特許第6986084号(P6986084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986084
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】8−メチルノナン酸の微生物生成方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/55 20060101AFI20211213BHJP
   C12P 7/64 20060101ALI20211213BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20211213BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C12N15/55ZNA
   C12P7/64
   C12N15/54
   C12N1/21
【請求項の数】15
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2019-534344(P2019-534344)
(86)(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公表番号】特表2020-503024(P2020-503024A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】US2017068085
(87)【国際公開番号】WO2018119343
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2020年11月5日
(31)【優先権主張番号】62/437,792
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519015911
【氏名又は名称】コナジェン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Conagen Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ホイ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオダン・ユー
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 Plant Physiol., 2009, Vol. 150, pp. 1806-1821
【文献】 J. Exp. Bot., 2007, Vol. 58, No. 5, pp. 979-991
【文献】 Metab. Eng., 2011, Vol. 13, pp. 713-722
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
8−メチルノナン酸(8-methyl nonanoic acid、8M)を生成するための生合成方法であって、
a)形質転換細胞系において(i)KASIIIa遺伝子またはKASIIIb遺伝子、及び(ii)アシル−アシルキャリアタンパク質(ACP)チオエステラーゼをコードする遺伝子を発現させることと、
b)前記形質転換細胞系において、KASIIIaまたはKASIIIbのための基質として、イソブチリル−CoAを提供することと、および
c)8−メチルノナン酸を生成することと、を含み、
ここで、前記KasIIIa遺伝子は、配列番号6と少なくとも90%同一である核酸配列を含み、前記KASIIIb遺伝子は、配列番号7と少なくとも90%同一である核酸配列を含む、生合成方法。
【請求項2】
前記アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子が、Capsicum属の植物のFATBおよびFATB2から選択される脂肪酸アシル−ACPチオエステラーゼBをコードする、請求項1に記載の生合成方法。
【請求項3】
FATB2が、前記形質転換細胞系において、配列番号5と少なくとも90%同一である核酸配列によってコードされる、請求項2に記載の生合成方法。
【請求項4】
FATBが、前記形質転換細胞系において、配列番号4と少なくとも90%同一である核酸配列によってコードされる、請求項2に記載の生合成方法。
【請求項5】
前記形質転換細胞系が、酵母、非カプサイシノイド生成植物、藻類、及び細菌から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生合成方法。
【請求項6】
前記形質転換細胞系が、E.Coliである、請求項5に記載の生合成方法。
【請求項7】
前記8Mを、70%超の純度に精製することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生合成方法。
【請求項8】
前記形質転換細胞系においてイソ酪酸を提供し、アシル−CoAシンセターゼ(ACS)遺伝子を共発現させることによって、前記形質転換細胞系においてイソブチリル−CoAを提供する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生合成方法であって、
ここで、前記ACS遺伝子は、イソ酪酸をイソブチリル−CoAに変換するイソブチリル−CoAシンセターゼをコードする、方法。
【請求項9】
前記ACS遺伝子が、配列番号8と少なくとも90%同一である核酸配列を含むCCL4遺伝子である、請求項8に記載の生合成方法。
【請求項10】
前記形質転換細胞系においてイソ酪酸およびアセチル−CoAを提供し、プロピオネートCoA−トランスフェラーゼ(PCT)遺伝子を共発現させることによって、前記形質転換細胞系においてイソブチリル−CoAを提供し、それによって、プロピオネートCoA−トランスフェラーゼが、イソ酪酸およびアセチル−CoAをイソブチリル−CoAおよびアセテートに変換する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生合成方法。
【請求項11】
前記PCT遺伝子が、配列番号9と少なくとも90%同一である核酸配列を含む、請求項10に記載の生合成方法。
【請求項12】
前記形質転換細胞系においてグルコースを提供し、alsS、ilvC、ilvDおよびbkd遺伝子を共発現させることによって、前記形質転換細胞系においてイソブチリル−CoAを提供する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生合成方法。
【請求項13】
前記形質転換細胞系が、E.Coliである、請求項12に記載の生合成方法。
【請求項14】
カプサイシンを生成するための8Mの使用をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の生合成方法。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の生合成方法の実施において使用するための、(i)KASIIIa遺伝子またはKASIIIb遺伝子、及び(ii)アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子を発現することができる、形質転換細胞系であって、
ここで、前記KasIIIa遺伝子は、配列番号6と少なくとも90%同一である核酸配列を含み、前記KASIIIb遺伝子は、配列番号7と少なくとも90%同一である核酸配列を含む、形質転換細胞系
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月22日出願の米国仮特許出願第62/437,792号の優先権を主張し、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、カプサイシンの直接前駆体である8−メチルノナン酸(CAS番号5963−14−4)(以下、「8M」)の微生物生成に有用な方法及びプロセスに関する。重要なことに、本開示は、植物由来の系及びFatB2タンパク質の配列においては不可能な産生量で8Mを生成する方法を提供する。本開示は、8Mを生合成するように改変された遺伝子改変E.coli株、遺伝子改変微生物を生成して8Mを生成する方法、並びに特定の出発材料から開始して高産生量及び純度レベルで8Mを生成する生成方法を提供する。本開示において、KASIIIa、KASIIIb、FatB、及びFatB2遺伝子は、8Mの生合成における関与を含め、同定及び特徴付けされた。
【背景技術】
【0003】
本開示は、いくつかの実施形態では、微生物生成株のためのイソブトリル(isobutryl)−CoA形成に利用される異なる経路に応じてグルコース又はイソ酪酸を供給源として使用して、高産生量で望ましい分岐鎖中鎖脂肪酸化合物である微生物生成株を改変して8−メチルノナン酸(イソカプリン酸)を生成する方法を目的とする。カプサイシノイド化合物(カプサイシン(CP)、ジヒドロカプサイシン(DHCP)、ノニバミド(NV)を含むがこれらに限定されない)は、唐辛子の「スパイシー」成分であり、エネルギー代謝を促進し、中枢神経系を刺激し、脂肪分解酵素を活性化させることによっていくつかの病理を予防するのに有効であり得る。加えて、これらの化合物は消化管を滅菌するように作用することができ、消費されると免疫を改善し、免疫の活性化及び疲労の回復にも有効でもある。カプサイシンの生成において、8M化合物は、CPの必須の中間生成物及び分解生成物である(図1)。
【0004】
カプサイシノイド化学
「スパイシーさ」又は刺激性は、カプサイシノイドと呼ばれるアルカロイドを生成するCapsicum属における唐辛子特有の特徴である。本質的に、カプサイシノイドは、哺乳動物がそれらの果実を消費すること、及び種子を破壊することを抑止するために、植物中に存在する。ヒトは、一過性受容体潜在性チャネル(又はイオンチャネルの「TRP」ファミリーの)メンバーに構造的に関連する受容体を介してカプサイシノイドを感知することができる。感覚ニューロンにおいて重要である他の受容体と同様に、カプサイシノイド受容体(「TRPV1」、バニロイドTRP、バニロイド1受容体、又はTRPV1とも呼ばれる)は、カプサイシンに対する感度を可逆的に失うことにより、カプサイシン及びピペリンと関連付けられる刺激性の臭気及び痛み/辛味感覚、並びに同じ刺激への長期的曝露下において他の痛み及び辛味刺激を媒介する(Caterina et al.,1997)。この現象は、長時間にわたる曝露の後に痛みセンサがオフにされ得るため、人が辛い食品に堪え、更には楽しむことができる理由を部分的に説明し得る。
【0005】
カプサイシン(CP)、8−メチル−N−バニリル−トランス−6−ノネンアミド、及びジヒドロカプサイシン(DHCP)、8−メチル−N−バニリルノナンアミドは、典型的に植物において見出される2つの主要なカプサイシノイドであり、これらは合わせて、唐辛子ファミリーの刺激性の最大90%の原因である(Garces−Claver et al.,2007)。本開示に関して、8Mは、CPの直接生合成前駆体であるが、一般に、植物由来の材料から供給される場合には、ほとんどない程の少量でのみ利用可能である。
【0006】
一般に、唐辛子のカプサイシン含量は、0.1〜1%w/wの範囲であり(Govindarajan and Sathyanarayana 1991)、多くの用途において、任意の産業的又は商業的使用のためにCP及び/又はDHCP化合物を濃縮するための方法の使用が必要とされている。8Mについて、C.frutescensの不動化された自由懸濁細胞に添加されると、カプサイシンの産生量を有意に増加させるが、植物由来の供給源から明らかな量で抽出することはほとんど不可能である。
【0007】
原材料又は少量の添加剤としての食品におけるそれらの主要な使用に加えて、カプサイシノイドは、多くの医薬及び医療用途を有する。これらは、鎮痛、抗癌、抗炎症、抗酸化、及び抗肥満活性を含む一連の生理学的及び薬理学的効果を発揮することが見出されており、血管運動性鼻炎、変形性関節症、及び関節リウマチ等のいくつかの疾患によって引き起こされる疼痛を緩和するように設計された軟膏、パッチ、オイル、及びクリームの主要成分として使用されている(Aza−Gonzalez et al.,2011)。カプサイシノイドは現在、市販の護身用エアゾールスプレーの主要な活性成分として使用されている(Reilly et al.,2001、通称「ペッパースプレー」)。加えて、最近では、ハムスターにおいてカプサイシノイド消費が血漿コレステロールを低下させ、内皮機能を改善させることが報告された(Liang et al.,2013)。食品、医薬品、及び防衛におけるカ、8Mを含むプサイシノイドのこれらの多様かつ増加した用途により、カプサイシン及びカプサイシノイドの国際市場における需要が増加している。
【0008】
Capsicum属は、20種を超える唐辛子を含み、C.annuum、C.frutescens、C.chinense、C.baccatum、及びC.pubescensが栽培されている(Walsh and Hoot,2001)。存在するカプサイシノイドの異なるレベル及び種類に起因して、様々なCapsicum種にわたり、刺激性又はスパイシーさのレベルにおいて幅広い遺伝子的変動性がある。例えば、C.annuum由来の非刺激性のパプリカのスコアは0.0SHU(スコヴィル・ヒート・ユニット;カプサイシンの量を示すスケール)である一方、「ブート・ジョロキア」又はゴーストチリは、インド北東部原産のC.chinense及びC.frutescensのハイブリッドであり、スコアは最大1,001,304SHUである(Bosland and Baral,2007)(表1を参照されたい)。
【0009】
表1.
【表1】
【0010】
インビボでは、カプサイシンは、8−メチルノネノイル部分を8−メチルノネノイル−CoAからバニルアミンに移送してアミドコンジュゲートを形成するアミドアシルトランスフェラーゼであるカプサイシンシンターゼ(CS/AT3/Pun1)によって合成される(図1、Chen et al.2015及びOgawa et al.2015)。バニリルアミンは、フェニルプロパノイド経路から形成されるが、分岐鎖脂肪酸は、分岐鎖アミノ酸、例えばバリンから誘導される(Curry,et al.,1999、Stewart et al.2007、Mazourek,et al.,et al.,2009)。カプサイシンの生成及び使用における制限は、事前にそれを植物から抽出する必要性から主にもたらされる。典型的に、植物から抽出された純CPは、典型的には、辛味指数において約16,000,000のスコヴィル単位を有し、この濃度では、1グラム当たり5000USドル超で販売され得る(Backelor,2000)(表1を参照されたい)。しかしながら、唐辛子中に実際に存在するカプサイシノイドの含量は、一般に非常に低く、環境及び成長条件によって大幅に影響を受ける場合があり、これは、持続可能性及び一貫性の問題をもたらす。8Mの生成は、無傷のC.frutescens細胞と共にインキュベートしたときのカプサイシン含有促進剤としての使用、並びに様々な薬理学的及び商業的製剤におけるその直接的な使用によって、この問題を解決する助けとなり得る。本開示によれば、いくつかの実施形態では、8Mの生合成に関連する遺伝子の同定は、改変された微生物における生物変換によりカプサイシノイド生成を増加させるのに役立つことになる。
【0011】
植物から抽出される場合、典型的には、ヘキサン、クロロホルム、及びエタノール等の溶媒を使用した固−液抽出がカプサイシノイド回収に一般に使用される(Catchpole et al.,2003)。しかしながら、溶媒抽出自体は、エネルギー集約的であり、毒性廃棄物処分の問題をもたらし、植物自体が成長するのに広大なエーカー数を必要とし、8M等の微量構成物質を回収するためにさらなる精製を必要とする生成物をもたらす。したがって、純粋なカプサイシノイド若しくは8Mの生成及び/又は他のカプサイシノイドの回収のコストを低減し、大規模栽培及び処理の環境影響の低下させるために、新たな生成方法が必要とされている(Yao et al.,1994)。選択された微生物株の遺伝子操作は、これらの必要な改善に対処し、特定のカプサイシノイドの選択性、豊富さ、及び生成を増加させる可能性を有する。
【0012】
現在生成されている純粋なカプサイシンのうちの約60%が医薬品中の原材料又は成分として使用され、約15%が農薬に使用され、残りは食品添加物として使用されていると推定される。2016年現在、カプサイシン抽出物は、現在の国際市場において1キログラム当たり約$5,000で価格設定されており、全世界で年間1,200トンが生成されている。
【0013】
上記に加えて、消費者は、食品、芳香剤、香味剤、又は医薬構成成分のための天然及び生物学的供給源を承認し、それらを活発に求める一方で、調達、一貫性のある効力、及び環境的に持続可能な生成を懸念している。この状況により、本開示の微生物発酵及び生成方法は、様々な産業及び研究に有用な量で生物学的に生成物を生成する能力を有する改変微生物株により生成された化合物を、有機化学合成よりも自然な様式で提供する。
【0014】
過去30年間で、世界の化石燃料貯蔵量が減少しており、最終的に枯渇し、世界中のニーズを満たすことが不可能になり、かつ/又は回復するのに費用がかかりすぎることになることが明らかになっている。それに応じて、再生可能資源の開発に、政府及び同等に科学者が関心を集中させている。この流れで、本開示は、大量に生成された場合に、本明細書で提供される他の利益と共に、増強されたバイオ燃料のための基盤を提供し得る、中鎖(C8〜C14)分枝鎖脂肪酸の生成を提供する。したがって、本開示の構成要素は、ディーゼルの生成に使用するための中鎖脂肪酸又はその誘導体を生成することを目的とした微生物脂肪酸生合成に焦点を当てる。
【0015】
工業的に重要な生物として、及び最もよく研究されている微生物脂肪酸生合成により、E.coliは、多くの場合、脂肪酸生合成の研究のために選択される生物となっている。燃料使用のための脂肪酸の植物由来の生成が利用可能であるが、世界人口が増加するにつれて、バイオ燃料生成のための食品及び農業用地の使用の社会的及び環境的帰結を懸念する論争も大きくなっている。植物由来のバイオ燃料生成に関連して、本明細書の方法は、いくつかの実施形態では、バイオ燃料の生成に有用な中鎖(C8〜C14)遊離脂肪酸(FFA)の微生物生成を提供する。このような生成は、迅速な生成時間及び再生可能な性質に有益となる。これらはまた、さもなければ増加する人口のための食糧の栽培に使用され得る農業用地の使用を回避することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、消費者又は産業ニーズのために、8M等の特定のカプサイシン中間体を生成する新規の方法の開発が必要とされている。具体的には、本開示は、いくつかの実施形態では、商業的に関連する量で発酵プロセスから8Mを生成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示は、8−メチルノナノン酸の改善された生成方法を包含する。本開示は、いくつかの実施形態では、酵母又は細菌などの細胞系を含む改変微生物において8−メチルノナン酸を生成する方法を提供する。本開示によると、8Mを合成する微生物発酵プロセスが提供される。いくつかの実施形態では、本開示の培養物は、改変微生物株が、グルコース又はイソ酪酸などの天然前駆体から供給されるとき、8Mを生成することができる。例えば、FatB及びKASIIIの8M生成に関連する遺伝子の同定もまた、本開示の必須部分である。
【0018】
直鎖燃料よりも優れた分岐鎖脂肪酸の低温操作性により、分岐鎖長鎖脂肪酸を生成するいくつかの微生物発酵プロセスが、バイオ燃料研究の分野で記載されている(Howard et al.2013、Haushalter et al.2014、Jiang et al.2015、Tao et al.2015、及びBentley et al.2016)。しかしながら、本明細書に提供されるような微生物発酵技術又は方法を使用して、分岐鎖中鎖脂肪酸生成をもたらす能力については報告されていない。
【0019】
図1に示されるように、アシル−ACPチオエステラーゼは、脂肪酸の鎖長を制御し、8M生合成経路における主要酵素のうちの1つである。しかしながら、そのような8M特異的チオエステラーゼは、これまでに特徴付けられていない。Aluru et al.(2003)は、示次的発現技術を使用して、唐辛子果実からFatA遺伝子(GenBank:AF318288.1)を単離し、このチオエステラーゼが8M生合成に関与し得ることが理論化された(図1、Stewart et al.2007)。しかしながら、Aluruらは、FatAの生化学的活性を提供せず、FatAのこの特徴について報告して以来、研究していない。バイオインフォマティクスツールを使用して、Mazourek et al.(2009)は、唐辛子から別のアシル−ACPチオエステラーゼ、FatB(GenBank:EU616562)を単離した。同様に、FatBは、これまで特徴付けられておらず、8M生合成におけるその役割は、依然として不明である。本出願において、我々は、C.annuum L_Zunla−1のゲノムからの第3のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子の同定を報告し(Qin et al.2014)、それをFatB2と名付けた(NCBI参照配列:XM_016708605.1)。FatB2は、それを標的化された葉緑体として指定する64 aaのシグナルペプチドを含有する372 aaを有する。(配列番号1〜5を参照)。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子改変、及びより費用効率が高く、より入手が容易である特定の出発分子の標的化された供給によって、有意な体積の8−メチルノナノイン酸を生成し得る細菌株の開発のためのアプローチを提供する。本開示のいくつかの実施形態によると、イソブチリル−CoAの生成は、主要な中間体である。いったんこれが生成されると、KASIIIa/KASIIIbは、その伸長に関与し、チオエステラーゼ(FatB/FatB2)は、伸長された脂肪酸の長さを制御する。8Mは、FatB/FatB2による切断を伴う3回の伸長後に生成される。(配列番号6〜9を参照)。本明細書で生成される脂肪酸を更に伸長するために、追加の回が含まれ得る。
【0021】
本開示の一実施形態は、グルコース又はイソ酪酸からイソブチリル−CoAを作製することによって、8−メチルノナン酸を開発する生合成方法である。
【0022】
本開示において、我々は、イソブチリル−CoAを作製する3つの方法を示した。1)グルコース/ピルビン酸由来のデノボ、2)ACS(AAE、アシル−CoAシンセターゼ)、及び3)PCT(プロピオネートCoA−トランスフェラーゼ)。いくつかの実施形態では、この中間体は、微生物によって8Mを生成するためにそれ自体が重要である。
【0023】
代替の実施形態では、細胞系へのグルコースの供給は、細胞系においてイソブチリル−CoAのデノボ生合成のための遺伝子を発現させることを含み、細胞系へのイソ酪酸の供給は、イソブチリル−CoAシンセターゼ(ACS)遺伝子、又はプロピオネート/イソブチレート−CoAトランスフェラーゼ(PCT)遺伝子を発現させることを含む。
【0024】
本開示は、1つには、イソブチリル−CoA形成のための3つの経路を提供し(追加の経路情報については以下に列挙された刊行物を参照)、その後、遺伝子操作された微生物において分岐鎖中鎖脂肪酸の生成を提供する。
1.alsS、ilvC、ilvD、及びbkd遺伝子を使用してデノボのため(Jiangら)、
2.ACS(AAE)経路を使用して(Zhangら)、並びに
3.PCT経路を使用して(McMahon MDら)
【0025】
製品/商業的有用性の点で、カプサイシン又は米国の市販の8Mなどの近接類似体を含有する数十個の製品が存在し、鎮痛剤から害虫防除までありとあらゆるものにおいて、並びに食物において、かつ運動栄養補助食品として使用され得る。8Mを含有する製品は、エアゾール、液体、又は粒状配合物であり得る。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態によると、バイオ燃料生成で使用するための中鎖(C8〜C14)分岐鎖脂肪酸(BCFA)が生成され得る。これらの分子は、特に優れた低温流動性を有する燃料の開発に関して、燃料の動作温度範囲を強化するため、バイオ燃料の開発において重要である。対照的に、単鎖脂肪酸(SCFA)は、微生物の生物変換を介して生成するのがはるかに容易であるように思われる。SCFA及びBCFAの両方の細胞合成は、マロニル−ACPと短鎖アシル−CoAとの間の縮合反応を触媒することができるFabH酵素を必要とする。
【0027】
いくつかの態様では、本開示は、(a)形質転換細胞系においてKASIIIa、KASIIIb、及びチオエステラーゼを発現させることと、(b)形質転換細胞系においてイソブトリル−CoAを生成することと、(c)8−メチルノナン酸を生成することとを含む、カプサイシノイド8−メチルノナン酸(8M)を作製する生合成方法を提供する。
【0028】
本方法のいくつかの実施形態では、チオエステラーゼは、FATB又はFATB2である。本方法のいくつかの実施形態では、KASIIIaは、Capsicum属の植物(例えば、ゴーストチリ)からクローニングされる。本方法のいくつかの実施形態では、KASIIIbは、Capsicum属の植物(例えば、ゴーストチリ)からクローニングされる。本方法のいくつかの実施形態では、チオテラーゼはFATB2であり、Capsicum属の植物(例えば、ゴーストチリ)からクローニングされる。本方法のいくつかの実施形態では、チオテラーゼはFATBであり、Capsicum属の植物(例えば、ゴーストチリ)からクローニングされる。
【0029】
本方法のいくつかの実施形態では、細胞系はまた、形質転換細胞系のためのグルコース培地を含む。本方法のいくつかの実施形態では、細胞系はまた、形質転換細胞系のためのピルビン酸培地を含む。
【0030】
本方法のいくつかの実施形態では、形質転換細胞系は、アシル−CoAシンセターゼを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、形質転換細胞系は、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼを更に含む。
【0031】
本方法のいくつかの実施形態では、形質転換細胞系は、酵母、非カプサイシノイド生成植物、藻類、及び細菌を含む群から選択される。本方法のいくつかの実施形態では、細胞系は、E.Coliである。本方法のいくつかの実施形態では、細胞系は、細菌、酵母、植物細胞、動物細胞、インビトロ翻訳系、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。本方法のいくつかの実施形態では、形質転換細胞系は、酵母又は細菌の微生物培養物である。
【0032】
本方法のいくつかの実施形態では、8Mは精製されている。本方法のいくつかの実施形態では、8Mは、70%超(例えば、70%超、80%超、90%超、95%超、98%超、又は99%超)の純度である。本方法のいくつかの実施形態では、8M含量は、乾燥基準で約85重量%超(例えば、約85重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約98重量%超、約99重量%超)である。
【0033】
本方法のいくつかの実施形態では、ステップc)は、i)粗生成物を精製することと、ii)真空下で溶媒を除去して、濃縮カプサイシノイド生成物を提供することと、を含む。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、カラムクロマトグラフィによって精製される。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、酸塩基抽出によって精製される。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、真空蒸留によって精製される。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、半分取HPLCによって精製される。
【0034】
他の態様では、本開示は、配列番号5の核酸配列、又は配列番号5と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一である核酸配列を有するチオエステラーゼ遺伝子を提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子は、宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞)内にある。いくつかの実施形態では、遺伝子は、大腸菌(E.coli)細胞内にある。
【0035】
他の態様では、本開示は、配列番号6の核酸配列、又は配列番号6と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一である核酸配列を有する改変KasIIIa遺伝子を提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子は、宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞)内にある。いくつかの実施形態では、遺伝子は、大腸菌(E. coli)細胞内にある。
【0036】
他の態様では、本開示は、配列番号7の核酸配列、又は配列番号7と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一である核酸配列を有する改変KasIIIb遺伝子を提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子は、宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞)内にある。いくつかの実施形態では、遺伝子は、大腸菌(E. coli)細胞内にある。
【0037】
他の態様では、本開示は、配列番号8の核酸配列、又は配列番号8と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一である核酸配列を有する改変CCL4遺伝子を提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子は、宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞)内にある。いくつかの実施形態では、遺伝子は、大腸菌(E. coli)細胞内にある。
【0038】
他の態様では、本開示は、配列番号9の核酸配列、又は配列番号9と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一である核酸配列を有する改変PCT遺伝子を提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子は、宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞)内にある。いくつかの実施形態では、遺伝子は、大腸菌(E. coli)細胞内にある。
【0039】
他の態様では、本開示は、配列番号2のアミノ酸配列、又は配列番号2と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有するFat2Bタンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、タンパク質は、宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞)内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質は、大腸菌(E. coli)細胞内にある。
【0040】
他の態様では、本開示は、配列番号5の核酸配列の翻訳から誘導されたアミノ酸配列を含むタンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、タンパク質は、宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞)内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質は、大腸菌(E. coli)細胞内にある。
【0041】
他の態様では、本開示は、(a)形質転換細胞系においてKASIIIa、KASIIIb、及びチオエステラーゼを発現させることと、(b)形質転換細胞系においてイソブトリルCoAを生成することと、(c)C8〜C14分枝鎖脂肪酸を生成することと、を含む、中鎖BCFA(分岐鎖脂肪酸)を作製する生合成方法を提供する。本方法のいくつかの実施形態では、生成される分枝鎖脂肪酸は、バイオ燃料生成に使用される。本方法のいくつかの実施形態では、生成される分枝鎖脂肪酸は、バイオ燃料生成に使用され、低温流動性の向上を有する。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、分枝鎖脂肪酸の伸長のための脂肪酸シンターゼ(fatty acid synthase、FAS)系を生成するためのFabH及びイソブイチル(isobuytyl)CoAの使用を更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、α−ケトイソ吉草酸又はそのナトリウム塩を形質転換細胞系に供給して、8Mを発現させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、形質転換細胞系においてbkdを発現させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、イソ酪酸及び/又はその塩を形質転換細胞系に供給して、8Mを発現させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、形質転換細胞系においてCCL4を発現させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、イソ酪酸及び/又はその塩を形質転換細胞系に供給して、8Mを発現させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、形質転換細胞系においてPCTを発現させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、イソ酪酸及び/又はその塩を形質転換細胞系に供給して、8Mを発現させることを更に含む。本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、形質転換細胞系においてalsS、ilvC、ilvD、及びbkdを発現させることを更に含む。
【0042】
本方法のいくつかの実施形態では、形質転換細胞系は、酵母、非カプサイシノイド生成植物、藻類、及び細菌を含む群から選択される。本方法のいくつかの実施形態では、細胞系は、E.Coliである。本方法のいくつかの実施形態では、細胞系は、細菌、酵母、植物細胞、動物細胞、インビトロ翻訳系、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。本方法のいくつかの実施形態では、形質転換細胞系は、酵母又は細菌の微生物培養物である。
【0043】
本方法のいくつかの実施形態では、分岐鎖脂肪酸及び/又は8Mは精製されている。本方法のいくつかの実施形態では、分岐鎖脂肪酸及び/又は8Mは、70%超(例えば、70%超、80%超、90%超、95%超、98%超、又は99%超)の純度である。本方法のいくつかの実施形態では、分岐鎖脂肪酸及び/又は8Mの含量は、乾燥基準で約85重量%超(例えば、約85重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約98重量%超、約99重量%超)である。
【0044】
本方法のいくつかの実施形態では、ステップc)は、i)粗生成物を精製することと、ii)真空下で溶媒を除去して、濃縮分岐鎖脂肪酸及び/又は8M生成物を提供することと、を含む。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、カラムクロマトグラフィによって精製される。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、酸塩基抽出によって精製される。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、真空蒸留によって精製される。本方法のいくつかの実施形態では、粗生成物は、半分取HPLCによって精製される。
【0045】
細胞系について、いくつかの実施形態では、それは、細菌、酵母、及びそれらの組み合わせ、又は選択された遺伝子の遺伝子形質転換、及びその後、グルコース(デノボ経路)若しくはイソ酪酸(ACS若しくはPCT経路)前駆体の供給からの所望の8−メチルノナン酸の生合成を可能にする任意の細胞系からなる群から選択される。最も好ましい微生物系においては、所望の8Mを生成するためにE.coliが使用される。
【0046】
本開示は様々な修正及び代替形態をとり得るが、その特定の実施形態が図面において例として示され、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、本明細書において示される図面及び詳細な説明は、本開示を開示される特定の実施形態に限定するものではなく、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨及び範囲内の全ての修正、均等物、及び代替物を包含するものであることを理解されたい。
【0047】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明において明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】カプサイシノイド生合成経路。アミノトランスフェラーゼ(pAMT)は、バニリンからのバニリアミンの形成を触媒する。Pal、フェニルアラニンリアーゼ;Ca4H、ケイ皮酸4−ヒドロキシラーゼ;4CL、4−クマレートCoAリガーゼ;HCT、ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ;C3H、クマロイルシキマート/キナ酸3−ヒドロキシラーゼ;COMT、カフェイン酸O−メチルトランスフェラーゼ;pAMT、アミノトランスフェラーゼ;BCAT、分岐鎖アミノ酸トランスフェラーゼ;Kas、3−ケト−アシルACPシンターゼ;ACL、アシル輸送タンパク質;Fat、アシル−ACPチオエステラーゼ;ACS、アシル−CoAシンセターゼ;CS、カプサイシンシンターゼ(Stewart C et al.2007,J.Exp.Bot.58:979−991)。
図2】様々なアシル−CoAに対する精製されたFatA(TE1、棒の各対の左の棒)及びFatB(TE2、棒の各対の右の棒)タンパク質の活性アシル−CoAは、Sigma(St Louis,MO)から購入した。チオエステラーゼ(thioesterase、TE)の活性を、30℃で100mg/Lのアシル−CoA及び5μLの精製酵素を含有する100mMトリス緩衝液、pH7.5中でアッセイした。遊離CoA及びアシル−CoAをHPLCによって分析した。Acclaim(登録商標)120 CI 8逆相カラム(Thermo Scientific、3μ、120A、150χ3mm)を使用して、Dionex−UltiMate(登録商標)3000 LC Systems(Thermo Scientific)を用いてHPLCを実施した。移動相は、溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸)及び溶媒B(アセトニトリル)から構成された。勾配溶離手順は、以下の通りであった。0〜5分、5%のB;5〜9分、5〜80%のBの線形勾配;9〜11分、80%のB、11〜12分、5%のB。流速は、0.6mL/分であった。ダイオードアレイ検出器は、200〜400nmの範囲のデータを収集した。基質及び製品の検出及び定量化のために、ピーク面積を257nmで測定した。市販のアシル−ACPの非有用性により、Sigmaからの様々なアシル−CoAをチオエステラーゼの基質として使用した。
図3】IPTG誘発BL21(DE3)培養物からの上清のGC/MS分析。IPTG誘発BL21(DE3)培養物からの上清のGC/MS分析。空のベクターを有するCK、BL21(DE3);TE1、FatA;TE2、FatB;TE3、FatB2。培養物を、1mMのIPTGによる誘発後に16℃で増殖させ、1日後に上清から脂肪酸を抽出した。
図4】シス−5−ドデセン酸(CAS No.2430−94−6)。
図5】異なるFabH遺伝子を有する株における8Mの生成。KBB、KAS IIIb;KAB、KAS IIIa;Bacillus subtilis 168由来のKBsB1、FabH2;Staphylococcus aureus由来のKSaB、FabH。KBsB及びKSaBは、2つの陽性対照である(Jiang et al.2015)。実験を3回実施した。
図6】推定8MピークのMSスペクトル。より低いスペクトルは、ライブラリ一致である。
図6-1】8M標準のMSスペクトル。より低いスペクトルは、ライブラリ一致である。
図6-2】8M標準のGCプロファイル。より低いスペクトルは、ライブラリ一致である。
図7】CCL4、FaB2、及び異なるFabH遺伝子を有する株における8Mの生成。BBA、KAS IIIb;ABA、KAS IIIa;Bacillus subtilis 168由来のBsBA1、FabH2;Staphylococcus aureus由来のSaBA、FabH。実験を3回実施した。
図8】E.coliにおける8Mのデノボ生成。E.coliにおける8Mのデノボ生成。着色された遺伝子は、遺伝子操作された遺伝子である。alsS及びbkdは、Bacillus subtilis 168由来であり、ilvC及びilvDは、E.coli由来であり、KAS IIIa/KAS IIIb及びFatB/FatB2は、唐辛子由来である。この図は、出典がJiang et al.(2015)の図1であった。(配列番号1〜7を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0049】
好ましい実施形態の説明
本明細書において使用される用語の説明:
カプサイシン又はCPは、無色の刺激性フェノール性アミドC1827NOであり、唐辛子にその辛味又は刺激性を与え、かつ食品、医薬品、及び安全性用途に使用される、様々なCapsicum種及びそれらのハイブリッドにおいて見出される一連のフェノール性アミドの一種であるである。純粋なCPは、揮発性、疎水性、無色、無臭、結晶性〜ロウ状の化合物である。
【0050】
本明細書において使用される場合、カプサイシノイドは、唐辛子の辛味に関与するカプサイシンに関連する刺激性化合物のクラスを指す。それらは、ヒトを含む哺乳動物に対する刺激物であり、それらが接触するあらゆる組織に焼ける感覚をもたらす。8Mを含むカプサイシノイドは、ほぼ確実にある特定の哺乳動物及び菌類に対する抑止剤として、唐辛子による二次代謝産物として生成され得る。
【0051】
細胞系は、異所性タンパク質の発現を提供する任意の細胞である。これは、細菌、酵母、植物細胞、及び動物細胞を含む。これは、原核細胞及び真核細胞の両方を含む。また、これは、リボソーム等の細胞成分に基づくタンパク質のインビトロ発現を含む。
【0052】
脂肪酸、C8〜C14。本開示によれば、様々な脂肪酸が出発原材料として使用され得る。原材料としては、バニリン、バニリルアミン、又はメチル化、エチル化、若しくはグリコシル化等の芳香環における修飾を有するそれらの誘導体が挙げられ、より具体的には、8〜14炭素直鎖若しくは分岐鎖脂肪酸、又はヒドロキシ脂肪酸等のそれらの誘導体(例えば、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、及びドデカン酸)は、直鎖脂肪酸又は分岐鎖脂肪酸であってもよく、本開示の8−メチルノナン酸を作製するために使用され得る。
【0053】
細胞系の成長。成長は、細胞を増殖及び分化させることを可能にする適切な培地を提供することを含む。これはまた、細胞又は細胞成分が、組換えタンパク質を翻訳及び作製できるような供給源を提供することも含む。
【0054】
タンパク質発現。タンパク質生成は、遺伝子発現後に生じ得る。これは、DNAがメッセンジャーRNA(mRNA)に転写された後の段階からなる。次いで、mRNAは、ポリペプチド鎖に翻訳され、最終的にタンパク質に折り畳まれる。DNAは、核酸を細胞中に意図的に導入するプロセスであるトランスフェクションを介して細胞中に存在してもよい。この用語は、多くの場合、真核細胞の非ウイルス法に使用される。これはまた、他の方法及び細胞型を指す場合があるが、他の用語が好ましい。「形質転換」は、細菌、植物細胞を含む非動物真核細胞における非ウイルスDNA移送を説明するためにより頻繁に使用される。動物細胞では、形質転換はまたこれらの細胞におけるがん性状態(発がん性)への進行を指すために使用されるため、トランスフェクションが好ましい用語である。形質導入は、多くの場合、ウイルス媒介DNA移送を説明するために使用される。形質転換、形質導入、及びウイルス感染は、本出願においてトランスフェクションの定義に含まれる。
【0055】
酵母。本開示によれば、本明細書において特許請求される酵母は、真菌界のメンバーとして分類される真核生物の単一細胞微生物である。酵母は、多細胞性の祖先から進化した単細胞生物であるが、本開示に有用ないくつかの種は、仮性菌糸又は偽菌糸として知られる接続した出芽性細胞のストリングを形成することにより多細胞の特性を発達させることができるものである。
【0056】
頭字語:
AAE、アシル活性化酵素
PCT、プロピオン酸/イソ酪酸−CoAトランスフェラーゼ
TE、アシル−ACPチオエステラーゼ
Pal、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ;
Ca4H、ケイ皮酸4−ヒドロキシラーゼ;
4CL、4−クマル酸CoAリガーゼ;
HCT、ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ;
C3H、クマロイルシキミ酸/キナ酸3−ヒドロキシラーゼ;
COMT、カフェイン酸O−メチルトランスフェラーゼ;pAMT、アミノトランスフェラーゼ;
BCAT、分岐鎖アミノ酸トランスフェラーゼ、
KAS、3−ケト−アシルACPシンターゼ;
ACL、アシルキャリアタンパク質;
FatA、アシル−ACPチオエステラーゼ;
ACS、アシル−CoAシンターゼ;及び
CS、カプサイシン合成酵素。
【0057】
本開示は、1つには、8Mの生成のための微生物発酵系を提供する。
【0058】
直鎖燃料よりも優れた分岐鎖脂肪酸の低温操作性により、分岐鎖長鎖脂肪酸の生成のためのいくつかの微生物発酵プロセスが、バイオ燃料研究の分野で記載されている(Howard et al.2013、Haushalter et al.2014、Jiang et al.2015、Tao et al.2015、Bentley et al.2016)。しかしながら、微生物発酵を使用した分岐鎖中鎖脂肪酸生成については報告されていない。
【0059】
図1に示されるように、アシル−ACPチオエステラーゼは、脂肪酸の鎖長を制御し、8M生合成経路における主要酵素のうちの1つである。しかしながら、そのような8M特異的チオエステラーゼは、これまでに特徴付けられていない。Aluru et al.(2003)は、示次的発現に基づき、唐辛子果実からFatA遺伝子(GenBank:AF318288.1)を以前に単離し、人々は、このチオエステラーゼが8M生合成に関与すると信じる傾向がある(図1、Stewart et al.2007)。しかしながら、FatAの生化学的活性は、これまで報告されていない。バイオインフォマティクスツールを使用して、Mazourek et al.(2009)は、唐辛子から別のアシル−ACPチオエステラーゼ、FatB(GenBank:EU616562)を単離した。しかしながら、FatBは、これまで特徴付けられておらず、8M生合成におけるその役割は、依然として不明である。本出願において、我々は、C.annuum L_Zunla−1のゲノムからの第3のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子の同定を報告し(Qin et al.2014)、それをFatB2と名付けた(NCBI参照配列:XM_016708605.1)。FatB2は、葉緑体標的化のための64 aaのシグナルペプチドを含有する372 aaを有する。(配列番号1〜5を参照)。
【0060】
本明細書で生成される8Mを、唐辛子由来のKSIIIa/KASIIIb及びFatB/FatB2遺伝子、並びにイソブチリル−CoAの生成に関連する他の遺伝子を担持するように改変された改変E.coli培養物中で合成した。(配列番号1〜6を参照)。イソブチリル−CoAは、alsS、ilvC、ilvD、及びbkd遺伝子の過剰発現によってグルコースからデノボ生成され得る。あるいは、イソブチリル−CoAは、ACS(イソブチリル−CoAシンセターゼ)又はPCT(プロピオネートCoA−トランスフェラーゼ)遺伝子の過剰発現によって、供給されたイソ酪酸から生成され得る。これらの遺伝子は、適切に供給された選択された株が、8−メチルノナン酸を合成することを可能にした(図8)。
【0061】
カプサイシン及びその類似体の合成のための有機又は非生物学的プロセスが報告されており、例えば、Crombieら(J.Chem Soc.,1025−27(1955))は、赤唐辛子の有効成分であるカプサイシン、N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−8−メチルノン−トランス−6−エナミドの無機合成を説明している。他の有機経路は、LaHannらに対して発行された米国特許第4,493,848号、及びChenらに対して発行された米国特許第5,094,782号に示されている。
【0062】
カプサイシノイドは、痛みを信号伝達すると考えられる小径求心性神経線維C繊維及びA−デルタ繊維に対するその選択的作用のため、実験ツールとして長い間使用されてきた。動物における研究から、カプサイシノイドは、カルシウム及びナトリウム透過性のカチオンチャネルを開くことにより、C−繊維膜脱分極を誘引すると考えられる。近年では、カプサイシノイド効果のための受容体の1つがクローニングされている。
【0063】
ほとんどの唐辛子において、バニリルアミンは、フェルリン酸、バニリン、及び関連化合物を介してフェニルアラニンから形成され、カプサイシノイドは、カプサイシンシンターゼによりバニルアミン及び分岐鎖肪酸から生成される(図1)。
【0064】
合成生物学
遺伝子操作された微生物は、再生可能な供給源からの薬物、化学物質、及びバイオ燃料の生成のための益々重要なプラットフォームとなってきている(Du et al.,2011)。これらのバイオ技術製品は、食品において使用される場合、現在の規制に従って食品セクターにおいて「天然」と標示され得る(Hausler and Munch,1997)。
【0065】
例示的なカプサイシノイドとしては、ノニバミド、N−バニリルノナンアミド、N−バニリルスルホンアミド、N−バニリルウレア、N−バニリルカルバメート、N[(置換フェニル)メチル]アルキルアミド、メチレン置換N[(置換フェニル)メチル]アルカンアミド、N[(置換フェニル)メチル]−シス−単飽和アルケンアミド、N[(置換フェニル)メチル]二不飽和アミド、8M、3−ヒドロキシアセトアニリド、ヒドロキシフェニルアセトアミド、シュードカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシンI、アナンダミド、ピペリン、ジンゲロン、ワーバーガナル、ポリゴジアール、アフラモジアール、シンナモジアール、シンナモスモライド、シンナモライド、シバムド、ノニバミド、オルバニル、N−オレイル−ホモバニルアミジア、イソベレラル、スカララジアール、アンシストロジアール、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
ハイブリダイゼーション技法を使用した配列類似性の決定
核酸ハイブリダイゼーションは、DNA操作の当業者に周知の技法である。核酸の所与の対のハイブリダイゼーション特性は、それらの類似性又は同一性の指標である。
【0067】
「ハイブリダイゼーション」という用語は、一般に、相補的塩基鎖対合を介して結合する核酸分子の能力を指す。そのようなハイブリダイゼーションは、核酸分子が、適切な条件下で接触する場合に生じ得る。「特異的にハイブリダイズする」とは、逆平行二本鎖核酸構造を形成する2つの核酸分子の能力を指す。核酸分子は、それらが「完全な相補性」を示す場合、別の核酸分子の「補体」であると言われ、すなわち、1つの配列内の各ヌクレオチドは、別の配列におけるその塩基対合パートナーヌクレオチドと相補的である。2つの分子は、少なくとも従来の「低ストリンジェンシー」条件下で互いにアニールしたままであることを許容するのに十分な安定性で互いにハイブリダイズすることができる場合に、「最小限に相補的」であると言われる。同様に、2つの分子は、従来の「高ストリンジェンシー」条件下で互いにアニールしたままであることを許容するのに十分な安定性で互いにハイブリダイズすることができる場合に、「相補的」であると言われる。例えば、少なくとも低ストリンジェンシー条件下で、他の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子は、他の核酸分子の「ハイブリダイズ可能な同族体」と言われる。従来の低ストリンジェンシー及び高ストリンジェンシー条件は、本明細書において、並びにSambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd Ed.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1989)及びHaymes et al.,Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press,Washington,DC(1985)により説明されている。完全相補性からの逸脱は、そのような逸脱が二本鎖構造を形成する分子の能力を完全に排除しない限り、許容され得る。
【0068】
低ストリンジェンシー条件は、標的核酸配列に対するより低い配列同一性を有する核酸配列を選択するために使用され得る。約20℃〜約55℃の範囲の温度で約0.15M〜約0.9Mの塩化ナトリウム等の条件を採用することが望ましい場合がある。高ストリンジェンシー条件は、開示された核酸配列に対するより高い同一性の程度を有する核酸配列を選択するために使用され得る(Sambrook et al.,1989)。高ストリンジェンシー条件は、典型的には、約2×〜約10×SSC(3M塩化ナトリウム及び0.3Mクエン酸ナトリウムを含む20×SSC原液、pH7.0から蒸留水中に希釈)、約2.5×〜約5×Denhardt溶液(蒸留水中、1%(w/v)ウシ血清アルブミン、1%(w/v)フィコール、及び1%(w/v)ポリビニルピロリドンを含有する50×原液から希釈)、約10mg/mL〜約100mg/mLの魚精子DNA、並びに約0.02%(w/v)〜約0.1%(w/v)SDS中、約50℃〜約70℃で数時間〜一晩のインキュベーション下での核酸ハイブリダイゼーションを含む。高ストリンジェンシー条件は、好ましくは、55℃で数時間のインキュベーション下での6×SSC、5×Denhardt溶液、100mg/mLの魚精子DNA、及び0.1%(w/v)SDSにより提供される。ハイブリダイゼーションに続いて、一般にいくつかの洗浄ステップが行われる。洗浄組成物は、一般に、約20℃〜約70℃で15分間のインキュベーション下での、0.5×〜約10×SSC及び0.01%(w/v)〜約0.5%(w/v)SDSを含む。好ましくは、核酸セグメントは、0.1×SSC中65℃で少なくとも1回の洗浄後、ハイブリダイズした状態を維持する。
【0069】
同一性スコアを使用した配列類似性の分析
本明細書において使用される場合、「配列同一性」とは、2つの最適に整列したポリヌクレオチド又はペプチド配列が、成分、例えばヌクレオチド又はアミノ酸の整列のウィンドウ全体にわたり不変である程度を指す。試験配列及び参照配列の整列セグメントの「同一性割合」は、2つの整列した配列により共有される同一成分の数を、参照配列セグメント、すなわち参照配列全体又は参照配列のより小さい所定の部分における成分の総数で除した値である。
【0070】
本明細書において使用される場合、「配列同一性パーセント」又は「同一性パーセント」という用語は、2つの配列が最適に整列した場合の、試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補鎖)と比較した、参照(「クエリ」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補鎖)の直線ポリヌクレオチド配列における同一ヌクレオチドのパーセンテージを指す(比較ウィンドウにわたり、適切なヌクレオチド挿入、欠失、又はギャップは合計して参照配列の20パーセント未満である)。比較ウィンドウを整列させるための配列の最適な整列は、当業者に周知であり、Smith及びWatermanの局所的ホモロジーアルゴリズム、Needleman及びWunschのホモロジー整列アルゴリズム、Pearson及びLipmanの類似性検索方法等のツールによって、並びに好ましくはGCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,Burlington,MA)の一部として利用可能なGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA等のアルゴリズムのコンピュータ実装により行われてもよい。試験配列及び参照配列の整列セグメントの「同一性割合」は、2つの整列した配列により共有される同一成分の数を、参照配列セグメント、すなわち参照配列全体又は参照配列のより小さい所定の部分における成分の総数で除した値である。配列同一性パーセントは、100を乗じた同一性割合として表される。1つ以上のポリヌクレオチド配列の比較は、全長ポリヌクレオチド配列若しくはその一部、又はより長いポリヌクレオチド配列にわたってもよい。本開示の目的において、「同一性パーセント」はまた、翻訳されたヌクレオチド配列に対してはBLASTXバージョン2.0、及びポリヌクレオチド配列に対してはBLASTNバージョン2.0を使用して決定され得る。
【0071】
配列同一性のパーセントは、好ましくは、Sequence Analysis Software Package(商標)(Version 10;Genetics Computer Group,Inc.,Madison,WI)の「Best Fit」又は「Gap」プログラムを使用して決定される。「Gap」は、Needleman及びWunsch(Needleman and Wunsch,Journal Of Molecular Biology 48:443−453,1970)のアルゴリズムを利用して、マッチの数を最大化してギャップの数を最小化する2つの配列の整列を見つける。「BestFit」は、Smith及びWaterman(Smith and Waterman,Advances In Applied Mathematics,2:482−489,1981、Smith et al.,Nucleic Acids Research 11:2205−2220,1983)の局所的ホモロジーアルゴリズムを使用して、2つの配列間の類似性の最善のセグメントの最適な整列を実行し、マッチの数を最大化するためにギャップを挿入する。同一性パーセントは、最も好ましくは、「Best Fit」プログラムを使用して決定される。
【0072】
配列同一性を決定するための有用な方法はまた、National Library of Medicine,National Institute of Health,Bethesda,Md.20894のNational Center Biotechnology Information(NCBI)から公的に利用可能なBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)プログラムに開示されている。BLAST Manual,Altschul et al.,NCBI,NLM,NIH、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)を参照されたい。BLASTプログラムのバージョン2.0以降では、整列内にギャップ(欠失及び挿入)を導入することができる。ペプチド配列については、BLASTXを使用して配列同一性を決定することができ、ポリヌクレオチド配列についてBLASTNを使用して配列同一性を決定することができる。
【0073】
本明細書において使用される場合、「実質的な配列同一性パーセント」という用語は、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、又はさらにより高い配列同一性、例えば約98%若しくは約99%の配列同一性の配列同一性パーセントを指す。したがって、本開示の一実施形態は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、又はさらにより高い配列同一性、例えば約98%若しくは約99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド分子である。本開示のACS及びCS遺伝子の活性を有するポリヌクレオチド分子は、様々なカプサイシノイドの生成を導くことができ、本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列に対して実質的な配列同一性パーセントを有し、本開示の範囲内に包含される。
【0074】
「相同性」とは、位置同一性(すなわち配列類似性又は同一性)のパーセントに関する2つ以上の核酸又はアミノ酸配列間の類似性のレベルを指す。相同性はまた、異なる核酸又はタンパク質間の類似の官能特性の概念を指す。
【0075】
代替の実施形態において、核酸分子は、配列番号1〜配列番号9、若しくは本明細書に記載の任意の他の核酸配列、それらの任意の補体、それらの任意の断片、又はそれらの任意のシスエレメントからなる群から選択される核酸分子に対して、70%以上の同一性、より好ましくは少なくとも80%以上、85%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を示す核酸配列を含む。核酸分子は、好ましくは、配列番号1〜配列番号9、若しくは本明細書に記載の任意の他の核酸配列、それらの任意の補体、それらの任意の断片、又はそれらの任意のシスエレメントからなる群から選択される核酸分子に対して75%以上の同一性を示す核酸配列を含む。核酸分子は、より好ましくは、配列番号1〜配列番号9、若しくは本明細書に記載の任意の他の核酸配列、それらの任意の補体、それらの任意の断片、又はそれらの任意のシスエレメントからなる群から選択される核酸分子に対して80%以上の同一性を示す核酸配列を含む。核酸分子は、最も好ましくは、配列番号1〜配列番号9、若しくは本明細書に記載の任意の他の核酸配列、それらの任意の補体、それらの任意の断片、又はそれらの任意のシスエレメントからなる群から選択される核酸分子に対して85%以上の同一性を示す核酸配列を含む。
【0076】
本開示の目的において、「同一性パーセント」はまた、翻訳されたヌクレオチド配列についてはBLASTXバージョン2.0、及びポリヌクレオチド配列についてはBLASTNバージョン2.0を使用して決定され得る。本開示の好ましい実施形態では、本明細書において開示されるトウモロコシゲノムプロモーター配列は、それぞれのホモログに関して200超のBLASTスコア、好ましくは300超のBLASTスコア、さらにより好ましくは400超のBLASTスコアを有する核酸分子又は断片を含む。
【0077】
本開示の別の実施形態によれば、微生物系における異種タンパク質生成の効率は、生成される最終的ポリペプチドを変化させることなく、発現に使用される細胞系に好ましくなり得るが元の遺伝子源生物とは異なるものにDNA配列を改変するコドン変化により向上され得る。この問題を克服するために通常使用されるアプローチには、稀なコドンを除去するための標的化突然変異誘発、又は目的のポリペプチドを生成する宿主生物によって好まれるコドン配列に指向させるための特定の細胞株における稀なコドンtRNAの付加が含まれる。近年、そのような「コドン最適化」技術における改善は、合成遺伝子の費用効果の高い生成を可能にし、それによってこれは本発明のために実行可能な代替物及び潜在的に有用なものとなる。
【0078】
同一性及び類似性
同一性は、配列の整列(配列情報若しくは構造情報のみ、又はいくつかの他の情報を使用して行うことができるが、通常は配列情報のみに基づく)後に配列の対の間で同じであるアミノ酸の割合であり、類似性は、いくつかの類似性マトリックスを使用した整合に基づいて割り当てられたスコアである。類似性指数は、タンパク質の配列整列のために当業者により使用される以下のBLOSUM62、PAM250、若しくはGONNET、又は任意のマトリックスのうちのいずれか1つであり得る。
【0079】
同一性は、2つの下位配列間の対応度である(配列間にギャップはない)。25%以上の同一性は、機能の類似性を示し、18〜25%は構造又は機能の類似性を示す。2つの完全に無関係な又はランダム配列(100残基を超える)が20%超の同一性を有し得ることに留意されたい。類似性は、それらが比較された場合の2つの配列間の類似度である。これは、それらの同一性に依存する。
【0080】
前述の説明から明らかであるように、本開示のある特定の態様は、本明細書において例示される実施例の詳細によって限定されず、したがって、当業者は、他の修正及び用途、又はそれらの等価物を思いつくことが企図される。したがって、特許請求の範囲は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない全てのそのような修正及び用途を網羅するものであることが意図される。
【0081】
更に、別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載される、又はそれらと同様若しくは同等であるいずれの方法及び材料も、本開示の実践又は試験に使用され得るが、好ましい方法及び材料が上で説明されている。
【0082】
上記発明は、理解の目的のために例証及び例示としてある程度詳細に説明されているが、ある特定の変更及び修正が実践され得ることが当業者には明らかであろう。したがって、説明及び実施例は、添付の特許請求の範囲により説明される本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0083】
したがって、8−メチルノナン酸の生成を提供する本明細書における本発明の実施形態は、本発明の原理の例示であることを理解されたい。上記の説明から、開示される生成方法及び選択された微生物株の要素の形態、使用方法、及び要素の用途の変更が、本発明の趣旨から逸脱することなく使用され得ることが明らかであろう。
【実施例】
【0084】
実施例1
異なる経路のクローニング及び特徴付け
以前に、様々なカプサイシノイドが脂肪酸及びバニリルアミン/バニリンの供給後に生成され得る、E.coli発酵プラットフォームが開発された(Chen et al.2015)。ノニバミドの生成もまた、この系によって実証された。本開示では、この系を使用して、3つのCapsicumアシル−ACPチオエステラーゼを完全に配列し、特徴付け、それにより8M生合成におけるそれらの役割を解明した。E.coliにおけるそれらの発現を促進するために、一過性ペプチドのない成熟タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、E.coliゲノムに対してコドン最適化し、GenScript(Piscataway,NJ)によって合成した。合成された遺伝子をpCDFDuet−1ベクター(Spect+)にクローニングし、インビトロ及びインビボ研究の両方に対してBL21(DE3)に形質転換した。
【0085】
図2に示されるように、FatA(図2のTE1)が、長鎖アシル−CoAチオエステラーゼである一方で、FatBは、中鎖アシル−CoAを選ぶ(図2のTE2)。FatAよりもFatBが、8M生合成に関与すると思われる。この結論は、細胞培養物における脂肪酸組成の分析によって裏付けられる(図3)。ピーク1は、この保持時間及び質量スペクトルをSigmaからのシス−5ドデセン酸標準のものと比較することによって、シス−5ドデセン酸(図4)として同定した。図3に示されるように、シス−5−ドデセン酸は、FatB及びFatB2によって生成され、8M生成への関与を確認する。
【0086】
植物並びに細菌において、KAS III(β−ケトアシル−ACPシンターゼIII、FabH)が、脂肪酸生合成経路における初期ステップであるアセチル−CoA及びマロニル−CoAの縮合を触媒する一方で、KAS Iは、脂肪酸伸長に関与する。8M生合成経路において、KAS III酵素は、基質としてイソブチリル−CoAを受容することが可能でなければならない(図1)。しかしながら、そのような酵素は、植物界では同定されていないが、基質としてイソブチリル−CoAを使用する細菌KASIII酵素は、十分に特徴付けられている(Howard et al.2013、Haushalter et al.2014、Jiang et al.2015、Tao et al.2015、Bentley et al.2016)。
【0087】
バイオインフォマティクスアプローチ(Mazourek et al.(2009))を使用することで、唐辛子からKAS IIIa(EU616569)及びKAS IIIb(EU616570)遺伝子を単離した。しかしながら、それらの酵素活性及び8M生合成における役割は、報告されていない。本開示では、これらの2つのKAS III酵素を、8M生合成におけるそれらの役割を理解するために特徴付けた。E.coliにおけるそれらの発現を促進するために、一過性ペプチドのない成熟タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、E.coliゲノムに対してコドン最適化し、GenScriptによって合成した(それぞれ、配列番号6及び7)。合成された遺伝子をpRSFDuet−1ベクター(Kan+)にクローニングし、インビボ研究のためにpCDFDuet−FatB又はpCDFDuet−FatB2を含有するBL21(DE3)に形質転換した。
【0088】
しかしながら、KAS IIIa/KAS IIIbがBL21(DE3)細胞においてFatB/FatB2と共発現させた場合、8Mは、1mMのIPTGによる誘発後に生成されず(データは示さず)、内因性イソブチリル−CoA濃度が8M生合成を支持するには低すぎる可能性があることを示唆している。bkdオペロンをBacillus subtilis 168のゲノムからクローニングし、ケトイソ吉草酸デヒドロゲナーゼ(図1)をpETDuet−1ベクター(AMP+)にコードし、bkdをKAS IIIa/KAS IIIb及びBL21(DE3)におけるFatB/FatB2と共発現させた。IPTG−誘発後、1g/Lのα−ケトイソ吉草酸(図1)を供給すると、8Mが生成された(図5及び6)。
【0089】
別の例では、Humulus lupulus由来のCCL4遺伝子(GenBank:AGA17921.1)を、E.coliのゲノムに対するコドン最適化を用いて合成した。CCL4は、イソ酪酸をイソブチリル−CoAに変換するイソブチリル−CoAシンセターゼをコードする(Xu et al.,2013)。CCL4をpETDuet−1ベクター(AMP+)にクローニングし、CCL4をKAS IIIa/KAS IIIb及びBL21(DE3)におけるFatB/FatB2と共発現させた。IPTG誘発後、1g/Lのイソ酪酸を供給すると、8Mが生成された(図7)。配列番号6及び7は、唐辛子由来の最適化されたKAS核酸配列を表す。KAS IIIa(EU616569)及びKAS IIIb(EU616570)は、唐辛子由来の遺伝子である。
【0090】
別の実施例では、Megasphaera elsdenii由来のPCT遺伝子(NCBI参照配列:WP_014015705.1)を、E.Coliのゲノムに対するコドン最適化を用いて合成した。PCTは、イソ酪酸及びアセチル−CoAをイソブチリル−CoA及びアセテートに変換するアセテートCoA−トランスフェラーゼをコードする(McMahon and Prather,2014)。PCTをpETDuet−1ベクター(AMP+)にクローニングし、PCTをKAS IIIa/KAS IIIb及びBL21(DE3)におけるFatB/FatB2と共発現させた。IPTG誘発後、1g/Lのイソ酪酸を供給すると、8Mが生成された。
【0091】
別の例では、Jiang et al.(2015)の研究に基づき、Bacillus subtilis 168のゲノム由来のalsS及びbkd遺伝子を、それぞれKAS IIIa/KAS IIIb pRSFDuet−1ベクターと共にpETDuet−1ベクターにクローニングし、E.coliのゲノム由来のilvC及びilvD遺伝子を、それぞれpACYCDuet−1ベクター(CM+)の2つの多重クローニング部位にクローニングした(図8)。alsS、ilvC、ilvD、bkd、及びKAS IIIa/KAS IIIb遺伝子をBL21(DE3)におけるFatB/FatB2と共発現させた場合、IPTG誘発後、8Mがデノボ経路から生成された。
【0092】
発現
上記のように、8Mを生成するために、出願者らは、最初に、イソブチリル−CoAを作製する3つの方法、即ち、デノボ、ACS(AAE)、又はPCT経路を使用した。次いで、イソブチリル−CoAを、例えば、E.coliなどの微生物宿主の脂肪酸伸長サイクルに入るためにKAS IIIa又はKAS IIIbによって使用した。3回の伸長後、8MをFatB又はFatB2によって放出した。pRSFDuet−1を使用してKAS IIIa又はKAS IIIbを発現させ、pCDFDuet−1を使用してFatB又はFatB2を発現させ、pETDuet−1を使用してACS(AAE)又はPCTを発現させ、pACYCDuetを使用してilvC及びilvDを発現させ、pETDuetを使用してbkdを発現させ、pRSFDuet−1を使用してalsS及びKAS IIIaを発現させた。(配列番号1〜9を参照)。BL21star(DE3)において形質転換された培養物をIPTGによって誘発した。ACS又はPCT経路を8M生成のために利用した場合、1g/Lのイソ酪酸を培養物に供給した。脂肪酸をエチルアセテートで抽出し、メタノール中2.5%硫酸でメチル化した。脂肪酸のメチルエステルをヘキサンで抽出し、GC/MSによって分析した。
【0093】
製品分析
GC/MSを使用して、メチル化後に脂肪酸組成物を分析した。GCMS−QP2010S検出器を有し、分析カラムがSHRXI−5MS(厚さ0.25μm、長さ30m、直径0.25mm)であるShimadzu GC−2010システムで、注入温度265℃においてGC/MS分析を実施した。注入モードを分割し、炉内温度50℃、温度勾配:0〜4分50℃、4〜7.3分50℃〜100℃、15の勾配、7.3〜15.3分、100℃〜260℃、20の勾配であった。発酵生成物中の8M化合物の同一性及び存在を、その保持時間及び質量スペクトルをCayman Chemical(Ann Arbor,MI)から購入した8M標準のものと比較することによって確認した。それらは、同一であった。
【0094】
8−メチルノナン酸の生成
図5に示されるように、培養系は、約1mg/Lの力価を有していた。8Mを生成するために、ACS又はPCT、KASIIIa又はKASIIIb、及びFatB又はFatB2を過剰発現させるE.Coli BL21(DE3)株のグリセロールストックからの培養物を、LB(AMP+Kan+Spect+)プレートに画線し、37℃で一晩インキュベートした。単一コロニーを採取して5mLのLB(AMP+Kan+Spect+)液体培地に接種し、培養物を37℃において一晩250rpmで振盪した。20mLのLB(AMP+Kan+Spect+)液体培地に2%の一晩培養物を接種し、OD600が0.6に達するまで(通常3時間)、培養物を37℃において250rpmで振盪した。次いで、培養物を30℃まで冷却し、1mMのIPTGを添加してタンパク質発現を誘発した。3時間後、1g/Lのイソ酪酸を添加し、8M分析のために試料を採取した。
【0095】
8Mの生成を分析するために、0.5mLの培養物を0.5mLのエチルアセテートで30分間振盪しながら抽出した。14,000rpmで10分間遠心分離した後、100μLのエチルアセテート相をガラス管に移し、窒素ガスで乾燥させた。1mLの2.5%硫酸をメトナール中に入れ、管を65℃の水浴中で60分間インキュベートした。次いで、2mLの0.9%NaCl及び2mLのヘキサンを添加して、脂肪酸のメチルエステルを抽出した。2500rpmで10分間遠心分離した後、上記の8M濃度の分析のためにヘキサン相をGC/MSに注入した。
【産業上の利用可能性】
【0096】
技術分野の記述
本開示は、食品、医薬、及び薬理学的産業における利用可能性を有する。本開示は、一般に、改変微生物株を介した8−メチルノナン酸の生合成生成のための方法に関する。
【0097】
目的の配列
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
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46.Yao et al.,(1994),Supercritical carbon dioxide extraction of Scotch Bonnet(Capsicum annuum)and quantification of capsaicin and dihydrocapsaicin,J.Agr.Food Chem.42:1303−05.
【0104】
引用特許及び参照により組み込まれる特許:
1.Chen H.et al.,(2015)Methods of using capsaicin synthase for the microbial production of capsaicinoids.国際出願PCT/US2015/011729号
2.Chen et al.,米国特許第5,094,782号
3.LaHann et al.,米国特許第4,493,848号
4.Zhou R.,and Yu X.,(2014)Methods of making vanillin via the microbial fermentation of ferulic acid from eugenol using a plant dehydrogenase.国際出願PCT/US2014/063952号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6-1】
図6-2】
図7
図8
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]