(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記印加電圧調整部は、前記発光体の検出に関する情報及び/又は前記撮影装置の撮影動作の検出に関する情報が前記周波数制御部に入力された場合、前記電極部に付与される電圧の周波数が前記発光周期及び/又は前記撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外、且つ、前記発光周期及び/又は前記撮影周期の正の整数倍の周波数以外の周波数となるように、前記電極部に付与される電圧の周波数を調整する請求項1〜3のいずれか一項に記載の調光装置。
電極部と当該電極部に印加される電圧に応じて光の透過率が変化する液晶部と有する液晶セルと、前記電極部に付与される電圧を調整する印加電圧調整部と、を含む調光装置と、
前記液晶セルに対する発光体の接近を検出する発光体検出部と、
前記発光体検出部の検出結果に基づいて前記印加電圧調整部を制御する周波数制御部と、を備え、
前記周波数制御部は、前記液晶セルに基づいて定められる接近範囲内に前記発光体が存在することを前記発光体検出部の検出結果が示す場合、前記電極部に付与される電圧の周波数が前記発光体の発光周期の正の整数分の1倍の周波数以外の周波数となるように、前記印加電圧調整部を制御して前記電極部に付与される電圧の調整を行う調光システム。
前記発光体検出部は、グローバルポジショニングシステムによって取得される位置情報と、前記発光体の位置情報を含む地図情報とに基づいて、前記液晶セルに対する前記発光体の接近を検出する請求項5に記載の調光システム。
前記発光体検出部は、前記液晶セルに接近する対象物の画像を取得する撮像素子と、前記撮像素子によって取得される画像の解析を行って前記液晶セルに対する前記発光体の接近を検出する画像解析部と、を有する請求項5に記載の調光システム。
電極部と当該電極部に印加される電圧に応じて光の透過率が変化する液晶部と有する液晶セルと、前記電極部に付与される電圧を調整する印加電圧調整部と、を含む調光装置と、
前記液晶セルを通過した光を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置の作動を検出する撮影検出部と、
前記撮影検出部の検出結果に基づいて前記印加電圧調整部を制御する周波数制御部と、を備え、
前記周波数制御部は、前記撮影装置が撮影動作を行うことを前記撮影検出部の検出結果が示す場合、前記電極部に付与される電圧の周波数が前記撮影装置の撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外の周波数となるように、前記印加電圧調整部を制御して前記電極部に付与される電圧の調整を行う調光システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶セルは、交流及び直流のいずれが印加されても駆動可能であるが、長時間にわたって連続的に電圧を液晶セルに印加する場合には、印加電圧は交流電圧の方が好ましい。印加電圧が直流電圧の場合、液晶に電界を付与する一対の電極がそれぞれ陽極及び陰極に固定されるため、時間が経過するに従って徐々に液晶内のイオン成分に偏りが生じ、最終的には液晶の配向不良や液晶中における気泡の発生を招く懸念がある。したがって比較的長時間にわたって連続的に駆動されることが予想される調光装置(例えば車両等の移動体に搭載される調光装置)では、液晶セルの光透過性能に関する信頼性を確保するため、液晶セルに印加する電圧を交流電圧とすることが好ましい。
【0006】
交流電圧によって液晶セルを駆動する場合、印加電圧の方向の変化時に液晶の光透過率が低下する。このような光透過率の低下は、とりわけ応答性能に優れた駆動方式の液晶セルにおいて顕著にあらわれる傾向があり、印加電圧の周波数に応じて液晶セルの光透過率は周期的に低下しうる。
【0007】
液晶セルの光透過率が周期的に低下する場合、周期的に明滅を繰り返す発光体からの光を液晶セルを介して適切に視認できなかったり、液晶セルを介して入射する光(すなわち像)を撮影する撮影装置において適切に画像を記録できなかったりすることがある。
【0008】
例えば、道路に設置されている信号機は、通常50Hz(ヘルツ)又は60Hzの交流電源からの電流が整流されて流されており、1秒間に100回又は120回の割合で周期的に明滅を繰り返している。このような信号機の光の明滅の周期と液晶セルにおける光透過率の低下の周期とが互いに干渉する場合、液晶セルは信号機からの光を適切に透過させることができず、車両搭乗者が信号機からの光を適切に視認できないことがある。また市販のドライブレコーダは、例えば30fpsや20fpsのフレームレートで周期的に画像を記録している。このようなドライブレコーダの撮影周期と液晶セルにおける光透過率の低下の周期とが互いに干渉する場合、撮像装置は液晶セルを透過した光(すなわち像)を適切に記録することができないことがある。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、交流駆動可能な液晶セルに対して周期的な発光を行う発光体からの光が入射する場合に、そのような発光体からの光が液晶セルによって阻害されることを防ぐ技術を提供することを目的とする。また本発明は、交流駆動可能な液晶セルを介して入射する光を撮影装置が周期的に記録する場合に、撮影装置による記録が液晶セルによって阻害されることを防ぐ技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、電極部と、当該電極部に印加される電圧に応じて光の透過率が変化する液晶部と、を有する液晶セルと、周波数制御部の制御下で電極部に付与される電圧を調整する印加電圧調整部であって、電極部に付与される電圧を少なくとも交流電圧に調整可能な印加電圧調整部と、を備え、印加電圧調整部は、液晶セルに接近する発光体の検出に関する情報及び/又は液晶セルを通過した光を撮影する撮影装置の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部に入力された場合、電極部に付与される電圧の周波数が発光体の発光周期及び/又は撮影装置の撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外の周波数となるように、電極部に付与される電圧を調整する調光装置に関する。
【0011】
印加電圧調整部は、発光体の検出に関する情報及び/又は撮影装置の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部に入力されない場合、交流電圧を電極部に付与し、発光体の検出に関する情報及び/又は撮影装置の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部に入力された場合、直流電圧を電極部に付与してもよい。
【0012】
印加電圧調整部は、発光体の検出に関する情報及び/又は撮影装置の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部に入力されない場合、第1の周波数を持つ交流電圧を電極部に付与し、発光体の検出に関する情報及び/又は撮影装置の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部に入力された場合、第1の周波数とは異なる第2の周波数であって発光周期及び/又は撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外の周波数である第2の周波数を持つ交流電圧を電極部に付与してもよい。
【0013】
印加電圧調整部は、発光体の検出に関する情報及び/又は撮影装置の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部に入力された場合、電極部に付与される電圧の周波数が発光周期及び/又は撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外、且つ、発光周期及び/又は撮影周期の正の整数倍の周波数以外の周波数となるように、電極部に付与される電圧の周波数を調整してもよい。
【0014】
本発明の他の態様は、電極部と当該電極部に印加される電圧に応じて光の透過率が変化する液晶部と有する液晶セルと、電極部に付与される電圧を調整する印加電圧調整部と、を含む調光装置と、液晶セルに対する発光体の接近を検出する発光体検出部と、発光体検出部の検出結果に基づいて印加電圧調整部を制御する周波数制御部と、を備え、周波数制御部は、液晶セルに基づいて定められる接近範囲内に発光体が存在することを発光体検出部の検出結果が示す場合、電極部に付与される電圧の周波数が発光体の発光周期の正の整数分の1倍の周波数以外の周波数となるように、印加電圧調整部を制御して電極部に付与される電圧の調整を行う調光システムに関する。
【0015】
発光体検出部は、グローバルポジショニングシステムによって取得される位置情報と、発光体の位置情報を含む地図情報とに基づいて、液晶セルに対する発光体の接近を検出してもよい。
【0016】
発光体検出部は、液晶セルに接近する対象物の画像を取得する撮像素子と、撮像素子によって取得される画像の解析を行って液晶セルに対する発光体の接近を検出する画像解析部と、を有してもよい。
【0017】
本発明の他の態様は、電極部と当該電極部に印加される電圧に応じて光の透過率が変化する液晶部と有する液晶セルと、電極部に付与される電圧を調整する印加電圧調整部と、を含む調光装置と、液晶セルを通過した光を撮影する撮影装置と、撮影装置の作動を検出する撮影検出部と、撮影検出部の検出結果に基づいて印加電圧調整部を制御する周波数制御部と、を備え、周波数制御部は、撮影装置が撮影動作を行うことを撮影検出部の検出結果が示す場合、電極部に付与される電圧の周波数が撮影装置の撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外の周波数となるように、印加電圧調整部を制御して電極部に付与される電圧の調整を行う調光システムに関する。
【0018】
本発明の他の態様は、上記の調光装置を備える移動体に関する。
【0019】
本発明の他の態様は、上記の調光システムを備える移動体に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、交流駆動可能な液晶セルに対して周期的な発光を行う発光体からの光が入射する場合に、そのような発光体からの光が液晶セルによって阻害されることを防ぐことができる。また本発明によれば、交流駆動可能な液晶セルを介して入射する光を撮影装置が周期的に記録する場合に、撮影装置による記録が液晶セルによって阻害されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、図示及び理解を容易にするため、図面に示される各要素のサイズや要素間のサイズ比率等は必ずしも図面間で一致していないが、当業者であれば各図面に示された要素のサイズやサイズ比率等を容易に理解することができる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10を示す図である。
【0024】
以下の説明では、本発明の一実施形態に係る調光装置21及び調光システム22が搭載される移動体として車両10を例示するが、他の移動体や静止体に対しても、以下に説明する車両10と同様に、調光装置21及び調光システム22を搭載することが可能である。また
図1には、調光装置21及び調光システム22が車両10のフロント部分において集合的に示されているが、後述のように調光装置21及び調光システム22を構成する各要素は、互いに分離して設けられており、各要素の実際の設置位置は特に限定されない。
【0025】
図1に示す車両10に搭載される液晶セル25は、フロントガラス11を構成する合わせガラスの間に埋め込まれており、フロントガラス11の一部(特に上方部分)においてサンバイザーとして設けられている。したがって車両10の走行環境に応じて、液晶セル25に印加される電圧が調整され、液晶セル25の光透過率は最適化される。例えば通常運転時には、液晶セル25が透明状態となるように液晶セル25の光透過率を上げることにより、車両搭乗者のクリアな視界を確保できる。一方、車両10内への日差しが強い場合には、液晶セル25の光透過率を下げることにより、車両搭乗者の目が太陽の直射から守られて視界が確保される。このような液晶セル25の光透過率の調整は、搭乗者からの指示に応じて手動的に行われてもよいし、車両10内に差し込む日差しの強さを直接的又は間接的に検出する機器の検出結果に応じて自動的に行われてもよい。
【0026】
なお、液晶セル25の光透過率を調整する具体的な方法は特に限定されない。例えば、液晶セル25の電極部に印加する電圧の大きさを変えることによって、液晶セル25の光透過率を調整することが可能である。また液晶セル25の電極部に印加する電圧の大きさを固定しつつ、電極部に対する電圧の印加及び非印加を周期的に行い、1周期当たりの「電極部に電圧を印加する時間と電極部に電圧を印加しない時間との比(すなわちデューティー比)」を変えることによって、液晶セル25の光透過率を調整することも可能である。また液晶に電界を付与する一対の電極部(すなわち2つの電極部)に印加する電圧の位相を相互間でずらすことによって、液晶セル25の光透過率を調整することも可能である。これらの光透過率調整方法はそれぞれ特有の利点を有しているため、液晶セル25は、要求性能等に応じ、交流駆動可能な任意の光透過率調整方法を採用することができる。
【0027】
図1に示すように液晶セル25がフロントガラス11に設置される場合、車両10のドライバーは、信号機15の発光体16(例えば、青赤黄の信号や矢印信号を発光するLED(Light Emitting Diode))を、液晶セル25を介して視認する必要がある。また、液晶セル25に近接する位置(例えば車両10内の天井部分)にドライブレコーダ等の撮影装置17を設置する場合、撮影装置17は液晶セル25を通過した光(すなわち像)を撮影することになる。
【0028】
本実施形態の調光装置21及び調光システム22は、液晶セル25の電極部に付与する電圧を調整することで、発光体16からの光が液晶セル25によって阻害されることを抑制し、また撮影装置17による画像記録が液晶セル25によって阻害されることを防ぐ。
【0029】
以下、調光装置21及び調光システム22の具体的な構成例について説明する。
【0030】
図2は、液晶セル25の典型例を概略的に示す断面図である。なお
図2には液晶セル25の中央付近の一部のみが示されている。
【0031】
図2に示す液晶セル25は、順次積み重ねられた層状の第1偏光素子26、第1樹脂基材28、第1電極部30、第1配向膜32、液晶部34、第2配向膜33、第2電極部31、第2樹脂基材29及び第2偏光素子27を備える。
【0032】
第1偏光素子26及び第2偏光素子27は、所望の偏光機能を果たす部材によって構成され、典型的にはヨウ素化合物がドープされたPVA(ポリビニルアルコール)を延伸することによって作られる。第1偏光素子26及び第2偏光素子27の配置形態は特に限定されず、例えばパラレルニコル或いはクロスニコルの形態で第1偏光素子26及び第2偏光素子27を配置することが可能である。
【0033】
第1電極部30及び第2電極部31は、それぞれ透明の第1樹脂基材28及び第2樹脂基材29によって支持され、ITO(Indium Tin Oxide)等の材料によって透明電極として構成される。第1電極部30及び第2電極部31の配置態様は特に限定されず、パターニング形成によって所定箇所にのみ電極が配置されてもよいし、ベタ状に電極が配置されてもよい。第1電極部30及び第2電極部31には、後述のFPC(
図3参照)によって構成される導電部が接続されて電流が流され、第1電極部30及び第2電極部31に印加される電圧に応じて液晶部34に作用する電界が変わり、液晶部34の液晶分子の配向が調整される。
【0034】
第1配向膜32及び第2配向膜33は、駆動方式に応じた配向性を液晶部34の液晶に付与する。典型的には、ポリイミド等の樹脂層に対してラビング処理を施すことで第1配向膜32及び第2配向膜33が作られ、或いは高分子膜に直線偏光紫外線を照射して偏光方向の高分子鎖を選択的に反応させる光配向法に基づいて第1配向膜32及び第2配向膜33が作られる。
【0035】
液晶部34は、液晶で満たされており、第1電極部30及び第2電極部31に印加される電圧に応じて光の透過率が変化する。なお液晶部34の駆動方式は特に限定されず、例えばVA(Vertical Alignment)型、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In−Place−Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型、或いはゲストホスト型の液晶部34を液晶セル25で用いることができる。したがって液晶セル25は、必ずしも
図2に示す構成には限定されず、液晶部34の駆動方式に応じた任意の構成を有する。例えばIPS型の液晶部34を採用する液晶セル25では、液晶部34を挟む位置に電極部(
図2に示す第1電極部30及び第2電極部31参照)を配置せずに、液晶部34の片側にのみ電極部が配置されてもよい。また二色性色素(ゲスト)及び液晶(ホスト)を含むゲストホスト型の液晶部34を採用する液晶セル25では、配向膜(すなわち第1配向膜32及び第2配向膜33)によって液晶に付与される配向性に応じて、偏光素子が液晶部34の片側にのみ設けられていてもよいし、偏光素子が設けられていなくてもよい。
【0036】
なお一般に、交流駆動時における液晶セルの光透過率の周期的低下は、応答速度の速い駆動方式の液晶セルで顕著にあらわれる傾向がある。そのため、光透過率の周期的低下に起因する不具合を解消することができる本実施形態の調光装置21及び調光システム22がもたらす後述のメリットは、例えばVA型やTN型(特にVA型)のような応答速度が速い駆動方式を液晶セル25が採用する場合に、より効果的に享受される。
【0037】
また液晶セル25は、上述の要素以外の要素を含んでいてもよく、例えば、液晶層の間隔を保持するためのスペーサー、シール部、インデックスマッチング層、ハードコート層、及びその他の機能体及び機能層が設けられていてもよい。
【0038】
次に、液晶セル25を駆動制御する装置構成の具体例について説明する。
【0039】
図3は、調光装置21及び調光システム22の構成例を示すブロック図である。なお
図3では、液晶セル25を構成する要素として第1電極部30、第2電極部31及び液晶部34のみが示されており、他の要素の図示は省略されている。
【0040】
調光装置21は、上述の液晶セル25と、液晶セル25に対してFPC(Flexible Printed Circuits)45を介して電気的に接続される印加電圧調整部44と、を備える。調光システム22は、そのような調光装置21に加え、印加電圧調整部44を制御する周波数制御部46、周波数制御部46にそれぞれ接続される撮影検出部47及び発光体検出部48、撮影検出部47に接続される撮影装置17、及び発光体検出部48に接続されるGPS(グローバルポジショニングシステム)18を備える。
【0041】
印加電圧調整部44は、交流/直流変換器42を介してオルタネータ41に電気的に接続されており、FPC45を介して液晶セル25の第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧を周波数制御部46の制御下で調整する。印加電圧調整部44は、第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧を少なくとも交流電圧に調整可能であり、後述のように、第1電極部30及び第2電極部31に付与される交流電圧の周波数を変えたり、第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧を直流電圧と交流電圧との間で切り換えたりすることができる。このような印加電圧調整部44は、任意の電気回路によって構成可能であり、いわゆるAC/ACコンバータ、DC/ACコンバータ、AC/DCコンバータ或いはDC/DCコンバータを必要に応じて有しうる。
【0042】
オルタネータ41は、車両10のエンジン(図示省略)の回転を動力源として利用し、交流の電気を生成して交流/直流変換器42に対して出力する。交流/直流変換器42は、典型的には整流器(すなわちレクチファイア)及びレギュレータによって構成され、オルタネータ41から供給される交流を直流へと整流する。交流/直流変換器42から出力される直流は、印加電圧調整部44に出力されたり、バッテリー43に出力されて蓄電されたりする。
【0043】
なお、印加電圧調整部44に対する電力の供給形態(すなわち印加電圧調整部44に対する電流及び電圧の印加形態)は特に限定されない。
図3に示すように交流/直流変換器42から印加電圧調整部44に直流が付与されてもよいし、バッテリー43から印加電圧調整部44に直流が付与されてもよい。また
図3において一点鎖線で示すように、オルタネータ41から印加電圧調整部44に交流が直接的に付与されてもよい。またオルタネータ41以外の装置を、印加電圧調整部44に供給される電流の電源として用いてもよい。例えば、既存のバッテリー43とは別体に設けられるリチウムイオン電池やキャパシタから印加電圧調整部44に電流が供給されてもよい。またハイブリッドモータによって発電された電気を蓄電する高電圧大容量の駆動バッテリーから印加電圧調整部44に電流が供給されてもよい。また、そのような駆動バッテリーからの電力がDC/DCコンバータを介してバッテリー43に送られて蓄電され、そのバッテリー43から印加電圧調整部44に電流が供給されてもよい。
【0044】
周波数制御部46は、発光体検出部48の検出結果及び/又は撮影検出部47の検出結果に基づいて、印加電圧調整部44を制御する。したがって印加電圧調整部44は、周波数制御部46の制御下で、発光体検出部48の検出結果及び/又は撮影検出部47の検出結果に応じて、第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧を調整する。周波数制御部46及び印加電圧調整部44による具体的な電圧調整方法については後述する。
【0045】
発光体検出部48は、液晶セル25に対する発光体16の接近の有無を検出する。
図3に示す発光体検出部48は、車両10に設置されたGPS18によって取得される位置情報と、発光体16(本実施形態では信号機15)の位置情報を含む地図情報MIとに基づいて、液晶セル25に対する発光体16の接近の有無を検出する。すなわち発光体検出部48は、GPS18を介して連続的に取得される位置情報と地図情報MIとを照らし合わせ、車両10の位置(すなわち液晶セル25の位置)に基づいて定められる所定の接近範囲内に信号機15(すなわち発光体16)が存在するか否かを検出する。ここで言う所定の接近範囲は、検出対象の発光体16の種類に応じて適宜定められ、本実施形態のように信号機15の発光体16を検出対象とする場合、通常は、車両10の前方且つ上方の範囲が所定の接近範囲に定められる。この発光体検出部48の検出結果は、周波数制御部46に送られ、周波数制御部46によって印加電圧調整部44を制御する際の基礎情報として用いられうる。なお
図3に示す発光体検出部48は、発光体検出部48とは別体として設けられた記憶部49に記憶されている地図情報MIを読み込んで利用しているが、発光体検出部48が具備する図示しない記憶部に地図情報MIが記憶されていてもよい。
【0046】
撮影検出部47は、液晶セル25を通過した光を撮影する撮影装置17の作動を検出する。すなわち撮影検出部47は、撮影装置17の作動情報を取得し、この作動情報に基づいて撮影装置17のモードが撮影モードか否かを検出する。ここで言う撮影モードには、撮影装置17が実際に撮影を行っている状態にある場合だけではなく、撮影装置17が撮影の実施に先立つ予備的な動作を行っている状態にある場合も含まれうる。この撮影検出部47の検出結果は、周波数制御部46に送られ、周波数制御部46によって印加電圧調整部44を制御する際の基礎情報として用いられうる。なお撮影検出部47は、撮影装置17と一体的に設けられてもよいし別体として設けられてもよく、例えば撮影装置17の撮像素子を制御するコントローラによって撮影検出部47が構成されてもよい。
【0047】
次に、上述の装置構成によって液晶セル25を駆動制御する方法について説明する。
【0048】
印加電圧調整部44は、液晶セル25に接近する発光体16の検出に関する情報が発光体検出部48から周波数制御部46に入力された場合、第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧の周波数Pcが発光体16の発光周期Piの「正の整数分の1倍」の周波数以外の周波数となるように(すなわち「Pc≠(Pi/N)」(ただし「N」は正の整数)が満たされるように)、より好ましくは第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧の周波数Pcが発光体16の発光周期Piの「正の整数分の1倍」の周波数以外且つ「正の整数倍」の周波数以外の周波数となるように(すなわち「Pc≠(Pi/N)」且つ「Pc≠(Pi×N)」が満たされるように)、第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧を調整する。
【0049】
同様に、印加電圧調整部44は、液晶セル25を通過した光を撮影する撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報が撮影検出部47から周波数制御部46に入力された場合、第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧の周波数Pcが撮影装置17の撮影周期Ppの「正の整数分の1倍」の周波数以外の周波数となるように(すなわち「Pc≠(Pp/N)」が満たされるように)、より好ましくは第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧の周波数Pcが撮影装置17の撮影周期Ppの「正の整数分の1倍」の周波数以外且つ「正の整数倍」の周波数以外の周波数となるように(すなわち「Pc≠(Pp/N)」且つ「Pc≠(Pp×N)」が満たされるように)、第1電極部30及び第2電極部31に付与される電圧を調整する。
【0050】
なお、「液晶セル25に接近する発光体16の検出に関する情報」が周波数制御部46に入力される場合とは、液晶セル25に基づいて定められる所定の接近範囲内に発光体16が存在することを示す発光体検出部48の検出結果が周波数制御部46に送られる場合を指す。したがって、所定の接近範囲内に発光体16が存在しないことを示す発光体検出部48の検出結果が周波数制御部46に送られる場合は、「液晶セル25に接近する発光体16の検出に関する情報」が周波数制御部46に入力される場合には該当しない。同様に、「液晶セル25を通過した光を撮影する撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」が周波数制御部46に入力される場合とは、撮影装置17が撮影動作を行うこと(すなわち撮影装置17のモードが撮影モードであること)を示す撮影検出部47の検出結果が周波数制御部46に送られる場合を指す。したがって、撮影装置17が撮影動作を行っていないを示す撮影検出部47の検出結果が周波数制御部46に送られる場合は、「液晶セル25を通過した光を撮影する撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」が周波数制御部46に入力される場合には該当しない。
【0051】
これらの「発光体16の検出に関する情報」及び「撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」に基づく駆動制御方法として、典型的には、印加電圧調整部44が第1電極部30及び第2電極部31に付与する電圧を交流電圧と直流電圧との間で切り換える第1の駆動制御方法と、印加電圧調整部44が第1電極部30及び第2電極部31に付与する交流電圧の周波数を切り換える第2の駆動制御方法とが挙げられる。
【0052】
以下、これらの第1の駆動制御方法及び第2の駆動制御方法について説明する。なお以下の説明では、主として上述の「発光体16の検出に関する情報」に基づく駆動制御が例示されるが、上述の「撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」に基づく駆動制御も基本的に同様の処理ステップによって実施可能である。
【0053】
<第1の駆動制御方法>
第1の駆動制御方法において印加電圧調整部44は、発光体16の検出に関する情報及び/又は撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部46に入力されない場合、交流電圧を第1電極部30及び第2電極部31に付与する。一方、発光体16の検出に関する情報及び/又は撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部46に入力された場合、印加電圧調整部44は直流電圧を第1電極部30及び第2電極部31に付与する。したがって本駆動制御方法において用いられる印加電圧調整部44は、交流及び直流の双方を作り出して第1電極部30及び第2電極部31に送ることができる電気回路を含む。
【0054】
図4は、第1の駆動制御方法の制御フローを示すフローチャートであり、特に発光体16の検出に関する情報に基づいて行われる制御フローが示されている。
【0055】
第1の駆動制御方法に従って液晶セル25を駆動制御する場合、まず印加電圧調整部44によって第1電極部30及び第2電極部31に交流電圧が付与される(
図4のS11参照)。この交流電圧の周波数は特に限定されないが、液晶セル25の使用条件を総合的に勘案すると30〜120Hz程度(特に30〜70Hz程度)の周波数を持つ交流電圧を、第1電極部30及び第2電極部31に付与する交流電圧として好ましく使用可能であると想定されるが、そのような周波数帯域には、信号機15の発光体16の発光周期や撮影装置17の撮影周期と干渉しうる周波数が含まれうる。したがって、例えば車両10(すなわち液晶セル25)が信号機15(すなわち発光体16)に近い場合には、そのような交流電圧を第1電極部30及び第2電極部31に付与し続けるのは好ましくない場合がある。
【0056】
そのため周波数制御部46は、発光体検出部48の検出結果に基づいて、液晶セル25に基づいて定められる所定の接近範囲内に発光体16が存在するか否かを継続的に監視する(S12)。接近範囲内に発光体16が存在しないと判定される場合(S12のN)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31には交流電圧が付与し続けられる(S11)。
【0057】
一方、接近範囲内に発光体16が存在することが検出された場合(S12のY)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、印加電圧調整部44は直流電圧を作り出して第1電極部30及び第2電極部31に付与する(S13)。これにより、液晶セル25の液晶分子には一定方向に電界が作用し続け、液晶セル25の光透過率の周期的な低下は生じず、液晶セル25は発光体16の周期的な明滅と干渉することなく発光体16からの光を適切に透過することができる。したがって車両10のドライバーは、発光体16から発せられる光(すなわち信号)を液晶セル25を介して適切に視認することができる。
【0058】
周波数制御部46は、第1電極部30及び第2電極部31に直流電圧が付与されている間も、発光体検出部48の検出結果に基づいて、所定の接近範囲内に発光体16が存在するか否かを継続的に監視し続ける(S14)。接近範囲内において発光体16の存在が検出され続けている間は(S14のN)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31には直流電圧が付与し続けられる(S13)。
【0059】
一方、接近範囲内に発光体16が存在しないと判定された場合には(S14のY)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、印加電圧調整部44は交流電圧を作り出して第1電極部30及び第2電極部31に付与する(S15)。これにより、液晶セル25の液晶内のイオン成分に偏りが生じることを回避し、液晶の配向不良や液晶中における気泡の発生を防ぐことができる。
【0060】
上述の一連のステップS11〜S15を継続的に繰り返し行う制御フローに従って液晶セル25の駆動制御を行うことにより、液晶セル25の光透過率の低下の周期と発光体16の発光周期との干渉を防ぎつつ、液晶セル25の液晶内においてイオン成分に偏りが生じることを有効に回避できる。特に、接近範囲内において発光体16が検出される場合には直流電圧が第1電極部30及び第2電極部31に印加されるため、発光体16の発光周期の具体的な値によらず、確実に、液晶セル25の光透過率の低下の周期と発光体16の発光周期との干渉を防ぐことができる。したがって、液晶セル25の光透過性能に関して高い信頼性を確保することができ、車両10のドライバーは信号機15の発光体16からの光信号を適切に視認できる。
【0061】
なお上述の
図4に示す第1の駆動制御方法は、「撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」に基づく駆動制御に対しても同様に応用できる。すなわち周波数制御部46は、撮影検出部47の検出結果に基づいて、撮影装置17が撮影動作を行うか否かを継続的に監視する。撮影装置17が撮影動作を行わないと判定される間は、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31に交流電圧を付与し続ける(S11及びS15参照)。一方、撮影装置17が撮影動作を行うと判定される間は、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31に直流電圧を付与し続ける(S13参照)。
【0062】
このように上述の第1の駆動制御方法は、「発光体16の検出に関する情報」に基づく駆動制御及び「撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」に基づく駆動制御のいずれに対しても適用することができる。また、これらの両駆動制御を同時に行う場合にも、上述の第1の駆動制御方法の制御フローに従って第1電極部30及び第2電極部31に付与する電圧を調整することで、液晶セル25の光透過率の低下の周期が発光体16の発光周期及び撮影装置17の撮影周期の双方と干渉することを防ぎつつ、液晶セル25の液晶内においてイオン成分に偏りが生じることを有効に回避できる。
【0063】
<第2の駆動制御方法>
第2の駆動制御方法において印加電圧調整部44は、発光体16の検出に関する情報及び/又は撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部46に入力されない場合、第1の周波数P1を持つ交流電圧を第1電極部30及び第2電極部31に付与する。一方、発光体16の検出に関する情報及び/又は撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報が周波数制御部46に入力された場合、印加電圧調整部44は第2の周波数P2を持つ交流電圧を第1電極部30及び第2電極部31に付与する。したがって本駆動制御方法において用いられる印加電圧調整部44は、周波数の異なる交流電圧を作り出して第1電極部30及び第2電極部31に送ることができる電気回路を含む。
【0064】
図5は、第2の駆動制御方法の制御フローを示すフローチャートであり、特に発光体16の検出に関する情報に基づいて行われる制御フローが示されている。
【0065】
第2の駆動制御方法に従って液晶セル25を駆動制御する場合、まず印加電圧調整部44によって第1電極部30及び第2電極部31に第1の周波数P1の交流電圧が付与される(
図5のS21参照)。第1の周波数P1は特に限定されないが、液晶セル25の使用条件を総合的に勘案すると30〜120Hz程度(特に30〜70Hz程度)の周波数を第1の周波数P1として好ましく使用可能であると想定され、車両10が信号機15に近い場合には第1の周波数P1の交流電圧を第1電極部30及び第2電極部31に付与し続けるのは好ましくない場合がある。
【0066】
そのため周波数制御部46は、発光体検出部48の検出結果に基づいて、液晶セル25に基づいて定められる所定の接近範囲内に発光体16が存在するか否かを継続的に監視する(S22)。接近範囲内に発光体16が存在しないと判定される場合(S22のN)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31には第1の周波数P1の交流電圧が付与し続けられる(S21)。
【0067】
一方、接近範囲内に発光体16が存在することが検出された場合(S22のY)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第2の周波数P2の交流電圧を第1電極部30及び第2電極部31に付与する(S23)。この第2の周波数P2は、第1の周波数P1とは異なる周波数であり、発光体16の発光周期及び/又は撮影装置17の撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外の周波数、より好ましくは発光体16の発光周期及び/又は撮影装置17の撮影周期の正の整数分の1倍の周波数以外且つ正の整数倍の周波数以外の周波数である。これにより、液晶セル25の光透過率の周期的な低下が発光体16の周期的な明滅と干渉することを抑制することができ、液晶セル25は発光体16からの光を適切に透過する。したがって車両10のドライバーは、発光体16から発せられる光(すなわち信号)を、液晶セル25を介して適切に視認することができる。
【0068】
なお第2の周波数P2は、予め定められた周波数であってもよいし、検出された発光体16の種類に応じて適宜定められた周波数であってもよい。上述のように検出対象が信号機15の発光体16であれば、発光周期は予め定められているのが通常であるため、そのような信号機15の発光体16の発光周期と干渉しない予め定められた周波数を、第2の周波数P2として用いることが可能である。また周波数制御部46は、発光体16の発光周期に関する情報を受信し、その受信情報に応じて、発光体16の発光周期と干渉しない周波数を第2の周波数P2として決定してもよい。これは「撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」に基づく駆動制御においても同様であり、第2の周波数P2は、予め定められた周波数であってもよいし、検出された撮影装置17の撮影周期に応じて適宜定められた周波数であってもよい。
【0069】
周波数制御部46は、第1電極部30及び第2電極部31に第2の周波数P2の交流電圧が付与されている間も、発光体検出部48の検出結果に基づいて、所定の接近範囲内に発光体16が存在するか否かを継続的に監視し続ける(S24)。接近範囲内において発光体16の存在が検出され続ける間は(S24のN)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31に第2の周波数P2の交流電圧が付与し続けられる(S23)。
【0070】
一方、接近範囲内に発光体16が存在しないと判定された場合には(S24のY)、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、印加電圧調整部44は第1の周波数P1の交流電圧を作り出して第1電極部30及び第2電極部31に付与する(S25)。
【0071】
上述の一連のステップS21〜S25を継続的に繰り返し行う制御フローに従って液晶セル25の駆動制御を行うことにより、液晶セル25の光透過率の低下の周期と発光体16の発光周期との干渉を防ぐことができる。したがって、光透過性能に関して高い信頼性を確保することができ、車両10のドライバーは信号機15の発光体16からの光信号を適切に視認できる。
【0072】
なお上述の
図5に示す第2の駆動制御方法は、「撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」に基づく駆動制御に対しても同様に応用できる。すなわち周波数制御部46は、撮影検出部47の検出結果に基づいて、撮影装置17が撮影動作を行うか否かを継続的に監視する。撮影装置17が撮影動作を行わないと判定される間は、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31に第1の周波数P1の交流電圧を付与し続ける(S21及びS25参照)。一方、撮影装置17が撮影動作を行うと判定される間は、周波数制御部46は印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31に第2の周波数P2の交流電圧を付与し続ける(S23参照)。また「発光体16の検出に関する情報」に基づく駆動制御及び「撮影装置17の撮影動作の検出に関する情報」に基づく駆動制御を同時に行う場合にも、上述の第2の駆動制御方法の制御フローに従って第1電極部30及び第2電極部31に付与する電圧を調整することで、液晶セル25の光透過率の低下の周期が発光体16の発光周期及び撮影装置17の撮影周期の双方と干渉することを防ぐことができる。
【0073】
以上説明したように上述の調光装置21及び調光システム22によれば、液晶セル25に接近する発光体16の有無或いは液晶セル25を通過した光の撮影の有無に応じて液晶セル25の電極部30、31に付与される電圧が調整され、液晶セル25の光透過率の低下の周期が、発光体16の発光周期及び撮影装置17の撮影周期と干渉することを防いでいる。これにより、液晶セル25の光透過性能に関して高い信頼性が確保され、車両10のドライバーは信号機15の発光体16からの光信号を適切に視認でき、またドライブレコーダ等の撮影装置17は画像を適切に記録することができる。
【0074】
[変形例]
本発明は、上述の実施形態には限定されず、各要素に様々な変形が加えられてもよい。
【0075】
例えば、
図3に示す発光体検出部48は、GPS18を介して取得される位置情報と地図情報MIとを照らし合わせることで信号機15の発光体16を検出しているが、
図6に示すように、撮像素子51によって取得される画像データを画像解析部52で解析することによって発光体16を検出してもよい。すなわち、発光体16を撮影可能な位置に撮像素子51を設置し、液晶セル25に接近する対象物の画像データをこの撮像素子51によって継続的に取得して画像解析部52に順次送る。画像解析部52は、撮像素子51によって取得される画像データの解析を行って、対象の発光体16が画像データに含まれているか否かを判定し、液晶セル25に対する発光体16の接近を検出する。この画像解析部52の検出結果は周波数制御部46に送られる。周波数制御部46は、画像解析部52の検出結果に基づいて印加電圧調整部44を制御し、第1電極部30及び第2電極部31に印加する電圧を調整することで、液晶セル25の光透過率の低下の周期と発光体16の発光周期との干渉を防ぐことができる。
【0076】
また上述の実施形態では、液晶セル25との干渉が防がれる発光体として、信号機15の発光体16が例示されているが、発光体の具体的な対象は特に限定されない。上述の実施形態及び変形例に係る調光装置21及び調光システム22は、周期的な明滅を行って光を液晶セル25に入射させうる発光体全般(例えば他の車両のテールランプやヘッドランプ等)との干渉を有効に防ぐことも可能である。また撮影装置17もドライブレコーダには限定されない。発光体16及び撮影装置17は、調光装置21及び調光システム22が搭載される移動体の種類や、調光装置21及び調光システム22が設置される場所に応じて、適宜定められうる。したがって液晶セル25は、車両10のフロントガラス11以外の箇所に設けられていてもよい。
【0077】
また上述の駆動制御方法には、他の処理ステップが必要に応じて組み込まれてもよい。例えば、上述の第1の駆動制御方法(
図4参照)において、第1電極部30及び第2電極部31に対して直流電圧が印加されている時間が長くなった場合には、液晶セル25の液晶中のイオン成分の偏りを防ぐためのリフレッシュ処理が行われてもよい。このリフレッシュ処理は、液晶セル25の液晶中のイオン成分の偏りを防ぐのに有効な処理であれば具体的な内容は特に限定されず、第1電極部30及び第2電極部31に付与する電圧の向きを変える処理をリフレッシュ処理とすることができる。したがって例えば、第1電極部30及び第2電極部31に付与する直流電圧の向きを単発的に変える処理や、所定時間(例えば数秒〜1分程度)だけ第1電極部30及び第2電極部31に交流電圧を付与する処理を、リフレッシュ処理とすることができる。また、このようなリフレッシュ処理の実行タイミングも特に限定されず、例えば周波数制御部46が第1電極部30及び第2電極部31に対して直流電圧が印加されている時間をカウントし、この時間が所定時間(例えば1分〜数十分或いは1時間〜数十時間)に達した場合に、周波数制御部46の制御下で印加電圧調整部44がリフレッシュ処理を定期的に行ってもよい。
【0078】
本発明のある実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法と、本発明の他の実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法とを含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。したがって、上述の実施形態及び変形例、及び上述以外の本発明の実施形態の各々に含まれる構成要素及び/又は方法同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本発明の実施形態に含まれる。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。