して挿入し、この間隙によりガス室41に連通するガス吸引部31が構成されるようにしている。尚、ケーシング2内に筒部35を囲う環状の空隙を設け、この空隙でガス室41を構成している。
【0020】
ところで、上記クリアランスがバタフライ弁7の全周に亘り均一にならず、周方向一部でクリアランスが狭くなると、この狭窄部に流れる空気により異音が発生することがある。そこで、本実施形態では、図4に示す如く、バタフライ弁7の外周縁の周方向3箇所に、バタフライ弁7を閉じ姿勢にした状態でバタフライ弁7の外周縁と筒体32の内周面との間に生ずるクリアランスと同等高さの凸部7aを突設している。更に、バタフライ弁7の閉じ姿勢でバタフライ弁7が空気供給路3の長手方向に直交する面に沿う任意の方向に移動可能となるように、弁軸71をモータ72に遊びを持たせて連結している。当然のことながら、ケーシング2に形成した弁軸71用の挿通孔21に対しても弁軸71は遊びを持って挿通されている。尚、上記凸部7aをバタフライ弁7の外周縁の周方向4箇所以上に突設することも可能である。
【0021】
これによれば、バタフライ弁7を閉じ姿勢に回動すると、バタフライ弁7が、上記遊びによる動きで、複数個所の凸部7aに案内されて筒体32と同心になるように位置決めされる。従って、バタフライ弁7を閉じ姿勢にした状態でバタフライ弁7の外周縁と筒体32の内周面との間に生ずるクリアランスは、バタフライ弁7の全周に亘り均一になる。その結果、クリアランスの狭窄部に流れる空気により異音が発生することを防止できる。
【0022】
尚、各凸部7aは、半球状であって、バタフライ弁7の閉じ姿勢で筒体32の内周面に点接触する。これによれば、筒体32の内周面に対する凸部7aの食付きを生じても、これを容易に解除でき、バタフライ弁7が閉じ姿勢でロックすることを防止できる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、凸部7aの形状が半球状であるが、バタフライ弁7の閉じ姿勢で筒体32内周面、即ち、空気供給路3の周壁面に点接触するものであれば、円錐状等の半球状以外の形状であってもよい。また、バタフライ弁7を配置した空気供給路3の部分の周壁面に母線方向に長手の突条を形成して、この突条で凸部を構成することも可能である。更に、バタフライ弁7を弁軸71に遊びを持たせて連結して、バタフライ弁7の閉じ姿勢でバタフライ弁7が空気供給路3の長手方向に直交する面に沿う任意の方向に移動可能となるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、空気供給路3に、バタフライ弁7に並列な副通路33を設けているが、この副通路33は省略することも可能である。
【符号の説明】
【0024】
B…バーナ、F…ファン、1…予混合装置、3…空気供給路、31…ガス吸引部、4…ガス供給路、7…バタフライ弁、7a…凸部、71…弁軸、72…モータ。
図1
図2
図3
図4