(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シート綴じ装置により綴じる前の、前記複数のシートをその縦方向及び横方向に整合させて束状にするシート整合機構を更に備える、請求項1乃至3のいずれかに記載のシート処理装置。
複数の圧着歯を並列に配置した1対の圧着歯部材を有するシート綴じ装置を用いて、束状にした複数のシートを前記圧着歯部材の間で挟圧してシート束の圧着綴じを行うシート処理方法であって、
複数のシートの所定位置にその表裏を貫通する切断部を形成する過程と、
前記束状にした複数のシートの少なくとも1つの辺縁と前記切断部により形成される切断面とに前記圧着歯の稜線方向を、シートの面方向から見て、それぞれ斜めに交差させるように、前記圧着歯部材を配置して、前記シート綴じ装置による前記圧着綴じを行う過程とを含むシート処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。本実施形態のシート処理装置は、
図1に例示する画像形成システムにおいて画像形成された複数のシートを部揃えして集積し、圧着綴じにより1つのシート束に綴じ処理する。尚、添付図面において、本明細書全体を通して類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
【0021】
本明細書中において「シート束のオフセット搬送」とは、排紙口から処理トレイ上に搬入されたシートを集積したシート束を、シート搬送方向と直交(又は交差)する方向に移動(幅寄せ移動)させること、「オフセット量」とはその移動量を言う。また、「シート束の整合」とは、排紙口から処理トレイ上に搬入される複数のシートを、所定の基準(例えば、処理トレイの、シート搬送方向と直交する向き即ち幅方向の中心位置であるセンター基準、または幅方向の片側に設定される片側基準)に従って位置合わせすることを言う。例えば、「シートを整合した後、オフセットする」とは、複数のシートを前記基準により位置合わせした後、その状態のままシート全体をシート搬送方向と直交する方向に移動させることを意味する。
【0022】
図1の画像形成システムは、画像読取ユニットAと、画像形成ユニットBと、後処理ユニットCと、原稿自動給送ユニットDとで構成されている。尚、本明細書中において、
図1の画像形成システムの手前側を装置正面側、奥側を装置後部側と称することとする。
【0023】
画像読取ユニットAは、原稿画像を読み取るために、透明ガラスで形成されたプラテン1と、該プラテンに沿って往復動する読取キャリッジ2とを有する。原稿自動給送ユニットDが給紙トレイ上の原稿シートを1枚ずつプラテン1に給送し、これを読取キャリッジ2が、原稿幅方向(主走査方向)に配列されたラインセンサー(光電変換素子)を主走査方向と直交する副走査方向に往復移動させることによって、線順位で読み取るようになっている。
【0024】
画像形成ユニットBは、画像読取ユニットAが読み取った原稿の画像データに基づいてシート上に画像を形成するために、装置ハウジング3に内蔵された給紙部4と、画像形成部5と、排紙部6とを有する。給紙部4は、カセット7から給紙ローラー8により繰り出されたシートを、給紙経路9を介して画像形成部5に、レジストローラー対10によりシートの先端を揃えかつ画像形成部5の画像形成タイミングに応じて給紙する。画像形成部5は、例えば静電式画像形成機構からなり、感光体(ホトコンダクター)で構成されるドラム11に発光器12で潜画像(静電画像)を形成し、現像器13でトナーインクを付着させ、これを転写チャージャー15でシートに転写し、定着器(加熱ローラー)16で定着させた後、排紙部6に送る。排紙部6は、画像形成されたシートを排紙経路17により案内し、排紙口18から後処理ユニットCに搬出する。
【0025】
後処理ユニットCは、本実施形態のシート処理装置20を備え、画像形成ユニットBから搬出された複数のシートを部揃えしてシート束に集積し、圧着綴じ処理を施して下流側のスタックトレイに収納する機能を有する。尚、本実施形態の後処理ユニットCは、画像読取ユニットA及び画像形成ユニットBから独立したスタンドアロン構造に構成され、これら各ユニット間はネットワークケーブルで接続してシステム化されている。別の実施形態では、画像形成ユニットAの装置ハウジング3に形成された排紙空間にシート処理装置20をユニットとして内蔵したインナーフィニッシャー構造に後処理ユニットCを構成することもできる。
【0026】
後処理ユニットCは、
図2に示すように、装置ハウジング21と、該装置ハウジング内に設けられた排紙経路22と、該排紙経路の排紙口23の下流側に配置された処理トレイ24と、更にその下流側に配置されたスタックトレイ25とを備える。上述した後処理ユニットCの機能を実行するために、処理トレイ24には、排紙口23から排出されたシートを処理トレイ24の奥側へ搬入するためのシート搬入機構26と、処理トレイ24上で搬入された複数のシートを束状に集積し、位置合わせするためのシート整合機構27と、位置合わせしたシート束を圧着綴じ処理するための綴じ処理機構28と、綴じ処理したシート束をスタックトレイ25に搬出するシート束搬出機構29とが設けられている。
【0027】
排紙経路22は、画像形成ユニットBから受け取ったシートを搬入口30から排紙口23まで略水平方向に搬送するために、搬入ローラー対31、排紙ローラー対32等の搬送ローラー対を所定間隔で配置したフィーダー機構とを備える。また、排紙経路22には、搬送されるシートの先端及び/又は後端を検出するためのシートセンサーSe1,Se2が配置されている。
【0028】
処理トレイ24は、
図2に示すように、排紙経路22の排紙口23の下流側に該排紙口から段差dをもって下方に配置されている。処理トレイ24は、排紙口23から排出された複数のシートを上下に積み重ねて束状に即ちシート束に集積するために、該シートの少なくとも一部を支持するための紙載面24aを備える。本実施形態では、シートを搬出方向に沿ってその前側部分をスタックトレイ25で支持し、かつそれと反対側の後側部分を処理トレイ24で支持する構造(所謂ブリッジ支持構造)を採用し、それによってトレイ寸法を全体として搬出(搬入)方向に小型化している。
【0029】
シート搬入機構26は、
図3(a)に示すように、排紙口23から段差dを介して排出されるシートを円滑に、処理トレイ24の奥に向けて正しい姿勢で即ちその左右側縁を搬入方向に対して真直ぐに搬送するために、搬送ローラー装置46を備える。搬送ローラー装置46は、処理トレイ24を挟んで上側の搬送ローラー48と下側の従動ローラー49とからなるローラー対を有する。搬送ローラー48は、処理トレイ24の上方に揺動可能に支持された昇降ブラケット50の先端に回動可能に支持され、従動ローラー49は、前記処理トレイの直ぐ下側の固定された位置に回動自在に設けられている。
【0030】
図3(b)に示すように、排紙口23から排出されたシートShの後端が処理トレイ24上に到達すると、昇降ブラケット50が下向きに回転して上側の搬送ローラー48を処理トレイ上のシート上面に当接させる。次に、搬送ローラー48を駆動モーター(図示せず)により例えばベルト駆動して、図中反時計方向に回転させる。これによって、シートShは、処理トレイ24上を搬入方向即ちスタックトレイ25側とは逆方向に、該シートの先端(図中右端)が規制部材35に突き当たるまで搬送される。規制部材35は、
図3(a)、(b)に示すように、断面コ字形のチャネル状部材からなり、その内側に、処理トレイ24上を搬送されるシートの搬入方向先端を当接させて停止させるための規制面35aを有する。
【0031】
シート搬入機構26は更に、処理トレイ24上を規制部材35まで搬送される際に生じ得るシートのカールやスキューに対応するために、シート先端を規制部材35側に案内するための掻き込み回転体36を備える。掻き込み回転体36は、処理トレイ24の上方かつ規制部材35の手前に、シートの搬入方向に向けて回転可能に配置されたリング形状又は短円筒状のベルト部材で構成される。前記ベルト部材は、処理トレイ24上に積載されている最上位置のシートの上を搬送されてくる新たなシートの上面に係合し、該シートの先端を押圧しながら図中反時計方向に回転して、規制部材35の規制面35aに当接するまで送り込む。
【0032】
シート整合機構27は、シート端規制部37とサイド整合機構38とから構成される。シート端規制部37は、上述した規制部材35を有し、排紙口23から処理トレイ24上に搬入されたシートの位置を搬入(又は搬出)方向に、該シートの搬入方向先端(又は搬出方向後端)で規制する。サイド整合機構38は、処理トレイ24上のシート及びシート束を搬入(又は搬出)方向に直交する方向即ち幅方向に移動させ、その側端縁で幅方向の位置を規制かつ/又は整合させる。
【0033】
サイド整合機構38は、
図4に示すように、処理トレイ24のセンター基準Sxを挟んで左右に配置された一対のサイド整合部材39,40を有する。サイド整合部材39,40は、互いに内面を対向させて、処理トレイ24の紙載面24aから垂直上方に延出する平板状の部材で構成されている。各サイド整合部材39,40の前記内面は、それぞれ処理トレイ24上のシートShの幅方向の近接する側端縁と係合して、該シートの幅方向位置を規制する規制面39a,40aとして機能する。
【0034】
各サイド整合部材39,40は、それぞれ処理トレイ24の背面側に配置された可動支持部41,42と、該処理トレイに貫設された幅方向の直線状スリット(図示せず)を介して一体に結合されている。前記各支持部に形成されたラック41a,42aに噛合するピニオン43,44を駆動モーターM1、M2で個別に回動することによって、サイド整合部材39,40は、それぞれ独立して互いに接近又は離反する向きに移動させ、所望の幅方向位置に停止させることができる。これにより、処理トレイ24に搬入されるシートのサイズに応じて各サイド整合部材39,40の位置を個別に設定し、シート束を幅方向に移動(オフセット搬送)させる際に、その位置、移動量及びオフセット量を決定することができる。
【0035】
シート束搬出機構29は、
図5に示すように、コンベア装置45と上述した搬送ローラー装置46とから構成される。コンベア装置45は、駆動モーターM3より駆動される駆動プーリー47aと従動プーリー47bとの間に掛け回され、シートの搬出方向に沿って両方向に周回移動するコンベアベルト47を有する。コンベアベルト47には、処理トレイ24の紙載面24aに沿って移動してシート束Sbを搬出方向に押し出す押出部材としての機能をも有する、規制部材35が固定されている。規制部材35は、
図5(a)に示す処理トレイ24の搬出方向後端付近の初期位置と、
図5(b)に実線でかつ
図5(c)に想像線で示す駆動プーリー47aと従動プーリー47bとの略中間である最大押出位置との間で、両方向に移動可能に設けられている。
【0036】
搬送ローラー装置46は、搬送ローラー48と従動ローラー49とが、処理トレイ24の搬出方向前端付近でシート束Sbを搬送可能に上下から挟み込むように配置されている。
図4に示すように、搬送ローラー装置46は、センター基準Sxを挟んで左右各1組の前記ローラー対が左右対称に配置されている。
【0037】
綴じ処理したシート束Sbを処理トレイ24からスタックトレイ25に搬出する場合、
図5(a)に示すように、該シート束の搬出方向後端に、規制部材35の規制面35aを当接させる。コンベア装置45を駆動して規制部材35を搬出方向に前記最大押出位置まで移動させることにより、シート束Sbは、処理トレイ24上を搬出方向に
図5(b)に示す位置まで押し出される。これと同時に、搬送ローラー装置46の昇降ブラケット50を図中反時計方向に回転させて、左右双方の搬送ローラー48a,48bをシート束Sbの上面に圧接させる。
【0038】
次に、搬送ローラー48を例えば駆動モーター(図示せず)により図中時計方向に回転させてシート束Sbを搬出方向に搬送し、
図5(c)に示すように、処理トレイ24上からスタックトレイ25に搬出する。コンベア装置45の規制部材35は、シート束Sbの後端を規制面35aに当接させてその全体を該規制部材の内側に保持するので、比較的高速で駆動することができる。これに対し、搬送ローラー48は、シート束Sbの最上面としか直接接触しないから、比較的低速で回転させて、シート束をスタックトレイ25に向けて徐々に送り出すことが好ましい。他方、規制部材35は、コンベアベルト48を逆方向に移動させることによって、前記初期位置に復帰する。
【0039】
綴じ処理機構28は、シート束を圧着綴じ処理する圧着綴じ装置51と、シート束にその表裏を貫通する切断部を形成する切断装置としての機能を有する穿孔装置70とを備える。本実施形態の圧着綴じ装置51は、凹凸面を有する圧着歯の間でシート束を圧着変形させて結束するプレスバインド機構により構成される。
【0040】
圧着綴じ装置51は、
図6(a)に示すように、ベースフレーム部材52に可動フレーム部材53が、支軸53aにより揺動可能に支持されている。ベースフレーム部材52には、一方の端部に下部圧着歯部材54が一体に形設されている。可動フレーム部材53には、下部圧着歯部材54と対をなす上部圧着歯部材55が、前記下部圧着歯に対向する位置に一体に形設されている。
【0041】
図6(a)に一部拡大して示すように、上部圧着歯部材55には、リブ形状の突条からなる複数の上部圧着歯55aと、それに適合する形状の凹溝からなる複数の歯底部55bとが、歯の並び方向に交互に形成されている。同様に、下部圧着歯部材54には、リブ形状の突条からなる複数の下部圧着歯54aと、それに適合する形状の凹溝からなる複数の歯底部54bとが、歯の並び方向に交互に形成されている。上部圧着歯部材55と下部圧着歯部材54とは、互いに対向する前記圧着歯と歯底部とが咬合するように整合させて配置されている。
【0042】
本実施形態では、上部圧着歯55a及び下部圧着歯54aが、それぞれ稜線方向を歯の並び方向と直交させるように形成されている。別の実施形態では、上部及び下部圧着歯55a、54aを、それぞれ稜線方向が歯の並び方向に対して斜めになるように形成することができる。
【0043】
上部及び下部圧着歯部材55,54により、
図6(b)及び(c)に示すように、シート束Sbの角部Scを、上部圧着歯55aと下部圧着歯54aの間で挟圧し、断面波板形状に変形させることによって密着させることができる。本実施形態では、上部及び下部圧着歯55a、54aが、歯の稜線方向を処理トレイ24のセンター基準Sxに関して或る角度で斜めに配置されている。それにより、前記断面波板形状の圧着綴じ部PBは、
図6(b)に示すように、その波板形状の稜線方向がシート束Sbの辺縁E1,E2に関して斜めになるように形成される。
【0044】
可動フレーム部材53には、支軸53aを挟んで上部圧着歯55aと反対側の端部にフォロアコロ56が一体に設けられている。ベースフレーム部材52には、下部圧着歯54aと反対側の端部に、偏心カムからなるドライブカム57が一体に設けられている。フォロアコロ56は、そのフォロア面がドライブカム57のカム面と係合するように配置されている。
【0045】
ベースフレーム部材52と可動フレーム部材53の間には、図示しないばね部材が配置されて、前記上部及び下部圧着歯を互いに離間する向きに、即ちフォロアコロ56のフォロア面とドライブカム57のカム面とを常に係合させる向きに付勢している。従って、ドライブカム57を駆動モーターM4により回転させると、前記カム面に従動して可動フレーム部材53が支軸53aを中心に揺動する。これにより、上部圧着歯部材55と下部圧着歯部材54とは、互いに咬合して圧接され又は離間するように駆動することができる。
【0046】
また、ベースフレーム部材52と可動フレーム部材53間に配置された前記ばね部材によって、綴じ処理したシート束を挟圧した状態から前記上部及び下部圧着歯を離間させる動作が、より円滑かつ速やかに行われる。更にベースフレーム部材52には、上部及び下部圧着歯部材55、54が圧接位置又は離間位置のいずれにあるかを検出するために、図示しないポジションセンサーを配置することができる。前記ポジションセンサーからの前記上部及び下部圧着歯部材の相対的位置関係を表す信号によって、綴じ処理したシート束の前記圧着歯からの引き剥がし処理をより円滑にかつ効率良く行うことができる。
【0047】
穿孔装置70は、従来から画像形成装置及び/又はその後処理装置等に広く使用されている、シート又はシート束にファイリング用の綴じ孔を形成する穿孔装置から構成することができる。この穿孔装置は、例えば上記特許文献4に記載されているように、円柱状ロッドの一端に設けた穿孔刃をシート面に向けて、駆動モーターにより往復動するパンチ部材(図示せず)を備える。かかる穿孔装置は当業者に周知であるので、その構造及び動作について詳細な説明は省略する。
【0048】
図4に示すように、穿孔装置70は、処理トレイ24の奥側の辺縁に沿って装置正面側から装置後部側まで両方向に移動可能に設置されている。それにより、処理トレイ24上のシート束Sbは、奥側の辺縁に沿って穿孔装置70を移動させながら、前記パンチ部材により複数個所に綴じ孔(パンチ孔)を穿設することができる。
【0049】
圧着綴じ装置51は、処理トレイ24の奥側かつ装置後部側(
図4中、左上側)の角部付近に、穿孔装置70よりも少しシート搬出方向下流側に配置されている。処理トレイ24の奥側かつ装置後部側の角部は、該角部に位置するシート束の角部を圧着綴じすることができるように、斜めに切り欠かれている。それにより、該シート束の角部にパンチ孔を形成する際に、穿孔装置70をより簡単に所望の位置に配置することができる。
【0050】
図7は、
図1の画像形成システムの制御構成を概略的に示している。本実施形態の画像形成システムは、画像形成ユニットBを制御する本体制御部60と、後処理ユニットCを制御する綴じ処理制御部61とを備える。
【0051】
本体制御部60は、印字制御部62と、給紙制御部63と、コントロールパネル64に接続された入力部65とを備える。入力部65は、前記コントロールパネルを介して画像形成モード及び後処理モードの設定を行うことができる。画像形成モードでは、カラー/モノクロ印刷、両面/片面印刷等のモード設定、シートサイズ、シート紙質、印刷部数、拡大/縮小印刷、等の画像形成条件を設定する。
【0052】
後処理モードでは、ユーザーが、例えばプリントアウトモードか綴じ処理モードかを選択して設定する。プリントアウトモードは、排紙口23から排出されたシートを綴じ処理せずに、処理トレイ24を介してスタックトレイ25に収容する。この場合、排紙口23からのシートを処理トレイ24に重ね合わせて集積し、本体制御部60からのジョグ終了信号で集積後のシート束をまとめてスタックトレイ25に搬出することができる。
【0053】
綴じ処理モードでは、排紙口23から排出された所定枚数のシートを処理トレイ24に重ね合わせてシート束に集積し、綴じ処理した後にスタックトレイ25に搬出する。本体制御部60は、綴じ処理するシート束のシート枚数、作成するシート束の部数、及び画像形成するシートの厚さ等の情報を綴じ処理制御部61にデータ転送する。更に本体制御部60は、各シートへの画像形成を終了する毎、ジョブ終了信号を綴じ処理制御部61に転送する。
【0054】
綴じ処理制御部61は、本体制御部60の入力部65から入力された後処理モードの設定に応じて後処理ユニットCを動作させる。本実施形態の綴じ処理制御部61は、制御手段として制御CPUで構成され、該制御CPUには、ROM67及びRAM68が連結されている。後処理ユニットCによるシート束の綴じ処理動作及び排紙動作は、ROM67に記憶された制御プログラム、及びRAM68に記憶された制御データに基づいて実行される。そのため、制御CPU66には、穿孔装置70及び圧着綴じ装置51の動作、後処理ユニットCに搭載された全駆動モーターの駆動回路に連結されている。
【0055】
綴じ処理制御部61は、綴じ処理モードが選択されると、設定された綴じ処理のシート枚数、シート厚さ等から、シート束が圧着綴じに必要な綴じ力が得られる最大厚さを超えていないかを、RAM68に記憶された制御データに基づいて決定する。圧着綴じが不可能と決定された場合、綴じ処理制御部61は、その旨を前記画像形成システムの表示部(図示せず)に表示して通知する。画像形成装置Aから後処理装置Bに送られたシートは、綴じ処理することなく、そのままスタックトレイ25に搬出される。
【0056】
次に、次に、綴じ処理機構28が、画像形成ユニットBから搬出された複数のシートに行う圧着綴じ処理について説明する。処理トレイ24へのシートの搬入に先立って、綴じ処理制御部61は、左右サイド整合部材39、40を、シートの搬入時の処理トレイ24上での移動を妨げないように、それぞれセンター基準Sxから装置後部側及び装置正面側に十分に離れた待避位置に移動させる。
【0057】
図8(a)〜(c)を用いて、左右サイド整合部材39,40を前記待避位置に移動させた待機状態から、処理トレイ24にシート束を集積して穿孔装置70による穿孔処理を行うまでの過程を説明する。装置ハウジング21の排紙口23から処理トレイ24上にシートShが排出されると、これを綴じ処理制御部61が排紙センサーSe1,Se2からの信号で検知して、シート搬入機構26を作動させる。掻き込み回転体36の回転によって、処理トレイ24上のシートShは、スタックトレイ25への搬出方向とは反対方向に、処理トレイ24の奥へと搬入される。シートShの搬入は、
図8(a)に示すように、その搬入方向先端が規制部材35の規制面35aに当接して停止する。
【0058】
前記シートの搬入が規制部材35によって停止すると、綴じ処理制御部61は、
図8(a)の待避位置にある左右サイド整合部材39,40を、シートShを両側から挟み込むように内側に移動させる。サイド整合部材39,40は、それぞれ規制面39a,40aがシートShの両側端縁に係合し、前記両規制面の離隔距離がシートShの幅寸法と一致する位置まで移動させる。これにより、各シートShは、
図8(b)に示すように、その幅方向中心が処理トレイ24のセンター基準Sxに一致する集積位置に位置合わせして、シート束として集積される。この後、綴じ処理制御部61は、左右サイド整合部材39,40をそれぞれ
図8(a)の前記待避位置に復帰させる。
【0059】
綴じ処理機構28により1つのシート束として圧着綴じされる所定枚数のシートが処理トレイ24上に、上述したように位置を整合させて集積されるまで、
図8(a)、(b)の上記過程を繰り返す。前記所定枚数のシートShが処理トレイ24上に位置合わせして集積されると、綴じ処理制御部61は、左右サイド整合部材39,40を前記待避位置に復帰させず、
図8(c)に示すように、前記シートをシート束Sbとして両側から挟んだまま、幅方向に穿孔装置70側に向けてオフセット移動させる。
【0060】
綴じ処理制御部61は、シート束Sbの装置後部側の側端縁がその幅方向に前記パンチ部材による穿孔位置PPを少し越えた位置で、左右サイド整合部材39,40を停止させる。これにより、シート束Sbは、圧着綴じしようとする角部Scに穿孔位置PPが完全に含まれるように位置決めされる。
【0061】
次に、綴じ処理制御部61は、コマンド信号を発信して穿孔装置70を駆動し、穿孔処理を実行させる。前記穿孔処理後、穿孔装置70は、綴じ処理制御部61に処理エンド信号を発信する。
【0062】
前記穿孔処理によって、シート束Sbの角部Scには、
図9(a)に示すように、穿孔位置PPに対応する位置に、該シート束の表裏を貫通する円形のパンチ孔71が形成される。パンチ孔71は、シート束Sbの隣接する2つの辺縁E1,E2から内側に離隔して配置される。パンチ孔71の内周面によって、シート束Sbの角部Scには、
図9(b)に示すように、その辺縁E1,E2より内側に、該シート束の表裏を貫通する円筒状の切断面72が形成される。
【0063】
穿孔装置70から処理エンド信号を受信した綴じ処理制御部61は、パンチ孔71を穿孔したシート束Sbに圧着綴じ処理を行う。
図10(a),(b)は、圧着綴じ装置51によりシート束Sbを圧着綴じする過程を示している。
【0064】
綴じ処理制御部61は、
図8(c)に示すようにシート束Sbを左右サイド整合部材39,40により両側から挟んだ状態で、シート束搬出機構29のコンベア装置45を駆動する。
図10(a)に示すように、押出部材である規制部材35を搬出方向に移動させてシート束Sbを搬出方向に押し出し、所定の距離だけオフセット移動させる。規制部材35は、搬出方向にシート束Sbの後端縁を圧着歯部材54,55と重なる位置で停止させる。
【0065】
更に綴じ処理制御部61は、引き続きシート束Sbを両側から挟んだ状態で、左右サイド整合部材39,40を幅方向に圧着綴じ装置51側に向けてオフセット移動させる。左右サイド整合部材39,40は、シート束Sbの装置後部側の側端縁がその幅方向に圧着歯部材54,55と重なる位置で停止させる。これにより、シート束Sbは、
図10(b)に示すように、2つの辺縁E1,E2及びパンチ孔71に圧着歯54a,55aが重なるように、かつ前記両辺縁に前記圧着歯の稜線方向をそれぞれ斜めに交差させるように位置決めされる。
【0066】
次に、綴じ処理制御部61は、コマンド信号を発信して圧着綴じ装置51を駆動し、圧着綴じ処理を実行させる。これにより、圧着綴じ装置51は、
図6(b)に示すように、咬合する上部及び下部圧着歯部材55,54でシート束Sbの角部Scを前記断面波板形状に圧着変形させて結束させる。
【0067】
図11(a)、(b)は、圧着綴じ装置51により圧着綴じ処理したシート束Sbの角部Scの綴じ状態を部分的に拡大して示している。本実施形態では、圧着歯54a,55aの並び方向の中心線がパンチ孔71の略中心を通るように、圧着歯部材54,55を配置して圧着綴じを行う。従って、圧着綴じ部PBは、
図11(a)に示すように、波板形状の並び方向の中心線PBxがパンチ孔71の略中心を通るように形成されている。
【0068】
また、本実施形態では、圧着歯54a,55aの稜線方向の寸法がパンチ孔71の直径よりも少し小さい。そのため、パンチ孔71の周縁部分は、
図11(a)に示すように、前記波板形状の並び方向に沿って分離された2つの大きな円弧部分71a,71bが圧着されている。パンチ孔71の円弧部分71a,71bには、処理トレイ24のセンター基準Sxに関する圧着歯54a,55aの稜線の向き(傾き)に拘わらず、前記圧着歯の稜線と斜めに交差する部分が必ず含まれる。
【0069】
図11(b)は、シート束Sbの角部Scの、圧着綴じ部PBの中心線PBxに沿ってパンチ孔71の中心を通る位置で切断した断面を示している。同図中ハッチング部分は、圧着綴じしたシート束部分である。同図に示すように、圧着綴じ部PBは、シート束Sbの辺縁E1,E2の端面に加えて、パンチ孔71の円弧部分71a,71bに形成される2つの圧着された切断面部分72a,72bを含んでいる。上述したように、前記圧着された切断面部分は、辺縁E1,E2の端面と同様に、より強い綴じ力が発揮される。その結果、圧着綴じ部PBは、パンチ孔71の分だけ圧着面積が小さくなっているにも拘わらず、全体として従来よりも強い綴じ力を発揮させることができる。
【0070】
別の実施形態において、圧着綴じ部PBは、パンチ孔71の全周縁部分を圧着するように形成することができる。この場合、上部及び下部圧着歯54a,55aは、稜線方向の寸法を相対的にパンチ孔71の直径より大きくする。また別の実施形態において、パンチ孔71は、周縁部分が圧着歯54a,55aの稜線と斜めに交差する限り、円形以外の様々な形状にすることができる。
【0071】
図10(b)の圧着綴じ処理後、圧着綴じ装置51は、上部及び下部圧着歯55a,54aを離間させると共に、綴じ処理制御部61に処理エンド信号を発信する。綴じ処理制御部61は、コンベア装置45を駆動して、規制部材35を搬出方向に移動させる。規制部材35は、
図12(a)に示すようにシート束Sbを押し出しながら、
図5(b)の最大押出位置まで移動して停止する。それと同時に、綴じ処理制御部61は、搬送ローラー装置46の両方の昇降アーム50を下降させて、左右両方の搬送ローラー48をシート束Sbの上面に圧接させる。規制部材35は、
図5(a)の前記初期位置に復帰させる。
【0072】
更に綴じ処理制御部61は、両搬送ローラー48を回転させてシート束Sbを搬出方向に搬送し、
図12(b)に示すように処理トレイ24上からスタックトレイ25に搬出する。このとき、シート束Sbの最上面のシートが下側のシートに対して滑らないように、搬送ローラー48を比較的低速で回転させ、シート束Sbをスタックトレイ25に向けて徐々に送り出すことが好ましい。
【0073】
ここで、本実施形態の規制部材35及び両搬送ローラー48は、
図12(a)、(b)に示すように、幅方向にシート束Sbの中心から相当距離ずれた位置にある。しかしながら、シート束Sbは、左右両側端縁が左右サイド整合部材39,40によって規制されているので、規制部材35及び両搬送ローラー48により搬出される間、搬出方向に対して真直ぐな姿勢が維持される。
【0074】
上記実施形態では、シート処理装置20に組み込んだ穿孔装置70を用いて、1回の穿孔処理でシート束Sbにパンチ孔71を形成している。しかしながら、シート束Sbを穿孔するために、必ずしもシート処理装置20に一体に組み込んだ穿孔装置70を使用する必要は無い。
【0075】
画像形成システムの画像形成ユニットBから搬出されたシートの後処理を行う後処理ユニットCには、ファイリング用の綴じ孔を形成するための穿孔装置を備えているものがある。かかる穿孔装置は、例えば
図1,
図2に符号75で示すように、画像形成ユニットBから受け取るシートの排紙経路22に配置されている。穿孔装置75は、搬入口30から搬入されるシートを1枚ずつ、所望の同じ位置に穿孔するように設定することができる。従って、穿孔装置75により穿孔された複数のシートを処理トレイ24上で集積し、部揃えすることによって、圧着綴じ処理前のシート束に、パンチ孔71と同様に表裏を貫通する貫通孔を設けることができる。
【0076】
図13,
図14は、本発明の別の実施形態による圧着綴じ処理を示している。この実施形態では、
図13(a)に示すように、シート束Sbの角部Scに、パンチ孔71のような貫通孔に代えて、該シート束の表裏を貫通する切断線81を形成する。切断線81は、シート束Sbの隣接する2つの辺縁E1,E2より内側に、即ち前記辺縁から内側に離隔した位置に配置される。これにより、シート束Sbの角部Scには、
図13(b)に示すように、切断線81を挟んでその両側に該シート束の表裏を貫通して対向する2つの切断面82a,82bが、辺縁E1,E2より内側に形成される。
【0077】
切断線81は、例えば直線状の刃先を有する平刃からなる穿孔刃を先端に備えたロッド状の切断部材を、シート束Sbのシート面に対して該シート束を貫通するように上下往復動させることによって、形成することができる。これにより、シート束Sbの全シートに同じ長さの切断線80が、その最上面から最下面まで垂直に形成される。
【0078】
圧着綴じ装置51は、上部及び下部圧着歯54a,55aの稜線が切断線81とシート束Sbの辺縁E1,E2とに斜めに交差するように、上部及び下部圧着歯部材54,55を配置して、シート束Sbの圧着綴じ処理を行う。これにより、シート束Sbの角部Scには、圧着処理部PBが、
図14(a)、(b)に示すように、シート束Sbの辺縁E1,E2の端面に加えて、切断線81による2つの切断面82a,82bを含むように形成される。圧着された切断面82a,82bは、辺縁E1,E2の端面と同様に、より強い綴じ力が発揮されるので、全体として従来よりも強い綴じ力が得られる。しかも、パンチ孔71を形成する場合に比して、圧着面積が減少しない点で有利である。
【0079】
図15(a)、(b)は、
図13,
図14の実施形態の変形例を示している。この変形例では、
図15(a)に示すように、シート束Sbの角部Scに2つの切断線83,84が形成される。切断線83,84は、前記圧着歯の並び方向に即ち圧着処理部PBの前記波板形状の並び方向に略平行に離隔して配置される。これにより、圧着処理部PBは、
図15(b)に示すように、シート束Sbの辺縁E1,E2の端面に加えて、両切断線83,84による4つの切断面85a,85b,86a,86bを含むように形成される。このように圧着処理部PBに含まれる切断面の数が増えることによって、全体として更に強い綴じ力が得られる。
【0080】
上記各実施形態では、圧着処理部PBがシート束Sbの2つの辺縁E1,E2を含むように形成した。別の実施形態では、いずれか一方の辺縁E1,E2を含むように、又はいずれの辺縁E1,E2も含まないように、圧着処理部PBを形成することができる。この場合、パンチ孔71のような貫通孔又は切断線81による切断部をシート束Sbに2つ以上設け、該切断部により形成されるシート束の切断面を含むように、圧着処理部PBを形成することによって、従来より強い綴じ力を得ることができる。
【0081】
また、本発明によれば、圧着処理部PBに含まれる切断部として、圧着歯の稜線と斜めに交差する切断面が形成される限り、上記実施形態の貫通孔及び切断線以外の様々な形態のものを採用することができる。例えば、スリット状の切断部や、湾曲又は屈曲した切断線であってもよい。
【0082】
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、圧着綴じ装置を処理トレイに関して所定位置に固定したが、移動可能に設けることができる。また、圧着歯は、稜線方向に一様な形状及び寸法で真直ぐ延長するものに限定されず、歯の並び方向に並列に配置されていれば、様々な形状及び/又は寸法のものを適用することができる。