【実施例】
【0200】
一般的方法
標準的なクローニング手順は、J. SambrookおよびD. W. Russell, Molecular Cloning: A laboratory manual, 4
th edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 2012に記載されているようにして行った。特に示されていない限り、市販のキットおよび酵素を、製造業者により提供された説明書に従い使用した。
【0201】
実施例1:感染性クローンpVAC 5.0(配列番号3)の構築
クローンpVAC 5.0は、13173位および13922位以外は、弱毒化PRRSV株VP-046 BISで見出される準種のコンセンサスゲノム配列を含み、すなわち、それは99.98%の同一性の度合を有する。コンセンサスゲノム配列は、各位置において配列決定された全ての分子クローンのうち少なくとも75%の頻度で存在するヌクレオチドにより構成される配列として定められる。PRRSV株VP-046 BISのコンセンサス配列は2〜5(中央値 = 3.5)個の重複する分子クローンにより決定された。この場合、ある位置が多型と称されるのは、そのヌクレオチド全ての頻度が75%未満である場合である。13173位および13922位において、コンセンサス配列(配列番号1)はそれぞれCおよびUを(共に75%の頻度で)含み、一方、これらの位置において、クローンpVAC 5.0はそれぞれUおよびCを含んでいた(共に2.5%の頻度で見出された)。クローンpVAC 5.0は、既に報告されている配列(GenBankアクセッションGU067771)と99.868%のヌクレオチド同一性を有する。
【0202】
1.a)ウイルス
この研究の出発材料は、Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン)から商業的に入手可能な凍結乾燥材料からサンプル採取されたPRRSV株VP-046 BIS(GenBankアクセッション番号GU067771, CNCMアクセッションI-1642, 1995年11月23日)であった。
【0203】
1.b)ウイルスRNAの単離
凍結乾燥材料を10mLの滅菌脱イオン水に再懸濁した。キットHigh Pure Viral RNA(Roche)を使用して、RNA抽出を行った。
【0204】
1.c)逆転写
逆転写酵素AccuScript高忠実度逆転写酵素(High Fidelity Reverse Transcriptase)(Agilent Technologies)および表Iに示すプライマーを使用して、cDNAを得た。
【0205】
【表1】
【0206】
1.d)PCRによるcDNAの増幅
cDNAの増幅の前に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用してプライマーをリン酸化して、生じたPCR産物を、SmaI(Thermo Fisher Scientific)での消化により線状化されたベクターpUC19に連結した。
【0207】
Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)および表IIに示すプライマーを使用するPCRにより、cDNAを増幅した。
【0208】
【表2】
【0209】
1.e)ベクターの調製
線状化ベクターpUC19-SmaIを使用して、cDNA F2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、30R、28R、25R、33RおよびNsi-cDNA2(表II)をクローニングした。
【0210】
ベクターpUC19-SmaIをXbaIで消化し、cDNA F1(表II)の定方向クローニングのために、GeneJetゲル精製キット(Gel Purification Kit)(Thermo Fisher Scientific)を使用して、1% アガロースゲルから精製した。
【0211】
市販ベクターpACYC177(New England BioLabs)を改変して、新たなマルチクローニング部位を挿入した。第1に、ポリヌクレオチド断片GAACGCCGGA GGATCC GGCGCGCC GATATC TTAATTAA ACGCGT TCTAGA GCCCTTCCGG CTGGCTGGTT(配列番号124)をIDT社(Integrated DNA Technologies, https://eu.idtdna.com/site)により合成し、それをpIDTSMART-AmpベクターのBamHIおよびAscI部位間にクローニングした。第2に、Maxi Plasmidキット(Qiagen)を使用して、プラスミドpACYC177およびpIDTSMART-Ampを、予め形質転換された大腸菌(E. coli)培養物から調製した。第3に、両方のプラスミドを制限酵素BamHIおよびAscIで消化した。カナマイシン耐性マーカーを含有するpACYC177の断片、および新たなマルチクローニング部位を含有するpIDTSMART-Ampからの断片を、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用してアガロースゲルから精製し、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結し、大腸菌(E. coli)DH5αエレクトロコンピテント細胞内に形質転換した。得られたプラスミドDNAを、Maxi Plasmidキット(Qiagen)を使用して単離し、pACYC177-ADAPと名付けた。cDNA 19〜29(表II)の連結のために、プラスミドをEcoRVで消化した。
【0212】
消化されたベクターを、エビアルカリホスファターゼ(Sigma)を使用して脱リン酸化した。
【0213】
1.f)インサートの調製
RT-PCR産物F2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、19-29、30R、28R、25R、33RおよびNsi-cDNA2(表II)を、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して1% アガロースゲルから精製した。
【0214】
SmaI-XbaI消化pUC19ベクター内への定方向クローニングのために、RT-PCR産物F1(表II)を、精製カラムGeneJet(Thermo Fisher Scientific)を使用して精製し、XbaIで消化し、アガロースゲルから精製した。
【0215】
1.g)ウイルスゲノムRNAの5'末端についてのcDNAの製造および増幅
ウイルスゲノムRNAの5'末端に対応する配列を、5'RACE技術を用いて、そして5'RACEシステムキット(Invitrogen)を製造業者提供の説明書に従い使用して決定した。この実験に使用したプライマーを表IIIに示す。
【0216】
【表3】
【0217】
1.h)断片のクローニングおよび配列決定
インサートF2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、30R、28R、33R、Nsi-cDNA2および5'RACE(表IIおよびIII)をSmaI消化pUC19プラスミドに連結した。インサートF1をSmaI-XbaI消化pUC19ベクター内に連結した。
【0218】
インサート19〜29をEcoRV消化pACYC177-ADAPベクターに連結した。
連結は、酵素T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して行った。連結産物を大腸菌(E. coli)DH5α内にエレクトロポレーションした。
【0219】
プラスミドを1〜5個の形質転換コロニーから単離した。pUC19内にクローニングされたウイルスcDNAを、まず、表IVに示されているプライマーM13FおよびM13Rを使用して配列決定した。
【0220】
【表4】
【0221】
完全インサート配列を得るために、表Iおよび表II中の適切なプライマーを使用した。得られた配列から設計したプライマーを使用して配列決定することにより、間隙を埋めた。pACYC-177-ADAP内にクローニングされたウイルスcDNA 19-29を、PRRSV特異的プライマーのみを使用すること以外は同じ方法を用いて配列決定した。
【0222】
1.i)コンセンサス配列の構築
cDNA F1、F2、4R、Nsi-cDNA1、6R、19R、29R、30R、28R、25Rおよび33の2〜5個のクローンから得られた配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集し、組み立てた。各位置に関して、該クローンの少なくとも75%に存在するヌクレオチドとしてコンセンサス配列を得た(配列番号1)。
【0223】
工程a)〜f)により得られたコンセンサスヌクレオチド配列は、単離されたVP-046株(GenBankアクセッションGU067771)のゲノムに対して99.897%の同一性を有する。
【0224】
1.j)制限断片の調製
図1に示されている部位を用いて、5'から3'方向へ、制限切断断片を組み立てた。
各領域に関して、コンセンサス配列を含有する1つのクローンを、感染性クローンに含めるように選択した。領域25Rに対応する全てのクローンは、コンセンサスとは異なる配列を有するため、感染性クローンを組み立てるために使用したクローンは無作為に選択された。
【0225】
必要なときはいつでも、前工程で得られたpUC19クローンを大腸菌(E. coli)内で増幅し、Wizard(登録商標)Plus SV Minipreps DNA精製システムキット(Promega)を使用してプラスミドDNAを単離した。pACYC177-ADAPクローンの場合には、Maxi Plasmidキット(Qiagen)を使用してDNAを精製した。
【0226】
必要なときはいつでも、酵素Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)、鋳型としての前工程で得られたプラスミドおよび表Vに示されているプライマーを使用するPCRにより、制限断片を増幅した。
【0227】
【表5】
【0228】
1.k)断片の消化および連結
図1に示されているとおり、適切な制限酵素を使用してプラスミドを消化した。断片のサイズを1% アガロースゲル上の電気泳動により確認し、予想サイズを示す断片を、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して精製した。
【0229】
PCR産物を、精製カラムGeneJet(Thermo Fisher Scientific)を使用して精製し、
図1に示されているとおりに適切な酵素で消化し、前記のとおりに1% アガロースゲルから精製した。
【0230】
予想サイズの制限断片をアガロースゲルから精製し、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を使用して、エレクトロコンピテント大腸菌(E. coli)細胞を形質転換した。
【0231】
1.l)制限断片の組み立て
制限断片を、
図1に表されている以下の手順に従い、5'から3'の方向で組み立てた。
【0232】
・工程1 - クローンpUC19-F1をDraIIIおよびXbaIで消化した。ウイルスcDNA F2を、プライマーPRRSV-64FおよびPRRSV-65Rを使用してクローンpUC19-F2-9BからPCR増幅し、DraIIIおよびXbaIで消化した。消化産物を連結した。
【0233】
・工程2 - クローンpUC19-Nsi-cDNA1-4および工程1で得られたクローンをRsrIIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0234】
・工程3 - プライマーM13FおよびM13Rを使用して、クローンpUC19-1-6R-3(5' SmaI - 3' XbaIの方向にクローニングされたもの)からウイルスcDNA6RをPCR増幅した。工程2で得られた構築物およびこのPCRの産物を共にNsiIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0235】
・工程4 - pUC19ベクターをpACYC-ADAPベクターで置換するために、工程3で得られたクローンおよびpACYC177-ADAPプラスミドを共にAscIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0236】
・工程5 - 工程4で得られたクローンおよびクローンpACYC177-ADAP-19-29-1を共にSpeIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0237】
・工程6 - クローンpUC19-30R-6およびpUC19-28R-1を共にCspClおよびXbaIで消化し、連結した。
【0238】
・工程7 - 工程6で得られたDNA断片をSmaIおよびXbaIでの消化によりベクターから切り出し、EcoRVで予め切断されXbaIで消化されたpACYC177-ADAP内にサブクローニングした。
【0239】
・工程8 - 鋳型としての工程7で得られた構築物ならびにプライマーpACYC-87FおよびpACYC-88Rを使用して、PCR反応を行った。このPCRからの結果物および工程5で得られたクローンを共にBglIIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0240】
・工程9 - プライマーPRRSV-72FおよびPRRSV-73Rを使用して、クローンpUC19-25RのPCR反応を行った。得られた産物および工程8で得られたクローンを共にBsiWIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0241】
・工程10 - クローンpUC19-33-6および工程9で得られた構築物をHpaIおよびXbaIで消化し、連結した。
【0242】
・工程11 - 工程10で生成されたクローンの配列決定は領域Nsi-cDNA1内の欠失を示した。この問題を解決し、正しい配列を導入するために、ウイルスRNAとプライマーPRRSV-66FおよびPRRSV-67Rを使用して追加的なRT-PCRを行った。得られた産物および工程10で得られた構築物を共にRsrIIおよびSalIで消化し、連結した。この工程で得られた構築物をpVAC-T7-5と名付けた。
【0243】
全ゲノム(配列番号2)をカバーするのに適したプライマーを使用して、クローンpVAC-T7-5を配列決定した。
図2はクローンpVAC-T7-5のスキームを示す。
【0244】
1.m)pVAC-T7-5に導入するヒトサイトメガロウイルスプロモーター(pCMV)およびデルタ型肝炎ウイルスリボザイム(HDV-Rz)の調製
Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)を製造業者提供の説明書に従い使用するPCRにより、DNAを増幅した。適切な制限酵素での消化の前に、GeneJet PCR精製キット(Thermo Fisher Scientific)を使用してPCR産物を精製した。GeneJetゲル抽出キット(Thermo Fisher Scientific)を使用して、消化産物を1% アガロースゲルから精製した。このクローニング工程で使用したプライマーを表VIに示す。
【0245】
【表6】
【0246】
1.n)ベクターの調製
後記工程o)およびp)においてベクターとして使用されるプラスミド(pVAC-T7-5、Asc-Swa-pVAC5およびAsc-Swa-pVAC5-HDV)を適切な制限酵素で消化し(
図3)、GeneJetゲル精製キット(Thermo Fisher Scientific)を使用して1% アガロースゲルから精製した。精製されたベクターを脱リン酸化のためにエビアルカリホスファターゼ(Sigma)で処理した。
【0247】
1.o)連結(ligation)
連結は、酵素T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して行った。連結産物をエレクトロコンピテント大腸菌(E. coli)DH5α内にエレクトロポレーションした。QIAGEN(登録商標)Plasmid Maxiキット(Qiagen)を使用して、プラスミドDNAを精製した。
【0248】
1.p)断片の組み立て
クローンpVAC-T7-5を、
図3に示されている以下の工程を含む方法に従い改変した。
・工程1:鋳型としてのクローンpVAC-T7-5ならびにプライマーPRRSV-110FおよびPRRSV-103R(表VI)を使用して、ウイルスゲノムの5'末端をPCR増幅した。得られたPCR産物をAscIおよびRsrIIで消化し、同じ酵素でのpVAC-T7-5の消化により得られたベクター内にクローニングした。このクローンをAsc-Swa-pVAC5と名付けた。
【0249】
・工程2:HDV-Rzを導入するために2回の連続的PCRを行った。第1 PCRにおいては、プライマーPRRSV-112FおよびHDV-114R(表VI)と共に、クローンpVAC-T7-5を鋳型として使用した。得られたPCR産物を精製し、プライマーPRRSV-112FおよびHDV-115R(表VI)を使用する第2 PCR反応の鋳型として使用した。得られたPCR産物をHpaIおよびXpaIで消化し、工程1で得られたクローンと同じ酵素ペアでの消化により得られたベクター内にクローニングした。このクローンをAsc-Swa-pVAC5-HDV-Rzと名付けた。
【0250】
・工程3:鋳型としてのベクターpCMV-Script XR(Agilent Technologies)ならびにプライマーpCMV-102FおよびpCMV-116R(表VI)を使用して、pCMVプロモーターをPCRにより得た。得られたPCR産物をAscIおよびSwaIで消化し、工程2において得られたクローンの、同じ2つの制限酵素での消化により得られたベクター内にクローニングした。得られたクローンをpVAC 5.0と名付け、
図4に示す。
【0251】
1.q)配列の検証
pVAC 5.0に挿入されたPRRSV配列を確認するために、ゲノム、pCMVプロモーター、HDV-Rzリボザイム、およびクローニングベクターとの連結部の配列を得るのに適したプライマーを用いて、DNAを配列決定した。クローンpVAC 5.0の配列を提供する(配列番号3)。
【0252】
配列番号3において:
断片1(1〜962位)は、プライマーpACYC-87F(表VII)を使用してプラスミドpVAC 5.0を配列決定することにより得た。この断片は5'から3'方向に以下のものを含む:ベクターpACYC177-ADAPの部分配列(1〜32位)、AscI制限部位の配列(33〜40位)、pCMVプロモーターの配列(41〜622位)、SwaI制限部位の配列(623〜630位)、PRRSVウイルスの5'末端(631〜962位)。この断片の配列は、リバースプライマーPRRSV-63Rを使用する配列決定により確認された。
断片2: 5'末端内へのプロモーターの導入時にPRRSVのゲノムは変化しないと考えられうるため、配列番号2(pVAC-T7-5)の333〜14612位をコピーし、配列番号3(pVAC5.0)の963〜15242位にペーストした。
断片3: 表VIIに示されているプライマーpACYC-88Rを使用するプラスミドpVAC 5.0の配列決定により、15243〜15917位を得た。
【0253】
【表7】
【0254】
この配列は、ポリ(A)テール(15243〜15753位)、HDV-Rz(15754〜15837位)、XbaIの制限部位(15838〜15843)およびベクターpACYC177-ADAPの部分配列(15844〜15917)を含むPRRSVの3'末端部分を含有する。断片3においては、クローンpVAC-T7-5およびpVAC 5.0(共にプライマーHDV-114Rにより導入される)におけるPRRSVのゲノムの間に2つの相違があり、配列番号2(pVAC-T7-5)中のシトシン15098がチミジン(配列番号3, pVAC 5.0中の15728位)に突然変異している。配列番号2(pVAC-T7-5)におけるポリ(A)テール(15099〜15139位)は、pVAC5.0(15729〜15753位)においては16ヌクレオチド短い。
【0255】
1.r)VP-046 BISのコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0のアラインメント。
全てのRNAウイルスに関して、弱毒化ウイルスVP-046 BISは準種集団構造を有し、このことは、それが複数の配列変異体を含有することを意味する。pVAC 5.0が得られた場合、クローニングされたPRRSVのゲノム配列は、全ての可能な多型位置に最も豊富な対立遺伝子を必ずしも含有しないキメラゲノムに相当する。異なるヌクレオチド位置における多型の存在を探究するために、2〜5(中央値 = 3.5)個の重複する分子クローンを配列決定し、i)に記載されているようにして組み立てた。カバー範囲の中央値は各位置に関して4リード(read)のものであり、2〜13の範囲であった。
【0256】
表VIIIは、用いたサンプルサイズ、各多型位置で見いだされたヌクレオチドおよびpVAC 5.0に組み込まれたヌクレオチドで検出されたコンセンサス配列とpVAC 5.0配列との間の相違を示す。
【0257】
【表8】
【0258】
ほとんどの場合、最高頻度対立遺伝子はpVAC 5.0に既に存在していたが、少数の位置においては、クローンに存在する対立遺伝子はVP-046 BIS弱毒化ウイルスにおける最も豊富な対立遺伝子を反映していないことが観察される。
【0259】
感染性クローンpVAC 5.0の全ヌクレオチド配列は配列番号223である。感染性クローンpVAC 5.0の部分ヌクレオチド配列は配列番号3である。
【0260】
感染性クローンpVAC 5.0は、Leibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32339で寄託された(2016年7月19日)。
【0261】
実施例2:感染性クローンpVAC 5.2の構築
クローンpVAC 5.2は、糖タンパク質GP3(部分的)、GP4、GP5およびGP6(部分的)をコードする12492〜14584位の断片を除き、クローンpVAC 5.0と同じ完全PRRSVゲノム配列を含有する。この断片は、弱毒化ウイルスVP-046 BIS準種において見出される最高頻度配列変異体により置換されている。GP4およびGP5をコードする領域12938〜14151位に関する可変性研究、およびクローンpVAC 5.2を得るための感染性クローンpVAC 5.0における最高頻度配列変異体のクローニングを以下に記載する。
【0262】
2.a)ウイルス
この研究の出発材料は、Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン)から商業的に入手可能な凍結乾燥材料からサンプル採取されたPRRSV株VP-046 BIS(GenBankアクセッション番号GU067771, CNCMアクセッションI-1642, 1995年11月23日)であった。
【0263】
2.b)ウイルスRNAの単離
凍結乾燥材料を10mLの滅菌脱イオン水に再懸濁させた。High Pure Viral RNAキット(Roche)を使用して、RNA抽出を行った。
【0264】
2.c)逆転写
逆転写酵素AccuScript高忠実度逆転写酵素(Agilent Technologies)および表Xに示されているプライマーPRRSV-2Rを使用して、cDNAを得た。
【0265】
2.d)PCRによるcDNAの増幅
cDNAの増幅の前に、酵素T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して、表IXに示されているプライマーPRRSV-1FおよびPRRSV-2Rをリン酸化した。
【0266】
【表9】
【0267】
ついで、Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)ならびにプライマーPRRSV-1FおよびPRRSV-2R(表X)を使用するPCRにより、cDNAを増幅した。Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して、RT-PCR産物を1% アガロースゲルから精製した。
【0268】
2.e)cDNAのクローニングおよび配列決定
精製cDNAと、SmaI(Thermo Fisher Scientific)で予め消化されたベクターpUC19とを、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を大腸菌DH5αエレクトロコンピテント細胞内に形質転換した。プライマーM13FおよびM13R(表IV)を使用するコロニーPCRにより、連結を確認した。Wizard(登録商標)Plus SV Minipreps DNA精製システムキット(Promega)を使用して、プラスミドDNAを精製した。
【0269】
プラスミドDNAを21個のコロニーから単離し、インサートをプライマーM13FおよびM13R(表IV)で配列決定した。配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集しアライメントさせ、配列番号6〜26として示す。
【0270】
ウイルスゲノムの12938〜14151位を21個のcDNAクローンに関して決定した(
図5)。最高頻度変異体は0.238の頻度を有していたが、その他のものの頻度は0.048であった。最高頻度配列は、配列番号6により定められる変異体に対応した。
【0271】
2.f)ウイルスおよびウイルスRNAの単離はa)およびb)におけるものと同じであった。
【0272】
2.g)逆転写
AccuScript高忠実度逆転写酵素(Agilent Technologies)およびプライマーPRRSV-120R(表X)を使用して、ウイルスcDNAを得た。
【0273】
2.h)PCRによるcDNAの増幅
cDNAの増幅の前に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して、プライマーPRRSV-119FおよびPRRSV-120R(表XI)をリン酸化した。Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)ならびにプライマーPRRSV-119FおよびPRRSV-120R(表II)を使用するPCRにより、cDNAを増幅した。Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用して、RT-PCR産物をアガロースゲルから精製した。
【0274】
2.i)cDNAのクローニングおよび配列決定
ウイルスcDNAと、SmaI(Thermo Fisher Scientific)で消化されたベクターpUC19とを、T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を大腸菌DH5α内にエレクトロポレーションした。プライマーM13FおよびM13R(表IV)を使用するコロニーPCRにより、連結を確認した。Wizard(登録商標)Plus SV Minipreps DNA精製システムキット(Promega)を使用して、プラスミドDNAを10個のコロニーから精製した。全インサート配列を得るのに適したプライマーを使用して、インサートを配列決定した。ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して、配列を編集し、e)において見出された最高頻度配列(配列番号6)とアライメントさせた。後続工程のために1つのクローンを選択した。このクローンをGPsM-clon1と名付け、このクローン中のウイルスcDNAの配列を提供する(配列番号27)。
【0275】
2.j)pVAC 5.0へのクローンGPsM-clon 1中のウイルスcDNAのサブクローニング(
図6)
【0276】
クローンGPsM-clon1中のウイルスcDNAを、Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)ならびにプライマーPRRSV-119FおよびPRRSV-120R(表Xに示されている)を使用するPCRにより増幅した。
【0277】
【表10】
【0278】
DNAを、GeneJet PCR精製キット(Thermo Fisher Scientific)を使用して精製し、BsiWIおよびHpaIで消化した。
【0279】
プラスミドpVAC 5.0をBsiWIおよびHpaIで消化し、Zymoclean(商標)ゲルDNA回収キット(Zymo Research)を使用してアガロースゲルから精製し、エビアルカリホスファターゼ(Sigma)を使用して脱リン酸化した。
【0280】
制限産物を、酵素T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific)を使用して連結した。連結産物を大腸菌(E. coli)DH5α内にエレクトロポレーションした。
【0281】
NucleoBond(登録商標)Xtra Maxiキット(Macherey-Nagel)を使用して、プラスミドDNAを形質転換体コロニーから単離した。この新たなクローンをpVAC 5.2と名付けた。
【0282】
2.k)VP-046 BISのコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0およびpVAC 5.2のアラインメント
弱毒化ウイルスVP-046 BISのコンセンサス配列における多型位置、ならびにコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0およびpVAC 5.2との間の相違を表XIに示す。
【0283】
【表11】
【0284】
12938〜14151位の領域に対応する最高頻度配列を含有する感染性クローンはpVAC 5.2と名付けられている。
【0285】
感染性クローンpVAC 5.2の全ヌクレオチド配列は配列番号225である。感染性クローンpVAC 5.2の部分ヌクレオチド配列は配列番号4である。
【0286】
感染性クローンpVAC 5.2はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32341として寄託された(2016年7月19日)。
【0287】
実施例3:感染性クローンpVAC 5.1の構築
クローンpVAC 5.1は、i)3902〜3959位、ii)6792〜7672位およびiii)12938〜14151位(GP4およびGP5をコードする)の領域に、弱毒化ウイルスVP-046 BISの準種における最高頻度配列変異体を含む。
【0288】
6792〜7672位の領域における弱毒化ウイルスVP-046 BISのヌクレオチド変異を以下の手順に従い評価した。
3.a)ウイルスおよびRNAの単離を、実施例2a)およびb)に記載されているようにして行った。
3.b)実施例2c)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-126R(表XII)を使用して逆転写を行った。
3.c)実施例2d)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-125FおよびPRRSV-126Rを使用して、PCRによるウイルスcDNAの増幅を行った。
3d)クローニングベクターpUC19へのウイルスcDNAの連結および大腸菌(E. coli)細胞の形質転換を、実施例2e)に記載されているようにして行った。
3e)cDNAの配列決定および最高頻度変異体の選択
【0289】
プライマーPRRSV-97FおよびPRRSV-32R(表I)を使用して、コロニーPCRを行った。プライマーPRRSV-97FおよびPRRSV-32R(表I)を使用して、30個のコロニーからのPCR産物を配列決定した。配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集し、アライメントさせ、配列番号28〜57として示す。
【0290】
ウイルスゲノムの6792〜7672位を30個のcDNAクローンに関して決定した(
図5)。最高頻度変異体は0.533の頻度を有し、それに続く他のものは0.167未満の頻度を有する。
【0291】
最高頻度変異体を含有する1つのコロニーから、プラスミドDNAを単離した。このクローンをpUC19-INT-4と名付け、完全インサート配列を得るのに適したプライマーを使用して配列決定した。pUC19-INT-4中のインサートの配列を配列番号58として示す。
【0292】
pVAC 5.2へのクローンpUC19-INT-4中のウイルスcDNAインサートのサブクローニングを以下の手順に従い行った。
【0293】
3.f)実施例2j)に記載されている方法を用いて、ウイルスcDNAを、表XIIに示されているプライマーPRRSV-125Fおよび126Rを使用してクローンpUC19-INT-4から増幅し、プラスミドpVAC 5.2のSpeIおよびBglII部位間に定方向クローニングした(
図6)。
【0294】
【表12】
【0295】
プライマーPRRSV-97FおよびPRRSV-32Rを使用するコロニーPCR、ならびに同じプライマーを使用するPCR産物の配列決定により、陽性クローンを特定した。実施例2j)と同様に、1つの陽性コロニーからプラスミドDNAを精製した。この構築物をpVAC 5.2-INTmと名付けた。
【0296】
3902〜3959位の領域における弱毒化ウイルスVP-046 BISのヌクレオチド変異を以下の手順に従い評価した。
3.g)ウイルス、およびPRRSVゲノムRNAの単離は、実施例1a)およびb)に記載されているとおりであった。
3.h)実施例2c)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-124R(表XIV)を使用して逆転写を行った。
3.i)実施例2d)に記載されているようにして、プライマーPRRSV-123FおよびPRRSV-124R(表II)を使用して、PCRによるウイルスcDNAの増幅を行った。
3.j)クローニングベクターpUC19へのウイルスcDNAの連結およびエレクトロコンピテント大腸菌(E. coli)細胞の形質転換を、実施例2e)に記載されているようにして行った。
3.k)cDNAの配列決定および最高頻度変異体の選択
【0297】
プライマーPRRSV-93FおよびPRRSV-67R(表II)を使用して、コロニーPCRを行った。プライマーPRRSV-93FおよびPRRSV-67R(表XIII)を使用して、25個のコロニーのPCR産物を配列決定した。ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して、配列を編集し、アライメントさせた。配列を配列番号59〜83として示す。
【0298】
ウイルスゲノムの3902〜3959位を25個のcDNAクローンに関して決定した(
図5)。最高頻度変異体は0.440の頻度を有し、pVAC 5.0に既に存在する変異体がそれに続き(0.400)、残りの2つの変異体は0.040という低い頻度を有する。
【0299】
最高頻度変異体を含有する1つのコロニーからプラスミドDNAを単離した。このクローンをpUC19-DEG-3と名付け、完全インサート配列を得るのに適したプライマーを使用して配列決定した。配列を配列番号84として示す。
【0300】
pVAC 5.2-INTmへのクローンpUC19-DEG-3中のウイルスcDNAインサートのサブクローニングを以下の手順に従い行った。
【0301】
3.l)プライマーPRRSV-123Fおよび124R(表XIII)を使用して、クローンpUC19-DEG-3からウイルスcDNAを増幅し、実施例2j)に記載されている方法を用いてプラスミドpVAC 5.2-INTmのRsrIIおよびSpeI部位間に定方向クローニングした(
図6)。表XIIIに示されているプライマーPRRSV-93FおよびPRRSV-67Rを使用するコロニーPCR、および同じプライマーを使用するPCR産物の配列決定により、陽性クローンを特定した。実施例2j)と同様にして、1つの陽性コロニーからプラスミドDNAを精製した。
【0302】
【表13】
この構築物をpVAC 5.1と名付けた。
【0303】
3.m)VP-046 BISのコンセンサス配列ならびにクローンpVAC 5.0およびpVAC 5.2およびpVAC 5.1のアラインメント
弱毒化ウイルスVP-046 BISのコンセンサス配列における多型位置、ならびにコンセンサス配列とクローンpVAC 5.0、pVAC 5.2およびpVAC 5.1との間の相違を表XIVに示す。
【0304】
【表14】
【0305】
3902〜3959位、6792〜7672位および12938〜14151位のこれら3つの領域に対応する最高頻度配列を含有する感染性クローンはpVAC 5.1と名付けられている。
【0306】
感染性クローンpVAC 5.1の全ヌクレオチド配列は配列番号224である。感染性クローンpVAC 5.1の部分ヌクレオチド配列は配列番号5である。
【0307】
感染性クローンpVAC 5.1はLeibnitz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenにアクセッション番号DSM 32340として寄託された(2016年7月19日)。
【0308】
実施例4:子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の弱毒化およびビルレンスへの復帰の評価
この実施例においては、子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の弱毒化を、PRRSVの元の弱毒化ウイルス株VP-046 BIS(GenBankアクセッションGU067771)と比較した感染動態を考慮して評価し、感染性クローンpVAC 5.2のビルレンスへの復帰を子ブタにおける連続継代で評価した。
【0309】
該動物は研究の開始時に5週齢の雄および雌のブタであり、PRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。35頭の動物を第1連続継代において使用し、35頭の動物を第2連続継代において使用した。
【0310】
リアルタイム定量的PCR(RT-qPCR)により感染動態を測定した。血中ウイルス値(ウイルス血症値)および動物における臨床徴候の存在により、ビルレンスへの復帰を評価した。
【0311】
子ブタにおける第1連続継代のために、クローンpVAC 5.2およびVP-046 BIS株を使用した。
【0312】
クローンpVAC 5.2をXbaIで消化し、GeneJet PCR精製キットで精製して線状化DNAを得た。ついで、Lipofectamine(登録商標)3000キット(Thermofisher)を使用し、24ウェルプレート内で、100μl/ウェル中の線状化DNAを2μgに調節して、それを90%コンフルエントなクローン8細胞(Collection Nationale de Cultures de MicroorganismesアクセッションI-1643)内にトランスフェクトした。DNA-リポフェクタミン複合体を室温で30分間インキュベートし、ついでそれを該ウェルに添加した。添加後、DNA-リポフェクタミン複合体を、5% 二酸化炭素雰囲気下、37℃で3時間インキュベートした。3時間後、10% FBS(ウシ胎児血清)を補足したMEMg培地を加えた。
【0313】
PRRSVをクローン8細胞においても増幅し、4回のウイルス継代後に、得られた力価は9.02×10
4 CCID
50/mLであった。全てのウイルス用量/動物を群間で均一にするために、ウイルスをPBS中で希釈した。それを2mL/動物の用量で投与した。
【0314】
トランスフェクションおよび増幅の結果は、本発明の感染性クローンがPRRSウイルスを産生できることを証明している。
【0315】
ワクチンVP-046 BISをPBSで再構成し、1.44×10
4 CCID
50/mLを得た。
【0316】
第1連続継代においては、両方の産物を各鼻孔に1mLの1回の単一用量(これはpVAC 5.2では1.8×10
5 CCID
50/動物に相当し、ワクチンVP-046 BISでは2.88×10
4 CCID
50/動物に相当する)で鼻腔内投与した。
【0317】
この研究では以下の呼称を用いた:
・群A = pVAC 5.2接種群、
・群B = ワクチンVP-046 BIS接種群、および
・群C = PBS接種対照群。
【0318】
PRRSウイルスに関してRT-qPCRにより陽性であった、第1連続継代からの子ブタ由来のホモジナイズ化(均質化)肺組織を、子ブタにおける第2連続継代に使用した。そのような接種材料の生存能を単離によって確認した。
【0319】
第2連続継代においては、両方の産物を各鼻孔に0.5mLの1回の単一用量(これはpVAC 5.2では7.27×10 CCID
50/動物に相当し、ワクチンVP-046 BISでは3.78×10 CCID
50/動物に相当する)で鼻腔内投与した。
【0320】
両方の連続継代において、各群の10頭の動物にpVAC 5.2またはVP-046 BISのいずれかを接種し、5頭の動物には接種しなかったが、接種動物と部屋を共有させた。これらの動物は、PRRSウイルスの伝染レベルを評価するための同居動物とした。
【0321】
この研究で評価された変数および適用された統計学的検定を以下に挙げる。
・ウイルス分離株:群を比較するための記述統計学およびパラメトリック検定。
・臨床徴候:群、体温および体重のノンパラメトリック分散分析を比較するための記述統計学およびノンパラメトリック検定。
【0322】
4.1. - 第1連続継代の結果
4.1.1. - 接種動物および同居動物における血中ウイルス(ウイルス血症)
研究の第3日から第37日までの血清をRT-qPCRにより分析した。
【0323】
図9に、各群に関する研究の第3日から第37日までの血中ウイルス(ウイルス血症)の平均力価(CCID
50/mL)が示されている。第3日、第7日および第21日には、群A(pVAC 5.2)と群B(VP-046 BIS)との間に有意差があり、A群に関しては、より低い力価の傾向が認められる。
【0324】
各群に関してウイルス血症動物の割合を比較したところ、群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の陽性動物の数の減少を示す明らかな傾向が認められた。ワクチン接種後第3日、第7日および第21日にも、統計的差異が認められた。
【0325】
同居動物からのRT-qPCRによる血清分析から、pVAC 5.2は、VP-046 BISと比較して、それらの動物における血中ウイルスを増加させないことが認められ、2.38×10 CCID
50/mLの平均値を示した。
【0326】
各群に関して、ウイルス血症に陽性である同居動物の割合を比較したところ、群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の陽性動物の数の減少を示す明らかな傾向が再び認められた。
【0327】
VP-046 BISとの比較において、pVAC 5.2群の、より低い血中ウイルス量は、肺および扁桃における、より低い蓄積能、およびその結果としての、本発明のワクチンのビルレンスへの、より低い復帰能を表している。
【0328】
4.1.2. - 接種動物および同居動物におけるウイルス組織負荷および排出
接種後第35日に動物を安楽死させ、肺組織、扁桃および糞便スワブ中のウイルスの存在を分析した。
【0329】
図10に、各群に関する肺組織、扁桃および糞便スワブにおいてPRRSV検出に陽性の接種動物の割合が示されており、群B(VP-046 BIS)と比較して群A(pVAC 5.2)の陽性動物数の明らかな減少が示されている。
【0330】
第35日に同居動物を安楽死させ、肺組織、扁桃および糞便スワブ中のウイルスの存在を分析した。
【0331】
pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、同居動物における肺ウイルス負荷の有意な減少が認められた。肺組織および扁桃スワブにおけるPRRSVに陽性の動物の割合においても、群A(pVAC 5.2)に有利な同様の減少が認められた。
【0332】
VP-046 BISとの比較において、pVAC 5.2の、より低い組織負荷は、より低い、ビルレンスへの復帰能を表す。したがって、それは本発明のワクチンの安全性の向上を証明している。
【0333】
4.1.3. - 接種動物および同居動物におけるセロコンバージョン
pVAC 5.2を接種した動物の70%は第14日に既に血清陽性(IRPC > 20)であり、VP-046 BISを接種した動物に関しては80%であることが認められた。両群の動物の100%が第35日に血清反応陽性であった。
【0334】
同居動物においては、pVAC 5.2群におけるセロコンバージョンはより低いことが認められた。実際、この群の1頭の動物しか、有効なセロコンバージョンを示さなかった。第35日には、セロコンバージョンの割合はpVAC 5.2同居動物の20%およびVP-046 BIS接種動物との同居動物の80%であった。群B(VP-046 BIS)と比較して群A(pVAC 5.2)で見られる血中ウイルスおよび排出の減少は同居動物における感染の傾向を低減する。このように、インビボでの連続継代によるビルレンスへの復帰の可能性は低減した。
【0335】
4.1.4. - 接種動物および同居動物における臨床徴候および体温
臨床徴候は、Martelliら, Vaccine, 2009, 27, 3788-3799に開示されている方法に従い評価される。
【0336】
pVAC 5.2でのワクチン接種は、VP-046 BISと比較して、臨床徴候の軽減に関して、より良好な結果をもたらすことが認められた。
同居動物の群間の差異は有意ではなかった。
【0337】
4.2. - 第2連続継代の結果
4.2.1. - 接種動物および同居動物における血中ウイルス(ウイルス血症)
研究の第0日から第35日までの血清をRT-qPCRにより分析した。
【0338】
図11に、各群に関する血中ウイルスに陽性の接種動物(第2連続継代)の割合が示されている。群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の陽性接種動物の数およびウイルス力価の減少を示す明らかな傾向が認められた。
【0339】
群A(pVAC 5.2)に関しては、群B(VP-046 BIS)と比較して、研究期間中の同居動物における血中ウイルスの消失(研究の全期間中にpVAC 5.2群に関しては0 CCID
50/mL)および陽性同居動物の数の減少を示す明らかな傾向も認められた。
【0340】
4.2.2. - 接種動物および同居動物におけるウイルス組織負荷および排出
接種後第35日に動物を安楽死させ、肺組織、扁桃および糞便スワブ中のウイルスの存在をRT-qPCRにより分析した。
【0341】
pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、肺ウイルス負荷および扁桃スワブ中で有意な減少が認められた。
【0342】
また、pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、肺組織および/または扁桃スワブ中のウイルスの存在を示す動物の割合の明らかな減少が認められ、pVAC 5.2群においては動物の0%が陽性であったが、VP-046 BIS群においては、肺組織および扁桃スワブにおいて、それぞれ、90%および100%が陽性であった。
【0343】
pVAC 5.2(第2連続継代)を接種した動物においては、糞便中排出は実際に全く見られなかった。
【0344】
同居動物に関しても、血中ウイルス(肺組織および扁桃スワブ)において、肺組織および扁桃スワブにおける血中ウイルスに陽性の動物の割合に関して同様の結果が認められ、pVAC 5.2群に関しては、VP-046 BIS群と比較して、肺ウイルス負荷および扁桃スワブの明らかな有意な減少が示され、pVAC 5.2(第2連続継代)が接種された場合には糞便中排出は実際に全く見られなかった。
【0345】
4.2.3. - 接種動物および同居動物におけるセロコンバージョン
pVAC 5.2(第2連続継代)で接種された動物はいずれも、該ウイルスに感染していなかったため、いずれも血清陽性でない(IRPC > 20)ことが認められた。反対に、VP-046 BIS(第2連続形態)で接種された動物は、接種されたウイルスが少量であったにもかかわらず、100%のセロコンバージョンを示した。
【0346】
この結果は、pVAC 5.2の、より低い血中ウイルスおよび複製能を証明した。
同様に、pVAC 5.2群の同居動物はいずれも血清陽性ではなく、IRPC ELISAは20未満の値(すなわち、陰性)を示した。これは、接種動物(第2連続継代)において示されたpVAC 5.2の、より低い血中ウイルスおよび複製能の結果である。
【0347】
4.2.4. - 接種動物および同居動物の臨床徴候および体温
臨床徴候は、Martelliらに開示されている方法に従い評価される。
第2連続継代からのpVAC 5.2もしくはVP-046 BISで接種された動物または同居動物において、重篤な臨床徴候は認められなかった。
【0348】
実施例5:子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の同種有効性評価
有効性試験のこの実施例においては、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンを接種した群とワクチン未接種群との間で、同種チャレンジ後のPRRSV感染の結果を比較した。該試験には、同様にチャレンジされた陽性対照(商業的に入手可能なVP-046 BIS株、Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン))も含めた。
【0349】
実施例4に開示されているようにして、クローンpVAC 5.2をトランスフェクトし、増幅させて、所望の体積および力価(10
3.88 CCID
50/mL)を得た。それを1mL/動物の用量で投与した。
【0350】
VP-046 BIS株の凍結乾燥バイアルをPBSで再構成して、1mLの用量中の10
3.88 CCID
50/動物を得た。
【0351】
動物はワクチン接種日に4週齢の雄および雌のブタであり、PRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。それらを各群15頭の子ブタの3群に無作為に分けた。1つの群には、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンで、10
3.88 CCID
50/動物を用いて筋肉内経路によりワクチン接種した。もう1つの群には、同じウイルス力価のVP-046 BISワクチンでワクチン接種した。最後の群は無菌PBSでワクチン接種され、同じ飼育条件で維持された(チャレンジ対照として)。
【0352】
この研究では以下の呼称を用いた:
・群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、
・群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および
・群C = ワクチン未接種対照群。
【0353】
PRRSVに対するpVAC 5.2ワクチンおよびVP-046 BISの有効性を、ワクチン接種の42日後の子ブタにおけるPRRSV(5711)の同種ビルレント株でのチャレンジにより確認した。チャレンジは鼻腔内経路により行った。これは該ウイルスの自然感染経路の1つである。
【0354】
チャレンジ後、pVAC 5.2ワクチンおよびVP-046 BISの有効性の主張を裏付けるために、血中ウイルスおよび鼻腔内分泌物/糞便中のウイルス排出の頻度および期間を追跡した(RT-qPCR)。全ての子ブタの臨床徴候(全身徴候および呼吸徴候、死亡率および体温上昇を含む)および1日平均体重増加もモニターした。全ての動物の観察期間をチャレンジの42日後まで延長した。子ブタの肺および扁桃スワブにおけるPRRSウイルスの存在も、安楽死後に測定した(RT-qPCR)。また、ワクチン接種後の局所的または全身的臨床徴候を見つけるために、各子ブタを観察した。
【0355】
最後に、ワクチン接種後(適切な免疫化を評価するため)およびチャレンジ後(抗体動態の説明)に、全動物の血清学的検査(PRRSV抗体レベル;ELISAによる全IgG)を行った。更に、有効な抗体の定量によりpVAC 5.2ワクチンの防御特性を裏付けるために、全動物からの血清に関して、中和抗体(NA)の誘導も評価した。
【0356】
この研究は盲検法で行われ、したがって、動物にワクチン接種した者は、残りのサンプル採取および観察を行った者と同じではなかった。
【0357】
この研究で評価された変数および適用された統計学的検定を以下に挙げる。
・血中ウイルス(ウイルス血症)および血清学的プロファイル:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス(Kruskal Wallis)検定または分散分析(ANOVA)検定を血中ウイルスの群間比較に適用した。全ての群からのPRRSV抗体に関する平均力価の血清学的プロフィールを含む結果をグラフにプロットした。
・子ブタの体重:体重の集計、記述統計量、および群間比較のための分散分析検定を行った。
・直腸温データ:体温が正規分布することを考慮して、記述統計学を用いて体温を評価し、ANOVAモデル分散分析を用いて、治療を考慮して体温変化を経時的に分析した。
・臨床徴候および病変:ワクチン接種群および対照群に関する関連臨床徴候を比較した。臨床所見は離散変数であり、それらを、治療と臨床徴候との関連性のノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を用いて分析した。
・死亡率データ:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を群間比較に適用した。
【0358】
この試験で評価した全ての変数に関して、有意水準p <0.05を用いた。データ分析には、SPSS(登録商標)20.0(SPSS Inc.)、StatCalc(EpiInfo 6)およびMicrosoft(登録商標)Excel 2000(Microsoft Corp.)を使用した。
【0359】
同種感染の後にpVAC 5.2またはVP-046 BISでワクチン接種された群から得られたウイルス血症動物に関する結果(
図12)、ウイルスの糞便中排出の平均値(
図13)、糞便および唾液経路によりウイルスを排出する動物の割合、ならびに扁桃スワブにおけるウイルスの存在(
図14)を考慮して、本発明によるpVAC 5.2ワクチンはVP-046 BISワクチンに類似した有効性を示すと結論付けることができる。ワクチン接種群の好ましい結果は対照とは有意に異なっていた。扁桃スワブにおいてウイルスを有する持続的感染動物の数は、両方のワクチンにより、同じ度合で減少した。pVAC 5.2ワクチンは、チャレンジの日およびそれ以降に、良好なセロコンバージョンを示した。これは持続的免疫応答および免疫防御物質としてのその適合性を証明している。
【0360】
実施例6:子ブタにおける感染性クローンpVAC 5.2の異種有効性評価
有効性試験のこの実施例においては、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンの接種群とワクチン未接種群との間で、異種チャレンジ後のPRRSV感染の結果を比較した。該試験には、同様にチャレンジされた陽性対照(VP-046 BIS株(Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona, Spain)でワクチン接種されたもの)も含まれた。
【0361】
実施例4に開示されているようにして、クローンpVAC 5.2をトランスフェクトし、増幅させて、所望の体積および力価(10
3.88 CCID
50/mL)を得た。ウイルスを、10% FBSを補足したMEG Gに懸濁させた。それを1mL/動物、すなわち、10
3.88 CCID
50/動物の用量で投与した。
【0362】
10
5.9 CCID
50/mLの力価を有するVP-046 BIS株の凍結乾燥バイアルを使用した。それらをPBSで再構成して、10
3.88 CCID
50/動物を得た。
【0363】
動物はワクチン接種日に5週齢の雄および雌のブタであり、PRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。それらを各群12頭の子ブタの3群に無作為に分けた。1つの群には、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンで、10
3.88 CCID
50/動物を用いて筋肉内経路によりワクチン接種した。もう1つの群には、同じウイルス力価のVP-046 BISワクチンでワクチン接種した。最後の群は無菌PBSでワクチン接種され、同じ飼育条件で維持された(チャレンジ対照として)。
【0364】
この研究では以下の呼称を用いた:
・群A = pVAC 5.2でワクチン接種された群、
・群B = VP-046 BISでワクチン接種された群、および
・群C = ワクチン未接種対照群。
【0365】
PRRSVに対する有効性を、ワクチン接種の35日後の、PRRSVの異種ビルレント株でのチャレンジにより確認した。チャレンジは鼻腔内経路により行った。これは該ウイルスの自然感染経路の1つである。チャレンジ株は10
4.99 CCID
50/mLのウイルス力価を示した。実験的感染の終了時に、接種物の力価を確認した。
【0366】
チャレンジ後、クローンpVAC 5.2およびVP-046 BISワクチンの両方の有効性の主張を裏付けるために、血中ウイルスならびに唾液および糞便中へのウイルス排出の頻度および期間を追跡した(RT-qPCR)。全ての子ブタの臨床徴候(全身徴候および呼吸徴候、死亡率および体温上昇を含む)および1日平均体重増加もモニターした。全ての動物の観察期間をチャレンジの42日後まで延長した。子ブタの肺および扁桃スワブにおけるPRRSウイルスの存在も、安楽死後に測定した(RT-qPCR)。また、ワクチン接種後の局所的または全身的臨床徴候を見つけるために、各子ブタを観察した。
【0367】
最後に、ワクチン接種後(適切な免疫化を評価するため)およびチャレンジ後(抗体動態の説明)に、全ての動物の血清学的検査(PRRSV抗体レベル;ELISAによる全IgG)を行った。
【0368】
この研究は盲検法で行われ、したがって、動物にワクチン接種した者は、残りのサンプル採取および観察を行った者と同じではなかった。
【0369】
この研究で評価された変数および適用された統計学的検定を以下に挙げる。
・血中ウイルス(ウイルス血症)および血清学的プロファイル:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス(Kruskal Wallis)検定または分散分析(ANOVA)検定を血中ウイルスの群間比較に適用した。全ての群からのPRRSV抗体に関する平均力価の血清学的プロフィールを含む結果をグラフにプロットした。
・子ブタの体重:体重の集計、記述統計量、および群間比較のための分散分析検定を行った。
・直腸温データ:体温が正規分布することを考慮して、記述統計を用いて体温を評価し、ANOVAモデル分散分析を用いて、治療を考慮して体温変化を経時的に分析した。
・臨床徴候および病変:ワクチン接種群および対照群に関する関連臨床徴候を比較した。臨床所見は離散変数であり、それらを、治療と臨床徴候との関連性のノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を用いて分析した。
・死亡率データ:記述統計学およびノンパラメトリック・クラスカルウォリス検定を群間比較に適用した。
【0370】
この試験で評価した全ての変数に関して、有意水準p <0.05を用いた。データ分析には、SPSS(登録商標)20.0(SPSS Inc.)、StatCalc(EpiInfo 6)およびMicrosoft(登録商標)Excel 2000(Microsoft Corp.)を使用した。
【0371】
6.1 - 血清学的プロファイル
図15においては、クローンpVAC 5.2から製造されたワクチンまたはVP-046 BISワクチンのいずれかでワクチン接種された動物に関しては、対照群と比較して、抗体レベルの増加が認められる。また、PRRSのビルレント株でのチャレンジの後、対照群の抗体レベルは、研究の第69日に、ワクチン接種動物において示されているレベルに類似したレベルまで増加することが認められる。
【0372】
6.2. - 血中ウイルス
PRRSVを検出し、定量するために、研究の第0日およびチャレンジ後の第69日までの血清をRT-qPCRにより分析した。
【0373】
図16には、各群に関するチャレンジ後の平均力価(CCID
50/mL)血中ウイルスが示されている。第38日、第41日、第44日および第48日に、ワクチン接種動物群と対照群との間で血中ウイルス(ウイルス血症)における有意差が認められた。また、pVAC 5.2の群に関しては、対照群と比較して、血中ウイルスにおける2桁レベルの減少が認められた。
【0374】
図17には、各群に関するチャレンジ後のウイルス血症動物の割合が示されている。第38日、第41日、第44日および第48日に、ワクチン接種動物群と対照群との間で、これらの割合における有意差が認められた。
【0375】
6.3. - ウイルス排出
PRRSVの異種ビルレント株でのチャレンジの後、ワクチン接種動物およびワクチン未接種動物から糞便スワブを得た。PRRSVの力価をRT-qPCRにより分析した。
図18には、動物の各群に関して、CCID
50/mLとして表されたPRRSV力価の平均値が示されている。第41日および第44日においては、ワクチン接種動物とワクチン未接種動物との間の差異が明らかに認められた。第48日には、ワクチン接種群における排出の明らかな減少が観察された。pVAC 5.2から得られたワクチンおよびVP-046 BISワクチンはPRRSV感染の前に良好な異種防御をもたらした。
【0376】
図19には、各群に関して、糞便中排出を示す陽性動物の割合が示されている。ワクチン接種群に関しては、陽性排出動物の割合の明らかな減少が認められた。第44日に、これらの差は有意であった。これらの陽性排出動物は農場での感染拡大をもたらす。ウイルス血症の抑制は排出の減少に正の影響をもたらすことが認められうる。
【0377】
6.4. - 肺および扁桃スワブ
第70日に、群A(pVAC 5.2群)動物と対照群動物との間で、肺組織におけるウイルス力価およびPRRSVに対する陽性肺の割合において有意差が認められた。また、扁桃スワブにおいて見出された平均ウイルス力価の差が認められた。対照群は、群A(pVAC 5.2)のワクチン接種動物よりも有意に多量のウイルスを有していた。
図20には、各群に関して、肺組織および扁桃スワブに存在する、CCID
50/mlで表されたPRRSウイルスの平均量が示されている。
【0378】
pVAC 5.2(群A)またはVP-046 BISでのワクチン接種は肺組織および扁桃スワブにおけるウイルスの存在を減少させた。
【0379】
6.5. - 臨床徴候
異なる治療群間で、臨床徴候の存在に関して、有意差は認められなかった。
【0380】
実施例7:感染性クローンpVAC 6.1(配列番号162)の構築
弱毒化PRRSV株V1042-P62のコンセンサス配列をサンガー法によるRT-PCR反応産物の配列決定により決定した(配列番号163)が、ここで、ある位置が多型であると考えられるのは、2個以上のピークがクロマトグラムにおいて認められる場合である。コンセンサス配列は30個の多型位置(1979、2010、4979、5528、5915、6490、6998、7067、7447、7478、7603、8032、8077、8161、8213、8227、8239、8242、8248、8257、8342、8343、8347、8353、8355、11845、13097、13643、13761および15025)を含む。クローンpVAC 6.1は、1164〜2113位、6906〜8402位、11618〜12274位、および14633〜15082位の範囲のゲノム領域において最高頻度ヌクレオチド配列変異体;4630〜6543位および12970〜13887位において最高頻度タンパク質をコードするヌクレオチド配列変異体の1つ;ならびにUの代わりにCを含む8806位以外の残りの位置においてコンセンサスヌクレオチド配列を含む。
【0381】
7.a)ウイルス
出発物質はPRRSV株V1042-P62(HIPRA SCIENTIFIC, S.L.U., Amer, Girona(スペイン))(アクセッション番号CNCM I-5219)であった。
【0382】
7.b)ウイルスRNAの単離
High Pure Viral RNAキット(Roche)を使用して、Clon 8細胞型(Laboratorios Hipra, S.A., Amer, Girona(スペイン))の細胞培養物から、PRRSV RNA抽出を行った。
【0383】
7.c)逆転写
表XVに示されているプライマーを使用して、実施例1c)と同様にして、逆転写反応を行った。
【0384】
【表15】
【0385】
7.d)PCRによるcDNAの増幅
実施例1d)と同様にして、プライマーリン酸化およびPCR反応を行った。ここで使用したプライマーを表XVIに示す。
【0386】
【表16】
【0387】
7.e)ベクターの調製
ベクターpUC19-SmaI(すなわち、SmaIおよびXbaIで二重消化されたpUC19)、pACYC177-ADAPおよびpACYC177-ADAP-EcoRVの調製は実施例1e)に記載されている。
【0388】
7.f)インサートの調製
実施例1f)に記載されているようにして、平滑末端クローニングまたは定方向クローニングのためにRT-PCR産物を精製した。
【0389】
7.g)ウイルスゲノムRNAの5'末端のcDNAの製造および増幅
ウイルスゲノムRNAの5'末端に対応する配列を、実施例1g)と同様にして、5'RACEシステムにより決定した。この実験に使用したプライマーを表XVIIに示す。
【0390】
【表17】
【0391】
7.h)断片のクローニングおよび配列決定
インサートF2、F3、F4、F5-5'およびF5(表XVI)をSmaI消化pUC19プラスミド内に連結した。
【0392】
インサートF7をSmaI-XbaI消化pUC19ベクター内に連結した。
インサートF1、F3、F5およびF6(表XVI)をEcoRV消化pACYC177-ADAPベクター内に連結した。
インサート5'RACE(表XVII)を市販ベクターpTZ57R/T(Thermo Fisher Scientific)に連結した。
【0393】
連結は実施例1h)と同様にして行った。連結産物を大腸菌Top 10細胞(Invitrogene)内にエレクトロポレーションした。
【0394】
コンセンサス配列内の多型位置を含有するゲノム領域のcDNAを保有するプラスミドを18〜24個の形質転換体コロニーから単離した。多型位置を含有しないゲノム領域のcDNAを保有するプラスミドを2〜9個のコロニーから単離した。各ゲノム領域に関して得られた分子クローンの数、および配列決定に使用したプライマーを表XVIIIに示す。
【0395】
【表18】
【0396】
7.i)感染性クローンに挿入するcDNAクローンの配列分析および選択
表XVIIIにおけるcDNAのクローンから得られた配列を、ソフトウェアGeneious R.9.0.2(Biomatters Ltd)を使用して編集し、組み立て、(必要に応じて)翻訳し、アライメントさせた。
【0397】
感染性クローンの組み立ての前に、多型位置を含有しないゲノム領域のcDNA(cDNA F2およびF5-5')を、表XVIIIに示されているように配列決定した。コンセンサス配列(配列番号163)を含有するクローンを感染性クローンの組み立てのために選択した。選択したクローンをF2-1およびpUC19-F5-5'-5と名付けた。
【0398】
多型位置を含有するゲノム領域F1、F4、F5およびF7のそれぞれに関して、最高頻度配列変異体を選択した。選択したクローンをpUC19-F1-4、pUC19-F4-2A、F5-6BおよびF7-1と名付けた。
【0399】
ゲノム領域F3およびF6は多型位置を含有していたが、配列決定されたクローンのなかには最高頻度ヌクレオチド配列変異体は存在しなかった(F3領域の全クローンは、異なる配列変異体を含み、F6クローンは3つの配列変異体を等しい頻度で有していた)。ついで、ヌクレオチド配列を標準的な遺伝暗号に従いタンパク質に翻訳し、最高頻度タンパク質変異体をコードする各領域の1つのクローンを選択した。同じタンパク質配列をコードするクローンのなかで選択するために、各ゲノム領域に関して、50%、75%および100%のヌクレオチドコンセンサス配列を計算した。多型部位を含有しない最大割合のコンセンサス配列を参照配列として選択した。領域F3に関しては、最高頻度タンパク質配列をコードするcDNAクローンの1つが参照配列に対応し、それを選択した。領域F6に関しては、参照配列は、低頻度で存在する変異体に対応し、それを廃棄した。3つの最高頻度配列変異体の1つおよび最高頻度タンパク質変異体を含むクローンを無作為に選択した。選択したクローンをF3-14BおよびF6-12-1と名付けた。
【0400】
7.j)クローニングおよび発現ベクターpACYC-ADAP-pCMVの調製
pACYC-ADAP-pCMVベクターを、SwaIおよびXbaIでのクローンpVAC 5.0(実施例1)の消化により調製した。
【0401】
7.k)F7領域の3'末端へのデルタ型肝炎ウイルスリボザイム(HDV-Rz)の挿入
ウイルスゲノムの3'末端へのHDV-Rzの挿入を、i)で得られたプラスミドF7-1を鋳型として使用して、実施例1p)工程2と同様にして行った。PCR産物をHpaIおよびXbaIで消化し、ベクターpUC19-SmaI-XbaI e)にクローニングした。このクローンをF7-1-Rzと名付けた。
【0402】
7.1)消化、連結、形質転換およびプラスミド精製
工程i)で選択したcDNAクローンを鋳型として使用し、表XIXにおけるプライマーを使用して、実施例1j)に記載されているようにして、PCRによりインサートを調製した。あるいは、V1042-P62株に適した酵素でプラスミドDNAを消化することにより、調製を行った(
図21)。
【0403】
ベクターとして使用したプラスミドを実施例1k)と同様にして調製した。連結反応、Top10エレクトロコンピテント細胞の形質転換およびプラスミド精製を、実施例1k)に記載されているようにして行った。
【0404】
【表19】
【0405】
7.m)制限断片の組み立て
制限断片を、
図21に要約されている以下のスキームに従い、5'から3'の方向で組み立てた。
・工程1 - クローンpUC19-F1-4中のインサートの適切な配向を、プライマーM13FおよびPRRSV-56Rを使用するコロニーPCRにより確認した(表XVIII)。
・工程2 - l)で得られたインサートF2-1をNheIおよびXbaIで消化し、同じ酵素で消化されたベクターpUC19-F1-4内に連結した。
・工程3 - i)で得られたインサートF3-14BをNsiIおよびXbaIで消化し、同じ酵素で消化された工程2で得られたベクターに連結した。
・工程4 - 工程3で得られたクローンにおけるウイルスcDNAを、プライマーPRRSV-457FおよびPRRSV-441R(表XVI)を使用するPCRにより増幅し、SwaIおよびXbaIで消化した。このインサートを、j)に示されているとおりに得られたベクターpACYC-ADAP-pCMVのSwaIおよびXbaI部位内に連結した。
・工程5 - クローンUC19-F4-2A中のインサートの適切な配向を、プライマーM13R(表XVIII)および適切なPRRSV特異的フォワードプライマーを使用するコロニーPCRにより確認した。このクローンをAflIIおよびXbaIで消化した。
【0406】
・工程6 - クローンpUC19-F5-5'-5中のインサートの適切な配向を、プライマーM13F(表XVIII)を使用する配列決定により確認した。このプラスミドをAflIIおよびXbaIで消化し、工程5で得られたベクターに連結した。
・工程7 - l)で得られたインサートF5-6BをSpeIおよびXbaIで消化し、同じ酵素で消化された工程6で得られたベクターに連結した。
・工程8 - 工程7で得られたクローン中のウイルスcDNAをEcoRVおよびXbaIでの二重消化によりベクターから切り出した。このインサートを、同じ酵素で消化された工程4で得られたベクター内に連結した。
・工程9 - l)で得られたインサートF6-12-1をXbaIで消化し、e)のベクターpUC19-SmaI-XbaI内にサブクローニングした。
・工程10 - k)で得られたクローンF7-1-Rz中のウイルスcDNAをHpaIおよびXbaIでの二重消化によりベクターから切り出し、工程9で得られたベクターのHpaIおよびXbaI部位間にクローニングした。
・工程11 - 工程10で得られたクローン中のウイルスcDNAをBsiWIおよびXbaIでの二重消化によりベクターから切り出し、工程8で得られたベクターのBsiWIおよびXbaI部位間にクローニングした。このクローンをCl-1042p62-V1と名付けた。
【0407】
7.n)クローンp1042の配列
Cl-1042p62-V1に挿入されたPRRSV配列を確認するために、適当なプライマーを使用してDNAを配列決定して、全ゲノム、pCMVプロモーター、HDV-Rzおよびクローニングベクターとの連結部の配列を得た。該クローンの配列は、V1042-P62:C6633TおよびT8806Cのコンセンサス配列と比較して3つの突然変異を示した。
【0408】
重複突然変異誘発プライマーPRRSV-465FおよびPRRSV-466RならびにPhusion高忠実度DNAポリメラーゼ(Finnzymes)を使用して行ったPCRにより、突然変異C6633Tを元に戻した(復帰)。PCR反応産物を使用してTop 10細胞を形質転換した。プラスミドを単離し、該突然変異の復帰を確認するのに適したプライマーを使用して配列決定した。ウイルスインサートをSwaIおよびEcoRVでの二重消化により切り出し、Cl-1042p62-V1のSwaIおよびEcoRV部位間にサブクローニングした。得られたクローンをpVAC 6.1と名付けた。
【0409】
【表20】
【0410】
7.o)クローンpVAC 6.1の配列
クローンpVAC 6.1を適切なプライマーを使用して配列決定し、配列を示した(配列番号162)。
【0411】
7.p)V1042-P62のコンセンサス配列とクローンpVAC6.1とのアラインメントを表XXIに示す。
【0412】
【表21】
【0413】
実施例8:V1042-P62 PRRSV準種とクローンpVAC 6.1との比較における免疫化および安全性の評価
【0414】
この実施例では、V1042-P62 PRRS準種およびクローンpVAC 6.1の免疫原性および安全性特性を比較した。3つの群を用いた。1つの群は、クローンpVAC 6.1を含有するワクチンの投与を受け、もう1つの群は、V1042-P62 PRRSV準種を含有するワクチンの投与を受け、第3の群はワクチン未接種群であった。
【0415】
所望の体積および10
5.5 CCID
50/用量の力価を得るために、クローンpVAC6.1を、実施例4に開示されているようにしてトランスフェクトし、増幅した。弱毒化V1042-P62 PRRSV株のストックも所望の力価に調整した。群間で全てのウイルス用量/動物を均一にするために、ウイルスをPBSで希釈した。2ml/動物の用量を筋肉内経路で投与した。
【0416】
研究開始時に4〜5週齢の子ブタを使用した。全ての動物はPRRSVを有さず、PRRSVに対する抗体を有していなかった。
【0417】
この研究では合計55頭の動物を使用した。動物を無作為に3つの群に分けた。2つのワクチン接種群は20頭の子ブタを含んでいた。15頭の子ブタにワクチン接種し、5頭の子ブタを同居させた(ワクチン未接種)。1つの群をクローンpVAC 6.1でワクチン接種した。他の群を弱毒化V1042-P612 PRRSV準種でワクチン接種した。15頭の追加的な一群をワクチン未接種群として含めた。この群を対照群として用い、それに2mlの無菌PBS溶液を投与した。対照群を同じ飼育条件に維持した。
【0418】
この研究においては、以下の呼称を用いた:
・群A = 弱毒化V1042-P62 PRRSV準種でワクチン接種された群、
・群B = クローンpVAC 6.1でワクチン接種された群、。
・群C = ワクチン未接種対照群。
【0419】
ワクチンの有効性および安全性を、接種動物および同居動物の両方において、血清学的検査および血中ウイルス(ウイルス血症)により評価した。
【0420】
結果
- 接種動物および同居動物におけるセロコンバージョン
適切な免疫化を評価するために、ワクチン接種後に接種動物および同居動物の血清学的検査を行った。
【0421】
両方の群におけるワクチン接種動物の73%はワクチン接種後第28日(D28)に既に血清陽性(IRPC > 20)であることが観察された。群AおよびBの動物は同じ免疫化(セロコンバージョン)プロファイルを示した。
【0422】
図22には、ワクチン接種動物およびワクチン未接種動物に関して、ワクチン接種後の種々の日における、PRRSVに対する抗体の平均力価(IRPC)が示されている。これらの結果は、全てのワクチン接種群におけるIRPCの平均が、D28から、カットオフレベル(> 20% IRPC)を超えていたことを示しており、このことは、平均IRPCがセロコンバージョンについて陽性であることを意味する。
【0423】
同居動物においては、群AおよびBの動物でセロコンバージョンは認められなかった。
【0424】
- 同居動物における血中ウイルス
同居動物における血中ウイルス値により、PRRSV伝染を評価した。
【0425】
研究の第3日から第28日までの血清をRT-qPCRによって分析した。
図23には、血中ウイルスに陽性の同居動物の割合が示されている。血中ウイルスに陽性の動物の割合を比較したところ、群B(クローンpVAC6.1)では、他方のワクチン接種群Aと比較して、研究期間中に陽性動物数の減少を示す明らかな傾向が認められた。
【0426】
V1042-P62 PRRSV準種の場合より低い、pVAC6.1群の血中ウイルスは、肺および扁桃における、より低い蓄積能、およびその結果としての、本発明のワクチンの、より低いビルレンス復帰能を表している。
【0427】