(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナなどで受信された外部信号を増幅するアンプ回路には、外部信号のレベルに応じてアンプのゲインを自動的に調整するAGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)回路が設けられることが知られている。かかるアンプ回路は、たとえば、外部信号を増幅する第1トランジスタのエミッタからコレクタにトランスを介して負帰還をかける(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に、従来のAGC回路を備えたアンプ回路1Aを示す。アンプ回路1Aは、第1トランジスタQ11と、第2トランジスタQ12とを備える。アンプ回路1Aの第1トランジスタQ11のベースには、外部から送信される外部信号が入力される。そして、第1トランジスタQ11で外部信号が増幅され、増幅された外部信号(以下、増幅信号とも呼称する。)がコレクタから出力される。
【0004】
第1トランジスタQ11のエミッタは、トランスT11を介して第1トランジスタQ11のコレクタに接続される。これにより、第1トランジスタQ11のエミッタからコレクタにトランスT11を介して負帰還をかけることができる。従来例のアンプ回路1Aでは、このように負帰還をかけることにより、増幅信号のレベルを検出するための検出信号と、トランジスタを安定に動作させるためのバイアス電圧との両方を、第1トランジスタQ11のエミッタから第2トランジスタQ12に供給することができる。
【0005】
そして、検出信号とバイアス電圧との両方がベースに供給された第2トランジスタQ12は、かかる検出信号を増幅し、コレクタからレベル検出信号として出力することができる。以上のように、従来のアンプ回路1Aは、検出信号とバイアス電圧との両方を、第1トランジスタQ11のエミッタから第2トランジスタQ12に供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するアンプ回路の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
<アンテナアンプおよびアンプ回路の構成>
最初に、実施形態に係るアンプ回路1およびアンテナアンプ2の構成について、
図1および
図2を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係るアンテナアンプ2の概要を示す図である。
【0014】
図1に示すように、たとえば、自動車のリアガラスGにアンテナAとヒータHとが設けられる。かかるアンテナAには、たとえば100MHz程度の周波数帯域で、主としてFM放送用の電波を受信するFM用アンテナA1や、たとえば1MHz程度の周波数帯域で、主としてAM放送の電波を受信するAM用アンテナA2などが含まれる。
【0015】
そして、かかるアンテナAで受信された外部信号は、リアガラスGに近接して設置されるアンテナアンプ2で増幅される。そしてアンテナアンプ2で増幅された外部信号は、同軸ケーブルCなどを経由して自動車内に設置される再生装置に送信される。
【0016】
図2は、実施形態に係るアンプ回路1の構成を示すブロック図である。
図2に示すアンプ回路1は、
図1に示したアンテナアンプ2に備えられる。
【0017】
アンプ回路1は、信号受信部100から受信した外部信号を増幅して信号再生部101に送信する。信号受信部100は、たとえば、上述のアンテナAであり、FM放送用の電波やAM放送用の電波などの外部信号を受信する。また、信号再生部101は、たとえば、自動車内に設けられる再生装置(FMラジオやAMラジオなど)であり、かかる外部信号を再生する。
【0018】
ここまで説明したように、かかる外部信号は、FM放送用の電波やAM放送用の電波などとして送信され、レベルが変動する信号である。そして、アンプ回路1は、受信した外部信号のゲインを自動的に調整する。
【0019】
すなわち、アンテナアンプ2は、アンプ回路1を備えることにより、ゲインが自動的に調整された外部信号を信号再生部101に送信することができる。したがって、実施形態によれば、信号受信部100で受信した外部信号を信号再生部101で安定して再生することができる。
【0020】
アンプ回路1は、AGC回路10と、外部信号増幅部11とを備える。また、AGC回路10は、検出信号増幅部12と、変換部13と、ゲイン制御部14とを備える。
【0021】
外部信号増幅部11は、信号受信部100から送信される外部信号を受信する。そして、外部信号増幅部11は、受信された外部信号を増幅して、増幅された外部信号(以下、増幅信号と呼称する。)を信号再生部101に送信する。
【0022】
検出信号増幅部12は、外部信号増幅部11から送信される増幅信号から分流される検出信号を受信する。すなわち、かかる検出信号は、外部信号増幅部11から送信され、増幅信号のレベルを検出するために用いられる。そして、検出信号増幅部12は、受信された検出信号を増幅して、増幅された検出信号(以下、レベル検出信号と呼称する。)を変換部13に送信する。
【0023】
変換部13は、検出信号増幅部12から送信されるレベル検出信号を受信する。そして、変換部13は、かかるレベル検出信号を直流信号に変換して、変換されたレベル検出信号(以下、ゲイン制御信号と呼称する。)をゲイン制御部14に送信する。
【0024】
ゲイン制御部14は、変換部13からゲイン制御信号を受信する。そして、ゲイン制御部14は、かかるゲイン制御信号の値に応じて、外部信号増幅部11に送信される外部信号の出力を調整する。
【0025】
具体的には、ゲイン制御部14は、ゲイン制御信号の値が小さい場合(すなわち、外部信号のレベルが小さい場合)は、外部信号の減衰量を小さくして外部信号増幅部11に送信する。また、ゲイン制御部14は、ゲイン制御信号の値が大きい場合(すなわち、外部信号のレベルが大きい場合)は、外部信号の減衰量を大きくして外部信号増幅部11に送信する。
【0026】
これにより、AGC回路10では、外部信号増幅部11に送信される外部信号のゲインを自動的に制御することができる。
【0027】
<アンプ回路の詳細>
つづいて、アンプ回路1の詳細な構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施形態に係るアンプ回路1の主要部を示す接続図である。アンプ回路1は、第1トランジスタQ1と、第2トランジスタQ2と、第1経路20と、第2経路21とを備える。第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、たとえば、バイポーラトランジスタである。
【0028】
アンプ回路1の第1トランジスタQ1のベースには、信号受信部100から送信される外部信号が入力される。そして、かかる第1トランジスタQ1で外部信号が増幅され、コレクタから増幅された外部信号(すなわち、増幅信号)が出力される。つまり、第1トランジスタQ1は、上述の外部信号増幅部11に含まれる。
【0029】
第1トランジスタQ1のコレクタと第2トランジスタQ2のベースとの間には、第1経路20が設けられる。そして、かかる第1経路20を経由して、増幅信号から分流された検出信号が第1トランジスタQ1のコレクタから第2トランジスタQ2のベースに入力される。
【0030】
さらに、かかる第2トランジスタQ2で検出信号が増幅され、増幅された検出信号(すなわち、レベル検出信号)が第2トランジスタQ2のコレクタから出力される。すなわち、第2トランジスタQ2は、上述の検出信号増幅部12に含まれる。
【0031】
ここまで説明したように、実施形態では、第1経路20を設けることにより、トランスを使用せずに、十分なレベルの検出信号を第1トランジスタQ1から第2トランジスタQ2に供給することができる。
【0032】
一方で、第1トランジスタQ1のコレクタ電圧は電源電圧Vccの変動により変化するため、第2トランジスタQ2を安定に動作させるためのバイアス電圧としては使用することができない。
【0033】
そこで、実施形態では、かかるバイアス電圧を第1トランジスタQ1のエミッタから第2トランジスタQ2のベースに供給する。具体的には、第1トランジスタQ1のエミッタと第2トランジスタQ2のベースとの間に第2経路21が設けられ、かかる第2経路21を経由して、第1トランジスタQ1のエミッタから第2トランジスタQ2のベースにバイアス電圧が入力される。
【0034】
ここで、第1トランジスタQ1のエミッタ電圧は、抵抗R1、R2、R4からなる電流帰還バイアス回路によって十分に安定していることから、第2トランジスタQ2を安定して動作させることができる。したがって、実施形態によれば、第2経路21を設けることにより、第2トランジスタQ2で検出信号を安定して増幅させることができる。
【0035】
ここまで説明したように、実施形態では、第1経路20および第2経路21を設けることにより、第2トランジスタQ2を安定に動作させることができるとともに、トランスを使用せずに十分なレベルの検出信号を第1トランジスタQ1から第2トランジスタQ2に供給することができる。
【0036】
また、実施形態では、第2経路21にチョークコイルL1が設けられるとよい。これにより、第1トランジスタQ1のコレクタから出力され、高周波成分を有する検出信号が、第2経路21を経由して第1トランジスタQ1のエミッタに漏洩することを抑制することができる。
【0037】
また、第1経路20にコンデンサC1が設けられるとよい。これにより、第1トランジスタQ1のエミッタから出力され、電圧がほぼ一定であるバイアス電圧が、第1経路20を経由して第1トランジスタQ1のコレクタに漏洩することを抑制することができる。
【0038】
アンプ回路1におけるその他の箇所の説明を続ける。第1トランジスタQ1のベースは、抵抗R1と抵抗R2を介して、電源電圧Vccに接続される。また、かかる抵抗R1と抵抗R2との間には、定電圧回路22が接続される。
【0039】
かかる定電圧回路22は、たとえば、抵抗R1と抵抗R2との間を、それぞれ順方向に直列に接続されたピンダイオードD1〜D4を介して接地するとともに、コンデンサC2を介して接地することにより構成される。
【0040】
かかる定電圧回路22により、第1トランジスタQ1のベースにより安定したバイアス電圧を供給することができる。したがって、実施形態によれば、第1トランジスタQ1で外部信号をより安定して増幅させることができる。なお、定電圧回路22は、上述のピンダイオードD1〜D4およびコンデンサC2を用いた構成に限られることはない。
【0041】
第1トランジスタQ1のコレクタは、電源電圧Vccに接続されるとともに、コンデンサC3と抵抗R3とを介して第1トランジスタQ1のベースに接続される。第1トランジスタQ1のエミッタは、チョークコイルL2と、並列接続されたコンデンサC4および抵抗R4とを介して接地される。なお、チョークコイルL2は、上述の第2経路21に配置される。
【0042】
第2トランジスタQ2のコレクタは、抵抗R5を介して電源電圧Vccに接続される。また、かかる抵抗R5と電源電圧Vccとの間は、コンデンサC5を介して接地される。第2トランジスタQ2のエミッタは、並列接続されたコンデンサC6および抵抗R6を介して接地される。
【0043】
また、実施形態では、アンプ回路1における第1トランジスタQ1のベースの上流側にゲイン制御部14が接続される。かかるゲイン制御部14は、いわゆるアッテネータ回路と呼ばれるものであり、たとえば、ピンダイオードD5、D6と、コンデンサC7とで構成される。
【0044】
ゲイン制御部14では、ピンダイオードD5、D6が順方向に直列に接続されるとともに、ピンダイオードD5のアノードがコンデンサC7を介して接地され、ピンダイオードD6のカソードが接地される。また、ピンダイオードD5とピンダイオードD6との間が第1トランジスタQ1のベースの上流側に接続される。そして、ピンダイオードD5とコンデンサC7との間に、
図2で示した変換部13で変換されたゲイン制御信号が入力される。
【0045】
このゲイン制御部14では、入力されるゲイン制御信号の値が小さい場合(すなわち、外部信号のレベルが小さい場合)には、ピンダイオードD6の抵抗値が大きくなる。したがって、入力されるゲイン制御信号の値が小さい場合、外部信号がピンダイオードD6にほとんど通流しないことから、第1トランジスタQ1に入力される外部信号を小さく減衰させることができる。
【0046】
一方で、ゲイン制御部14に入力されるゲイン制御信号の値が大きい場合(すなわち、外部信号のレベルが大きい場合)には、ピンダイオードD6の抵抗値が小さくなる。したがって、入力されるゲイン制御信号の値が大きい場合、外部信号がピンダイオードD6に多く通流することから、第1トランジスタQ1に入力される外部信号を大きく減衰させることができる。
【0047】
このように、実施形態にかかるゲイン制御部14では、変換部13で変換されたゲイン制御信号の値に基づいて、第1トランジスタQ1のベースに入力される外部信号を減衰させることができる。なお、ゲイン制御部14は、上述のピンダイオードD5、D6およびコンデンサC7を用いた構成に限られることはない。
【0048】
また、
図3では変換部13の詳細は図示しないが、高周波成分を有するレベル検出信号を直流信号であるゲイン制御信号に変換することができる既存の回路(たとえば包絡線検波回路等)を用いることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、実施形態では、アンテナアンプ2に用いられるアンプ回路1について示したが、アンプ回路1はアンテナアンプに用いられる場合に限られず、自動利得制御が行われる装置であればどのような装置に用いられてもよい。
【0050】
また、
図1で示したように、アンテナアンプ2にFM用アンテナA1とAM用アンテナA2とが接続される場合、アンテナアンプ2には、FM用アンテナA1用のアンプ回路1と、AM用アンテナA2用のアンプ回路1とがそれぞれ設けられるとよい。
【0051】
なお、
図3で示したアンプ回路1はあくまで一例であり、
図3に記載された抵抗やコンデンサ、チョークコイルは適宜省略できるとともに、
図3に記載されたアンプ回路1に抵抗やコンデンサ、チョークコイルなどを適宜追加してもよい。
【0052】
実施形態に係るアンプ回路1は、第1トランジスタQ1と、第2トランジスタQ2と、第1経路20と、第2経路21とを備える。第1トランジスタQ1は、外部から入力される外部信号を増幅する。第2トランジスタQ2は、外部信号のレベルを検出する検出信号を増幅する。第1経路20は、第1トランジスタQ1のコレクタと第2トランジスタQ2のベースとの間に接続され、第1トランジスタQ1のコレクタから出力される検出信号を第2トランジスタQ2のベースに供給する。第2経路21は、第1トランジスタQ1のエミッタと第2トランジスタQ2のベースとの間に接続され、第1トランジスタQ1のエミッタからバイアス電圧を第2トランジスタQ2のベースに供給する。これにより、トランスを使用せずに、十分なレベルの検出信号を第1トランジスタQ1から第2トランジスタQ2に供給することができるとともに、安定したバイアス電圧を第2トランジスタQ2に供給することができる。
【0053】
また、実施形態に係るアンプ回路1は、第2トランジスタQ2で増幅された検出信号(レベル検出信号)に基づいて、第1トランジスタQ1のベースに入力される外部信号を減衰させるゲイン制御部14をさらに備える。これにより、外部信号増幅部11に送信される外部信号のゲインを自動的に制御することができる。
【0054】
また、実施形態に係るアンプ回路1は、第2経路21にチョークコイルL1を備える。これにより、第1トランジスタQ1のコレクタから出力され、高周波成分を有する検出信号が、第2経路21を経由して第1トランジスタQ1のエミッタに漏洩することを抑制することができる。
【0055】
また、実施形態に係るアンプ回路1は、第1経路20にコンデンサC1を備える。これにより、第1トランジスタQ1のエミッタから出力され、電圧がほぼ一定であるバイアス電圧が、第1経路20を経由して第1トランジスタQ1のコレクタに漏洩することを抑制することができる。
【0056】
また、実施形態に係るアンプ回路1は、第1トランジスタQ1のベースに供給されるバイアス電圧を一定にする定電圧回路22を備える。これにより、第1トランジスタQ1で外部信号を安定して増幅させることができる。
【0057】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。