(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本発明の一実施形態に係るエアクリーナ70は、燃料電池車両11(燃料電池自動車:以下、単に車両11という)に搭載される燃料電池システム10に適用される。燃料電池システム10は、
図1に示すように、燃料電池スタック12、アノード系装置14、カソード系装置16、冷却装置18及び制御装置20(ECU)を備える。
【0012】
燃料電池スタック12は、アノード系装置14から供給されるアノードガス(水素等の燃料ガス)と、カソード系装置16から供給されるカソードガス(エア等の酸化剤ガス)との電気化学反応により発電する複数の発電セル22を有する。複数の発電セル22は、電極面を立位姿勢にして車両11の車幅方向に沿って積層されている。なお、複数の発電セル22は、車両11の前後方向や重力方向に積層されていてもよい。
【0013】
発電セル22は、電解質膜・電極構造体24(以下、「MEA24」という)と、MEA24を挟持する2つのセパレータ26とで構成される。MEA24は、電解質膜28(例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜))と、電解質膜28の一方の面に設けられたアノード電極30と、電解質膜28の他方の面に設けられたカソード電極32とを有する。2つのセパレータ26のうち一方は、アノード電極30と対向し合う面にアノードガスを流動させるアノード流路34を形成する。2つのセパレータ26のうち他方は、カソード電極32と対向し合う面にカソードガスを流動させるカソード流路36を形成する。また、2つのセパレータ26同士が対向し合う面は、冷媒を流動させる冷媒流路38を形成する。
【0014】
さらに、燃料電池スタック12は、アノードガス、カソードガス及び冷媒を発電セル22の積層方向に沿って流動させ、アノード流路34、カソード流路36及び冷媒流路38に流通させる複数の連通孔(不図示)を備える。各連通孔は、燃料電池スタック12に接続されるアノード系装置14、カソード系装置16及び冷却装置18の配管に連通している。
【0015】
アノード系装置14は、配管として、燃料電池スタック12にアノードガスを供給するアノード供給管48と、燃料電池スタック12で発電に使用されたアノードオフガスを排出するアノード排出管50とを有する。また冷却装置18は、配管として、燃料電池スタック12に冷媒を供給する冷媒供給管44と、燃料電池スタック12から冷媒を排出する冷媒排出管46とを有する。
【0016】
一方、カソード系装置16は、配管として、燃料電池スタック12にカソードガスを供給するカソード供給管40と、燃料電池スタック12で発電に使用されたカソードオフガスを排出するカソード排出管42とを有する。また、カソード供給管40とカソード排出管42の間には、バイパス管52が接続されている。
【0017】
カソード系装置16は、燃料電池スタック12にカソードガスを供給するためのデバイスとして、カソード供給管40の上流から下流に向かって順に、エアクリーナ70、エアポンプ54、インタクーラ56及び加湿器58を備える。
【0018】
カソード系装置16のエアクリーナ70は、外気から吸気した際のカソードガス(エア)に含まれる異物(ゴミ、塵芥、水等)を除去する。エアクリーナ70には、エアクリーナ70よりも上流側でカソード供給管40を構成するインテーク管41が接続されている。エアクリーナ70は、インテーク管41内の流動路41aから流入したエアの異物を除去し、クリーンなエアを下流側のエアポンプ54に流出する。このエアクリーナ70の具体的な構造については、後に詳述する。
【0019】
エアポンプ54は、例えば、コンプレッサ及びエキスパンダを有するエキスパンダユニット55が適用される。エキスパンダユニット55は、内部に収容したロータ55aの両端の各々にフィン(第1フィン55a1、第2フィン55a2)を有する。第1フィン55a1が配置されているコンプレッサの空間は、カソード供給管40の流動路40aに連通している。第2フィン55a2が配置されているエキスパンダの空間は、カソード排出管42の流動路42aに連通している。
【0020】
エキスパンダユニット55のロータ55aは、制御装置20に制御されたモータ機構55bによって回転する。エキスパンダユニット55は、第1フィン55a1により、カソード供給管40を介して燃料電池スタック12にカソードガスを供給し、第2フィン55a2により、カソード排出管42を介して燃料電池スタック12からカソードオフガスのエネルギを回収する。なお、エアポンプ54の構成は、特に限定されず、カソード排出管42にエキスパンダを設けずに、カソード供給管40にコンプレッサを設置したものでもよい。
【0021】
インタクーラ56は、カソード供給管40の上流側(エキスパンダユニット55側)から流入されるカソードガスを冷却し、下流側(加湿器58側)に流出させる。カソード供給管40には、このインタクーラ56として、空冷式インタクーラ56a(空冷式I/C)、水冷式インタクーラ56b(水冷式I/C)の両方が設置されている。なお、カソード系装置16は、空冷式インタクーラ56aと水冷式インタクーラ56bのうち一方だけを適用した構成でもよい。
【0022】
加湿器58は、カソード供給管40のカソードガスを、カソード排出管42のカソードオフガスを利用して加湿する。すなわち、カソードオフガスには、燃料電池スタック12の発電で生じた水(生成水)が含まれており、加湿器58は、この水によりカソードガスに適宜の水分を保有させて燃料電池スタック12に供給する。
【0023】
カソード排出管42には、燃料電池スタック12に供給するカソードガスの圧力を調整する背圧弁60が設けられている。背圧弁60は、例えばバタフライバルブとして構成され、要求される発電電流、又は図示しない圧力センサや流量センサで検出される圧力値や流量値に基づきその開度が制御される。なお、カソード排出管42において加湿器58とエキスパンダユニット55(エアポンプ54)の間には、カソードオフガスに含まれる水を分離する気液分離装置(不図示)等が設けられていてもよい。
【0024】
また、バイパス管52には、バイパス管52の流動路52aを開閉するバイパス弁62が設けられる。バイパス弁62は、制御装置20の制御下に適宜開閉することで、カソード供給管40のカソードガスをカソード排出管42に流動させ、カソード排出管42を介して排気する。
【0025】
次に
図2A及び
図2Bを参照して、上記した燃料電池スタック12やカソード系装置16の各デバイスを、車両11に実際に設置した状態について説明する。燃料電池スタック12のスタックケース12aは、正面視で車幅方向(矢印A方向:水平方向)に沿って長く延在し、また側面視で車両11の前後方向(矢印B方向:水平方向)且つ車高方向(矢印C方向:重力方向)に所定の厚みを有する方形状に形成されている。スタックケース12a内の複数の発電セル22は、上記したように矢印A方向に沿って積層されている。
【0026】
燃料電池スタック12(スタックケース12a)の矢印A方向の一端部(矢印A2側)には、アノード系装置14及びカソード系装置16の幾つかのデバイスが収容される補機ケース64が設置される。これに伴い、カソード系装置16の各デバイスも、燃料電池スタック12の矢印A2側に配置される。
【0027】
具体的には、エアクリーナ70は、補機ケース64の略前側(矢印B1側)且つ補機ケース64の幅方向外側(矢印A2側)に配置されている。またエアクリーナ70は、燃料電池スタック12と略同じ高さ位置、すなわち、燃料電池スタック12の水平方向(車体と平行方向)の外側に配置されている。このエアクリーナ70は、図示しない車体フレーム又は燃料電池用マウントフレームに固定されている。
【0028】
エアクリーナ70の上流側のインテーク管41は、その開口41bが車幅方向の略中央部且つ適宜の高さ位置に配置されている。インテーク管41は、開口41bから車幅方向外側(矢印A2側)且つ後側(矢印B2側)に一旦延在した後、エアクリーナ70の前面で斜め下側(矢印C2側)に向かって延在している。
【0029】
また、エアポンプ54は、エアクリーナ70の下方に配置されている。つまり、エアポンプ54は、燃料電池スタック12の矢印A2側且つ矢印B1側で、燃料電池スタック12(補機ケース64)よりも低い位置にある。エアクリーナ70とエアポンプ54の間でカソード供給管40を構成する中継管66aは、エアクリーナ70の前方(矢印B1側)において矢印C方向に延在している。
【0030】
空冷式インタクーラ56aは、エアポンプ54と略同じ高さ位置で、エアポンプ54の車幅方向外側(矢印A2側)に配置されている。このためエアポンプ54と空冷式インタクーラ56aの間でカソード供給管40を構成する中継管66bは、矢印A方向に延在している。
【0031】
また水冷式インタクーラ56bは、空冷式インタクーラ56aと略同じ高さ位置で、空冷式インタクーラ56aに対して車幅方向内側(矢印A1側)且つ後方(矢印B2側)に位置している。空冷式インタクーラ56aと水冷式インタクーラ56bの間でカソード供給管40を構成する中継管66cは、エアポンプ54の下側を通って矢印A方向且つ矢印B方向に延在している。
【0032】
一方、加湿器58は、補機ケース64内に配置される。すなわち、加湿器58は、燃料電池スタック12の矢印A2側で燃料電池スタック12と略同じ高さ位置にある。水冷式インタクーラ56bと加湿器58の間でカソード供給管40を構成する中継管66dは、矢印C方向に延在している。なお、カソード供給管40を構成する加湿器58と燃料電池スタック12の間の中継管(不図示)は、補機ケース64の各デバイスを避けつつ矢印A1側に延在して燃料電池スタック12のエンドプレート(不図示)に接続されている。
【0033】
次に、本実施形態に係るエアクリーナ70の構成について説明する。エアクリーナ70は、カソードガス(エア)が流動する内部空間72aを有する筐体72と、内部空間72aに収容されるエアフィルタ80とを備える。
【0034】
エアクリーナ70の筐体72は、
図2Aに示す正面視で、車高方向に伸びた多角形状(5角形)を呈する一方で、
図2Bに示す側面視で、方形状を呈している。インテーク管41は、筐体72の下側(矢印C2側)且つ前側(矢印B1側)に接続されている。インテーク管41に接続する筐体72(下ケース76)には、内部空間72aにエアを導入するエア導入口73が設けられている。一方、上記の中継管66aは、筐体72の上側(矢印C1側)且つ前側(矢印B1側)に接続されている。中継管66aに接続する筐体72(上ケース78)には、内部空間72aからエアを出するエア導出口74が設けられている。
【0035】
また、筐体72は、下ケース76と、下ケース76の上側に接合される上ケース78とを有する。すなわち、筐体72の内部空間72aは、下ケース76の下空間76aと上ケース78の上空間78aとが連通して構成される。下空間76aと上空間78aとは、図示しない隔壁により部分的に区画されて、一部(隔壁の非形成部)が連通している。なお下空間76aと上空間78aの間には隔壁がなくてもよい。
【0036】
下ケース76は、エア導入口73を介してインテーク管41のエアが導入される部分となっている。下ケース76は、インテーク管41から導入されたエアを後方(矢印B2側)に流動させた後、上方(矢印C1側)に導くようにガイドする。また、下ケース76は、外気に含まれる異物(主に水)を貯留可能である。下ケース76の底壁には、貯留された水を抜くために水抜き機構(不図示)が設けられていることが好ましい。
【0037】
上ケース78は、エアフィルタ80を収容する部分であり、本実施形態では、下ケース76の上端に対して車幅方向内側(矢印A1側)に傾斜して連結される。すなわち、上ケース78を構成する車幅方向(矢印A方向)の一対の側壁79a、79bは上方に向かって矢印A1側且つ平行に傾いている(
図3Bも参照)。また、上ケース78の天井壁79eは、一対の側壁79a、79bに対して直交するように連結されて、矢印A1側が低く矢印A2側が高い状態で傾斜している。なお、上ケース78を構成する前後方向(矢印B方向)の側壁79c、79dは、車高方向に沿うように延在している。
【0038】
以上の筐体72(下ケース76、上ケース78)は、その剛性が筐体72の周囲に設けられる周辺構造92(
図3B参照)の剛性よりも低く(塑性変形し易く)構成されている。
【0039】
一方、エアフィルタ80は、上ケース78の上空間78aに収容されることで、この上空間78aを上下に区画する。つまり上空間78aは、エアフィルタ80の下側にダストサイド78a1を有する一方で、エアフィルタ80の上側のクリーンサイド78a2を有する(
図3B参照)。エア導出口74は、このクリーンサイド78a2に連通している。
【0040】
図3A及び
図3Bに示すように、エアフィルタ80は、平板形状に形成されている。また、本実施形態に係るエアフィルタ80は、3種類(複数種類)のフィルタ(プリフィルタ82、ケミカルフィルタ84、メインフィルタ86)を厚み方向に積層した三層構造81となっている。なお、エアフィルタ80の構成は、特に限定されず、例えば、1種類のフィルタで構成されていてもよい。
【0041】
プリフィルタ82は、ダストサイド78a1に面しており、エアフィルタ80において最初にエアが通過する部位となる。プリフィルタ82は、ケミカルフィルタ84の一方面に接合されることで上空間78aに保持されている。プリフィルタ82としては、例えば、所定の厚みを有する不織布が適用される。
【0042】
ケミカルフィルタ84は、エアフィルタ80の中間層を構成し、プリフィルタ82を通過した後のエアが通過する。このケミカルフィルタ84は、例えば、アルミニウムを材料に構成され、ハニカム状の孔を面方向に配列したアルミハニカムが適用される。例えば、ケミカルフィルタ84は、その外周部がメインフィルタ86を保持するフレーム88に固定されて、上空間78aに保持されている。
【0043】
メインフィルタ86は、エアが通過可能なシートをプリーツ折にして構成されている。メインフィルタ86の外周部は、フレーム88により支持されている。フレーム88は、メインフィルタ86の全周を周回する外周枠88aと、外周枠88aの内側で前後方向(矢印B方向)中央部を延在する中間枠88bとを有する。メインフィルタ86は、外周枠88aの内側で中間枠88bを挟むように一対設けられている。メインフィルタ86は、外周枠88a内に一連のものが1つ設けられてもよく、外周枠88a内に3つ以上設けられてもよい。各メインフィルタ86は、上下に折り返しながら矢印A方向に延在している。
【0044】
外周枠88aの外周面には、外周枠88aを周回するようにパッキン90(弾性部材)が接合されている。パッキン90は、弾性材料により適宜の弾性力を有するように構成され、外周枠88aから大きく突出している。このパッキン90の外周側が、筐体72(上ケース78)の内面(側壁79a〜79d)に気密に密着する。
【0045】
そして、本実施形態に係るエアフィルタ80は、燃料電池車両11が水平の状態において、フレーム88を介して重力方向に直交する水平方向に対し、傾斜した状態で上ケース78に固定されている。すなわちエアフィルタ80は、燃料電池スタック12の外側で車幅方向(矢印A方向)に対して傾斜している。また、エアフィルタ80は、正面視で、一対の側壁79a、79bの延在方向に対して所定の角度で傾斜しており、天井壁79eの傾斜よりも矢印A2側の一辺80aが高く、矢印A1側の他辺80bが低い姿勢となっている。
【0046】
エアフィルタ80を傾斜した姿勢で固定する筐体72とフレーム88との間の固定手段は、特に限定されず、例えば図示しない支持部品を適宜適用するとよい。フレーム88の外周に設けられるパッキン90は、フレーム88が筐体72に傾斜して固定された状態でも、適宜変形して側壁79a〜79dに接触してフレーム88の外側の気密性を維持する。
【0047】
以上のエアフィルタ80の三層構造81は、相互のフィルタを段差状に連結している。すなわち、フレーム88を含むメインフィルタ86の外周部よりも内側にケミカルフィルタ84が設けられ、ケミカルフィルタ84の外周部よりも内側にプリフィルタ82が設けられている。
【0048】
本実施形態に係るエアクリーナ70は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その動作について説明する。
【0049】
図1に示すように、燃料電池システム10は、制御装置20の制御下に、アノード系装置14のアノード供給管48から燃料電池スタック12にアノードガスを供給し、カソード系装置16のカソード供給管40から燃料電池スタック12にカソードガスを供給する。また、制御装置20は、冷却装置18を動作して冷媒を循環させ、燃料電池スタック12の冷却を行う。
【0050】
これにより、燃料電池スタック12内では、各発電セル22のアノード電極30にアノードガスが供給される一方で、各発電セル22のカソード電極32にカソードガスが供給され、各発電セル22が発電を行う。そして、燃料電池スタック12は、発電時に、アノード系装置14のアノード排出管50にアノードオフガスを排出し、カソード系装置16のカソード排出管42にカソードオフガスを排出する。
【0051】
カソードガスの供給において、カソード系装置16は、エアポンプ54の動作に基づき、インテーク管41からエアを吸引してエアクリーナ70にエアを導く。
図2A及び
図2Bに示すように、エアクリーナ70内では、筐体72の下側のエア導入口73から内部空間72a(下空間76a)にエアが流入する。エアは、下空間76aを後側に流動した後に上方に上昇して上空間78aのダストサイド78a1に流動し、ダストサイド78a1(
図3B参照)からエアフィルタ80を通過する。エアは、エアフィルタ80を通過する際に、埃、塵芥、水等の異物が除去されて上空間78aのクリーンサイド78a2(
図3B参照)に移動する。クリーンサイド78a2に流動したエアは、筐体72の上側のエア導出口74に流出し、筐体72に接続された中継管66aからエアポンプ54に流動する。
【0052】
エアポンプ54に流動したエアは、エアポンプ54の動作下に加圧されカソード供給管40を流動してインタクーラ56(空冷式インタクーラ56a、水冷式インタクーラ56b)を通過して適宜の温度に調整される。そして、エアは、インタクーラ56から加湿器58に流動すると、加湿器58により加湿されて燃料電池スタック12に供給される。
【0053】
次に、車両11が側方から衝突等の荷重を受けた場合のエアクリーナ70の作用について説明する。
図4Aに示すように、エアクリーナ70は、車両11の側方である矢印A2側から矢印A1側に向かって荷重を受ける。またエアクリーナ70の矢印A1側の周辺には、周辺構造92が配置されており、矢印A1側に向かう荷重を受けて筐体72が周辺構造92に接触した際には、矢印A2側に向かって荷重(反力)がかかる。周辺構造92としては、例えば、燃料電池システム10の他のデバイス(酸化剤ガス供給排出デバイス、燃料ガス供給排出デバイス)、或いは車両11に設けられるモータ、ラジエータ、ヘッドライト等があげられる。そして、これら(矢印A方向)の荷重がかかった際に、水平方向に対して傾斜しているエアフィルタ80は、筐体72に対して突っ張らずに内部空間72a内で回転する(傾斜姿勢を重力方向に向かわせる)。
【0054】
ここで、
図4Bに示す比較例(従来)に係るエアクリーナ100は、筐体102内に設けられるエアフィルタ104が、水平方向に延在するように配置される。このように配置されたエアフィルタ104は、側方(矢印A方向)から荷重を受けた際に、エアフィルタ104全体に荷重がかかる。このため、エアフィルタ104は、高い座屈荷重により潰れ難くなり(換言すれば、筐体72に対して突っ張るように作用して)、筐体72の潰れを抑制する。その結果、荷重に伴ってエアクリーナ100全体が移動するようになり、エアクリーナ70の周辺構造92を損傷させるおそれがある。
【0055】
これに対し、本実施形態に係るエアクリーナ70のエアフィルタ80は、水平方向に対して傾斜していることで、エアフィルタ80の一辺80aと他辺80bの高さが異なって配置されている(
図4A参照)。すなわち、上側に位置する一辺80aが矢印A2側にあり、下側に位置する他辺80bが矢印A1側にある。また、エアフィルタ80は、筐体72の側壁79a、79bの延在方向に対して直交方向に取り付けられずにさらに傾斜して取り付けられている。
【0056】
このため、矢印A方向の荷重を受けた際に、エアフィルタ80は、反時計回りに(一辺80aが矢印A1側に向かうと共に他辺80bが矢印A2側に向かうように)積極的に回転する。従って、筐体72は、荷重を受けた際にエアフィルタ80の剛性の影響を殆ど受けずに、側壁79a、79bが相互に近づくように移動して容易に押し潰れる。つまり、傾斜したエアフィルタ80は、筐体72の潰れを促すことで、エアクリーナ70全体の移動を抑制することができ、これによりエアクリーナ70による周辺構造92の損傷を低減することができる。
【0057】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。例えば、エアフィルタ80の傾斜姿勢は、
図3B中と逆向きでもよい。すなわち、エアフィルタ80は、矢印A1側の他辺80bが上側で、矢印A2側の一辺80aが下側となる傾斜姿勢でもよい。また筐体72の形状は、
図3B中の側壁79a、79bの傾斜の向きが逆でもよく、或いは傾斜していない構成(直方形状、立方形状等)に形成されていてもよい。
【0058】
また例えば、
図5Aに示す変形例のように、燃料電池システム10は、燃料電池スタック12の水平方向の前側(矢印B1側)にエアクリーナ70Aを配置した構成でもよい。このエアクリーナ70Aの筐体72内には、側面断面視で(
図5Bに示すように)、水平方向に対し傾斜したエアフィルタ80が設けられている。具体的には、エアフィルタ80は、矢印B2側の一辺80aが上側に位置し、エアフィルタ80の矢印B1側の他辺80bが下側に位置するように傾斜している。
【0059】
このように配置されたエアクリーナ70Aは、前後方向(矢印B方向)に衝突等の荷重を受けた際に、エアフィルタ80を積極的に回転させて、筐体72の潰れを促すことができる。従って、エアクリーナ70Aは、燃料電池スタック12の損傷を抑制することができる。なお、エアクリーナ70Aのエアフィルタ80の傾斜姿勢も、
図5B中と逆向き、すなわち、矢印B2側の一辺80aが下側に位置し、矢印B1側の他辺80bが上側となる傾斜姿勢でもよい。
【0060】
上記の実施形態から把握し得る技術的思想及び効果について、以下に記載する。
【0061】
本発明の一態様は、燃料電池車両11に搭載される燃料電池システム10のカソード系装置16に設けられるエアクリーナ70、70Aであって、エアが流動する内部空間72aを有する筐体72と、内部空間72aに収容されるエアフィルタ80とを備え、エアフィルタ80は、平板形状を有し、燃料電池スタック12の水平方向の外側で且つ水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。
【0062】
上記のエアクリーナ70、70Aは、荷重を受けた際に筐体72の潰れを容易に促すことができる。すなわち、水平方向に対して傾斜した状態で配置されたエアフィルタ80は、荷重を受けた際に筐体72内で突っ張らずに積極的に回転する。従って、荷重により筐体72がスムーズに潰れてエアクリーナ70、70A自体の移動が抑制され、周辺構造92の損傷を大幅に低減することができる。
【0063】
また、筐体72は、エアフィルタ80の下方に設けられるエア導入口73と、エアフィルタ80の上方に設けられるエア導出口74とを有し、エアは、エア導入口73からエアフィルタ80を通ってエア導
出口74に流動する。これにより、エアクリーナ70、70Aは、内部に取り込んだエアから異物を除去して、筐体72の下側に異物(水等)を落とすことができる。
【0064】
また、エアフィルタ80は、三層構造81を有する。これにより、燃料電池スタック12に向かうエアの異物を一層強力に除去することができる。そして、エアクリーナ70、70Aは、エアフィルタ80が三層構造81により硬く構成されていたとしても、エアフィルタ80が傾斜して配置されているので、積極的に回転して筐体72の潰れを
促すことができる。
【0065】
また、エアフィルタ80は、当該エアフィルタ80の外周に設けられ、筐体72に固定されるフレーム88を有する。これにより、エアフィルタ80を傾斜した姿勢で筐体72に安定的に固定することができる。そしてエアクリーナ70、70Aは、エアフィルタ80の外周にフレーム88が設けられていても、エアフィルタ80が傾斜して配置されているので、積極的に回転して筐体72の潰れを
促すことができる。
【0066】
また、エアフィルタ80は、筐体72の側壁79a〜79dに気密に密着する弾性部材(パッキン90)を有する。これにより、エアフィルタ80の外周からエアが抜けることがなくなる。さらに弾性部材は、容易に変形することで、エアフィルタ80を傾斜姿勢としたまま良好に固定することができる。
【0067】
また、エアフィルタ80は、筐体72の側壁79a〜79dに対して傾斜して設置されている。これにより、エアフィルタ80を水平方向に対して一層傾斜させることができ、荷重を受けた際に筐体72の潰れを促すことが可能となる。
【0068】
また、エアクリーナ70は、燃料電池スタック12の車幅方向外側に設置され、エアフィルタ80は、車幅方向に対して傾斜している。これによりエアクリーナ70は、車両11の側方から荷重を受けた際に、筐体72内でエアフィルタ80を回転させて、筐体72の潰れを促すことができる。
【0069】
また、エアクリーナ70は、燃料電池スタック12の前側に設置され、エアフィルタ80は、前後方向に対して傾斜している。これによりエアクリーナ70は、車両11の前方から荷重を受けた際に、筐体72内でエアフィルタ80を回転させて、筐体72の潰れを促すことができる。