(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出するまで前記搬送車を予め定められた方向に走行させる請求項1に記載の搬送システム。
前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記誘導ライン検出部による検出動作を実行する請求項1又は請求項2に記載の搬送システム。
前記予め定められた方向は、前記予め設定された範囲内の前記誘導ラインの敷設方向から第1の所定角度以上の角度を成す方向に設定された、請求項2又は請求項3に記載の搬送システム。
前記制御切替部は、前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合に、前記自律走行制御部による走行制御から前記誘導走行制御部による走行制御に制御モードを切り替える、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の搬送システム。
前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御部は、前記誘導ラインが自車の回転動作の回転中心に前記誘導ラインが位置するまで自車を前進させてから、前記誘導ラインの敷設方向と自車の進行方向が平行に近づく回転方向に自車を回転動作させる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の搬送システム。
前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御部は、前記誘導ラインが前記誘導ライン検出部の検出範囲内に収まるように自車の走行を制御する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の搬送システム。
前記予め設定された範囲、前記予め定められた方向の少なくともいずれかをユーザが入力可能な入出力装置を備える請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の搬送システム。
前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出するまで前記搬送車を予め定められた方向に走行させるステップを更に備える、請求項11に記載の搬送制御方法。
前記制御切替ステップにおいて、前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合に、前記自律走行制御ステップによる走行制御から前記誘導走行制御ステップによる走行制御に制御モードを切り替える、請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御ステップにおいて、前記誘導ラインが自車の回転動作の回転中心に前記誘導ラインが位置するまで自車を前進させてから、前記誘導ラインの敷設方向と自車の進行方向が平行に近づく回転方向に自車を回転動作させる、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御ステップにおいて、前記誘導ラインが前記誘導ライン検出動作の検出範囲内に収まるように自車の走行を制御する、請求項11乃至請求項15のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
[実施例1]
物流倉庫や製造工場などでは、現場の作業と連携させるために、台車やパレットなどの搬送物を所定の位置と向きに所定の方法で停止させることが求められる。例えば、台車をベルトコンベヤとの連携位置に停車させたり、作業員の作業位置に横付けしたりすることで、作業員が移動せず搬送物に乗せられた荷物を取ることができるように搬送物を搬送することが求められる。上記したようなベルトコンベアとの連携させたり、作業員の作業位置に横付けするためには、精度の高い搬送作業が必要となる。
【0014】
従来の自律走行方式(レーザー光などを利用した障害物検知センサにより障害物を検知し、障害物を避けて自律走行する方式)では、精度の高い搬送作業を実現することは難しく、また所定の位置と向きに所定の方法で停止させるためのシステム導入に手間がかかるという課題がある。また誘導方式(走行路面に敷設された誘導ラインに沿って走行する方式)では、誘導ラインを走行路面に敷設する必要があり、敷設作業を行う際に現場のオペレーションの妨げになったり、敷設された誘導ラインを傷めないように現場オペレーションを変更する必要が生じることがある。また、磁気誘導線を路面に埋め込むタイプの誘導ラインを敷設した後には、走行経路の変更が容易ではないという課題がある。
【0015】
そのため、所定の方法で停止させたり、ベルトコンベアなどの他機器と連携させるための精度の高い搬送作業が求められるエリアは、誘導走行エリアと定義して、誘導方式で搬送車が走行可能となるように誘導ラインを敷設し、他のエリアは自律走行エリアと定義して、誘導ラインが無くても予め取得している地図データをもとにして自律走行方式で指定された目的地に向かって搬送車を走行させることが望ましい。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送システムの稼働エリアの例を示す図であり、上記したように搬送車の稼働エリアを誘導走行エリアと自律走行エリアに分けて定義することで、搬送制御の精度向上と搬送システムの導入容易性を両立可能とする搬送システムの稼働エリアの例を示している。
図1では、エリア110、130及び140を誘導走行エリア、エリア121及び122を自律走行エリアと定義している。
【0017】
図2は、本実施形態に係る誘導走行エリア110の構成例を示す図である。
図2に示す通り、誘導走行エリア110内には、誘導ライン111が敷設され、自律走行モードで誘導走行エリア110に進入した搬送車が誘導ラインを検出して誘導走行モードに切り替わる誘導走行モード開始エリア112と、作業エリア114A、114B、114Cが定義されている。
誘導ライン111で構成される軌道は、誘導走行モード開始エリア112から作業エリア114A、114B、114Cまでを接続するように配置されている。また、軌道は分岐点113を備え、分岐後に作業エリア114A、114B、114Cへそれぞれ誘導する分岐後誘導ライン111A、111B、111Cを備える。作業エリア114A、114B、114Cは、例えば、ベルトコンベヤと台車等を連携させるための3つの停車位置、または作業員が台車に乗せられた荷物を取るための3つの停車位置である。作業エリア114A、114B、114Cで作業が完了した後、搬送車は誘導ライン111に沿って自律走行モード開始エリア115に移動して、自律走行モード開始エリア115にて走行モードをから誘導走行モードから自律走行モードに切り替えて、誘導走行エリア110を進出する。作業エリア114A、114B、114Cで作業が完了した後の動作としては、上述したように自律走行モード開始エリア115から自律走行モードに切り替わる実施形態以外に、作業エリア114A、114B、114Cにおいて自律走行モードに切り替わって誘導走行エリア110を進出するようにしても良く、または誘導ラインに沿って誘導走行モード開始エリア112まで移動して、誘導走行モード開始エリア112から自律走行モードに切り替わって誘導走行エリア110を進出するようにしても良い。
【0018】
自律走行エリア122を自律走行モードで走行している搬送車は、誘導走行モード開始エリア112に進入したことを条件に、
図2下側に示す自律走行エリア122から
図2上側に示す誘導走行エリア110に進入する。つまり、誘導走行モード開始エリア112内を
図2の下から上に向かって走行し、誘導ライン111を検出する。ここで、搬送車が誘導走行モード開始エリア112に到達した後に誘導ライン111を検出する場合に搬送車が走行する予め設定された進行方向は、誘導走行モード開始エリア112に敷設された誘導ライン111の敷設方向との相対角度が、所定角度以上(例えば20度以上)の相対角度となるように設定されている。このように上記相対角度が所定角度以上となるように、上記進行方向が設定されているのは、搬送車の
図2の左右方向の進入位置がばらついた場合であっても、誘導走行モード開始エリア112の誘導ラインをより確実に検出するためである。
【0019】
図3は、本実施形態に係る誘導走行エリア130の構成例を示す図である。
図3に示す通り、誘導走行エリア130内には、誘導ライン131が敷設され、自律走行モードで走行する搬送車が誘導ライン131を検出して誘導走行モードに切り替わる誘導走行モード開始エリア132と、作業員による作業が行われる作業エリア133が定義されている。誘導ライン131で構成される軌道は、複数の分岐点を介して、誘導走行モード開始エリア132と、作業エリア133と、誘導走行モードから自律走行モードへの切り替えを行う自律走行モード開始エリア134とを接続するように配置されている。作業エリア133には、複数の搬送車が停車できるように、分岐点を介して複数の誘導ラインが配置されている。誘導走行エリア110の作業エリア114A、114B、114Cと同様に、作業エリア133は、例えば、ベルトコンベヤと台車等を連携させるための複数の停車位置、または作業員が台車に乗せられた荷物を取るための複数の停車位置である。
【0020】
自律走行エリア121を自律走行モードで走行している搬送車10は、誘導走行モード開始エリア132に進入したことを条件に、
図3の左側に示す自律走行エリア121から
図3右側に示す誘導走行エリア130に進入する。つまり、搬送車10は誘導走行モード開始エリア132内を
図3の左から右に向かって走行し、誘導ライン131を検出する。ここで、誘導走行モード開始エリア132に敷設された誘導ライン131は、搬送車が誘導走行モード開始エリア112に到達しから誘導ライン111を検出する場合に搬送車が走行する予め設定された進行方向に対して所定角度以上(例えば20度以上)の角度をつけて敷設されている。このように所定の角度をつけて誘導ライン131が敷設されているのは、搬送車の
図3の上下方向の進入位置がばらついた場合であっても、誘導走行モード開始エリア132の誘導ラインをより確実に検出するためである。
【0021】
図2及び
図3で示した誘導ライン111、131としては、後述するような、従来から利用されている様々な誘導方式の誘導ラインを適用することができる。具体的には、例えば、誘導ラインとして設置した金属線に微弱な交流電流を流すことで生じる磁場を搬送車側のピックアップコイルで検出する電磁誘導方式、誘導ラインとして床面に敷設した磁気テープを搬送車側の磁気センサで読み取る磁気誘導方式、誘導ラインとして床面に敷設した二次元コードを搬送車側のカメラで撮影して画像処理を行う画像認識方式などを適用することができる。
【0022】
図4は、本実施形態に係る誘導走行エリア140の構成例を示す図である。
図4に示す通り、誘導走行エリア140内には、誘導ライン141が敷設され、自律走行エリア121又は122を自律走行モードで走行する搬送車が誘導ライン141を検出して誘導走行モードに切り替わる誘導走行モード開始エリア142、144と、作業員による作業が行われる作業エリア143A、143B、143C、143D、が定義されている。誘導ライン141で構成される軌道は、複数の分岐点を介して、誘導走行モード開始エリア142、144と、作業エリア143とを接続するように配置されている。作業エリア143には、複数の搬送車が停車できるように、分岐点を介して複数の誘導ラインが配置されている。誘導走行エリア110の作業エリア114A、114B、114Cと同様に、作業エリア143A、143B、143C、143Dは、例えば、ベルトコンベヤと台車等を連携させるための複数の停車位置、または作業員が台車に乗せられた荷物を取るための複数の停車位置である。
【0023】
次に、
図5乃至
図9を用いて搬送車及び牽引される台車のハードウェア構成を説明する。
図5は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す斜視図である。
図5の矢印15は搬送車の進行方向を示している。
図5に示す通り、搬送車は、台車との連結と非連結状態を切り替えるための連結部11、搬送車周辺の物体を検出する物体位置検出部12、駆動輪13、非駆動輪14を備えている。
【0024】
図6は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す上面図、
図7は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す下面図である。
図6に示す通り、搬送車の上面側には、連結部11と、物体位置検出部12が搭載されている。連結部11は、例えばアクチュエータで構成され、台車と連結する場合にはアクチュエータを上側に伸ばして台車側の連結受け部(図示しない)と連結し、連結を解除する場合にはアクチュエータを縮めて連結部と台車側の連結受け部との連結を解除できるように構成されている。また、連結部11は、平面上で搬送車の駆動輪13を取り囲む4か所の位置に配置され、台車と4か所で連結可能となっている。
【0025】
物体位置検出部12は、物体までの距離を検出する装置である。物体位置検出部12の一例としては、レーザー光を照射して物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測することで物体までの距離や方向を計測するレーザー距離センサ(LiDAR(Light detection and ranging)など)、ミリ波の送信信号と物体に反射して戻ってくる受信信号に基づいて物体までの距離を検出するミリ波レーダー、または、カメラで物体を撮影して撮影画像を解析することで物体までの距離を計測するカメラ式距離センサ、などを適用することができる。本実施形態では、物体位置検出部12を搬送車の上面部の進行方向前方に配置する例を示したが、これに替えて進行方向の前方側面に配置しても良い。また、前方だけでなく進行方向の後方側面や左右両側面に配置しても良い。
【0026】
物体位置検出部12は、搬送車の周囲360度に対して物体を検出するようにしても良いが、少なくとも搬送車の進行方向15の前方に対して物体を検出できるように構成されている。
【0027】
図7は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す下面図である。搬送車の底面には、搬送車の進行方向15に対する左右両側の位置に駆動輪13が設けられ、各駆動輪13の前後の位置にはそれぞれ非駆動輪14が設けられる。駆動輪13は、モーターの回転軸に接続されて駆動される車輪であり、右側の駆動輪と左側の駆動輪はそれぞれ個別に制御され、各駆動輪の回転速度や回転方向を個別に制御することにより、搬送車をカーブさせて走行させたり、その場で搬送車を回転させて向きを変えたりすることが可能となる。非駆動輪14は、駆動されない車輪で構成され駆動輪13により搬送車が移動することで受動的に回転する車輪である。非駆動輪14は、例えば、車輪と車軸を固定するフォークを有し、フォークは搬送車の底面部材と旋回可能に接続される回転キャスターで構成される。そのため、搬送車の進行方向や回転動作に応じて非駆動輪14の車輪回転方向が受動的に変化する。
図7では、2つの駆動輪と、四隅に4つの非駆動輪を備える搬送車のハードウェア構成を例示したが、本発明は当該ハードウェア構成に限定されるものではなく、駆動輪2つと非駆動輪2つの計4輪の構成を採用することも可能であり、また当該4輪構成において前輪がステアリング可能となる構成を採用することも可能である。
【0028】
搬送車の底面には、誘導ラインを検出する誘導ライン検出部16が設けられている。誘導ライン検出部16は、望ましくは駆動輪13よりも搬送車の進行方向前方に設けられる。これにより、誘導ラインがカーブしている位置を走行する場合に誘導ラインに追従して走行しやすくなり、また搬送車及び牽引する台車が進行する際にいち早く誘導ラインから情報を受信することでいち早く停止等の処理が実行できる。誘導ライン検出部は、上述したような誘導方式のタイプに応じたセンサが用いられる。誘導方式として、電磁誘導方式を用いる場合はピックアップコイル、磁気誘導方式を用いる場合は磁気センサ、画像認識方式を用いる場合はカメラが誘導ライン検出部のセンサとして用いられる。
【0029】
図8は、本実施形態に係る搬送車と牽引台車が結合された際のハードウェア構成の一例を示しており、具体的には、搬送車10が牽引対象である台車の下側に潜り込んだ状態で台車と連結する例を示している。この際、円錐形上の連結部11と対応する位置にすり鉢状の連結受け部が台車の底面に配置されており、連結部11を上側に伸ばすことで台車と連結でき、連結部11を縮めることで台車との連結を解除できる。
【0030】
図9は、本実施形態に係る搬送車と牽引台車が結合された際のハードウェア構成の他の一例を示している。
図9に示す例では、搬送車は台車2000の横に位置する状態で台車と連結する例を示している。台車は、搬送車の連結部11の少なくとも一部と連結する連結受け部2010を備えており、連結部11を上側に伸ばすことで台車と連結でき、連結部11を縮めることで台車との連結を解除できる。
図8や
図9では、搬送車の上面にアクチュエータ等で構成される連結部11を上下方向に伸縮させることで、台車との連結と連結解除を行う例を示したが、搬送車と台車の連結方法はこれに限られず、他の連結方法であっても良い。また、搬送車と連結される搬送物は、台車に限られず、例えば、車輪を有さないパレットやキャビネット等であっても良い。パレットやキャビネットを搬送する場合には、搬送車はパレットやキャビネットの下側に潜り込んで、パレットやキャビネットを持ち上げた状態で連結される。
【0031】
次に、本実施形態に係る搬送システムの全体構成図を説明する。
図10に搬送システムの全体構成の一例を示す。搬送システム1000は、複数の搬送車(10a, 10b)、搬送物である台車2000、搬送車の状態を表示又は搬送車へ指令を入力可能な操縦機3000、搬送車の運行に必要な情報を管理する運行管理装置4000、運行管理装置の情報を表示し運行管理装置に情報を入力する入出力装置5000、複数の搬送車(10a, 10b)と操縦機3000と運行管理装置4000を通信可能に接続する通信ネットワーク6000を備える。
【0032】
また、搬送システム1000は通信ネットワーク6000を介して外部システム7000と接続させることもできる。搬送システム1000を製造工場に導入して、製造に必要な部品を収納庫から製造ラインに搬送する場合には、搬送システム1000は、外部システム7000として製造管理システムとシステム間連携を行う。この場合、製造管理システムから製造作業の稼働進捗状況に関する情報を取得すれば、搬送車による輸送量や輸送経路を製造作業の作業進捗状況に応じて動的に調整することができる。
【0033】
別の例として、搬送システム1000を物流走行に導入して、トラック等で荷物が倉庫に搬入される際に搬入物を搬入口から収納庫に搬送し、また倉庫から荷物を出荷する際に収納庫から出荷される荷物を搬出口へ搬送する場合には、搬送システム1000は、外部システム7000として物流管理システムとシステム間連携を行う。この場合、物流管理システムから搬入に関する情報や出荷に関する情報を取得すれば、搬送車による輸送量や輸送経路を変更することができる。
【0034】
搬送システムが導入される施設では、一般的に複数の搬送車(10a, 10b)が稼働するため、それぞれの搬送車は通信ネットワーク6000を介して他搬送車や他構成要素と通信可能に連結される。例えば、搬送車は自機の検出部で検出した各種検出情報やその他制御情報を操縦機3000や運行管理装置4000や他搬送車に送信する。また搬送車10は台車2000と近距離通信手段で通信可能に接続され、台車から連結状態に関する情報や台車の識別情報などを受信可能に構成される。
【0035】
操縦機3000は、指定した搬送車の状態情報を表示する機能と、指定した搬送車へ指令を入力する機能を備えている。例えば、操縦機に表示される搬送車の状態情報としては、搬送車に搭載されて搬送車の電源となるバッテリの充電量の情報、搬送車と連れた台車の識別情報などである。搬送車へ入力する指令としては、例えば、搬送車の目的地に関する指令情報、台車との連結や連結解除の動作指令、搬送車の走行開始指令、搬送車の停止指令などである。
【0036】
運行管理装置4000は、施設エリアで運行される複数の搬送車の状態情報を記録する状態情報記録部4010と、複数の搬送車の動作シナリオを管理する動作シナリオ管理部4020を有している。状態情報記録部4010で記録される搬送車の状態情報は、例えば、運行中の複数の搬送車のバッテリ充電量の情報、複数の搬送車と連結された台車の識別情報、複数の搬送車の位置情報、複数の搬送車の動作モード(誘導走行モードまたは自律走行モード)、その他搬送車の検出部230で検出される各種検出情報などである。動作シナリオ管理部4020で管理される動作シナリオは、例えば、複数の搬送車それぞれの目的地の情報、目的地に行き着くまでに実行する複数の動作内容、複数動作の動作順序、複数動作の切替条件を含んでいる。
【0037】
入出力装置5000は、運行管理装置4000の状態情報記録部4010に記録された情報を表示するとともに、動作シナリオ管理部4020で管理される動作シナリオを入力することで新規に動作シナリオを追加したり、更新したりすることができる。入出力装置5000に入力される情報は、例えば、任意の搬送車の目的地が誘導走行エリア110の作業エリアAであることや、誘導走行エリア110に進入して作業エリアAに行き着くための動作内容、動作切替条件などを含んでいる。
【0038】
次に、
図11を用いて搬送車の有する機能を説明する。
図11は本実施形態に係る搬送車の機能構成図を示す図である。搬送車10は、搬送車外部の台車2000や通信ネットワーク6000と通信を行う通信部210と、記録部220、後述する各種センサを備えた検出部230、台車と連結するための連結部11、車輪を駆動させる車輪駆動部280、入力部240、表示部250、車輪駆動部280などの動作を制御する制御部260、を備えている。
【0039】
記録部220は、通信部210が外部から受信した情報、検出部230が検出した検出情報、制御部が出力した制御情報を記録する機能を有する。
【0040】
検出部230は、物体位置検出部12、誘導ライン検出部232、走行距離検出部233、衝突検出部234、姿勢検出部235、充電量検出部236を備えている。物体位置検出部12は、前述した通り、レーザー光を照射して物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測することで物体までの距離や方向を計測するレーザー距離センサ(LiDAR(Light detection and ranging)など)、ミリ波の送信信号と物体に反射して戻ってくる受信信号に基づいて物体までの距離を検出するミリ波レーダー、または、カメラで物体を撮影して撮影画像を解析することで物体までの距離を計測するカメラ式距離センサ、などで構成される。
【0041】
誘導ライン検出部16は、上述したように誘導方式のタイプに応じたセンサが用いられる。誘導方式として、電磁誘導方式を用いる場合はピックアップコイル、磁気誘導方式を用いる場合は磁気センサ、画像認識方式を用いる場合はカメラが誘導ライン検出部のセンサとして用いられる。誘導ライン検出部は、誘導ラインの直上に位置している場合に誘導ラインを検出して検出信号を出力する。また、カメラにより二次元コードやバーコードを使った誘導ラインを読み取る画像認識方式の場合には、誘導ラインの検出信号に加えて、検出したコードの情報に基づいて位置情報を生成し、更にコードの画像情報を行うことで誘導ラインと搬送車の相対角度情報を生成することができる。
【0042】
走行距離検出部233は、非駆動輪14または駆動輪13の回転数を検出し、当該回転数の検出情報と非駆動輪または駆動輪の直径(または円周長)の情報に基づいて搬送車の走行距離を計測する。代替手段として、ミリ波を床面に照射して反射波を検出するミリ波センサを用いて、搬送車の走行速度を検出し、当該走行速度を積分することで走行距離を推定する手段を適用することも可能である。
【0043】
衝突検出部234は、搬送車が物体や人に衝突したことを検出する機能を有する。具体的には、ジャイロセンサなどにより加速度を検出して、加速度の急変を検出した場合に衝突が発生したと判断することができる。代替手段として、搬送車の進行方向前方にバンパーと共に物理スイッチを設け、当該物理スイッチが押されたことにより衝突が発生したと判断する手段を適用することも可能である。衝突検出部234が衝突を検出した場合には、搬送車を停止させ、衝突発生情報と衝突発生位置の少なくともいずれかの情報を記録部に記録すると共に、当該情報を運行管理装置4000及び操縦機3000に情報を通知する。姿勢検出部235は、磁気コンパス又は左右駆動輪の回転数の情報又は車輪のステアリング情報に基づいて、自車の向き(姿勢)を検出する。
【0044】
充電量検出部236は、搬送車の電源であるバッテリの充電量を検出する。充電量検出部236で検出した充電量が所定値以下となった場合には、充電が必要と判断して、充電量減少の検知情報を記録部に記録すると共に、当該情報を運行管理装置4000及び操縦機3000に情報を通知する。更に、充電量が所定値以下であることを検出した場合に、上記処理に加えて充電スポットへ自動で移動して充電を行うようにしても良い。なお、充電量検出部236が要充電と判断するための前記所定値は、当該搬送車に設定された目的地までの距離と当該搬送車に連結された搬送物の重量の少なくともいずれかに基づいて予め設定された値であっても良い。
【0045】
入力部240は、搬送車に搭載された物理スイッチ又はタッチパネル等で構成され、ユーザは動作指令等を直接搬送車に入力することができる。表示部250は、搬送車に搭載された液晶パネル等で構成され、搬送車の状態情報(検出部230での各種検出情報や現在実行中の動作シナリオなど)を表示する。
【0046】
制御部260は、動作判定部261と、モード切替部262と、連結制御部263と、表示制御部264と、停車位置判定部265と、走行制御部266と、自車位置推定部267を備えている。動作判定部261は、動作シナリオ管理部4020から取得した自搬送車の動作シナリオに基づいて搬送車の動作を判定する。動作シナリオの例は
図12、
図13を用いて後述する。
【0047】
モード切替部262は、動作シナリオであらかじめ定められた条件、または入力部240で入力された指令に基づいて、搬送車の走行モードを誘導走行モードと自律走行モードの間でモードの切り替えを行う。連結制御部263は、動作シナリオであらかじめ定められた条件、または入力部240で入力された指令に基づいて、連結部11の動作を制御して、台車等の搬送物との連結/非連結を制御する。表示制御部264は、前述した入力部240と表示部250を制御する。
【0048】
停車位置判定部265は、停車位置判定を行う位置と予め設定された位置に自機が到着した場合に、物体位置検出部12により検出された物体の位置情報に基づいて、自機の停車位置を判定する処理を実行する。本実施例では、誘導ラインが複数に分岐して、目的地となる作業エリア114が複数設定可能である場合の停車位置判定を説明する。この場合、記憶部220に各作業エリア114A、114B、114Cの位置情報を含むマップ情報を記憶しており、検出した物体の位置がマップ情報における各作業エリア114A、114B、114Cのいずれの位置と一致するかを判断し、物体が検出された作業エリアは停車目的位置とはせず、物体が検出されない作業エリアのいずれかを停車目的位置と判定する。ここで、物体位置検出部12は、搬送車を基準とした物体までの距離と方向を検出することができ、更に誘導ライン検出部は搬送車の位置と向きの情報を取得するため、これらの情報に基づいて、検出した物体の位置がマップ情報における各作業エリア114A、114B、114Cのいずれの位置と一致するかを判断することができる。
【0049】
走行制御部266は、動作判定部261、モード切替部262、停車位置判定部265による判定情報の少なくともいずれかに基づいて、搬送車の走行を制御する。具体的には、車輪駆動部280の有する右輪駆動部281、左輪駆動部282をそれぞれ個別に制御する。右輪駆動部281と左輪駆動部282は例えばモーターで構成され、各駆動輪の回転速度や回転方向を個別に制御することで、搬送車を任意の軌跡半径でカーブさせて走行させたり、搬送車を回転させて向きを変えたりすることが可能となる。自車位置推定部267は、走行距離検出部233で検出した走行距離と、姿勢検出部235で検出した自車の向きの情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて、走行エリア全体における自車の位置を推定する。または、物体位置検出部12で計測した物体までの距離や方向の情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて走行エリア全体における自車の位置を推定することも可能である。あるいは、二次元コードで構成された誘導ライン上を走行している場合には、二次元コードの識別情報と上記マップ情報とに基づいて走行エリア全体における自車の位置を推定することも可能である。
【0050】
次に、搬送システムを施設に導入した場合の動作シナリオの例を説明する。
図11は、本実施形態に係る搬送車による一連の動作シナリオの一例を示す図であり、具体的には、作業エリア133をスタートしてから、再び作業エリア133に戻ってくるまでの一連の動作シナリオを示している。動作シナリオの情報は、運行管理装置4000から受信して記録部220に記録される。
【0051】
搬送システムによる一連の動作は、
図12や
図13に示すような複数の動作シナリオによって構成される。当該動作シナリオは、入出力装置5000によってユーザにより入力され、運行管理装置4000内の記憶装置に保存される。各動作シナリオには、当該動作の完了条件が予め定義されており、搬送車の検出部等で検出された情報に基づいて完了条件が成立した場合には、次の動作シナリオを実行する。
図12に示す複数の動作シナリオは、作業エリア133と作業エリア作業エリア114との間を往復する作業タスクを実行するための動作シナリオを示している。一方、
図13に示す複数の動作シナリオは、作業エリア133と作業エリア143の間を往復する作業タスクを実行するための動作シナリオを示している。
【0052】
以下、
図12に示す複数の動作シナリオの内容を説明する。シナリオ1の動作内容は作業エリア133で停車を行うであり、完了条件は当該作業エリアで行われる作業完了である。作業エリアで行われる作業は、例えば作業者による台車上の荷物の乗せ換えや搬送車に連結される台車の付け替えなどである。次に実行されるシナリオ2の動作内容は誘導ライン131に沿って走行することであり、完了条件は自律走行モード開始エリア134に移動が完了したことである。自律走行モード開始エリア134に移動が完了したことを検知する手段としては、当該自律走行モード開始エリア134に設置された近接通信装置により位置情報を受信する手段でも良いし、固有ID情報を有する二次元コードで誘導ラインを構成して、当該二次元コードを読み取ることにより検知しても良い。
【0053】
シナリオ3の動作内容は、自律走行モードで走行して誘導走行モード開始エリア112まで移動することである。記録部220に記録した搬送車が走行するエリア全体(誘導走行エリアと自律走行エリアを含む)のマップ情報と自車位置推定部により推定した自車位置情報とに基づいて、当該マップ情報に含まれる自律走行エリアを逸脱しないように走行し、また物体位置検出部により物体を検出した場合には、当該物体を回避したルートを通って誘導走行モード開始エリア112まで走行する。シナリオ3の完了条件は、自車位置推定部で推定した自車位置が誘導走行モード開始エリア112内となっていること、つまり、誘導走行モード開始エリア112までの移動が完了したことを検出することである。シナリオ3−2の動作内容は、誘導ライン検出部16のカメラで床面の撮影を行って誘導ラインを探索しながら予め定められた所定進行方向(
図2の図面における下側から上側へ進む方向)に走行することである。完了条件は、誘導ライン検出部が誘導ライン111を検出した場合である。
【0054】
シナリオ4の動作内容は、誘導ライン111に沿って走行することであり、完了条件は目的地判定地点である分岐点に移動完了したことである。誘導ラインを検出してから誘導ラインに沿って走行する具体的な制御方法については、後述する。シナリオ5の動作内容は、停車目的地を判定して停車目的地へ走行することであり、完了条件は当該停車目的地へ移動完了したことである。シナリオ6の動作内容は、停車目的地である作業エリア114で停車を継続することであり、完了条件は作業者による作業が完了したことである。作業が完了したことは、例えば、操縦機3000や入力部240にも設けられた作業完了ボタンを作業者が押すことなどにより作業が完了したことを検知できる。シナリオ7の動作内容は、誘導ラインに沿って走行することであり、完了条件は自律走行モード開始エリア115に移動完了したことである。シナリオ8の動作内容は、自律走行モードで走行して誘導走行モード開始エリア132まで移動することである。自律走行モードの走行制御は上述したシナリオ3と同様である。完了条件は誘導ライン131を検出することである。シナリオ9の動作内容は、誘導ライン131に沿って走行することであり、完了条件は、作業エリア133に移動完了することである。シナリオ9の動作が完了したらシナリオ1に戻る。
【0055】
以下、作業エリア133と作業エリア143の間を往復する作業タスクを実行するための
図13に示す複数の動作シナリオの内容を説明する。シナリオ1及び2は、
図12と同様であり、作業エリア133での作業を完了して自律走行モード開始エリア134に移動する。シナリオ3の動作内容は、自律走行モードで走行して誘導走行モード開始エリア142まで移動することである。記録部220に記録した搬送車が走行するエリア全体(誘導走行エリアと自律走行エリアを含む)のマップ情報と自車位置推定部により推定した自車位置情報とに基づいて、当該マップ情報に含まれる自律走行エリアを逸脱しないように走行し、また物体位置検出部により物体を検出した場合には、当該物体を回避したルートを通って誘導走行モード開始エリア142まで走行する。シナリオ3の完了条件は、自車位置推定部で推定した自車位置が誘導走行モード開始エリア142内となっていること、つまり、誘導走行モード開始エリア142までの移動が完了したことを検出することである。シナリオ3−2の動作内容は、誘導ライン検出部16のカメラで床面の撮影を行って誘導ラインを探索しながら予め定められた所定進行方向(
図4における図面右側から左側へ進む方向)に走行することである。完了条件は、誘導ライン検出部が誘導ライン141を検出した場合である。
【0056】
シナリオ4の動作内容は、誘導ライン141に沿って走行することであり、完了条件は目的地判定地点である分岐点に移動完了したことである。誘導ラインを検出してから誘導ラインに沿って走行するための具体的な制御方法については、後述する。シナリオ5の動作内容は、作業エリア143A、143B、143C、143Dから停車目的地を判定して判定した停車目的地へ走行することであり、完了条件は当該停車目的地へ移動完了したことである。シナリオ6の動作内容は、停車目的地である作業エリア143で停車を継続することであり、完了条件は作業者による作業が完了したことである。作業が完了したことは、例えば、操縦機3000や入力部240にも設けられた作業完了ボタンを作業者が押すことなどにより作業が完了したことを検知できる。シナリオ7の動作内容は、誘導ラインに沿って走行することであり、完了条件は誘導走行モード開始エリア142に移動完了したことである。シナリオ8〜10の動作内容及び完了条件は、
図12で示した内容と同様である。
【0057】
以下、
図14〜
図18を用いて、本実施形態における搬送車が走行モード開始エリア112に進入してから誘導ラインに沿って走行を行うまでの制御の具体例を説明する。
図14は、搬送車が誘導ライン111を検出する際の動作例を示す図である。誘導走行エリア110と自律走行エリア122の両エリアに跨って誘導走行モード開始エリア112が定義されており、また誘導走行モード開始エリア112内での走行方向も定義されている。誘導走行モード開始エリア112の範囲及び上記走行方向は、入出力装置5000を介してユーザが予め設定し、運行管理装置4000内に記録される。搬送車は、通信ネットワーク6000を介して誘導走行モード開始エリア112の範囲及び上記走行方向に関する情報を受信して記録部220に記録する。
【0058】
搬送車は、
図12のシナリオ3に基づいて自律走行モードで走行し誘導走行モード開始エリア112まで移動する。自車位置推定部267により検出した自車位置が予め記録部に記録された誘導走行モード開始エリア112の範囲内である場合に、シナリオ3を終了して、
図12のシナリオ3−2を実行する。シナリオ3−2では、予め記録部に記録された走行方向に自車を走行させると共に、誘導ライン検出部16による検出動作を実行する。ここで、誘導ライン検出部は、自律走行エリア121、122を自律走行している間は動作させず、誘導走行モード開始エリア112に移動完了した場合に誘導ライン検出部による検出動作を開始するようにしても良い。あるいは、自車が誘導走行エリアと自律走行エリアのどちらに位置するかに関わらず常に誘導ライン検出部による検出動作を実行して、自律走行エリアを自律走行している場合には上記誘導ライン検出部による検出結果を走行制御に利用せず、自車が誘導走行モード開始エリア112に移動完了した場合に、誘導ライン検出部により検出した誘導ラインの情報を走行制御に利用するようにしても良い。上記したように、動作シナリオとして予め設定した誘導走行モード開始エリア112に到着したことを条件に、誘導ライン検出部の動作を開始、あるいは誘導ライン検出部による検出結果を走行制御に利用することを開始することで、例えば誘導走行エリア140のように目的地として設定されていない誘導走行エリアを通過する際にも誘導ライン検出部により意図しない誘導ラインを検出して意図しない位置へ移動してしまうことを防止できる。
【0059】
シナリオ3−2において、上述したように、予め記録部に記録された走行方向に自車を走行させると共に、誘導ライン検出部16による検出動作を実行することで、誘導ライン111を検出すると、シナリオ4に移行して、誘導ライン111に沿った走行を行う。
図15〜
図17は、誘導ライン検出部16により複数の二次元コードで構成された誘導ライン111を検出してから搬送車を誘導ラインに沿って走行させるまでの搬送車の動作例を示している。
【0060】
図15は、誘導ライン検出部16により誘導ラインを構成する二次元コードを検知した際の誘導ラインと搬送車の位置関係を示している。誘導ラインは二次元コード1000に示すような二次元平面上にコード情報が印刷された複数の二次元コードが誘導ラインの敷設方向に向かって並んで印刷されている。誘導ライン検出部16は、二次元コードを検出すると、当該二次元コードから取得したコード情報に基づいて、当該二次元コードの位置情報を取得する。更に、カメラで取得した二次元コードの画像情報に基づいて、二次元コードの向き、つまり誘導ラインの敷設方向と搬送車の相対角度θの情報を取得する。前述した通り、誘導走行モード開始エリア112に敷設された誘導ライン111は、予め記録部に記録された搬送車の進行方向に対して所定角度以上(例えば20度以上)の角度をつけて敷設されている。そのため、誘導ライン検出部16により誘導ラインを構成する二次元コードを検知した際には、搬送車の進行方向と誘導ラインの敷設方向との間には相対角度θが存在することになる。誘導ライン検出部16は、誘導ラインを構成する二次元コード1010を検出したときに、当該二次元コード1010の位置情報と相対角度θの情報を取得する。その後、記録部220に記録されている誘導ライン検出部16と搬送車の回転中心18との距離D1の情報に基づいて、自車を距離D1だけ前進させる。ここで、回転中心18は、例えば、駆動輪同士を接続する直線の中点を示すものであり、複数の駆動輪により搬送車が回転する場合の回転中心を意味するものである。
【0061】
図16は、搬送車が距離D1だけ前進した後の状態を示している。この状態では、誘導ライン検出部16で検出した二次元コード1010が搬送車の回転中心におおよそ一致する状態となる。この状態において、搬送車は誘導ライン検出部で検出した上記相対角度θの情報に基づいて、車体を上記相対角度θがゼロに近づく回転方向に回転させる、つまり車体を左回転させる。その後、誘導ライン検出部で再び誘導ラインを検出するまで回転動作を継続する。
【0062】
図17は、回転動作を行った搬送車が誘導ラインを検出した際の状態を示している。この状態では、回転中心が二次元コード1010の位置とおおよそ一致する位置にあり、かつ二次元コードが誘導ライン検出部の検出範囲内に存在するため、搬送車が誘導ラインの敷設方向とおおよそ一致した向きとなる。回転動作を行った搬送車が誘導ラインを検出した場合には、搬送車は回転動作を止めて、検出した誘導ラインに沿って進行する。
【0063】
図18は、
図14〜
図17で示したような、搬送車が誘導走行モード開始エリア112に進入してから誘導ライン111に沿って走行を行うまでの制御フローの一例を示している。ステップ1800(S1800)では、搬送車は自律走行モードで走行を行い自車位置推定部267により誘導走行モード開始エリア112に進入したことを検知する。次に、ステップ1801(S1801)では、入出力装置5000等を介して予め設定されて記録部220に記録された所定方向の情報に基づいて、当該所定方向に向かって搬送車を走行させる。この際、誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作を行いながら走行を行う。誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作は、誘導走行モード開始エリア112に進入する前の自律走行エリアを走行中にも実行し続けても良く、また誘導走行モード開始エリア112に進入したことをトリガに検出動作を開始しても良い。
【0064】
次に、ステップ1802(S1802)では、誘導ライン検出部16により誘導ラインを検出したか否かを判定し、誘導ラインを検出した場合には、ステップ1803(S1803)のステップに移行する。ステップ1804(S1804)では、自車位置推定部の推定結果に基づいて誘導走行モード開始エリア112を進出したか否かを判定し、誘導走行モード開始エリア112を進出していないと判断した場合には、ステップ1801(S1801)のステップに戻り、所定方向に向かって搬送車を走行させる処理を継続する。ステップ1804(S1804)において、誘導走行モード開始エリア112を進出していると判断した場合には、ステップ1805(S1805)のステップを実行する。ステップ1805(S1805)では、自車位置推定部の推定結果に基づいて誘導走行モード開始エリア112に戻る処理を実行して、ステップ1800(S1800)のステップに移行する。ステップ1800(S1800)に戻って処理をやり直すことで、誘導ラインを検出するための動作を再度実行する。
【0065】
ステップ1803(S1803)では、誘導ライン検出部16により検出した誘導ラインと自車の相対角度である角度θを検出すると共に、誘導ラインを検出した位置から前方に所定距離D1直進する。次に、ステップ1806(S1806)では、角度θがゼロとなる回転方向へ自車を回転させる。ここで、角度θがゼロとなる回転方向は、誘導ライン検出部16で検出した情報に基づいて判断しても良いが、入出力装置5000を介して予め回転方向を設定しても良い。
【0066】
次に、ステップ1807(S1807)では、誘導ライン検出部16により誘導ラインを検出したか否かを判定する。誘導ラインを検出したと判断した場合には、ステップ1808(S1808)のステップに移行する。他方、誘導ラインを検出していないと判断した場合には、ステップ1809(S1809)のステップに移行する。ステップ1809(S1809)では、姿勢検出部235の検出結果に基づいて、ステップ1806(S1806)のステップで開始した回転動作の回転角度が360度を超えたか否かを判断し、360度を超えていないと判断した場合にはステップ1806(S1806)のステップに戻って回転動作を継続する。他方、360度を超えていると判断した場合には、ステップ1805(S1805)のステップに戻り、誘導ラインの検出動作を再度実行する。ここで、ステップ1805(S1805)では、誘導走行モード開始エリア112に戻って誘導ラインを検出するための動作を最初から再度実行することと併せて、又はこれに替えて、誘導ラインの検出に失敗したことを搬送車の表示部250や搬送車外部の操縦機3000、入出力装置5000、外部システム7000に通知しても良い。
【0067】
次に、ステップ1808(S1808)では、ステップ1807(S1807)のステップで検出した誘導ラインの角度θが90度以下であるか否かを判断する。角度θが90度以下であると判断した場合には、ステップ1810(S1810)のステップに移行する。他方、角度θが90度以下ではないと判断した場合には、ステップ1811(S1811)のステップに移行する。ステップ1810(S1810)では、誘導ライン検出部16で検出した誘導ラインに沿って走行を行う。ステップ1811(S1811)では、敷設ラインと搬送車の向きが逆向きとなっている状態と考えられるため、自車を逆方向に回転させると共に、ステップ1807(S1807)のステップに戻る。
【0068】
図15〜
図18では、搬送車を誘導ラインに沿って走行させるまでの搬送車の動作の一例を示したが、以下、
図19及び
図20では、誘導ライン検出部16により複数の二次元コードで構成された誘導ライン111を検出してから搬送車を誘導ラインに沿って走行させるまでの他の動作例を説明する。
【0069】
図19は、予め定められた方向に進行して誘導ライン検出部16により誘導ラインを構成する二次元コードを検知した後、誘導ラインの敷設方向に沿って搬送車を走行させる際の誘導ラインと搬送車の位置関係を示している。搬送車は予め定められた方向として、
図19の上向きの方向(図中の矢印の方向)に走行して誘導ライン検出部16により二次元コード1010を検出した場合には、図中の点線で示した位置にあり、誘導ラインと自車の相対角度θを検出する。その後、誘導ライン検出部16が誘導ラインを検出し続けるように(誘導ライン検出部16の検出範囲が誘導ラインを含む状態を維持するように)搬送車の走行を制御して図中の実践で示した位置に移動して、二次元コード1030を検出する。そのため、搬送車は、左側駆動輪よりも右側駆動輪の回転速度を早くする走行を行って、
図19において左側にカーブして、上記相対角度θがゼロに近づくように搬送車の走行を制御する。
【0070】
図20は、
図19で示した搬送車の走行制御の制御フローを示すフローチャート図である。ステップ2000(S2000)では、搬送車は自律走行モードで走行を行い、自車位置推定部267により誘導走行モード開始エリア112に進入したことを検知する。次に、ステップ2001(S2001)では、入出力装置5000等を介して予め設定されて記録部220に記録された所定方向の情報に基づいて、当該所定方向に向かって搬送車を走行させる。この際、誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作を行いながら走行を行う。誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作は、誘導走行モード開始エリア112に進入する前の自律走行エリアを走行中にも実行し続けても良く、また誘導走行モード開始エリア112に進入したことをトリガに検出動作を開始しても良い。
【0071】
次に、ステップ2002(S2002)では、誘導ライン検出部16により誘導ラインを検出したか否かを判定し、誘導ラインを検出した場合には、ステップ2003(S2003)のステップに移行する。他方、誘導ラインを検出しない場合には、ステップ2004(S2004)のステップに移行する。ステップ2004(S2004)では、自車位置推定部の推定結果に基づいて誘導走行モード開始エリア112を進出したか否かを判定し、誘導走行モード開始エリア112を進出していないと判断した場合には、ステップ2001(S2001)のステップに戻り、所定方向に向かって搬送車を走行させる処理を継続する。ステップ2004(S2004)において、誘導走行モード開始エリア112を進出していると判断した場合には、ステップ2005(S2005)のステップを実行する。ステップ2005(S2005)では、自車位置推定部の推定結果に基づいて誘導走行モード開始エリア112に戻る処理を実行して、ステップ2000(S2000)のステップに移行する。ステップ2000(S2000)に戻って処理をやり直すことで、誘導ラインを検出するための動作を再度実行する。
【0072】
ステップ2003(S2003)では、誘導ライン検出部16により検出した誘導ラインと自車の相対角度である角度θを検出する。次に、ステップ2006(S2006)では、角度θがゼロとなる回転方向へ自車をカーブさせながら、かつ誘導ライン検出部16が誘導ラインを検出し続けるように(つまり、誘導ライン検出部16の検出範囲が誘導ラインの敷設位置を含む状態を維持するように)搬送車の走行を制御する。このように、搬送車はカーブを描きながら誘導ラインに沿って走行を行うことにより、徐々に角度θが小さくなるよう搬送車の走行を制御する。
【0073】
上述したように、搬送車が誘導ラインを検出した後に、搬送車の進行方向と誘導ラインの敷設方向の相対角度を小さくして、搬送車を誘導ラインに沿って走行させる方法として、
図18に示す制御フローチャートでは、誘導ラインを検出後に距離D1だけ直進して、その場で搬送車を回転動作させることで搬送車の進行方向と誘導ラインの敷設方向を一致させる方法を示した。また、他の方法として、
図20に示す制御フローチャートでは、誘導ラインを検出後に搬送車をカーブさせながら、かつ誘導ライン検出部16が誘導ラインを検出し続けるように走行させることで搬送車の進行方向と誘導ラインの敷設方向を徐々に一致させる方法を示した。ここで、搬送車が誘導ラインを検出した際の誘導ラインと自車の相対角度の大きさに応じて、誘導ラインに沿って走行させる方法を選択する制御例を
図21の制御フローチャートを用いて説明する。
【0074】
図21に示すステップ2100(S2100)からステップ2105(S2105)までの各制御ステップは、
図20に示した制御フローと同様であるため、説明を省略し、ステップ2106(S2106)の制御ステップから説明する。ステップ2106(S2106)では、ステップ2103(S2103)の処理で検出した角度θが所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合にはステップ2107(S2107)のステップに移行し、所定値以上ではないと判定したらステップ2108(S2108)のステップに移行する。ステップ2108(S2108)では、角度θがゼロとなる回転方向へカーブしながら誘導ラインに沿って走行する。このステップの処理内容は、
図20におけるステップ2006(S2006)のステップと同様である。
【0075】
ステップ2107(S2107)では、誘導ラインの角度θを検出し、自車を距離D1だけ直進させる。次にステップ2109(S2109)のステップに移行する。ステップ2109(S2109)からステップ2114(S2114)の各ステップの処理内容は、
図18に示したステップ1806(S1806)からステップ1811(S1811)と同じである。
【0076】
上述した実施形態では、誘導ラインに二次元コード又は一次元のバーコードを用いることで、搬送車と誘導ラインの相対角度θを検出して、当該角度情報を制御に用いる例を説明したが、本発明は誘導ラインに磁気テープ等を用いることも可能である。以下に、
図22〜
図25を用いて、誘導ラインに磁気テープを用いた実施形態を説明する。
【0077】
図22は、誘導ライン検出部16により誘導ラインを構成する磁気テープを検知した際の誘導ラインと搬送車の位置関係を示している。
図22に示す誘導ライン検出部16は、磁気テープを検出する磁気センサ17を搬送車の進行方向に向かって横方向に複数備える構成となっている。誘導ライン検出部16に設けられた複数の磁気センサ17は、それぞれ磁気テープを検出したか否かの検出信号を出力する。
図22に示す場合では、誘導ライン検出部16の中央に位置する3つの磁気センサ17Aが磁気テープを検出しており、誘導ライン検出部16の両脇のそれぞれ2つの磁気センサ17Bが磁気テープを検出していない。
【0078】
前述した通り、誘導走行モード開始エリア112に敷設された誘導ライン111は、予め記録部に記録された搬送車の進行方向に対して所定角度以上(例えば20度以上)の角度をつけて敷設されている。そのため、誘導ライン検出部16により誘導ラインを検知した際には、搬送車の進行方向と誘導ラインの敷設方向との間には相対角度θが存在することになる。その後、記録部220に記録されている誘導ライン検出部16と搬送車の回転中心18との距離D1の情報に基づいて、自車を距離D1だけ前進させる。ここで、回転中心18は、例えば、駆動輪同士を接続する直線の中点を示すものであり、複数の駆動輪により搬送車が回転する場合の回転中心を意味するものである。
【0079】
図23は、搬送車が距離D1だけ前進した後の状態を示している。この状態では、誘導ライン検出部16で検出した誘導ラインが搬送車の回転中心におおよそ一致する状態となる。この状態において、搬送車は記録部に記録された所定の回転方向の情報に基づいて、自車を所定の回転方向に回転させる、(
図23では車体を左回転させる例をしめしている)。その後、誘導ライン検出部16で再び誘導ラインを検出するまで回転動作を継続する。
【0080】
図24は、回転動作を行った搬送車が誘導ラインを検出した際の状態を示している。この状態では、回転中心がおおよそ誘導ライン上に位置しており、かつ誘導ライン検出部の検出範囲内に誘導ラインが位置しているため、搬送車が誘導ラインの敷設方向とおおよそ一致した向きとなる。回転動作を行った搬送車が、誘導ライン検出部により誘導ラインを検出した場合には、搬送車は回転動作を止めて、検出した誘導ラインに沿って進行する。つまり、誘導ライン検出部の中央部の磁気センサで磁気テープを検出できるように進行方向を調整しながら搬送車を走行させる。
【0081】
図25は、
図22〜
図24で示したような、搬送車が誘導走行モード開始エリア112に進入してから誘導ライン111に沿って走行を行うまでの制御フローの一例を示している。ステップ2500(S2500)、ステップ2501(S2501)、ステップ2502(S2502)、ステップ2504(S2504)、ステップ2505(S2505)の各ステップで実行される制御内容は、
図18におけるステップ1800(S1800)、ステップ1801(S1801)、ステップ1802(S1802)、ステップ1804(S1804)、ステップ1805(S1805)の各ステップと同様であるため、説明を省略して、ステップ2503(S2503)以降のステップについて説明を行う。
【0082】
ステップ2503(S2503)では、記録部220に記録されている誘導ライン検出部16と搬送車の回転中心18との距離D1の情報に基づいて、誘導ラインを検出した位置から前方に所定距離D1直進する。次に、ステップ2506(S2506)では、入出力装置5000を介して予め設定されて記録部220に記録されている回転方向に基づいて、当該回転方向に回転する動作を行う。
【0083】
次に、ステップ2507(S2507)では、誘導ライン検出部16により誘導ラインを検出したか否かを判定する。具体的には、複数個の磁気センサ17が磁気テープを検出したことを条件に誘導ラインを検出したと判定する。誘導ラインを検出したと判断した場合には、ステップ2508(S2508)のステップに移行する。他方、誘導ラインを検出していないと判断した場合には、ステップ2509(S2509)のステップに移行する。ステップ2509(S2509)では、姿勢検出部235の検出結果に基づいて、ステップ2506(S2506)のステップで開始した回転動作の回転角度が360度を超えたか否かを判断し、360度を超えていないと判断した場合にはステップ2506(S2506)のステップに戻って回転動作を継続する。他方、360度を超えていると判断した場合には、ステップ2505(S2505)のステップに戻り、誘導ラインの検出動作を再度実行する。ここで、ステップ2505(S2505)では、誘導走行モード開始エリア112に戻って誘導ラインを検出するための動作を最初から再度実行することと併せて、又はこれに替えて、誘導ラインの検出に失敗したことを搬送車の表示部250や搬送車外部の操縦機3000、入出力装置5000、外部システム7000に通知しても良い。
【0084】
次に、S2508では、回転動作を停止して、誘導ライン検出部16で検出した誘導ラインに沿って走行を行う。つまり、誘導ライン検出部16の中央部の磁気センサ17で磁気テープを検出できるように進行方向を調整しながら搬送車を走行させる。
【0085】
以下、
図12のシナリオ3において、自律走行モードで走行して誘導走行モード開始エリア112まで移動する場合の走行制御方法について説明する。
図26は、自律走行モードで誘導走行エリア130から誘導走行モード開始エリア112まで走行制御する場合の動作例を示している。当該走行制御では、誘導走行エリア130から誘導走行モード開始エリア112まで走行する間に、誘導走行エリア140に敷設された誘導ライン141の上を通り超して、誘導走行モード開始エリア112まで自律走行モードで移動する。
【0086】
当該自律走行モードでは、記録部220に記録した搬送車が走行するエリア全体(誘導走行エリアと自律走行エリアを含む)のマップ情報と自車位置推定部267により推定した自車位置情報とに基づいて、当該マップ情報に含まれる自律走行エリアを逸脱しないように走行し、また物体位置検出部12により物体を検出した場合には、当該物体を回避したルートを通って誘導走行モード開始エリア112まで走行する。シナリオ3の完了条件は、自車位置推定部で推定した自車位置が誘導走行モード開始エリア112内となっていること、つまり、誘導走行モード開始エリア112までの移動が完了したことを検出することである。
【0087】
ここで、誘導ラインが二次元コード又はバーコード等のコードで構成されている場合には、当該自律走行モードにおいて、誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作を行って、得られたコード情報を利用することで自律走行モードの走行精度を向上させることが可能となる。
【0088】
上述したように、自車位置推定部267は、走行距離検出部233で検出した走行距離と、姿勢検出部235で検出した自車の向きの情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて、走行エリア全体における自車の位置を推定する。または、物体位置検出部12で計測した物体までの距離や方向の情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて走行エリア全体における自車の位置を推定する。しかし、走行距離検出部233、姿勢検出部235、物体位置検出部12の各検出部では、検出誤差が存在し、当該検出誤差が自律走行モードで走行する場合の走行精度を向上するための課題となる。
【0089】
ここで、誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作を行って取得したコード情報と、記録部に記録された各コードの配置位置が含まれるマップ情報とに基づいて自車位置を検出することが可能であり、誘導ラインのコード情報に基づいて検出した自車位置は、上記した検出誤差の影響を受けにくく、より正確に自車位置を検出することができる。そのため、誘導ラインの検出動作を行いながら自律走行モードで走行を行って、誘導ライン検出部16により誘導ラインからコード情報を取得した場合には、当該コード情報に基づいて検出した自車位置の情報を走行制御に用いる。つまり、走行距離検出部233、姿勢検出部235、物体位置検出部12の各検出部の検出情報に基づく自車位置の推定情報に替えて、コード情報に基づいて検出した自車位置の情報を走行制御に用いる。
【0090】
上記したように、誘導ライン検出部16により取得したコード情報に基づいて検出した自車位置の情報を自律走行モードの走行制御に用いることで、走行制御の精度を向上させることが可能となる。この自律走行モードにおける走行制御の精度をさらに向上させるために、自律走行モードを行う自律走行エリア121、122に二次元コード又はバーコード等のコードで構成された誘導ラインを所定間隔で敷設することもできる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、搬送車の制御部260および記録部220は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。また、本明細書において説明した搬送システムでは、操縦機3000、運行管理装置4000、入出力装置5000がそれぞれネットワークを介して接続された別個のハードウェアで構成される例を説明したが、操縦機3000、運行管理装置4000、入出力装置5000の機能の一部又は全部が搬送車10に実装されていても良い。
【0093】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る制御部260の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0094】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0095】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0096】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)走行路に敷設された誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記誘導ラインに沿って搬送車を走行させる誘導走行制御部と、前記搬送車の走行距離と自車位置の少なくともいずれかを検出する自車位置推定部と、前記自車位置推定部による検出情報に基づいて、前記搬送車を所定目標位置まで走行させる自律走行制御部と、を有し、前記自律走行制御部により前記搬送車の走行が制御されている場合であって、前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲となる場合に、前記自律走行制御部による走行制御から前記誘導走行制御部による走行制御に制御モードを切り替える制御切替部と、を備える搬送システム。
(項目2)前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出するまで前記搬送車を予め定められた方向に走行させる。
(項目3)前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記誘導ライン検出部による検出動作を実行する。
(項目4)前記予め定められた方向は、前記予め設定された範囲内の前記誘導ラインの敷設方向から第1の所定角度以上の角度を成す方向に設定される。
(項目5)前記制御切替部は、前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合に、前記自律走行制御部による走行制御から前記誘導走行制御部による走行制御に制御モードを切り替える。
(項目6)前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御部は、前記誘導ラインが自車の回転動作の回転中心に前記誘導ラインが位置するまで自車を前進させてから、前記誘導ラインの敷設方向と自車の進行方向が平行に近づく回転方向に自車を回転動作させる。
(項目7)前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御部は、前記誘導ラインが前記誘導ライン検出部の検出範囲内に収まるように自車の走行を制御する。
(項目8)前記誘導ライン検出部は、走行路平面上における自車の進行方向と前記誘導ラインの敷設方向との相対角度に関する情報を取得し、前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合であって、前記相対角度が第2の所定角度よりも大きい場合に、前記誘導走行制御部は、前記誘導ラインが自車の回転動作の回転中心に前記誘導ラインが位置するまで前進させてから、前記誘導ラインの敷設方向と自車の進行方向が平行に近づく方向に自車を回転動作させ、前記自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出部により前記誘導ラインを検出した場合であって、前記相対角度が前記第2の所定角度よりも小さい場合に、前記誘導走行制御部は、前記誘導ラインが前記誘導ライン検出部の検出範囲となるように自車の走行を制御する。
(項目9)前記誘導ラインは、二次元コード又はバーコードを含む複数のコードで構成されており、前記誘導ライン検出部は、前記コードの画像を取得するカメラと、取得した画像に含まれるコードの画像情報に基づいて、誘導ラインの敷設角度と進行すべき方向の情報を取得するコード情報取得部と、を備える。
(項目10)前記予め設定された範囲、前記予め定められた方向の少なくともいずれかをユーザが入力可能な入出力装置を備える。
(項目11)前記誘導ラインは、二次元コード又はバーコードを含む複数のコードで構成されており、前記自律走行制御部により前記搬送車を制御している場合に、前記誘導ライン検出部は、前記誘導ラインを検出して、前記コードのコード情報を取得し、前記自車位置推定部は、取得した前記コード情報に基づいて自車位置を推定し、前記自律走行制御部は、前記コード情報に基づいて推定した前記自車位置に基づいて前記物体を回避して前記搬送車を走行させる。
(項目12)走行路に敷設された誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記誘導ラインに沿って搬送車を走行させる誘導走行制御部と、前記搬送車の走行距離と自車位置の少なくともいずれかを検出する自車位置推定部と、前記自車位置推定部による検出情報に基づいて、前記搬送車を所定目標位置まで走行させる自律走行制御部と、を有し、前記誘導ラインは、二次元コード又はバーコードを含む複数のコードで構成されており、前記自律走行制御部により前記搬送車の走行が制御されている場合に、前記誘導ライン検出部は、前記誘導ラインを検出して前記コードのコード情報を取得し、前記自車位置推定部は、取得した前記コード情報に基づいて自車位置を検出し、前記自律走行制御部は、前記コード情報に基づいて検出した前記自車位置に基づいて前記搬送車を走行させる。
(項目13)走行路に敷設された誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、前記誘導ラインに沿って搬送車を走行させる誘導走行制御ステップと、前記搬送車の走行距離と自車位置の少なくともいずれかを検出する自車位置推定ステップと、
前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離と自車位置の少なくともいずれかに基づいて、所定目標位置まで前記搬送車を走行させる自律走行制御ステップと、
前記自律走行制御ステップにより前記搬送車を制御している場合であって、前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記自律走行制御ステップによる走行制御から前記誘導走行制御ステップによる走行制御に制御モードを切り替える制御切替ステップと、を備える搬送制御方法。
(項目14)前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出するまで前記搬送車を予め定められた方向に走行させるステップを更に備える。
(項目15)前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、前記誘導ライン検出ステップによる検出動作を実行する。
(項目16)前記制御切替ステップにおいて、前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合に、前記自律走行制御ステップによる走行制御から前記誘導走行制御ステップによる走行制御に制御モードを切り替える。
(項目17)前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御ステップにおいて、前記誘導ラインが自車の回転動作の回転中心に前記誘導ラインが位置するまで自車を前進させてから、前記誘導ラインの敷設方向と自車の進行方向が平行に近づく回転方向に自車を回転動作させる。
(項目18)前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合、前記誘導走行制御ステップにおいて、前記誘導ラインが前記誘導ライン検出動作の検出範囲内に収まるように自車の走行を制御する。
(項目19)前記誘導ライン検出ステップは、走行路平面上における自車の進行方向と前記誘導ラインの敷設方向との相対角度に関する情報を取得するステップを更に有し、前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合であって、前記相対角度が第2の所定角度よりも大きい場合に、前記誘導走行制御ステップにおいて、前記誘導ラインが自車の回転動作の回転中心に前記誘導ラインが位置するまで前進させてから、前記誘導ラインの敷設方向と自車の進行方向が平行に近づく方向に自車を回転動作させ、前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となり、かつ前記誘導ライン検出ステップにより前記誘導ラインを検出した場合であって、前記相対角度が前記第2の所定角度よりも小さい場合に、前記誘導走行制御ステップにおいて、前記誘導ラインが前記誘導ライン検出動作の検出範囲となるように自車の走行を制御する。
(項目20)前記誘導ラインは、二次元コード又はバーコードを含む複数のコードで構成されており、前記自律走行制御ステップにおいて前記搬送車を制御している場合に、前記誘導ライン検出ステップにより、前記誘導ラインを検出して、前記コードのコード情報を取得し、前記自車位置推定ステップにより、取得した前記コード情報に基づいて自車位置を推定し、前記自律走行制御ステップにおいて、前記コード情報に基づいて推定した前記自車位置に基づいて前記物体を回避して前記搬送車を走行させる。
(項目21)走行路に敷設された誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、前記誘導ラインに沿って搬送車を走行させる誘導走行制御ステップと、前記搬送車の走行距離と自車位置の少なくともいずれかを検出する自車位置推定ステップと、前記自車位置推定ステップにより検出した走行距離と自車位置の少なくともいずれかに基づいて、所定目標位置まで前記搬送車を走行させる自律走行制御ステップと、を有し、前記誘導ラインは、二次元コード又はバーコードを含む複数のコードで構成されており、前記誘導ラインを検出することで取得した前記コード情報に基づいて自車位置を検出するステップを更に備え、前記自律走行制御ステップにおいて、前記コード情報に基づいて検出した前記自車位置に基づいて前記搬送車を走行させる搬送制御方法。
【課題】誘導ラインに沿った走行を行う誘導走行方式によると、搬送システムの稼働エリアに誘導ラインを敷設する必要があり、また自律走行方式によると、誘導走行方式と比較して動作の再現性が低いという課題があった。
【解決手段】本開示による搬送システムは、搬送車の走行距離と自車位置の少なくともいずれかを検出する自車位置推定部を備え、自律走行制御部により搬送車を制御している場合であって、自車位置推定部により検出した走行距離又は自車位置が予め設定された範囲内となる場合に、自律走行制御部による走行制御から誘導走行制御部による走行制御に制御モードを切り替える制御切替部と、を備える搬送システム。