(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(相対位置情報のみを送信する例)
2.第2の実施の形態(相対位置情報のみを送信し、領域を越えたか否かを判断する例)
【0021】
<1.第1の実施の形態>
[通信システムの構成例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100の一構成例を示す全体図である。この通信システムは、測位端末110およびユーザ端末120を備える。この通信システムは、例えば、子供、老人やペットなどを、保護者、介護者や飼い主が見守るために用いられる。
【0022】
測位端末110は、測位端末110自身の位置を測位するものである。測位端末110としては、例えば、ボタン電池で動作するくらいに小型のGPS(Global Positioning System)受信機などのモバイル機器が想定される。測位端末110は、複数のGNSS衛星500から電波を受信し、その電波に基づいて測位情報を生成する。そして、測位端末110は、測位情報の一部を基地局510を介してユーザ端末120に無線で送信する。送信する情報の詳細については後述する。あるいは、測位端末110は、基地局510を介さずに、測位情報の一部を直接、ユーザ端末120に送信する。なお、測位端末110は、特許請求の範囲に記載の送信装置の一例である。なお、GPS受信機の他、スマートフォン、タブレット端末やノート型パーソナルコンピュータなどを測位端末110として用いてもよい。
【0023】
ユーザ端末120は、測位端末110の位置を表示するものである。ユーザ端末120としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末やノート型パーソナルコンピュータなどのモバイル機器が想定される。ユーザ端末120は、測位端末110から受信した情報に基づいて、その測位端末110の位置を表示する。例えば、ユーザ端末120は、地図を表示し、その地図において測位端末110の位置を示す所定のマークを表示する。
【0024】
測位端末110は、子供などにより携帯され、ユーザ端末120は、保護者などにより携帯される。ユーザ端末120が、測位端末110の位置を表示することにより、保護者等は、子供等の現在地を把握することができる。これらの測位端末110およびユーザ端末120は、通常、バッテリにより動作するため、消費電力を低減する観点から、通信量の削減が要求される。
【0025】
なお、通信システム100に、測位端末110、ユーザ端末120を1つずつ設けているが、この構成に限定されない。複数人の子供等を見守る際には、複数の測位端末110を設けてもよいし、複数の大人等が位置を確認したい際には、複数のユーザ端末120を設けてもよい。この場合において送信側と受信側との対応関係は、1対1に限定されない。例えば、複数の子供等を1人の保護者等が見守る際には、複数の測位端末110に、1つのユーザ端末120が対応付けられ、それらの測位端末110は、ユーザ端末120に相対位置情報を送信する。また、1つの測位端末110が複数のユーザ端末120に相対位置情報を送信してもよい。
【0026】
[測位端末の構成例]
図2は、本技術の第1の実施の形態における測位端末110の一構成例を示すブロック図である。この測位端末110は、制御部111、GNSS受信部112、データ処理部113および送信部114を備える。
【0027】
制御部111は、測位端末110全体を制御するものである。例えば、一定時間ごと、または、ユーザにより所定の操作が行われた場合に、制御部111は、GNSS受信部112、データ処理部113および送信部114を制御して動作を開始させる。
【0028】
GNSS受信部112は、GNSS衛星から電波を受信するものである。このGNSS受信部112は、受信した電波に重畳された受信情報をデータ処理部113に供給する。この受信情報は、例えば、GNSS衛星の3次元座標や送信時刻を含む。
【0029】
データ処理部113は、受信情報を処理して測位端末110の位置を測定するものである。このデータ処理部113は、複数のGNSS衛星のそれぞれの3次元座標および送信時刻から、測位端末110の3次元座標を求める。そしてデータ処理部113は、求めた3次元座標を、緯度および経度からなる位置情報に変換し、その位置情報や受信時刻を含む測位情報を生成する。そして、データ処理部113は、測位情報の一部を抽出して送信部114に供給する。なお、データ処理部113は、特許請求の範囲に記載の位置情報取得部の一例である。
【0030】
送信部114は、データ処理部113により抽出された情報をユーザ端末120に無線送信するものである。
【0031】
図3は、本技術の第1の実施の形態における測位情報のフォーマットの一例を示す図である。NMEA(National Marine Electronics Association)0183の規格を用いる場合、まず、メッセージの開始文字である「$」が送信される。次に、発信者を識別するトーカID(IDentifier)が送信される。GPSモジュールであれば、トーカIDに「GP」が設定され、GLONASS(Global Navigation Satellite System)モジュールであれば、「GL」が設定される。次いで、メッセージの型が送信される。ここでは、CGAメッセージを例示しているため、メッセージの型として「CGA」が設定される。
【0032】
そして、UTC(Universal Time, Coordinated)形式で測位時刻が送信される。次に、緯度が送信される。緯度は、度、分および秒の単位で表される。例えば、36度45分53秒であれば、緯度として「3645.5300」が送信される。次いで、緯度の方位が送信される。方位が北であれば「N」が送信され、南であれば、「S」が送信される。
【0033】
次に、経度が送信される。経度は、度、分および秒の単位で表される。例えば、137度9分52.26秒であれば、緯度として「13709.5226」が送信される。次いで、経度の方位が送信される。方位が東であれば「E」が送信され、西であれば、「W」が送信される。
【0034】
上述の緯度と、緯度の方位と、経度と、経度の方位とにより、測位端末110の地理上の位置が特定される。これらの緯度、経度、および、それらの方位からなる情報を以下、「位置情報」と称する。位置情報は、全てがユーザ端末120へ送信されず、一部のみが送信される。位置情報以外の情報(測位時刻など)は、必要に応じて適宜、送信される。
【0035】
続いて、測位の方法が送信される。単独測位であれば、「1」が送信され、ディファレンシャル測位であれば「2」が送信される。そして、使用衛星数、水平精度指標、アンテナの高さ、その高さの単位が順に送信される。次いで、補正データが送信されてから、使用されるまでの秒数が送信される。次に、補正データ送信局のID(IDentifier)が送信され、最後にチェックサムが送信される。
【0036】
なお、測位端末110は、NMEA0183の規格の測位情報を生成しているが、他の規格の測位情報を生成してもよい。
【0037】
図4は、本技術の第1の実施の形態における測位情報の一例を示す図である。測位情報は、送信順に、開始文字、トーカID、メッセージの型、時刻、および、位置情報などを含む。
【0038】
図5は、本技術の第1の実施の形態における位置情報のデータ構造の一例を示す図である。同図におけるaは、位置情報が含む項目を送信順に並べたものである。位置情報は、送信順に、緯度と、緯度の方位と、経度と、経度の方位とを含む。ここで、緯度および経度は、度、分および秒で表され、度が最初に記載され、次に分および秒が記載される。
【0039】
ここで、緯度の「度」の値をx(xは整数)とし、経度の「度」の値をy(yは整数)とすると、緯度および経度のそれぞれの「度」の値と方位とは、xおよびx+1の緯度線と、yおよびy+1の経度線とに囲まれた矩形の領域を示す。したがって、緯度および経度のそれぞれの「度」と方位とを示す情報を以下、「領域位置情報」と称する。
【0040】
また、緯度および経度のそれぞれの「分」および「秒」の値は、領域位置情報の示す領域内において、「分」および「秒」がいずれも「0」の基準点からの相対的な位置を示す。したがって、緯度および経度のそれぞれの「分」および「秒」を示す情報を以下、「相対位置情報」と称する。
【0041】
上述したように、位置情報は、領域位置情報と相対位置情報とを含む。このため、
図5におけるbのように、位置情報のデータ構造を表すことができる。
【0042】
図6は、本技術の第1の実施の形態における領域位置情報の示す領域と相対位置情報の示す相対位置との一例を示す図である。地球の地表平面は、「度」の単位の緯度線および経度線により複数の領域に区分される。緯度および経度の1度は、約111キロメートル(km)に換算することができるため、区分された領域のそれぞれは、約111キロメートル(km)四方の矩形の領域である。これらの領域のうち特定の領域を示す位置情報が登録位置情報としてユーザ端末120に予め登録される。登録される特定の領域を以下、「登録領域」と称する。なお、地表は球面であるため、緯度線および経度線は、厳密には直線で無く曲線となるが、同図においては記載の便宜上、緯度線および経度線を直線で表している。
【0043】
ここで、緯度は、0度から90度までであり、経度は、0度から180度までである。このため、緯度の「度」は、7ビット以上で表すことができ、経度の「度」は8ビット以上で表すことができる。緯度の「度」を7ビットで表す場合、緯度情報のビット列の上位7ビットが領域位置情報に該当し、残りの下位ビットが相対位置情報に該当する。
【0044】
例えば、位置情報が、北緯35度44分77.249秒、東経139度23分38.761秒の座標を示すものとする。この位置情報のうち、北緯35度および東経139度を示す上位のビット列が領域位置情報に該当し、44分77.249秒の緯度と、23分38.761秒の経度との座標を示す下位のビット列が相対位置情報に該当する。この領域位置情報は、北緯35度00分00秒から北緯36度00分00秒の直前までの範囲の緯度と、東経139度00分00秒から東経140度00分00秒の直前までの範囲の経度とにより特定される領域A1を示す。
【0045】
また、相対位置情報は、領域A1において、北緯35度00分00秒、東経139度00分00秒の基準点521からの緯度が44分77.249秒であり、その基準点521からの経度が23分38.761秒の座標522を示す。
【0046】
また、測位端末110を携帯する子供等が領域A1内に居住し、その領域外へは出歩かないものと仮定する。この場合において、受信側の機器(ユーザ端末120)には領域A1を示す領域位置情報が登録位置情報として予め登録され、送信側の機器(測位端末110)は、位置情報のうち相対位置情報のみを送信する。測位端末110が領域A1の外へ出ないのであれば、受信側は、その領域A1を示す登録位置情報と、受信した相対位置情報とから、送信側が取得した位置情報を推定することができる。
【0047】
このように測位端末110が、位置情報のうち相対位置情報のみを送信することにより、位置情報全体を送信する場合と比較して、通信量を削減することができる。また、測位端末110およびユーザ端末120は、通常、バッテリで動作するため、通信量の削減により消費電力を節約して動作時間を長くすることができる。また、通信量が少ないと、受信に要する時間を短くすることができるため、ユーザ端末120が、受信を開始してから、測位端末110の位置を表示するまでの時間を短くすることができる。
【0048】
なお、通信システム100は、1度の単位の経度線および緯度線により地表を複数の領域に区分しているが、区分する緯度線および経度線の単位は1度に限定されない。例えば、1分の単位の経度線および緯度線により区分してもよいし、1分や1度でなく、2度や30分の単位で区分してもよい。領域を区分する単位、言い換えれば、上位または下位のビット列の桁数は、測位端末110やユーザ端末120のアプリケーションの実行などにより変更することができる。上位または下位のビット列の桁数を可変とする場合、上位ビットの桁数を大きくし過ぎると、通信量が増大してしまう。このため、アプリケーションにより、上位ビット列の最下位の桁を固定とし、それ以下を可変としてもよい。
【0049】
また、測位端末110は、相対位置情報全体を送信しているが、測位精度があまり要求されない場合には、その相対位置情報の一部のみを送信してもよい。例えば、緯度および経度の0.1秒は、約1.11メートル(m)である。この分解能は、一般的な見守り用途に適用するには十分である。このため、例えば、測位端末110が、相対位置情報のうち0.1秒の桁までを送信し、0.01秒の最下位桁を送信しない構成としてもよい。この場合、ユーザ端末120において送信されない最下位の桁には、固定値(例えば、「0」)が設定される。これにより、測位端末110が送信するパケットのペイロードを、相対位置情報全てを送信する場合よりもさらに削減することができる。
【0050】
[ユーザ端末の構成例]
図7は、本技術の第1の実施の形態におけるユーザ端末120の一構成例を示すブロック図である。このユーザ端末120は、制御部121、受信部122、データ処理部123、表示部124および記憶部125を備える。
【0051】
制御部121は、ユーザ端末120全体を制御するものである。例えば、測位端末110の位置を表示させるための操作が行われた場合に、制御部121は、受信部122、データ処理部123および表示部124を制御して動作を開始させる。
【0052】
受信部122は、測位端末110から無線送信された相対位置情報を受信するものである。この受信部122は、受信した相対位置情報をデータ処理部123に供給する。なお、相対位置情報に加えて、領域位置情報以外の情報(測位時刻など)が送信される際において、受信部122は、それらも受信してデータ処理部123に供給する。
【0053】
記憶部125は、登録位置情報を記憶するものである。例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性のメモリが、記憶部125として用いられる。登録位置情報は、相対位置情報の受信前に予め記憶部125に保持される。例えば、ユーザが所定の住所を入力すると、データ処理部123は、その住所を緯度および経度からなる座標に変換し、その緯度および経度の「度」および方位を示す情報を登録位置情報として記憶部125に記憶(言い換えれば、登録)させる。あるいは、ユーザが住所を入力する代わりに、緯度および経度の「度」および方位を直接入力する構成であってもよい。
【0054】
データ処理部123は、相対位置情報と登録位置情報とから、送信側の位置情報を推定するものである。このデータ処理部123は、受信部122が相対位置情報を受信すると、記憶部125から登録位置情報を読み出し、登録位置情報と相対位置情報とを合成することにより、位置情報を推定する。そして、データ処理部123は、その位置情報を表示部124に供給する。なお、データ処理部123は、特許請求の範囲に記載の推測部の一例である。
【0055】
表示部124は、位置情報の示す測位端末110の位置を表示するものである。例えば、液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイが表示部124として用いられる。この表示部124は、例えば、地図を表示し、その地図において測位端末110の位置を示す所定のマークを表示する。なお、表示部124は、測位端末110の緯度および経度の座標を文字や数字で表示してもよいし、その座標を住所に変換して表示してもよい。
【0056】
図8は、本技術の第1の実施の形態におけるデータ処理を説明するための図である。測位端末110は、自身の経度および緯度を示す位置情報R1を取得する。この経度や緯度を示すビット列において、「度」に対応するビット列は、「分」および「秒」に対応するビット列よりも上位に位置する。このため、「度」に対応する上位のビット列(すなわち、方位を除く領域位置情報)を以下、「MUB(Measured Upper Bits)」と称する。また、「分」および「秒」に対応する下位のビット列(すなわち、相対位置情報)を「MLB(Measured Lower Bits)」と称する。測位端末110は、位置情報からMLB(相対位置情報)を抽出してユーザ端末120に送信する。
【0057】
ユーザ端末120内の記憶部125には、緯度および経度の「度」および方位を示すビット列が登録位置情報として予め登録される。登録位置情報のうち、「度」を示すビット列を以下、「RUB(Registered Upper Bits)」と称する。ここで、記憶部125には、送信側の測位端末110を携帯するユーザ(子供や老人)が日常的に移動する領域を示す登録位置情報が記憶される。
【0058】
ユーザ端末120は、相対位置情報を受信すると、登録位置情報を読み出して、相対位置情報と合成し、位置情報R1を生成する。登録された領域は、前述したように111キロメートル(km)四方もの広い領域である。したがって、通常は測定されたMUBが登録されたRUBと一致し、受信側のユーザ端末120は、送信側の測位端末110が取得した位置情報と同一の位置情報を推測することができる。なお、通信システムを見守りに用いる場合には、測位端末110が登録領域の境界を越えることも想定される。
【0059】
[通信システムの動作例]
図9は、本技術の第1の実施の形態における送信処理の一例を示すフローチャートである。この送信処理は、例えば、電源が投入されたときに測位端末110により開始される。測位端末110は、現在時刻が、測位すべき時刻であるか否かを判断する(ステップS911)。
【0060】
測位すべき時刻である場合(ステップS911:Yes)、測位端末110は、GNSS衛星からの電波を受信し、測位情報を取得する(ステップS912)。そして、測位端末110は、測位情報内の位置情報から相対位置情報を抽出し(ステップS913)、ユーザ端末120へ送信する(ステップS914)。
【0061】
一方、測位すべき時刻でない場合(ステップS911:No)、または、ステップS914の後に測位端末110は、ステップS911以降を繰り返し実行する。
【0062】
図10は、本技術の第1の実施の形態における受信処理の一例を示すフローチャートである。この受信処理は、例えば、位置情報を表示するための所定のアプリケーションが実行されたときにユーザ端末120により開始される。ユーザ端末120は、相対位置情報を受信したか否かを判断する(ステップS981)。相対位置情報を受信した場合に(ステップS981:Yes)、ユーザ端末120は、登録位置情報を記憶部125から読み出す(ステップS982)。そして、ユーザ端末120は、登録位置情報と相対位置情報とを合成して位置情報を取得し(ステップS983)、その位置情報を表示する(ステップS984)。
【0063】
一方、相対位置情報を受信していない場合(ステップS981:No)、または、ステップS984の後にユーザ端末120は、ステップS981以降を繰り返し実行する。
【0064】
上述のように、測位端末110が位置情報の一部(相対位置情報)を送信することにより、位置情報全体を送信する場合よりも通信量を削減することができる。例えば、10進数表記で「度」が3桁、「分」が2桁、秒が「4桁」、方位が1桁の緯度および経度が測定されるものとする。これらの10桁のうち上位3桁および方位を領域位置情報として予め受信側に登録しておき、最下位桁を固定とする場合、測位端末110は、残りの5桁のみを送信すればよい。これにより、位置情報全体を送信する場合と比較して、送信するパケットのペイロードを半分程度にすることができる。ただし、トレイニングビット等、ペイロード以外の送信データもあるため、送信に要する電力が半分になるとは限らない。
【0065】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、受信側の記憶部125に登録位置情報を登録しておき、送信側は、位置情報のうち相対位置情報のみを送信するため、位置情報全体を送信する場合よりも通信量を削減することができる。
【0066】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、徒歩などの移動を想定し、受信側の測位端末110は、約111キロメートル(km)四方の登録領域外へ出ないものと想定していた。しかし、測位端末110を携帯する子供や老人の居所が登録領域の境界付近である場合には、測位端末110が登録領域を出て隣接する領域に移動することも考えられる。この場合であってもユーザ端末120は、登録位置情報の値に「1」を加減算することにより、隣接する領域の位置を取得することができる。この第2の実施の形態の通信システム100は、「1」の加減算により、登録領域に隣接する領域の位置を取得する点において第1の実施の形態と異なる。
【0067】
第2の実施の形態のユーザ端末120は、受信した相対位置情報に基づいて、測位端末110が登録領域の境界を越えたか否かを判断し、「1」の加減算により、登録領域に隣接する領域の位置を取得する。
【0068】
なお、登録領域外に測位端末110が位置することがあるため、ユーザ端末120は、地図上の登録領域を他の領域と区別することができるように識別表示してもよい。
【0069】
図11は、本技術の第2の実施の形態における登録位置情報とガードバンドとを説明するための図である。登録位置情報から方位を除いたRUBにおいて、最下位のビットであるULSB(Upper Least Significant Bit)は、緯度方向または経度方向における1度の範囲を示す。例えば、RUBが35度を示す場合、そのRUBに「1」を加算すると、加算後の値は36度を示す。また、例えば、RUBが35度を示す場合、そのRUBから「1」を減算すると、減算後の値は34度を示す。
【0070】
ここで、登録領域の内外には緩衝領域が設けられる。この緩衝領域に対応するビット列を以下、GB(Guard Band)と称する。このGBは、測位端末110が登録領域の境界に近づいたか否かをユーザ端末120が判断するために用いられる。
【0071】
図12は、本技術の第2の実施の形態における経度の演算について説明するための図である。同図におけるaは、経度について演算を実行した場合について説明するための図である。東経139度00分00秒から東経140度00分00秒の直前までの領域をA1とし、この領域の位置情報が登録されているものとする。
【0072】
ここで、測位端末110が、領域A1内の座標522から領域A1の隣の領域A4内の座標523に移動したものとする。また、一定の測位周期が経過するたびに測位端末110により位置情報が測位され、相対位置情報が送信されるものとする。この場合にユーザ端末120は、相対位置情報の変化の程度に基づいて、測位端末110が境界を越えたか否かを判断する。例えば、領域A1内の経度が59分の座標522から、隣の領域A4内の経度が1分の座標523に測位端末110が移動した際に測位端末110は、59分を送信してから一定の測位周期の経過後に1分を送信する。その測位周期が短時間(例えば、60秒など)である場合、同じ領域内の59分と1分との間の距離は107キロメートル(km)程度であるため、領域A1内の59分から1分へ測位周期内に測位端末110が移動するのは通常の移動手段では不可能である。このように相対位置情報の変化が大きい場合に、ユーザ端末120は、領域A1の境界を越えて隣の領域A4内に移動したと判断することができる。領域A4の経度は、東経140度であるため、ユーザ端末120は、登録位置情報の経度(RUB)に「1」を加算して139度から140度にする。この演算の実行により、受信側のユーザ端末120は、領域A4の座標523の位置情報を推測することができる。
【0073】
図12におけるbは、RUBを用いた演算を実行しない場合について説明するための図である。同図におけるaと同様に領域A1が登録され、測位端末110が、領域A1内の座標522から領域A1の隣の領域A4内の座標に移動したものとする。RUBに「1」を加算しなかった場合、実際には領域A4に移動しているにもかかわらず、その東経139度の領域A1内の座標524の位置情報が誤って合成されてしまう。これに対して、第2の実施の形態のユーザ端末120は、RUBに「1」を加算するため、同図におけるaに例示したように正確な位置情報を合成することができる。
【0074】
図13は、本技術の第2の実施の形態における0度の子午線および赤道を跨ぐ際の処理について説明するための図である。同図におけるaは、0度の子午線を跨いだ際の処理について説明するための図である。東経1度00分00秒から、0度の子午線の直前までの領域をA1とし、この領域の位置情報が登録されているものとする。
【0075】
ここで、測位端末110が、領域A1内の座標531から、0度の子午線を越えて隣の領域A4内の座標532に移動したものとする。この領域A4の経度は、西経1度00分00秒から子午線までであり、領域A1とは、経度の値が同一で方位のみが異なる。したがって、ユーザ端末120は、経度の方位のみを反転する。180度の子午線についても同様である。
【0076】
図13におけるbは、赤道を跨いだ際の処理について説明するための図である。南緯1度00分00秒から、赤道の直前までの領域をA1とし、この領域の位置情報が登録されているものとする。
【0077】
ここで、測位端末110が、領域A1内の座標531から、赤道を越えて隣の領域A0内の座標533に移動したものとする。この領域A0の緯度は、北緯1度00分00秒から赤道までであり、領域A1とは、緯度の値が同一で方位のみが異なる。したがって、ユーザ端末120は、緯度の方位のみを反転する。
【0078】
図14は、本技術の第2の実施の形態における受信処理の一例を示すフローチャートである。この第2の実施の形態の受信処理は、境界を越えたか否かにより演算を行うための登録位置情報演算処理(ステップS930)をさらに実行する点において第1の実施の形態と異なる。
【0079】
図15は、本技術の第2の実施の形態における登録位置情報演算処理の一例を示すフローチャートである。ユーザ端末120は、緯度について演算するための緯度演算処理を実行し(ステップS940)、経度について演算するための経度演算処理を実行し(ステップS960)、登録位置情報演算処理を終了する。
【0080】
図16は、本技術の第2の実施の形態における緯度演算処理の一例を示すフローチャートである。同図におけるRLB
LA、GB
LA、MLB
LA、ULSB
LA、AUB
LAおよびRUB
LAは、緯度のRLB、GB、MLB、ULSB、AUBおよびRUBであることを示す。まず、ユーザ端末120は、登録位置情報のRLB
LAがガードバンドGB
LAより小さい(すなわち、登録領域が低緯度側に近い)か否かを判断する(ステップS941)。RLB
LAがGB
LAより小さい場合に(ステップS941:Yes)、ユーザ端末120は、測定されたMLB
LAが(ULSB
LA−GB
LA)より大きいか否かにより、測位端末110が低緯度側の境界を越えたか否かを判断する(ステップS942)。
【0081】
MLB
LAが(ULSB
LA−GB
LA)より大きい(すなわち、低緯度側の境界を越えた)場合に(ステップS942:Yes)、ユーザ端末120は、RUB
LAから「1」を減算して、緯度のAUB
LAに設定する(ステップS943)。そして、ユーザ端末120は、AUB
LAが−1であるか否かにより、測位端末110が赤道を越えたか否かを判断する(ステップS944)。
【0082】
AUB
LAが−1である(すなわち、赤道を越えた)場合に(ステップS944:Yes)、ユーザ端末120は、インクリメントによりAUB
LAを修正する(ステップS945)。また、ユーザ端末120は、登録位置情報の緯度の方位を反転する(ステップS946)。
【0083】
AUB
LAが−1でない(すなわち、赤道を越えていない)場合に(ステップS944:No)、または、ステップS946の後に、ユーザ端末120は、緯度演算処理を終了する。
【0084】
また、RLB
LAがGB
LA以上の場合に(ステップS941:No)、ユーザ端末120は、RLB
LAが(ULSB
LA−GB
LA)以上である(すなわち、登録領域が高緯度側に近い)か否かを判断する(ステップS947)。
【0085】
RLB
LAが(ULSB
LA−GB
LA)以上である場合に(ステップS947:Yes)、ユーザ端末120は、MLB
LAがGB
LAより小さいか否かにより、測位端末110が高緯度側の境界を越えたか否かを判断する(ステップS948)。
【0086】
MLB
LAがGB
LAより小さい(すなわち、高緯度側の境界を越えた)場合に(ステップS948:Yes)、ユーザ端末120は、RUB
LAに「1」を加算してAUB
LAに設定する(ステップS949)。
【0087】
RLB
LAが(ULSB
LA−GB
LA)より小さい場合(ステップS947:No)、または、MLB
LAがGB
LA以上の場合(ステップS948:No)、ユーザ端末120は、加減算せずにRUB
LAをそのまま、AUB
LAに設定する(ステップS950)。MLB
LAが(ULSB
LA−GB
LA)以下の場合にも(ステップS942:No)、ステップS950が実行される。ステップS949またはS950の後に、ユーザ端末120は、緯度演算処理を終了する。
【0088】
図17は、本技術の第2の実施の形態における経度演算処理の一例を示すフローチャートである。同図におけるRLB
LO、GB
LO、MLB
LO、ULSB
LO、AUB
LOおよびRUB
LOは、経度のRLB、GB、MLB、ULSB、AUBおよびRUBであることを示す。まず、ユーザ端末120は、登録位置情報のRLB
LOがガードバンドGB
LOより小さい(すなわち、登録領域が0度側に近い)か否かを判断する(ステップS961)。RLB
LOがGB
LOより小さい場合に(ステップS961:Yes)、ユーザ端末120は、測定されたMLB
LOが(ULSB
LO−GB
LO)より大きいか否かにより、測位端末110が0度側の境界を越えたか否かを判断する(ステップS962)。
【0089】
MLB
LOが(ULSB
LO−GB
LO)より大きい(すなわち、0度側の境界を越えた)場合(ステップS962:Yes)、ユーザ端末120は、RUB
LOから「1」を減算してAUB
LOに設定する(ステップS963)。そして、ユーザ端末120は、AUB
LOが−1であるか否かにより、測位端末110が0度の子午線を越えたか否かを判断する(ステップS964)。
【0090】
AUB
LOが−1である(すなわち、0度の子午線を越えた)場合に(ステップS964:Yes)、ユーザ端末120は、インクリメントによりAUB
LOを修正する(ステップS965)。また、ユーザ端末120は、登録位置情報の経度の方位を反転する(ステップS966)。
【0091】
AUB
LOが−1でない(すなわち、0度の子午線を越えていない)場合(ステップS964:No)、または、ステップS966の後に、ユーザ端末120は、経度演算処理を終了する。
【0092】
RLB
LOがGB
LO以上の場合に(ステップS961:No)、ユーザ端末120は、RLB
LOが(ULSB
LO−GB
LO)以上である(すなわち、登録領域が180度側に近い)か否かを判断する(ステップS967)。
【0093】
また、RLB
LOが(ULSB
LO−GB
LO)以上である場合に(ステップS967:Yes)、ユーザ端末120は、MLB
LOがGB
LOより小さいか否かにより、測位端末110が180度側の境界を越えたか否かを判断する(ステップS968)。
【0094】
MLB
LOがGB
LOより小さい(すなわち、180度側の境界を越えた)場合に(ステップS968:Yes)、ユーザ端末120は、RUB
LOに「1」を加算してAUB
LOに設定する(ステップS969)。そして、ユーザ端末120は、AUB
LOが180であるか否かにより、測位端末110が180度の子午線を越えたか否かを判断する(ステップS970)。
【0095】
AUB
LOが180である(すなわち、180度の子午線を越えた)場合に(ステップS970:Yes)、ユーザ端末120は、デクリメントによりAUB
LOを修正する(ステップS971)。また、ユーザ端末120は、登録位置情報の経度の方位を反転する(ステップS972)。
【0096】
AUB
LOが180でない(すなわち、180度の子午線を越えていない)場合(ステップS970:No)、または、ステップS972の後に、ユーザ端末120は、経度演算処理を終了する。
【0097】
RLB
LOが(ULSB
LO−GB
LO)より小さい場合(ステップS967:No)、または、MLB
LOがGB
LO以上の場合(ステップS968:No)、ユーザ端末120は、加減算せずにRUB
LOをそのまま、AUB
LOに設定する(ステップS973)。MLB
LOが(ULSB
LO−GB
LO)以下の場合にも(ステップS962:No)、ステップS973が実行される。ステップS973の後に、ユーザ端末120は、経度演算処理を終了する。
【0098】
なお、ユーザ端末120は、赤道を越えたか否かの判断と、0度や180度の子午線を越えたか否かの判断を行っているが、これらのうち一方のみを実行してもよいし、両方を実行しない構成としてもよい。例えば、0度や180度の子午線が通過する一方で赤道が通過しない国(英国など)や地域のみの利用を想定するのであれば、赤道を越えたか否かの判断が不要となる。赤道が通過する一方で0度や180度の子午線が通過しない国や地域(南米など)では、それらの子午線を越えたか否かの判断が不要となる。赤道と0度や180度の子午線とが通過しない国(日本など)や地域では、両方の判断が不要となる。
【0099】
また、受信側のユーザ端末120が境界を越えたか否かを判断しているが、送信側の測位端末110で、その判断を行ってもよい。ただし、送信側の処理負担が増大するため、境界を越えたか否かの判断は、受信側で行うことが望ましい。
【0100】
図18は、本技術の第2の実施の形態における測位端末110が境界を越えたか否かを判断する際に送信する演算情報のデータ構成の一例を示す図である。この演算情報は、例えば、緯度演算情報、緯度方位反転フラグ、経度演算情報および経度方位反転フラグを含む。送信側の測位端末110は、登録位置情報を予め記憶しておき、測位した位置情報と登録位置情報との比較により、この演算情報を生成して送信する。そして、受信側のユーザ端末120は、その演算情報に基づいて「1」の加減算や方位の反転を行う。
【0101】
緯度演算情報は、緯度に関する演算内容を示す。例えば、登録位置情報の緯度(RUB)に「1」を加算する演算を指示する場合に緯度演算情報に「+1」が設定され、「1」の減算を指示する場合に緯度演算情報に「−1」が設定される。また、経度の値はそのままで、方位のみが反転される場合に緯度演算情報に「0」が設定される。
【0102】
緯度方位反転フラグは、緯度の方位を反転するか否かを指示する情報である。前述したように、測位端末110が赤道を跨いで移動した際に緯度の方位が反転される。
【0103】
経度演算情報は、経度に関する演算内容を示す。例えば、登録位置情報の経度(RUB)に「1」を加算する演算を指示する場合に経度演算情報に「+1」が設定され、「1」の減算を指示する場合に経度演算情報に「−1」が設定される。また、経度の値はそのままで、方位のみが反転される場合に経度演算情報に「0」が設定される。
【0104】
経度方位反転フラグは、経度の方位を反転するか否かを指示する情報である。前述したように、測位端末110が0度や180度の子午線を跨いで移動した際に経度の方位が反転される。
【0105】
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、ユーザ端末120が、登録位置情報の値について加算または減算を行うため、登録領域に隣接した領域に測位端末110が移動した場合であっても、ユーザ端末120は、移動後の位置を推測することができる。
【0106】
[第1の変形例]
上述の第1および第2の実施の形態では、測位端末110は、測位情報の下位ビットを相対位置情報として抽出していたが、その測位情報と登録位置情報との差分を相対位置情報として取得してもよい。この第1の変形例の通信システムは、測位情報と登録位置情報との差分を測位端末110が演算する点において第1および第2の実施の形態と異なる。ただし、この構成では、通信量を削減することができるが、送信側の処理負担が増大する。
【0107】
図19は、本技術の第1の変形例における測位端末110の一構成例を示すブロック図である。この第1の変形例の測位端末110は、記憶部115をさらに備える点において第1の実施の形態と異なる。この記憶部115には、ユーザ端末120に登録された登録位置情報と同一の情報が予め登録される。
【0108】
図20は、本技術の第1の変形例における差分演算について説明するための図である。第1の変形例においては、所定の基準点を示す位置情報が登録位置情報として予め登録される。測位端末110は、その登録位置情報と、測位情報との差分を演算する。この差分は、登録された基準点からの相対位置を示す。例えば、「35度01分01秒」の地点REG1が登録され、「35度02分02秒」の地点M1が測位された場合、それらの差分DIF1として「+1分1秒」が演算される。なお、登録位置の分および秒は、00分00秒であってもよい。また、「35度00分01秒」の地点M2が測位された場合、それらの差分DIF2として「−1分」が演算される。測位端末110は、その差分の情報を相対位置情報として送信する。このように差分情報(相対位置情報)は、符号と絶対値とにより表される。また、この差分情報の有効桁は、見守る対象の移動速度を考慮して設定される。0度や180度の子午線または赤道を跨ぐ場合であっても、符号および絶対値以外に情報を追加する必要はない。一方、ユーザ端末120は、受信した相対位置情報(差分)を登録位置情報に加算して、測位端末110の絶対位置を示す位置情報を取得する。
【0109】
図21は、本技術の第1の変形例におけるデータ処理を説明するための図である。測位端末110の記憶部115には、所定の基準点を示す登録位置情報REG1が予め記憶される。測位端末110は、自身の経度および緯度を示す位置情報M1を取得する。そして、測位端末110は、その位置情報M1と登録位置情報REG1との差分を相対位置情報DIF1として演算して送信する。相対位置情報DIF1は、差分の符号と、差分の絶対値とを含む。
【0110】
ユーザ端末120は、相対位置情報DIF1を受信すると、登録位置情報REG1を読み出して、相対位置情報DIF1に加算し、位置情報M1を生成する。
【0111】
図22は、本技術の第1の変形例における送信処理の一例を示すフローチャートである。この第1の変形例の送信処理は、ステップS913の代わりにステップS915およびS916を実行する点において第2の実施の形態と異なる。
【0112】
測位端末110は、測位情報を取得すると(ステップS912)、登録位置情報を読み出し(ステップS915)、それらの差分を相対位置情報として演算する(ステップ916)。そして、測位端末110は、演算した相対位置情報をユーザ端末120に送信する(ステップS914)。
【0113】
図23は、本技術の第1の変形例における受信処理の一例を示すフローチャートである。この第1の変形例の受信処理は、ステップS983の代わりにS988を実行する点において第1の実施の形態と異なる。
【0114】
ユーザ端末120は、登録位置情報を読み出し(ステップS982)、その登録位置情報に相対位置情報(差分)を加算して位置情報を取得する(ステップS988)。そして、ユーザ端末120は、位置情報を表示する(ステップS984)。
【0115】
このように、本技術の第1の変形例によれば、測位端末110は、測位した位置情報と登録位置情報との差分を相対位置情報として送信するため、差分を求めずに位置情報をそのまま送信する場合よりも通信量を削減することができる。
【0116】
[第2の変形例]
上述の第1および第2の実施の形態では、通信システム100は、緯度および経度を度分秒形式で表していたが、ミリ秒形式など、度分秒形式以外の表記方式で表してもよい。この第2の変形例は、緯度および経度をミリ秒形式で表す点において第1および第2の実施の形態と異なる。
【0117】
図24は、本技術の第2の実施の形態の第2の変形例における180度の子午線および赤道を跨いだ移動経路を示す図である。同図におけるaは、180度の子午線を跨いだ移動経路を示し、同図におけるbは、赤道を跨いだ移動経路を示す。ミリ秒形式では、経度および緯度はミリ秒のみで表される。また、方位は、「+」または「−」の符号により表される。例えば、緯度の「度」をd、「分」をm、「秒」をsとすると、度分秒形式の値は、次の式によりミリ秒形式の値MSに換算することができる。ここで、dおよびmは整数であり、MSおよびsは実数である。
MS=(d×3600+m×60+s)×1000
【0118】
上式により、0度から180度までの経度の範囲は、小数点以下を3桁とすると「0.000」ミリ秒から「648,000.000」ミリ秒までに換算される。この経度の範囲は、例えば、「1,000.000」ミリ秒単位で区分される。10進表記では、上位3桁が領域の位置を示し、残りの下位桁が相対位置を示す。したがって、180度の子午線の直前の領域の境界は、「±647,000.000」ミリ秒になる。ここで、「+」および「−」の符号は、経度の方位を示す。
【0119】
また、緯度についても同様に「1,000」ミリ秒単位で区分される。したがって、
図24におけるbに例示するように、赤道の直前の領域の境界は、「±1,000.000」ミリ秒となる。ここで、「+」および「−」の符号は、緯度の方位を示す。測位端末110は、これらの緯度および経度の下位桁(相対位置情報)のみを送信する。
【0120】
このように、本技術の第2の変形例によれば、測位端末110は、ミリ秒で表した緯度および経度の下位桁を送信するため、上位桁および下位桁の両方を送信する場合よりも通信量を削減することができる。
【0121】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0122】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0123】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0124】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)所定の基準点からの相対位置を示す相対位置情報を取得して送信する送信装置と、
所定の登録位置情報を予め記憶しておき、前記相対位置情報を受信すると当該相対位置情報および前記登録位置情報から位置情報を推測する受信装置と
を具備する通信システム。
(2)前記送信装置は、測定された領域の位置を示す領域位置情報と前記相対位置情報とを含む位置情報から前記相対位置情報を取得し、
前記登録位置情報は、特定の領域の位置を示す位置情報である
前記(1)記載の通信システム。
(3)前記送信装置および前記受信装置の一方は、前記特定の領域の境界を前記送信装置が超えた場合には前記送信装置の位置情報を算出するための所定の演算を実行する
前記(2)記載の通信システム。
(4)前記境界の近傍には所定の緩衝領域が設定され、
前記送信装置および前記受信装置の一方は、前記所定の緩衝領域と前記相対位置情報とに基づいて前記送信装置が前記境界を越えたか否かを判断する
前記(3)記載の通信システム。
(5)前記登録位置情報は、前記特定の領域の経度を含み、
前記送信装置は、当該送信装置が0度の子午線を越えた場合と180度の子午線を越えた場合とにおいて前記経度の方位を反転する
前記(3)記載の通信システム。
(6)前記登録位置情報は、前記特定の領域の緯度を含み、
前記送信装置および前記受信装置の一方は、当該送信装置が赤道を越えた場合には前記緯度の方位を反転する
前記(3)から(5)のいずれかに記載の通信システム。
(7)前記登録位置情報は、前記所定の基準点の位置を示す情報であり、
前記送信装置は、予め前記登録位置情報を記憶しておき、位置情報を取得して当該位置情報と前記登録位置情報との差分を前記相対位置情報として送信する
前記(1)に記載の通信システム。
(8)前記受信装置は、前記位置情報の示す前記送信装置の位置を表示部に表示する
前記(1)から(7)のいずれかに記載の通信システム。
(9)前記相対位置情報は、経緯度の度、分および秒のうち前記分および前記秒の測定値を示す
前記(1)から(8)のいずれかに記載の通信システム。
(10)前記相対位置情報は、経緯度のミリ秒の測定値の上位桁および下位桁のうち下位桁を示す
前記(1)から(8)のいずれかに記載の通信システム。
(11)所定の基準点からの相対位置を示す相対位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記相対位置情報を送信する送信部と
を具備する送信装置。
(12)所定の登録位置情報を記憶する記憶部と、
所定の基準点からの相対位置を示す相対位置情報を受信する受信部と、
前記相対位置情報と前記登録位置情報とから位置情報を推測する推測部と
を具備する受信装置。
(13)所定の基準点からの相対位置を示す相対位置情報を取得する位置情報取得手順と、
前記相対位置情報を送信する送信手順と
を具備する送信装置の制御方法。
(14)所定の基準点からの相対位置を示す相対位置情報を受信する受信手順と、
所定の登録位置情報を記憶する記憶部から読み出した前記登録位置情報と前記相対位置情報とから位置情報を推測する推測手順と
を具備する受信装置の制御方法。
(15)所定の基準点からの相対位置を示す相対位置情報を取得する位置情報取得手順と、
前記相対位置情報を送信する送信手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(16)所定の基準点からの相対位置を示す相対位置情報を受信する受信手順と、
所定の登録位置情報を記憶する記憶部から読み出した前記登録位置情報と前記相対位置情報とから位置情報を推測する推測手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。