特許第6986146号(P6986146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986146
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電力消費制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20211213BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20211213BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20211213BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20211213BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20211213BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20211213BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20211213BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20211213BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20211213BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20211213BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20211213BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20211213BHJP
【FI】
   H02J7/00 P
   H02J7/10 L
   B60L58/27
   B60L58/12
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
   H01M10/44 Q
   H01M10/615
   H01M10/651
   H01M10/633
   H01M10/625
   H01M10/6556
   H01M10/6568
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-518874(P2020-518874)
(86)(22)【出願日】2018年5月16日
(86)【国際出願番号】JP2018018910
(87)【国際公開番号】WO2019220560
(87)【国際公開日】20191121
【審査請求日】2020年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大垣 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直也
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】河西 航大
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/056161(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/056162(WO,A1)
【文献】 特開2012−85467(JP,A)
【文献】 特開2000−12104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/10
B60L 58/27
B60L 58/12
H01M 10/48
H01M 10/44
H01M 10/615
H01M 10/651
H01M 10/633
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグイン方式の電動車両の駆動源である電動機に電力を供給する蓄電池と、
複数の加温用電力のいずれか1つの供給を受けて前記蓄電池を加温する加温部と、
前記蓄電池の温度及び前記蓄電池の残容量の組み合わせと、前記複数の加温用電力の各々の供給を受けた前記加温部によって前記蓄電池を加温した場合における前記蓄電池の有効容量の増加量と、を対応付けて記憶する記憶部と、
外部電源から供給された電力を変換し、当該変換後の電力を前記蓄電池及び前記加温部の少なくとも一方に供給する電力変換部と、
前記変換後の前記電力のうちの前記蓄電池及び前記加温部に供給することのできる電力と前記蓄電池の温度と前記蓄電池の残容量に基づいて、前記蓄電池に充電可能な第一の電力を決定し、前記第一の電力の前記蓄電池と前記加温部への配分を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第一の電力と、前記蓄電池の温度及び前記蓄電池の残容量に対応する前記複数の加温用電力毎の前記増加量と、前記複数の加温用電力と、に基づいて、前記蓄電池の有効容量の増加量が最大となるように、前記第一の電力の前記蓄電池と前記加温部への配分を行う電力消費制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力消費制御装置であって、
前記制御部は、前記複数の加温用電力の各々を前記加温部に供給して前記蓄電池を所定時間加温した場合における当該加温による前記蓄電池の有効容量の第一の増加量を前記記憶部から取得し、前記第一の電力のうちの前記各々の加温用電力を除く電力にて前記蓄電池の充電を前記所定時間行った場合における当該充電による前記蓄電池の有効容量の第二の増加量を算出し、前記第一の増加量と前記第二の増加量の合計値を算出し、更に、前記第一の電力にて前記蓄電池の充電を前記所定時間行った場合における当該充電による前記蓄電池の有効容量の第三の増加量を算出し、前記合計値と前記第三の増加量のうち、いずれかの前記合計値が最大となる場合には、当該合計値の算出に用いた前記加温用電力を前記加温部へ供給させ、前記第三の増加量が最大となる場合には、前記第一の電力の前記加温部への供給を遮断する電力消費制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の電力消費制御装置であって、
いずれかの前記合計値が最大となり、当該合計値の算出に用いた前記加温用電力が前記第一の電力以上となる場合には、前記第一の電力が前記加温部に供給され、更に、当該加温用電力から前記第一の電力を減算した不足分の電力が前記蓄電池から前記加温部に供給される電力消費制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の電力消費制御装置であって、
前記電力変換部は、前記変換後の前記電力の一部を、前記電動車両に搭載されている前記蓄電池及び前記加温部以外の機器に供給し、
前記制御部は、前記変換後の前記電力のうちの前記機器に供給される電力を除く電力と、前記蓄電池の温度と、前記蓄電池の残容量に基づいて、前記第一の電力を決定する電力消費制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の電力消費制御装置であって、
前記制御部は、前記変換後の前記電力のうちの前記蓄電池及び前記加温部に供給することのできる電力から前記第一の電力を減算してられる余剰電力が前記複数の加温用電力のうちの最小値以上となっている場合には、前記第一の電力を前記蓄電池に供給させ、且つ、前記複数の加温用電力のうちの前記余剰電力以下のものの最大値を前記加温部に供給させる電力消費制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力消費制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池から供給された電力によって駆動される電動機が駆動源として設けられたEV(Electric Vehicle:電気自動車)又はHEV(Hybrid Electrical Vehicle:ハイブリッド電気自動車)等といったプラグイン方式の電動車両には、蓄電池を加温するためのヒータが設けられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、蓄電池をヒータによって目標温度まで昇温した際の蓄電池の有効容量の変化を推測し、有効容量の向上が見込まれる場合に限って、蓄電池からヒータへの通電を行うことが記載されている。
【0004】
特許文献2には、蓄電池をヒータによって目標温度まで昇温した際の蓄電池の有効容量の変化を推測し、推測した有効容量の変化に応じて、充電器が変換した電力の使用用途(ヒータに使用するか、充電に使用するか、ヒータと充電の両方に使用するか)を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/056161号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017/056162号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電動車両の蓄電池の有効容量(充電容量のうちの電動車両の作動に使うことのできる容量)は、低温環境下においては減少してしまう。そのため、蓄電池の有効容量を大きくするために、電動車両の始動時や充電時等においてヒータにより蓄電池を温めることが有効となる。近年のプラグイン方式の電動車両では、低温環境時に求められる性能(車両出力、レンジ、充電時間、起動確保)の向上に伴い、消費電力の大きいヒータの搭載が求められている。
【0007】
しかし、例えば、家庭用の100Vの電源から電動車両の蓄電池の充電を行う場合に、ヒータにおいて多くの電力が消費されてしまうと、蓄電池のSOC(State of charge)を増加させるための電力が足りなくなる状況が発生し得る。一方で、ヒータを使用せずに蓄電池の充電を行ってSOCが高い値になったとしても、蓄電池の温度が低ければ、有効容量の上昇は小さい。このため、環境温度によっては、充電を終了した時点において、SOCが高いにも関わらず、電動車両の航続可能距離は短いままといった状況が発生し得る。
【0008】
特許文献1及び特許文献2は、ヒータの消費電力が大きくなった場合のことは考慮していない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、蓄電池の充電と加温を効率的に行って充電終了時点での電動車両の航続可能距離を大きくすることのできる電力消費制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電力消費制御装置は、プラグイン方式の電動車両の駆動源である電動機に電力を供給する蓄電池と、複数の加温用電力のいずれか1つの供給を受けて前記蓄電池を加温する加温部と、前記蓄電池の温度及び前記蓄電池の残容量の組み合わせと、前記複数の加温用電力の各々の供給を受けた前記加温部によって前記蓄電池を加温した場合における前記蓄電池の有効容量の増加量と、を対応付けて記憶する記憶部と、外部電源から供給された電力を変換し、当該変換後の電力を前記蓄電池及び前記加温部の少なくとも一方に供給する電力変換部と、前記変換後の前記電力のうちの前記蓄電池及び前記加温部に供給することのできる電力と前記蓄電池の温度と前記蓄電池の残容量に基づいて、前記蓄電池に充電可能な第一の電力を決定し、前記第一の電力の前記蓄電池と前記加温部への配分を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記第一の電力と、前記蓄電池の温度及び前記蓄電池の残容量に対応する前記複数の加温用電力毎の前記増加量と、前記複数の加温用電力と、に基づいて、前記蓄電池の有効容量の増加量が最大となるように、前記第一の電力の前記蓄電池と前記加温部への配分を行うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓄電池の充電と加温を効率的に行って充電終了時点での電動車両の航続可能距離を大きくすることのできる電力消費制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である電力消費制御装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示すECUの機能ブロックを示す図である。
図3図1に示すECUのROMに記憶されているデータテーブルを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。実施形態の電力消費制御装置は、蓄電池から供給された電力によって駆動する電動機が駆動源として設けられたEV又はHEV等といったプラグイン方式の電動車両に搭載されている。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態である電力消費制御装置の概略構成を示す図である。図1に示す電力消費制御装置は、電動機101と、蓄電池103と、PCU(Power Control Unit)105と、電流センサ107と、電圧センサ109と、温度センサ111と、電力変換部として機能する充電器113と、ヒータ115と、スイッチ部117と、ECU(Electric Control Unit)121と、を備える。
【0015】
電動機101は、電動車両が走行するための動力を発生する駆動源である。
【0016】
蓄電池103は、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等といった複数の蓄電セルを有し、電動機101に高電圧の電力を供給する。
【0017】
なお、2次電池である蓄電池103を利用するにあたっては、蓄電池103の残容量(SOC:State of Charge)を常に監視し、過充電又は過放電の防止制御を行う必要がある。蓄電池103は、こういった制御が行われた上で、蓄電池103を使用可能なSOCの範囲(0%〜100%)内で充放電が繰り返される。
【0018】
蓄電池103のSOCは、蓄電池103の充放電電流の積算値と蓄電池103の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)のいずれか一方又は両方に基づいて導出される。
【0019】
PCU105は、蓄電池103が出力する直流の電力を交流に変換する。なお、PCU105は、蓄電池103の直流出力電圧を直流のまま降圧又は昇圧した後に交流に変換しても良い。
【0020】
電流センサ107は、蓄電池103の充放電電流を検出する。電流センサ107が検出した電流値を示す信号はECU121に送られる。
【0021】
電圧センサ109は、蓄電池103の端子電圧(閉路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)ともいう。)を検出する。電圧センサ109が検出した電圧値を示す信号はECU121に送られる。
【0022】
温度センサ111は、蓄電池103の温度を検出する。温度センサ111が検出した蓄電池103の温度を示す信号はECU121に送られる。
【0023】
充電器113は、図示しない外部電源にプラグ123が接続された状態で、外部電源から供給された交流の電力を直流に変換する。充電器113によって変換された直流の電力は、蓄電池103と、ヒータ115と、電動車両に搭載されている蓄電池103及びヒータ115以外の機器(例えばオーディオ機器又はエアコン等)と、にそれぞれ供給される。充電器113によって変換された直流の電力のうち、該機器の作動に必要な電力を除いた電力(以下、使用可能電力Paという)が、蓄電池103及びヒータ115に供給することのできる最大電力となる。
【0024】
この使用可能電力Paのうち、蓄電池103に充電可能な電力(以下、充電電力Aという)は、使用可能電力Paと、蓄電池103のSOCと、蓄電池103の温度とに基づいて決定される。充電電力Aは第一の電力を構成する。
【0025】
なお、外部電源にプラグ123が接続された状態において、電動車両の上記機器の電源がオフとなっている場合には、充電器113によって変換された直流の電力が、そのまま使用可能電力Paとなる。
【0026】
スイッチ部117は、充電器113から蓄電池103までの電流経路を開閉する。スイッチ部117は、ECU121の制御によって開閉される。
【0027】
ヒータ115は、蓄電池103から供給された電流又は図示しない外部電源から充電器113を介して供給された電流が通電することで発熱し、その熱によって蓄電池103を加温する。
【0028】
図1の例では、ヒータ115は、ECH(Electric Coolant Heater)であり、充電器113とスイッチ部117との接続点に接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)115cと、蓄電池103からスイッチ部117及びIGBT115cを介して供給された電流又は図示しない外部電源から充電器113とIGBT115cを介して供給された電流が通電することで発熱するヒータ本体115aと、ヒータ本体115aの熱によって加温される水を含む、この水を循環させるための水流路115bと、IGBT115cの制御を行う制御回路115dと、を備える。
【0029】
制御回路115dは、ECU121の制御のもと、IGBT115cをPWM(パルス幅変調)制御することで、ヒータ115の動作時の消費電力Bx(ヒータ本体115bに供給する電力、以下、ヒータ115の出力とも言う)を複数の値にて切り替える。以下では、例えば、1kwと3kwと6kwの3段階にて消費電力Bxを切り替えられるものとして説明する。
【0030】
スイッチ部117が閉じた状態において充電電力Aが消費電力Bxよりも大きければ、充電器113から供給される充電電力Aのうちの消費電力Bx(1kw、3kw、又は6kw)がヒータ115に供給され、充電電力Aから消費電力Bxを引いた残りの電力が蓄電池103に供給される。
【0031】
ヒータ115の消費電力Bxは蓄電池103の加温に用いられる加温用電力である。したがって、ヒータ115は、複数の加温用電力(ここでは、1kwと3kwと6kw)のいずれか1つの供給を受けて蓄電池103を加温する加温部として機能する。
【0032】
ECU121は、電力消費制御装置の全体を統括制御するものであり、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサと、RAM(Ramdom Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)を含む。
【0033】
各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0034】
ECU121のプロセッサは、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで構成されてもよい。
【0035】
図2は、図1に示すECU121の機能ブロックを示す図である。ECU121のプロセッサは、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、電流/電圧取得部151と、微分演算部152と、内部抵抗算出部153と、開放電圧算出部154と、SOC導出部155と、温度取得部156と、使用可能電力取得部157と、制御部121Aと、して機能する。
【0036】
電流/電圧取得部151は、電流センサ107が検出した充放電電流Ib及び電圧センサ109が検出した端子電圧Vbを取得する。
【0037】
微分演算部152は、電流/電圧取得部151が取得した充放電電流Ib及び端子電圧Vbをそれぞれ微分演算する。
【0038】
内部抵抗算出部153は、微分演算部152が算出した充放電電流Ibの微分値ΔIb及び端子電圧Vbの微分値ΔVbに基づいて、以下の式(1)より蓄電池103の内部抵抗Rnを算出する。
Rn=ΔVb/ΔIb …(1)
【0039】
開放電圧算出部154は、内部抵抗算出部153が算出した内部抵抗Rn、並びに、電流/電圧取得部151が取得した充放電電流Ib及び端子電圧Vbに基づいて、以下の式(2)より蓄電池103の開放電圧OCVを算出する。
OCV=Vb+Ib×Rn …(2)
【0040】
SOC導出部155は、開放電圧算出部154が算出した開放電圧OCVから、ROMに予め記憶されたデータテーブルを用いて、蓄電池103のSOCを導出する。
【0041】
温度取得部156は、温度センサ111が検出した蓄電池103の温度Tbatを取得する。
【0042】
使用可能電力取得部157は、充電器113から上述した使用可能電力Paの情報を取得する。
【0043】
制御部121Aは、充電電力決定部158と、第一の増加量取得部159と、第二の増加量算出部160と、ヒータ電力決定部161と、第三の増加量算出部163と、通電制御部162と、を有する。
【0044】
充電電力決定部158は、SOC導出部155により導出された蓄電池103のSOCと、温度取得部156により取得された蓄電池103の温度Tbatと、使用可能電力取得部157により取得された使用可能電力Paの情報と、に基づいて、充電電力A[kw]を決定する。
【0045】
SOCと温度Tbatの組み合わせに対して、蓄電池103が受け入れ可能な電力は予め決められている。ECU121のROMには、SOCと温度Tbatの組み合わせと、蓄電池103が受け入れ可能な電力とを対応付けたデータテーブルが記憶されている。
【0046】
充電電力決定部158は、このデータテーブルから、SOCと温度Tbatの組み合わせに対応する電力を読み出し、読み出した電力が使用可能電力Pa未満であれば、読み出した電力を充電電力Aとして決定する。充電電力決定部158は、読み出した電力が使用可能電力Pa以上であれば、使用可能電力Paを充電電力Aとして決定する。充電電力決定部158は、決定した充電電力Aが蓄電池103及びヒータ115に供給されるように、充電器113を制御する。
【0047】
第一の増加量取得部159は、上記の3つの消費電力Bx(1kw、3kw、6kw)の各々の供給を受けたヒータ115によって蓄電池103を所定時間(以下、時間tという)加温した場合における蓄電池103の有効容量の第一の増加量CBxを取得する。
【0048】
ECU121のROMには、蓄電池103の温度及びSOCの組み合わせと、消費電力Bxの供給を受けたヒータ115によって蓄電池103を時間t加温した場合における蓄電池103の有効容量の増加量と、を対応付けたデータテーブルが予め記憶されている。
【0049】
図3は、ECU121のROMに記憶されているデータテーブルを模式的に示す図である。図3に示すように、ROMには、データテーブルM1と、データテーブルM2と、データテーブルM3とが記憶されている。
【0050】
データテーブルM1は、1kwの電力供給を受けたヒータ115によって蓄電池103を時間t加温した場合における蓄電池103の有効容量の増加量CBx1[kwh]を、加温開始時点でのSOCと温度Tbatの組み合わせ毎に記憶しているテーブルである。
【0051】
データテーブルM2は、3kwの電力供給を受けたヒータ115によって蓄電池103を時間t加温した場合における蓄電池103の有効容量の増加量CBx3[kwh]を、加温開始時点でのSOCと温度Tbatの組み合わせ毎に記憶しているテーブルである。
【0052】
データテーブルM3は、6kwの電力供給を受けたヒータ115によって蓄電池103を時間t加温した場合における蓄電池103の有効容量の増加量CBx6[kwh]を、加温開始時点でのSOCと温度Tbatの組み合わせ毎に記憶しているテーブルである。
【0053】
第一の増加量取得部159は、データテーブルM1、データテーブルM2、及びデータテーブルM3のそれぞれから、SOC導出部155で導出されたSOCと、温度取得部156で取得された温度Tbatの組み合わせに対応する増加量CBx1、増加量CBx3、増加量CBx6を読み出し、これらを第一の増加量CBxとして取得する。
【0054】
第二の増加量算出部160は、充電電力決定部158により決定された充電電力Aのうちの消費電力Bxを除く電力にて蓄電池103の充電を時間t行った場合における、当該充電による蓄電池103の有効容量の第二の増加量DBx[kwh]を、以下の式(3)により算出する。
Bx=(A−Bx)×t …(3)
【0055】
第二の増加量算出部160は、式(3)の“Bx”に、ヒータ115に設定可能な消費電力である1kw、3kw、6kwのそれぞれを代入して、3通りの第二の増加量DBx(D1kw、D3kw、D6kw)の算出を行う。
【0056】
第三の増加量算出部163は、充電電力決定部158により決定された充電電力Aにて蓄電池103の充電を時間t行った場合における当該充電による蓄電池103の有効容量の第三の増加量Eを“A×t”の演算式によって算出する。
【0057】
ヒータ電力決定部161は、以下の式(4)から式(6)の演算を行って、ヒータ115に1kw、3kw、6kwのそれぞれを供給して蓄電池103を加温しながら充電を時間t行った場合における蓄電池103の有効容量の増加量EBx[kwh]を算出する。
【0058】
Bx=D1kw+CBx1 …(4)
Bx=D3kw+CBx3 …(5)
Bx=D6kw+CBx6 …(6)
【0059】
そして、ヒータ電力決定部161は、式(4)から式(6)の演算で得られた増加量EBxと、第三の増加量Eとのうちのどれが最大となるかを判定し、3つの増加量EBxのいずれかが最大となった場合には、その最大となった増加量EBxの算出に用いた消費電力Bxを、蓄電池103の充電時にヒータ115に供給するヒータ電力として決定する。
【0060】
ヒータ電力決定部161は、例えば、式(4)で求まる増加量EBxが最大であれば、ヒータ電力を1kwとして決定し、式(5)で求まる増加量EBxが最大であれば、ヒータ電力を3kwとして決定し、式(6)で求まる増加量EBxが最大であれば、ヒータ電力を6kwとして決定する。
【0061】
一方、ヒータ電力決定部161は、3つの増加量EBxと増加量Eのうち、増加量Eが最大であると判定した場合には、ヒータ115に供給するヒータ電力は“ゼロ”、つまり、ヒータ115への電力の供給を行わないことを決定する。
【0062】
通電制御部162は、ヒータ電力決定部161によってヒータ115への電力の供給を行わないことが決定された場合には、スイッチ部117を閉じ且つIGBT115cをオフにする制御を行う。また、通電制御部162は、ヒータ電力決定部161によってゼロ以外のヒータ電力が決定された場合には、スイッチ部117を閉じると共に、ヒータ115の出力をその決定されたヒータ電力に設定する。
【0063】
以上のように構成された電力消費制御装置の動作について説明する。
プラグ123が外部電源に接続されると、ECU121の温度取得部156によって蓄電池103の温度Tbatが取得され、ECU121のSOC導出部155によって蓄電池103のSOCが導出され、ECU121の使用可能電力取得部157によって使用可能電力Paの情報が取得される。そして、これら温度Tbat、SOC、及び使用可能電力Paの情報に基づいて、ECU121の充電電力決定部158によって充電電力Aが決定され、充電器113から蓄電池103及びヒータ115にこの充電電力Aが供給可能な状態となる。
【0064】
そして、この決定された充電電力Aと、図3のデータテーブルM1〜M3と、蓄電池103の温度Tbat及びSOCと、設定可能な消費電力Bxとに基づいて、第一の増加量CBx(CBx1、CBx3、CBx6)を取得し、第二の増加量DBx(D1kw、D3kw、D6kw)を算出し、第一の増加量CBx(CBx1、CBx3、CBx6)と第二の増加量DBx(D1kw、D3kw、D6kw)の合計値である増加量EBxを算出する処理と、第三の増加量Eを算出する処理と、がECU121の制御部121Aにより行われる。
【0065】
次に、第三の増加量Eと消費電力Bx(1kw、3kw、6kw)の各々に対応して算出された増加量EBxのうちの最大値が判定される。第三の増加量Eが最大となった場合には、現時点から時間t経過した時点における蓄電池103の有効容量の増加量を最大にすることのできるヒータ電力は“ゼロ”として決定される。つまり、ヒータ115への電力供給は行わないことが決定される。3つの増加量EBxのいずれかが最大となった場合には、最大となった増加量EBxに対応する消費電力Bxが、現時点から時間t経過した時点における蓄電池103の有効容量の増加量を最大にすることのできるヒータ電力として決定される。
【0066】
そして、ECU121の通電制御部162は、ヒータ電力がゼロ以外の値として決定された場合には、スイッチ部117を閉じた状態に制御して、ヒータ115の出力をこのヒータ電力の値に設定する。ECU121の通電制御部162は、ヒータ電力がゼロとして決定された場合には、スイッチ部117を閉じ、IGBT115cをオフに制御する。以降は、時間tが経過する毎に、充電電力Aとヒータ電力の決定が行われ、その決定内容に応じて、ヒータ115の出力が調整される。
【0067】
以上の動作により、ヒータ電力がゼロ以外の値に決定された場合には、充電電力Aが、通電制御部162により設定されたヒータ115の出力よりも大きければ、充電器113から供給される充電電力Aのうちの消費電力Bxがヒータ115に供給され、充電電力Aからこの消費電力Bxを引いた残りの電力が蓄電池103に供給される。
【0068】
一方、充電電力Aが、通電制御部162により設定されたヒータ115の出力よりも小さい場合には、充電器113から供給される充電電力Aの全てがヒータ115に供給され、更に、該設定されたヒータ115の出力から充電電力Aを引いた不足分の電力が、蓄電池103からヒータ115に供給される。つまり、この場合には、蓄電池103の充電は行われずに、蓄電池103から放電される電力によってヒータ115の加温が行われることになる。
【0069】
また、ヒータ電力がゼロに決定された場合には、充電器113から供給される充電電力Aは、ヒータ115には供給されずに、全て蓄電池103に供給される。
【0070】
以上のように、図1に示す電力消費制御装置によれば、時間t経過後の蓄電池103の有効容量の増加量が最大となるように、充電電力Aの蓄電池103とヒータ115への配分が行われる。このため、充電がいつ終了した場合であっても、その終了時点において有効容量が最大化された状態を得ることができ、効率的な充電が可能となる。この結果、充電終了時点における電動車両の航続可能距離を伸ばすことができる。
【0071】
また、図1に示す電力消費制御装置によれば、ヒータ115の出力が可変であるため、ヒータ115の最大出力を大きな値にすることができる。したがって、電動車両における低温環境時に求められる性能を十分に満たしつつ、上記の効果を得ることができる。
【0072】
また、図1に示す電力消費制御装置によれば、充電電力Aが低く、ヒータ電力決定部161によって決定されたヒータ電力が不足する場合であっても、蓄電池103からヒータ115に不足分の電力を供給することができる。
【0073】
この場合には、蓄電池103のSOCは低下するものの、このSOCの低下による蓄電池103の有効容量の低下幅よりも、ヒータ115の加温による蓄電池103の有効容量の増加幅が上回る状態を得ることができる。したがって、電動車両に搭載される上記機器での消費電力が高かったり、決定されたヒータ電力が高かったり等の理由で、蓄電池103の充電が十分に行えない場合であっても、蓄電池103の有効容量の最大化を図ることができる。
【0074】
なお、プラグ123が急速充電器等の大きな電力を供給可能な外部電源に接続されており、上述した使用可能電力Paが十分に大きくなる場合、具体的には、使用可能電力Paから充電電力Aを減算してられる余剰電力が、ヒータ115の消費電力Bxのうちの最小値(1kw)以上となっている場合には、第一の増加量取得部159、第二の増加量算出部160、及びヒータ電力決定部161による処理を停止させることが好ましい。
【0075】
この場合には、通電制御部162は、スイッチ部117を閉じた状態に制御し、更に、上記の余剰電力で収まるヒータ115の出力の最大値(1kw、3kw、6kwのいずれか)となるようヒータ115を制御し、制御したヒータ115の出力を充電電力Aに加えた電力を、充電器113から蓄電池103及びヒータ115に供給させる。
【0076】
これにより、ヒータ115には上記の最大値の電力が供給され、蓄電池103には充電電力Aが供給される。この構成によれば、ヒータ115を現時点で取り得る最大出力で作動させることができると共に、蓄電池103を充電電力Aによってフルパワーにて充電することができる。したがって、蓄電池103の充電時間の短縮と有効容量の拡大とを両立させることができる。
【0077】
以上の説明において、ヒータ115は、水を介さずにヒータ本体115aによって蓄電池103を直接加温するもの(例えば蓄電池103に貼り付けられたシート状のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ)等であってもよい。
【0078】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0079】
(1)
プラグイン方式の電動車両の駆動源である電動機(例えば、上記実施形態における電動機101)に電力を供給する蓄電池(例えば、上記実施形態における蓄電池103)と、
複数の加温用電力(例えば、上記実施形態における消費電力Bx)のいずれか1つの供給を受けて前記蓄電池を加温する加温部(例えば、上記実施形態におけるヒータ115)と、
前記蓄電池の温度及び前記蓄電池の残容量(例えば、上記実施形態におけるSOC)の組み合わせと、前記複数の加温用電力の各々の供給を受けた前記加温部によって前記蓄電池を加温した場合における前記蓄電池の有効容量の増加量(例えば、上記実施形態における増加量CBx)と、を対応付けて記憶する記憶部(例えば、上記実施形態におけるECU121のROM)と、
外部電源から供給された電力を変換し、当該変換後の電力を前記蓄電池及び前記加温部の少なくとも一方に供給する電力変換部(例えば、上記実施形態における充電器113)と、
前記変換後の前記電力のうちの前記蓄電池及び前記加温部に供給することのできる電力(例えば、上記実施形態における使用可能電力Pa)と前記蓄電池の温度と前記蓄電池の残容量に基づいて、前記蓄電池に充電可能な第一の電力(例えば、上記実施形態における充電電力A)を決定し、前記第一の電力の前記蓄電池と前記加温部への配分を行う制御部(例えば、上記実施形態における制御部121A)と、を備え、
前記制御部は、前記第一の電力と、前記蓄電池の温度及び前記蓄電池の残容量に対応する前記複数の加温用電力毎の前記増加量と、前記複数の加温用電力と、に基づいて、前記蓄電池の有効容量の増加量が最大となるように、前記第一の電力の前記蓄電池と前記加温部への配分を行う電力消費制御装置。
【0080】
(1)によれば、蓄電池の有効容量の増加量が最大となるように第一の電力の蓄電池と加温部への配分が行われる。このため、充電終了時点における電動車両の航続可能距離を伸ばすことができる。
【0081】
(2)
(1)記載の電力消費制御装置であって、
前記制御部は、前記複数の加温用電力の各々を前記加温部に供給して前記蓄電池を所定時間(例えば、上記実施形態における時間t)加温した場合における当該加温による前記蓄電池の有効容量の第一の増加量(例えば、上記実施形態における増加量CBx)を前記記憶部から取得し、前記第一の電力のうちの前記各々加温用電力を除く電力にて前記蓄電池の充電を前記所定時間行った場合における当該充電による前記蓄電池の有効容量の第二の増加量(例えば、上記実施形態における増加量DBx)を算出し、前記第一の増加量と前記第二の増加量の合計値(例えば、上記実施形態におけるEBx)を算出し、更に、前記第一の電力にて前記蓄電池の充電を前記所定時間行った場合における当該充電による前記蓄電池の有効容量の第三の増加量を算出し、前記合計値と前記第三の増加量のうち、いずれかの前記合計値が最大となる場合には、当該合計値の算出に用いた前記加温用電力を前記加温部へ供給させ、前記第三の増加量が最大となる場合には、前記第一の電力の前記加温部への供給を遮断する電力消費制御装置。
【0082】
(2)によれば、加温用電力毎に、その加温用電力によって所定時間加温した場合の有効容量の第一の増加量と、第一の電力のうちのその加温用電力を除く電力によって蓄電池を所定時間充電した場合の有効容量の第二の増加量との合計値が算出され、充電電力によって蓄電池を所定時間充電した場合の有効容量の第三の増加量が算出され、これら合計値と第三の増加量のうち、いずれかの合計値が最大となる場合には、当該合計値の算出に用いた加温用電力が加温部へ供給され、第三の増加量が最大となる場合には、第一の電力の加温部への供給が遮断される。このため、外部電源からの電力の供給がいつ停止された場合でも、蓄電池の有効容量を最大にすることができる。したがって、充電を終了させた時点での電動車両の航続可能距離を最大化することができる。
【0083】
(3)
(2)記載の電力消費制御装置であって、
いずれかの前記合計値が最大となり、当該合計値の算出に用いた前記加温用電力が前記第一の電力以上となる場合には、前記第一の電力が前記加温部に供給され、更に、当該加温用電力から前記第一の電力を減算した不足分の電力が前記蓄電池から前記加温部に供給される電力消費制御装置。
【0084】
(3)によれば、加温部に供給すべき電力が不足する場合であっても、蓄電池から加温部に不足分の電力を供給することができるため、有効容量が最大となるように蓄電池を加温することができる。
【0085】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載の電力消費制御装置であって、
前記電力変換部は、前記変換後の前記電力の一部を、前記電動車両に搭載されている前記蓄電池及び前記加温部以外の機器に供給し、
前記制御部は、前記変換後の前記電力のうちの前記機器に供給される電力を除く電力と、前記蓄電池の温度と、前記蓄電池の残容量に基づいて、前記第一の電力を決定する電力消費制御装置。
【0086】
(4)によれば、蓄電池及び加温部以外の機器にも外部電源から電力が供給されるため、充電中においてもこの機器の使用が可能になる。そして、機器の使用がなされている場合であっても、蓄電池の有効容量の最大化を図ることができる。
【0087】
(5)
(1)から(4)のいずれか1つに記載の電力消費制御装置であって、
前記制御部は、前記変換後の前記電力のうちの前記蓄電池及び前記加温部に供給することのできる電力から前記第一の電力を減算してられる余剰電力が前記複数の加温用電力のうちの最小値以上となっている場合には、前記第一の電力を前記蓄電池に供給させ、且つ、前記複数の加温用電力のうちの前記余剰電力以下のものの最大値を前記加温部に供給させる電力消費制御装置。
【0088】
(5)によれば、外部電源から供給される電力が十分に大きい場合には、蓄電池の充電と加温をフルパワーにて行うことができるため、蓄電池の充電時間の短縮と有効容量の拡大とを両立させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、蓄電池の充電が終了した時点における該蓄電池の有効容量を最大化して、充電終了時点での電動車両の航続可能距離を大きくすることのできる電力消費制御装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0090】
103 蓄電池
115 ヒータ
M1,M2,M3 データテーブル
121 ECU
121A 制御部
図1
図2
図3