【実施例】
【0048】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
【0049】
〔表面処理剤(ポリマーX)及び結着樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0050】
〔表面処理剤(ポリマーX)、結着樹脂、及び分散剤の融点〕
示差走査熱計「Q20」(TA instruments社製)を用いて、試料0.03〜0.04gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に、試料を0℃から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、その温度から降温速度50℃/minで-10℃まで冷却する。最後に試料を200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱ピークトップを融点とする。
【0051】
〔表面処理剤(ポリマーX)及び結着樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
【0052】
〔結着樹脂の酸価〕
JIS K0070:1992の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070:1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
【0053】
〔ポリアルキレンイミン及びポリプロピレン鎖の数平均分子量(Mn)〕
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、試料を0.15mol/LでNa
2SO
4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LでNa
2SO
4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン(昭和電工(株)製のP-5(Mw 5.9×10
3)、P-50(Mw 4.73×10
4)、P-200(Mw 2.12×10
5)、P-800(Mw 7.08×10
5))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー(株)製)
【0054】
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)を求める。
【0055】
〔分散剤の数平均分子量(Mn)〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散剤(分散剤溶液から絶縁性液体を留去)をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×10
2)、A-1000(1.01×10
3)、A-2500(2.63×10
3)、A-5000(5.97×10
3)、F-1(1.02×10
4)、F-2(1.81×10
4)、F-4(3.97×10
4)、F-10(9.64×10
4)、F-20(1.90×10
5)、F-40(4.27×10
5)、F-80(7.06×10
5)、F-128(1.09×10
6))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMH
XL+TSKgel G3000H
XL(東ソー(株)製)
【0056】
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
【0057】
〔絶縁性液体の沸点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0〜8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
【0058】
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
【0059】
実施例1、2
表1に示す原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌機、脱水管を備えた流下式コンデンサー、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中235℃で重縮合させ、原料モノマーが均一に溶融したことを確認した後、60torrまで減圧し1時間脱水縮合させて、ポリエステル樹脂[PES]を得た。その後、常圧160℃まで冷却し、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン[Ma-PP](X-10065,Baker Hughes社製、Mn:1000)を添加し、さらに220℃を保持して1時間付加重合を行った後、220℃、60torrの条件下で2時間重縮合反応を行い、表1に示す物性を有するポリマーを抜き出した。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例3
四つ口セパラブルフラスコに、ポリエチレンイミン1200[PEI1200](純正化学(株)製、Mn:3400)9質量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレン[Ma-PP](X-10065,Baker Hughes社製、Mn:1000)59.9質量部、及びキシレン68.9質量部を入れ、窒素気流中で撹拌しながら1.5時間かけて140℃まで昇温し、反応水はディーン・スターク管を用いて溜去した。その後、2時間かけて160℃まで昇温、さらに100Torrまで減圧して、キシレンを完全に溜去した。100℃まで冷却しフラスコから取り出したのち、バット上で固化させた。室温(25℃)で十分固化した反応物をラボミキサーで粉砕し、ポリマーを回収した。得られたポリマーの融点は90℃であった。
【0062】
比較例1
冷却管を取り付けた四つ口セパラブルフラスコに、1-ブロモドコサン[C22](東京化成工業社製)150質量部、ポリエチレンイミン1200[PEI1200](純正化学社製)20質量部、脱水アセトニトリル(和光純薬工業社製)40質量部、及び炭酸カリウム(和光純薬工業社製)87質量部を加え、窒素気流中で80℃に昇温し24時間反応を行った。反応終了後、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)にて炭酸カリウム残渣を除去し、上清みを減圧留去し、ポリマーを得た。得られたポリマーの融点は63℃であった。
【0063】
比較例2
四つ口セパラブルフラスコに、ポリエチレンイミン600[PEI600](純正化学(株)製、分子量:600)11質量部、無水マレイン酸変性分岐ポリプロピレン[分岐Ma-PP](X-10087、Baker Hughes社製)61.6質量部、及びキシレン72.6質量部を入れ、窒素気流中で撹拌しながら1.5時間かけて140℃まで昇温し、反応水はディーン・スターク管を用いて溜去した。その後、2時間かけて160℃まで昇温、さらに100Torrまで減圧して、キシレンを完全に溜去した。80℃まで冷却しフラスコから、ポリマーを取り出した。
【0064】
比較例3
冷却管を取り付けた四つ口セパラブルフラスコに、1-ブロモドデカン[C12](東京化成工業社製)80質量部、ポリエチレンイミン1200[PEI1200](純正化学社製)20質量部、脱水アセトニトリル(和光純薬工業社製)40質量部、及び炭酸カリウム(和光純薬工業社製)87質量部を加え、窒素気流中で80℃に昇温し24時間反応を行った。反応終了後、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)にて炭酸カリウム残さを除去し、上清みを減圧留去し、ポリマーを得た。
【0065】
結着樹脂の製造例
表2に示すアルコール成分、カルボン酸成分、エステル化触媒及び重合禁止剤を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して12時間反応を行い、その後、さらに8.3kPaに減圧して1時間反応させ、ポリエステル樹脂(結着樹脂A)を得た。
【0066】
【表2】
【0067】
分散剤の製造例1〔分散剤D1〕
四つ口セパラブルフラスコに、ポリエチレンイミン1200(純正化学(株)製)9質量部、ポリプロピレン無水コハク酸(Ma-PP)(Baker Hughes社製)59.9質量部、及びキシレン68.9質量部を入れ、窒素気流中で撹拌しながら1.5時間かけて140℃まで昇温し、反応水はディーン・スターク管を用いて溜去した。その後、2時間かけて160℃まで昇温、さらに100Torrまで減圧して、キシレンを完全に溜去した。100℃まで冷却しフラスコから取り出したのち、バット上で固化させた。室温で十分固化した反応物をラボミキサーで粉砕し、回収した。
【0068】
【表3】
【0069】
分散剤の製造例2〔分散剤D2〕
反応溶媒であるメチルエチルケトン50gを、冷却管、窒素導入管、撹拌機及び熱電対を装備した1L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を80℃に加温して、表4に示す原料モノマー、重合開始剤、及びメチルエチルケトン50gの混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、80℃でさらに3時間反応させた。80℃で溶媒を留去し、表4に示す物性を有する共重合体を得た。
【0070】
【表4】
【0071】
液体現像剤の製造例〔液体現像剤LT−1、LT−2〕
表5に示す量の結着樹脂A及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
【0072】
(溶融混練条件)
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度35r/min(15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が130℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が10℃及び混練物排出側が10℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
【0073】
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D
50)が約8μmのトナー粒子を得た。
【0074】
表5に示す分散剤と絶縁性液体を容器に秤量し、湯煎及び超音波照射によって分散剤を絶縁性液体に完全に溶解させた。続いて、表5に示す粒径0.8mmのジルコニアビーズとトナー粒子を順に添加し、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて粉砕した。トナー粒子の粒径が2.8μmに到達した後、桐山ロートを用いてビーズを濾過した。ろ液を、トナー濃度が25質量%になるように絶縁性液体で希釈し、液体現像剤を得た。
【0075】
【表5】
【0076】
実施例及び比較例で得られたポリマーを表面処理剤として用い、以下の方法によりポリプロピレン(PP)フィルムに塗布した。
バーコーター(三井電気精機(株)製の卓上塗工機TC-1)を用いて、ポリプロピレン(PP)フィルム(フタムラ化学(株)製の二軸延伸ポリプロピレンフィルムFOR #25)の未処理面側に、実施例及び比較例で得られた各ポリマーをイソパラフィン(アイソパーL、エクソンモービル社製、25℃における粘度1mPa・s)に溶解させた溶液(溶液濃度2.0質量%)を塗工後、120℃で3分間乾燥させた。ただし、常温でイソパラフィンに溶解し難い場合は、融点以上に加熱するか、もしくはクロロホルムに溶解させた溶液を用いた。乾燥後の表面処理剤層の厚さは0.3μmであった。
【0077】
表面処理剤を塗布したPPフィルムを用い、以下の方法により濡れ性試験及び定着試験を行った。
【0078】
〔濡れ性試験〕
表面処理剤層の上に、表面エネルギー値の異なるダインペン(EnerDyne
TMpens Variety、Enercon Industries Corporation)で2cmの線を引いた。10秒間経過した後、引いた線に弾きや収縮が起こらず、線が保持されていたダインペンの最大値を、表面処理剤層の表面張力とした。全てのダインペンで、引いた線が保持されなかった場合は、表面処理剤層の表面張力を30mN/m未満とした。結果を表6−1に示す。
【0079】
〔定着試験〕
表面処理剤層の上に、液体現像剤LT−1を乾燥後の膜厚が3.5μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥させた。
乾燥後直ちに、塗膜にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(スリーエムジャパン(株)製、幅18mm)を貼り、テープの上から190gの重りを5往復させた。続いて、貼ったテープを勢いよく剥がし、最後に測色系(X-rite社製のSpectroeye)を用いて、テープ剥離前後の画像濃度を測定し、以下の式より定着率を算出した。
また、PPフィルムに表面処理剤を塗工しなかった場合についても同様に定着試験を行った。結果を表6−1に示す。
【0080】
【数1】
【0081】
さらに、上記定着試験において、液体現像剤LT−1の代わりに液体現像剤LT−2を用いた場合、及び液体現像剤LT−1の代わりに液体現像剤LT−2を用い、表面処理剤の溶液の濃度を6.0質量%に変更して、0.9μmの厚さの表面処理剤層を塗工した場合についても、同様にして、定着試験を行った。結果を、それぞれ表6−2、6−3に示す。
【0082】
【表6】
【0083】
以上の結果より、実施例1〜3の表面処理剤は、樹脂フィルムの濡れ性を向上する濡れ性向上剤としての作用を備え、かつ定着画像を想定した液体現像剤の層に対して良好な接着強度を有していることが分かる。
一方、比較例1、3の表面処理剤は、定着画像を接着できず、樹脂フィルムの濡れ性を向上する作用もない。これに対して、比較例2の表面処理剤は、樹脂フィルムに対して濡れ性向上剤として使用することはできるものの、定着画像に対する接着性は有していない。