特許第6986078号(P6986078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986078ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルスcDNAクローンおよびその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986078
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルスcDNAクローンおよびその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/04 20060101AFI20211213BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20211213BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20211213BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20211213BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20211213BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20211213BHJP
   C12N 15/40 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C12N7/04ZNA
   A61K31/711
   A61K35/76
   A61K39/12
   A61P31/14
   C12N7/01
   C12N15/11 Z
   C12N15/40
【請求項の数】20
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2019-527953(P2019-527953)
(86)(22)【出願日】2017年7月31日
(65)【公表番号】特表2019-526278(P2019-526278A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】EP2017069329
(87)【国際公開番号】WO2018024677
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】16382391.7
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】EP
【微生物の受託番号】CNCM  I-1642
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 32339
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 32340
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 32341
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 32542
【微生物の受託番号】CNCM  CNCM I-5219
(73)【特許権者】
【識別番号】519040614
【氏名又は名称】ヒプラ サイエンティフィック,エス.エル.ユー.
(73)【特許権者】
【識別番号】306001703
【氏名又は名称】コンセホ スペリオール デ インベスティガシオネス シエンティフィカス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギベルト ペレス,ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】シトハ アルナウ,マルタ
(72)【発明者】
【氏名】フェネク マルティネス,マリア マル
(72)【発明者】
【氏名】エレナ フィト,サンティアゴ フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ガルシア,スサナ
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−517526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−7/08
C12N 15/00−15/90
A61K
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱毒化PRRSV株のゲノムに基づく感染性cDNAクローンの製造方法であって、
a)PRRSVの弱毒化株の準種集団のゲノム配列において多型領域を特定し、
b)工程a)において特定された多型領域内の最高頻度配列を決定し、
c)PRRSVの弱毒化株の前記準種集団由来の感染性cDNAクローン中の、工程a)において特定された多型領域の少なくとも1つにおいて、最高頻度配列を含むように改変された、感染性cDNAクローンを構築することを含む、方法。
【請求項2】
多型領域が、5'UTR、ORF1a、ORF1b、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7および3'UTRからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
弱毒化PRRSV株が、弱毒化欧州PRRSV株および弱毒化北米PRRSV株からなる群から選択される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の方法により得られ、前記の多型領域の少なくとも1つにおいて全ゲノム配列のヌクレオチドの一部が前記の最高頻度配列により置換されている、感染性cDNAクローン。
【請求項5】
前記多型領域が、5'UTR、ORF1a、ORF1b、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7、および3'UTRからなる群から選択される、請求項4記載の感染性cDNAクローン。
【請求項6】
感染性cDNAクローンが、以下の多型領域:
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672位、および
iii)ORF3〜ORF6を含む領域にある多型領域
の少なくとも1つに対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、請求項4又は5記載の感染性cDNAクローン。
【請求項7】
感染性cDNAクローンがpVAC 5.2と名付けられており、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32341として寄託されている、請求項6記載の感染性cDNAクローン。
【請求項8】
感染性cDNAクローンが、以下の多型領域:
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672位、および
iii)12938〜14151位
に対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、請求項4又は5記載の感染性cDNAクローン。
【請求項9】
感染性cDNAクローンがpVAC 5.1と名付けられており、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32340として寄託されている、請求項8記載の感染性cDNAクローン。
【請求項10】
感染性cDNAクローンが、以下の多型領域:
i)1164〜2113位、
ii)4630〜6543、
iii)6906〜8402、
iv)11618〜12274、および
v)ORF3〜3'UTRを含む領域にある多型領域
の少なくとも1つに対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、請求項4又は5記載の感染性cDNAクローン。
【請求項11】
感染性cDNAクローンがpVAC 6.1と名付けられており、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32542として寄託されている、請求項10記載の感染性cDNAクローン。
【請求項12】
請求項411のいずれか1項記載の感染性cDNAクローンを含む組換え核酸。
【請求項13】
請求項12記載の組換え核酸のコピーを含むDNA構築物。
【請求項14】
請求項13記載のDNA構築物のRNA転写産物。
【請求項15】
請求項14記載のRNA転写産物によりコードされる弱毒化PRRSV。
【請求項16】
請求項15記載の弱毒化PRRSVを含む免疫原性組成物。
【請求項17】
免疫学的に有効な量の請求項15記載の弱毒化PRRSVまたは請求項411のいずれか1項に記載の感染性cDNAクローンと、医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチン。
【請求項18】
PRRSウイルス感染の予防および/または治療に使用するための、請求項15記載の弱毒化PRRSVと医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチン。
【請求項19】
請求項15記載の弱毒化PRRSVを含む、PRRSV感染の予防および/または治療に使用するための医薬。
【請求項20】
請求項15記載の弱毒化PRRSVを含む、PRRSV感染の予防および/または治療に使用するためのワクチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2016年8月5日付け出願の欧州特許出願EP16382391.7の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)に対する有効な且つ高い安全性のワクチンの製造のためのcDNAクローンおよびその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)は世界中のほとんどのブタ生産国において蔓延しており、ブタ生産者に著しい経済的損失をもたらす。この疾患は種畜における生殖障害および成長期のブタに対する呼吸困難を引き起こす。
【0004】
1991年に、原因因子であるPRRSウイルス(PRRSV)がオランダで最初に分離され、そのレリスタッドウイルス(LV)が欧州PRRSV分離株の原型であり、その後間もなく、米国においてVR-2332株が北米PRRSV分離株の原型となった。その後、PRRSVは2つの主要遺伝子型、すなわち、1型またはI型(欧州)および2型またはII型(北米)に分類され、これらは65%のゲノム配列同一性を有する。2000年代初頭に、北米遺伝子型の高病原性株が中国で出現した。この株HP-PRRSVは他の全ての株より強毒性であり、アジア諸国で大きな損失を引き起こしている。それはまた、中国変異体に関して最初に報告された、そのウイルスの急速な進化を示している。
【0005】
PRRSVは小型のエンベロープRNAウイルスである。それは、約15kbのサイズを有する一本鎖プラス鎖RNAゲノムを含有する。PRRSVはニドウイルス目アルテリウイルス科アルテリウイルス属のメンバーである。それは8つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含有する。ORF 1aおよび1bはゲノムの約80%を構成し、RNAレプリカーゼ複合体と非構造タンパク質の残部とをコードする。ゲノムの3'末端に位置する6つのより小さなORF 2〜7は、ビリオン構築に関連する構造タンパク質をコードする。ORF 2〜5は糖タンパク質GP2〜GP5をコードし、ORF 6は膜タンパク質Mをコードし、ORF 7はヌクレオカプシドタンパク質Nをコードする。PRRSVはORF 1aの上流においては5'UTR(5'非翻訳領域)を含有し、ORF 7の下流においては3'UTR(3'非翻訳領域)を含有する。5'UTR領域は、開始コドンの直ぐ上流にあるゲノムRNAの領域である。3'UTR領域は、翻訳終止コドンの直後に存在するゲノムRNAの部分である。
【0006】
PRRSVの農場分離株の広範な配列分析はPRRSVの北米分離株と欧州分離株との間の高い配列多様性を示した。
【0007】
RNAウイルスの急速な進化は慢性感染の管理および新興感染因子の制御を困難にする。これらのウイルスは極めて高い突然変異率を示して複製され、顕著な遺伝的多様性を示す。この多様性は、ウイルス集団が迅速に動的環境に適応し、ワクチンおよび抗ウイルス薬に対する耐性を発達させることを可能にする。総説X. J. Meng, Heterogeneity of porcine reproductive and respiratory syndrome virus: implications for current vaccine efficacy and future vaccine development, Vet. Microbiol., 2000, 74, 309-329に開示されているとおり、任意の他のRNAウイルスと同様に、これはPRRSVにも該当することがかなり前に確認された。観察された不均一性はPRRSVの有効な予防および制御に大きな障害となりうると指摘されている。その著者は、複数の抗原的に異なるPRRSV株からなる多価ワクチンが次世代のワクチンの最も有望な候補であると考えている。
【0008】
PRRSVに対する現在入手可能な市販ワクチンは従来の改変生ウイルス(弱毒化、細胞培養)または従来の死滅ウイルス(ビルレントウイルスの不活性化細胞培養調製物)のいずれかである。改変生ウイルスワクチンの安全性は大いに疑問視されている。なぜなら、ワクチンウイルスは、ワクチン接種されたブタにおいて複製し、それが検出可能なウイルス血症を引き起こし、ワクチン接種された生物および組織において数週間にわたって存続し、種々の経路により排出されて、おとりブタ(sentinel pigs)の感染を引き起こすからである(Doneら, Porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS): a review, with emphasis on pathological, virological and diagnostic aspects, Br. Vet. J., 1996, 152(2), 153-174)。また、ワクチンが使用されている地域で臨床上の問題を引き起こしている幾つかの株とワクチン株との間の類似性に基づいて、農場でのビルレンスへの復帰が疑われている。
【0009】
分子生物学的技術による操作のためのPRRSウイルスの全長cDNAクローンの最初の構築以来、PRRSゲノムに対する特異的欠失および改変に基づく幾つかのアプローチが研究されている。
【0010】
欧州PRRSウイルスの全長感染性cDNAクローンは、Meulenbergら, Infectious transcripts from cloned genome-length cDNA of porcine reproductive and respiratory syndrome virus, J. Virol., 1998, 72 (1), 380-387およびSnijderら, The molecular biology of arteriviruses, J. Gen. Virol., 1998, 79, 961-979により報告されている。
【0011】
データベースEMBL(オンライン)U87392は、北米原型PRRSウイルスであるPRRSウイルス株VR-2332の全ゲノムを開示している。
【0012】
以下に示すとおり、ビルレントPRRSVおよびその弱毒化対応物の生物学的特徴を研究するために、感染性cDNAクローンが使用されている。
【0013】
cDNAクローンに基づく第1のアプローチは、例えば、Kwonら, Infectious clone-derived viruses from virulent and vaccine strains of porcine reproductive and respiratory syndrome virus mimic biological properties of their parental viruses in a pregnant sow model, Vaccine, 2006, 24(49-50), 7071-7080の論文に開示されているような、PRRSVの弱毒化株の使用である。この論文には、Prime Pac(PP)はPRRSVの弱毒化ワクチン株であり、これを使用して、感染性クローンFL12由来の強毒性PRRSVに基づくキメラ構築物を作製したことが示されている。更に、FL12のゲノム断片をPP株からの対応領域で順次置換することにより、PPワクチン株の全長cDNAクローンが構築されたことが開示されている。
【0014】
第2のアプローチはPRRSV由来の感染性cDNAクローンの構築であり、これは国際特許出願WO-A-98/18933において最初に開示された。その文献には、プラス鎖RNAウイルス(例えば、PRRSV)の感染性クローンの作製方法が開示されている。該感染性クローンは、ワクチンを製造するためのビルレンスマーカーまたは血清学的マーカーにおける突然変異を含みうる。
【0015】
この技術は、以下に示すとおり、PRRSVゲノムに更なる改変を導入する種々のグループによって追究されている。
【0016】
例えば、欧州特許出願EP-A-1018557は、ヌクレオカプシド遺伝子または膜糖タンパク質遺伝子の欠失を含有する感染性cDNAクローンに関するものである。
【0017】
国際特許出願WO-A-2006/006813には、ウイルスゲノムの5'末端の連続的ヌクレオチドを欠くPRRSVの感染性cDNAクローンからレスキューされたウイルスは、低減した特異的感染性を有する(1〜7ヌクレオチドの欠失)かまたは特異的感染性の完全な消失を示す(9〜15ヌクレオチドの欠失)ことが開示されている。
【0018】
国際特許出願WO-A-2007/002321には、非構造タンパク質をコードするORF1の領域に欠失を含有するPRRSVの感染性cDNAクローンが開示されている。
【0019】
国際特許出願WO-A-2011/153351には、感染性キメラPRRSウイルスおよびそれを含有するワクチンが開示されている。そのようなキメラウイルスの製造方法はDNAシャッフリングである。種々のPRRSV農場分離株に対する広範な防御をワクチンに付与するために、PRRSVの遺伝的多様性が考慮されている。特に、遺伝的に異なる複数の株のキメラであるウイルスタンパク質GP5を含む感染性キメラPRRSVが開示されている。
【0020】
国際特許出願WO-A-2013/017570は、nsp1遺伝子において突然変異を含むPRRSウイルス(遺伝子型I, EUおよび遺伝子型II, US)に関するものであり、それは、特に、WO-A-2013/017568におけるものと同じ、EU PRRSVの感染性cDNAに関するものである。
【0021】
国際特許出願WO-A-2015/092058はPRRSV変異体、欧州PRRSV cDNAクローンおよびそれらの使用に関するものである。実施例3において、EU型PRRSV感染性cDNAクローンのORF4タンパク質内への欠失の導入およびその感染性cDNAクローンのORF4遺伝子内へのPRRSV ORF5タンパク質中和エピトープ配列の導入が開示されている。
【0022】
過去30年の間に、準種理論(quasispecies theory)は、RNAウイルスの進化を理解するための集団ベースの枠組みをもたらした。遺伝的変異、競合および選択の連続的過程にさらされ、選択の単位として機能する、同一ではないが関連するゲノムの分布を意味するものとして、ウイルス学者はウイルス準種なる語を用いる。厳密に言えば、ウイルス準種は感染細胞における単一複製単位と考えるべきである。しかし、Domingoら, Viral quasispecies evolution, Microbiol. Mol. Biol. Rev., 2012, 76, 159-216に開示されているとおり、単一細胞からの不均一ウイルス後代は、培養中の隣接細胞に、またはインビボで同一組織もしくは器官から侵入して、ウイルス粒子およびウイルスゲノムの間で第2の連続的レベルの競合を生じさせる。したがって、準種は、機能レベルで協調的に相互作用し、ウイルス集団の表現型特徴に共同で寄与する多様な遺伝的変異体の集団である。この準種の変異は、ワクチン接種のような伝統的なアプローチがPRRSを適切に制御し得ないことを説明しうるであろう。Vignuzziら, Quasispecies diversity determines pathogenesis through cooperative interactions in a viral population, Nature, 2006, 439, 344-348に開示されているとおり、幾つかの実験は、集団多様性がビルレンス決定因子であることを報告している。更に、現在のところ、cDNAクローン技術はウイルスのコンセンサス配列の使用に焦点が合わされており、したがって、準種ウイルス集団の関連データを見逃している。
【0023】
PRRSの予防のための幾つかの不活化ワクチンおよび弱毒化ワクチンが商業的に入手可能であり、それらには例えば以下のものが挙げられる:AMERVAC(登録商標)PRRS、UNISTRAIN(登録商標)PRRS、SUIPRAVAC(登録商標)PRRS(Laboratorios HIPRA, S.A.(スペイン))、INGELVAC(登録商標)PRRS MLV(Boehringer Ingelheim, USA)、PORCILIS(登録商標)PRRS(Merck, Sharp and Dohme Animal Health, USA)、PYRSVAC-183(Laboratorios Syva, S.A.(スペイン))。しかし、PRRSVの急速な進化はその疾患の管理を困難にする。なぜなら、PRRSV準種集団内のエスケープ変異体の絶え間ない生成により、ワクチンの長期的効率が損なわれるからである。また。ワクチン接種されたブタにおけるウイルス複製に関する改変生ワクチンの安全性およびビルレンスへの復帰の危険性は、商業的に入手可能なワクチンによっては完全には解決されていない。
【0024】
したがって、現在利用可能なPRRSVワクチンと比較した場合に有効性を維持する一方で、より良好な安全性を有する、PRRSVに対する新世代ワクチンの提供が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
発明の目的
本発明の目的は、弱毒化PRRSVのゲノムに基づく感染性cDNAクローンの製造方法を提供することである。
【0026】
本発明の目的は更に、そのような製造方法により得られる感染性cDNAクローンを提供することである。
【0027】
本発明の目的は更に、その感染性cDNAクローンを含む組換え核酸を提供することである。
【0028】
本発明の目的は更に、そのような組換え核酸のコピーを含むDNA構築物を提供することである。
【0029】
本発明の目的は更に、そのようなDNA構築物のRNA転写産物を提供することである。
【0030】
本発明の目的は更に、そのDNA構築物でトランスフェクトされた宿主細胞を提供することである。
【0031】
本発明の目的は更に、そのRNA転写産物によりコードされる弱毒化PRRSVを提供することである。
【0032】
本発明の目的は更に、その弱毒化PRRSVを含む免疫原性組成物を提供することである。
【0033】
本発明の目的は更に、その弱毒化PRRSVまたは感染性cDNAクローンと医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチンを提供することである。
【0034】
本発明の目的は更に、PRRSV感染の予防および/または治療に使用するための、その弱毒化PRRSVと医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチンを提供することである。
【0035】
本発明の目的は更に、PRRSV感染の予防および/または治療に使用するための弱毒化PRRSVを提供することである。
【0036】
本発明の目的は更に、PRRSV感染の予防および/または治療におけるワクチンまたは医薬としての使用のための弱毒化PRRSVを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は制限断片の組み立てを示す。区分された線はPRRSVゲノムを表す。上部の太い矢印は、ウイルスcDNAを組み立てるために使用される制限部位を示す。太線は、RT-PCRによって生成され、pUC19またはpACYC-177-ADAP内にクローニングされたウイルスcDNAを表す。cDNAのサブクローニングの順序が細い矢印により示されている(工程1〜11)。
図2図2は全長クローンpVAC-T7-5の構造を図示する。全長クローンを得るべく組み立てられるウイルスcDNAがボックスにより表されている。cDNAを組み立てるために使用される制限部位が示されている。T7プロモーターは矢印により表されている。ベクターpACYC-177-ADAPは線により表されている。完全インサートを遊離させるのに適した制限部位(AscIおよびXbaI)が示されている。
図3図3は、pVAC 5.0を得るためのpVAC-T7-5の改変のための戦略を表す。鋳型クローンpVAC-T7-5が上部に表されている。点線は全長クローンの未完成の描画を示す。図3には以下の工程が示されている: ・工程1:PRRSVゲノムの上流へのAscIおよびSwaI制限部位の導入。プライマーが水平矢印により表されている。プライマー配列に含まれる制限部位が示されている。5'末端cDNAを置換するために使用されるpVAC-T7-5部位SwaIおよびRsrIIが示されている。 ・工程2:PCRによるPRRSVゲノムの下流へのデルタ型肝炎ウイルスリボザイム(HDV-Rz)の導入。プライマーが水平矢印により表されている。3'末端cDNAの置換およびリボザイムの導入に使用されるpVAC-T7-5部位HpaIおよびXbaIが示されている。 ・工程3:中間体クローンAsc-Swa-pVAC5-HDV-Rzにおけるヒトサイトメガロウイルスプロモーターのクローニング。該プロモーターのPCR増幅に使用されるプライマー、およびそれらの制限部位が示されている。該プロモーターを導入するために使用される中間体クローンpVAC-T7-5 Asc-Swa-pVAC5-HDV-RzのAscIおよびSwaI部位が示されている。
図4図4はクローンpVAC 5.0の構造を示す。全長クローンを得るべく組み立てられるウイルスcDNAがボックスにより表されている。cDNAを組み立てるために使用される制限部位が示されている。ヒトサイトメガロウイルスプロモーター(pCMV)が矢印により表されている。デルタ型肝炎ウイルスリボザイム(HDV-Rz)が楕円形により表されている。pACYC-177-ADAPベクターが線により表されている。完全インサートを遊離させるのに適した制限部位(AscIおよびXbaI)が示されている。
図5図5は、使用されるプライマーの位置、およびクローンpVAC 5.2の構築のためのPRRSVの株VP-046 BISの可変性研究において配列決定された位置を表す。
図6図6はpVAC 5.0からpVAC 5.2へのクローニング事象を示す。最高頻度配列変異体を増幅するために使用されるプライマーの位置、およびpVAC 5.0中のcDNA領域25Rを最高頻度配列変異体cDNAで置換するために使用される切断部位の位置。
図7図7は、使用されるプライマーの位置、およびクローンpVAC 5.1の構築のためのPRRSVの株VP-046 BISの可変性研究において配列決定された位置を示す。
図8図8はpVAC 5.0からpVAC 5.2へのクローニング事象を示す。最高頻度配列変異体を増幅するために使用されるプライマーの位置、およびpVAC 5.0中のcDNA領域を最高頻度配列変異体cDNAで置換するために使用される切断部位の位置。
図9図9は、実施例4に記載されているとおり、群A(pVAC 5.2)および群B(VP-046 BIS)に関する研究の第3日から第37日までの血中ウイルス(ウイルス血症)の平均力価(CCID50/mL;CCID50は50%細胞培養感染用量である)を表す。
図10図10は、実施例4に記載されているとおり、群A(pVAC 5.2)および群B(VP-046 BIS)の接種動物に関する肺組織、扁桃および糞便スワブにおけるPRRSV陽性動物の百分率を示す。
図11図11は、実施例4に記載されているとおり、pVAC 5.2接種群(群A)およびVP-046 BIS接種群(群B)におけるウイルス血症動物(第2連続継代)の百分率を表す。
図12図12は、実施例5に記載されているとおり、PRRSVの同種ビルレント株でのチャレンジの後の各群(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関するウイルス血症動物の、試験日の関数としての百分率を表す。
図13図13は、実施例5に記載されているとおり、PRRSVの同種ビルレント株でのチャレンジの後の各群(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関する糞便中排出について陽性の動物の、試験日の関数としての百分率を表す。
図14図14は、実施例5に記載されているとおり、同種チャレンジの後の各群(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関する、試験の第83日の扁桃スワブにおいてPRRSVに対し陽性の動物の百分率を表す。
図15図15は、実施例6に開示されているとおり、PRRSウイルスの異種ビルレント株でのチャレンジ(D34(第34日))の前および後のワクチン接種動物およびワクチン未接種動物(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関するPRRSVに対する抗体の相対指数を示す。ELISA Civtest suis PRRS-E(Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン))を使用して抗体を測定した。
図16図16は、実施例6に記載されているとおり、PRRSウイルスの異種ビルレント株でのチャレンジの後の、ワクチン接種動物およびワクチン未接種動物(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関する、試験日の関数としての平均血中ウイルス力価をCCID50/mLとして表す。
図17図17は、実施例6に記載されているとおり、PRRSウイルスの異種ビルレント株でのチャレンジの後の、ワクチン接種動物およびワクチン未接種動物(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関する、試験日の関数としてのウイルス血症動物の百分率をCCID50/mLとして表す。
図18図18は、実施例6に開示されているとおり、動物の各群(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関する、試験日の関数としての、糞便スワブから得られた平均PRRSV力価をCCID50/mLとして表す。
図19図19は、実施例6に記載されているとおり、各群(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関する、試験日の関数としての、糞便中排出を示す陽性動物の百分率を表す。
図20図20は、実施例6に記載されているとおり、各群(群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および群C = ワクチン未接種対照群)に関する、肺組織および扁桃スワブに存在する平均PRRSV量をCCID50/mLとして表す。
図21図21はクローンpVAC 6.1の制限断片の組み立てを示す。区分された線はPRRSVゲノムを表す。上部の太い矢印は、ウイルスcDNAを組み立てるために使用される制限部位を示す。太線は、RT-PCRによって生成されたウイルスcDNAを表す。ボックスは中間体cDNAクローンを表す。cDNAのサブクローニングの順序が細い矢印により示されている(工程1〜11)。
図22図22は、実施例8に開示されているとおり、ワクチン接種後の種々の日におけるワクチン接種動物およびワクチン未接種動物に関するPRRSVに対する平均抗体価(IRPC)を表し、ここで、群AはV1042-P62 PRRSV準種でワクチン接種された群であり、群Bは、クローンpVAC6.1でワクチン接種された群であり、群Cはワクチン未接種群である。
図23図23は、実施例8に開示されているとおり、ワクチン接種後の種々の日における各群(群A = V1042-P62 PRRSV準種でワクチン接種された群、および群B = クローンpVAC6.1でワクチン接種された群)に関する血中ウイルスに陽性である同居動物の百分率を表す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
本発明の目的は、弱毒化PRRSV株のゲノムに基づく感染性cDNAクローンの製造方法であり、この方法は、
a)PRRSVの弱毒化株のゲノム配列の多型領域を特定し、
b)工程a)において特定された多型領域内の最高頻度配列を決定し、
c)工程a)において特定された多型領域の少なくとも1つにおける最高頻度配列を含む感染性cDNAクローンを構築することを含む。
【0039】
本発明者らは、弱毒化PRRSVのゲノムに基づく感染性cDNAクローンの製造方法であって、その全配列のヌクレオチドの少なくとも一部は、弱毒化PRRSVを構成する多型集団内に存在する最高頻度配列により置換されている、方法を、初めて開発した。そのような感染性クローンからレスキューされるウイルスを含むワクチンは、商業的に入手可能なワクチンより高い安全性を示す。なぜなら、それは感染動物における糞便中排出および唾液中排出を減少させ、それは、肺組織内にウイルス負荷を有する陽性動物の数を減少させると共に、驚くべきことに、該ワクチンの有効性が維持されるからである。ワクチンの安全性および有効性は2つの異なる特徴であるが、それらは完全に相互関連している。通常、安全性ワクチンプロファイルを改善しようとすると、有効性が失われ、またその逆も生じる。したがって、本発明では、PRRSVに対する有効かつより安全な新世代改変生ワクチンを提供する。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲においては、単数形表現「a」および「an」は、文脈に明らかに矛盾しない限り、複数対象物をも含む。
【0041】
また、本出願の「配列表」セクションの特定の配列への言及がなされている場合、それは、特に示されていない限り、「配列表」のDNAおよび該DNAに対応するRNAの両方を指すことが意図され、かつ該DNAおよびRNA配列に相補的な配列を含む。本出願におけるそのような文脈において、「対応する」とは、互いに同一であるDNAおよびRNAの配列を指すが、RNA配列はチミジンの代わりにウラシルを含有し、RNA分子の骨格はデオキシリボースの代わりにリボースを含有する。
【0042】
配列決定は、当業者によく知られた標準的な方法を用いて実施可能であり、これは、幾つかのcDNAクローンの使用、またはRT-PCR反応産物のサンガー(Sanger)配列決定法(Sangerら, A rapid method for determining sequences in DNA by primed synthesis with DNA polymerase, J. Mol. Biol., 1975, 94(3), 441-448に開示されているもの)、そしてまた、大規模配列決定法(例えば、Buermansら, Next generation sequencing technology: Advances and applications, Biochim. Biophys. Acta, 2014, 1842, 1932-1941に開示されているもの)を含む。
【0043】
領域内の可変性、すなわち、多型性の評価は、特定の数(例えば、約20個以上)のクローンを配列決定することにより行われうる。あるいは、制限断片長多型(RFLP)、ディープシークエンシングまたは一本鎖高次構造多型分析(SSCP)が用いられうる。そのような方法は、例えば、Beckmannら, Restriction fragment length polymorphisms in genetic improvement: methodologies, mapping and costs, Theor. Appl. Genet., 1983, 67, 35-43; Goldmanら, Making sense of deep sequencing, Int. J. Neuropsychopharmacol., 2014, 17, 1717-1725、およびSheffieldら, The Sensitivity of Single-Strand Conformation Polymorphism Analysis for the detection of Single Base Substitutions, Genomics, 1993, 16, 325-332に開示されている。
【0044】
ゲノム配列の構築は制限断片の組み立て(本発明の実施例に示されている)または化学合成により行われうる。
【0045】
ゲノム配列内の特定の領域の置換は、標準的なクローニング方法または定方向突然変異誘発(本発明の実施例に示されている)、または化学合成により行われうる。
【0046】
感染性クローンは、ウイルスの全ゲノムがプロモーターおよび必要に応じて他の調節エレメント(例えば、ターミネーターとして使用されるデルタ型肝炎ウイルスリボザイム)の制御下でクローニングされているプラスミドベクター分子であり、この場合、例えば、クローニングされたゲノムの直接的な転写は、感染を直接的に開始させうるRNA分子を与える。
【0047】
感染性cDNAクローンをトランスフェクション(形質転換感染)により細胞内に導入して、感染性ウイルスを生成させることが可能である。
【0048】
感染性クローンおよび感染性cDNAクローンは本発明においては同義語として用いられる。
【0049】
本発明の感染性クローンの製造方法は弱毒化PRRSVのゲノムに基づいている。
【0050】
「弱毒化PRRSV」は、インビトロおよび/またはインビボで弱毒化されており、野生型病原性PRRSVと比較して低減したビルレンス(virulence)を示す、生存PRRSV株を意味し、ここで、ビルレンスは、病原性(すなわち、病原体が宿主または宿主の後代において臨床徴候、例えば体温上昇または生殖機能不全を生じる能力)の度合を意味する。ブタの場合、肺病変、41℃までの体温上昇もPRRSVのビルレンスに関連している。血清中のウイルスの存在および体分泌物も、弱毒化ウイルスにおいては、ビルレンスウイルスと比較して低減している。
【0051】
株の弱毒化は、例えば、ブタ肺胞マクロファージに対するインビトロでの非順応性(unadaptation)、複製動態の変化、または細胞培養における細胞変性効果の形状の変化により、当業者により判定されうる。
【0052】
好ましくは、弱毒化PRRSV株は欧州PRRSVまたは北米PRRSVでありうる。
【0053】
「欧州PRRSV」なる語は、1991年頃に欧州で最初に分離されたPRRSVに関連した遺伝的特徴を有するPRRSVの任意の株を意味する(例えば、Wensvoortら, Mystery swine disease in the Netherlands: the isolation of Lelystad virus, Vet. Quart., 1991,13, 121-130を参照されたい)。「欧州PRRSウイルス」は当技術分野においては遺伝子型1またはIと称されることもあり、「レリスタッド(Lelystad)ウイルス」が欧州PRRSV分離株の原型である。したがって、任意のレリスタッド様分離株も欧州PRRSVに含まれる。レナ(Lena)株も遺伝子型1を代表するものである(Karniychuckら, Research article Pathogenesis and antigenic characterization of a new East European subtype 3 porcine reproductive and respiratory syndrome virus isolate, BMC Vet. Res., 2010, 6, 30 (1-10))。
【0054】
「北米PRRSV」なる語は、例えば、1990年代初め頃に米国で最初に分離されたPRRSV(これに限定されるものではない)のような北米PRRSV分離株に関連した遺伝的特徴を有する任意のPRRSVを意味する(例えば、Collinsら, Isolation of swine infertility and respiratory syndrome virus (isolate ATCC VR-2332) in North America and experimental reproduction of the disease in gnotobiotic pigs J. Vet. Diagn. Invest., 1992, 4, 117-126を参照されたい)。「北米PRRSV」は遺伝子型2またはIIとも称され、VR-2332株が北米PRRSV分離株の原型である。他の北米のPRRSV分離株としては、以下のものが挙げられる:北米PRRSウイルス分離株MN-1b(Kwangら, Cloning, expression, and sequence analysis of the ORF4 gene of the porcine reproductive and respiratory syndrome virus MN-1b, J. Vet. Diagn. Invest., 1994, 6, 293-296)、PRRSVのケベック(Quebec)IAF-exp91株(Mardassiら, Molecular analysis of the ORFs 3 to 7 of porcine reproductive and respiratory syndrome virus, Quebec reference strain, Arch. Virol., 1995,140, 1405-1418)、および北米PRRSV分離株VR 2385(Mengら, Molecular cloning and nucleotide sequencing of the 3'-terminal genomic RNA of the porcine reproductive and respiratory syndrome virus, J. Gen. Virol., 1994, 75,1795-180
1)。
【0055】
好ましい実施形態においては、弱毒化PRRSV株は弱毒化欧州PRRSV株であり、より好ましくはVP-046 BIS株(アクセッション番号CNCM I-1642にて、Collection Nationale de Cultures de Micro-organismes- Pasteur Institute (CNCM), Institut Pasteur, 25-28, Rue du Dr. Roux, 75724 Paris Cedex 15(フランス)に1995年11月23日に寄託された)である。もう1つの好ましい実施形態においては、弱毒化欧州PRRSV株はVP1042-P62株(アクセッション番号CNCM 1-5219にて、Collection Nationale de Cultures de Micro-organismes- Pasteur Institute (CNCM)に2017年7月19日にHipra Scientific S.L.U.により寄託された)である。
【0056】
工程a):PRRSVの弱毒化株のゲノム配列の多型領域の特定
本発明の方法においては、PRRSVの弱毒化株のゲノム配列が使用される。好ましい実施形態においては、該ゲノム配列は、コンセンサス配列に対して少なくとも99.90%、99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.98%、99.99%、99.999%の同一性の度合を有する配列に対応する。より好ましい実施形態においては、該ゲノム配列はPRRSVの弱毒化株のコンセンサス配列であり、すなわち、該配列はコンセンサス配列に対して100.00%の同一性を有する。99.90%の同一性の度合は10000ヌクレオチドの配列中に10個の異なるヌクレオチドがあることを表し、99.99%の同一性の度合は10000ヌクレオチドの配列中に1つの異なるヌクレオチドがあることを表す。
【0057】
「コンセンサス配列」なる語は、幾つかの関連するが同一ではない配列を示すために用いられる。それは、実際の配列内の各位置で最も頻繁に見出されるヌクレオチドまたはアミノ酸(ポリペプチド配列の場合)を挿入することにより編集される。通常、それは、幾つかのPRRSV完全ゲノム配列をアライメントし、ついで、該アライメントの各位置で見出される最もよく見られるヌクレオチドを選択することにより作成される。あるいは、コンセンサス配列は、適切なオンラインツールまたはソフトウェア、例えばJalView、ClustalW2またはUgeneを使用して作成されうる。コンセンサス配列はRT-PCR産物の直接サンガー(Sanger)配列決定法によっても得られうる。他の技術、例えば、Buermansら(前掲)に開示されている技術も、コンセンサス配列を作成するのに有用である。その場合、多型領域は弱毒化PRRSV株のゲノム配列上で自動的に特定される。
【0058】
好ましくは、コンセンサス配列は、配列の各位置において少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%以上の頻度で見出されるヌクレオチドの算出配列(calculated order)である。あるいは、コンセンサス配列はRT-PCR反応産物の直接サンガー(Sanger)配列決定法により得られ、ここで、ある位置が多型であると言えるのは、2個以上のピークがクロマトグラムにおいて認められる場合である。
【0059】
本発明においては、cDNAクローンを配列決定する場合、コンセンサス配列は、弱毒化PRRSV株の抽出RNAに相補的な少なくとも2個、好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも50個、更に好ましくは100個までの重複DNAクローンから得られ、各位置に関して、コンセンサス配列は、該配列の各位置の少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%に存在するヌクレオチドとして得られる。あるいは、コンセンサス配列はRT-PCR反応産物の直接サンガー(Sanger)配列決定法により得られ、ここで、ある位置が多型であると言えるのは、2個以上のピークがクロマトグラムにおいて認められる場合である。
【0060】
好ましい実施形態においては、弱毒化PRRSVのコンセンサス配列は配列番号1であり、これは弱毒化ウイルスVP-046 BIS株から得られる。
【0061】
もう1つの好ましい実施形態においては、弱毒化PRRSVのコンセンサス配列は配列番号163であり、これは弱毒化ウイルスV1042-P62株から得られる。
【0062】
感染性クローンpVAC 5.0は配列番号2のゲノム配列を含み、これは、クローンpVAC-T7-5に存在するPRRSVゲノムであり、配列番号1のコンセンサス配列に対して99.98%の同一性の度合を示す。
【0063】
部分的pVAC 5.0感染性クローンはpACYC177-ADAPの断片を含み、以下の構造を有する:
・1〜32:pACYC-ADAP(部分的)、
・33〜40:AscI制限部位、
・41〜622:ヒトサイトメガロウイルス由来のプロモーターpCMV、
・623〜630:SwaI制限部位、
・631〜15753:配列番号2のPRRSVゲノム、
・15754〜15837:デルタ型肝炎ウイルスリボザイム、
・15838〜15843:XbaI制限部位、
・15844〜15917:pACYC177-ADAP(部分的)。
【0064】
感染性クローンpVAC 5.0の部分ヌクレオチド配列は配列番号3である。感染性クローンpVAC 5.0の全ヌクレオチド配列は配列番号223であり、これはpACYC-ADAPの全配列をも含む。
【0065】
感染性クローンpVAC 5.0はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに、Hipra Scientific S.L.U.によりアクセッション番号DSM 32339として寄託された(2016年7月19日)。クローンpVAC-T7-5およびpVAC 5.0の製造は実施例1に記載されている。
【0066】
多型領域は、1以上の多型位置を含有する、2.5kb未満、好ましくは2.0kb未満、より好ましくは1.5kb未満、更に好ましくは1.3kb未満のサイズを有するゲノム領域である。本発明の場合には、多型位置は、見出される全てのヌクレオチドが75%未満の頻度であった位置として定義される。
【0067】
多型領域の特定は、通常、マッピングツール、例えばGeneious R.9.0.2パッケージ(Biomatters Ltd)に含まれるものを使用して、完全な弱毒化PRRSVゲノムをカバーする異なる重複クローンからのヌクレオチド配列を組み立てることにより行われる。組み立て後、ソフトウェアに含まれるツールは、前記のコンセンサス配列を構築することを可能にする。あるいは、RT-PCR反応生成物の直接サンガー配列決定から得られるクロマトグラムにおいて2個以上のピークが観察される場合には、多型領域は目視検査により特定されうる。その分析は、例えばGeneious R.9.0.2パッケージ(Biomatters Ltd.)に含まれているツールを使用することによっても行われうる。大規模配列決定法、例えばBuermansら(前掲)に開示されているものも、多型領域を特定するために用いられうる。
【0068】
多型領域は、5'UTR、ORF1a、ORF1b、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7および3'UTR、好ましくはORF1a、ORF1b、ORF4、ORF5およびORF7、より好ましくはORF1a、ORF1b、ORF4およびORF5からなる群から選択されうる。
【0069】
好ましい実施形態においては、多型領域は弱毒化ウイルスVP-046 BIS株のORF1a、ORF1b、ORF3、ORF4、ORF5およびORF6、より好ましくはORF1a、ORF1b、ORF3、ORF4、ORF5およびORF6から選択される。もう1つの好ましい実施形態においては、多型領域は、弱毒化ウイルスV1042-P62株のORF1a、ORF1b、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF7および3'UTR、より好ましくはORF1a、ORF1b、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF7および3'UTRから選択される。
【0070】
弱毒化ウイルスVP-046 BIS株において特定されたオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列の以下の位置に位置する:
・5'UTR:1〜221、
・ORF1A:222〜7412、
・ORF1B:7394〜11785、
・ORF2A:11796〜12545、
・ORF2B:11801〜12013、
・ORF3:12404〜13201、
・ORF4:12946〜13497、
・ORF5:13494〜14099、
・ORF6:14087〜14608、
・ORF7:14598〜14984、
・3'UTR:14985〜15098。
【0071】
オープンリーディングフレーム(ORF)の位置は、PRRSV株によって若干異なり得る。弱毒化ウイルスV1042-P62株の場合、ORFはウイルスVP-046 BIS株の同じ位置に位置する。
【0072】
欧州PRRSVに関する好ましい実施形態においては、多型領域は、
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672、および
iii)対応糖タンパク質GP2〜GP5をコードするORF2〜ORF5を含む領域、好ましくは、ORF4〜ORF5を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位
に位置し、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。
【0073】
欧州PRRSVに関するもう1つの好ましい実施形態においては、多型領域は、
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672、および
iii)ORF3〜ORF6を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位
に位置し、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。
【0074】
もう1つの好ましい実施形態においては、多型領域は、以下の領域:
i)1164〜2113位、
ii)4630〜6543、
iii)6906〜8402、
iv)11618〜12274、および
v)ORF3〜3'UTRを含む領域、より好ましくは、12970〜13887位および14633〜15082位から選択される領域
に位置し、ここで、その位置は、配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。
【0075】
PRRSウイルス(レリスタッドウイルス)のORF 2〜7によりコードされるタンパク質の特徴づけは、Meulenbergら, Characterization of Proteins Encoded by ORFs 2 to 7 of Lelystad Virus, Virology, 1995, 206, 155-163に開示されている。レリスタッドウイルスの全ゲノムおよびORFのヌクレオチド配列はGenBankアクセッションM96262.2に開示されている。
【0076】
工程b):特定された多型領域内の最高頻度配列の決定
前工程において特定された多型領域内の最高頻度配列の決定は、弱毒化PRRSV株の抽出RNAに相補的な好ましくは少なくとも約50個、より好ましくは約100個までの重複DNAクローンから、該領域の少なくとも約20個のクローンを得、適切なソフトウェア、例えばGeneiousパッケージ(Biomatters Ltd)を使用して該配列をアライメントさせることにより行われる。該ソフトウェアに含まれるツールは、最大数のクローンによって共有される配列、すなわち、最高頻度配列の特定を可能にする。あるいは、ディープシークエンシングも、最高頻度配列の決定に使用されうる。
【0077】
あるいは、特定された多型領域内の最高頻度ヌクレオチド配列の決定は、弱毒化PRRSV株における関心領域に相補的な好ましくは少なくとも約50個、より好ましくは約100個までの重複DNAクローンから、該領域の少なくとも約20個のクローンを得ることにより行われうる。多数派(majority)ヌクレオチド配列が見いだされない場合には、ついでヌクレオチド配列をタンパク質に翻訳し、任意の適切なソフトウェアパッケージを使用してアライメントし、ついで最高頻度アミノ酸配列を特定する。ついで、最も豊富なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を選択する。
【0078】
工程c)工程a)で特定された多型領域の少なくとも1つにおける最高頻度配列を含む感染性クローンの構築
本発明の方法においては、少なくとも1つの多型領域における最高頻度配列を決定したら、実施例に示されているとおり、分子クローニングの標準的な方法を用いて、少なくとも1つの多型領域におけるそのような最高頻度配列を含む感染性クローンを構築する。
【0079】
感染性cDNAクローン
本発明の目的は更に、そのような方法により得られる感染性cDNAクローンを提供することである。
【0080】
本発明の方法により得られる感染性クローンはウイルスゲノムおよび調節エレメントを含み、ここで、ウイルスゲノムは、PRRSVの弱毒化株、好ましくは弱毒化欧州PRRSV、より好ましくは、VP-046 BIS PRRSV株およびVP1042-P62 PRRSV株から選択されるものの配列において特定された多型領域の少なくとも1つにおける最高頻度配列を含む。
【0081】
好ましい実施形態においては、該配列は、PRRSVの弱毒化株、より好ましい実施形態においては、弱毒化欧州PRRSV、より好ましくは、VP-046 BIS PRRSV株およびVP1042-P62 PRRSV株のコンセンサス配列に対応する。
【0082】
好ましい実施形態においては、感染性クローンは、
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672位、および
iii)対応糖タンパク質GP2〜GP5をコードするORF2〜ORF5を含む領域、好ましくは、ORF4〜ORF5を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位の領域
からなる群から選択される多型領域の少なくとも1つにおける最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。
【0083】
特に好ましい実施形態においては、感染性クローンは、対応糖タンパク質GP2〜GP5をコードするORF2〜ORF5を含む領域、好ましくは、ORF4〜ORF5を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位の領域、に対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。特に好ましい実施形態においては、感染性クローンは12938〜14151位の領域内の最高頻度配列のみを含む。
【0084】
もう1つの好ましい実施形態においては、感染性クローンは、
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672、および
iii)ORF3〜ORF6を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位の領域
からなる群から選択される少なくとも1つの多型領域における最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。
【0085】
特に好ましい実施形態においては、感染性クローンは、ORF3〜ORF6を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位の領域、に対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。特に好ましい実施形態においては、感染性クローンは12938〜14151位の領域内の最高頻度配列のみを含む。
【0086】
12938〜14151位の領域に対応する最高頻度配列を含む感染性クローンはpVAC 5.2と名づけられている。
【0087】
部分的pVAC 5.2感染性クローンはpACYC177-ADAPの断片を含み、以下の構造を有する:
・1〜32:pACYC177-ADAP(部分的)、
・33〜40:AscI制限部位、
・41〜622:ヒトサイトメガロウイルス由来のプロモーターpCMV、
・623〜630:SwaI制限部位、
・631〜15753:弱毒化ウイルスVP-046 BISゲノム配列変異体5.2、
・15754〜15837:デルタ型肝炎ウイルスリボザイム、
・15838〜15843:XbaI制限部位、
・15844〜15917:pACYC177-ADAP(部分的)。
【0088】
感染性クローンpVAC 5.2の部分ヌクレオチド配列は配列番号4である。感染性クローンpVAC 5.2の全ヌクレオチド配列は配列番号225であり、これはpACYC-ADAPの全配列をも含む。
【0089】
感染性クローンpVAC 5.2はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに、Hipra Scientific S.L.U.によりアクセッション番号DSM 32341として寄託された(2016年7月19日)。感染性クローンpVAC 5.2の製造は実施例2に記載されている。
【0090】
もう1つの好ましい実施形態においては、感染性クローンは、以下の多型領域:
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672位、および
iii)12938〜14151位
における最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSVのコンセンサス配列に基づくものである。
【0091】
3902〜3959位、6792〜7672位および12938〜14151位のこれらの3つの領域に対応する最高頻度配列を含有する感染性クローンはpVAC 5.1と名付けられている。
【0092】
部分的pVAC 5.1感染性クローンはpACYC177-ADAPの断片を含み、以下の構造を有する:
・1〜32:pACYC177-ADAP(部分的)、
・33〜40:AscI制限部位、
・41〜622:ヒトサイトメガロウイルス由来のプロモーターpCMV、
・623〜630:SwaI制限部位、
・631〜15753:弱毒化ウイルスVP-046 BISゲノム配列変異体5.1、
・15754〜15837:デルタ型肝炎ウイルスリボザイム、
・15838〜15843:XbaI制限部位、
・15844〜15917:pACYC177-ADAP(部分的)。
【0093】
感染性クローンpVAC 5.1の部分ヌクレオチド配列は配列番号5である。感染性クローンpVAC 5.1の全ヌクレオチド配列は配列番号224であり、これはpACYC-ADAPの全配列をも含む。
【0094】
感染性クローンpVAC 5.1はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに、Hipra Scientific S.L.U.によりアクセッション番号DSM 32340として寄託された(2016年7月19日)。感染性クローンpVAC 5.1の製造は実施例3に記載されている。
【0095】
好ましい実施形態においては、感染性クローンは、以下の多型領域:
i)1164〜2113位、
ii)4630〜6543、
iii)6906〜8402、
iv)11618〜12274、および
v)ORF3〜ORF7を含む領域、より好ましくは、12970〜13887位および14633〜15082位から選択される領域
の少なくとも1つに対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。
【0096】
より好ましい実施形態においては、感染性クローンは、多型領域:
i)1164〜2113位、
ii)4630〜6543、
iii)6906〜8402、
iv)11618〜12274、
v)12970〜13887、および
vi)14633〜15082
に対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである。
【0097】
1164〜2113位、6906〜8402位、11618〜12274位、および14633〜15082位の範囲のゲノム領域における最高頻度ヌクレオチド配列変異体;4630〜6543位および12970〜13887位における最高頻度タンパク質をコードするヌクレオチド配列変異体の1つ;ならびにUの代わりにCを含有する8806位以外の位置の残部におけるコンセンサスヌクレオチド配列(配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づく)を含有する感染性クローンはクローンpVAC 6.1と名付けられている。
【0098】
感染性クローンpVAC 6.1の全ヌクレオチド配列は配列番号162である。
【0099】
感染性クローンpVAC 6.1はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに、Hipra Scientific S.L.U.によりアクセッション番号DSM 32542として寄託された(2017年6月22日)。感染性クローンpVAC 6.1の製造は実施例7に記載されている。
【0100】
クローンpVAC 6.1は以下の構造を有する:
・1〜15123:PRRSV V1042-P62ゲノム、
・15124〜15206:HDV-Rz、
・15207〜15212:XbaI制限部位、
・15213〜18737:ベクターpACYC177-ADAP-Pcmv、
・18738〜18745:SwaI制限サイト。
【0101】
好ましい実施形態においては、感染性cDNAクローンは、クローンpVAC 5.2、クローンpVAC 5.1およびクローンpVAC 6.1の群から選択される。より好ましい実施形態においては、感染性cDNAクローンはpVAC 5.2である。もう1つの好ましい実施形態においては、感染性cDNAクローンはpVAC 5.1である。もう1つの好ましい実施形態においては、感染性cDNAクローンはpVAC 6.1である。
【0102】
本発明の感染性クローンの構成は、弱毒化PRRSV株のコンセンサス配列において特定された多型領域の少なくとも1つにおける最高頻度配列を含むウイルスゲノム、そしてまた、調節エレメントを含み、例えば、クローン化ゲノムの直接転写は感染を直接的に開始させうるRNA分子を与える。そのような調節エレメントはプロモーター配列、好ましくはヒトサイトメガロウイルスプロモーター(pCMV)、リボザイム、例えばデルタ型肝炎ウイルス由来のものを含む。ウイルスcDNAおよび調節エレメントは、クローニングのための適切な制限部位を有する細菌プラスミドにより担持される。
【0103】
核酸、DNAベクター、宿主細胞およびウイルス
本発明の1つの目的は、本発明の感染性cDNAクローンを含む組換え核酸である。本発明の組換え核酸は少なくとも1つの多型領域における最高頻度配列を含む。
【0104】
本発明の1つの目的は、本発明の組換え核酸のコピーを含むDNA構築物である。好ましい実施形態においては、該DNA構築物はDNAベクター、例えばプラスミドである。好ましい実施形態においては、該DNA構築物は、単離されたDNA構築物である。
【0105】
本発明の1つの目的はそのようなDNA構築物のRNA転写産物である。好ましい実施形態においては、RNA転写産物は、単離されたRNA転写産物である。
【0106】
標準的なクローニング法および核酸分子の調製は、当業者によく知られたマニュアル、例えば、J. SambrookおよびD. W. Russell, Molecular Cloning: A laboratory manual, 4th edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 2012に記載されているようにして行われうる。
【0107】
本発明の1つの目的は、本発明のDNA構築物でトランスフェクトされた宿主細胞である。
【0108】
トランスフェクションは、当技術分野における標準的な方法に従い、環状感染性cDNAプラスミドまたは予め線状化された分子のいずれかを使用して行われうる。トランスフェクションに適した細胞は、例えば、クローン8細胞(Collection Nationale de Cultures de Microorganismesアクセッション番号I-1643)、BHK-21細胞、VERO細胞またはMARC-145細胞(ATCC CRL-11171)である。好ましくは、クローン8細胞が使用される。
【0109】
トランスフェクションおよび増幅実験において観察された結果は、生物学的に活性なPRRSVをインビトロ条件で生成する本発明の感染性クローンの能力を証明している。
【0110】
本発明の1つの目的は、本発明のRNA転写産物によりコードされる弱毒化PRRSVである。
【0111】
弱毒化PRRSVは、標準的な方法に従い、宿主細胞のトランスフェクションの後で細胞培養上清から得られうる。
【0112】
弱毒化PRRSVの製造方法は、本発明の感染性cDNAクローンでの宿主細胞のトランスフェクション、および細胞培養上清からのウイルス粒子の単離を含む。
【0113】
宿主細胞のトランスフェクション法は、本発明のRNA転写産物によりコードされる弱毒化PRRSV粒子を産生する。
【0114】
したがって、本発明はまた、前記宿主細胞により産生される弱毒化PRRSV、好ましくは、弱毒化欧州PRRSVまたは弱毒化アメリカPRRSV、およびより好ましくは、単離された弱毒化欧州PRRSVを提供する。
【0115】
ワクチンおよび免疫原性組成物
本発明の1つの目的は、弱毒化PRRSV、好ましくは、弱毒化欧州PRRSVおよび弱毒化北米PRRSVからなる群から選択される弱毒化PRRSVを含む免疫原性組成物である。
【0116】
好ましい態様においては、免疫原性組成物は、用量当たり10〜107 CCID50、好ましくは102〜106、より好ましくは103〜106の力価の本発明の弱毒化PRRSV株を含む。
【0117】
本発明の1つの目的は、免疫学的に有効な量の本発明の弱毒化PRRSVと医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチンであり、好ましくは、該弱毒化PRRSVは、弱毒化欧州PRRVおよび弱毒化北米PRRSVから選択され、より好ましくは弱毒化欧州PRRSVであり、より好ましくは、VP-046 BIS PRRSV株およびVP1042-P62 PRRSV株から選択される。
【0118】
あるいは、該ワクチンは、免疫学的に有効な量の本発明の感染性cDNAクローンと医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含む。
【0119】
本発明のワクチンは、組成物にさらされた動物において防御応答を惹起する組成物である。
【0120】
「免疫学的に有効」なる表現は、ワクチン接種法において投与されるウイルスの量がPRRSVのビルレント形態による感染に対して宿主における有効な免疫学的応答を誘導するのに十分であることを意味する。
【0121】
使用されるべき用量は、ワクチン接種される動物の齢数、生理的状態および体重ならびに投与経路に依存することが公知である。適切な用量は、一般に、用量当たり、本発明の弱毒化PRRSV株10〜107 CCID50、好ましくは102〜106、より好ましくは103〜106 CCID50の範囲に含まれる。
【0122】
本発明のワクチンは、任意の齢数または生産サイクルの任意の段階におけるブタ(swine)、とりわけ、ブタ(pig)、雄ブタ、雌ブタおよび子ブタを含むブタを対象としている。それは、好ましくは、肥育期のブタ、より好ましくは1週齢以降のブタ、および繁殖雌ブタ(未経産ブタおよび妊娠および/または授乳中の雌ブタ)を対象としている。
【0123】
ワクチンは、鼻腔内、皮内、粘膜もしくは粘膜下、皮下、エアロゾルにより、または筋肉内もしくは経口的に投与されうる。
【0124】
ワクチンは、種々の剤形に適した医薬製剤を製造するために当業者により用いられる典型的な方法、例えば、Remington The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 2000 [ISBN: 0-683-306472]のようなマニュアルに記載されている方法に従い製造されうる。
【0125】
ワクチンは、典型的には、エマルジョンまたは液体懸濁液の形態の注射ワクチンとして製造される。それらは、注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁させるのに適した固体形態でも製造されうる。
【0126】
注射ワクチンの用量の典型的な体積は、0.2ml〜5ml、好ましくは1ml〜3ml、より好ましくは1ml〜2mlである。
【0127】
ワクチンを製造するために使用されうる液体ビヒクルには、例えば、水、生理的塩濃度を有する食塩水、または宿主細胞が培養される培養液が含まれる。
【0128】
また、場合により、ビヒクルは医薬上許容される賦形剤または補助物質、例えば湿潤剤、分散剤、乳化剤、緩衝化剤(例えば、リン酸バッファー)、安定剤、例えば炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、デンプンまたはデキストラン)、またはタンパク質(例えば、アルブミン、カゼイン、ウシ血清または脱脂乳)を含有しうる。
【0129】
賦形剤の物理化学的特徴ならびにそれらが市販されている市販品の名称はR.C. Roweら, Handbook of Pharmaceutical Excipients, 4th edition, Pharmaceutical Press, London, 2003 [ISBN: 0-85369-472-9]の書籍において見出されうる。
【0130】
所望により、ワクチンの有効性を増強するために、アジュバントもワクチンに配合されうる。好ましくは、本発明のワクチンはアジュバントを更に含む。アジュバントは、ワクチン抗原に対する宿主の免疫応答を増強する非特異的免疫系刺激物質である。アジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ビタミンE、スクアレン、植物油、サポニン、朝鮮ニンジン、ザイモサン、グルカン、ジメチルアミノエチルデキストラン、デキストラン、非イオン性ブロックポリマー、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、ムラミルジペプチド、W/O、O/W、W/OW型エマルジョン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0131】
好ましい実施形態においては、ワクチンは注射用ワクチンであり、例えば10% FBS(Fetal Bovine Serum, Gibco)を補足したMEM G(Glasgow Minimum Essential Medium, Thermo Fisher Scientific)のようなビヒクル中に懸濁された本発明の弱毒化PRRSVを含む。
【0132】
好ましい実施形態においては、ワクチンは凍結乾燥形態で本発明の株を含みうる。凍結乾燥法は、当業者によく知られた方法により行われる。
【0133】
好ましい実施形態においては、ワクチンは、ブタを侵す他の疾患または追加的病態に対する抗原成分を含む。ワクチンは、好ましくは、例えば以下のものにより引き起こされる疾患または病態に対する防御をブタに付与することを目的とする:アクチノバチルス属種(Actinobacillus sp.)、ブラキスピラ属種(Brachyspira sp.)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、サルモネラ属種(Salmonella sp.)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus sp.)、イソスポラ属種(Isospora sp.)、エリジペロスリックス・ルジオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、レプトスピラ属種(Leptospira sp.)、スタヒロコッカス属種(Staphylococcus sp.)、ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、クロストリジウム属種(Clostridium sp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma sp.)、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、大腸菌(Escherichia coli)微生物、ブタインフルエンザウイルス、伝染性胃腸炎ウイルス、ブタパルボウイルス、脳心筋炎ウイルス、コロナウイルス、ロタウイルス、ブタサーコウイルス、ブタ離乳後発育不全症候群原因因子、ブタコレラウイルス、アフリカブタコレラウイルス、カリシウイルスおよび/またはトルクテノウイルス。
【0134】
より好ましい実施形態においては、追加的疾患は、ブタサーコウイルス(PCV2)により引き起こされるPCVAD(ブタサーコウイルス関連疾患)、および/またはマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)により引き起こされるマイコプラズマ肺炎として知られるものである。
【0135】
本発明の1つの目的は、PRRSV感染の予防および/または治療に使用するための、弱毒化PRRSVと医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチンである。
【0136】
本発明の1つの目的は、PRRSVウイルス感染の予防および/または治療に使用するための弱毒化PRRSVウイルスである。
【0137】
本発明の1つの目的は、PRRSV感染の予防および/または治療におけるワクチンまたは医薬としての使用のための弱毒化PRRSVである。
【0138】
PRRSV感染の予防および/または治療は、本発明の弱毒化PRRSVがPRRSV感染の臨床徴候から動物を予防できること、ならびに/またはそのような臨床徴候、例えば呼吸器徴候、体温、ウイルス血症、または糞便、鼻もしくは唾液中排出、生殖障害を低減し、ブタ生産能(すなわち、1日平均体重増加、離乳時体重)を改善し、子ブタの衰弱および死亡率を低減できることを意味する。
【0139】
予防は、PRRSVのビルレント株による疾患過程の誘発または開始の前に、動物、好ましくはブタ(swine)、より好ましくは繁殖雌ブタ、より好ましくはブタ(pig)、より一層好ましくは子ブタを本発明の免疫原性組成物またはワクチンにさらす予防方法に関連している。
【0140】
治療は、動物、好ましくはブタ(swine)、より好ましくはブタ(pig)においてPRRSウイルス感染により引き起こされる臨床徴候の低減に関連している。
【0141】
本発明の範囲においては、臨床徴候の低減は、本発明のワクチンまたは免疫原性組成物の投与を受けた動物における、その投与を受けていない動物と比較した場合の、血中ウイルスの減少、すなわち、PRRSV量の減少、糞便中排出におけるウイルス負荷(ウイルス量)の減少、および体温低下を意味する。好ましくは、これらの臨床徴候は、本発明の弱毒化PRRSVの投与を受けた対象において、その投与を受けていない動物と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、更に好ましくは少なくとも40%、より一層好ましくは少なくとも50%低減する。
【0142】
動物の血清中の血中ウイルス量(ウイルス血症)はCCID50/mLとして測定され、CCID50は50%細胞培養感染量である。本発明の免疫原性組成物またはワクチンの投与を受けた動物における血中ウイルス量は、通常、該組成物の投与を受けていない対象と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.90%、99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%または99.99%減少する。
【0143】
弱毒化およびビルレンスへの復帰に関する試験
本発明の感染性クローンの弱毒化およびビルレンスへの復帰を評価するための試験は、弱毒化PRRSウイルス株VP-046 BISと比較して以下の結果を示す。
【0144】
第1連続継代
接種動物における血中ウイルス(ウイルス血症): pVAC 5.2でワクチン接種された群に関する血中ウイルス力価は、VP-046 BISでワクチン接種された群と比較して低い。pVAC 5.2群におけるウイルス血症動物の割合はより低い。
【0145】
同居動物における血中ウイルス(ウイルス血症): pVAC 5.2は、VP-046 BISと比較して血中ウイルスを増加させなかった。pVAC 5.2群においては、ウイルス血症動物の割合はより低い。
【0146】
接種動物におけるウイルス組織負荷および排出: pVAC 5.2群においては、肺組織、扁桃および糞便スワブにおけるPRRSV陽性動物の割合はより低い。
【0147】
同居動物におけるウイルス組織負荷および排出: pVAC 5.2群に関する肺ウイルス負荷はVP-046 BIS群と比較して有意に低い。pVAC 5.2群においては好都合なことに、肺組織および扁桃スワブにおけるPRRSV陽性動物の割合はより低い。
【0148】
第2連続継代
接種動物における血中ウイルス(ウイルス血症): pVAC 5.2群におけるウイルス血症動物の割合はより低い。
【0149】
同居動物における血中ウイルス(ウイルス血症): pVAC 5.2群に関しては、同居動物における血中ウイルスが消失。pVAC 5.2群においては、血中ウイルス陽性同居動物の割合はより低い。
【0150】
接種動物および同居動物におけるウイルス組織負荷および排出: pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、肺ウイルス負荷および扁桃スワブにおいてPRRSVは検出不能。pVAC 5.2群に関しては肺ウイルス負荷を有する及び扁桃スワブにおける動物の割合の明らかな(ゼロまでの)減少。pVAC 5.2が接種された動物においては糞便中排出は見られなかった。
【0151】
全般的結論: pVAC 5.2は、より低い血中ウイルスおよび複製能を示しており、これは、肺および扁桃における、より低い蓄積能、およびその結果としての、より低い復帰能を表している。VP-046 BIS群と比較してpVAC 5.2群において見られた血中ウイルスおよび排出の減少は同居動物における感染の傾向を低減し、したがって復帰の機会を減少させる。インビボでの連続継代によるビルレンスへの復帰の可能性は明らかに減少する。
【0152】
同種感染に対する有効性
ビルレントPRRSVによる同種感染に対する本発明の感染性クローンの有効性は、血中ウイルス(ウイルス血症)、糞便中および唾液中排出ならびに扁桃スワブにおけるウイルスの存在の点で、商業的に入手可能なワクチン(Laboratorios Hipra, Amer, Girona, Spain)に匹敵する。
【0153】
異種感染に対する有効性
本発明の感染性クローンの有効性は、PRRSVによる異種感染に対して、商業的に入手可能なワクチン(Laboratorios Hipra, Amer, Girona, Spain)に匹敵する。
【0154】
血清学的プロファイル: 実験感染後の対照群と比較して、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンまたは市販ワクチンのいずれかでワクチン接種された動物の抗体レベルは増加した。
【0155】
血中ウイルス(ウイルス血症): ワクチン接種後の第38、41、44および48日において、ワクチン接種動物群と対照群との間で平均血中ウイルスにおける有意差が認められる。対照群と比較して、pVAC 5.2の群に関しては、血中ウイルスにおける2桁レベルの減少が見られる。ワクチン接種後の第38、41、44、および48日(感染の4、7、10日後)において、ワクチン接種動物の各群および対照群に関して、チャレンジ後のウイルス血症動物の割合において有意差が認められる。
【0156】
糞便中排出: 対照群と比較して、ワクチン接種後第41日(pVAC 5.2)および第44日(VP-046 BIS)に平均糞便中排出において有意差が認められる。第48日に、ワクチン接種群に関して、排出における明らかな減少が認められた。ワクチン接種後第41日および44日(感染の4、7日後)にワクチン接種動物とワクチン未接種動物との間で統計的差異が認められ、排出動物の割合はより低い。
【0157】
肺および扁桃スワブ: ワクチン接種後第70日(感染後第36日)に、対照群よりもpVAC 5.2接種動物群に有利な様態で、肺組織におけるウイルス負荷において有意差が認められる。対照群と比較して、pVAC 5.2群において肺で検出されたPRRSVを有する動物の割合の有意な減少が認められる。
【0158】
全般的結論: ワクチン接種群に関しては、チャレンジ後に、ウイルス血症動物の割合および検出血中ウイルス力価の明らかな減少が認められる。ワクチン接種群に関しては、排出動物の明らかな減少が認められる。pVAC 5.2でのワクチン接種は異種感染後の肺組織および扁桃スワブにおけるウイルスの存在を減少させた。
【0159】
したがって、本発明の方法に従い得られる弱毒化PRRSVを含むワクチンは、商業的に入手可能なワクチンより高い安全性を示す。なぜなら、それは感染動物における糞便中排出および唾液中排出を減少させ、それは、肺組織内にウイルス負荷を有する陽性動物の数を減少させ、ワクチン接種動物からワクチン未接種動物へのウイルスの伝染も明らかに減少するからである。驚くべきことに、該ワクチンの有効性が維持される。
【0160】
したがって、本発明のワクチンは非常に興味深い安全性特徴を有し、PRRSV感染の防除において先行技術と比べて改良された代替物に相当する。
【0161】
クローンpVAC 6.1のセロコンバージョンおよび安全性の評価
ワクチンとしてクローンpVAC 6.1を使用して得られたセロコンバージョンは、V1042-P62 PRRS準種を使用することにより得られたものに匹敵する。実施例8には、両群におけるワクチン接種動物の73%がワクチン接種後第28日(D28)に既に血清陽性(IRPC > 20%)であったことが示されている。
【0162】
同居動物における血中ウイルス値によりPRRSV伝染を評価した。クローンpVAC 6.1を使用してワクチン接種された群との同居動物は、V1042-P62 PRRSV準種を使用してワクチン接種された群との同居動物の場合よりも有意に低いことが示されている。
【0163】
V1042-P62 PRRSV準種の場合より低い、pVAC 6.1群の血中ウイルスは、肺および扁桃における、より低い蓄積能、およびその結果としての、本発明のワクチンのビルレンスへの、より低い復帰能を表している。
【0164】
本発明は以下の実施形態を含む。
1.弱毒化PRRSV株のゲノムに基づく感染性cDNAクローンの製造方法であって、
a)PRRSVの弱毒化株のゲノム配列の多型領域を特定し、
b)工程a)において特定された多型領域内の最高頻度配列を決定し、
c)工程a)において特定された多型領域の少なくとも1つにおける最高頻度配列を含む感染性cDNAクローンを構築することを含む、製造方法。
【0165】
2.ゲノム配列が、PRRSVの弱毒化株のコンセンサス配列に対して少なくとも99.90%の同一性の度合を有する配列に対応する、実施形態1記載の製造方法。
【0166】
3.ゲノム配列がPRRSVの弱毒化株のコンセンサス配列である、実施形態2記載の製造方法。
【0167】
4.多型領域が、5'UTR、ORF1a、ORF1b、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7および3'UTRからなる群から選択される、実施形態1〜3のいずれか記載の製造方法。
【0168】
5.多型領域が、ORF1a、ORF1b、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7および3'UTRからなる群から選択される、実施形態4記載の製造方法。
【0169】
6.弱毒化PRRSV株が、弱毒化欧州PRRSV株および弱毒化北米PRRSV株からなる群から選択される、実施形態1〜5のいずれか記載の製造方法。
【0170】
7.弱毒化PRRSV株がVP-046 BIS株である、実施形態6記載の製造方法。
【0171】
8.コンセンサス配列が配列番号1である、実施形態7記載の製造方法。
【0172】
9.多型領域が、
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672、および
iii)ORF3〜ORF6を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位
の領域に位置し、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、実施形態8記載の製造方法。
【0173】
10.弱毒化PRRSV株がV1042-P62株である、実施形態6記載の製造方法。
【0174】
11.コンセンサス配列が配列番号163である、実施形態10記載の製造方法。
【0175】
12.多型領域が、以下の領域:
i)1164〜2113位、
ii)4630〜6543、
iii)6906〜8402、
iv)11618〜12274、および
v)対応糖タンパク質GP2〜GP5、膜タンパク質およびヌクレオカプシドタンパク質をコードするORF3〜3'UTRを含む領域、より好ましくは、12970〜13887位および14633〜15082位から選択される領域
に位置し、ここで、その位置は、配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、実施形態11記載の製造方法。
【0176】
13.実施形態1〜12のいずれか記載の製造方法により得られる感染性cDNAクローン。
【0177】
14.感染性クローンが、以下の多型領域:
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672、および
iii)ORF3〜ORF6を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位の領域
の少なくとも1つに対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、実施形態13記載の感染性クローン。
【0178】
15.感染性クローンが、ORF3〜ORF6を含む領域、より好ましくは、12938〜14151位の領域に対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSVのコンセンサス配列に基づくものである、実施形態14記載の感染性クローン。
【0179】
16.感染性クローンがpVAC 5.2と名付けられており、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32341として寄託されている、実施形態15記載の感染性クローン。
【0180】
17.感染性クローンが、以下の多型領域:
i)3902〜3959位、
ii)6792〜7672位、および
iii)12938〜14151位
に対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号1により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、実施形態13記載の感染性クローン。
【0181】
18.感染性クローンがpVAC 5.1と名付けられており、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32340として寄託されている、実施形態17記載の感染性クローン。
【0182】
19.感染性クローンが、以下の多型領域:
i)1164〜2113位、
ii)4630〜6543、
iii)6906〜8402、
iv)11618〜12274、および
v)ORF3〜3'UTRを含む領域、好ましくは、12970〜13887位および14633〜15082位から選択される領域
の少なくとも1つに対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、実施形態13記載の感染性クローン。
【0183】
20.感染性クローンが、多型領域:
i)1164〜2113位、
ii)4630〜6543、
iii)6906〜8402、
iv)11618〜12274、
v)12970〜13887、および
vi)14633〜15082
に対応する最高頻度配列を含み、ここで、その位置は、配列番号163により定められる弱毒化PRRSウイルスのコンセンサス配列に基づくものである、実施形態19記載の感染性クローン。
【0184】
21.感染性クローンがpVAC 6.1と名付けられており、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32542として寄託されている、実施形態20記載の感染性クローン。
【0185】
22.実施形態13〜21のいずれか記載の感染性cDNAクローンを含む組換え核酸。
【0186】
23.実施形態22記載の組換え核酸のコピーを含むDNA構築物。
【0187】
24.該DNA構築物がプラスミドである、実施形態23記載のDNA構築物。
【0188】
25.実施形態24記載のDNA構築物のRNA転写産物。
【0189】
26.実施形態25記載のRNA転写産物によりコードされる弱毒化PRRSV。
【0190】
27.実施形態26記載の弱毒化PRRSVを含む免疫原性組成物。
【0191】
28.弱毒化PRRSVが、弱毒化欧州PRRSVおよび弱毒化北米PRRSVからなる群から選択される、実施形態27記載の免疫原性組成物。
【0192】
29.免疫学的に有効な量の実施形態26記載の弱毒化PRRSVまたは実施形態13記載の感染性cDNAクローンと、医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチン。
【0193】
30.弱毒化PRRSVが、弱毒化欧州PRRSVおよび弱毒化北米PRRSVからなる群から選択され、より好ましくは弱毒化欧州PRRSVである、実施形態29記載のワクチン。
【0194】
31.ワクチンが、アクチノバチルス属種(Actinobacillus sp.)、ブラキスピラ属種(Brachyspira sp.)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、サルモネラ属種(Salmonella sp.)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus sp.)、イソスポラ属種(Isospora sp.)、エリジペロスリックス・ルジオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、レプトスピラ属種(Leptospira sp.)、スタヒロコッカス属種(Staphylococcus sp.)、ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、クロストリジウム属種(Clostridium sp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma sp.)、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、大腸菌(Escherichia coli)微生物、ブタインフルエンザウイルス、伝染性胃腸炎ウイルス、ブタパルボウイルス、脳心筋炎ウイルス、コロナウイルス、ロタウイルス、ブタサーコウイルス、ブタ離乳後発育不全症候群原因因子、ブタコレラウイルス、アフリカブタコレラウイルス、カリシウイルスおよび/またはトルクテノウイルスにより引き起こされるものからなる群から選択される、ブタを侵す他の疾患または追加的病態に対する抗原成分を含む、実施形態29または30記載のワクチン。
【0195】
32.PRRSウイルス感染の予防および/または治療に使用するための、実施形態26記載の弱毒化PRRSVと医薬上許容される希釈剤または賦形剤とを含むワクチン。
【0196】
33.PRRSV感染の予防および/または治療に使用するための実施形態26記載の弱毒化PRRSV。
【0197】
34.PRRSV感染の予防および/または治療におけるワクチンまたは医薬としての使用のための実施形態26記載の弱毒化PRRSV。
【0198】
35.実施形態23記載のDNA構築物でトランスフェクトされた宿主細胞。
【0199】
次に、限定的ではない例示目的で、本発明の幾つかの実施例を提示する。
【実施例】
【0200】
一般的方法
標準的なクローニング手順は、J. SambrookおよびD. W. Russell, Molecular Cloning: A laboratory manual, 4th edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 2012に記載されているようにして行った。特に示されていない限り、市販のキットおよび酵素を、製造業者により提供された説明書に従い使用した。
【0201】
実施例1:感染性クローンpVAC 5.0(配列番号3)の構築
クローンpVAC 5.0は、13173位および13922位以外は、弱毒化PRRSV株VP-046 BISで見出される準種のコンセンサスゲノム配列を含み、すなわち、それは99.98%の同一性の度合を有する。コンセンサスゲノム配列は、各位置において配列決定された全ての分子クローンのうち少なくとも75%の頻度で存在するヌクレオチドにより構成される配列として定められる。PRRSV株VP-046 BISのコンセンサス配列は2〜5(中央値 = 3.5)個の重複する分子クローンにより決定された。この場合、ある位置が多型と称されるのは、そのヌクレオチド全ての頻度が75%未満である場合である。13173位および13922位において、コンセンサス配列(配列番号1)はそれぞれCおよびUを(共に75%の頻度で)含み、一方、これらの位置において、クローンpVAC 5.0はそれぞれUおよびCを含んでいた(共に2.5%の頻度で見出された)。クローンpVAC 5.0は、既に報告されている配列(GenBankアクセッションGU067771)と99.868%のヌクレオチド同一性を有する。
【0202】
1.a)ウイルス
この研究の出発材料は、Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン)から商業的に入手可能な凍結乾燥材料からサンプル採取されたPRRSV株VP-046 BIS(GenBankアクセッション番号GU067771, CNCMアクセッションI-1642, 1995年11月23日)であった。
【0203】
1.b)ウイルスRNAの単離
凍結乾燥材料を10mLの滅菌脱イオン水に再懸濁した。キットHigh Pure Viral RNA(Roche)を使用して、RNA抽出を行った。
【0204】
1.c)逆転写
逆転写酵素AccuScript高忠実度逆転写酵素(High Fidelity Reverse Transcriptase)(Agilent Technologies)および表Iに示すプライマーを使用して、cDNAを得た。
【0205】
【表1】
【0206】
1.d)PCRによるcDNAの増幅
cDNAの増幅の前に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用してプライマーをリン酸化して、生じたPCR産物を、SmaI(Thermo Fisher Scientific)での消化により線状化されたベクターpUC19に連結した。
【0207】
Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)および表IIに示すプライマーを使用するPCRにより、cDNAを増幅した。
【0208】
【表2】
【0209】
1.e)ベクターの調製
線状化ベクターpUC19-SmaIを使用して、cDNA F2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、30R、28R、25R、33RおよびNsi-cDNA2(表II)をクローニングした。
【0210】
ベクターpUC19-SmaIをXbaIで消化し、cDNA F1(表II)の定方向クローニングのために、GeneJetゲル精製キット(Gel Purification Kit)(Thermo Fisher Scientific)を使用して、1% アガロースゲルから精製した。
【0211】
市販ベクターpACYC177(New England BioLabs)を改変して、新たなマルチクローニング部位を挿入した。第1に、ポリヌクレオチド断片GAACGCCGGA GGATCC GGCGCGCC GATATC TTAATTAA ACGCGT TCTAGA GCCCTTCCGG CTGGCTGGTT(配列番号124)をIDT社(Integrated DNA Technologies, https://eu.idtdna.com/site)により合成し、それをpIDTSMART-AmpベクターのBamHIおよびAscI部位間にクローニングした。第2に、Maxi Plasmidキット(Qiagen)を使用して、プラスミドpACYC177およびpIDTSMART-Ampを、予め形質転換された大腸菌(E. coli)培養物から調製した。第3に、両方のプラスミドを制限酵素BamHIおよびAscIで消化した。カナマイシン耐性マーカーを含有するpACYC177の断片、および新たなマルチクローニング部位を含有するpIDTSMART-Ampからの断片を、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用してアガロースゲルから精製し、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結し、大腸菌(E. coli)DH5αエレクトロコンピテント細胞内に形質転換した。得られたプラスミドDNAを、Maxi Plasmidキット(Qiagen)を使用して単離し、pACYC177-ADAPと名付けた。cDNA 19〜29(表II)の連結のために、プラスミドをEcoRVで消化した。
【0212】
消化されたベクターを、エビアルカリホスファターゼ(Sigma)を使用して脱リン酸化した。
【0213】
1.f)インサートの調製
RT-PCR産物F2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、19-29、30R、28R、25R、33RおよびNsi-cDNA2(表II)を、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して1% アガロースゲルから精製した。
【0214】
SmaI-XbaI消化pUC19ベクター内への定方向クローニングのために、RT-PCR産物F1(表II)を、精製カラムGeneJet(Thermo Fisher Scientific)を使用して精製し、XbaIで消化し、アガロースゲルから精製した。
【0215】
1.g)ウイルスゲノムRNAの5'末端についてのcDNAの製造および増幅
ウイルスゲノムRNAの5'末端に対応する配列を、5'RACE技術を用いて、そして5'RACEシステムキット(Invitrogen)を製造業者提供の説明書に従い使用して決定した。この実験に使用したプライマーを表IIIに示す。
【0216】
【表3】
【0217】
1.h)断片のクローニングおよび配列決定
インサートF2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、30R、28R、33R、Nsi-cDNA2および5'RACE(表IIおよびIII)をSmaI消化pUC19プラスミドに連結した。インサートF1をSmaI-XbaI消化pUC19ベクター内に連結した。
【0218】
インサート19〜29をEcoRV消化pACYC177-ADAPベクターに連結した。
連結は、酵素T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して行った。連結産物を大腸菌(E. coli)DH5α内にエレクトロポレーションした。
【0219】
プラスミドを1〜5個の形質転換コロニーから単離した。pUC19内にクローニングされたウイルスcDNAを、まず、表IVに示されているプライマーM13FおよびM13Rを使用して配列決定した。
【0220】
【表4】
【0221】
完全インサート配列を得るために、表Iおよび表II中の適切なプライマーを使用した。得られた配列から設計したプライマーを使用して配列決定することにより、間隙を埋めた。pACYC-177-ADAP内にクローニングされたウイルスcDNA 19-29を、PRRSV特異的プライマーのみを使用すること以外は同じ方法を用いて配列決定した。
【0222】
1.i)コンセンサス配列の構築
cDNA F1、F2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、30R、28R、25Rおよび33の2〜5個のクローンから得られた配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集し、組み立てた。各位置に関して、該クローンの少なくとも75%に存在するヌクレオチドとしてコンセンサス配列を得た(配列番号1)。
【0223】
工程a)〜f)により得られたコンセンサスヌクレオチド配列は、単離されたVP-046株(GenBankアクセッションGU067771)のゲノムに対して99.897%の同一性を有する。
【0224】
1.j)制限断片の調製
図1に示されている部位を用いて、5'から3'方向へ、制限切断断片を組み立てた。
各領域に関して、コンセンサス配列を含有する1つのクローンを、感染性クローンに含めるように選択した。領域25Rに対応する全てのクローンは、コンセンサスとは異なる配列を有するため、感染性クローンを組み立てるために使用したクローンは無作為に選択された。
【0225】
必要なときはいつでも、前工程で得られたpUC19クローンを大腸菌(E. coli)内で増幅し、Wizard(登録商標)Plus SV Minipreps DNA精製システムキット(Promega)を使用してプラスミドDNAを単離した。pACYC177-ADAPクローンの場合には、Maxi Plasmidキット(Qiagen)を使用してDNAを精製した。
【0226】
必要なときはいつでも、酵素Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)、鋳型としての前工程で得られたプラスミドおよび表Vに示されているプライマーを使用するPCRにより、制限断片を増幅した。
【0227】
【表5】
【0228】
1.k)断片の消化および連結
図1に示されているとおり、適切な制限酵素を使用してプラスミドを消化した。断片のサイズを1% アガロースゲル上の電気泳動により確認し、予想サイズを示す断片を、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して精製した。
【0229】
PCR産物を、精製カラムGeneJet(Thermo Fisher Scientific)を使用して精製し、図1に示されているとおりに適切な酵素で消化し、前記のとおりに1% アガロースゲルから精製した。
【0230】
予想サイズの制限断片をアガロースゲルから精製し、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を使用して、エレクトロコンピテント大腸菌(E. coli)細胞を形質転換した。
【0231】
1.l)制限断片の組み立て
制限断片を、図1に表されている以下の手順に従い、5'から3'の方向で組み立てた。
【0232】
・工程1 - クローンpUC19-F1をDraIIIおよびXbaIで消化した。ウイルスcDNA F2を、プライマーPRRSV-64FおよびPRRSV-65Rを使用してクローンpUC19-F2-9BからPCR増幅し、DraIIIおよびXbaIで消化した。消化産物を連結した。
【0233】
・工程2 - クローンpUC19-Nsi-cDNA1-4および工程1で得られたクローンをRsrIIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0234】
・工程3 - プライマーM13FおよびM13Rを使用して、クローンpUC19-1-6R-3(5' SmaI - 3' XbaIの方向にクローニングされたもの)からウイルスcDNA6RをPCR増幅した。工程2で得られた構築物およびこのPCRの産物を共にNsiIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0235】
・工程4 - pUC19ベクターをpACYC-ADAPベクターで置換するために、工程3で得られたクローンおよびpACYC177-ADAPプラスミドを共にAscIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0236】
・工程5 - 工程4で得られたクローンおよびクローンpACYC177-ADAP-19-29-1を共にSpeIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0237】
・工程6 - クローンpUC19-30R-6およびpUC19-28R-1を共にCspClおよびXbaIで消化し、連結した。
【0238】
・工程7 - 工程6で得られたDNA断片をSmaIおよびXbaIでの消化によりベクターから切り出し、EcoRVで予め切断されXbaIで消化されたpACYC177-ADAP内にサブクローニングした。
【0239】
・工程8 - 鋳型としての工程7で得られた構築物ならびにプライマーpACYC-87FおよびpACYC-88Rを使用して、PCR反応を行った。このPCRからの結果物および工程5で得られたクローンを共にBglIIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0240】
・工程9 - プライマーPRRSV-72FおよびPRRSV-73Rを使用して、クローンpUC19-25RのPCR反応を行った。得られた産物および工程8で得られたクローンを共にBsiWIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0241】
・工程10 - クローンpUC19-33-6および工程9で得られた構築物をHpaIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0242】
・工程11 - 工程10で生成されたクローンの配列決定は領域Nsi-cDNA1内の欠失を示した。この問題を解決し、正しい配列を導入するために、ウイルスRNAとプライマーPRRSV-66FおよびPRRSV-67Rを使用して追加的なRT-PCRを行った。得られた産物および工程10で得られた構築物を共にRsrIIおよびSalIで消化し、連結した。この工程で得られた構築物をpVAC-T7-5と名付けた。
【0243】
全ゲノム(配列番号2)をカバーするのに適したプライマーを使用して、クローンpVAC-T7-5を配列決定した。図2はクローンpVAC-T7-5のスキームを示す。
【0244】
1.m)pVAC-T7-5に導入するヒトサイトメガロウイルスプロモーター(pCMV)およびデルタ型肝炎ウイルスリボザイム(HDV-Rz)の調製
Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)を製造業者提供の説明書に従い使用するPCRにより、DNAを増幅した。適切な制限酵素での消化の前に、GeneJet PCR精製キット(Thermo Fisher Scientific)を使用してPCR産物を精製した。GeneJetゲル抽出キット(Thermo Fisher Scientific)を使用して、消化産物を1% アガロースゲルから精製した。このクローニング工程で使用したプライマーを表VIに示す。
【0245】
【表6】
【0246】
1.n)ベクターの調製
後記工程o)およびp)においてベクターとして使用されるプラスミド(pVAC-T7-5、Asc-Swa-pVAC5およびAsc-Swa-pVAC5-HDV)を適切な制限酵素で消化し(図3)、GeneJetゲル精製キット(Thermo Fisher Scientific)を使用して1% アガロースゲルから精製した。精製されたベクターを脱リン酸化のためにエビアルカリホスファターゼ(Sigma)で処理した。
【0247】
1.o)連結(ligation)
連結は、酵素T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して行った。連結産物をエレクトロコンピテント大腸菌(E. coli)DH5α内にエレクトロポレーションした。QIAGEN(登録商標)Plasmid Maxiキット(Qiagen)を使用して、プラスミドDNAを精製した。
【0248】
1.p)断片の組み立て
クローンpVAC-T7-5を、図3に示されている以下の工程を含む方法に従い改変した。
・工程1:鋳型としてのクローンpVAC-T7-5ならびにプライマーPRRSV-110FおよびPRRSV-103R(表VI)を使用して、ウイルスゲノムの5'末端をPCR増幅した。得られたPCR産物をAscIおよびRsrIIで消化し、同じ酵素でのpVAC-T7-5の消化により得られたベクター内にクローニングした。このクローンをAsc-Swa-pVAC5と名付けた。
【0249】
・工程2:HDV-Rzを導入するために2回の連続的PCRを行った。第1 PCRにおいては、プライマーPRRSV-112FおよびHDV-114R(表VI)と共に、クローンpVAC-T7-5を鋳型として使用した。得られたPCR産物を精製し、プライマーPRRSV-112FおよびHDV-115R(表VI)を使用する第2 PCR反応の鋳型として使用した。得られたPCR産物をHpaIおよびXpaIで消化し、工程1で得られたクローンと同じ酵素ペアでの消化により得られたベクター内にクローニングした。このクローンをAsc-Swa-pVAC5-HDV-Rzと名付けた。
【0250】
・工程3:鋳型としてのベクターpCMV-Script XR(Agilent Technologies)ならびにプライマーpCMV-102FおよびpCMV-116R(表VI)を使用して、pCMVプロモーターをPCRにより得た。得られたPCR産物をAscIおよびSwaIで消化し、工程2において得られたクローンの、同じ2つの制限酵素での消化により得られたベクター内にクローニングした。得られたクローンをpVAC 5.0と名付け、図4に示す。
【0251】
1.q)配列の検証
pVAC 5.0に挿入されたPRRSV配列を確認するために、ゲノム、pCMVプロモーター、HDV-Rzリボザイム、およびクローニングベクターとの連結部の配列を得るのに適したプライマーを用いて、DNAを配列決定した。クローンpVAC 5.0の配列を提供する(配列番号3)。
【0252】
配列番号3において:
断片1(1〜962位)は、プライマーpACYC-87F(表VII)を使用してプラスミドpVAC 5.0を配列決定することにより得た。この断片は5'から3'方向に以下のものを含む:ベクターpACYC177-ADAPの部分配列(1〜32位)、AscI制限部位の配列(33〜40位)、pCMVプロモーターの配列(41〜622位)、SwaI制限部位の配列(623〜630位)、PRRSVウイルスの5'末端(631〜962位)。この断片の配列は、リバースプライマーPRRSV-63Rを使用する配列決定により確認された。
断片2: 5'末端内へのプロモーターの導入時にPRRSVのゲノムは変化しないと考えられうるため、配列番号2(pVAC-T7-5)の333〜14612位をコピーし、配列番号3(pVAC5.0)の963〜15242位にペーストした。
断片3: 表VIIに示されているプライマーpACYC-88Rを使用するプラスミドpVAC 5.0の配列決定により、15243〜15917位を得た。
【0253】
【表7】
【0254】
この配列は、ポリ(A)テール(15243〜15753位)、HDV-Rz(15754〜15837位)、XbaIの制限部位(15838〜15843)およびベクターpACYC177-ADAPの部分配列(15844〜15917)を含むPRRSVの3'末端部分を含有する。断片3においては、クローンpVAC-T7-5およびpVAC 5.0(共にプライマーHDV-114Rにより導入される)におけるPRRSVのゲノムの間に2つの相違があり、配列番号2(pVAC-T7-5)中のシトシン15098がチミジン(配列番号3, pVAC 5.0中の15728位)に突然変異している。配列番号2(pVAC-T7-5)におけるポリ(A)テール(15099〜15139位)は、pVAC5.0(15729〜15753位)においては16ヌクレオチド短い。
【0255】
1.r)VP-046 BISのコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0のアラインメント。
全てのRNAウイルスに関して、弱毒化ウイルスVP-046 BISは準種集団構造を有し、このことは、それが複数の配列変異体を含有することを意味する。pVAC 5.0が得られた場合、クローニングされたPRRSVのゲノム配列は、全ての可能な多型位置に最も豊富な対立遺伝子を必ずしも含有しないキメラゲノムに相当する。異なるヌクレオチド位置における多型の存在を探究するために、2〜5(中央値 = 3.5)個の重複する分子クローンを配列決定し、i)に記載されているようにして組み立てた。カバー範囲の中央値は各位置に関して4リード(read)のものであり、2〜13の範囲であった。
【0256】
表VIIIは、用いたサンプルサイズ、各多型位置で見いだされたヌクレオチドおよびpVAC 5.0に組み込まれたヌクレオチドで検出されたコンセンサス配列とpVAC 5.0配列との間の相違を示す。
【0257】
【表8】
【0258】
ほとんどの場合、最高頻度対立遺伝子はpVAC 5.0に既に存在していたが、少数の位置においては、クローンに存在する対立遺伝子はVP-046 BIS弱毒化ウイルスにおける最も豊富な対立遺伝子を反映していないことが観察される。
【0259】
感染性クローンpVAC 5.0の全ヌクレオチド配列は配列番号223である。感染性クローンpVAC 5.0の部分ヌクレオチド配列は配列番号3である。
【0260】
感染性クローンpVAC 5.0は、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32339で寄託された(2016年7月19日)。
【0261】
実施例2:感染性クローンpVAC 5.2の構築
クローンpVAC 5.2は、糖タンパク質GP3(部分的)、GP4、GP5およびGP6(部分的)をコードする12492〜14584位の断片を除き、クローンpVAC 5.0と同じ完全PRRSVゲノム配列を含有する。この断片は、弱毒化ウイルスVP-046 BIS準種において見出される最高頻度配列変異体により置換されている。GP4およびGP5をコードする領域12938〜14151位に関する可変性研究、およびクローンpVAC 5.2を得るための感染性クローンpVAC 5.0における最高頻度配列変異体のクローニングを以下に記載する。
【0262】
2.a)ウイルス
この研究の出発材料は、Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン)から商業的に入手可能な凍結乾燥材料からサンプル採取されたPRRSV株VP-046 BIS(GenBankアクセッション番号GU067771, CNCMアクセッションI-1642, 1995年11月23日)であった。
【0263】
2.b)ウイルスRNAの単離
凍結乾燥材料を10mLの滅菌脱イオン水に再懸濁させた。High Pure Viral RNAキット(Roche)を使用して、RNA抽出を行った。
【0264】
2.c)逆転写
逆転写酵素AccuScript高忠実度逆転写酵素(Agilent Technologies)および表Xに示されているプライマーPRRSV-2Rを使用して、cDNAを得た。
【0265】
2.d)PCRによるcDNAの増幅
cDNAの増幅の前に、酵素T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して、表IXに示されているプライマーPRRSV-1FおよびPRRSV-2Rをリン酸化した。
【0266】
【表9】
【0267】
ついで、Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)ならびにプライマーPRRSV-1FおよびPRRSV-2R(表X)を使用するPCRにより、cDNAを増幅した。Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して、RT-PCR産物を1% アガロースゲルから精製した。
【0268】
2.e)cDNAのクローニングおよび配列決定
精製cDNAと、SmaI(Thermo Fisher Scientific)で予め消化されたベクターpUC19とを、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を大腸菌DH5αエレクトロコンピテント細胞内に形質転換した。プライマーM13FおよびM13R(表IV)を使用するコロニーPCRにより、連結を確認した。Wizard(登録商標)Plus SV Minipreps DNA精製システムキット(Promega)を使用して、プラスミドDNAを精製した。
【0269】
プラスミドDNAを21個のコロニーから単離し、インサートをプライマーM13FおよびM13R(表IV)で配列決定した。配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集しアライメントさせ、配列番号6〜26として示す。
【0270】
ウイルスゲノムの12938〜14151位を21個のcDNAクローンに関して決定した(図5)。最高頻度変異体は0.238の頻度を有していたが、その他のものの頻度は0.048であった。最高頻度配列は、配列番号6により定められる変異体に対応した。
【0271】
2.f)ウイルスおよびウイルスRNAの単離はa)およびb)におけるものと同じであった。
【0272】
2.g)逆転写
AccuScript高忠実度逆転写酵素(Agilent Technologies)およびプライマーPRRSV-120R(表X)を使用して、ウイルスcDNAを得た。
【0273】
2.h)PCRによるcDNAの増幅
cDNAの増幅の前に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して、プライマーPRRSV-119FおよびPRRSV-120R(表XI)をリン酸化した。Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)ならびにプライマーPRRSV-119FおよびPRRSV-120R(表II)を使用するPCRにより、cDNAを増幅した。Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して、RT-PCR産物をアガロースゲルから精製した。
【0274】
2.i)cDNAのクローニングおよび配列決定
ウイルスcDNAと、SmaI(Thermo Fisher Scientific)で消化されたベクターpUC19とを、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を大腸菌DH5α内にエレクトロポレーションした。プライマーM13FおよびM13R(表IV)を使用するコロニーPCRにより、連結を確認した。Wizard(登録商標)Plus SV Minipreps DNA精製システムキット(Promega)を使用して、プラスミドDNAを10個のコロニーから精製した。全インサート配列を得るのに適したプライマーを使用して、インサートを配列決定した。ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して、配列を編集し、e)において見出された最高頻度配列(配列番号6)とアライメントさせた。後続工程のために1つのクローンを選択した。このクローンをGPsM-clon1と名付け、このクローン中のウイルスcDNAの配列を提供する(配列番号27)。
【0275】
2.j)pVAC 5.0へのクローンGPsM-clon 1中のウイルスcDNAのサブクローニング(図6
【0276】
クローンGPsM-clon1中のウイルスcDNAを、Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)ならびにプライマーPRRSV-119FおよびPRRSV-120R(表Xに示されている)を使用するPCRにより増幅した。
【0277】
【表10】
【0278】
DNAを、GeneJet PCR精製キット(Thermo Fisher Scientific)を使用して精製し、BsiWIおよびHpaIで消化した。
【0279】
プラスミドpVAC 5.0をBsiWIおよびHpaIで消化し、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用してアガロースゲルから精製し、エビアルカリホスファターゼ(Sigma)を使用して脱リン酸化した。
【0280】
制限産物を、酵素T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を大腸菌(E. coli)DH5α内にエレクトロポレーションした。
【0281】
NucleoBond(登録商標)Xtra Maxiキット(Macherey-Nagel)を使用して、プラスミドDNAを形質転換体コロニーから単離した。この新たなクローンをpVAC 5.2と名付けた。
【0282】
2.k)VP-046 BISのコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0およびpVAC 5.2のアラインメント
弱毒化ウイルスVP-046 BISのコンセンサス配列における多型位置、ならびにコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0およびpVAC 5.2との間の相違を表XIに示す。
【0283】
【表11】
【0284】
12938〜14151位の領域に対応する最高頻度配列を含有する感染性クローンはpVAC 5.2と名付けられている。
【0285】
感染性クローンpVAC 5.2の全ヌクレオチド配列は配列番号225である。感染性クローンpVAC 5.2の部分ヌクレオチド配列は配列番号4である。
【0286】
感染性クローンpVAC 5.2はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32341として寄託された(2016年7月19日)。
【0287】
実施例3:感染性クローンpVAC 5.1の構築
クローンpVAC 5.1は、i)3902〜3959位、ii)6792〜7672位およびiii)12938〜14151位(GP4およびGP5をコードする)の領域に、弱毒化ウイルスVP-046 BISの準種における最高頻度配列変異体を含む。
【0288】
6792〜7672位の領域における弱毒化ウイルスVP-046 BISのヌクレオチド変異を以下の手順に従い評価した。
3.a)ウイルスおよびRNAの単離を、実施例2a)およびb)に記載されているようにして行った。
3.b)実施例2c)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-126R(表XII)を使用して逆転写を行った。
3.c)実施例2d)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-125FおよびPRRSV-126Rを使用して、PCRによるウイルスcDNAの増幅を行った。
3d)クローニングベクターpUC19へのウイルスcDNAの連結および大腸菌(E. coli)細胞の形質転換を、実施例2e)に記載されているようにして行った。
3e)cDNAの配列決定および最高頻度変異体の選択
【0289】
プライマーPRRSV-97FおよびPRRSV-32R(表I)を使用して、コロニーPCRを行った。プライマーPRRSV-97FおよびPRRSV-32R(表I)を使用して、30個のコロニーからのPCR産物を配列決定した。配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集し、アライメントさせ、配列番号28〜57として示す。
【0290】
ウイルスゲノムの6792〜7672位を30個のcDNAクローンに関して決定した(図5)。最高頻度変異体は0.533の頻度を有し、それに続く他のものは0.167未満の頻度を有する。
【0291】
最高頻度変異体を含有する1つのコロニーから、プラスミドDNAを単離した。このクローンをpUC19-INT-4と名付け、完全インサート配列を得るのに適したプライマーを使用して配列決定した。pUC19-INT-4中のインサートの配列を配列番号58として示す。
【0292】
pVAC 5.2へのクローンpUC19-INT-4中のウイルスcDNAインサートのサブクローニングを以下の手順に従い行った。
【0293】
3.f)実施例2j)に記載されている方法を用いて、ウイルスcDNAを、表XIIに示されているプライマーPRRSV-125Fおよび126Rを使用してクローンpUC19-INT-4から増幅し、プラスミドpVAC 5.2のSpeIおよびBglII部位間に定方向クローニングした(図6)。
【0294】
【表12】
【0295】
プライマーPRRSV-97FおよびPRRSV-32Rを使用するコロニーPCR、ならびに同じプライマーを使用するPCR産物の配列決定により、陽性クローンを特定した。実施例2j)と同様に、1つの陽性コロニーからプラスミドDNAを精製した。この構築物をpVAC 5.2-INTmと名付けた。
【0296】
3902〜3959位の領域における弱毒化ウイルスVP-046 BISのヌクレオチド変異を以下の手順に従い評価した。
3.g)ウイルス、およびPRRSVゲノムRNAの単離は、実施例1a)およびb)に記載されているとおりであった。
3.h)実施例2c)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-124R(表XIV)を使用して逆転写を行った。
3.i)実施例2d)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-123FおよびPRRSV-124R(表II)を使用して、PCRによるウイルスcDNAの増幅を行った。
3.j)クローニングベクターpUC19へのウイルスcDNAの連結およびエレクトロコンピテント大腸菌(E. coli)細胞の形質転換を、実施例2e)に記載されているようにして行った。
3.k)cDNAの配列決定および最高頻度変異体の選択
【0297】
プライマーPRRSV-93FおよびPRRSV-67R(表II)を使用して、コロニーPCRを行った。プライマーPRRSV-93FおよびPRRSV-67R(表XIII)を使用して、25個のコロニーのPCR産物を配列決定した。ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して、配列を編集し、アライメントさせた。配列を配列番号59〜83として示す。
【0298】
ウイルスゲノムの3902〜3959位を25個のcDNAクローンに関して決定した(図5)。最高頻度変異体は0.440の頻度を有し、pVAC 5.0に既に存在する変異体がそれに続き(0.400)、残りの2つの変異体は0.040という低い頻度を有する。
【0299】
最高頻度変異体を含有する1つのコロニーからプラスミドDNAを単離した。このクローンをpUC19-DEG-3と名付け、完全インサート配列を得るのに適したプライマーを使用して配列決定した。配列を配列番号84として示す。
【0300】
pVAC 5.2-INTmへのクローンpUC19-DEG-3中のウイルスcDNAインサートのサブクローニングを以下の手順に従い行った。
【0301】
3.l)プライマーPRRSV-123Fおよび124R(表XIII)を使用して、クローンpUC19-DEG-3からウイルスcDNAを増幅し、実施例2j)に記載されている方法を用いてプラスミドpVAC 5.2-INTmのRsrIIおよびSpeI部位間に定方向クローニングした(図6)。表XIIIに示されているプライマーPRRSV-93FおよびPRRSV-67Rを使用するコロニーPCR、および同じプライマーを使用するPCR産物の配列決定により、陽性クローンを特定した。実施例2j)と同様にして、1つの陽性コロニーからプラスミドDNAを精製した。
【0302】
【表13】
この構築物をpVAC 5.1と名付けた。
【0303】
3.m)VP-046 BISのコンセンサス配列ならびにクローンpVAC 5.0およびpVAC 5.2およびpVAC 5.1のアラインメント
弱毒化ウイルスVP-046 BISのコンセンサス配列における多型位置、ならびにコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0、pVAC 5.2およびpVAC 5.1との間の相違を表XIVに示す。
【0304】
【表14】
【0305】
3902〜3959位、6792〜7672位および12938〜14151位のこれら3つの領域に対応する最高頻度配列を含有する感染性クローンはpVAC 5.1と名付けられている。
【0306】
感染性クローンpVAC 5.1の全ヌクレオチド配列は配列番号224である。感染性クローンpVAC 5.1の部分ヌクレオチド配列は配列番号5である。
【0307】
感染性クローンpVAC 5.1はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32340として寄託された(2016年7月19日)。
【0308】
実施例4:子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の弱毒化およびビルレンスへの復帰の評価
この実施例においては、子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の弱毒化を、PRRSVの元の弱毒化ウイルス株VP-046 BIS(GenBankアクセッションGU067771)と比較した感染動態を考慮して評価し、感染性クローンpVAC 5.2のビルレンスへの復帰を子ブタにおける連続継代で評価した。
【0309】
該動物は研究の開始時に5週齢の雄および雌のブタであり、PRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。35頭の動物を第1連続継代において使用し、35頭の動物を第2連続継代において使用した。
【0310】
リアルタイム定量的PCR(RT-qPCR)により感染動態を測定した。血中ウイルス値(ウイルス血症値)および動物における臨床徴候の存在により、ビルレンスへの復帰を評価した。
【0311】
子ブタにおける第1連続継代のために、クローンpVAC 5.2およびVP-046 BIS株を使用した。
【0312】
クローンpVAC 5.2をXbaIで消化し、GeneJet PCR精製キットで精製して線状化DNAを得た。ついで、Lipofectamine(登録商標)3000キット(Thermofisher)を使用し、24ウェルプレート内で、100μl/ウェル中の線状化DNAを2μgに調節して、それを90%コンフルエントなクローン8細胞(Collection Nationale de Cultures de MicroorganismesアクセッションI-1643)内にトランスフェクトした。DNA-リポフェクタミン複合体を室温で30分間インキュベートし、ついでそれを該ウェルに添加した。添加後、DNA-リポフェクタミン複合体を、5% 二酸化炭素雰囲気下、37℃で3時間インキュベートした。3時間後、10% FBS(ウシ胎児血清)を補足したMEMg培地を加えた。
【0313】
PRRSVをクローン8細胞においても増幅し、4回のウイルス継代後に、得られた力価は9.02×104 CCID50/mLであった。全てのウイルス用量/動物を群間で均一にするために、ウイルスをPBS中で希釈した。それを2mL/動物の用量で投与した。
【0314】
トランスフェクションおよび増幅の結果は、本発明の感染性クローンがPRRSウイルスを産生できることを証明している。
【0315】
ワクチンVP-046 BISをPBSで再構成し、1.44×104 CCID50/mLを得た。
【0316】
第1連続継代においては、両方の産物を各鼻孔に1mLの1回の単一用量(これはpVAC 5.2では1.8×105 CCID50/動物に相当し、ワクチンVP-046 BISでは2.88×104 CCID50/動物に相当する)で鼻腔内投与した。
【0317】
この研究では以下の呼称を用いた:
・群A = pVAC 5.2接種群、
・群B = ワクチンVP-046 BIS接種群、および
・群C = PBS接種対照群。
【0318】
PRRSウイルスに関してRT-qPCRにより陽性であった、第1連続継代からの子ブタ由来のホモジナイズ化(均質化)肺組織を、子ブタにおける第2連続継代に使用した。そのような接種材料の生存能を単離によって確認した。
【0319】
第2連続継代においては、両方の産物を各鼻孔に0.5mLの1回の単一用量(これはpVAC 5.2では7.27×10 CCID50/動物に相当し、ワクチンVP-046 BISでは3.78×10 CCID50/動物に相当する)で鼻腔内投与した。
【0320】
両方の連続継代において、各群の10頭の動物にpVAC 5.2またはVP-046 BISのいずれかを接種し、5頭の動物には接種しなかったが、接種動物と部屋を共有させた。これらの動物は、PRRSウイルスの伝染レベルを評価するための同居動物とした。
【0321】
この研究で評価された変数および適用された統計学的検定を以下に挙げる。
・ウイルス分離株:群を比較するための記述統計学およびパラメトリック検定。
・臨床徴候:群、体温および体重のノンパラメトリック分散分析を比較するための記述統計学およびノンパラメトリック検定。
【0322】
4.1. - 第1連続継代の結果
4.1.1. - 接種動物および同居動物における血中ウイルス(ウイルス血症)
研究の第3日から第37日までの血清をRT-qPCRにより分析した。
【0323】
図9に、各群に関する研究の第3日から第37日までの血中ウイルス(ウイルス血症)の平均力価(CCID50/mL)が示されている。第3日、第7日および第21日には、群A(pVAC 5.2)と群B(VP-046 BIS)との間に有意差があり、A群に関しては、より低い力価の傾向が認められる。
【0324】
各群に関してウイルス血症動物の割合を比較したところ、群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の陽性動物の数の減少を示す明らかな傾向が認められた。ワクチン接種後第3日、第7日および第21日にも、統計的差異が認められた。
【0325】
同居動物からのRT-qPCRによる血清分析から、pVAC 5.2は、VP-046 BISと比較して、それらの動物における血中ウイルスを増加させないことが認められ、2.38×10 CCID50/mLの平均値を示した。
【0326】
各群に関して、ウイルス血症に陽性である同居動物の割合を比較したところ、群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の陽性動物の数の減少を示す明らかな傾向が再び認められた。
【0327】
VP-046 BISとの比較において、pVAC 5.2群の、より低い血中ウイルス量は、肺および扁桃における、より低い蓄積能、およびその結果としての、本発明のワクチンのビルレンスへの、より低い復帰能を表している。
【0328】
4.1.2. - 接種動物および同居動物におけるウイルス組織負荷および排出
接種後第35日に動物を安楽死させ、肺組織、扁桃および糞便スワブ中のウイルスの存在を分析した。
【0329】
図10に、各群に関する肺組織、扁桃および糞便スワブにおいてPRRSV検出に陽性の接種動物の割合が示されており、群B(VP-046 BIS)と比較して群A(pVAC 5.2)の陽性動物数の明らかな減少が示されている。
【0330】
第35日に同居動物を安楽死させ、肺組織、扁桃および糞便スワブ中のウイルスの存在を分析した。
【0331】
pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、同居動物における肺ウイルス負荷の有意な減少が認められた。肺組織および扁桃スワブにおけるPRRSVに陽性の動物の割合においても、群A(pVAC 5.2)に有利な同様の減少が認められた。
【0332】
VP-046 BISとの比較において、pVAC 5.2の、より低い組織負荷は、より低い、ビルレンスへの復帰能を表す。したがって、それは本発明のワクチンの安全性の向上を証明している。
【0333】
4.1.3. - 接種動物および同居動物におけるセロコンバージョン
pVAC 5.2を接種した動物の70%は第14日に既に血清陽性(IRPC > 20)であり、VP-046 BISを接種した動物に関しては80%であることが認められた。両群の動物の100%が第35日に血清反応陽性であった。
【0334】
同居動物においては、pVAC 5.2群におけるセロコンバージョンはより低いことが認められた。実際、この群の1頭の動物しか、有効なセロコンバージョンを示さなかった。第35日には、セロコンバージョンの割合はpVAC 5.2同居動物の20%およびVP-046 BIS接種動物との同居動物の80%であった。群B(VP-046 BIS)と比較して群A(pVAC 5.2)で見られる血中ウイルスおよび排出の減少は同居動物における感染の傾向を低減する。このように、インビボでの連続継代によるビルレンスへの復帰の可能性は低減した。
【0335】
4.1.4. - 接種動物および同居動物における臨床徴候および体温
臨床徴候は、Martelliら, Vaccine, 2009, 27, 3788-3799に開示されている方法に従い評価される。
【0336】
pVAC 5.2でのワクチン接種は、VP-046 BISと比較して、臨床徴候の軽減に関して、より良好な結果をもたらすことが認められた。
同居動物の群間の差異は有意ではなかった。
【0337】
4.2. - 第2連続継代の結果
4.2.1. - 接種動物および同居動物における血中ウイルス(ウイルス血症)
研究の第0日から第35日までの血清をRT-qPCRにより分析した。
【0338】
図11に、各群に関する血中ウイルスに陽性の接種動物(第2連続継代)の割合が示されている。群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の陽性接種動物の数およびウイルス力価の減少を示す明らかな傾向が認められた。
【0339】
群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の同居動物における血中ウイルスの消失(研究の全期間中にpVAC 5.2群に関しては0 CCID50/mL)および陽性同居動物の数の減少を示す明らかな傾向も認められた。
【0340】
4.2.2. - 接種動物および同居動物におけるウイルス組織負荷および排出
接種後第35日に動物を安楽死させ、肺組織、扁桃および糞便スワブ中のウイルスの存在をRT-qPCRにより分析した。
【0341】
pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、肺ウイルス負荷および扁桃スワブ中で有意な減少が認められた。
【0342】
また、pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、肺組織および/または扁桃スワブ中のウイルスの存在を示す動物の割合の明らかな減少が認められ、pVAC 5.2群においては動物の0%が陽性であったが、VP-046 BIS群においては、肺組織および扁桃スワブにおいて、それぞれ、90%および100%が陽性であった。
【0343】
pVAC 5.2(第2連続継代)を接種した動物においては、糞便中排出は実際に全く見られなかった。
【0344】
同居動物に関しても、血中ウイルス(肺組織および扁桃スワブ)において、肺組織および扁桃スワブにおける血中ウイルスに陽性の動物の割合に関して同様の結果が認められ、pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、肺ウイルス負荷および扁桃スワブの明らかな有意な減少が示され、pVAC 5.2(第2連続継代)が接種された場合には糞便中排出は実際に全く見られなかった。
【0345】
4.2.3. - 接種動物および同居動物におけるセロコンバージョン
pVAC 5.2(第2連続継代)で接種された動物はいずれも、該ウイルスに感染していなかったため、いずれも血清陽性でない(IRPC > 20)ことが認められた。反対に、VP-046 BIS(第2連続形態)で接種された動物は、接種されたウイルスが少量であったにもかかわらず、100%のセロコンバージョンを示した。
【0346】
この結果は、pVAC 5.2の、より低い血中ウイルスおよび複製能を証明した。
同様に、pVAC 5.2群の同居動物はいずれも血清陽性ではなく、IRPC ELISAは20未満の値(すなわち、陰性)を示した。これは、接種動物(第2連続継代)において示されたpVAC 5.2の、より低い血中ウイルスおよび複製能の結果である。
【0347】
4.2.4. - 接種動物および同居動物の臨床徴候および体温
臨床徴候は、Martelliらに開示されている方法に従い評価される。
第2連続継代からのpVAC 5.2もしくはVP-046 BISで接種された動物または同居動物において、重篤な臨床徴候は認められなかった。
【0348】
実施例5:子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の同種有効性評価
有効性試験のこの実施例においては、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンを接種した群とワクチン未接種群との間で、同種チャレンジ後のPRRSV感染の結果を比較した。該試験には、同様にチャレンジされた陽性対照(商業的に入手可能なVP-046 BIS株、Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン))も含めた。
【0349】
実施例4に開示されているようにして、クローンpVAC 5.2をトランスフェクトし、増幅させて、所望の体積および力価(103.88 CCID50/mL)を得た。それを1mL/動物の用量で投与した。
【0350】
VP-046 BIS株の凍結乾燥バイアルをPBSで再構成して、1mLの用量中の103.88 CCID50/動物を得た。
【0351】
動物はワクチン接種日に4週齢の雄および雌のブタであり、PRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。それらを各群15頭の子ブタの3群に無作為に分けた。1つの群には、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンで、103.88 CCID50/動物を用いて筋肉内経路によりワクチン接種した。もう1つの群には、同じウイルス力価のVP-046 BISワクチンでワクチン接種した。最後の群は無菌PBSでワクチン接種され、同じ飼育条件で維持された(チャレンジ対照として)。
【0352】
この研究では以下の呼称を用いた:
・群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、
・群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および
・群C = ワクチン未接種対照群。
【0353】
PRRSVに対するpVAC 5.2ワクチンおよびVP-046 BISの有効性を、ワクチン接種の42日後の子ブタにおけるPRRSV(5711)の同種ビルレント株でのチャレンジにより確認した。チャレンジは鼻腔内経路により行った。これは該ウイルスの自然感染経路の1つである。
【0354】
チャレンジ後、pVAC 5.2ワクチンおよびVP-046 BISの有効性の主張を裏付けるために、血中ウイルスおよび鼻腔内分泌物/糞便中のウイルス排出の頻度および期間を追跡した(RT-qPCR)。全ての子ブタの臨床徴候(全身徴候および呼吸徴候、死亡率および体温上昇を含む)および1日平均体重増加もモニターした。全ての動物の観察期間をチャレンジの42日後まで延長した。子ブタの肺および扁桃スワブにおけるPRRSウイルスの存在も、安楽死後に測定した(RT-qPCR)。また、ワクチン接種後の局所的または全身的臨床徴候を見つけるために、各子ブタを観察した。
【0355】
最後に、ワクチン接種後(適切な免疫化を評価するため)およびチャレンジ後(抗体動態の説明)に、全動物の血清学的検査(PRRSV抗体レベル;ELISAによる全IgG)を行った。更に、有効な抗体の定量によりpVAC 5.2ワクチンの防御特性を裏付けるために、全動物からの血清に関して、中和抗体(NA)の誘導も評価した。
【0356】
この研究は盲検法で行われ、したがって、動物にワクチン接種した者は、残りのサンプル採取および観察を行った者と同じではなかった。
【0357】
この研究で評価された変数および適用された統計学的検定を以下に挙げる。
・血中ウイルス(ウイルス血症)および血清学的プロファイル:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス(Kruskal Wallis)検定または分散分析(ANOVA)検定を血中ウイルスの群間比較に適用した。全ての群からのPRRSV抗体に関する平均力価の血清学的プロフィールを含む結果をグラフにプロットした。
・子ブタの体重:体重の集計、記述統計量、および群間比較のための分散分析検定を行った。
・直腸温データ:体温が正規分布することを考慮して、記述統計学を用いて体温を評価し、ANOVAモデル分散分析を用いて、治療を考慮して体温変化を経時的に分析した。
・臨床徴候および病変:ワクチン接種群および対照群に関する関連臨床徴候を比較した。臨床所見は離散変数であり、それらを、治療と臨床徴候との関連性のノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を用いて分析した。
・死亡率データ:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を群間比較に適用した。
【0358】
この試験で評価した全ての変数に関して、有意水準p <0.05を用いた。データ分析には、SPSS(登録商標)20.0(SPSS Inc.)、StatCalc(EpiInfo 6)およびMicrosoft(登録商標)Excel 2000(Microsoft Corp.)を使用した。
【0359】
同種感染の後にpVAC 5.2またはVP-046 BISでワクチン接種された群から得られたウイルス血症動物に関する結果(図12)、ウイルスの糞便中排出の平均値(図13)、糞便および唾液経路によりウイルスを排出する動物の割合、ならびに扁桃スワブにおけるウイルスの存在(図14)を考慮して、本発明によるpVAC 5.2ワクチンはVP-046 BISワクチンに類似した有効性を示すと結論付けることができる。ワクチン接種群の好ましい結果は対照とは有意に異なっていた。扁桃スワブにおいてウイルスを有する持続的感染動物の数は、両方のワクチンにより、同じ度合で減少した。pVAC 5.2ワクチンは、チャレンジの日およびそれ以降に、良好なセロコンバージョンを示した。これは持続的免疫応答および免疫防御物質としてのその適合性を証明している。
【0360】
実施例6:子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の異種有効性評価
有効性試験のこの実施例においては、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンの接種群とワクチン未接種群との間で、異種チャレンジ後のPRRSV感染の結果を比較した。該試験には、同様にチャレンジされた陽性対照(VP-046 BIS株(Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona, Spain)でワクチン接種されたもの)も含まれた。
【0361】
実施例4に開示されているようにして、クローンpVAC 5.2をトランスフェクトし、増幅させて、所望の体積および力価(103.88 CCID50/mL)を得た。ウイルスを、10% FBSを補足したMEG Gに懸濁させた。それを1mL/動物、すなわち、103.88 CCID50/動物の用量で投与した。
【0362】
105.9 CCID50/mLの力価を有するVP-046 BIS株の凍結乾燥バイアルを使用した。それらをPBSで再構成して、103.88 CCID50/動物を得た。
【0363】
動物はワクチン接種日に5週齢の雄および雌のブタであり、PRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。それらを各群12頭の子ブタの3群に無作為に分けた。1つの群には、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンで、103.88 CCID50/動物を用いて筋肉内経路によりワクチン接種した。もう1つの群には、同じウイルス力価のVP-046 BISワクチンでワクチン接種した。最後の群は無菌PBSでワクチン接種され、同じ飼育条件で維持された(チャレンジ対照として)。
【0364】
この研究では以下の呼称を用いた:
・群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、
・群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および
・群C = ワクチン未接種対照群。
【0365】
PRRSVに対する有効性を、ワクチン接種の35日後の、PRRSVの異種ビルレント株でのチャレンジにより確認した。チャレンジは鼻腔内経路により行った。これは該ウイルスの自然感染経路の1つである。チャレンジ株は104.99 CCID50/mLのウイルス力価を示した。実験的感染の終了時に、接種物の力価を確認した。
【0366】
チャレンジ後、クローンpVAC 5.2およびVP-046 BISワクチンの両方の有効性の主張を裏付けるために、血中ウイルスならびに唾液および糞便中へのウイルス排出の頻度および期間を追跡した(RT-qPCR)。全ての子ブタの臨床徴候(全身徴候および呼吸徴候、死亡率および体温上昇を含む)および1日平均体重増加もモニターした。全ての動物の観察期間をチャレンジの42日後まで延長した。子ブタの肺および扁桃スワブにおけるPRRSウイルスの存在も、安楽死後に測定した(RT-qPCR)。また、ワクチン接種後の局所的または全身的臨床徴候を見つけるために、各子ブタを観察した。
【0367】
最後に、ワクチン接種後(適切な免疫化を評価するため)およびチャレンジ後(抗体動態の説明)に、全ての動物の血清学的検査(PRRSV抗体レベル;ELISAによる全IgG)を行った。
【0368】
この研究は盲検法で行われ、したがって、動物にワクチン接種した者は、残りのサンプル採取および観察を行った者と同じではなかった。
【0369】
この研究で評価された変数および適用された統計学的検定を以下に挙げる。
・血中ウイルス(ウイルス血症)および血清学的プロファイル:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス(Kruskal Wallis)検定または分散分析(ANOVA)検定を血中ウイルスの群間比較に適用した。全ての群からのPRRSV抗体に関する平均力価の血清学的プロフィールを含む結果をグラフにプロットした。
・子ブタの体重:体重の集計、記述統計量、および群間比較のための分散分析検定を行った。
・直腸温データ:体温が正規分布することを考慮して、記述統計を用いて体温を評価し、ANOVAモデル分散分析を用いて、治療を考慮して体温変化を経時的に分析した。
・臨床徴候および病変:ワクチン接種群および対照群に関する関連臨床徴候を比較した。臨床所見は離散変数であり、それらを、治療と臨床徴候との関連性のノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を用いて分析した。
・死亡率データ:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を群間比較に適用した。
【0370】
この試験で評価した全ての変数に関して、有意水準p <0.05を用いた。データ分析には、SPSS(登録商標)20.0(SPSS Inc.)、StatCalc(EpiInfo 6)およびMicrosoft(登録商標)Excel 2000(Microsoft Corp.)を使用した。
【0371】
6.1 - 血清学的プロファイル
図15においては、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンまたはVP-046 BISワクチンのいずれかでワクチン接種された動物に関しては、対照群と比較して、抗体レベルの増加が認められる。また、PRRSのビルレント株でのチャレンジの後、対照群の抗体レベルは、研究の第69日に、ワクチン接種動物において示されているレベルに類似したレベルまで増加することが認められる。
【0372】
6.2. - 血中ウイルス
PRRSVを検出し、定量するために、研究の第0日およびチャレンジ後の第69日までの血清をRT-qPCRにより分析した。
【0373】
図16には、各群に関するチャレンジ後の平均力価(CCID50/mL)血中ウイルスが示されている。第38日、第41日、第44日および第48日に、ワクチン接種動物群と対照群との間で血中ウイルス(ウイルス血症)における有意差が認められた。また、pVAC 5.2の群に関しては、対照群と比較して、血中ウイルスにおける2桁レベルの減少が認められた。
【0374】
図17には、各群に関するチャレンジ後のウイルス血症動物の割合が示されている。第38日、第41日、第44日および第48日に、ワクチン接種動物群と対照群との間で、これらの割合における有意差が認められた。
【0375】
6.3. - ウイルス排出
PRRSVの異種ビルレント株でのチャレンジの後、ワクチン接種動物およびワクチン未接種動物から糞便スワブを得た。PRRSVの力価をRT-qPCRにより分析した。図18には、動物の各群に関して、CCID50/mLとして表されたPRRSV力価の平均値が示されている。第41日および第44日においては、ワクチン接種動物とワクチン未接種動物との間の差異が明らかに認められた。第48日には、ワクチン接種群における排出の明らかな減少が観察された。pVAC 5.2から得られたワクチンおよびVP-046 BISワクチンはPRRSV感染の前に良好な異種防御をもたらした。
【0376】
図19には、各群に関して、糞便中排出を示す陽性動物の割合が示されている。ワクチン接種群に関しては、陽性排出動物の割合の明らかな減少が認められた。第44日に、これらの差は有意であった。これらの陽性排出動物は農場での感染拡大をもたらす。ウイルス血症の抑制は排出の減少に正の影響をもたらすことが認められうる。
【0377】
6.4. - 肺および扁桃スワブ
第70日に、群A(pVAC 5.2群)動物と対照群動物との間で、肺組織におけるウイルス力価およびPRRSVに対する陽性肺の割合において有意差が認められた。また、扁桃スワブにおいて見出された平均ウイルス力価の差が認められた。対照群は、群A(pVAC 5.2)のワクチン接種動物よりも有意に多量のウイルスを有していた。図20には、各群に関して、肺組織および扁桃スワブに存在する、CCID50/mlで表されたPRRSウイルスの平均量が示されている。
【0378】
pVAC 5.2(群A)またはVP-046 BISでのワクチン接種は肺組織および扁桃スワブにおけるウイルスの存在を減少させた。
【0379】
6.5. - 臨床徴候
異なる治療群間で、臨床徴候の存在に関して、有意差は認められなかった。
【0380】
実施例7:感染性クローンpVAC 6.1(配列番号162)の構築
弱毒化PRRSV株V1042-P62のコンセンサス配列をサンガー法によるRT-PCR反応産物の配列決定により決定した(配列番号163)が、ここで、ある位置が多型であると考えられるのは、2個以上のピークがクロマトグラムにおいて認められる場合である。コンセンサス配列は30個の多型位置(1979、2010、4979、5528、5915、6490、6998、7067、7447、7478、7603、8032、8077、8161、8213、8227、8239、8242、8248、8257、8342、8343、8347、8353、8355、11845、13097、13643、13761および15025)を含む。クローンpVAC 6.1は、1164〜2113位、6906〜8402位、11618〜12274位、および14633〜15082位の範囲のゲノム領域において最高頻度ヌクレオチド配列変異体;4630〜6543位および12970〜13887位において最高頻度タンパク質をコードするヌクレオチド配列変異体の1つ;ならびにUの代わりにCを含む8806位以外の残りの位置においてコンセンサスヌクレオチド配列を含む。
【0381】
7.a)ウイルス
出発物質はPRRSV株V1042-P62(HIPRA SCIENTIFIC, S.L.U., Amer, Girona(スペイン))(アクセッション番号CNCM I-5219)であった。
【0382】
7.b)ウイルスRNAの単離
High Pure Viral RNAキット(Roche)を使用して、Clon 8細胞型(Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン))の細胞培養物から、PRRSV RNA抽出を行った。
【0383】
7.c)逆転写
表XVに示されているプライマーを使用して、実施例1c)と同様にして、逆転写反応を行った。
【0384】
【表15】
【0385】
7.d)PCRによるcDNAの増幅
実施例1d)と同様にして、プライマーリン酸化およびPCR反応を行った。ここで使用したプライマーを表XVIに示す。
【0386】
【表16】
【0387】
7.e)ベクターの調製
ベクターpUC19-SmaI(すなわち、SmaIおよびXbaIで二重消化されたpUC19)、pACYC177-ADAPおよびpACYC177-ADAP-EcoRVの調製は実施例1e)に記載されている。
【0388】
7.f)インサートの調製
実施例1f)に記載されているようにして、平滑末端クローニングまたは定方向クローニングのためにRT-PCR産物を精製した。
【0389】
7.g)ウイルスゲノムRNAの5'末端のcDNAの製造および増幅
ウイルスゲノムRNAの5'末端に対応する配列を、実施例1g)と同様にして、5'RACEシステムにより決定した。この実験に使用したプライマーを表XVIIに示す。
【0390】
【表17】
【0391】
7.h)断片のクローニングおよび配列決定
インサートF2、F3、F4、F5-5'およびF5(表XVI)をSmaI消化pUC19プラスミド内に連結した。
【0392】
インサートF7をSmaI-XbaI消化pUC19ベクター内に連結した。
インサートF1、F3、F5およびF6(表XVI)をEcoRV消化pACYC177-ADAPベクター内に連結した。
インサート5'RACE(表XVII)を市販ベクターpTZ57R/T(Thermo Fisher Scientific)に連結した。
【0393】
連結は実施例1h)と同様にして行った。連結産物を大腸菌Top 10細胞(Invitrogene)内にエレクトロポレーションした。
【0394】
コンセンサス配列内の多型位置を含有するゲノム領域のcDNAを保有するプラスミドを18〜24個の形質転換体コロニーから単離した。多型位置を含有しないゲノム領域のcDNAを保有するプラスミドを2〜9個のコロニーから単離した。各ゲノム領域に関して得られた分子クローンの数、および配列決定に使用したプライマーを表XVIIIに示す。
【0395】
【表18】
【0396】
7.i)感染性クローンに挿入するcDNAクローンの配列分析および選択
表XVIIIにおけるcDNAのクローンから得られた配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集し、組み立て、(必要に応じて)翻訳し、アライメントさせた。
【0397】
感染性クローンの組み立ての前に、多型位置を含有しないゲノム領域のcDNA(cDNA F2およびF5-5')を、表XVIIIに示されているように配列決定した。コンセンサス配列(配列番号163)を含有するクローンを感染性クローンの組み立てのために選択した。選択したクローンをF2-1およびpUC19-F5-5'-5と名付けた。
【0398】
多型位置を含有するゲノム領域F1、F4、F5およびF7のそれぞれに関して、最高頻度配列変異体を選択した。選択したクローンをpUC19-F1-4、pUC19-F4-2A、F5-6BおよびF7-1と名付けた。
【0399】
ゲノム領域F3およびF6は多型位置を含有していたが、配列決定されたクローンのなかには最高頻度ヌクレオチド配列変異体は存在しなかった(F3領域の全クローンは、異なる配列変異体を含み、F6クローンは3つの配列変異体を等しい頻度で有していた)。ついで、ヌクレオチド配列を標準的な遺伝暗号に従いタンパク質に翻訳し、最高頻度タンパク質変異体をコードする各領域の1つのクローンを選択した。同じタンパク質配列をコードするクローンのなかで選択するために、各ゲノム領域に関して、50%、75%および100%のヌクレオチドコンセンサス配列を計算した。多型部位を含有しない最大割合のコンセンサス配列を参照配列として選択した。領域F3に関しては、最高頻度タンパク質配列をコードするcDNAクローンの1つが参照配列に対応し、それを選択した。領域F6に関しては、参照配列は、低頻度で存在する変異体に対応し、それを廃棄した。3つの最高頻度配列変異体の1つおよび最高頻度タンパク質変異体を含むクローンを無作為に選択した。選択したクローンをF3-14BおよびF6-12-1と名付けた。
【0400】
7.j)クローニングおよび発現ベクターpACYC-ADAP-pCMVの調製
pACYC-ADAP-pCMVベクターを、SwaIおよびXbaIでのクローンpVAC 5.0(実施例1)の消化により調製した。
【0401】
7.k)F7領域の3'末端へのデルタ型肝炎ウイルスリボザイム(HDV-Rz)の挿入
ウイルスゲノムの3'末端へのHDV-Rzの挿入を、i)で得られたプラスミドF7-1を鋳型として使用して、実施例1p)工程2と同様にして行った。PCR産物をHpaIおよびXbaIで消化し、ベクターpUC19-SmaI-XbaI e)にクローニングした。このクローンをF7-1-Rzと名付けた。
【0402】
7.1)消化、連結、形質転換およびプラスミド精製
工程i)で選択したcDNAクローンを鋳型として使用し、表XIXにおけるプライマーを使用して、実施例1j)に記載されているようにして、PCRによりインサートを調製した。あるいは、V1042-P62株に適した酵素でプラスミドDNAを消化することにより、調製を行った(図21)。
【0403】
ベクターとして使用したプラスミドを実施例1k)と同様にして調製した。連結反応、Top10エレクトロコンピテント細胞の形質転換およびプラスミド精製を、実施例1k)に記載されているようにして行った。
【0404】
【表19】
【0405】
7.m)制限断片の組み立て
制限断片を、図21に要約されている以下のスキームに従い、5'から3'の方向で組み立てた。
・工程1 - クローンpUC19-F1-4中のインサートの適切な配向を、プライマーM13FおよびPRRSV-56Rを使用するコロニーPCRにより確認した(表XVIII)。
・工程2 - l)で得られたインサートF2-1をNheIおよびXbaIで消化し、同じ酵素で消化されたベクターpUC19-F1-4内に連結した。
・工程3 - i)で得られたインサートF3-14BをNsiIおよびXbaIで消化し、同じ酵素で消化された工程2で得られたベクターに連結した。
・工程4 - 工程3で得られたクローンにおけるウイルスcDNAを、プライマーPRRSV-457FおよびPRRSV-441R(表XVI)を使用するPCRにより増幅し、SwaIおよびXbaIで消化した。このインサートを、j)に示されているとおりに得られたベクターpACYC-ADAP-pCMVのSwaIおよびXbaI部位内に連結した。
・工程5 - クローンUC19-F4-2A中のインサートの適切な配向を、プライマーM13R(表XVIII)および適切なPRRSV特異的フォワードプライマーを使用するコロニーPCRにより確認した。このクローンをAflIIおよびXbaIで消化した。
【0406】
・工程6 - クローンpUC19-F5-5'-5中のインサートの適切な配向を、プライマーM13F(表XVIII)を使用する配列決定により確認した。このプラスミドをAflIIおよびXbaIで消化し、工程5で得られたベクターに連結した。
・工程7 - l)で得られたインサートF5-6BをSpeIおよびXbaIで消化し、同じ酵素で消化された工程6で得られたベクターに連結した。
・工程8 - 工程7で得られたクローン中のウイルスcDNAをEcoRVおよびXbaIでの二重消化によりベクターから切り出した。このインサートを、同じ酵素で消化された工程4で得られたベクター内に連結した。
・工程9 - l)で得られたインサートF6-12-1をXbaIで消化し、e)のベクターpUC19-SmaI-XbaI内にサブクローニングした。
・工程10 - k)で得られたクローンF7-1-Rz中のウイルスcDNAをHpaIおよびXbaIでの二重消化によりベクターから切り出し、工程9で得られたベクターのHpaIおよびXbaI部位間にクローニングした。
・工程11 - 工程10で得られたクローン中のウイルスcDNAをBsiWIおよびXbaIでの二重消化によりベクターから切り出し、工程8で得られたベクターのBsiWIおよびXbaI部位間にクローニングした。このクローンをCl-1042p62-V1と名付けた。
【0407】
7.n)クローンp1042の配列
Cl-1042p62-V1に挿入されたPRRSV配列を確認するために、適当なプライマーを使用してDNAを配列決定して、全ゲノム、pCMVプロモーター、HDV-Rzおよびクローニングベクターとの連結部の配列を得た。該クローンの配列は、V1042-P62:C6633TおよびT8806Cのコンセンサス配列と比較して3つの突然変異を示した。
【0408】
重複突然変異誘発プライマーPRRSV-465FおよびPRRSV-466RならびにPhusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)を使用して行ったPCRにより、突然変異C6633Tを元に戻した(復帰)。PCR反応産物を使用してTop 10細胞を形質転換した。プラスミドを単離し、該突然変異の復帰を確認するのに適したプライマーを使用して配列決定した。ウイルスインサートをSwaIおよびEcoRVでの二重消化により切り出し、Cl-1042p62-V1のSwaIおよびEcoRV部位間にサブクローニングした。得られたクローンをpVAC 6.1と名付けた。
【0409】
【表20】
【0410】
7.o)クローンpVAC 6.1の配列
クローンpVAC 6.1を適切なプライマーを使用して配列決定し、配列を示した(配列番号162)。
【0411】
7.p)V1042-P62のコンセンサス配列とクローンpVAC6.1とのアラインメントを表XXIに示す。
【0412】
【表21】
【0413】
実施例8:V1042-P62 PRRSV準種とクローンpVAC 6.1との比較における免疫化および安全性の評価
【0414】
この実施例では、V1042-P62 PRRS準種およびクローンpVAC 6.1の免疫原性および安全性特性を比較した。3つの群を用いた。1つの群は、クローンpVAC 6.1を含有するワクチンの投与を受け、もう1つの群は、V1042-P62 PRRSV準種を含有するワクチンの投与を受け、第3の群はワクチン未接種群であった。
【0415】
所望の体積および105.5 CCID50/用量の力価を得るために、クローンpVAC6.1を、実施例4に開示されているようにしてトランスフェクトし、増幅した。弱毒化V1042-P62 PRRSV株のストックも所望の力価に調整した。群間で全てのウイルス用量/動物を均一にするために、ウイルスをPBSで希釈した。2ml/動物の用量を筋肉内経路で投与した。
【0416】
研究開始時に4〜5週齢の子ブタを使用した。全ての動物はPRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。
【0417】
この研究では合計55頭の動物を使用した。動物を無作為に3つの群に分けた。2つのワクチン接種群は20頭の子ブタを含んでいた。15頭の子ブタにワクチン接種し、5頭の子ブタを同居させた(ワクチン未接種)。1つの群をクローンpVAC 6.1でワクチン接種した。他の群を弱毒化V1042-P612 PRRSV準種でワクチン接種した。15頭の追加的な一群をワクチン未接種群として含めた。この群を対照群として用い、それに2mlの無菌PBS溶液を投与した。対照群を同じ飼育条件に維持した。
【0418】
この研究においては、以下の呼称を用いた:
・群A = 弱毒化V1042-P62 PRRSV準種でワクチン接種された群、
・群B = クローンpVAC 6.1でワクチン接種された群、。
・群C = ワクチン未接種対照群。
【0419】
ワクチンの有効性および安全性を、接種動物および同居動物の両方において、血清学的検査および血中ウイルス(ウイルス血症)により評価した。
【0420】
結果
- 接種動物および同居動物におけるセロコンバージョン
適切な免疫化を評価するために、ワクチン接種後に接種動物および同居動物の血清学的検査を行った。
【0421】
両方の群におけるワクチン接種動物の73%はワクチン接種後第28日(D28)に既に血清陽性(IRPC > 20)であることが観察された。群AおよびBの動物は同じ免疫化(セロコンバージョン)プロファイルを示した。
【0422】
図22には、ワクチン接種動物およびワクチン未接種動物に関して、ワクチン接種後の種々の日における、PRRSVに対する抗体の平均力価(IRPC)が示されている。これらの結果は、全てのワクチン接種群におけるIRPCの平均が、D28から、カットオフレベル(> 20% IRPC)を超えていたことを示しており、このことは、平均IRPCがセロコンバージョンについて陽性であることを意味する。
【0423】
同居動物においては、群AおよびBの動物でセロコンバージョンは認められなかった。
【0424】
- 同居動物における血中ウイルス
同居動物における血中ウイルス値により、PRRSV伝染を評価した。
【0425】
研究の第3日から第28日までの血清をRT-qPCRによって分析した。図23には、血中ウイルスに陽性の同居動物の割合が示されている。血中ウイルスに陽性の動物の割合を比較したところ、群B(クローンpVAC6.1)では、他方のワクチン接種群Aと比較して、研究期間中に陽性動物数の減少を示す明らかな傾向が認められた。
【0426】
V1042-P62 PRRSV準種の場合より低い、pVAC6.1群の血中ウイルスは、肺および扁桃における、より低い蓄積能、およびその結果としての、本発明のワクチンの、より低いビルレンス復帰能を表している。
【0427】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]