特許第6986345号(P6986345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986345
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】経口組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20211213BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20211213BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A23L33/105
   A61K31/122
   A61K31/7048
   A61K31/05
   A61K31/353
   A61P39/06
   A61K9/14
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K9/48
   A61K47/32
   A61K47/40
   A61K47/10
   A61K47/12
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-225119(P2016-225119)
(22)【出願日】2016年11月18日
(65)【公開番号】特開2018-78860(P2018-78860A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 裕一
(72)【発明者】
【氏名】門田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】巽 一憲
(72)【発明者】
【氏名】水垂 陽子
(72)【発明者】
【氏名】山田 航
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−538215(JP,A)
【文献】 特開2000−116356(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/022012(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/099982(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/103410(WO,A1)
【文献】 特表2016−506381(JP,A)
【文献】 特表2010−525018(JP,A)
【文献】 特公昭47−003994(JP,B1)
【文献】 特開平11−299468(JP,A)
【文献】 特開2005−281515(JP,A)
【文献】 特表2008−539278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)難溶性ポリフェノール、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物、及び(C)シクロデキストリンを含有し、
該(A)成分の総含有量1重量部に対して、該(B)成分の総含有量が、1〜10重量部である、固形状経口組成物(但し、レスベラトロール、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、及び、ポリビニルピロリドンを含有する丸薬状経口組成物を除く)。
【請求項2】
さらに(D)ステアリン酸塩及びテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の総含有量が、0.00001w/v%〜90w/v%である、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【請求項4】
前記(A)成分の総含有量1重量部に対して、前記(C)成分の総含有量が、0.0000001〜10000重量部である、請求項1〜のいずれか1項に記載の経口組成物。
【請求項5】
粉末剤、錠剤、顆粒剤、又は、カプセル剤の形態である、請求項1〜のいずれか1項に記載の経口組成物。
【請求項6】
ノビレチン及び(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物を含有する固形状経口組成物。
【請求項7】
(A)難溶性ポリフェノール、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物、及び(C)シクロデキストリンを含有させることを含み、
ここで、該(A)成分の総含有量1重量部に対して、該(B)成分の総含有量が、1〜10重量部である、固形状経口組成物の製造方法(但し、レスベラトロール、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、及び、ポリビニルピロリドンを含有する丸薬状経口組成物を製造する場合を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに様々な生理活性を有する種々の成分が見出され、健康食品等をはじめとする飲食品に応用が試みられている。このような生理活性成分のなかでも、赤ワインやお茶などに多く含まれ、強い抗酸化活性を有するポリフェノールは、抗動脈硬化、抗アレルギー、血流増強等の効果が期待されるため、健康食品等の重要な成分として認識されている。
【0003】
ポリフェノールを飲食品へ応用する試みの一つとして、難溶解性のポリフェノールを水に溶解する技術が開発されている。例えば、特許文献1では、ラムノシド構造を有する難溶解性のポリフェノールに対して、酵素を用いて糖を付加する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、ポリフェノールを含有する組成物を効率良く調製し、目的とする効果を発揮させるためには、配合や製造工程など様々な点から検討を行うことや、溶解性の改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−215155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、難溶解性ポリフェノールを含有する経口組成物であって、製造工程で回収性が高く、効率良く均一な品質の経口組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、難溶性ポリフェノールに、1−ビニル−2−ピロリドン重合物又はシクロデキストリンを含有させた場合、製造工程において成分が容器に残存する等、回収性を損なわせるという新規な課題を見出した。
【0008】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく検討したところ、難溶性ポリフェノール、1−ビニル−2−ピロリドン重合物及びシクロデキストリンを共に含有させることにより、製造工程における回収性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に掲げる経口組成物を提供する。
項1.(A)難溶性ポリフェノール、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物、及び(C)シクロデキストリンを含有する経口組成物。
項2.さらに(D)ステアリン酸塩及びテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1に記載の経口組成物。
項3.前記(A)成分が、フラボノイド系ポリフェノールである、項1又は項2に記載の経口組成物。
項4.前記(A)成分の総含有量が、0.00001w/v%〜90w/v%である、項1〜3のいずれか1項に記載の経口組成物。
項5.前記(A)成分の総含有量1重量部に対して、前記(B)成分の総含有量が、0.0000001〜100000重量部である、項1〜4のいずれか1項に記載の経口組成物。
項6.前記(A)成分の総含有量1重量部に対して、前記(C)成分の総含有量が、0.0000001〜10000重量部である、項1〜5のいずれか1項に記載の経口組成物。
項7.粉末剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤又はゼリーの形態である、項1〜6のいずれか1項に記載の経口組成物。
また、別の形態において、前記(B)成分が、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK50、ポリビニルピロリドンK60、ポリビニルピロリドンK85及びポリビニルピロリドンK90からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の経口組成物であり得る。
別の形態において、前記(C)成分が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の経口組成物であり得る。
別の形態において、飲食品、健康食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は飼料である、項1に記載の経口組成物であり得る。
【0010】
また、本発明は、下記に掲げる経口組成物を提供する。
項8.ポリメトキシフラボノイド類及び(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物を含有する経口組成物。
また、別の形態において、前記ポリメトキシフラボノイド類が、ノビレチンである、項8に記載の経口組成物であり得る。
別の形態において、前記ポリメトキシフラボノイド類の総含有量が、0.00001w/v%〜90w/v%である、項8に記載の経口組成物であり得る。
別の形態において、前記ポリメトキシフラボノイド類の総含有量1重量部に対して、前記(B)成分の総含有量が、0.0000001〜100000重量部である、項8に記載の経口組成物であり得る。
別の形態において、粉末剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤又はゼリーの形態である、項8に記載の経口組成物であり得る。
別の形態において、前記(B)成分が、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK50、ポリビニルピロリドンK60、ポリビニルピロリドンK85及びポリビニルピロリドンK90からなる群より選択される少なくとも1種である、項8に記載の経口組成物であり得る。
別の形態において、飲食品、健康食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は飼料である、項8に記載の経口組成物であり得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の経口組成物は、(A)難溶性ポリフェノール、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物と、(C)シクロデキストリンとを含有することにより、製造工程における回収性を改善させることができる。また、本発明の経口組成物は、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を共存させることにより、水に対する分散性が向上し、薬物の速溶解性及び速放出性にも優れる。また、本発明の経口組成物は、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を共存させることにより、溶解性が向上し、薬物の生体吸収性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】溶解性の評価における、クルクミンの溶解量を高速液体クロマトグラフィーで測定した結果を示すグラフである。
図2】溶出性の評価における、クルクミンの溶出量を高速液体クロマトグラフィーで測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[経口組成物]
本発明の経口組成物は、
(A)難溶性ポリフェノール、
(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物、及び
(C)シクロデキストリンを含有する。
【0014】
[(A)成分]
本明細書において、ポリフェノールとは、同一分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を有する成分の総称を意味する。また、本明細書において、難溶性ポリフェノールとは、ポリフェノールのうち、水に対して溶けにくい成分をいう。難溶性ポリフェノールにおける水に対する溶解度は、特に限定されないが、例えば、25℃における純水に対する溶解度が1g/L以下とすることができ、0.5g/L以下であることが好ましく、0.4g/L以下であることがより好ましく、0.3g/L以下であることが更に好ましく、0.2g/L以下であることがより更に好ましく、0.1g/L以下であることが特に好ましく、0.05g/L以下であることが最も好ましい。
【0015】
難溶性ポリフェノールは、構造上、フラボノイド系ポリフェノールとフェノール酸系ポリフェノールに大別される。これらのうち、フラボノイド系ポリフェノールは、2−フェニルクロモン骨格を有する化合物群であり、フラボノイド、キサントノイド、スチルペノイド、カルコン、リグノイド、クルクミノイド等に更に分類される。これらのフラボノイド系ポリフェノールは、構造上、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数が異なり、このような差違がポリフェノールの反応性や生理活性に影響を与える一因となり得る。
【0016】
上記のフラボノイドに代表される成分には、例えば、ダイゼイン、ダイジン、ゲニスチン等のイソフラボン;シアニジン、シアニン、デルフィニン、デルフィニジン、マルビジン、ペラゴニジン、ペオニジン、ペチュニジン等のアントシアニン類;ノビレチン、タンゲレチン等のポリメトキシフラボノイド類;ヘスペリジン、ヘスペレチン、ナリンギン、ナリンゲニン、シトロニン、リキリチン等のフラバノン;カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン等のフラバノール;ケルセチン、ルチン、ケンフェロール、ミリセチン、ガランギン等のフラボノール等が挙げられる。
【0017】
これらのフラボノイドのうち、イソフラボンでは、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数は2つである。アントシアニン類、ポリメトキシフラボノイド類、フラバノン、フラバノール及びフラボノールでは、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数は3つである。
【0018】
上記のキサントノイドに代表される成分には、例えば、マンジフェリン、ピセアタンノール等が挙げられる。キサントノイドでは、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数は1つである。
【0019】
上記のスチルペノイドに代表される成分には、例えば、レスベラトロール等が挙げられる。スチルペノイドでは、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数は2つである。
【0020】
上記のカルコンに代表される成分には、例えば、カルタミン等が挙げられる。カルコンでは、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数は3つである。
【0021】
上記のリグノイドに代表される成分には、例えば、リグナン、セサミン、セサモリン、セサミノール、セサモール等が挙げられる。リグノイドでは、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数は4つである。
【0022】
上記のクルクミノイドに代表される成分には、例えば、クルクミン、ジメトキシクルクミン、ビスジメトキシクルクミン等が挙げられる。クルクミノイドでは、二つのベンゼン環を繋ぐ炭素数は7つである。
【0023】
また、フェノール酸系ポリフェノールには、エラグ酸、クロロゲン酸、カカオマスポリフェノール、クマリン、ロズマリン酸等が挙げられる。
【0024】
これらの(A)難溶性ポリフェノールのうち、本願発明の効果を顕著に奏する観点から、フラボノイド系ポリフェノールが好ましく、フラボノイド、キサントノイド、スチルペノイド、カルコン、リグノイド及びクルクミノイドからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリメトキシフラボノイド類、フラバノン、フラバノール、フラボノール、スチルペノイド、リグノイド及びクルクミノイドからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、フラバノン、フラバノール、フラボノール、スチルペノイド、リグノイド及びクルクミノイドからなる群より選択される少なくとも1種が更により好ましい。また、別の観点から、(A)難溶性ポリフェノールは、ノビレチン、ヘスペリジン、カテキン、ルチン、レスベラトロール、セサミン及びクルクミンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ノビレチン、ヘスペリジン、レスベラトロール及びクルクミンからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、ヘスペリジン、レスベラトロール及びクルクミンからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
【0025】
(A)難溶性ポリフェノールは、天然由来のものであってもよく、化学的に合成されたものであってもよく、市販品を用いることも可能である。さらに、天然由来の難溶性ポリフェノールである場合は、種々の植物抽出物や植物精製物、あるいは植物の粉砕物に含まれるものであってもよい。使用する植物の部位は、例えば果皮、果実、果汁、葉、茎、種などが上げられるが、これらに限定されない。また、これらの抽出物や精製物又は粉砕物は定法に従って調製され、例えば裁断、破砕、圧搾、粉砕、乾燥、濃縮、濾過、篩過、均一化、殺菌のような工程を経てもよい。例えば、ノビレチンは、天然由来の難溶性ポリフェノールとして、シークワーサー、ミカン、ポンカン等に含まれるものを用いることが可能である。また、例えば、ヘスペリジンは、天然由来の難溶性ポリフェノールとして、ミカンやマンダリン等に含まれるものを用いることが可能である。また、例えば、カテキンは、天然由来の難溶性ポリフェノールとして、緑茶、紅茶、ウーロン茶等に含まれるものを用いることが可能である。また、例えば、ルチンは、天然由来の難溶性ポリフェノールとして、エンジュ、ソバ、アズキ等に含まれるものを用いることが可能である。また、例えば、レスベラトロールは、天然由来の難溶性ポリフェノールとして、ブドウ、イタドリ等や赤ワインに含まれるものを用いることが可能である。また、例えば、クルクミンは、天然由来の難溶性ポリフェノールとして、ウコン等に含まれるものを用いることが可能である。
【0026】
(A)難溶性ポリフェノールは、1種又は少なくとも2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
【0027】
本発明の経口組成物において、経口組成物の総量に対する(A)成分の総含有量は、(A)成分の種類や他の成分の含有量、剤型等に応じて適宜設定される。経口組成物の総量に対する(A)成分の総含有量は、限定はされないが、例えば、0.00001w/v%以上であり、より好ましくは0.0001w/v%以上、さらに好ましくは0.0005w/v%以上、特に好ましくは0.001w/v%以上、もっとも好ましくは0.005w/v%以上である。経口組成物の総量に対する(A)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは90w/v%以下であり、より好ましくは80w/v%以下、さらに好ましくは70w/v%以下、特に好ましくは60w/v%以下、もっとも好ましくは50w/v%以下である。経口組成物の総量に対する(A)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%〜90w/v%、より好ましくは0.0001w/v%〜80w/v%、さらに好ましくは0.0005w/v%〜70w/v%、特に好ましくは0.001w/v%〜60w/v%、もっとも好ましくは0.005w/v%〜50w/v%である。
【0028】
本発明の経口組成物において、(A)成分の成人1日当たりの用量は、(A)成分の種類や他の成分の含有量、剤型等に応じて適宜設定され、限定はされないが、例えば、0.00001〜10000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜7000mg、より好ましくは0.001〜5000mg、さらに好ましくは0.01mg〜3000mg、特に好ましくは0.1mg〜1000mgである。
【0029】
(A)成分がノビレチンの場合、ノビレチンの成人1日当たりの用量は、限定はされないが、例えば、0.00001〜10000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜5000mg、より好ましくは0.001〜500mg、さらに好ましくは0.01〜500mg、特に好ましくは0.1〜500mgである。
【0030】
(A)成分がヘスペリジンの場合、ヘスペリジンの成人1日当たりの用量は、限定はされないが、例えば、0.00001〜10000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜7000mg、より好ましくは0.001〜5000mg、さらに好ましくは0.01〜3000mg、特に好ましくは0.1〜1000mgである。
【0031】
(A)成分がレスベラトロールの場合、レスベラトロールの成人1日当たりの用量は、限定はされないが、例えば、0.00001〜10000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜7000mg、より好ましくは0.001〜5000mg、さらに好ましくは0.01〜3000mg、特に好ましくは0.1〜1000mgである。
【0032】
(A)成分がクルクミンの場合、クルクミンの成人1日当たりの用量は、限定はされないが、例えば、0.00001〜10000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜7000mg、より好ましくは0.001〜5000mg、さらに好ましくは0.01〜3000mg、特に好ましくは0.1〜1000mgである。
【0033】
[(B)成分]
(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物は、1−ビニル−2−ピロリドンの直鎖重合物及び1−ビニル−2−ピロリドンの架橋重合物が挙げられる。1−ビニル−2−ピロリドン重合物としては、具体的には、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK50、ポリビニルピロリドンK60、ポリビニルピロリドンK85、ポリビニルピロリドンK90、ポリビニルピロリドンK120、クロスポビドン等が挙げられる。
【0034】
(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物は、(A)成分と共存することによって、製造工程において成分が容器に残存する等、回収性を損なわせることがあるとの新たな課題が見出された。このような課題を生じる(B)成分としては、重量平均分子量が4000〜1,500,000程度の1−ビニル−2−ピロリドン重合物が挙げられ、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK50、ポリビニルピロリドンK60、ポリビニルピロリドンK85及びポリビニルピロリドンK90からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。(B)成分により回収性の課題が生じる場合、意外なことに、(A)成分と後述する(C)成分と共に共存させることによって、回収性を向上させることが可能となる。
【0035】
(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物は、化学的に合成されたものであってもよく、市販品を用いることも可能である。(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物は、1種又は少なくとも2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
【0036】
本発明の経口組成物において、経口組成物の総量に対する(B)成分の総含有量は、他の成分の含有量、剤型等に応じて適宜設定される。経口組成物の総量に対する(B)成分の総含有量は、限定はされないが、例えば、0.00001w/v%以上であり、より好ましくは0.0001w/v%以上、さらに好ましくは0.0005w/v%以上、特に好ましくは0.001w/v%以上、もっとも好ましくは0.005w/v%以上である。経口組成物の総量に対する(B)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは5w/v%以下であり、より好ましくは1w/v%以下、さらに好ましくは0.5w/v%以下、特に好ましくは0.1w/v%以下、もっとも好ましくは0.05w/v%以下である。経口組成物の総量に対する(B)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%〜5w/v%、より好ましくは0.0001w/v%〜1w/v%、さらに好ましくは0.0005w/v%〜0.5w/v%、特に好ましくは0.001w/v%〜0.1w/v%、もっとも好ましくは0.005w/v%〜0.05w/v%である。
【0037】
本発明の経口組成物において、(B)成分の成人1日当たりの用量は、他の成分の含有量、剤型等に応じて適宜設定され、限定はされないが、例えば、0.00001〜1000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜5000mg、より好ましくは0.001〜2000mg、さらに好ましくは0.01〜1000mg、特に好ましくは0.1〜500mgである。
【0038】
また、本発明の経口組成物において、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、特に制限されるものではないが、一例として、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が、通常0.0000001〜100000重量部であり、0.000001〜10000重量部とすることが好ましく、0.0001〜10000重量部とすることが好ましく、0.0001〜1000重量部とすることがより好ましく、0.001〜1000重量部とすることが特に好ましい。
【0039】
[(C)成分]
(C)シクロデキストリンは、限定はされないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が挙げられ、いずれを用いることも可能である。(C)シクロデキストリンは、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種とすることができ、好ましくはα−シクロデキストリン及び/又はβ−シクロデキストリンである。より高次の環状構造を有するものであってもよい。また、シクロデキストリン上に存在する水酸基の一部又は全部が化学修飾された、シクロデキストリンの誘導体を用いることも可能である。化学修飾されたシクロデキストリン誘導体としては、例えば、メチル化シクロデキストリン、エチル化シクロデキストリン、アセチル化シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン、ポリマー化シクロデキストリン、アルキルスホン酸化シクロデキストリン、モノクロロトリアジノ化シクロデキストリン、スルフォブチル化シクロデキストリン等が挙げられる。
【0040】
化学修飾されたシクロデキストリン誘導体を用いる場合、限定はされないが、例えば、ジメチル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリ−β−シクロデキストリン、6−O−α−D−グルコシル−β−シクロデキストリン、6−O−α−マルトシル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、及びグルクロニルグルコシル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンであり、好ましくはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等が挙げられる。
【0041】
(C)シクロデキストリンは、化学的に合成されたものであってもよく、市販品を用いることも可能である。(C)シクロデキストリンは、1種又は少なくとも2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
【0042】
(C)シクロデキストリンは、(A)成分と共存することによって、製造工程において成分が容器に残存する等、回収性を損なわせることがあるとの新たな課題が見出された。(C)成分により回収性の課題が生じる場合、意外なことに、(A)成分と(B)成分と共に共存させることによって、回収性を向上させることが可能となる。
【0043】
本発明の経口組成物において、経口組成物の総量に対する(C)成分の総含有量は、他の成分の含有量、剤型等に応じて適宜設定される。経口組成物の総量に対する(C)成分の総含有量は、限定はされないが、例えば、0.00001w/v%以上であり、より好ましくは0.0001w/v%以上、さらに好ましくは0.0005w/v%以上、特に好ましくは0.001w/v%以上、もっとも好ましくは0.005w/v%以上である。経口組成物の総量に対する(C)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは90w/v%以下であり、より好ましくは80w/v%以下、さらに好ましくは70w/v%以下、特に好ましくは60w/v%以下、もっとも好ましくは50w/v%以下である。経口組成物の総量に対する(C)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%〜90w/v%、より好ましくは0.0001w/v%〜80w/v%、さらに好ましくは0.0005w/v%〜70w/v%、特に好ましくは0.001w/v%〜60w/v%、もっとも好ましくは0.005w/v%〜50w/v%である。
【0044】
本発明の経口組成物において、(C)成分の成人1日当たりの用量は、他の成分の含有量、剤型等に応じて適宜設定され、限定はされないが、例えば、0.00001〜10000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜5000mg、より好ましくは0.001〜5000mg、さらに好ましくは0.01〜5000mg、特に好ましくは0.1〜5000mgである。
【0045】
また、本発明の経口組成物において、(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率は、特に制限されるものではないが、一例として、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(C)成分の総含有量が、通常0.0000001〜10000重量部であり、0.000001〜10000重量部とすることが好ましく、0.0001〜10000重量部とすることが好ましく、0.0001〜1000重量部とすることがより好ましく、0.001〜1000重量部とすることが特に好ましい。
[(D)成分]
本発明において、経口組成物は、本発明の効果が十分に奏される限りにおいて、さらに(D)ステアリン酸塩及びテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種を含有してもよい。
【0046】
ステアリン酸塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。ステアリン酸塩は、具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。これらのステアリン酸塩のなかでも、本発明の経口組成物における回収性改善効果を妨げない観点から、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0047】
テルペノイドとしては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。テルペノイドは、具体的には、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、チモール、シメン、テルピネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール、フェンチェン、ネロール、ミルセン、ミルセノール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。ここで、テルペノイドにおける「誘導体」とは、例えば、エステル化誘導体、エーテル化誘導体、アミド化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体、ニトロソ化誘導体、ハロゲン化誘導体等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、エステル化誘導体及び/又はエーテル化誘導体であり、より好ましくはエステル化誘導体である。エステル化誘導体の例としては、吉草酸、酪酸、酢酸、プロピオン酸及び/又はフランカルボン酸等の有機酸でエステル化した誘導体を挙げることができる。また、これらの化合物はd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0048】
テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油、チョウジ油、イランイラン油、オレンジ油、カミツレ油、シソ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、ゼラニウム油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、パルマローザ油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が挙げられる。これらのテルペノイドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0049】
これらのテルペノイドの中でも、本願発明の効果を顕著に奏する観点から、環式モノテルペンが好ましく、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、シトロネラール、テルピネオール、リモネン及びゲラニオールからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。また、テルペノイドは、本願発明の効果を顕著に奏する観点から、単環式モノテルペンがより好ましく、メントール、メントン、テルピネオール及びリモネンからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。これらを含有する精油としては、クールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油、ローズ油等が例示される。別の観点から、より好ましくは、メントール、カンフル及びボルネオールが挙げられ、更に好ましくは、メントール及びカンフルが挙げられ、更により好ましくはl−メントール、dl−メントール、d−カンフル、及びdl−カンフルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、特に好ましくはl−メントール及び/又はd−カンフルが挙げられ、最も好ましくはlメントールが挙げられる。これらを含有する精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油等が例示される。
【0050】
ステアリン酸塩及びテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%〜50w/v%、より好ましくは、0.0001w/v%〜50w/v%、より好ましくは0.001w/v%〜40w/v%、さらに好ましくは、0.01w/v%〜25w/v%である。
【0051】
本発明の経口組成物において、(D)成分の成人1日当たりの用量は、他の成分の含有量、剤型等に応じて適宜設定され、限定はされないが、例えば、0.00001〜10000mgとすることができ、好ましくは0.0001〜5000mg、より好ましくは0.001〜5000mg、さらに好ましくは0.01〜5000mg、特に好ましくは0.1〜5000mg、最も好ましくは、0.1〜500mgである。
【0052】
本発明の経口組成物のpHは、実施態様により適宜変更され、限定はされないが、例えば、pH3.5〜7.5とすることができ、3.8〜7.2が好ましく、4.0〜7.0がより好ましく、4.5〜6.5がさらに好ましい。
【0053】
[用途]
(A)難溶性ポリフェノールは、抗酸化力を有することが知られており、抗動脈硬化、抗アレルギー、血流増強等の効果が期待されるため、飲食品、健康食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品、飼料等の重要な成分として認識されている。本明細書において、抗酸化とは、活性酸素等による生体の酸化を防止する作用をいう。一般的に難溶性ポリフェノールをドリンクのような液剤で用いる場合は主に分散液として用いられるが、分散性が悪いと、容器に沈殿するなどの現象が起こり、目的とする全量を摂取することができない。また、錠剤や散剤のような形で服用する場合も、分散性が悪いと均一な固形物を製造できない。また、溶解性が悪いと生体吸収性も悪くなり、難溶性ポリフェノールの本来の効果が発現できない可能性も考えられる。本発明では、(A)成分と(B)成分、又は(A)成分と(C)成分とが共存することで、製造工程において成分が容器に残存する等、回収性を損なわせる場合、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を経口組成物中に共存させることで回収性を向上させ、難溶性ポリフェノールの本来の抗酸化力が発揮されるようになることが期待される。また、本発明では、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を経口組成物中に共存することで溶解性が改善されるため、生体吸収性に優れた(高吸収性)経口組成物を提供することが可能となる。
【0054】
本発明の経口組成物は、組成物として調製された後、固形、液状、ゼリー状等の種々の飲食品、健康食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品、飼料等に加工され得る。他の成分との混合工程、組成物の乾燥工程、圧縮行程、濃縮工程、製粒工程、製錠工程、充填工程、滴下工程等の公知の製造工程において、本発明の経口組成物は、回収性や分散性の効果を奏し得る。本明細書において、回収性とは、製造工程において組成物が製造装置等に付着しにくい又は大気中に飛散しにくいことをいう。限定はされないが、例えば、製造の一工程に組成物を供する前後における、組成物の回収率により評価することが可能である。また、本明細書において、分散性とは、水性媒体中で
組成物中の各成分が安定に分散し得る性質をいう。
【0055】
[飲食料品]
本発明の経口組成物は、飲食料品の一つの成分として配合することが可能である。これらの飲食料品は、限定はされないが、抗動脈硬化、抗アレルギー、血流増強等の抗酸化効果を期待して用いられる飲食料品とすることも可能であり、例えば、病院等の医療機関で患者のために提供され得る。またはこれらの飲食料品は、限定はされないが、機能性飲料又は機能性食品として提供することも可能であり、これらの機能性飲食料品は、医療機関の他、ドラッグストア、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、通信販売等で提供され得る。機能性飲食料品とは、国や公共団体が許可・指定している医薬品的な効能を有する飲食品又は企業が国等に所定の効果を届け出た、又は承認された内容に基づき機能性を表示した飲食料品をいう。機能性食品には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、老人用食品、健康補助食品(バランス栄養食、サプリメント)等が挙げられる。医薬品的な効能又は機能性を表示したパッケージや容器、添付文書、取扱い説明書等を含む飲食品も含まれる。国等への申請書に医薬品的な効能又は機能性を表示した飲食品も含まれる。
【0056】
抗酸化効果を目的とした表示の場合、限定はされないが、例えば、抗酸化力を向上させることにより、日常的な疲れを感じる方、寝つきの悪さを感じる方、眠りの浅さを感じる方、寝覚めの悪さを感じる方、日常や運動で生じる身体的な疲労感を軽減したい方、日常的なストレスを感じている方、心理的負担のかかる作業による一過性のストレスを感じる方、記憶力の低下を感じる方、認知機能の低下を感じる方、記憶の精度を高めたい方、記憶力を維持したい方、肌色をより白くしたい方、皮膚のシミを軽減したい方、肝機能を改善したい方、空腹時や食後の血糖値を改善したい方、便秘を改善したい方、腸内フローラ等の腸内環境を改善したい方、免疫を向上したい方等に向けた表示等が挙げられる。
【0057】
抗動脈硬化を目的とした表示の場合、限定はされないが、例えば、LDL(悪玉)コレステロールが気になる方、LDL(悪玉)コレステロールを減らしたい方、コレステロールが高めの方に向けた表示等が挙げられる。
【0058】
抗アレルギーを目的とした表示の場合、限定はされないが、例えば、目の疲労感が気になる方、目の調子を整えたい方、肌が乾燥しがちな方、肌の調子を整えたい方に向けた表示等が挙げられる。
【0059】
食品としては、あらゆる食品が挙げられ、例えば、穀類、いも類、魚介類、肉類、卵類、油脂類、乳類、野菜類、豆類、果実類、砂糖類、海藻類、菓子類、調味料類、調理加工食品類等が挙げられる。
【0060】
調味加工食品としては、限定はされないが、例えば、ちくわ、かまぼこ等の水産加工品;ハムやソーセージ等の畜産加工品;クッキー、ビスケット、スナック、チョコレート、ケーキ等の菓子;そば、うどん、生麺、中華麺、パスタ等の麺類;食パン、菓子パン等のパン;納豆、味噌等の発酵加工食品;豆腐、おから等の大豆食品;浅漬け、糠漬け等の漬け物、水産品、加工肉、野菜、果物等の缶詰;バター、マーガリン、ヨーグルト、チーズ、牛乳等の乳製品;アイスクリーム、シャーベット等の冷菓食品等が挙げられる。
【0061】
飲料としては、あらゆる飲料が挙げられ、限定はされないが、例えば、果汁飲料、果汁100%飲料、低果汁飲料、果肉飲料、野菜ジュース、フレーバー入り飲料、希釈用果実飲料等の果実飲料;炭酸飲料;コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料、ココア飲料、紅茶、緑茶、抹茶、烏龍茶、麦茶、ほうじ茶等の嗜好飲料;食酢飲料;スポーツドリンク等の清涼飲料水;牛乳;乳飲料;乳性飲料;乳酸飲料;乳酸菌飲料;豆乳、調製豆乳等の大豆飲料;ビール、日本酒、焼酎、リキュール、ワイン等のアルコール飲料;タウリン、ローヤルゼリー、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、鉄分等を含む栄養飲料等が挙げられる。
【0062】
本発明を飲食料品に適用する時期に制限はないが、例えば、飲食料品の製造工程において、加工工程、調理工程、加熱工程、保存工程等の前後において適用され得る。例えば、加工工程や調理工程においては、原料に本発明の経口組成物を含ませることができる。適用方法は、飲食料品の種類、原料の形態等に応じて適宜変更することができ、混入、添加、塗布、噴霧、浸漬等の様々な方法を採用し得る。
【0063】
本発明を飲食料品に適用する場合は、本発明の効果を損なわない範囲で通常の食品及び飲料に使用されている助剤を適宜配合することが可能である。そのような助剤としては、例えば、ブドウ糖、ショ糖、果糖、オリゴ糖、水飴、マルトース、マルチトース、キシリトール、ソルビトール、アスパルテーム、スクラロース、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、コーンスターチ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dL−α−トコフェノール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸、ソルビタン脂肪酸エステル、エステルアラビアガム、カゼイン、ペクチン、ゼラチン、寒天、カラギーナン、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンE類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、カルシウム塩類、アミノ酸類、色素、香料、保存剤等が挙げられる。
【0064】
本発明を飲料品に適用する場合のpHは、飲料品の種類によって適宜調整されるが、例えば、pH2.0〜7.5とすることができ、2.5〜7.2が好ましく、3.0〜7.0がより好ましく、3.0〜6.5がさらに好ましい。飲料品のpHは、例えば、炭酸水素ナトリウム、クエン酸およびその塩類、グルコン酸およびその塩類、リン酸およびその塩類、アジピン酸およびその塩類等を適宜配合することにより調整することができる。
【0065】
[医薬品、医薬部外品]
本発明の経口組成物が、医薬品や医薬部外品とされる場合は、適宜の形態に製剤化し、ヒト又は動物に投与することができる。
【0066】
本発明の経口組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤、散剤、フィルム状、ドロップ状、ゼリー状、半固体のプリン状等の剤型に、公知の方法で製剤化される。フィルム状、ドロップ状、ゼリー状、半固体のプリン状の剤型等により、本発明の経口組成物は、水無しにより摂取されることが可能である。
【0067】
投与形態の一態様として、本発明の経口組成物の安定性及び生体利用性を高め、あるいは患者の服薬コンプライアンスを向上するため、又はこれらを組み合わせた目的のために、公知の薬物送達システムを利用して、吸収部位まで本発明の経口組成物を送達することが可能である。
【0068】
薬物送達システムとしては、限定されないが、例えばセルロース、デキストラン、澱粉、ポリビニルアルコール、アセチル化若しくはメタクリル化されたポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸及びそのブロック共重合体、ポリエチレングリコール等のポリマーを利用する方法、アルブミン等の輸送タンパク質を利用する方法、その他ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ粒子、複合エマルジョン、デンドリマー等を利用する方法が挙げられる。これらの薬物送達システムは、吸収部位等の目的の部位へ本発明の経口組成物を運搬する目的だけでなく、適時に本発明の経口組成物を放出する放出制御の目的にも用いられ得る。
【0069】
本発明の経口組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、固形の製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、甘味剤、pH調整剤等を、液状の製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、増粘剤、甘味剤、pH調整剤等を適宜配合することが可能である。
【0070】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、ぶどう糖、デンプン、コーンスターチ、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
【0071】
滑沢剤の好適な例としては、例えばタルク、精製タルク、コロイドシリカ、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0072】
結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、結合セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム等が挙げられる。
【0073】
崩壊剤としては、例えば、デンプン、乾燥デンプン、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。
【0074】
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。
【0075】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0076】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤や、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
【0077】
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
【0078】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液等が挙げられる。
【0079】
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0080】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0081】
本発明の経口組成物を投与する場合の(A)難溶性ポリフェノールの有効投与量は、限定はされないが、固形分換算で、ヒト及び動物であれば、一般に1日あたり0.00001〜5000mg/kg体重であり、好ましくは0.01〜200mg/kg体重であり、より好ましくは0.1〜100mg/kg体重である。投与回数は、通常は1日1〜6回、好ましくは、1日1〜2回程度であるが、投与経路等によって、適宜調整することができる。
【0082】
本発明の別の態様において、ポリメトキシフラボノイド類及び(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物を含有する経口組成物を提供することができる。(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物であるポリビニルピロリドンは、単独ではポリメトキシフラボノイド類と比較して回収率が不良な成分であるが、(A)難溶性ポリフェノールのうち、ポリメトキシフラボノイド類と共存させることにより、意外なことに、組成物の回収性が顕著に改善されることが見出された。ポリメトキシフラボノイド類の種類や含有量・用量、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物の種類や含有量・用量等は上記と同様である。ポリメトキシフラボノイド類及び(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物を含有する経口組成物は、回収性の効果に影響を与えない限り、さらに上記の(C)成分や(D)成分を含むことが可能である。
【実施例】
【0083】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0084】
[試験例1] 回収性の評価1
表1〜4に示す各組成物を秤量皿(バランストレイ非帯電、アズワン社製)に量りとり、薬匙で均一に混合した。表1に示す組成物は10mL容量の秤量皿を使用し、表2〜4に示す組成物は150mL容量の秤量皿を使用した。薬匙に付いた組成物を秤量皿に落とした後、秤量皿を傾けて組成物をすべらせ、底面に均一になるように広げた。次に、秤量皿から組成物を落下させるために、秤量皿の底面が下向くように逆さまにして置き、秤量皿の上面を人差し指で5回タッピングして組成物を除去した。その後、秤量皿の重量を測定した。[式1−1]により、秤量皿から回収した組成物の割合を算出した(回収率)。次に、[式1−2]により、対応する比較例に対する回収率の変化を算出し、結果を表1〜4に示した。対応する比較例とは、表1では比較例1−1、表2では比較例2−1、表3では比較例3−1、表4では比較例4−1である。対応する比較例と実施例は同じ環境条件で行うため、同日に試験した。
[式1−1]回収率(%)=(秤量した組成物を除去した後の秤量皿の重量−組成物を秤量する前の秤量皿の空重量)/秤量した組成物の総重量×100
[式1−2]回収率の変化(%)=(各組成物の回収率)−(対応する比較例の回収率)
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
表1〜3に示す通り、(A)難溶性ポリフェノールのクルクミン、ヘスペリジン、レスベラトロールに、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物であるポリビニルピロリドンを加えると、回収率は悪化するという新たな課題が見出された(比較例1−2、比較例2−2、比較例3−2)。一方、意外なことに、クルクミン、ヘスペリジン、レスベラトロールのいずれか1種と、ポリビニルピロリドンとシクロデキストリンとを共に含有させると、回収率は向上することを確認できた(実施例1−1、実施例2−1、実施例3−1〜3−3)。すなわち、本発明の経口組成物は、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を共存させることにより、製造時の回収率高く、効率よく製造できることが確認された。さらに(D)ステアリン酸塩であるステアリン酸マグネシウム又はテルペノイドであるl−メントールを加えると、回収率はより一層顕著に向上した(実施例1−2〜1−3、実施例2−2〜2−3、実施例3−4〜3−5)。
【0090】
表4に示す通り、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物であるポリビニルピロリドンは、単独ではポリメトキシフラボノイド類と比較して回収率が不良な成分であるが、(A)難溶性ポリフェノールのうち、ポリメトキシフラボノイド類(表4ではノビレチン)と共存させることにより、意外なことに組成物の回収率において顕著な改善が認められた(実施例4−1〜4−2)。
【0091】
[試験例2] 回収性の評価2
表5に示す各組成物を秤量皿に量りとり、薬匙(スプーン(ステンレス製)180mm、アズワン社製)で均一に混合した。混合操作において、薬匙と組成物の接触面積を一定にするため、薬匙の頂部から1cmまで組成物が触れるように行った。薬匙の柄を人差し指で5回タッピングして組成物を除去した後、薬匙の重量を測定した。[式2−1]により、薬匙から回収した組成物の割合を算出した(回収率)。次に、[式2−2]により、比較例5−1に対する回収率の変化を算出し、結果を表5に示した。
[式2−1]回収率(%)=(組成物を混合した後の薬匙の重量−組成物を混合する前の薬匙の重量)/秤量した組成物の総重量×100
[式2−2]回収率の変化(%)=(各組成物の回収率)−(対応する比較例の回収率)
【0092】
【表5】
【0093】
表5に示す通り、(A)難溶性ポリフェノールのレスベラトロールに、レスベラトロールと比較して回収率の悪い(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物であるポリビニルピロリドンを加えると、回収率は顕著に改善した(実施例5−1)。すなわち、本発明の経口組成物は、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を共存させることにより、製造時の回収率高く、効率よく製造できることが確認された。
【0094】
[試験例3] 分散性の評価1
表6に示す各組成物を攪拌子を用いて攪拌し(500rpm、15分間、室温)、試験液とした。各試験液をガラス製スクリューキャップ付き試験管に8mLずつ充填し、攪拌直後および8分間静置後の濁度を濁度計(HACH社製)を用いて測定した。具体的には、測定直前に、試験管を転倒混和し、1分間ボルテックスを行った。試験管の上下方向の中央付近にある試験液の濁度を測定した。濁度の測定は1つの試験液について3回行い、3回の平均値を試験液の濁度値とした。[式3−1]により、攪拌直後の濁度値に対する8分間静置後の濁度値を算出し、各試験液の分散率とした。次に、[式3−2]により、対応する比較例に対する分散改善率を算出し、結果を表6に示した。対応する比較例とは、実施例6−1〜6−2及び比較例6−2〜6−3については比較例6−1であり、実施例6−3〜6−4及び比較例6−5については比較例6−4である。
[式3−1]分散率(%)=(静置後の濁度値)/(攪拌直後の濁度値)×100
[式3−2]分散改善率(%)=(各試験液の分散率)−(対応する比較例の分散率)
【0095】
【表6】
【0096】
表6に示す通り、(A)難溶性ポリフェノールであるクルクミンに、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物であるポリビニルピロリドンを加えると、分散改善率は悪化した(比較例6−2、比較例6−5)。また、クルクミンに(C)シクロデキストリンを加えると、分散改善率は悪化した(比較例6−3)。一方、クルクミンとポリビニルピロリドンとシクロデキストリンとを共に含有させると、分散改善率は向上し、分散安定性が高まることを確認できた(実施例6−1〜実施例6−4)。すなわち、本発明の経口組成物は、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を共存させることにより、製造時の品質の均一性が高く、効率よく製造できることが確認された。
【0097】
[試験例4] 分散性の評価2
表7及び表8に示す各組成物を試験例3と同様の方法で調製し、試験液とした。試験例3と同様の方法で分散改善率を求めた。結果を表7及び表8に示した。[式3−2]の対応する比較例とは、実施例7−1〜7−2及び比較例7−2〜7−4については比較例7−1であり、実施例7−3及び比較例7−6については比較例7−5であり、実施例7−4及び比較例7−8については比較例7−7であり、実施例7−5及び比較例7−10については比較例7−9である。
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】
表7及び8に示す通り、(A)難溶性ポリフェノールであるヘスペリジン、レスベラトロール、又はノビレチンに、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物であるポリビニルピロリドンを加えると、分散改善率は悪化した(比較例7−2、比較例7−4、比較例7−6、比較例7−8、比較例7−10)。また、(A)難溶性ポリフェノールであるヘスペリジンに(C)シクロデキストリンを加えると、分散改善率は悪化した(比較例7−3)。一方、ヘスペリジン、レスベラトロール、ノビレチンのいずれか1種と、ポリビニルピロリドンとシクロデキストリンとを共に含有させると、分散改善率は向上し、分散安定性が高まることを確認できた(実施例7−1〜実施例7−5)。
【0101】
[試験例5] 溶解性の評価1
表9に示す各組成物を振盪攪拌(100stroles/min)により調製し、試験液とした。次に、各試験液25mLを遠沈管に密封し、37℃の恒温器に24時間静置した。その後、各試験液を5分間遠心沈降処理し(15000rpm)、上清液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、ろ過後の液中のクルクミン溶解量を高速液体クロマトグラフィーで測定した。下記[式4]により、比較例8−1のクルクミン溶解量に対する各試験液のクルクミン溶解量の溶解性改善率を算出し、結果を表9に示した。
[式4]溶解率(%)=(試験液のクルクミン溶解量−比較例8−1のクルクミン溶解量)/比較例8−1のクルクミン溶解量×100
【0102】
【表9】
【0103】
表9に示す通り、(A)難溶性ポリフェノールであるクルクミンと、(B)1−ビニル−2−ピロリドン重合物であるポリビニルピロリドンとを含有する試験液は、クルクミンと(C)シクロデキストリンを含有する試験液より、クルクミン溶解性改善率が低く、溶解性が悪かった(比較例8−2〜比較例8−4)。クルクミンとポリビニルピロリドンとシクロデキストリンとを共に含有させると、溶解性改善率が著しく向上した。すなわち、本発明の組成物では、(A)成分の溶解性が向上して品質の均一性が高く、(A)成分の作用が効果的に発揮されることが期待される。
【0104】
[試験例6] 溶解性の評価2
クルクミン0.2gをエタノール200mLに溶解した液と、ポリビニルピロリドンK30 2g及びα−シクロデキストリン2gを水200mLに溶解した液とを混合攪拌した後、ロータリーエバポレーターを用いてエタノールを除去した。得られた液についてスプレードライ処理を行った。具体的には、スプレードライ装置を使用して、給気温度120〜160℃、排気温度50〜70℃で、スプレードライ処理をした。回収した乾燥固形物に水を添加し、澄明な試験液を調製した。次に、試験液25mLを遠沈管に密封し、37℃の恒温器に24時間静置した。その後、試験液を5分間遠心沈降処理し(15000rpm)、上清液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、ろ過後のクルクミン溶解量を高速液体クロマトグラフィーで測定した。調製直後(0時間)及び24時間静置処理後(24時間)の結果を図1に示した。
【0105】
図1に示す通り、試験液のクルクミン濃度は、37℃24時間静置処理を行った後と、調製直後とに変化は無かった。すなわち、本発明の組成物にスプレードライ処理を行うことにより、長期保管においても高い溶解性を保持でき、クルクミンの作用を長期間にわたり効果的に発揮できる。
【0106】
[試験例7] 溶出性の評価
表10に示す通り、クルクミン、ポリビニルピロリドン及びシクロデキストリンを含有する試験液を調製した。調製方法は、実施例9−1は試験例5と同様に攪拌し、実施例9−3は試験例6と同様にエバポレーションの後にスプレードライ処理を行った。実施例9−2は、実施例9−3からエバポレーションのみ行わない調製方法で調製した。次に、第16改正日本薬局方の溶出試験のパドル法に準じて、クルクミンの溶出性を評価した。具体的には、日本薬局方溶出試験機を用いてパドル回転数50rpmで水900mLを攪拌し、クルクミン5mgを含有するように各実施例を投入した。投入してから経時的にサンプリングし、クルクミンの溶出量を高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した。クルクミン溶出量が0.5μg/mLになるまでにかかった時間を図2に示す。
【0107】
【表10】
【0108】
図2に示す通り、攪拌した実施例9−1よりもスプレードライ処理した実施例9−2では、クルクミンが早く溶出した。エバポレーション及びスプレードライ処理をした実施例9−3では、クルクミンがより早く溶出し、溶出性が顕著に高まった。本発明の組成物に、エバポレーションやスプレードライ処理を行うことで、該組成物が生体内で早く溶出し、早く吸収されるため、吸収性が高くなることが確認できた。
【0109】
[製造例1〜9]
公知の技術を用いて、表11〜12に記載される製造例について経口組成物を調製した。製造例1〜2は錠剤、製造例3〜4は顆粒剤、製造例5はソフトカプセル剤、製造例6〜7はゼリー剤、製造例8〜9は液剤である。
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
図1
図2