特許第6986435号(P6986435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986435
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】複合材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/10 20060101AFI20211213BHJP
   C22C 9/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C22C1/10 F
   C22C9/00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-249691(P2017-249691)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-116645(P2019-116645A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 正樹
【審査官】 向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−127586(JP,A)
【文献】 特開2001−047261(JP,A)
【文献】 特開2012−196682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/00
C22C 9/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属マトリクスと、前記金属マトリクス中に分散した分散質とを有する複合材の製造方法であって、
コンテナ内に前記金属マトリクスとなるマトリクス塊を配置し、
柱状を呈するショルダーと、ショルダーの中心軸を貫通するプローブとを備え、前記ショルダーと前記プローブとが別々に駆動できるよう構成された複動式ツールを前記コンテナ内に挿入し、
前記ショルダーを前記マトリクス塊に当接させるとともに前記プローブを前記マトリクス塊に挿入し、
前記ショルダーによって前記マトリクス塊の変形を拘束しつつ、前記マトリクス塊と、前記分散質となる分散予定材とが接触した状態で前記プローブを回転させて前記マトリクス塊を塑性流動させることにより、前記分散予定材を前記マトリクス塊中に分散させ、前記コンテナと前記複動式ツールとによって囲まれる空間と対応する形状を備えた複合材を得る、複合材の製造方法。
【請求項2】
前記分散予定材を前記マトリクス塊中に分散させた後、前記プローブを前記マトリクス塊から抜き取って前記マトリクス塊に凹部を形成し、次いで前記ショルダーを前記マトリクス塊に押し込むことにより前記凹部を埋め戻す、請求項1に記載の複合材の製造方法。
【請求項3】
前記プローブの回転によって前記マトリクス塊全体を塑性流動させることにより、前記マトリクス塊全体に前記分散予定材を分散させる、請求項1または2に記載の複合材の製造方法。
【請求項4】
前記プローブの回転によって前記マトリクス塊における当該プローブの周囲のみを塑性流動させることにより、前記金属マトリクスと前記金属マトリクス中に分散した前記分散質とを備えた攪拌部と、前記金属マトリクスからなり前記攪拌部に連なる非攪拌部を形成する、請求項1または2に記載の複合材の製造方法。
【請求項5】
前記マトリクス塊はAl:0.05〜1.2質量%を含むCu基合金から構成されており、前記分散予定材はCu酸化物から構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
【請求項6】
前記分散予定材としてのCu酸化物の質量は、前記マトリクス塊中のAlの質量の3.5〜9.5倍である、請求項5に記載の複合材の製造方法。
【請求項7】
前記複合材を作製した後、更に、当該複合材を700〜1050℃に加熱して前記金属マトリクス中のAlを内部酸化させる、請求項5または6に記載の複合材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材及びその製造方法に関する。
【0002】
金属マトリクスと、金属マトリクス中に分散した分散質とを備えた複合材は、分散質の含有量や存在形態に応じて様々な性質を示す。例えば、Al(アルミニウム)マトリクス中に8質量%程度のFe(鉄)が分散されたFe分散アルミニウムは、優れた耐熱性を示す。また、Alマトリクス中に15質量%程度のSi(シリコン)が分散されたSi分散アルミニウムは、優れた耐摩耗性を示す。また、Cu(銅)マトリクス中にアルミナが分散されたアルミナ分散強化銅は、耐熱性及び耐溶着性に優れており、抵抗スポット溶接を行うための電極として好適である。
【0003】
このような複合材を作製する方法としては、分散質を含む金属マトリクスの溶湯から鋳塊を作製する溶製法と呼ばれる方法が知られている。しかし、溶製法は、金属マトリクス中に分散可能な分散質の量や分散質の存在形態等に制限があり、所望の特性を備えた複合材を作製することができない場合がある。そこで、溶製法に比べて幅広い範囲から金属マトリクス中に分散可能な分散質の量や存在形態を選択することが可能な、粉末冶金法と呼ばれる方法が採用されることがある(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】渋江和久、「急冷凝固アルミニウム合金」、軽金属、社団法人軽金属学会、1989年、第39巻、第11号、p.850−862
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉末冶金法では、金属マトリクスの粉末と分散質の粉末とを別々に準備し、これらを混合するため、金属マトリクス中に分散可能な分散質の材質や量、存在形態を自由に選択することができる。それ故、溶製法に比べて複合材の性能を容易に向上させることができる。
【0006】
しかし、粉末冶金法に用いる金属マトリクス及び分散質の粉末は、アトマイズ法によって作製する必要がある。アトマイズ法は、粉末の収率を高めることが難しい。そのため、粉末冶金法は、溶製法に比べて材料コストが増大しやすい。
【0007】
また、粉末冶金法においては、金属マトリクスと分散質との混合粉末を混合した後、ホットプレスや押出等の方法によって圧粉体を形成し、更に、鍛造や押出、圧延等の加工を施して焼結体内部の空隙を押し潰す必要がある。そのため、粉末冶金法は、溶製法に比べて工程数が多くなり、製造コストが増大しやすい。
【0008】
このように、粉末冶金法により作製された複合材は、溶製法により作製された複合材に比べて優れた性能を有する一方で、材料コストや製造コストの増大を招きやすい。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、粉末冶金法により得られる複合材と同等以上の優れた性能を有する複合材及びこの複合材を安価に製造することができる複合材の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、金属マトリクスと、前記金属マトリクス中に分散した分散質とを有する複合材の製造方法であって、
コンテナ内に前記金属マトリクスとなるマトリクス塊を配置し、
柱状を呈するショルダーと、ショルダーの中心軸を貫通するプローブとを備え、前記ショルダーと前記プローブとが別々に駆動できるよう構成された複動式ツールを前記コンテナ内に挿入し、
前記ショルダーを前記マトリクス塊に当接させるとともに前記プローブを前記マトリクス塊に挿入し、
前記ショルダーによって前記マトリクス塊の変形を拘束しつつ、前記マトリクス塊と、前記分散質となる分散予定材とが接触した状態で前記プローブを回転させて前記マトリクス塊を塑性流動させることにより、前記分散予定材を前記マトリクス塊中に分散させ、前記コンテナと前記複動式ツールとによって囲まれる空間と対応する形状を備えた複合材を得る、複合材の製造方法にある。
【発明の効果】
【0011】
前記複合材の製造方法は、プローブの回転によってマトリクス塊を機械的に攪拌することにより、マトリクス塊中に分散予定材を分散させることができる。マトリクス塊としては、例えば、溶製法によって作製された鋳塊等を使用することができるため、比較的高価な金属マトリクスの粉末の使用を回避することができる。また、前記製造方法によれば、マトリクス塊の塑性流動に分散予定材を巻き込む際に、分散予定材を機械的に破砕することができる。それ故、分散予定材として、アトマイズ法により作製された粉末に限らず、板材や棒材、箔材等の種々の形態の分散予定材を使用することができる。
【0012】
このように、前記製造方法においては、アトマイズ法によって作成された金属マトリクス等の粉末に比べて格段に安価なマトリクス塊等を使用することができる。それ故、前記製造方法は、従来の粉末冶金法に比べて材料コストを低減することができる。
【0013】
また、前記製造方法では、ショルダーによってマトリクスの変形を拘束しつつプローブの回転によってマトリクス塊を機械的に攪拌するため、攪拌が完了した後の複合材の内部に空隙等の欠陥が形成されにくい。そのため、従来の粉末冶金法のような、複合材内部の欠陥を押し潰すための圧延等を省略することができる。それ故、前記製造方法は、粉末冶金法に比べて工程数を削減し、製造コストを低減することができる。
【0014】
従って、前記製造方法によれば、粉末冶金法に比べて材料コスト及び製造コストを低減し、複合材を安価に作製することができる。
【0015】
また、前記製造方法は、マトリクス塊と分散予定材とを機械的に攪拌することによってマトリクス塊中に分散予定材を分散させることができるため、金属マトリクス中の分散質の材質や量、存在形態を自由に選択することができる。更に、前記製造方法においては、マトリクス塊と分散予定材とを機械的に攪拌する際に分散予定材を破砕することにより、分散予定材を微細化する効果を期待することができる。それ故、前記製造方法は、従来の粉末冶金法による複合材に比べて微細な分散質を含む複合材を作製することができる。
【0016】
これらの結果、前記製造方法によれば、粉末冶金法により得られる複合材と同等以上の優れた性能を有する複合材を作製することができる。
【0017】
以上のように、前記製造方法によれば、優れた性能を有する複合材を安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の複合材の製造方法において、複動式ツールをマトリクス塊に当接させた状態を示す一部断面図である。
図2】実施例1の複合材の製造方法において、マトリクス塊を攪拌している状態を示す一部断面図である。
図3】実施例1の複合材の製造方法において、複動式ツールをマトリクス塊から抜き取った状態を示す一部断面図である。
図4】実施例1の製造方法により得られた電極チップの要部を示す断面図である。
図5】実施例2の複合材の製造方法において、後端部に分散予定材を備えたマトリクス塊に複動式ツールを当接させた状態を示す一部断面図である。
図6】実施例2の複合材の製造方法において、マトリクス塊を攪拌している状態を示す一部断面図である。
図7】実施例2の複合材の製造方法において、複動式ツールをマトリクス塊から抜き取っている途中の状態を示す一部断面図である。
図8】実施例2の製造方法により得られた電極チップの要部を示す断面図である。
図9】実施例3の複合材の製造方法において、マトリクス塊を攪拌している状態を示す一部断面図である。
図10】実施例3の複合材の製造方法において、マトリクス塊の押出を行っている状態を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前記複合材の製造方法において、金属マトリクスとなるマトリクス塊としては、例えば、溶製法によって作製された鋳塊やビレット等を使用することができる。マトリクス塊の材質は特に限定されないが、マトリクス塊は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等から構成されていてもよい。
【0020】
分散質となる分散予定材は、例えば、板材、箔材、棒材、線材、粒状体、粉末などの種々の形態をとり得る。また、例えば、マトリクス塊の外表面を酸化させて予めマトリクス塊の酸化物を形成し、この酸化物を分散予定材とすることもできる。
【0021】
分散予定材の配置は、マトリクス塊の塑性流動に巻き込み、分散予定材をマトリクス塊中に分散させることが可能であれば、特に限定されることはない。例えば、分散予定材をマトリクス塊の外表面に配置した状態でマトリクス塊を攪拌してもよいし、マトリクス塊に予め設けた穴の内部に分散予定材を配置した状態でマトリクス塊を攪拌してもよい。更に、プローブの回転とともにプローブから分散予定材を供給するなどの方法により、分散予定材を供給しながらマトリクス塊の攪拌を行うことも可能である。
【0022】
分散予定材の材質は特に限定されないが、分散予定材は、例えば、Si(シリコン)、Fe(鉄)、Cr(クロム)、Zr(ジルコニウム)、P(リン)等の単体、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物等のセラミクスから構成されていてもよい。
【0023】
前記製造方法においては、まず、コンテナ内にマトリクス塊を配置する。コンテナの形状は特に限定されることはないが、例えば、マトリクス塊の攪拌と同時に据え込み加工を行う場合には、コンテナの内部空間の形状が据え込み後の複合材の形状となる。
【0024】
また、コンテナは、ダイスを取り付けるためのダイス取り付け口を有していてもよい。この場合には、マトリクス塊の攪拌が完了した後にダイス取り付け口にダイスを取り付け、ダイスからマトリクス塊を押し出すことができる。なお、マトリクス塊の攪拌を行っている間は、ダイス取り付け口を閉塞部材によって閉塞すればよい。
【0025】
コンテナ内にマトリクス塊を配置した後、コンテナ内にショルダーとプローブとを備えた複動式ツールを挿入する。複動式ツールは、ショルダーとプローブとが別々に駆動できるように構成されている。プローブは、前後方向に移動するとともに、その中心軸の周囲を回転可能に構成されている。また、ショルダーは、前後方向に移動可能に構成されている。ショルダーは、前後方向への移動に加えて、その中心軸の周囲を回転することができるように構成されていてもよい。この種の複動式ツールとしては、例えば、摩擦攪拌接合用の複動式ツール等を使用することができる。
【0026】
複動式ツールをコンテナ内に挿入した後、ショルダーをマトリクス塊に当接させるとともにプローブをマトリクス塊に挿入する。プローブをマトリクス塊内に挿入するタイミングは、ショルダーをマトリクス塊に当接させるタイミングと同時であってもよいし、異なっていてもよい。また、この時のマトリクス塊の温度は、室温であってもよいし、予熱を行うことにより室温よりも高い温度としてもよい。
【0027】
次いで、ショルダーによってマトリクス塊の変形を拘束しつつ、マトリクス塊と分散予定材とが接触した状態でプローブを回転させてマトリクス塊を塑性流動させる。このとき、分散予定材が粉末の場合には、マトリクス塊の塑性流動に分散予定材を巻き込むことにより、分散予定材をマトリクス塊中に分散させることができる。また、分散予定材が粉末以外、つまり、板材等の場合には、このマトリクス塊の塑性流動に分散予定材を巻き込むことにより、分散予定材を破砕して粒子状にすることができる。それ故、この場合においても、分散予定材をマトリクス塊中に分散させることができる。
【0028】
マトリクス塊において塑性流動が生じる範囲は、例えば、マトリクス塊の肉厚、つまりプローブの径方向におけるマトリクス塊の厚みやプローブの回転数、プローブの形状等によって制御することができる。例えば、マトリクス塊の肉厚が比較的薄い場合には、プローブの回転によってマトリクス塊全体を塑性流動させることができる。この場合には、マトリクス塊全体に分散予定材を分散させることができる。その結果、分散質が金属マトリクス全体に分散した複合材を得ることができる。
【0029】
また、例えば、プローブの肉厚が比較的厚い場合には、プローブの回転によってマトリクス塊におけるプローブの周囲のみを塑性流動させることができる。この場合には、金属マトリクスと分散質とを備えた攪拌部と、金属マトリクスからなり攪拌部に連なる非攪拌部とを備えた複合材を形成することができる。この場合、攪拌部と非攪拌部とは一体的に形成されるため、複合材に鍛造や曲げ加工、プレス加工等の成形加工を施す際に、攪拌部からの外皮部の剥離を効果的に抑制することができる。
【0030】
プローブの回転によって分散予定材をマトリクス塊中に分散させた後にプローブをマトリクス塊から抜き取ると、マトリクス塊に、プローブの形状に対応した凹部が形成される。最終製品に当該凹部が残存していても支障がない場合には、凹部を残した状態で複合材の作製を完了することができる。
【0031】
また、ショルダーをマトリクス塊に押し込むことにより、凹部を埋め戻しながらプローブを抜き取ることもできる。この場合には、凹部を有しない複合材を得ることができる。
【0032】
以上により得られた複合材は、そのまま使用してもよいし、更に切断や鍛造、曲げ加工、プレス加工、切削等の成形加工を適宜施し、所望の形状に成形してもよい。
【0033】
前記製造方法により得られる複合材の形状は、コンテナと複動式ツールとによって囲まれる空間の形状となる。そのため、コンテナの内部空間の形状を最終製品の形状またはこれに近い形状とすることにより、複合材を最終製品の形状又はこれに近い形状にする、いわゆるニアネットシェイプ成形を行うことができる。
【0034】
複合材の形状が最終製品の形状となる場合には、複合材を最終製品の形状に成形する加工が不要となる。また、複合材の形状が最終製品の形状に近い形状となる場合には、例えば、板材や棒材に成形加工を施す場合に比べて、複合材を最終製品の形状に成形するための加工を大幅に短縮することができる。それ故、前記製造方法によってニアネットシェイプ成形を行うことにより、複合材から最終製品を作製する際の加工コストをより低減することができる。
【0035】
また、プローブの回転によって分散予定材をマトリクス塊中に分散させた後、コンテナにダイスを取り付け、当該ダイスからマトリクス塊を押し出すことにより複合材を作製してもよい。
【0036】
前記製造方法によれば、金属マトリクスと分散質との組み合わせを自由に選択することができる。例えば、マトリクス塊としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を採用し、分散予定材としてFeまたはFe合金を採用した場合には、複合材として、優れた耐熱性を有するFe分散アルミニウムを作製することができる。また、マトリクス塊としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を採用し、分散予定材としてSiまたはSi合金を採用した場合には、複合材として、優れた耐摩耗性を示すSi分散アルミニウムを作製することができる。
【0037】
また、マトリクス塊としてAl:0.05〜1.2質量%を含むCu基合金を採用し、分散予定材としてCu酸化物を採用してもよい。この場合には、金属マトリクスとしてのCu基合金中に分散質としてのCu酸化物が分散した複合材を作製することができる。
【0038】
このようにして得られた複合材は、アルミナ分散強化銅のプリフォームとして使用することができる。即ち、この複合材を700〜1050℃に加熱することにより、Cu酸化物中の酸素を金属マトリクスに拡散させ、金属マトリクス中のAlを内部酸化させることができる。その結果、Cu基合金中にアルミナが分散したアルミナ分散強化銅を得ることができる。
【0039】
前記の方法によりアルミナ分散強化銅のプリフォームを作製する場合、Cu酸化物の質量は、マトリクス塊中のAlの質量の3.5〜9.5倍であることが好ましい。この場合には、マトリクス塊中のAl量とCu酸化物中の酸素の量とのバランスを適正な範囲にし、内部酸化の際に金属マトリクスの酸化を抑制しつつAlを十分に酸化させることができる。その結果、アルミナ分散強化銅の耐熱性及び耐溶着性をより向上させることができる。
【0040】
前述したようにプリフォームを内部酸化することによって得られたアルミナ分散強化銅は、例えば、Al:0.30質量%以下を含むCu基合金からなる金属マトリクスと、金属マトリクス中に分散された0.050〜2.0質量%のアルミナからなる分散質と、を含む複合材である。また、プリフォームの構造を金属マトリクスからなる外皮部と外皮部の内側に配置された攪拌部との2層構造とすることにより、内部酸化後の複合材を、アルミナ分散強化銅からなる攪拌部と、Cu基合金からなり攪拌部を覆う外皮部とを備えた2層構造とすることもできる。
【0041】
プリフォームの内部酸化によって得られたアルミナ分散強化銅は、分散質としてのアルミナを容易に微細化することができる。そのため、アルミナ分散強化銅の耐熱性、耐溶着性等の性能をより向上させることができる。かかる方法により得られたアルミナ分散強化銅は、例えば、抵抗スポット溶接用の電極や、電子機器のリード線の素材として好適である。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
前記複合材の製造方法の実施例を、図1図4を用いて説明する。本例の製造方法においては、図1に示すように、金属マトリクス2となるマトリクス塊20をコンテナ41内に配置した後、コンテナ41内に複動式ツール42を挿入する。複動式ツール42は、柱状を呈するショルダー43と、ショルダー43の中心軸を貫通するプローブ44と、を有しており、ショルダー43とプローブ44とは別々に駆動できるよう構成されている。
【0043】
次いで、ショルダー43をマトリクス塊20に当接させるとともに、プローブ44をマトリクス塊20内に挿入する。そして、図2に示すように、ショルダー43によってマトリクス塊20の変形を拘束しつつ、マトリクス塊20と分散質3となる分散予定材30とが接触した状態でプローブ44を回転させる(矢印441)。これにより、プローブ44の回転によってマトリクス塊20を塑性流動させ、分散予定材30をマトリクス塊20中に分散させる。以上により、金属マトリクス2と、金属マトリクス2中に分散した分散質3とを有する複合材1を作製することができる。
【0044】
以下、本例の製造方法をより詳細に説明する。本例のマトリクス塊20は、Al:0.30質量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなるCu基合金の小片である。マトリクス塊20は、直径19mm、長さ30mmの丸棒状を呈しており、溶製法によって作製した鋳塊に押出加工等を行うことにより作製することができる。
【0045】
本例においては、マトリクス塊20を大気雰囲気中で800℃の温度に2時間保持して予熱を行った。この予熱により、図1に示すように、マトリクス塊20の表面に分散予定材30としてのCu酸化物31の皮膜が形成された。Cu酸化物31の皮膜の厚みは約100μmであり、質量は、マトリクス塊20中のAlの質量の3.5〜9.5倍であった。
【0046】
このようにして得られたマトリクス塊20を用い、以下の方法により複合材1を作製した。本例において複合材1の作製に使用した製造装置4の要部を図1に示す。製造装置4は、マトリクス塊20を保持するためのコンテナ41と、ショルダー43とプローブ44とを備えた複動式ツール42と、を有している。
【0047】
複動式ツール42は、コンテナ41の後方に配置されている。複動式ツール42のショルダー43は、前後方向、つまり、コンテナ41に近づく方向及びコンテナ41から遠ざかる方向の両方向へ移動可能に構成されている。本例のショルダー43は外径19mmの円柱状を呈している。
【0048】
複動式ツール42のプローブ44は、矢印441(図2参照)に示すように、その中心軸を回転中心として回転することができるように構成されている。また、プローブ44は、ショルダー43とは独立して前後方向へ移動可能に構成されている。本例のプローブ44は外径10mmの円柱状を呈しており、外表面にマトリクス塊20を攪拌するためのらせん溝(図示略)を有している。
【0049】
本例の製造方法では、まず、マトリクス塊20を製造装置4のコンテナ41内に配置した。次いで、図1に示すように、複動式ツール42を前方に移動させ、ショルダー43をマトリクス塊20に当接させるとともに、プローブ44の先端442を分散予定材30に押し付けた。
【0050】
プローブ44の先端442を分散予定材30に接触させた後、矢印441に示すようにプローブ44を回転させながら更に前方に押し込むことにより、図2に示すようにマトリクス塊20の内部までプローブ44の先端442を挿入した。この際、プローブ44によって押し出されたマトリクス塊20の体積に釣り合うようにショルダー43を後退させ(矢印431)、プローブ44を挿入するための空間を確保した。なお、プローブ44の回転速度は、例えば500〜5000rpmの範囲内から適宜設定することができる。本例のプローブの回転速度は1500rpmとした。
【0051】
本例においては、プローブ44の回転によってマトリクス塊20全体が攪拌され、塑性流動が生じた。このとき、分散予定材30としてのCu酸化物31の皮膜がプローブ44の回転及びマトリクス塊20の塑性流動によって破砕され、Cu酸化物31の粒子310が形成された。また、マトリクス塊20におけるプローブ44と接触している部分の周囲にはショルダー43が当接している。そのため、マトリクス塊20は、複動式ツール42とコンテナ41とによって囲まれた空間内に拘束され、当該空間の外部への材料の漏出は起こらなかった。
【0052】
以上の結果、プローブ44の前進に伴って、マトリクス塊20中に分散予定材30としてのCu酸化物31の粒子310が分散された。
【0053】
プローブ44の先端442がマトリクス塊20の後端から20mmの深さに到達した時点でプローブ44の前方への移動を停止した。この状態でプローブ44をしばらく回転させ、マトリクス塊20全体を十分に攪拌した。その後、図3に示すように複動式ツール42全体を後退させ、プローブ44をマトリクス塊20から抜き取った。
【0054】
以上により得られた複合材1は丸棒状を呈しており、図3に示すように、その中心軸上にプローブ44の形状に対応した凹部11を有している。また、複合材1は、金属マトリクス2としてのCu基合金全体に、分散質3としてのCu酸化物31の粒子310が分散した構造を有している。
【0055】
本例の複合材1は、アルミナ分散強化銅のプリフォームとして使用することができる。複合材1をアルミナ分散強化銅とする場合には、複合材1を700〜1050℃に加熱すればよい。これにより、Cu酸化物中の酸素を拡散させ、金属マトリクス2中のAlを内部酸化させることができる。その結果、図4に示すように、金属マトリクス2としてのCu基合金中に分散質3としてのアルミナ32が分散されたアルミナ分散強化銅を作製することができる。
【0056】
本例においては、複合材1を真空中で850℃の温度に1時間保持し、金属マトリクス2中のAlを内部酸化させてアルミナ分散強化銅とした。アルミナ分散強化銅の化学成分を分析したところ、アルミナ32の含有量は0.60質量%であり、金属マトリクス2中の金属Alの量は0.01質量%であった。
【0057】
内部酸化処理を行った後、複合材1の先端部に切削加工を施して、図4に示す抵抗スポット電極用の電極チップ12を作製した。電極チップ12の先端部は、直径6mmの円形を呈する先端面13と、先端面13と側周面14とを接続するドーム面15と、を備えた、いわゆるドームラジアス型を呈している。ドーム面15は、電極チップ12の長手方向の断面において円弧状の輪郭を有している。また、当該断面におけるドーム面15の曲率半径は40mmである。
【0058】
この電極チップ12をスポット溶接装置に取り付け、板厚1mmの亜鉛メッキ鋼板に繰り返しスポット溶接を行い、電極チップ12が使用不能となるまでの溶接回数を計測した。その結果、本例の方法により得られた電極チップ12は、約4000回のスポット溶接後に使用不能となった。
【0059】
本例の作用効果を説明する。本例の製造方法は、プローブ44の回転によってマトリクス塊20を機械的に攪拌することにより、マトリクス塊20中に分散予定材30を分散させることができる。そのため、比較的高価な金属マトリクス2の粉末の使用を回避し、粉末冶金法に比べて材料コストを低減することができる。また、マトリクス塊20の攪拌を行った後、従来の粉末冶金法のような、焼結体内部の空隙を押し潰すための加工を省略することができるため、粉末冶金法に比べて工程数を削減し、製造コストを低減することができる。
【0060】
更に、本例の製造方法は、マトリクス塊20中と分散予定材30とを機械的に攪拌することによって分散予定材30をマトリクス塊20中に分散させることができるため、金属マトリクス2中の分散質3の材質や量、存在形態を自由に選択することができる。それ故、本例の製造方法によれば、優れた性能を有する複合材1を作製することができる。
【0061】
以上のように、本例の製造方法によれば、優れた性能を有する複合材1を安価に作製することができる。
【0062】
また、本例の製造方法は、複合材1の形状を、最終製品である抵抗スポット溶接用の電極チップ12に近い形状とすることができる。即ち、本例の製造方法は、いわゆるニアネットシェイプ成形を行うことができる。そのため、複合材1の先端部などに切削加工を施すことにより、容易に電極チップ12を作製することができる。それ故、本例の製造方法は、複合材を最終製品の形状に成形するための加工を大幅に短縮し、複合材から最終製品を作製する際の加工コストをより低減することができる。
【0063】
(実施例2)
本例は、マトリクス塊20に形成される凹部を埋め戻しながらプローブ44をマトリクス塊20から抜き取る方法の例である。なお、本実施例以降の例において使用する符号のうち、既出の例において用いた符号と同一のものは、特に説明のない限り既出の例における構成要素等と同様の構成要素等を示す。
【0064】
本例においては、実施例1と同様の方法によりマトリクス塊20を作製した後、マトリクス塊20の一方の端面21をガスバーナーで加熱し、図5に示すように、当該端面21に分散予定材30としてのCu酸化物31の皮膜を形成した。Cu酸化物31の皮膜の厚さは100μmであった。
【0065】
このマトリクス塊20を、Cu酸化物31の皮膜を備えた端面21が後方、つまり、プローブ44が挿入される側を向くようにしてコンテナ41内に配置した。その後は、プローブ44の挿入深さを15mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてマトリクス塊20の攪拌を行った。
【0066】
本例においては、図6に示すように、マトリクス塊20における、プローブ44の周辺部分のみが攪拌され、マトリクス塊20の前方部分、つまり、プローブ44が挿入されていない部分には塑性流動が生じなかった。そのため、Cu酸化物31の粒子310は、マトリクス塊20の後方部分、つまり、プローブ44の周辺部分のみに分散された。
【0067】
マトリクス塊20の攪拌が完了した後、プローブ44をマトリクス塊20から抜き取った(矢印443)。この際、図7に示すように、マトリクス塊20から抜き取られたプローブ44の体積に釣り合う分だけショルダー43を前進させた(矢印432)。これにより、プローブ44によって形成される凹部11を埋め戻しながらプローブ44を抜き取った。
【0068】
以上により、円柱状を呈する複合材102を得た。本例の複合材102は、図8に示すように、金属マトリクス2としてのCu基合金と、分散質3としてのCu酸化物31の粒子310とを含む攪拌部16と、金属マトリクス2からなり攪拌部16に連なる非攪拌部17とを有している。攪拌部16は、具体的には、長手方向における複合材102の一端側に形成されており、非攪拌部17は他端側に形成されている。
【0069】
その後、実施例1と同様の方法により複合材102に内部酸化処理を施し、攪拌部16をアルミナ分散強化銅とした。内部酸化処理後の攪拌部16の化学成分を分析したところ、攪拌部16中のアルミナの含有量は0.60質量%であり、金属Alの含有量は0.01質量%であった。
【0070】
図には示さないが、複合材102の攪拌部16に切削加工を施し、攪拌部16を実施例1の電極チップ12の先端部と同様の形状に成形した。これにより、凹部11を有さない以外は実施例1と同様の形状を有する抵抗スポット溶接用の電極チップを作製した。この電極チップをスポット溶接装置に取り付け、板厚1mmの亜鉛メッキ鋼板に繰り返しスポット溶接を行い、電極チップが使用不能となるまでの溶接回数を計測した。その結果、本例の方法により得られた電極チップは、約4000回のスポット溶接後に使用不能となった。
【0071】
本例に示したように、本発明に係る製造方法は、マトリクス塊20の一部を攪拌することにより、複合材102における所望する部分のみに分散質3を分散させることができる。それ故、分散予定材30の使用量を低減し、材料コストをより低減することができる。その他、本例の方法は、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0072】
(実施例3)
本例は、前記製造方法によって複合材103を形成した後に、複合材103に押出加工を施した例である。
【0073】
本例のマトリクス塊22は、Al:0.30質量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなるCu基合金のビレットである。本例においては、Cu基合金からなり、直径90mm、長さ100mmの円柱状を呈するマトリクス塊22を作製した後、マトリクス塊22を大気雰囲気中で800℃の温度に2時間保持して予熱を行った。この予熱により、マトリクス塊22の表面に分散予定材30としてのCu酸化物31の皮膜が形成された。Cu酸化物31の皮膜の厚みは約100μmであり、質量は、マトリクス塊20中のAlの質量の3.5〜9.5倍であった。
【0074】
また、本例においては、図9に示すように、ダイス451を取り付けるためのダイス取り付け口452を備えたコンテナ45を使用した。ダイス取り付け口452を閉塞部材453によって閉塞した状態で、コンテナ45内にマトリクス塊22を配置した。
【0075】
表面にCu酸化物31の皮膜を有するマトリクス塊22をコンテナ45に挿入した後、実施例1と同様の方法によりプローブ47をマトリクス塊22内に挿入した。そして、プローブ47の回転(矢印471)によってマトリクス塊22全体を攪拌し、分散予定材30としてのCu酸化物31の粒子310をマトリクス塊22全体に分散させた。なお、本例においては、直径90mmの円柱状を呈するショルダー46と、外表面にらせん溝を備えた直径40mmのプローブ47とを使用した。
【0076】
マトリクス塊22を十分に攪拌した後、コンテナ45の閉塞部材453を取り外し、図10に示すように、ダイス取り付け口452にダイス451を取り付けた。本例のダイス451は、直径19mmの円形を呈する開口454を有している。ダイス451をコンテナ45に取り付けた後、ショルダー46とプローブ47との両方を前進させることによりマトリクス塊22をダイス451から押し出した。以上により、直径19mmの円柱状を呈し、金属マトリクス2としてのCu基合金全体に、分散質3としてのCu酸化物31の粒子310が分散した構造を有する複合材103を得た。
【0077】
このようにして得られた複合材103を窒素雰囲気中で850℃の温度に1時間保持し、金属マトリクス中のAlを内部酸化させてアルミナ分散強化銅とした。その後、アルミナ分散強化銅に引き抜き加工を施し、直径19mmの丸棒状とした。得られたアルミナ分散強化銅中のアルミナの含有量は0.60質量%であり、金属マトリクス2中の金属Alの含有量は0.01質量%であった。
【0078】
得られたアルミナ分散強化銅の丸棒を適当な長さに切断した後、鍛造加工を施すことにより、凹部11を有しない以外は実施例1の電極チップ12と同様の形状を備えた抵抗スポット溶接用の電極チップを作製した。この電極チップをスポット溶接装置に取り付け、板厚1mmの亜鉛メッキ鋼板に繰り返しスポット溶接を行い、電極チップが使用不能となるまでの溶接回数を計測した。その結果、本例の方法により得られた電極チップは、約4000回のスポット溶接後に使用不能となった。
【0079】
本例のように、マトリクス塊22の攪拌を行った後、マトリクス塊22に押出加工を施してもよい。この場合には、ニアネットシェイプ成形ではなくなる点を除き、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0080】
(比較例1)
本例は、従来の粉末冶金法によって作製された抵抗スポット溶接用の電極チップの耐久性を評価した例である。本例においては、粉末冶金法によって作製されたアルミナ分散強化銅に鍛造加工を施すことにより、抵抗スポット溶接用の電極チップを作製した。なお、アルミナ分散強化銅中に含まれるアルミナの質量は約0.6質量%であり、金属Alの質量は約0.04質量%であった。
【0081】
得られた電極チップをスポット溶接装置に取り付け、板厚1mmの亜鉛メッキ鋼板に繰り返しスポット溶接を行い、電極チップが使用不能となるまでの溶接回数を計測した。その結果、本例の方法により得られた電極チップは、約2000回のスポット溶接後に使用不能となった。
【0082】
実施例1〜3と比較例1との比較から、実施例1〜3の製造方法により作製された複合材をスポット溶接用の電極チップとすることにより、従来の粉末冶金法により作製された電極チップに比べてスポット溶接における耐久性を向上可能であることが理解できる。更に、実施例1〜3の製造方法によれば、複合材を安価に作製可能であることが容易に理解できる。
【0083】
また、実施例1〜3の製造方法により得られたアルミナ分散強化銅は、比較例1、つまり、従来の粉末冶金法によるアルミナ分散強化銅に比べて金属Alの含有量が少なくなっている。かかる結果から、実施例2の製造方法によれば、従来の粉末冶金法によるアルミナ分散強化銅に比べて高い導電率を備えたアルミナ分散強化銅を作製可能であることが容易に理解できる。
【0084】
本発明に係る複合材及びその製造方法の態様は、上述した実施例の態様に限定されるものではなく、その趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
【0085】
金属マトリクスと分散質との組み合わせは、実施例1〜3に記載した組み合わせに限らず、所望する特性に応じて適宜変更することができる。例えば、実施例1〜3においては金属マトリクス2がCu基合金であり、分散質3がCu酸化物31の粒子310である複合材1、102、103の例を示したが、例えば、金属マトリクス2を純銅とし、分散質をアルミナに変更してもよい。この場合には、純銅からなるマトリクス塊とアルミナかrなる分散予定材とを攪拌することにより、内部酸化処理を行うことなくアルミナ分散強化銅を作製することができる。また、金属マトリクスを純アルミニウムまたはアルミニウム合金とし、分散質をFe、Si、セラミクスなどに変更してもよい。
【0086】
また、実施例1〜3においては、予めマトリクス塊20、22の表面に分散予定材30としてのCu酸化物31の皮膜を形成した例を示したが、マトリクス塊の攪拌と同時にマトリクス塊内に分散予定材を供給することもできる。この場合には、例えば、コンテナの壁面や複動式ツールの先端等に分散予定材を供給する供給口を設け、供給口から分散予定材を供給しながらマトリクス塊の攪拌を行う方法を採用することができる。
【0087】
実施例1〜3には、マトリクス塊20、22を攪拌する前に余熱を行う例を示したが、予熱を行わずにマトリクス塊を攪拌することも可能である。予熱を行わない場合においても、プローブの回転によって摩擦熱が生じるため、予熱を行う場合と同様にマトリクス塊を塑性流動させることができる。
【符号の説明】
【0088】
1、102、103 複合材
2 金属マトリクス
20、22 マトリクス塊
3 分散質
30 分散予定材
41、45 コンテナ
42 複動式ツール
43、46 ショルダー
44、47 プローブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10