(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986413
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0073 20190101AFI20211213BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20211213BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
F24F1/0073
F24F1/0007 401Z
F24F13/28
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-203257(P2017-203257)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2019-78416(P2019-78416A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104836
【氏名又は名称】クボタ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貞国 史彦
(72)【発明者】
【氏名】小堀 義則
【審査官】
奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−132547(JP,A)
【文献】
特開2017−012997(JP,A)
【文献】
実開平02−052013(JP,U)
【文献】
特開平8−219540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007、1/0073
F24F 13/20、13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気通風路を形成するケーシングと、給気通風路の途中に配置するフィルターと、フィルターを保持するフィルター保持部を備え、
フィルター保持部は、ケーシングに固定した固定枠と、固定枠に上下方向の支軸で支承される可動枠を有し、
固定枠は、断面U字状の溝構造をなす上固定枠と下固定枠を有し、上固定枠と下固定枠がフィルターの周縁に対向する閉鎖板を有し、
可動枠は、フィルターの着脱時にフィルターの上辺および下辺を案内する上レールと下レールを設けたフィルターレールを有し、フィルターレール上に配置したフィルターを固定枠の閉鎖板に向けて押圧する閉位置と、フィルターレールのフィルター挿入口側が固定枠から離間する方向に転向する開位置とに亘って、支軸の軸心廻りに回動自在に配置され、
支軸は、フィルターレールのフィルター挿入口側に配置するレール固定用支軸と、フィルターレールの奥側に配置するレール可動用支軸からなり、レール固定用支軸とレール可動用支軸は、上レールと上固定枠を貫通する上ピン穴および下レールと下固定枠を貫通する下ピン穴のそれぞれを上下方向に貫通して着脱自在に配置されることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
フィルターは、固定枠の閉鎖板に対向する周縁にパッキンを有し、可動枠は、閉位置においてフィルターを介してパッキンを閉鎖板に押圧することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
ケーシングは、フィルターレールのフィルター挿入口側に対向するメンテナンス用扉を有し、フィルター保持部は、フィルター挿入口に配置されてフィルターとメンテナンス用扉の間の気密を確保するカバー部材を、メンテナンス用扉と可動枠の間に有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に係り、フィルターの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機には、例えば特許文献1に記載するものがある。この空気調和機は、ケーシングの内部に隔壁をなす複数の中仕切パネルを、還気室と外気室を隔てる位置と、外気室と給気室を隔てる位置に配置している。
【0003】
そして、外気室と給気室を隔てる中仕切パネルには、外気室の側にプレフィルターおよび中性能フィルターからなるフィルターユニットを装着している。
【0004】
また、特許文献2に記載する空気調和機は、メンテナンスパネルが一端を本体の下部に回動自在に取り付けられており、他端がプッシュラッチによって本体に係止されている。メンテナンスパネルが回動すると、直動式ダンパがメンテナンスパネルの回動に制動を掛ける。このメンテナンスパネルにフィルターが着脱可能に搭載されている。
【特許文献1】特許第4822904号
【特許文献2】特開2006−23029
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、
図18に示すように、ケーシングにフィルターレール900を固定配置し、フィルターレール900にフィルター901、902を挿入している。フィルターレール900は、フィルター901、902の上辺および下辺を案内し、フィルター901、902を横方向に出し入れする。フィルター901、902は周縁に付属パッキン904を有している。
【0006】
フィルターレール900は、フィルター901、902の出し入れの容易性を確保するために、レール摺動面905とフィルター902の摺動面906との間に間隙907を必要としている。
【0007】
フィルター902は、流入する空気の風圧によりレール摺動面905に押し付けられるが、風圧が弱い場合は、フィルターレール900と付属パッキン904とを十分に密接させることができず、結果として、ケーシング内を流れる空気の一部がフィルター901、902を通過することなく、フィルターレール900とフィルター901、902との間の間隙907を通って上流側から下流側へ流れる事象が発生する。
【0008】
この気流の漏れを防ぐために間隙907を無くすと、フィルター901、902の出し入れの容易性が損なわれる。
【0009】
本発明は上記した課題を解決するものであり、フィルターレールに対するフィルターの出し入れの容易性と、フィルターレールとフィルターを密着させることができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、給気通風路を形成するケーシングと、給気通風路の途中に配置するフィルターと、フィルターを保持するフィルター保持部を備え、フィルター保持部は、ケーシングに固定した固定枠と、固定枠に上下方向の支軸で支承される可動枠を有し、固定枠は、
断面U字状の溝構造をなす上固定枠と下固定枠を有し、上固定枠と下固定枠がフィルターの周縁に対向する閉鎖板を有し、可動枠は、フィルターの着脱時にフィルターの上辺および下辺を案内する
上レールと下レールを設けたフィルターレールを有し、フィルターレール上に配置したフィルターを固定枠の閉鎖板に向けて押圧する閉位置と、フィルターレールのフィルター挿入口側が固定枠から離間する方向に転向する開位置とに亘って、支軸の軸心廻りに回動自在に配置され、支軸は、フィルターレールのフィルター挿入口側に配置するレール固定用支軸と、フィルターレールの奥側に配置するレール可動用支軸からなり、レール固定用支軸とレール可動用支軸は、
上レールと上固定枠を貫通する上ピン穴および下レールと下固定枠を貫通する下ピン穴のそれぞれを上下方向に貫通して着脱自在に配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る空気調和機において、フィルターは、固定枠の閉鎖板に対向する周縁にパッキンを有し、可動枠は、閉位置においてフィルターを介してパッキンを閉鎖板に押圧することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る空気調和機において、ケーシングは、フィルターレールのフィルター挿入口側に対向するメンテナンス用扉を有し、フィルター保持部は、フィルター挿入口に配置されてフィルターとメンテナンス用扉の間の気密を確保するカバー部材を、メンテナンス用扉と可動枠の間に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、フィルターレールを支軸の軸心廻りに回動自在に配置することで、開位置ではフィルター挿入口の幅が広がり、フィルターレールに対するフィルターの出し入れの容易性を確保できる。また、閉位置では、フィルターレール上に配置したフィルターを固定枠の閉鎖板に向けて押圧することで、フィルターのパッキンの密着性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の閉状態を示す斜視図
【
図2】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の開状態を示す斜視図
【
図3】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部にフィルターを装着した状態を示す斜視図
【
図4】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部に対してフィルターを出し入れする状態を示す斜視図
【
図5】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の閉状態を示す側面図
【
図7】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の開状態を示す側面図
【
図9】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の閉状態を示す平面図
【
図10】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の開状態を示す平面図
【
図11】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の閉状態を示す拡大図
【
図12】同実施の形態における空気調和機のフィルター保持部の開状態を示す拡大図
【
図13】同実施の形態における空気調和機を示す正面図
【
図17】従来の空気調和機のフィルター保持部の閉状態を示す拡大図
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(全体構造)
図13から
図16に示すように、空気調和機のケーシング1は、側壁をなす複数の外壁パネル2と、天井部をなす複数の天板パネル3と、ケーシング1の内部の空間を複数の室に仕切る隔壁をなす内部パネル4をフレーム6に固定したものである。ケーシング1の各室の正面開口部にはそれぞれ扉パネル7を配置し、扉パネル7をフレーム6に開閉可能に取り付けている。
【0017】
ケーシング1の内部は、外気OA、還気RAが流入する還気室8と、温度、湿度を調整した空気調和後の給気SAが流入する給気室9と、給気SAを空気調和対象系に送気するファン室10に分かれている。
【0018】
ケーシング1は、還気室8に対応する天板パネル3に還気口11を有し、ファン室10に対応する天板パネル3に給気口12を有し、還気口11および給気口12が空気調和対象系に連通している。ケーシング1の内部には還気口11から給気口12に至る給気通風路13が形成されている。
【0019】
還気室8と給気室9とを隔てる内部パネル4の下方には、還気室8の側にプレフィルター14および中性能フィルター15からなるフィルターユニット16を装着している。さらに、給気室9の側に冷温水コイルからなる熱交換器19および加湿器(気化式)20を装着している。還気室8はフィルターユニット16および熱交換器19、加湿器20を通して給気室9に連通している。ファン室10には、プラグファンからなる給気ファン装置21を設置している。
(フレーム構造)
ケーシング1は、給気室9に対応する架台100の上にドレンパン101を配置し、還気室8に対応する架台102の上にフラット架台底板103を配置している。
【0020】
フレーム6はドレンパン101およびフラット架台底板103の上に配置される。フレーム6は、ケーシング1の構造材をなす中空状の主部材610を各架台100、102の四隅に柱状に立てた状態に配置するとともに、立てた主部材610の間に横木状に主部材610を寝かせて配置し、さらに平行な一対の主部材610の間に補助材をなす中間部材620を配置し、主部材610と主部材610を連結し、主部材610に中間部材620を固定し、あるいは中間部材620と中間部材620を連結している。この連結構造および固定構造は後述する。
【0021】
そして、還気室8のフレーム6と給気室9のフレーム6を接続するために、接続ブラケット610aを双方のフレーム6に取り付けるとともに、接続ブラケット610aどうしを固定している。また、給気室9にコイルサポート191を配置し、還気室8と給気室9を隔てる内部パネル4および給気室9とファン室10を隔てる内部パネル4を配置している。
【0022】
さらに、還気室8にフィルター保持部700を備えている。
図1から
図12に示すように、フィルター保持部700は、プレフィルター14および中性能フィルター15を保持するものであり、ケーシング1に固定した固定枠701と、固定枠701に着脱自在に装着される可動枠702を有している。
【0023】
可動枠702は、プレフィルター14および中性能フィルター15の着脱時に各フィルターを案内するフィルターレール703を有している。フィルターレール703は、各フィルター14、15の上辺を案内する上レール704と、各フィルター14、15の下辺を案内する下レール705と、上レール704と下レール705を連結する左右一対の連結材706からなり、ケーシング1の扉パネル7に対向する側に、すなわちメンテナンス側にフィルター挿入口703aを有している。
【0024】
上レール704は上可動枠707を有し、下レール705は下可動枠708を有しており、上可動枠707および下可動枠708は断面U字状の溝構造をなし、上可動枠707はプレフィルター14の表裏方向においてプレフィルター14の上縁に当接可能な上可動閉鎖板709を有し、下可動枠708はプレフィルター14の表裏方向においてプレフィルター14の下縁に当接可能な下可動閉鎖板710を有している。
【0025】
固定枠701は、上固定枠711と、下固定枠712と、上固定枠711と下固定枠712を連結する左右一対の固定連結材713からなる。
【0026】
上固定枠711および下固定枠712は断面U字状の溝構造をなし、上固定枠711は中性能フィルター15の表裏方向において中性能フィルター15の上縁に対向する上固定閉鎖板714を有し、下固定枠712は中性能フィルター15の表裏方向において中性能フィルター15の下縁に対向する下固定閉鎖板715を有している。固定連結材713が中性能フィルター15の両側縁に対向する縦方向閉鎖板を兼ねている。
【0027】
上可動閉鎖板709と下可動閉鎖板710と上固定閉鎖板714と下固定閉鎖板715と固定連結材713の縦方向閉鎖板で閉鎖板を構成する。
【0028】
中性能フィルター15は周縁にパッキン716を有し、パッキン716が上固定閉鎖板714と下固定閉鎖板715および固定連結材713に当接する。
【0029】
上レール704、下レール705は、それぞれの一部を上固定枠711または下固定枠712に重ねて配置される。プレフィルター14および中性能フィルター15の幅方向において、フィルターレール703のフィルター挿入口側とフィルターレール703の奥側の位置には、上レール704と上固定枠711を貫通する上ピン穴717、718および、下レール705と下固定枠712を貫通する下ピン穴719、720が設けられている。
【0030】
フィルターレール703のフィルター挿入口側にある上ピン穴717および下ピン穴719にはそれぞれレール固定用支軸をなすレール固定ピン721が着脱自在に挿入されており、フィルターレール703の奥側にある上ピン穴718および下ピン穴720にはそれぞれレール可動用支軸をなすレール支軸ピン722が着脱自在に挿入されている。レール固定ピン721およびレール支軸ピン722とからなる支軸で固定枠701に可動枠702を支承する。レール固定ピン721およびレール支軸ピン722は、同形状であり、樹脂材からなる。
【0031】
上下のレール固定ピン721を抜いた状態で、可動枠702は、固定枠701に対してレール支軸ピン722の軸心廻りに回動自在であり、上可動閉鎖板709と下可動閉鎖板710でフィルターレール703上に配置した各フィルター14、15を固定枠701の上固定閉鎖板714および下固定閉鎖板715に向けて押圧する閉位置と、フィルターレール703のフィルター挿入口側が固定枠701から離間する方向に転向する開位置とに亘って回動する。
【0032】
フィルターレール703のフィルター挿入口703aには、各フィルター14、15の側部とメンテナンス用の扉パネル7の間の気密を確保するカバー部材723を配置している。
(空気調和機の運転)
還気室8へ流入する還気RAは外気OAを伴ってフィルターユニット16および熱交換器19を通して給気室9へ流入する。この際に、フィルターユニット16がプレフィルター14および中性能フィルター15によって還気RAおよび外気OAに含まれた塵埃等を除去し、熱交換器19が還気RAおよび外気OAを所定の湿度および温度の空気に調整し、加湿器20で加湿する。
【0033】
給気室9へ流入する空気は、給気ファン装置21によって給気口12から給気SAとして空気調和対象系へ送り出される。
(メンテナンス)
フィルターユニット16のメンテナンス時には、扉パネル7を開放し、フィルター保持部700から各フィルター14、15を出し入れする。
【0034】
図2、
図4、
図7、
図8、
図10に示すように、上下のレール固定ピン721を抜いた状態で、可動枠702をレール支軸ピン722の軸心廻りに回動させ、フィルターレール703のフィルター挿入口側が固定枠701から離間する方向に転向させて開位置まで回動させる。このように、フィルターレール703をレール支軸ピン722の軸心廻りに回動させることで、開位置ではフィルター挿入口703aの幅が広がり、フィルターレール703に対する各フィルター14、15の出し入れの容易性を確保できる。
【0035】
すなわち、プレフィルター14は上可動閉鎖板709および下可動閉鎖板710による拘束を受けることなく、スムーズに出し入れを行うことができ、中性能フィルター15は上固定閉鎖板714および下固定閉鎖板715に拘束を受けることなく、スムーズに出し入れを行うことができる。
【0036】
図1、
図3、
図5、
図6、
図9に示すように、各フィルター14、15をフィルターレール703に収納した後に、可動枠702をレール支軸ピン722の軸心廻りに回動させ、可動閉鎖板709と下可動閉鎖板710でフィルターレール703上に配置した各フィルター14、15を固定枠701の上固定閉鎖板714および下固定閉鎖板715に向けて押圧する閉位置まで回動させ、パッキン716を上固定閉鎖板714と下固定閉鎖板715および縦方向閉鎖板をなす固定連結材713に圧接し、パッキン716の密着性を確保することができる。
【0037】
さらに、カバー部材723をフィルター挿入口703aに挿入し、扉パネル7を閉じる。このカバー部材723により各フィルター14、15とメンテナンス用の扉パネル7との間の気密を確保することができる。
【0038】
よって、フィルター保持部700において、ケーシング1の中を流れる空気の一部が各フィルター14、15を通過することなく、各フィルター14、15の上流側から下流側に流れる事象が発生せず、虫等の異物の通過を防止できる。
【符号の説明】
【0039】
OA 外気
RA 還気
SA 給気
1 ケーシング
2 外壁パネル
3 天板パネル
4 内部パネル
6 フレーム
7 扉パネル
8 還気室
9 給気室
10 ファン室
700 フィルター保持部
701 固定枠
702 可動枠
703 フィルターレール
703a フィルター挿入口
704 上レール
705 下レール
706 連結材
707 上可動枠
708 下可動枠
709 上可動閉鎖板
710 下可動閉鎖板
711 上固定枠
712 下固定枠
713 固定連結材
714 上固定閉鎖板
715 下固定閉鎖板
716 パッキン
717、718 上ピン穴
719、720 下ピン穴
721 レール固定ピン
722 レール支軸ピン
723 カバー部材