特許第6986067号(P6986067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986067脱毛症防止、発毛促進または性機能改善能を有するリューコノストック・ホルザプフェリイ菌株及びこれを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986067
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】脱毛症防止、発毛促進または性機能改善能を有するリューコノストック・ホルザプフェリイ菌株及びこれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20211213BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20211213BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20211213BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20211213BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20211213BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20211213BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20211213BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C12N1/20 A
   A23L33/135
   A61K35/744
   A61K35/74 A
   A61K35/74 G
   A61K35/745
   A61K35/747
   A61P17/14
   A61P15/10
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-511768(P2019-511768)
(86)(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公表番号】特表2019-526258(P2019-526258A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】KR2017004537
(87)【国際公開番号】WO2018043864
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2020年4月21日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0111042
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM11830P
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM11841P
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM11827P
(73)【特許権者】
【識別番号】517220483
【氏名又は名称】コエンバイオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨム キュジン
【審査官】 鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6574815(JP,B2)
【文献】 特開2007−070305(JP,A)
【文献】 特開2009−046456(JP,A)
【文献】 International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology,2007年,Vol. 57,pp. 2952-2959
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−7/08
A23L 5/40−5/49
A23L 31/00−33/29
A61K 35/00−35/768
A61K 36/06−36/068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(Leuconostoc holzapfelii Ceb−kc−003:KCCM11830P)の菌株。
【請求項2】
前記菌株は、脱毛防止、発毛促進、勃起不全改善、コレステロールの低下または脂肪分解能があることを特徴とする、請求項1に記載の菌株。
【請求項3】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を含む培養液、その濃縮物、またはその乾燥物。
【請求項4】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を含む培養液、その濃縮物、またはその乾燥物を含む、食品組成物。
【請求項5】
前記食品組成物は、勃起不全改善能があることを特徴とする、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項6】
前記リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の1日投与量は、1.5×10〜5×1010CFUであることを特徴とする、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項7】
5×10〜5×10CFU/ml濃度のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株が、1回当たり30ml〜100ml、1日1回〜4回投与されることを特徴とする、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項8】
前記食品組成物は、Lactobacillus属、Lactococcus属、Propionibacterium属、Enterocccus属、またはBifidobacterium属の菌株をさらに含むことを特徴とする、請求項ないしのいずれか1項に記載の食品組成物。
【請求項9】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を含む培養液、その濃縮物、またはその乾燥物を含む、経口投与用の、脱毛予防または発毛促進用の医薬組成物。
【請求項10】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を含む培養液、その濃縮物、またはその乾燥物を含む、経口投与用の、勃起不全改善用の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物における前記リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株が1日当たり0.0001mg/kg〜10g/kgの量で経口投与されることを特徴とする、請求項9または10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
5×10〜5×10CFU/ml濃度のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株が、1回当たり30ml〜100ml、1日1回〜4回経口投与されることを特徴とする、請求項9または10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物は薬剤学的に許容される担体をさらに含むことを特徴とする、請求項ないし12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物は、Lactobacillus属、Lactococcus属、Propionibacterium属、Enterocccus属、またはBifidobacterium属の菌株をさらに含むことを特徴とする、請求項ないし12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物は、リューコノストック・メセンテロイデスKCCM11827Pまたはラクトバチルス・サケイKCCM11841P、リューコノストック・メセンテロイデスKCCM11827Pまたはラクトバチルス・サケイKCCM11841Pを含む培養液、その濃縮物、その乾燥物またはそれらの混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項ないし12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株は、キムチから分離されたものであることを特徴とする、請求項ないし12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株は、医薬組成物の質量に対して0.05〜80質量%で含まれることを特徴とする、請求項ないし12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱毛症防止、発毛促進または性機能改善能を持つ新規な菌株及びこれを含む組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牛乳が発酵して乳酸を生成する乳酸菌は、腸内有害菌の増殖を抑制して有益菌の増殖を促進し腸内のバランスを整えることで、人間の体の自然治癒力を高める役割をする。また、便秘や胃腸機能の改善、体内の免疫機能の活性化と抗がん効果、疲労回復、皮下脂肪の減少およびコレステロールの低下、ダイエット、アトピーなどの皮膚病の症状を緩和、老化抑制、二日酔いの解消など、乳酸菌に関する様々な先行研究などを通じて多数の効果が実証されてきた。
【0003】
現代社会における脱毛症患者は急激に増加しており、脱毛症対策が必要な対象者の6割が20〜30代と、脱毛症になる年齢層が低くなりつつある。韓国では、脱毛症に苦しむ患者数が約一千万人に達すると推定され、それによる社会経済的な問題が台頭し、深刻度を増している。
【0004】
脱毛症の症状が重くなればなるほどうつ病や不安になりやすく、ストレスを知覚しやすく、人間関係や異性とのお付き合いを苦手に思いやすく、家庭円満ではないことが多いと報告されており、保健学分野から注目されている。
【0005】
脱毛症の原因は未だ解明されていないが、症状を引き起こす可能性があるものとして、遺伝的要因、ホルモン異常、免疫学的異常などによる原因が報告されている。
【0006】
現在、脱毛症治療剤として、米国のFood and Drug Administration(FDA)の承認を取得した経皮塗布用ミノキシジル(Minoxidil)と経口投与用のFinasterideが多く使用されているが、心血管系障害、皮膚刺激、性機能低下および奇形児のリスクなど副作用を伴うという限界がある。
【0007】
一方、先行研究で生薬製剤を用いた脱毛症改善の効果について報告されているが、その結果は不十分なものである。最近、植物抽出物と何首烏(カシュウ)など漢方材料を熱水抽出して、Lactobacillus属の乳酸菌で発酵させたものを利用した発毛促進の研究が始まり、それらの特許に関する報告もあるが、そのほとんどは実験マウスによる研究結果であり、実際、脱毛症の人や脱毛症が進行している人を対象にした研究は皆無である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、脱毛症防止、発毛促進または性機能の改善に効果的である新規な乳酸菌株を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、副作用なく安全に使用できる脱毛症防止、発毛促進用または性機能改善用の組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、新規なリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(Leuconostoc holzapfelii Ceb−kc−003:KCCM11830P)の菌株を提供する。前記菌株の形態学的特徴はグラム陽性菌であり、配列番号1の塩基配列を有し、16s rRNA partial sequencingによる分析の結果、リューコノストック・ホルザプフェリイシアーノと99%の相同性を示す。
<配列番号1の塩基配列>
【0011】
本発明者は、新規に分離したリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003を2016年4月11日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11830Pとして寄託した。前記菌株は韓国の伝統食品であるキムチから分離されたものである。前記菌株は脱毛症防止、発毛促進、性機能改善、コレステロール低下、および/または脂肪分解に効果的である。
【0012】
本発明のさらなる態様は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の培養物、その濃縮物、またはその乾燥物に関するものである。
【0013】
本発明において新規に分離した菌株は、通常のバチルスあるいはリューコノストック菌株の培養方法で培養することができる。培地としては、天然培地や合成培地を使用することができる。培地の炭素源としては、例えば、グルコース、スクロース、デキストリン、グリセロール、でん粉などを使用することができ、窒素源としては、ペプトン、肉抽出物、酵母抽出物、乾燥酵母、大豆、アンモニウム塩、ナイトレート、およびその他の有機または無機窒素含有化合物を使用することできるが、これらの成分に限定されない。培地に含まれる無機塩としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄、カリウムなどを使用することができるが、これらに限定されない。前記炭素源、窒素源、無機塩の成分に加えて、アミノ酸、ビタミン、核酸、およびこれらに関連する化合物が培地に添加され得る。本出願の新規に分離した菌株の培養温度の条件は、20〜40℃の範囲で12時間〜4日間培養することができる。一実施例において、培養培地に熟地黄、甘草、川▲きゅう▼(センキュウ)、杜仲(トチュウ)、桂皮(ケイヒ)、当帰(トウキ)、石菖蒲(セキショウブ)、赤何首烏、側柏葉(ソクハクヨウ)、生姜、柏子仁(ハクシジン)、茜草(アカネ)、升麻(ショウマ)、蔓荊子(マンケイシ)などの生薬製剤、その抽出物、またはこれらの混合物を添加して培養し、前記培養物を使用することにより、本発明における菌株の脱毛症防止、あるいは発毛促進の効果をより改善することができる。
【0014】
新規に分離した菌株の培養物は、菌体を含む培養原液であり、または培養上澄み液を除去あるいは濃縮した菌体であり得る。前記培養物の組成は、通常のバチルスやリューコノストック菌株培養に必要な成分だけではなく、バチルスやリューコノストック菌株の生長に相乗的に作用する成分をさらに含むことができ、これによる組成物は、当業界の通常の技術を有する者によって容易に選択され得る。
【0015】
また、菌株の状態は、液状状態または乾燥状態であり、乾燥方法は風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、および凍結乾燥が可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明のさらなる態様は、新規に分離したリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)、その培養液、その濃縮物、またはその乾燥物を含む組成物に関するものである。前記組成物は、脱毛症防止、発毛促進、または性機能改善用の食品組成物または医薬組成物であることができ、さらに、脂肪分解効果および/またはコレステロール低下の効果がある。食品組成物の一態様は、食品、健康食品、健康補助食品、または健康機能性食品組成物であり得る。医薬組成物の一態様は、医薬外品または医薬的製剤であり得る。
【0017】
一実施例において前記組成物は、熟地黄、甘草、川▲きゅう▼(センキュウ)、杜仲(トチュウ)、桂皮(ケイヒ)、当帰(トウキ)、石菖蒲(セキショウブ)、赤何首烏、側柏葉(ソクハクヨウ)、エゾウコギ、松葉、松花、蕎麦、知母、生姜、柏子仁(ハクシジン)、茜草(アカネ)、升麻(ショウマ)、蔓荊子(マンケイシ)などの生薬製剤、その抽出物、またはそれらの混合物などの脱毛症防止または発毛促進に効果的な生薬成分;またはミノキシジルやfinasterideなどの医薬成分をさらに含むことができる。
【0018】
他の実施例において前記組成物は、Lactobacillus属、Lactococcus属、Propionibacterium属、Enterocuccus属、Bifidobacterium属などの菌株をさらに含むことができる。具体的には、リューコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)(例えば、KCCM11827P)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)(例えば、KCCM11841P)、またはその培養液、またはそれらの混合物をさらに含むことができる。具体的には、リューコノストック・メセンテロイデスKCCM11827P、ラクトバチルス・サケイKCCM11841P、またはその培養液、またはそれらの混合物をさらに含むことができる。また、前記組成物は、コラーゲンをさらに含むことができる。
【0019】
本発明の組成物は、5×10〜5×1010CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を含み、好ましくは、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)を含む。
【0020】
本発明の組成物は、薬学的あるいは食品学的に許容される担体をさらに含むことができ、担体と共に製剤化されて、食品または医薬品として提供され得る。
【0021】
本発明における用語である「薬学的あるいは食品学的に許容される担体」は、生物体を刺激せず、投与菌株の生物学的活性及び特性を阻害しない担体または希釈剤のことを指す。
【0022】
前記組成物は、経口または非経口の様々な剤形で製剤化され得るが、好ましくは液状経口溶液で剤形化され得る。
【0023】
液状溶液で製剤化される場合には、許容される薬剤学的あるいは食品学的な許容担体は、滅菌および生体に適したものであり、食塩水、滅菌水、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、およびこれらの成分のうち、一つ以上を混合して使用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など、通常の他添加剤を添加することができる。また希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、潤滑剤を付加的に添加して、水溶液、懸濁液、乳濁液などの液状剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。また、組成物の品質低下を防止するために、結着剤、乳化剤、保存剤などをさらに添加することができ、また、アミノ酸剤、ビタミン剤、酵素剤、香味剤、非タンパク質態窒素化合物、ケイ酸塩剤、緩衝剤、抽出剤、オリゴ糖などをさらに含むことができる。液状形態で投与する場合の投与量は、5×10〜5×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株、好ましくは1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量で一回当たり30ml〜100mlを、1日1回〜4回投与することができる。一実施例において、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量で一回当たり50mlを1日2回〜4回投与することができる。より具体的には、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量で一回当たり50ml〜100mlを、1日1回〜2回投与することができる。より一層具体的には、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)を朝食30分前に50ml〜100mlを1回投与し、夕食30分前または就寝前に50ml〜100mlを1回投与することができる。他の実施例において、前記リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の1日投与量は1.5×10〜5×1010CFUであり得る。
【0024】
本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)を含む経口投与用剤形は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水溶性または油性懸濁液、調剤粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などがある。錠剤やカプセルなどの剤形で製剤化するためには、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、でん粉、アミロペクチン、セルロースまたはゼラチンなどの結合剤、ジカルシウムホスフェートなどの賦形剤、トウモロコシでん粉またはサツマイモでん粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムまたはポリエチレングリコールワックスなどの潤滑剤を含むことができ、カプセル剤形の場合は前記物質の他にも脂肪油などの液体担体をさらに含むことができる。
【0025】
前記組成物又は前記リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の1日投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、治療と予防、または改善しようとする主な症状、投与時間、投与方法、重症度に応じて異なるが、約0.0001mg/kg〜約10g/kg、具体的には約0.01mg/kg〜約500mg/kgであり、1日1回〜6回、例えば、1日1回〜4回投与、あるいは適用することができる。
【0026】
前記組成物内のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)は液状または乾燥状態であり、好ましくは液状形態である。乾燥方法は、風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、および凍結乾燥が可能であるが、これに限定されない。本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)は粉末形態で組成物の重量の0.05〜80重量%、例えば、0.1〜70重量%、0.1〜50重量%、または1〜30重量%の量で混合する。
【0027】
本発明における他の態様は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養液、その濃縮液またはその乾燥物を含む、脱毛症防止、あるいは発毛促進用組成物に関するものである。または、本発明のさらなる態様は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養液、その濃縮液またはその乾燥物の治療的または予防的有効量を脱毛症防止または発毛促進のために対象体に投与することを含む、脱毛症防止方法、あるいは治療方法に関するものである。前記の治療的または予防的有効量は前述したように、患者の体重、年齢、性別、健康状態、治療、予防、または改善しようとする主な症状、投与時間、投与方法、重症度に応じて異なるが、1日約0.0001mg/kg〜約10g/kg、具体的には、約0.01 mg/kg〜約500mg/kgであることができ、1日1回〜6回、例えば、1日1回〜4回投与、あるいは適用する。または、5×10〜5×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株、好ましくは1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量で一回当たり30ml〜100mlを、1日1回〜4回投与する。一実施例において、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量で一回当たり50mlを1日2回〜4回投与する。より具体的には、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量で一回当たり50ml〜100mlを、1日1回〜2回投与する。より一層具体的に、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)を朝食30分前に50ml〜100mlを1回投与し、夕食30分前または就寝前に50ml〜100mlを1回投与することができる。
【0028】
本発明の一態様は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養液、その濃縮液またはその乾燥物を含む、性機能障害改善用の組成物に関するものである。前記性機能障害の改善は、例えば、勃起不全の改善である。また、本発明のさらなる態様は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養物、その濃縮液またはその乾燥物の治療的または予防的有効量を、性機能障害の予防または治療のために対象体に投与することを含む、性機能障害の予防または治療方法に関するものである。前記治療的または予防的有効量は、上述した内容と同様である。
【0029】
本発明の一態様は、リューコノストック・ザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養物、その濃縮液またはその乾燥物を含む、コレステロール低下用組成物に関するものである。または、本発明のさらなる態様は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養物、その濃縮液またはその乾燥物の治療的または予防的有効量を、コレステロール低下のために対象体に投与することを含む、高コレステロール血症の予防または治療方法に関するものである。前記治療的または予防的有効量は前述した内容と同様である。
【0030】
本発明の一態様は、リューコノストック・ルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養液、その濃縮液またはその乾燥物を含む、脂肪分解用組成物に関するものである。また、本発明のさらなる態様は、リューコノストック・ルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはその培養物、その濃縮液またはその乾燥物の治療的または予防的有効量を高脂肪症の予防あるいは治療のために対象体に投与することを含む、高脂肪症の予防または治療方法に関するものである。前記治療的または予防的有効量は前述した内容と同様である。
【発明の効果】
【0031】
本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株またはこれを含む組成物は、脱毛症防止、発毛促進または性機能の改善に効果的である。
【0032】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)またはこれを含む組成物は、副作用がなく脱毛症防止、発毛促進または性機能の改善に安全な使用ができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を服用する前後(約3.5ヶ月)の毛髪を比較した写真である。
図2】リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を服用する前後(約2.5ヶ月と約3.5ヶ月)の毛髪を比較した写真である。
図3】リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を服用する前後(約1.7ヶ月)の毛髪を比較した写真である。
図4】リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株を服用する前後(約3ヶ月)の毛髪を比較した写真である。
図5】リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株のコレステロール低下効果を他の乳酸菌株と比較して示すグラフである。
図6】リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の脂肪分解効果を他の乳酸菌株と比較して示すグラフである。
図7】リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株のNO生成濃度を他の乳酸菌株と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明の例示的説明であり、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例1:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の分離と同定
(1)試料の確保と菌株分離
韓国の伝統食品であるキムチを採取し、確保した試料を段階希釈して、3%塩化ナトリウムが添加したBHI固体培地(Difco、USA)に塗抹した後、37℃の条件で24時間培養した。前記試料から優占菌株を分離した。選別されたコロニーは、3回にわたって新しい培地に移して培養する方法で純粋分離し、純粋培養した菌を20%グリセロールが添加された培地に入れて、零下70℃以下で保存した。
【0036】
(2)形態学的、分類学的特性調査
前記分離した菌株の同定のために、一次的に形態学的、生化学的調査を行った。形態的な特徴はグラム染色の結果グラム陽性であった。分類学的特性を分析するために16s rRNA partial sequencingによる分析を行い、その結果、配列番号1の塩基配列を有し、前記分離した菌株はリューコノストック・ホルザプフェリイと99%の相同性を有することが確認された。
【0037】
本発明者は、新規に分離したリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003を2016年4月11日に韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11830Pで寄託した。
【0038】
前記菌株を凍結乾燥して菌株粉末を製造した。
【0039】
(3)菌株の培養液の製造
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003の培養液を下記の方法で製造した。
【0040】
精製水100リットルにDextrose 2kg、全脂粉乳1.5kg、酵母抽出液0.05kgをそれぞれ添加した後、121℃で5〜30分間オートクレーブ滅菌し、35℃前後で冷却した後、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003を無菌状態で0.2〜0.4リットル接種し、35℃前後で2〜3日間培養してリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003の培養液を得た。
【0041】
実施例2:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の脱毛症防止効果
実施例1で得られたリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株培養液を、脱毛症状がある40歳〜85歳の男性5人と女性1人に1ヶ月〜4ヶ月の間、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量で一回当たり50ml〜100mlを1日2回、毎日経口投与した。
【0042】
前記菌株の投与前と服用10日後、20日後および30日後において、10日おきに、1回の頭髪洗浄後の抜け毛の本数を数えた。
【0043】
前記実験結果は、下記表1のように示す。
【0044】
【表1】
【0045】
また、本発明における菌株の投与前後の特定時点において、前記男性たちの毛髪の太さ、量、艶などの写真を撮影し、その一部の結果を図1図4に示す。
【0046】
前記結果から、本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株が脱毛症防止に効果的であり、また、毛髪の太さと量、艶を顕著に改善し、脱毛症治療に効果的であることがわかる。
【0047】
実施例3:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株のコレステロール低下効果
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の粉末のコレステロール低下効果を検討するため、それぞれ1mg/mlないし5mg/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)粉末液、および対照群としてそれぞれ1mg/mlないし5mg/mlのLactobacillus plantarum粉末液を使用した。
【0048】
<コレステロール(cholesterol)除去能>
本発明に規定するコレステロール(cholesterol)の除去能は、具体的に以下の方法で測定することができる。MRS培地30mlを50mlのファルコンチューブ(falcon tube)に入れて被検菌(グリセロール(glycerol)ストック(stock))を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養する。得られた培養液300ulをコレステロール(cholesterol)培地(350mg/Lのコレステロール(cholesterol)(Wako Pure Chemical)、0.2%胆汁酸(w/v)を含むMRS培地30mlに添加する。37℃で24時間培養した後、4℃、8,000rpmで10分間遠心分離(centrifugal separation)を行い、上澄み液中のコレステロール濃度(cholesterol level)をDeterminer FC(Kyowa Medex Co.Ltd.)を用いて測定する。初期コレステロール(cholesterol)培地に含有されたコレステロール量(cholesterol)と培地から除去されたコレステロールの量(cholesterol)の割合(%)を算出する。
【0049】
その結果は図5に示し、3回繰り返し処理で得られた平均値を表す。
【0050】
前記結果から、本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株粉末が濃度に比例してコレステロールの低下に効果的であり、これは他の乳酸菌であるLactobacillus plantarumに比べて有意に改善効果が高いことが分かる。
【0051】
実施例4:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の脂肪分解効果
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株の脂肪分解効果を検討するため、前記菌株の培養液20mlないし100mlを豚脂1000ccにそれぞれ処理した後、37℃で24時間振とうした。対照群としてLactobacillus plantarum菌株を前記と同じ方法で処理した。
【0052】
その結果は図6に示した。
【0053】
前記結果から本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株粉末が濃度に比例して脂肪分解に効果的であり、これは他の乳酸菌であるLactobacillus plantarumに比べて有意に改善効果が高いことが分かる
実施例5:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株の性機能改善および予防効果
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株粉末を、性機能における異常な症状と喫煙の有無別の、45歳〜70歳の10人の男性に、合計3ヶ月間、1×10〜1×10CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量を一回当たり50ml〜100ml、1日1回〜2回、毎日経口投与した。前記菌株の投与前後において、1ヶ月おきに、早朝勃起回数、勃起力、勃起持続力などを自己評価してもらった。
【0054】
そのうち、服用1ヶ月から3ヶ月の間、アンケートに応じた人は4人であり、その結果は下記表2のように示す。
【0055】
【表2】
【0056】
前記結果から、本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株粉末を継続的に服用すると、性機能異常の予防効果があり、さらに、性機能障害の治療効果があることが確認された。
【0057】
また、血流増加と毛細血管弛緩作用により勃起力の向上に資するNOの24時間の生成濃度(Hacat細胞から発生)をさらに評価した。本発明における新規な菌株とLactobacillus plantarumとの比較テスト(3回繰り返して得られた平均値)の結果は、図7のように示す。
【0058】
前記リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株に加えて、リューコノストック・メセンテロイデスKCCM11827P、ラクトバチルス・サケイKCCM11841Pを含む菌株培養液に前記と同様の脱毛症防止と治療及び性機能異常に対して前記記載の方法と同様に効能評価を実施した。その結果、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)を単独で使用時に比べて改善された結果が得られた。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7