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特許6986085エマルジョン粒子、これを含むエマルジョンおよびエマルジョンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986085
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】エマルジョン粒子、これを含むエマルジョンおよびエマルジョンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/06 20060101AFI20211213BHJP
   C08F 2/22 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C08F265/06
   C08F2/22
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-535285(P2019-535285)
(86)(22)【出願日】2017年12月29日
(65)【公表番号】特表2020-504773(P2020-504773A)
(43)【公表日】2020年2月13日
(86)【国際出願番号】KR2017015776
(87)【国際公開番号】WO2018128336
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2019年6月27日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0001150
(32)【優先日】2017年1月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515358285
【氏名又は名称】ハンファ ケミカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA CHEMICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒュン チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒ ユン キム
(72)【発明者】
【氏名】テ フン ヨム
(72)【発明者】
【氏名】ス ジン イ
(72)【発明者】
【氏名】テ ウォン チョ
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−171253(JP,A)
【文献】 特開2010−180398(JP,A)
【文献】 特開平08−169919(JP,A)
【文献】 特開平05−117344(JP,A)
【文献】 特開2019−111687(JP,A)
【文献】 特表2019−522636(JP,A)
【文献】 特表2014−511916(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/023819(WO,A1)
【文献】 特開平06−179726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 265/06
C08F 2/22−2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和エチレン系単量体の重合体から由来したコア(core)であって、第1サブコアおよび前記第1サブコアを囲む第2サブコアを含むコア;および
前記コアを囲みアルカリ水溶性樹脂を含んでなるシェル(shell)を含むエマルジョン粒子であって、
前記第1サブコアは、第1ガラス転移温度を有する重合体を含んでなり、
前記第2サブコアは、前記第1ガラス転移温度より低い第2ガラス転移温度を有する重合体を含んでなり、
前記第1サブコアを形成する重合体の架橋度は、前記第2サブコアを形成する重合体の架橋度より小さく、
前記第1サブコアに含まれる前記重合体は、スチレン、メチルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレートを含む第1単量体混合物、または、スチレン、メチルメタクリレートおよびエチルヘキシルクリレートを含む第1単量体混合物から由来し、
前記第2サブコアに含まれる前記重合体は、エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレートを含む第2単量体混合物、または、エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートおよびヘキサンジオールジアクリレートを含む第2単量体混合物から由来し、
前記シェルの前記アルカリ水溶性樹脂は、スチレン、(メタ)アクリル酸、エチルアクリレートまたはメチルメタクリレートを含む単量体混合物から由来する重合体であるエマルジョン粒子。
【請求項2】
前記シェルは、前記第2ガラス転移温度より高い第3ガラス転移温度を有する樹脂を含んでなる、請求項1に記載のエマルジョン粒子。
【請求項3】
前記第1ガラス転移温度は、55℃以上100℃以下であり、
前記第2ガラス転移温度は、−60℃以上−10℃以下である、請求項2に記載のエマルジョン粒子。
【請求項4】
前記第1サブコアを形成する重合体と前記第2サブコアを形成する重合体の重量比は、50:50以上80:20以下である、請求項2に記載のエマルジョン粒子。
【請求項5】
前記コアは、
前記第2サブコアを囲む第3サブコアをさらに含み、
前記第3サブコアは、前記第2ガラス転移温度より高い第4ガラス転移温度を有する重合体を含んでなる、請求項2に記載のエマルジョン粒子。
【請求項6】
前記第4ガラス転移温度は、55℃以上100℃以下である、請求項5に記載のエマルジョン粒子。
【請求項7】
分散媒;および
前記分散媒内に分散したスチレン/アクリル系エマルジョン粒子を含み、
前記エマルジョン粒子は、
不飽和エチレン系単量体の重合体から由来したコアであって、第1サブコアおよび前記第1サブコアを囲む第2サブコア、を含むコア、および
前記コアを囲み、アルカリ水溶性樹脂を含んでなるシェルを含み、
前記第1サブコアを形成する重合体の架橋度は、前記第2サブコアを形成する重合体の架橋度より小さく、
前記第1サブコアに含まれる前記重合体は、スチレン、メチルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレートを含む第1単量体混合物、または、スチレン、メチルメタクリレートおよびエチルヘキシルクリレートを含む第1単量体混合物から由来し、
前記第2サブコアに含まれる前記重合体は、エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレートを含む第2単量体混合物、または、エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートまたはヘキサンジオールジアクリレートを含む第2単量体混合物から由来し、
前記シェルの前記アルカリ水溶性樹脂は、スチレン、(メタ)アクリル酸、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートを含む単量体混合物から由来する重合体であるエマルジョン。
【請求項8】
前記エマルジョンの全体重量に対し、前記エマルジョン粒子の含有量は60重量%以下であり、
ガラス転移温度は、25℃以上55℃以下であり、
酸価は100mgKOH/g以下である、請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項9】
アルカリ水溶性樹脂が溶解したアルカリ性水性媒質を準備する段階;
前記アルカリ性水性媒質に第1単量体混合物を添加する段階;および
前記第1単量体混合物が添加された前記アルカリ性水性媒質に前記第1単量体混合物と相違する組成を有する第2単量体混合物を添加する段階を含み、
前記第1単量体混合物が重合されて形成された重合体は、エマルジョン粒子の第1サブコアをなし、
前記第2単量体混合物が重合されて形成された重合体は、前記エマルジョン粒子の前記第1サブコアを囲む第2サブコアをなし、
前記アルカリ水溶性樹脂は、スチレン、(メタ)アクリル酸、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートを含み、
前記第1単量体混合物は、スチレン、メチルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレート、または、スチレン、メチルメタクリレートおよびエチルヘキシルクリレートを含み、
前記第2単量体混合物は、エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレート、または、エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートまたはヘキサンジオールジアクリレートを含み、
前記第1サブコアを形成する重合体の架橋度は、前記第2サブコアを形成する重合体の架橋度より小さい、エマルジョンの製造方法。
【請求項10】
前記第1単量体混合物が重合されて形成された重合体は、第1ガラス転移温度を有するように構成され、
前記第2単量体混合物が重合されて形成された重合体は、前記第1ガラス転移温度より低い第2ガラス転移温度を有するように構成される、請求項9に記載のエマルジョンの製造方法。
【請求項11】
前記アルカリ水溶性樹脂の重量平均分子量は、5,000g/mol以上30,000g/mol以下であり、ガラス転移温度は、30℃以上120℃以下であり、酸価(Acid Value)は、70mgKOH/g以上180mgKOH/g以下である、請求項10に記載のエマルジョンの製造方法。
【請求項12】
前記第2ガラス転移温度は、前記アルカリ水溶性樹脂の前記ガラス転移温度より低い、請求項11に記載のエマルジョンの製造方法。
【請求項13】
前記第1単量体混合物は、前記第1単量体混合物の全体重量に対し、80重量%以上85重量%以下のスチレン、および13重量%以上17重量%以下のメチルメタクリレートを含み、
前記第2単量体混合物は、前記第2単量体混合物の全体重量に対し、80重量%以上85重量%以下のエチルヘキシルアクリレート、13重量%以上17重量%以下のメチルメタクリレート、および1.0重量%以上5.0重量%以下のグリシジルメタクリレートを含む、請求項10に記載のエマルジョンの製造方法。
【請求項14】
前記第2単量体混合物を添加する段階前に前記第1単量体混合物の少なくとも一部は重合が完了する、請求項9に記載のエマルジョンの製造方法。
【請求項15】
前記第1単量体混合物を添加する段階および前記第2単量体混合物を添加する段階は、それぞれ60分以上180分以下の時間の間連続して行われる、請求項14に記載のエマルジョンの製造方法。
【請求項16】
前記アルカリ水溶性樹脂100重量部に対し、
前記第1単量体混合物は、50重量部以上450重量部以下の範囲で添加され、
前記第2単量体混合物は、30重量部以上350重量部以下の範囲で添加される、請求項15に記載のエマルジョンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルジョン粒子、エマルジョン粒子を含むエマルジョンおよびエマルジョンの製造方法に関し、より詳細にはコア−シェル構造を有するスチレン/アクリル系エマルジョン粒子、前記エマルジョン粒子を含むエマルジョンおよび前記エマルジョンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、フィルム、木材、鉄材などの基材表面を保護するための方法としては前記基材の表面に油性樹脂をコートする方法が挙げられる。前記油性樹脂は、コーティング工程の作業性を改善し、コーティング物性を向上させるための溶剤として油性有機溶媒を含む。しかし、前記油性樹脂は、可燃性であるため、火災に脆弱であり、コーティング膜の表面に残留する油性溶剤は人体に有害な影響を及ぼし得る。
【0003】
これに、可燃性および毒性を有さないながらも基材に対するコーティング物性などに優れ、優れた耐久性を有する新たなコーティング物質に対する開発が求められる実情である。前記のような観点からコーティング物質として水性樹脂を使用する方法が考慮され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水性樹脂の一つであるスチレン/アクリル系エマルジョンを製造するための方法として、アルカリ水溶性樹脂を乳化剤として用いて不飽和エチレン系単量体を乳化重合する方法が挙げられる。
【0005】
しかし、一般的なスチレン/アクリル系エマルジョンの場合、耐久性とフィルム性が反比例の関係にある限界がある。例えば、硬度などの耐久性を改善するためにエマルジョンのガラス転移温度を高めると、基材に対する付着性が低下するか、コーティング膜が形成されない場合がある。これに対し、コーティング性を改善するためにエマルジョンのガラス転移温度を低くすると、硬度、耐水性、耐化学性などの耐久性が低下する問題がある。
【0006】
これに、本発明が解決しようとする課題は、従来には両立が困難であったフィルム性と耐久性をいずれも改善したエマルジョン粒子を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、フィルム性と耐久性をいずれも改善したエマルジョンを提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとするまた他の課題は、フィルム性と耐久性をいずれも改善したエマルジョンを製造するための方法を提供することにある。
【0009】
本発明の課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の一実施例によるエマルジョン粒子は、不飽和エチレン系単量体の重合体から由来したコア(core)であって、第1サブコアおよび前記第1サブコアを囲む第2サブコアを含むコア、および前記コアを囲み、アルカリ水溶性樹脂を含んでなるシェル(shell)を含むエマルジョン粒子であって、前記第1サブコアは、第1ガラス転移温度を有する重合体を含んでなり、前記第2サブコアは、前記第1ガラス転移温度より低い第2ガラス転移温度を有する重合体を含んでなる。
【0011】
前記シェルは、前記第2ガラス転移温度より高い第3ガラス転移温度を有する樹脂を含んでなり得る。
【0012】
また、前記第1ガラス転移温度は、55℃以上100℃以下であり、前記第2ガラス転移温度は、−60℃以上−10℃以下であり得る。
【0013】
また、前記第1サブコアを形成する重合体と前記第2サブコアを形成する重合体の重量比は、50:50以上80:20以下であり得る。
【0014】
また、前記第1サブコアを形成する重合体の架橋度は、前記第2サブコアを形成する重合体の架橋度より小さくてもよい。
【0015】
また、前記コアは、前記第2サブコアを囲む第3サブコアをさらに含み、前記第3サブコアは、前記第2ガラス転移温度より高い第4ガラス転移温度を有する重合体を含んでなり得る。
【0016】
また、前記第4ガラス転移温度は、55℃以上100℃以下であり得る。
【0017】
前記他の課題を解決するための本発明の一実施例によるエマルジョンは、分散媒、および前記の分散媒内に分散したスチレン/アクリル系エマルジョン粒子を含み、前記エマルジョン粒子は、不飽和エチレン系単量体の重合体から由来したコアであって、第1サブコアおよび前記第1サブコアを囲む第2サブコアを含むコア、および前記コアを囲みアルカリ水溶性樹脂を含んでなるシェルを含む。
【0018】
前記エマルジョンの全体重量に対し、前記エマルジョン粒子の含有量は、60重量%以下であり、ガラス転移温度は、25℃以上55℃以下であり、酸価は、100mgKOH/g以下であり得る。
【0019】
前記また他の課題を解決するための本発明の一実施例によるエマルジョンの製造方法は、アルカリ水溶性樹脂が溶解したアルカリ性水性媒質を準備する段階、前記アルカリ性水性媒質に第1単量体混合物を添加する段階、および前記第1単量体混合物が添加された前記アルカリ性水性媒質に前記第1単量体混合物と相違する組成を有する第2単量体混合物を添加する段階を含む。
【0020】
前記第1単量体混合物が重合されて形成された重合体は、第1ガラス転移温度を有するように構成され、前記第2単量体混合物が重合されて形成された重合体は、前記第1ガラス転移温度より低い第2ガラス転移温度を有するように構成され得る。
【0021】
また、前記アルカリ水溶性樹脂の重量平均分子量は、5,000g/mol以上30,000g/mol以下であり、ガラス転移温度は、30℃以上120℃以下であり、酸価(Acid Value)は、70mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり得る。
【0022】
また、前記第2ガラス転移温度は、前記アルカリ水溶性樹脂の前記ガラス転移温度より低くてもよい。
【0023】
また、前記第1単量体混合物は、前記第1単量体混合物の全体重量に対し、80重量%以上85重量%以下のスチレン、および13重量%以上17重量%以下のメチルメタクリレートを含み得、前記第2単量体混合物は、前記第2単量体混合物の全体重量に対し、80重量%以上85重量%以下のエチルヘキシルアクリレート、13重量%以上17重量%以下のメチルメタクリレート、および1.0重量%以上5.0重量%以下のグリシジルメタクリレートを含み得る。
【0024】
また、前記第1単量体混合物が重合されて形成された重合体は、エマルジョン粒子の第1サブコアをなし、前記第2単量体混合物が重合されて形成された重合体は、前記エマルジョン粒子の前記第1サブコアを囲む第2サブコアをなし得る。
【0025】
前記第2単量体混合物を添加する段階前に前記第1単量体混合物の少なくとも一部は重合が完了し得る。
【0026】
また、前記第1単量体混合物を添加する段階および前記第2単量体混合物を添加する段階は、それぞれ60分以上180分以下の時間の間連続して行われ得る。
【0027】
また、前記アルカリ水溶性樹脂100重量部に対し、前記第1単量体混合物は、50重量部以上450重量部以下の範囲で添加され、前記第2単量体混合物は、30重量部以上350重量部以下の範囲で添加され得る。
【0028】
その他実施例の具体的な内容は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例によるエマルジョン粒子およびエマルジョンは、従来には両立が困難であったフィルム性と耐久性の改善をいずれも達成することできる。
【0030】
また、本発明の一実施例によるエマルジョンの製造方法によれば、従来には両立が困難であったフィルム性と耐久性をいずれも改善したエマルジョン粒子およびエマルジョンを製造することができる。
【0031】
本発明の実施例による効果は、以上で例示した内容によって制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施例によるエマルジョン粒子の構造を説明するための概略図である。
図2】本発明の他の実施例によるエマルジョン粒子の構造を説明するための概略図である。
図3】比較例2を用いた実験例4による塗膜のイメージである。
図4】比較例2を用いた実験例8による塗膜のイメージである。
図5】実験例9によるエマルジョン粒子の粒度を測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の利点および特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述する実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されるものであり、実施例は単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0034】
本明細書において、「および/または」は、言及されたアイテムのそれぞれおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。「ないし」を使って示す数値範囲は、その前後に記載した値をそれぞれ下限と上限として含む数値範囲を示す。「約」または「概略」は、その後に記載した値または数値範囲の20%以内の値または数値範囲を意味する。
【0035】
本明細書において使われる用語「アルカリ水溶性」は、常温でpH7以上の脱イオン水1Lに10g以上の樹脂または重合体が溶解され得る特性を有するものを意味する。
【0036】
本明細書において使われる用語「エマルジョン」は、分散媒に対して不溶性であるエマルジョン粒子が分散媒の中に分散した系を意味する。「エマルジョン粒子」は、乳化重合により製造される粒子状重合体を意味し、ラテックス粒子を含むことを意味する。
【0037】
本明細書において使われる用語「アルキル基」は、直鎖型または分岐鎖型脂肪族飽和炭化水素から一つの水素原子を除いた1価の原子団を意味し、「*−C2n+1(ここで、nは自然数)」で表すことができる。「*」は、隣接する原子が共有結合する結合サイトを意味する。
【0038】
以下、本発明の例示的な実施例によるエマルジョンとエマルジョン粒子およびエマルジョンの製造方法について詳細に説明する。
【0039】
エマルジョン(emulsion)およびエマルジョン粒子(emulsion particle)
【0040】
本発明の例示的な実施例によるエマルジョンは、分散媒および前記分散媒内に分散したエマルジョン粒子を含む。例えば、前記エマルジョンの全体重量に対し、前記エマルジョン粒子の含有量は、約60重量%以下であり得る。
【0041】
図1は本発明の一実施例によるエマルジョン粒子100の構造を説明するための概略図である。図1を参照すれば、本実施例によるエマルジョン粒子100は、少なくとも部分的にコア−シェル(core−shell)構造を有し得る。コア10は、重合体マトリックスを含んでなり、シェル20は、少なくとも部分的にコア10を含み得る。例えば、エマルジョン粒子100は、アルカリ水溶性樹脂を乳化剤として用いて単量体を乳化重合させて製造したものであり得る。
【0042】
シェル20は、アルカリ水溶性樹脂を含んでなり得る。例示的な実施例において、シェル20を形成するアルカリ水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約5,000g/mol以上30,000g/mol以下であり、酸価(Acid Value)は、約70mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり得る。また、シェル20を形成するアルカリ水溶性樹脂のガラス転移温度は、約30℃以上120℃以下、または約55℃以上100℃以下であり得る。
【0043】
アルカリ水溶性樹脂の重量平均分子量、ガラス転移温度および/または酸価を前記範囲内にあるようにして乳化剤として用いることによって、ナノメートル(nanometer)水準の平均粒度を有しながらも幅が狭いユニモーダルな粒度分布を有するエマルジョン粒子100を製造し得る。また、製造したエマルジョンのコーティング物性を向上させると同時に十分な耐久性を付与し得る。例えば、シェル20を形成するアルカリ水溶性樹脂を後述するコア10を形成する重合体に比べて相対的に高い酸価とガラス転移温度を有するように構成してエマルジョンを用いたコーティング膜の硬度などの耐久性を補強し、湿潤性(wettability)等のコーティング物性を改善できる。
【0044】
アルカリ水溶性樹脂は、スチレン/アクリル系単量体をフリーラジカル重合、例えば、連続バルク重合させて製造したものであり得る。例示的な実施例において、前記アルカリ水溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アクリル系単量体のうち一つ以上およびスチレン系単量体を含む単量体混合物から由来した重合体であり得る。
【0045】
前記スチレン系単量体の例としては、スチレンまたはα−メチルスチレンを例示することができ、前記(メタ)アクリル酸系単量体の例としてはメタクリル酸またはアクリル酸が挙げられ、前記(メタ)アクリル系単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートまたは2−エチルヘキシルメタクリレートが挙げられる。
【0046】
いくつかの実施例において、アルカリ水溶性樹脂は、下記の化学式1で表される構造を有する不飽和エチレン系単量体から由来した重合体を含んでなり得る。
【0047】
【化1】
【0048】
前記化1において、R1は水素またはメチル基(*−CH)であり、Rはフェニル基または*−C(=O)−ORであり、ここでRは炭素数1ないし10の直鎖型または分岐鎖型アルキル基または水素である。
【0049】
例えば、前記アルカリ水溶性樹脂は、下記の化1Aで表される構造を有するスチレン系単量体、および下記の化1Bで表される構造を有する(メタ)アクリル酸系単量体と下記の化1Cで表される構造を有する(メタ)アクリル系単量体のうち一つ以上を含む単量体を含む単量体混合物から由来した重合体であり得る。
【0050】
【化1A】
【0051】
【化1B】
【0052】
【化1C】
【0053】
前記化1Aないし化1Cにおいて、Rは水素またはメチル基(*−CH)であり、Rは炭素数1ないし10の直鎖型または分岐鎖型アルキル基である。
【0054】
非制限的な一例として、前記アルカリ水溶性樹脂は、前記化1Aで表される構造を有するスチレン系単量体約5重量%以上75重量%、前記化1Bで表される構造を有する(メタ)アクリル酸系単量体約10重量%以上40重量%、および前記化1Cで表される構造を有する(メタ)アクリル系単量体約15重量%以上45重量%を含む単量体混合物、重合開始剤および溶媒を含む組成物を120℃以上300℃以下の温度で連続バルク重合して製造したものであり得る。
【0055】
前記重合開始剤は、スチレン/アクリル系単量体の重合に用いられるものであれば、特に制限されないが、例えば、アルキルパーオキシベンゾエート系開始剤であり得る。または90℃ないし120℃で半減期が約10時間である開始剤を用い得る。例えば、開始剤は、t−ブチルパーオキシベンゾエート(t−butyl peroxybenzoate)を含み得る。前記重合開始剤は、前記単量体混合物100重量部に対し、約0.001ないし2重量部の範囲で含まれ得る。
【0056】
前記溶媒は、ジプロピレングリコールメチルエーテルおよび水を含み得る。溶媒としてジプロピレングリコールメチルエーテルおよび水の混合溶媒を用いることによって溶媒と樹脂との間の反応、例えば、エステル化反応を抑制でき、これによりアルカリ水溶性樹脂の粘度および/または反応器内部の温度の制御が容易になる。前記溶媒は、前記単量体混合物100重量部に対し、約3ないし20重量部の範囲で含まれ得る。
【0057】
コア10は、不飽和エチレン系単量体から由来した重合体マトリックスを含んでなり得る。不飽和エチレン系単量体から由来した重合体は、乳化重合反応時に乳化剤によって囲まれた単量体が重合して形成されたものであり得る。
【0058】
例示的な実施例で、コア10は、1官能基または2官能基の(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、スチレン系単量体および/またはシラン系単量体を含む単量体混合物から由来した重合体であり得る。
【0059】
前記スチレン系単量体の例としてはスチレンまたはα−メチルスチレンが挙げられ、前記(メタ)アクリル酸系単量体の例としては、メタクリル酸またはアクリル酸が挙げられ、前記(メタ)アクリル系単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヘキサンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリメタクリレートが挙げられる。前記シラン系単量体の例としては、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリジエトキシシラン、グリシドキシプロピルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランまたはメタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0060】
いくつかの実施例において、コア10は、下記の化2で表される構造を有する不飽和エチレン系単量体から由来した重合体を含んでなり得る。
【0061】
【化2】
【0062】
前記化2において、Rは水素またはメチル基(*−CH)であり、Rはフェニル基または*−C(=O)−ORであり、Rは炭素数1ないし10の直鎖型または分岐鎖型アルキル基、炭素数1ないし10の環状炭化水素基または水素である。
【0063】
例えば、コア10は、下記の化2Aで表される構造を有するスチレン系単量体、および下記の化2Bで表される構造を有する(メタ)アクリル酸系単量体と下記の化2Cで表される構造を有する(メタ)アクリル系単量体のうち一つ以上を含む単量体を含む単量体混合物から由来した重合体であり得る。
【0064】
【化2A】
【0065】
【化2B】
【0066】
【化2C】
【0067】
前記化2Aないし化2Cにおいて、Rは水素またはメチル基(*−CH)であり、Rは炭素数1ないし10の直鎖型または分岐鎖型アルキル基または炭素数1ないし10の環状炭化水素基である。
【0068】
例示的な実施例において、コア10は、中心部に位置した第1サブコア10aおよび少なくとも部分的に第1サブコア10aを囲む第2サブコア10bを含む。すなわち、コア10は、分割(split)された構造であり得る。
【0069】
第1サブコア10aをなす不飽和エチレン系単量体から由来した重合体は、第2サブコア10bをなす不飽和エチレン系単量体から由来した重合体と相違し得る。
【0070】
例えば、第1サブコア10aは、第1ガラス転移温度を有する重合体を含んでなり、第2サブコア10bは、前記第1ガラス転移温度より低い第2ガラス転移温度を有する重合体を含んでなり得る。第1サブコア10aを形成する重合体の前記第1ガラス転移温度は、約55℃以上100℃以下、または約55℃以上75℃以下であり得る。また、第2サブコア10bを形成する重合体の前記第2ガラス転移温度は、約−60℃以上−10℃以下、または約−55℃以上−30℃以下であり得る。また、シェル20を形成するアルカリ水溶性樹脂のガラス転移温度(第3ガラス転移温度)は、第2サブコア10bを形成する重合体の前記第2ガラス転移温度より高くてもよい。
【0071】
いくつかの実施例において、第1サブコア10aを形成する重合体の架橋度は、第2サブコア10bを形成する重合体の架橋度より小さくてもよい。例えば、第1サブコア10aを形成する重合体は、約20%当量比以下の架橋度、または約5%当量比以下の架橋度を有し得る。第1サブコア10aの架橋度を約5%当量比以下の範囲にあるようにして重合安定性を確保しながらエマルジョン粒子100を含むエマルジョンのフィルム性と柔軟性を最大化できる。また、第2サブコア10bを形成する重合体は、約20%当量比以下の架橋度または約15%当量比以下の架橋度を有し得る。本実施例によるエマルジョンは、第1サブコア10aに比べて外側に形成される第2サブコア10bの架橋度を第1サブコア10aの架橋度に比べて大きくし、エマルジョン粒子100を含むエマルジョンのフィルム性の低下を最小化しながらもエマルジョンの硬度と耐久性を最大化できる。本明細書において、架橋度を示す「当量」は、重合体をなす単量体混合物に対する多官能基単量体のモル数と官能基個数の積を意味する。
【0072】
一方、第1サブコア10aを形成する重合体と第2サブコア10bを形成する重合体の重量比は、約50:50以上80:20以下、または約65:35以上75:25以下の範囲で含まれ得る。
【0073】
本実施例によるエマルジョン粒子100は、コア10を第1サブコア10aおよび第2サブコア10bを含む多層構造で形成することによって、均一でかつ安定したエマルジョン特性を実現できる。のみならず、第1サブコア10aと第2サブコア10bで具現される物性が相互補完されることによって、エマルジョン粒子100を含むエマルジョンのフィルム性、柔軟性、硬度および耐化学性などの物性を同時に向上させることができ、アルカリ水溶性樹脂をシェル20として含むエマルジョンをコーティング膜として用いる場合に外観および光沢に優れる効果がある。
【0074】
例えば、相対的に高い架橋度を有する第2サブコア10bにより全体的なコア10が十分に架橋され、硬度、耐スクラッチ性、耐化学性などの耐久性が改善されると同時に常温以下の第2ガラス転移温度を有する第2サブコア10bを含み、エマルジョン粒子100を含むエマルジョンのガラス転移温度を相対的に低く維持でき、フィルム性を向上させることができる。そのため、最小塗膜形成温度を低くすることができ、造膜剤(film forming agent)の含有量を最小化でき、揮発性有機物質(VOC)の規制要件から比較的自由に固形分含有量を設計できる。
【0075】
本実施例によるエマルジョン粒子100を含むエマルジョンのガラス転移温度は、約25℃以上55℃以下、または約35℃以上45℃以下であり得る。また、酸価は、約100mgKOH/g以下であり得る。エマルジョンのガラス転移温度を相対的に低く維持することによって、グリット(Grit)および/またはスケール(Scale)を低くすることができ、重合安定性を確保できる。
【0076】
図2は本発明の他の実施例によるエマルジョン粒子101の構造を説明するための概略図である。図2を参照すれば、本実施例によるエマルジョン粒子101のコア11は、少なくとも部分的に第2サブコア10bを囲む第3サブコア10cをさらに含む点で図1のエマルジョン粒子100と相違する。
【0077】
第3サブコア10cは、第1サブコア10aおよび第2サブコア10bと同様に不飽和エチレン系単量体から由来した重合体マトリックスを含んでなり得る。第3サブコア10cをなす不飽和エチレン系単量体から由来した重合体は、第2サブコア10bをなす不飽和エチレン系単量体から由来した重合体と相異し得る。
【0078】
例えば、第3サブコア10cは、第4ガラス転移温度を有する重合体を含んでなり、第3サブコア10cを形成する重合体の前記第4ガラス転移温度は、第2サブコア10bを形成する重合体の前記第2ガラス転移温度より高くてもよい。第3サブコア10cを形成する重合体の前記第4ガラス転移温度は、約55℃以上100℃以下、または約55℃以上75℃以下であり得る。第3サブコア10cを形成する重合体は、第1サブコア10aをなす重合体と同一または異なり得る。
【0079】
本実施例によるエマルジョン粒子101を含むエマルジョンのガラス転移温度は、約25℃以上55℃以下であり得る。また、酸価は、約100mgKOH/g以下であり得る。
【0080】
エマルジョンの製造方法
【0081】
本実施例によるエマルジョンの製造方法は、アルカリ水溶性樹脂が溶解したアルカリ性水性媒質を準備する段階、前記アルカリ性水性媒質に第1単量体混合物を添加する段階、および前記第1単量体混合物が添加された前記アルカリ性水性媒質に前記第1単量体混合物と相違する組成を有する第2単量体混合物を添加する段階を含む。前記第1単量体混合物および前記第2単量体混合物は、不飽和エチレン系単量体を含み得る。
【0082】
乳化重合に用いられる連続相、すなわち分散媒は塩基性を帯びる水性媒質であり得る。例えば前記アルカリ性水性媒質は、水、例えば脱イオン水に溶解したアンモニア、水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムを含み得る。前記アルカリ性水性媒質のpHは、エマルジョンの粘度、臭いなどの固有物性およびフィルム性、耐久性、分散性などの要求物性を考慮して制御し得る。アルカリ水溶性樹脂が溶解したアルカリ性水性媒質を準備する段階は、アルカリ水溶性樹脂を水性媒質に分散させた後、アルカリ性物質/媒質を添加する段階を含むか、またはアルカリ水溶性樹脂をアルカリ性水性媒質に直接溶解させる段階を含み得る。
【0083】
例示的な実施例において、アルカリ水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約5,000g/mol以上30,000g/mol以下であり、酸価(Acid Value)は、約70mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり得る。また、ガラス転移温度は、約30℃以上120℃以下、または約55℃以上100℃以下であり得る。
【0084】
アルカリ性水性媒質に添加されたアルカリ水溶性樹脂は、アニオン性乳化剤と類似の機能を行い得る。アルカリ水溶性樹脂は、アルカリ性水性媒質に溶解してミセル(Micelle)を形成でき、後述する第1単量体混合物および第2単量体混合物は、前記ミセルによって囲まれた状態で重合され得る。また、上述した通り、制御した重量平均分子量、ガラス転移温度および酸価などを有するアルカリ水溶性樹脂を乳化剤として用いることによって、エマルジョン粒子がナノメートル(nanometer)水準の平均粒度を有しながらも幅が狭いユニモーダルな粒度分布を有し得る。また、前記アルカリ水溶性樹脂の他に別途のアニオン性または非イオン性乳化剤を用いないので、エマルジョンの貯蔵安定性に優れ、優れた透明度を有するエマルジョンを製造できる効果がある。
【0085】
前記アルカリ水溶性樹脂は、水性媒質に添加される全体固形分、例えば、アルカリ水溶性樹脂、第1単量体混合物、第2単量体混合物および開始剤の全体含有量に対して約15重量%以上60重量%以下の範囲で添加され得る。アルカリ水溶性樹脂の添加量が15重量%より小さい場合、エマルジョン粒子に十分な安定性が付与されず、エマルジョンのゲル(Gel)化が行われ得る。また、60重量%より大きい場合、エマルジョンを用いたコーティング膜の耐水性と耐アルコール性などの耐久性が低下し得る。
【0086】
次いで、アルカリ水溶性樹脂が添加されたアルカリ性水性媒質を加熱し、開始剤を添加し得る。アルカリ性水性媒質を加熱する段階は、乳化重合の反応温度に合わせて反応系の温度を再設定する段階であり得る。例えば、アルカリ性水性媒質は、約70℃以上90℃以下の温度で加熱し得る。開始剤は、重合の安定性および反応性などを考慮して反応開始前に一度に添加するか、連続的または半連続的に添加し得る。例えば開始剤は、約60分以上180分以下の時間の間連続して添加し得る。乳化重合に用いられる開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムまたは過硫酸ナトリウムなどのパースルフェート系開始剤が挙げられる。
【0087】
開始剤を添加する段階が始まった後に第1単量体混合物を添加する段階および第2単量体混合物を添加する段階が行われ得る。例えば、開始剤を連続して添加し始めてから約5分以上15分以下の時間が経過した後に第1単量体混合物を添加し得る。第1単量体混合物および第2単量体混合物は、重合の安定性とコアの分割(split)程度を考慮して連続して行われ得る。
【0088】
例示的な実施例において、開始剤を添加する段階が始まった後に第1単量体混合物は、約60分以上180分以下の時間の間連続して添加され得る。開始剤が添加されて反応系が重合可能な状態に設定された後に第1単量体混合物が添加されると、水性媒質に溶解したアルカリ水溶性樹脂が形成したミセル内に第1単量体混合物が囲まれた状態でエマルジョン粒子のコア、具体的には第1サブコアを形成し得る。
【0089】
第1単量体混合物を添加する段階が終了した後に第2単量体混合物は約60分以上180分以下の時間の間連続して添加し得る。第2単量体混合物を添加する段階は、第1単量体混合物を添加する段階の完了直後、または約1分以上30分以下の時間差を置いて行われ得る。第1単量体混合物の添加が完了した直後に第2単量体混合物を添加する場合、より安定した重合が可能になる。第1単量体混合物が添加され、少なくとも部分的に第1単量体混合物の重合が開始および完了した後に第2単量体混合物が添加されると、前記ミセル内に第2単量体混合物が囲まれた状態でエマルジョン粒子のコア、具体的には前記第1単量体混合物が重合されて形成された第1サブコアを部分的に囲む第2サブコアを形成し得る。これにより分割構造のコアおよびシェルを含むエマルジョン粒子およびエマルジョン粒子を含むエマルジョンを製造できる。
【0090】
以下、製造例、比較例および実験例を参照して本発明の例示的な実施例によるエマルジョン粒子、エマルジョン粒子を含むエマルジョンおよびエマルジョンの製造方法についてより詳細に説明する。
【0091】
製造例1:アルカリ水溶性樹脂の製造
【0092】
<製造例1−1>
スチレン32.7g、アクリル酸11.5g、メチルメタクリレート52.3gおよびエチルアクリレート3.5gの単量体混合物100gを準備した。そして、前記単量体混合物にt−ブチルパーオキシベンゾエート0.10gと混合溶媒(ジプロピレングリコールメチルエーテル71重量%、水29重量%)4.5gを添加した後1LのSUS反応器を用いて215℃の温度で連続バルク重合してスチレン/アクリル系樹脂を製造した。
【0093】
製造例1−1により製造した樹脂の重量平均分子量は10,639g/molであり、ガラス転移温度は95℃であり、酸価は85.9mgKOH/gであった。
【0094】
<製造例1−2>
スチレン31.0g、メタクリル酸12.0g、アクリル酸2.5g、メチルメタクリレート49.3gおよびエチルアクリレート5.2gの単量体混合物100gを準備した。そして、前記単量体混合物にt−ブチルパーオキシベンゾエート0.14gと混合溶媒(ジプロピレングリコールメチルエーテル75重量%、水25重量%)4.5gを添加した後1LのSUS反応器を用いて219℃の温度で連続バルク重合してスチレン/アクリル系樹脂を製造した。
【0095】
製造例1−2により製造した樹脂の重量平均分子量は11,528g/molであり、ガラス転移温度は103℃であり、酸価は94.5mgKOH/gであった。
【0096】
製造例2:エマルジョンの製造
【0097】
<製造例2−1>
スチレン334.5g、メチルメタクリレート64.5gおよびグリシジルメタクリレート12.3gを含む第1単量体混合物411.3gを準備した(重量比81.3:15.7:3.0)。また、エチルヘキシルアクリレート330.0g、メチルメタクリレート63.6gおよびグリシジルメタクリレート12.0gを含む第2単量体混合物405.6gを準備した(重量比81.3:15.7:3.0)。そして、5LのSUS反応器で前記製造例1−1により収得したスチレン/アクリル系樹脂370gを水1,320gに入れて攪拌しながらアンモニア水溶液48gを投入して前記樹脂を溶解させた後、温度を76.0℃に昇温させながら過硫酸アンモニウムを120分間連続して投入した。
【0098】
過硫酸アンモニウムの投入を始めてから10分後に第1単量体混合物411.3gを4.6g/分の速度で約90分間連続して投入した。第1単量体混合物の投入が完了した直後に第2単量体混合物405.6gを4.6g/分の速度で連続して投入してエマルジョンを製造した。第1単量体混合物と第2単量体混合物の重量比は、50.3:49.7であった。
【0099】
<製造例2−2>
前記製造例2−1と同様の方法で第1単量体混合物と第2単量体混合物を準備し、第1単量体混合物470.7gと第2単量体混合物286.5gを順次投入したことを除いては製造例2−1と同様の方法でエマルジョンを製造した。第1単量体混合物と第2単量体混合物の重量比は、57.6:42.4であった。
【0100】
<製造例2−3>
前記製造例2−1と同様の方法で第1単量体混合物と第2単量体混合物を準備し、第1単量体混合物530.4gと第2単量体混合物286.5gを順次投入したことを除いては製造例2−1と同様の方法でエマルジョンを製造した。第1単量体混合物と第2単量体混合物の重量比は、64.9:35.1であった。
【0101】
<製造例2−4>
前記製造例2−1と同様の方法で第1単量体混合物と第2単量体混合物を準備し、第1単量体混合物559.2gと第2単量体混合物257.7gを順次投入したことを除いては製造例2−1と同様の方法でエマルジョンを製造した。第1単量体混合物と第2単量体混合物の重量比は、68.5:31.5であった。
【0102】
<製造例2−5>
スチレン551.1gおよびメチルメタクリレート105.9gを含む第1単量体混合物657.0gを準備した。また、エチルヘキシルアクリレート238.5g、メチルメタクリレート45.9gおよびグリシジルメタクリレート8.4gを含む第2単量体混合物292.8gを準備した。そして、5LのSUS反応器で前記製造例1−2により収得したスチレン/アクリル系樹脂264gを水1,200gに入れて攪拌しながらアンモニア水溶液30gを投入して前記樹脂を溶解させた後、温度を80.0℃に昇温させながら過硫酸アンモニウムを150分間連続して投入した。過硫酸アンモニウムの投入を始めてから10分後に第1単量体混合物657.0gを6.5g/分の速度で約100分間連続して投入した。第1単量体混合物の投入が完了した直後に第2単量体混合物292.8gを6.5g/分の速度で投入してエマルジョンを製造した。第1単量体混合物と第2単量体混合物の重量比は69.2:30.8であった。
【0103】
<製造例2−6>
スチレン545.5g、メチルメタクリレート105.0gおよびグリシジルメタクリレート6.6gを含む第1単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0104】
<製造例2−7>
スチレン534.6g、メチルメタクリレート102.9gおよびグリシジルメタクリレート19.5gを含む第1単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0105】
<製造例2−8>
スチレン516.0g、メチルメタクリレート99.0gおよびエチルヘキシルアクリレート21.9gを含む第1単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0106】
<製造例2−9>
スチレン497.1g、メチルメタクリレート95.4gおよびエチルヘキシルアクリレート44.4gを含む第1単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0107】
<製造例2−10>
スチレン477.6g、メチルメタクリレート91.8gおよびエチルヘキシルアクリレート67.5gを含む第1単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0108】
<製造例2−11>
スチレン458.1g、メチルメタクリレート87.9gおよびエチルヘキシルアクリレート90.9gを含む第1単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0109】
<製造例2−12>
エチルヘキシルアクリレート238.5g、メチルメタクリレート45.9gおよびグリシジルメタクリレート13.8gを含む第2単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0110】
<製造例2−13>
エチルヘキシルアクリレート235.0g、メチルメタクリレート45.2g、グリシジルメタクリレート8.4gおよびヘキサンジオールジアクリレート4.2gを含む第2単量体混合物を用いたことを除いては製造例2−5と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0111】
<比較例1>
5LのSUS反応器で前記製造例1−1により収得したスチレン/アクリル系樹脂370gを水1,250gに入れて攪拌しながらアンモニア水溶液48gを投入して溶解させた後、温度を76.0℃に昇温させながら過硫酸アンモニウムを120分間連続して投入した。過硫酸アンモニウムの投入を始めてから10分後にスチレン427.0g、メチルメタクリレート142.4gおよびエチルヘキシルアクリレート292.5gを含む単量体混合物861.9g(重量比48.3:16.2:35.5)を5.7g/分の速度で投入した。
【0112】
<比較例2>
スチレン422.7g、メチルメタクリレート141.0g、エチルヘキシルアクリレート289.4gおよびグリシジルメタクリレート8.7gを含む単量体混合物861.9g(重量比49.0:16.4:33.6:1.0)を用いたことを除いては比較例1と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0113】
<比較例3>
スチレン417.3g、メチルメタクリレート139.2g、エチルヘキシルアクリレート288.1gおよびグリシジルメタクリレート17.3gを含む単量体混合物861.9g(重量比48.4:16.2:33.4:2.0)を用いたことを除いては比較例1と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0114】
<比較例4>
スチレン413.1g、メチルメタクリレート137.7g、エチルヘキシルアクリレート285.8gおよびグリシジルメタクリレート26.1gを含む単量体混合物861.9g(重量比47.9:16.0:33.1:3.0)を用いたことを除いては比較例1と同様の方法でエマルジョンを製造した。
【0115】
実験例
【0116】
<実験例1:グリット含有量の測定>
前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョンを300メッシュ篩(mesh sieve)でフィルタした後、篩い分けした粒子の重さを測定して換算し、その結果を表1に示した。
【0117】
<実験例2:粒度の測定>
粒度分析器(モデル名:MicrotracTM 150)を用いて前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョンに含まれたエマルジョン粒子の平均粒度および粒度分布を測定し、その結果を表1に示した。
【0118】
<実験例3:ガラス転移温度の測定>
示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry)を用いて前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョンのガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示した。測定時の温度範囲は、−50℃ないし200℃で昇温速度は10℃/分であった。
【0119】
<実験例4:最小造膜剤量の測定>
前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョン100gに造膜剤(DPM/DPnB=1/1)を混合して隠ぺい率紙にコーティング(ウエット塗膜の厚さ:50μm)した後25℃温度で乾燥する条件で塗膜にクラックが発生せずに形成される最小造膜剤の含有量(重量部)を測定し、その結果を表2に示した。本実験例4で最小造膜剤含有量が少ないほどフィルム性に優れることを意味する。また、比較例2を用いた実験例4による塗膜のイメージを図3に示した。
【0120】
<実験例5:柔軟性(flexibility)の測定>
前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョンを0.3T厚さの鉄板基材にコーティング(ウエット塗膜の厚さ:100μm)した後50℃温度で24時間乾燥した。そして、屈曲試験器(モデル名:Cylindrical Mandrel Tester,QTY−32)を用いて乾燥塗膜にクラックが発生する水準を確認し、その結果を表2に示した。本実験例5で乾燥塗膜にクラックがないほど柔軟性に優れることを意味する。
【0121】
<実験例6:硬度の測定>
前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョンをガラス板基材にコーティング(ウエット塗膜の厚さ:100μm)した後50℃温度で24時間乾燥した。そして、硬度測定器(モデル名:SP−SP0500)と鉛筆硬度器(モデル名:KP−M500M)を用いて硬度を測定し、その結果を表2に示した。本実験例6でペンジュラム硬度はCountが多いほど、鉛筆硬度は1H>HB>1B>2B順に硬度が優れることを意味する。
【0122】
<実験例7:耐水性の測定>
前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョン100gに最小含有量の造膜剤(DPM/DPnB=1/1)を混合し、隠ぺい率紙にコーティング(ウエット塗膜の厚さ:50μm)した後100℃温度で1分乾燥した。最小含有量の造膜剤は実験例4の結果を参照した。そして、水を30mLバイアルに入れて乾燥した塗膜上に瓶を逆さにして水と塗膜を接触させた状態を24時間維持した後、水を除去して塗膜の損傷の有無を確認し、その結果を表2に示した。本実験例7で塗膜に白濁が発生する場合、耐水性が不良であることを意味する。
【0123】
<実験例8:耐アルコール性の測定>
前記製造例2−1ないし製造例2−13および比較例1ないし比較例4により製造したエマルジョン100gに最小含有量の造膜剤(DPM/DPnB=1/1)を混合し、隠ぺい率紙にコーティング(ウエット塗膜の厚さ:50μm)した後、100℃温度で1分乾燥した。最小含有量の造膜剤は実験例4の結果を参照した。そして、50%エタノール溶液(水:エタノール=1:1)を30mLバイアルに入れて乾燥した塗膜上に瓶を逆さにしてエタノール溶液と塗膜を接触させた状態を1時間維持した後、エタノール溶液を除去して塗膜の損傷の有無を確認し、その結果を表2に示した。本実験例8で塗膜に白濁が発生する場合、耐アルコール性が不良であることを意味する。また、比較例2を用いた実験例8による塗膜のイメージを図に示した。
【0124】
<実験例9>
スチレン334.5g、メチルメタクリレート64.5gおよびグリシジルメタクリレート12.3gを含む第1単量体混合物411.3gを準備した。また、エチルヘキシルアクリレート330.0g、メチルメタクリレート63.6gおよびグリシジルメタクリレート12.0gを含む第2単量体混合物405.6gを準備した。そして、5LのSUS反応器で前記製造例1−1により収得したスチレン/アクリル系樹脂370gをアンモニア水溶液48gに溶解させた後、温度を76.0℃に昇温させながら過硫酸アンモニウムを120分間連続して投入した。
【0125】
過硫酸アンモニウムの投入を始めてから10分後に第1単量体混合物411.3gを投入/重合してエマルジョンを製造し、エマルジョンの一部をサンプリングしてエマルジョン粒子の粒度を測定した(Sample 1)。その後、第1単量体混合物が投入された反応器に第2単量体混合物405.6gを投入してエマルジョンを製造し、エマルジョンの一部をサンプリングしてエマルジョン粒子の粒度を測定した(Sample 2)。そして、製造したエマルジョンを1時間の間エイジングし、エマルジョンの一部をサンプリングしてエマルジョン粒子の粒度を測定した(Sample 3)。そして、未反応残余単量体を消耗するために過硫酸アンモニウム0.6gをさらに添加して30分間維持させた後に反応を完了し、エマルジョンの一部をサンプリングしてエマルジョン粒子の粒度を測定し、その結果を図5に示した。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
前記表2の柔軟性実験において、「0」はクラックが発生しないことを意味し、「1」はクラックが少し発生することを意味し、「2」はクラックがもう少し発生することを意味し、「3」はクラックが多く発生することを意味する。すなわち、数字が小さいほど柔軟性が優れることを意味する。
【0129】
また、前記表2の耐水性および耐アルコール性実験において、「0」は白濁が発生しないことを意味し、「1」は白濁が少し発生することを意味し、「2」は白濁がもう少し発生することを意味し、「3」は白濁が多く発生することを意味する。すなわち、数字が小さいほど耐水性または耐アルコール性に優れることを意味する。
【0130】
表1および表2を参照すると、製造例によるエマルジョンおよびエマルジョン粒子は、比較例によるエマルジョンおよびエマルジョン粒子に比べて全般的に良好な基本物性とコーティング物性を有することが確認できる。また、比較例を参照すると、硬度や耐アルコール性などの耐久性を改善するために架橋度を高める場合、フィルム性と柔軟性が顕著に低下することが分かる。特に比較例3および比較例4の場合、低い重合安定性によりグリット含有量が非常に増加することによってコーティング時塗膜上にグリットが分布するため、正確なコーティング物性の評価が難しい。
【0131】
また、製造例2−2および製造例2−3は、比較例に比べてガラス転移温度が高いにも関わらず、フィルム性と柔軟性が良好であることが確認できる。さらに製造例2−8ないし製造例2−11は、比較例に比べてガラス転移温度が低いにも関わらず、硬度や耐アルコール性が同等以上の水準であることが確認できる。
【0132】
図3は比較例2を用いた実験例4による塗膜のイメージである。図4は比較例2を用いた実験例8による塗膜のイメージである。図3を参照すると、比較例2によるエマルジョンを用いた塗膜の場合、紙基材(上)および木材基材(下)はいずれもクラックが発生することが確認できる。図4を参照すると、比較例2によるエマルジョンを用いた塗膜の場合、紙基材(左)および木材基材(右)はいずれも耐アルコール性が不良であることが確認できる。
【0133】
図5は実験例9によるエマルジョン粒子の粒度を測定した結果である。図5を参照すると、第1単量体混合物に加えて第2単量体混合物がさらに投入されて形成されたサンプル2は、第1単量体混合物だけで乳化重合されたサンプル1に比べて平均粒度がさらに大きいことが確認できる。すなわち、第1単量体混合物と第2単量体混合物を順次投入してコア分割された構造のエマルジョン粒子を安定的に形成できることがわかる。また、製造例2−1と同様の方法で製造したエマルジョンに含まれたエマルジョン粒子は、ユニモーダルな粒子分布を有することが確認できる。
【0134】
以上、本発明の実施例を中心に説明したが、これは単に例示だけであり、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の実施例の本質的な特性を外れない範囲で上記例示のほかに多様な変形および応用が可能であることを理解することができる。例えば、本発明の実施例に具体的に示す各構成要素は変形して実施することができる。そして、このような変形と応用に関連する差異点は添付した請求範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものとして解釈しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5