(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)200と、カソード配線26と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリックス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板21と、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2等と、トランジスタTrG(
図4参照)と、各種配線等が設けられている。第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2等は、画素Pixに対応して設けられたスイッチング素子である。トランジスタTrGは、駆動回路12に含まれるスイッチング素子である。
【0010】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0011】
複数の画素Pixは、基板21の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。複数の画素Pixは、それぞれ発光素子3を有し、発光素子3ごとに異なる色の光を出射することで画像を表示する。発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子3の大きさを限定するものではない。
【0012】
なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、基板21の表面に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。
【0013】
駆動回路12は、駆動IC200からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(第1ゲート線GCL1及び第2ゲート線GCL2(
図3参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0014】
駆動IC200は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC200は、基板21の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装される。これに限定されず、駆動IC200は、基板21の周辺領域GAに接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。
【0015】
カソード配線26は、基板21の周辺領域GAに設けられる。カソード配線26は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子3のカソードは、共通のカソード配線26に接続され、例えば、グランド電位が供給される。
【0016】
図2は、複数の画素を示す平面図である。
図2に示すように、各画素Pixは、発光素子3と、第2電極23と、画素回路28と、を有する。複数の発光素子3は、画素Pixに対応して設けられ、異なる色の光を出射する第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bを含む。第1発光素子3Rは、赤色の光を出射する。第2発光素子3Gは、緑色の光を出射する。第3発光素子3Bは、青色の光を出射する。なお、以下の説明において、第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bを区別して説明する必要がない場合には、単に発光素子3と表す。なお、複数の発光素子3は、4色以上の異なる光を出射してもよい。
【0017】
第1発光素子3Rを有する画素Pixと、第2発光素子3Gを有する画素Pixと、第3発光素子3Bを有する画素Pixとが、この順で第1方向Dxに繰り返し配列される。すなわち、第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bは、この順で第1方向Dxに繰り返し配列される。第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bは、それぞれ第2方向Dyに複数配列される。つまり、
図2に示す例では、各発光素子3は、第1方向Dxにおいて異なる色の光を出射する他の発光素子3と隣り合って配置され、第2方向Dyにおいて、同じ色の光を出射する他の発光素子3と隣り合って配置される。
【0018】
図3は、画素回路を示す回路図である。画素回路28は、発光素子3を駆動する駆動回路である。
図3に示すように、画素回路28は、複数のスイッチング素子(第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4)と、第1ゲート線GCL1、第2ゲート線GCL2、信号線SGL及び電源線LVddを有する。各トランジスタは、それぞれ薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)である。
【0019】
第1トランジスタTr1は駆動用TFTである。第2トランジスタTr2は、発光期間と、非発光期間とのスイッチング用TFTである。第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4は、電流切替用TFTである。信号線SGLは、定電流源に接続されている。電源線LVddは、定電圧源に接続されている。
【0020】
また、第2トランジスタTr2のドレインと、発光素子3のアノードとの間に保持容量CS1が形成される。また、発光素子3のアノードと電源線LVddとの間に保持容量CS2が形成される。画素回路28は、保持容量CS1、CS2により、第2トランジスタTr2の寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制することができる。
【0021】
非発光期間では、駆動回路12(
図1参照)は、第1ゲート線GCL1の電位を高レベルとし、第2ゲート線GCL2の電位を低レベルとする。これにより、第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3がオンとなり、第4トランジスタTr4がオフとなる。発光素子3のアノードには、信号線SGLから電流Idataが供給される。
【0022】
発光期間では、駆動回路12(
図1参照)は、第1ゲート線GCL1の電位を低レベルとし、第2ゲート線GCL2の電位を高レベルとする。これにより、第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3がオフとなり、第4トランジスタTr4がオンとなる。発光素子3のアノードには、電源線LVddから電流Idが供給される。なお、
図3は、あくまで一例であり、画素回路28の構成及び表示装置1の動作は適宜変更することができる。
【0023】
図4は、
図1のIV−IV’線に沿う断面図である。
図4に示すように、発光素子3は、アレイ基板2の上に設けられる。アレイ基板2は、基板21と、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2等のスイッチング素子と、各種配線及び各種絶縁膜を有する。基板21の周辺領域GAには、複数のトランジスタとして、駆動回路12に含まれるトランジスタTrGが設けられている。基板21は絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられる。
【0024】
本明細書において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から平坦化膜27の上面27aに向かう方向を「上側」とする。また、平坦化膜27の上面27aから基板21に向かう方向を「下側」とする。また、「平面視」とは、基板21の表面に垂直な方向から見た場合を示す。
【0025】
第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2及びトランジスタTrGは、基板21の一方の面側に設けられる。第1トランジスタTr1は、半導体61、ソース電極62、ドレイン電極63、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bを含む。第1ゲート電極64Aは、第1絶縁膜91を介して基板21の上に設けられる。第1絶縁膜91等の絶縁膜は、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等の無機絶縁材料が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0026】
第2絶縁膜92は、第1ゲート電極64Aを覆って第1絶縁膜91の上に設けられる。半導体61は、第2絶縁膜92の上に設けられる。第3絶縁膜93は、半導体61を覆って第2絶縁膜92の上に設けられる。第2ゲート電極64Bは、第3絶縁膜93の上に設けられる。半導体61は、基板21に垂直な方向(以下、第3方向Dzと表す。)において、第1ゲート電極64Aと第2ゲート電極64Bとの間に設けられる。半導体61において、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bで挟まれた部分にチャネル領域が形成される。
【0027】
図4に示す例では、第1トランジスタTr1は、いわゆるデュアルゲート構造である。ただし、第1トランジスタTr1は、第1ゲート電極64Aが設けられ、第2ゲート電極64Bが設けられないボトムゲート構造でもよく、第1ゲート電極64Aが設けられず、第2ゲート電極64Bのみが設けられるトップゲート構造でもよい。
【0028】
半導体61は、例えば、アモルファスシリコン、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、ポリシリコン、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)又は窒化ガリウム(GaN)で構成される。酸化物半導体としては、IGZO、酸化亜鉛(ZnO)、ITZOが例示される。IGZOは、インジウムガリウム亜鉛酸化物である。ITZOは、インジウムスズ亜鉛酸化物である。
【0029】
第4絶縁膜94は、第2ゲート電極64Bを覆って第3絶縁膜93の上に設けられる。ソース電極62及びドレイン電極63は、第4絶縁膜94の上に設けられる。本実施形態では、ソース電極62は、コンタクトホールH5を介して半導体61と電気的に接続される。ドレイン電極63は、コンタクトホールH3を介して半導体61と電気的に接続される。
【0030】
第5絶縁膜95は、ソース電極62及びドレイン電極63を覆って、第4絶縁膜94の上に設けられる。第5絶縁膜95は、第1トランジスタTr1や、各種配線で形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。
【0031】
第2トランジスタTr2は、半導体65、ソース電極66、ドレイン電極67、第1ゲート電極68A及び第2ゲート電極68Bを含む。第2トランジスタTr2は第1トランジスタTr1と類似した層構成を有しており、詳細な説明は省略する。第2トランジスタTr2のドレイン電極67は、コンタクトホールH8を介して接続配線69に接続される。接続配線69は、第1トランジスタTr1の、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bに接続される。
【0032】
なお、半導体65、ソース電極66、ドレイン電極67、第1ゲート電極68A及び第2ゲート電極68Bは、それぞれ、第1トランジスタTr1の、半導体61、ソース電極62、ドレイン電極63、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bと同層に設けられているが、異なる層に設けられていてもよい。
【0033】
トランジスタTrGは、半導体71、ソース電極72、ドレイン電極73、第1ゲート電極74A及び第2ゲート電極74Bを含む。トランジスタTrGは、駆動回路12に含まれるスイッチング素子である。トランジスタTrGも第1トランジスタTr1と類似した層構成を有しており、詳細な説明は省略する。また、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4(
図3参照)も第1トランジスタTr1と類似した層構成を有する。
【0034】
発光素子3は、第6絶縁膜96を介して、第5絶縁膜95の上に設けられる。発光素子3は、アノード及びカソードが下側に設けられた、いわゆるフェースダウン構造である。発光素子3は公知のLEDチップを用いることができる。
図5は、第1実施形態に係る発光素子を示す断面図である。
図5に示すように、発光素子3は、透光性基板31の上に、バッファ層32、n型クラッド層33、活性層34、p型クラッド層35、p型電極36の順に積層される。発光素子3は、透光性基板31が上側に、p型電極36が下側になるように実装される。また、n型クラッド層33において、第1電極22と対向する面側には、活性層34から露出した領域が設けられている。この領域にn型電極38が設けられている。
【0035】
p型電極36は、発光層からの光を反射する金属光沢のある材料で形成される。p型電極36はバンプ39Aを介して第2電極23に接続している。n型電極38はバンプ39Bを介して第1電極22に接続している。
【0036】
n型クラッド層33、活性層34及びp型クラッド層35は、発光層であり、例えば、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウム燐(AlInP)等の化合物半導体が用いられる。
【0037】
図4に示すように、表示装置1は、さらに第1電極22、第2電極23、第3電極24、第4電極25、平坦化膜27及び無機膜5を有する。第1電極22及び第2電極23は、基板21と発光素子3との間に設けられる。第1電極22は、発光素子3のカソードと接続されるカソード電極である。第1電極22は、第6絶縁膜96の上に設けられ、周辺領域GAに設けられたカソード配線26に電気的に接続される。
【0038】
第2電極23は、発光素子3のアノードと接続されるアノード電極である。第2電極23は、第6絶縁膜96の上に設けられ、コンタクトホールH7を介して第3電極24と接続される。第3電極24は、第5絶縁膜95の上に設けられ、コンタクトホールH2を介してドレイン電極63と接続される。このように、第2電極23及び第3電極24は、発光素子3のアノードと、第1トランジスタTr1のドレイン電極63とを接続する。また、第4電極25は第3電極24と同層に設けられ、コンタクトホールH4を介してソース電極62と接続される。
【0039】
また、第4電極25は、第5絶縁膜95の上で延在して、第3方向Dzにおいて第6絶縁膜96を介して第1電極22と対向する。これにより、第1電極22と第4電極25との間に容量が形成される。第1電極22と第4電極25との間に形成される容量は、画素回路28の保持容量CSとして用いられる。
【0040】
第7絶縁膜97は、第1電極22及び第2電極23の一部を覆って、第6絶縁膜96の上に設けられる。平坦化膜27は、少なくとも発光素子3の側面3aを囲んで、第7絶縁膜97の上に設けられる。平坦化膜27は、表示領域AAから周辺領域GAに亘って第7絶縁膜97の上に設けられている。発光素子3の上面3bは、平坦化膜27から露出して無機膜5と接している。平坦化膜27は、透光性を有する有機絶縁膜である。平坦化膜27は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料が用いられる。
【0041】
無機膜5は、平坦化膜27及び発光素子3を覆って設けられ、平坦化膜27の上面27a及び発光素子3の上面3bと接する。無機膜5は、水分の透過を抑制できる緻密な膜であり、貫通孔や開口が設けられず連続して形成される。無機膜5は、表示領域AAから周辺領域GAに亘って、第7絶縁膜97の上に設けられている。
図4では1つの発光素子3を例示しているが、無機膜5は、表示領域AAの全領域と周辺領域GAの一部に重なって設けられ、複数の画素Pixに設けられた複数の発光素子3の上面3bを覆っている。
【0042】
無機膜5の厚さは、50nm以上であり、より好ましくは、100nm以上である。無機膜5の厚さは、例えば200nm程度である。無機膜5は、透光性を有する無機絶縁膜であり、例えば、窒化シリコン(SiN
x)、酸化アルミニウム(Al
xO
y)又は窒酸化アルミニウム(Al
xO
yN
z)の1つ以上を主成分とする無機材料が用いられる。無機膜5は、非金属材料から構成される。無機膜5は、単層膜でもよく、積層膜であってもよい。
【0043】
なお、表示装置1において、アレイ基板2は、基板21から第1電極22及び第2電極23までの各層を含む。アレイ基板2には、平坦化膜27、発光素子3、無機膜5は含まれない。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置1は、基板21と、基板21に配列され、異なる色を表示する複数の画素Pixと、複数の画素Pixの各々に設けられる発光素子3(無機発光素子)と、少なくとも発光素子3の側面3aを囲む平坦化膜27と、平坦化膜27及び発光素子3を覆う無機膜5と、を有する。
【0045】
これによれば、表示装置1は、無機膜5を設けることにより、少なくとも平坦化膜27の上面27a及び発光素子3の上面3bから水分が侵入することを抑制できる。表示装置1は、平坦化膜27を通って発光素子3へ水分が侵入することを抑制できる。これにより、表示装置1は、第1電極22、第2電極23等の各種電極、配線等が水分により腐食することを抑制できる。このため、表示装置1は、水分の侵入によって発光素子3の発光効率が低下し、表示特性が低下することを抑制できる。
【0046】
また、表示装置1は、基板21の一方の面側に設けられるトランジスタ(第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2等)と、トランジスタを覆う絶縁層(第5絶縁膜95、第6絶縁膜96及び第7絶縁膜97)と、基板21の一方の面側に設けられ、発光素子3のカソードに電気的に接続されるカソード配線26と、を有する。平坦化膜27及び無機膜5は、複数の発光素子3が設けられる表示領域AAから、表示領域AAの外側の周辺領域GAに亘って、絶縁層(第5絶縁膜95、第6絶縁膜96及び第7絶縁膜97)の上側に設けられる。これによれば、無機膜5が表示領域AAから周辺領域GAに亘って設けられるため、表示装置1は、良好に発光素子3への水分の侵入を抑制することができる。
【0047】
また、発光素子3の上面3bは、平坦化膜27から露出して無機膜5と接する。これによれば、発光素子3の上面3bに平坦化膜27が設けられていないため、表示装置1は、発光素子3から出射される光の取り出し効率を高めることができる。
【0048】
(第1実施形態の第1変形例)
図6は、第1実施形態の第1変形例に係る表示装置を示す断面図である。なお、以下の説明において、上述した実施形態で説明した構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0049】
図6に示すように、本変形例の表示装置1Aにおいて、第5絶縁膜95にはコンタクトホールH1が設けられている。カソード配線26の上面26aは、コンタクトホールH1の底部に露出する。平坦化膜27は、第7絶縁膜97の上に設けられるとともに、コンタクトホールH1の内部において、カソード配線26の一部に重なって設けられる。平坦化膜27の側面27bはカソード配線26に接する。平坦化膜27の側面27bとカソード配線26とが接する部分よりも基板21の外周側において、カソード配線26の上面26aは平坦化膜27から露出する。つまり、平坦化膜27の側面27bとカソード配線26とが接する部分よりも基板21の外周側には、平坦化膜27は設けられていない。
【0050】
無機膜5は、平坦化膜27の上面27a及び側面27bを覆って連続して設けられている。無機膜5は、コンタクトホールH1の底部でカソード配線26の上面26aと接する。また、無機膜5は、コンタクトホールH1の側面で第6絶縁膜96と接し、コンタクトホールH1よりも基板21の外周側に延在して第7絶縁膜97の上に設けられる。
【0051】
本変形例によれば、無機膜5は平坦化膜27の上面27a及び側面27bを覆って、コンタクトホールH1の底部でカソード配線26の上面26aと接する。このような構成により、平坦化膜27の側面27bが露出していないため、無機膜5は、平坦化膜27の上面27a及び側面27bから水分が侵入することを抑制できる。したがって、表示装置1Aは、平坦化膜27を通って発光素子3へ水分が侵入することを抑制できる。
【0052】
(第1実施形態の第2変形例)
図7は、第1実施形態の第2変形例に係る表示装置を示す断面図である。
図7に示すように、本変形例の表示装置1Bにおいて、平坦化膜27は、発光素子3の側面3a及び上面3bを覆って設けられている。無機膜5は、平坦化膜27の上面27aに設けられて発光素子3を覆う。第3方向Dzにおいて、発光素子3の上面3bと無機膜5との間に平坦化膜27が設けられる。
【0053】
本変形例では、平坦化膜27の厚さは、発光素子3の高さよりも大きい。このため、表示装置1Bは、平坦化膜27の厚さを発光素子3の高さに一致させる必要がなく、発光素子3の高さによる平坦化膜27の制約が少ない。このため、表示装置1Bは、平坦化膜27を形成する際の製造コストを低減できる。例えば、第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bごとに異なる高さを有するLEDチップを用いた場合でも、容易に平坦化膜27を形成できる。
【0054】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
図9は、第2実施形態に係る発光素子を示す断面図である。本実施形態の表示装置1Cにおいて、発光素子3Aは、アノードが下側に設けられカソードが上側に設けられた、いわゆるフェースアップ構造である。
【0055】
図9に示すように、発光素子3Aは、複数の部分発光素子3sと、複数の部分発光素子3sを覆う保護層39と、p型電極37と、n型電極38と、を有する。複数の部分発光素子3sは、p型電極37とn型電極38との間に、それぞれ柱状に形成される。複数の部分発光素子3sは、n型クラッド層33と、活性層34と、p型クラッド層35と、を有する。n型電極38は、n型クラッド層33に電気的に接続される。p型電極37はp型クラッド層35に電気的に接続される。p型電極37の上に、p型クラッド層35、活性層34、n型クラッド層33の順に積層される。
【0056】
n型電極38は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性の導電性材料である。n型電極38は、発光素子3Aのカソードであり、第1電極22に接続される。また、p型電極37は、発光素子3Aのアノードであり、Pt層37aと、メッキにより形成された厚膜Au層37bと、を有する。厚膜Au層37bは、第2電極23の載置面23aと接続される。
【0057】
保護層39は、例えばSOG(Spin on Glass)である。保護層39の側面が、発光素子3Aの側面3aとなる。平坦化膜27は、保護層39の側面を囲んで設けられる。
【0058】
図8に示すように、第2電極23は、基板21と発光素子3Aとの間に設けられる。具体的には、第2電極23は、第6絶縁膜96の上に設けられ、コンタクトホールH7を介して第3電極24と接続される。また、第4電極25は、第5絶縁膜95の上で延在して、第3方向Dzにおいて第6絶縁膜96を介して第2電極23と対向する。これにより、第2電極23と第4電極25との間に容量が形成される。
【0059】
第1電極22は、発光素子3Aのカソードと接続されて、発光素子3A及び平坦化膜27の上に設けられる。第1電極22は、表示領域AAから周辺領域GAに亘って設けられており、平坦化膜27の上面27a及び側面27bに沿って設けられている。平坦化膜27には、コンタクトホールH1と重なる位置でコンタクトホールH1aが設けられている。カソード配線26の上面26aは、コンタクトホールH1、H1aの底部で平坦化膜27から露出する。第1電極22は、コンタクトホールH1、H1aの底部でカソード配線26の上面26aと接する。本実施形態において、第1電極22は、例えばITO等の透光性を有する導電材料である。
【0060】
無機膜5は、第1電極22の上に設けられる。すなわち、無機膜5は、第1電極22の上面22a及び側面22bを覆っている。言い換えると、無機膜5と平坦化膜27の上面27aとの間に第1電極22が設けられ、且つ、無機膜5と平坦化膜27の側面27bとの間に第1電極22が設けられる。また、コンタクトホールH1aの底部においてもカソード配線26の上に第1電極22、無機膜5の順に重なって設けられる。
【0061】
無機膜5は、例えばITO等の第1電極22よりも吸湿性が小さく、水分の透過を抑制できる。したがって、
図8に示すように、平坦化膜27の上に第1電極22が設けられている構成であっても、表示装置1Cは、第1電極22及び平坦化膜27を通って発光素子3へ水分が侵入することを抑制できる。
【0062】
(第2実施形態の変形例)
図10は、第2実施形態の変形例に係る表示装置を示す断面図である。本変形例の表示装置1Dにおいて、第1電極22は、コンタクトホールH1の底部でカソード配線26の上面26aと接しており、第1電極22の端部22cは、カソード配線26の上面26aと重なる位置に設けられる。すなわち、第1電極22の端部22cと、カソード配線26とが接する部分よりも基板21の外周側において、カソード配線26の上面26aは第1電極22から露出する。
【0063】
無機膜5は、第1電極22の上面22a及び側面22bを覆う。さらに、無機膜5は、コンタクトホールH1の底部で、第1電極22の端部22cを覆うとともにカソード配線26の上面26aと接する。
【0064】
このような構成により、第1電極22とカソード配線26とが接する部分、及び、第1電極22と平坦化膜27とが接する部分が、無機膜5によって覆われており、外部に露出しない。このため、表示装置1Dは、外部から水分が侵入する経路を無機膜5が塞ぐことで、第1電極22及び平坦化膜27を通って発光素子3へ水分が侵入することを抑制できる。
【0065】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態に係る表示装置を示す断面図である。本実施形態の表示装置1Eにおいて、平坦化膜27は、第1平坦化膜27Aと、第1平坦化膜27Aの上に設けられる第2平坦化膜27Bと、を有する。第1平坦化膜27A及び第2平坦化膜27Bは、発光素子3の側面3aを囲んで設けられる。また、発光素子3の上面3bは、第2平坦化膜27Bの上面27Baから露出する。
【0066】
第1平坦化膜27Aは、表示領域AAから周辺領域GAに亘って設けられ、第1平坦化膜27Aの側面27Abは、コンタクトホールH1の内部に設けられる。第2平坦化膜27Bの側面27Bbは、第1平坦化膜27Aの上面27Aaと重なる位置に設けられる。言い換えると、第2平坦化膜27Bの側面27Bbは、第1平坦化膜27Aの側面27Abよりも表示領域AAに近い位置に設けられる。このような構成により、第2平坦化膜27Bの上面27Baと、側面27Bbと、第1平坦化膜27Aのうち、第2平坦化膜27Bが設けられていない部分の上面27Aaとで段差が形成される。また、第1平坦化膜27Aの上面27Aaと、側面27Abと、カソード配線26の上面26aとで段差が形成される。
【0067】
第1電極22は、第1平坦化膜27A、第2平坦化膜27B及び発光素子3を覆って設けられる。具体的には、第1電極22は、第2平坦化膜27Bの上面27Baと、側面27Bbと、第1平坦化膜27Aのうち、第2平坦化膜27Bが設けられていない部分の上面27Aaと、側面27Abを覆っている。このように、第1電極22は、第1平坦化膜27Aと第2平坦化膜27Bとで形成される段差に沿って設けられる。
【0068】
無機膜5は、第1電極22の第1上面22a1、第1側面22b1、第2上面22a2及び第2側面22b2を覆う。第1上面22a1は、第2平坦化膜27Bの上面27Baに沿った部分である。第1側面22b1は、第2平坦化膜27Bの側面27Bbに沿った部分である。第2上面22a2は、第1平坦化膜27Aのうち、第2平坦化膜27Bが設けられていない部分の上面27Aaに沿った部分である。第2側面22b2は、第1平坦化膜27Aの側面27Abに沿った部分である。さらに、無機膜5は、コンタクトホールH1の底部で、第1電極22の端部22cを覆ってカソード配線26の上面26aと接する。
【0069】
本実施形態の表示装置1Eは、第1平坦化膜27Aと第2平坦化膜27Bとを有しており、複数の段差が形成される。このため、表示装置1Eは、発光素子3Aの高さに応じた1つの段差が形成される場合に比べて、複数の段差のそれぞれの高さを小さくすることができる。これにより、発光素子3Aの高さが、例えば5μm以上10μm以下程度の場合であっても、第1電極22及び無機膜5のクラックの発生や段切れを抑制することができる。
【0070】
なお、平坦化膜27は、3層以上積層されていてもよい。また、本実施形態の構成は、第1実施形態の表示装置1、1A、1Bにも適用可能である。この場合、無機膜5は、第2平坦化膜27Bの上面27Baと、側面27Bbと、第1平坦化膜27Aのうち、第2平坦化膜27Bが設けられていない部分の上面27Aaと、側面27Abに接して設けられる。また、本実施形態の構成は、第4実施形態の表示装置1F、1Gにも適用可能である。
【0071】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態に係る表示装置の、複数の画素を示す平面図である。
図13は、第4実施形態に係る表示装置を示す断面図である。なお、
図12では、図面を見やすくするために、無機膜5を省略して示す。
【0072】
図12に示すように、本実施形態の表示装置1Fにおいて、第2発光素子3Gを有する画素Pixと第3発光素子3Bを有する画素Pixとが、第2方向Dyに隣り合って配置される。そして、この第2方向Dyに隣り合う2つの画素Pixが、第1発光素子3Rを有する1つの画素Pixに対して第1方向Dxに隣り合って配置される。この場合、第1発光素子3Rと第2発光素子3Gとは、第1方向Dxに隣り合って配置され、第2発光素子3Gと第3発光素子3Bとは、第2方向Dyに隣り合って配置される。なお、第1発光素子3Rは、第3発光素子3Bと第1方向Dxに隣り合って配置されていてもよい。
【0073】
複数の平坦化膜27は、複数の発光素子3ごとに設けられている。複数の平坦化膜27は、第1発光素子3Rの側面3a、第2発光素子3Gの側面3a及び第3発光素子3Bの側面3aをそれぞれ囲んでいる。第1発光素子3Rを囲む平坦化膜27は、第2発光素子3Gを囲む平坦化膜27と、第1方向Dxに離隔している。第3発光素子3Bを囲む平坦化膜27は、第2発光素子3Gを囲む平坦化膜27と、第2方向Dyに離隔している。第1発光素子3Rを囲む平坦化膜27は、第3発光素子3Bを囲む平坦化膜27と、第1方向Dx及び第2方向Dyに離隔している。平坦化膜27は、例えばインクジェット印刷等により塗布形成することができる。
【0074】
平面視において、平坦化膜27の第1方向Dxでの幅W1は、発光素子3の第1方向Dxでの幅W3よりも大きい。平坦化膜27の第2方向Dyでの幅W2は、発光素子3の第2方向Dyでの幅W4よりも大きい。
【0075】
図13に示すように、本実施形態の発光素子3は、フェースダウン構造である。平坦化膜27は発光素子3の側面3aを囲んで、第7絶縁層97の一部に重なって設けられている。発光素子3の上面3bは平坦化膜27から露出する。無機膜5は、平坦化膜27の上面27a、側面27b及び発光素子3の上面3bを覆うとともに、平坦化膜27から露出する第7絶縁膜97の上に設けられる。無機膜5は、平坦化膜27の側面27bの周囲を囲むように設けられる。また、無機膜5は、表示領域AAから周辺領域GAまで延在する。無機膜5は、
図12に示す複数の発光素子3及び複数の平坦化膜27の間にも設けられる。
【0076】
本実施形態の表示装置1Fは、複数の平坦化膜27が複数の発光素子3ごとに設けられている。このため、発光素子3が設けられていない領域での、光の透過率が向上する。表示装置1Fは、表示装置自体が透光性を有し、画面の向こう側が透けて見える態様で用いられる、いわゆる透明ディスプレイに適用できる。
【0077】
なお、
図12に示す画素Pixの配列はあくまで一例であり、
図2に示す画素Pixの配列であっても本実施形態を適用できる。
【0078】
(第4実施形態の変形例)
図14は、第4実施形態の変形例に係る表示装置の、複数の画素を示す平面図である。
図15は、第4実施形態の変形例に係る表示装置を示す断面図である。
【0079】
本変形例の表示装置1Gにおいて、発光素子3は、フェースアップ構造である。
図14及び
図15に示すように、第1電極22は、平坦化膜27の上面27a、側面27b及び発光素子3の上面3bを覆って設けられる。
図14に示すように、複数の第1電極22は、複数の発光素子3ごとに設けられ、それぞれ、発光素子3及び平坦化膜27の上に設けられる。第1電極22は、平坦化膜27の上面27aの全体を覆って設けられる。ただし、第1電極22は、平坦化膜27の上面27aの一部に設けられていてもよく、側面27bの一部に設けられていてもよい。
【0080】
図15に示すように、第1電極22は、発光素子3のカソードにそれぞれ接続されるともに、第7絶縁膜97の上に設けられたカソード接続配線LCに接続される。カソード接続配線LCは、表示領域AAから周辺領域GAまで延在し、コンタクトホールH1の底部で露出するカソード配線26に接続される。
【0081】
無機膜5は、複数の第1電極22の上面及び側面を覆って設けられる。第1電極22の側面の周囲を囲むように設けられる。さらに、無機膜5は、カソード接続配線LCを覆って第7絶縁膜97の上に設けられる。無機膜5は、表示領域AAから周辺領域GAに亘って設けられ、コンタクトホールH1の底部で、カソード接続配線LCの端部LCaを覆ってカソード配線26と接する。
【0082】
このような構成により、カソード接続配線LCとカソード配線26とが接する部分、及び、第1電極22と平坦化膜27とが接する部分が、無機膜5によって覆われており、外部に露出しない。このため、表示装置1Gは、外部から水分が侵入する経路を無機膜5が塞ぐことで、発光素子3へ水分が侵入することを抑制できる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。