特許第6986461号(P6986461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986461盗難防止システム、タイヤ側送信機およびTPMS
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986461
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】盗難防止システム、タイヤ側送信機およびTPMS
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/102 20130101AFI20211213BHJP
   B60R 25/32 20130101ALI20211213BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20211213BHJP
   G08B 13/00 20060101ALI20211213BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B60R25/102
   B60R25/32
   B60C23/04 130B
   G08B13/00 B
   G08B25/10 D
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-22292(P2018-22292)
(22)【出願日】2018年2月9日
(65)【公開番号】特開2019-137221(P2019-137221A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 秋人
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−298147(JP,A)
【文献】 特開2015−095236(JP,A)
【文献】 特開2017−128208(JP,A)
【文献】 特開2009−046079(JP,A)
【文献】 特開2018−002005(JP,A)
【文献】 特開2002−362318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0096402(US,A1)
【文献】 特開2014−117971(JP,A)
【文献】 特開2005−084958(JP,A)
【文献】 特開2015−055922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00−25/40
B60C 23/00−23/20
G08B 13/00
G08B 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TPMSは、第1の物理的状態を含むタイヤの物理的状態を計測可能な検知部と、前記検知部の計測データを車体に取り付けられた車体側受信機へ第1の無線通信を用いて送信可能なタイヤ側送信機と、を備え、前記第1の物理的状態以外の物理的状態を測定しない場合には制御部によりディープスリープモードに保持可能とされており、
前記TPMSを用いた車両盗難防止システムにおいて、
前記第1の物理的状態は前記検知部で検知された加速度であり、
前記検知部が所定の加速度を検知したときに、前記TPMSの前記ディープスリープモードが解除され、
前記ディープスリープモードが解除された時に前記タイヤ側送信機は所定の前記携帯機器と前記第1の無線通信を用いて無線通信を試み、
所定の前記携帯機器と接続できた場合には、前記制御部は車両盗難が起こっていないと判断し、前記タイヤ側送信機から前記車体側受信機へ前記計測データを送信する指示を出し、
所定の前記携帯機器と接続できなかった場合には、前記制御部は車両盗難が起こったものと判断し、前記タイヤ側送信機から盗難情報を車外の外部装置に前記第1の無線通信とは異なる無線通信網を介して通知する指示を出すことを特徴とする、
車両盗難防止システム。
【請求項2】
前記タイヤ側送信機が、
車体側受信機および所定の前記携帯機器と前記第1の無線通信を用いて無線通信を行うことが可能な第1の通信部と、
前記無線通信網を介して前記外部装置と通信可能な第2の通信部とを備えており、
前記第2の通信部が、前記盗難情報を前記外部装置に通知する、
請求項1に記載の車両盗難防止システム。
【請求項3】
前記タイヤ側送信機および所定の前記携帯機器が、ブルートゥース通信可能であって、
前記タイヤ側送信機と所定の前記携帯機器とがペアリングされたものである、
請求項1または請求項2に記載の車両盗難防止システム。
【請求項4】
前記無線通信網が、携帯電話用無線通信網である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
【請求項5】
前記外部装置が、TPMSが搭載された車両に装着しないで用いられる所定の装置である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
【請求項6】
前記盗難情報が、前記タイヤ側送信機の位置情報を含んでいる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
【請求項7】
前記制御部が、前記盗難情報を所定の時間間隔で通知するように制御する、
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
【請求項8】
前記タイヤ側送信機が、車両の備えるすべての前記タイヤに設けられている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
【請求項9】
前記タイヤ側送信機が、車両の備える前記タイヤのうち、少なくとも一つに設けられている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
【請求項10】
第1の物理的状態を含むタイヤの物理的状態を計測可能な検知部を備え、前記検知部の計測データを車体に取り付けられた車体側受信機へ第1の無線通信を用いて送信可能であり、前記第1の物理的状態以外の物理的状態を測定しない場合には制御部によりディープスリープモードに保持可能とされているTPMSのタイヤ側送信機において、
前記第1の物理的状態は前記検知部で検知された加速度であり、
前記検知部が所定の加速度を検知したときに、前記TPMSの前記ディープスリープモードが解除され、
前記ディープスリープモードが解除された時に所定の前記携帯機器との無線通信を試み、
所定の前記携帯機器と接続できた場合には、前記制御部は車両盗難が起こっていないと判断し、前記車体側受信機へ前記計測データを送信する指示を出し、
所定の前記携帯機器と接続できなかった場合には、前記制御部は車両盗難が起こったものと判断し、盗難情報を車外の外部装置に前記第1の無線通信とは異なる無線通信網を介して通知する指示を出すことを特徴とする、
タイヤ側送信機。
【請求項11】
請求項10に記載のタイヤ側送信機を備えていることを特徴とする、
TPMS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両やタイヤの盗難を検知するTPMSを用いた盗難防止システム、タイヤ側送信機およびTPMSに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の備えるタイヤに関する情報を車内のドライバーに知らせることを目的とする、タイヤの空気圧などを測定して車体に設置された受信機に送るTPMS(Tire Pressure Monitoring System、タイヤ空気圧監視システム)が知られている。TPMSは、タイヤの空気圧低下を事前検知して危険を未然に回避したり、空気圧の適正化により燃費を向上させたりすること等を目的としているが、近年、車両やタイヤの盗難防止を検知するシステムに利用することが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1に記載の盗難検知システムは、タイヤ単体の盗難を迅速に検知することを目的としており、複数本のタイヤからの加速度情報を取得した場合に、各タイヤの加速度情報に関連性が無いときに盗難があったと判断する。
特許文献2に記載の盗難防止システムは、TPMSに新たな構成を設けないで盗難防止システムを実現することを目的としており、車両本体側に設けられる無線受信ユニットが、各タイヤに設けられる無線受信ユニットから送信される無線信号を受信するとともに、この無線信号の電波強度を検出する無線受信手段と、電波強度の変化履歴に基づいて盗難行動などの有無を判定する盗難行動判定手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−218166号公報
【特許文献2】特開2007−245981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の盗難検知システムは、車体側とタイヤ側との間で常に通信する必要がある。このため、バッテリーの消費量が大きくなるという問題がある。特許文献2に記載の盗難防止システムは、各タイヤに設けられた無線受信ユニットから取得した情報に基づいて、車両に設けられた無線受信ユニットが盗難の有無を判断する。このため、車両本体に設けられた無線受信ユニットが故障した場合などには、盗難を検知できないという問題がある。
本発明の目的は、電力消費量を抑制するとともに、タイヤに設けられたタイヤ側送信機が車両などの盗難を検知し、車両本体の車体側受信器を介することなく外部に通知できるTPMSを用いた盗難防止システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、本発明は以下の構成を備えている。
本発明の車両盗難防止システムは、TPMSが、第1の物理的状態を含むタイヤの物理的状態を計測可能な検知部と、前記検知部の計測データを車体に取り付けられた車体側受信機へ第1の無線通信を用いて送信可能なタイヤ側送信機と、を備え、前記第1の物理的状態以外の物理的状態を測定しない場合には制御部によりディープスリープモードに保持可能とされており、前記TPMSを用いた車両盗難防止システムにおいて、前記ディープスリープモードが解除された時に前記タイヤ側送信機は所定の前記携帯機器との無線通信を試み、所定の前記携帯機器と接続できた場合には、前記制御部は車両盗難が起こっていないと判断し、前記タイヤ側送信機から前記車体側受信機へ前記計測データを送信する指示を出し、所定の前記携帯機器と接続できなかった場合には、制御部は車両盗難が起こったものと判断し、前記タイヤ側送信機から盗難情報を車外の外部装置に前記第1の無線通信とは異なる無線通信網を介して通知する指示を出すことを特徴とする。
この構成によれば、前記第1の物理的状態以外の物理的状態を測定しない場合にはディープスリープモードによりTPMSの電力消費量を抑制するとともに、ディープスリープモード解除の際、所定の携帯機器との無線通信の可否に基づいて車両盗難を検知し、車両盗難を検知したときには車体側受信機を介さずに、第1の無線通信とは異なる無線通信網を介して外部に通知することができる。
【0007】
前記第1の物理的状態が前記検知部で検知された加速度であり、前記検知部が所定の加速度を検知したときに、前記TPMSの前記ディープスリープモードを解除してもよい。
【0008】
前記タイヤ側送信機が、車体側受信機および所定の前記携帯機器と前記第1の無線通信を用いて無線通信を行うことが可能な第1の通信部と、前記無線通信網を介して前記外部装置と通信可能な第2の通信部とを備えており、前記第2の通信部が、前記盗難情報を前記外部装置に通知してもよい。
この構成によれば、タイヤ側送信機が車両盗難を検知した場合に、車両の外にある外部装置を介して車両の所有者などに盗難情報を知らせることができる。
【0009】
前記タイヤ側送信機および所定の前記携帯機器が、ブルートゥース通信可能であって、前記タイヤ側送信機と所定の前記携帯機器とがペアリングされたものであってもよい。
この構成によれば、ディープスリープモードが解除された時に前記第1の通信部が所定の前記携帯機器との無線通信を試みることによって、車両内に所定の携帯機器があれば接続できる。
【0010】
前記無線通信網を携帯電話用無線通信網とすれば、車両から遠い距離にある携帯電話やスマートフォンなどの外部装置に通知できるから、車両盗難をより確実に通知することが可能になる。
【0011】
前記外部装置が、TPMSが搭載された車両に装着しないで用いられる所定の装置であることが好ましい。
この構成によれば、第2の通信部が盗難情報を通知する相手が、車両に搭載された音や光等を発する装置ではなく、車両に搭載されずに車両から離れて用いられる所定の装置であることから、車両の所有者は、車両から離れた場所において車両盗難の通知を容易に認識することができる。
【0012】
前記盗難情報が、前記タイヤ側送信機の位置情報を含んでいることが好ましい。タイヤ側送信機の位置情報を含む盗難情報を通知することにより、盗難車両の検索が容易になる。
【0013】
前記制御部が、前記盗難情報を所定の時間間隔で通知するように制御するものであってもよい。
所定の時間間隔で盗難情報を繰り返し通知することにより、連続して盗難情報を通知する場合に比べて消費電力を少なくすることができるので、車両の所有者に対してより長い時間に渡って確実に通知することができる。
【0014】
前記タイヤ側送信機が、車両の備えるすべての前記タイヤに設けられていることが好ましい。この構成により、車両の備えるタイヤのみが盗難された場合に検知して、通知することができる。ただし、前記タイヤ側送信機は、車両の備える前記タイヤのうち、少なくとも一つに設けられていれば、車両の盗難を検知することができる。
【0015】
本発明のタイヤ側送信機は、第1の物理的状態を含むタイヤの物理的状態を計測可能な検知部を備え、無線通信を介して前記検知部の計測データを車体に取り付けられた車体側受信機へ第1の無線通信を用いて送信可能であり、前記第1の物理的状態以外の物理的状態を測定しない場合には制御部によりディープスリープモードに保持可能とされているTPMSのタイヤ側送信機において、前記ディープスリープモードが解除された時に所定の前記携帯機器との無線通信を試み、所定の前記携帯機器と接続できた場合には、前記制御部は車両盗難が起こっていないと判断し、前記車体側受信機へ前記計測データを送信する指示を出し、所定の前記携帯機器と接続できなかった場合には、前記制御部は車両盗難が起こったものと判断し、盗難情報を車外の外部装置に前記第1の無線通信とは異なる無線通信網を介して通知する指示を出すことを特徴とする。
本発明のTPMSは、上記のタイヤ側送信機を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上述した車両盗難防止システム同様、バッテリーの消費量を抑制するとともに、タイヤに設けられる無線受信ユニットにより車両などの盗難を検知して、車両本体に設けられた無線受信ユニットを介することなく外部に通知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、TPMSのディープスリープモード解除をトリガとして、盗難の有無を検知するから、電力消費量を抑制することができる。第1の通信部と所定の携帯機器との接続の可否に基づいてタイヤ側送信機が盗難の有無を判断して、第1の無線通信を介した車体側受信機を経ないで、第1の無線通信とは異なる無線通信網を介して車外の外部装置に通知できるから、車体側の車体側受信機等が故障した場合でも盗難を検知して通知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る車両盗難防止システムの概要を示す機能ブロック図である。
図2】本発明に係る車両盗難防止システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参酌しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る車両盗難防止システム1の概要を示す機能ブロック図である。同図に示すように、本実施形態の車両盗難防止システム1は、検知部11と、車体に取り付けられた車体側受信機2と無線通信可能なタイヤ側送信機10により構成されている。このように、TPMSのうちタイヤに取り付けられるタイヤ側送信機10のみを用いて車両盗難防止システム1を構成することにより、車体側受信機2が故障した場合でも、自動車やバイクなどの車両100やタイヤの盗難を検知し、車両外部の基地局4を介して、外部装置5に盗難の事実、車両100の位置などの盗難情報を通知することができる。
【0019】
車両盗難防止システム1に用いられるタイヤ側送信機10は、検知部11、第1の通信部12、第2の通信部13および制御部14を備えている。また、運転モードとして、ディープスリープモード、通常起動モードおよび盗難通知モードを備えている。ディープスリープモードは他のモードに切り替えるために必要な最小の電圧にまで下げた状態を維持した状態であり、検知部11が加速度以外の物理的状態を測定しないモードである。例えば、駐車中などのようにタイヤの物理的状態の測定が不要な場合に、タイヤ側送信機10をディープスリープモードとすることにより、タイヤ側送信機10の電力消費量を抑制することができる。通常起動モードでは検知部11によりタイヤの物理的状態を検知して検知結果を車体側受信機2に通知し、盗難検知モードではタイヤ側送信機10が盗難情報を外部装置5に通知する。
【0020】
検知部11は、加速度、圧力、温度、速度などのタイヤの物理的状態を計測する手段である。上述したディープスリープモードでは、タイヤの回転運動の加速度が一定以上になったことによる車両100の運転開始の検知がディープスリープモードを解除して他のモードに移行するトリガとして用いられる。検知部11は、ディープスリープモードの解除に用いる第1の物理的状態として、加速度を用いている。このため、検知部11は加速度センサを備えており、タイヤの回転運動の加速度を測定することができる。検知部11の加速度センサが所定の加速度を検知したときに、TPMSのディープスリープモードが解除される。なお、車両100の使用開始を検知してモードを移行するトリガは加速度に限られるものではない。他のトリガとしては、例えばタイヤの回転運動の速度(回転速度)等が挙げられる。
【0021】
タイヤ側送信機10は、第1の通信部12および第2の通信部13を介して、車体に取り付けられた車体側受信機2、所定の携帯機器3および外部装置5に対し、無線通信により盗難情報やタイヤの物理的状態等の種々の情報を送信する。
【0022】
第1の通信部12は、車体側受信機2および所定の携帯機器3とタイヤ側送信機10との間における、数メートル程度の近距離通信である第1の無線通信に用いられるものであり、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標、以下同様)やZigbee(登録商標)などの近距離無線通信規格のモジュールなどを備えている。
【0023】
第2の通信部13は、車両外部の外部装置5とタイヤ側送信機10との間における、携帯電話通信網などの広域通信網(Wide Area Network, WAN)を介した遠距離通信に用いられる第1の無線通信とは異なるものであり、3Gや4G等の携帯電話通信規格により通信可能な電話モジュールなどを備えている。
【0024】
タイヤ側送信機10は、近距離無線通信用の第1の通信部12に加えて、遠距離無線通信用の第2の通信部13を備えている。このため、例えば、車両100に搭載された音や光を発することによって盗難を知らせる装置ではなく、車両100から離れて用いられる外部装置5に対して盗難情報を通知することができる。したがって、車両の使用者は、車両100から離れた場所において、所定の外部装置5に通知された盗難情報により、通知があったことや盗難車両の位置などを容易に認識することができる。例えば、車両100の使用者の自宅と駐車場とが離れている(別の場所にある)場合などでも、自宅にいながら車両100やタイヤが盗難にあった事を認識することができる。
【0025】
タイヤ側送信機10は、車体側受信機2を介することなく、広域通信回線の基地局4を介して盗難情報を出力する。したがって、例えば、車両100内の車体側受信機2や盗難情報を知らせる装置の状態などに関係なく、盗難情報を通知することができる。例えば、盗難の際、車両100を制御するシステム自体が乗っ取られた場合でも盗難を検知して、盗難情報を通知できる。
【0026】
制御部14は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらを接続するバスラインを備えたコンピュータであり、検知部11、第1の通信部12および第2の通信部13等を制御する。
【0027】
車両100の盗難防止及び各タイヤ単体の盗難防止に対応することができるという観点から、タイヤ側送信機10は、スペアタイヤを含む車両100が備えるすべてのタイヤに設けられていることが好ましい。ただし、車両100の備えるタイヤのうちの少なくとも一つに設けることにより、車両100の盗難を検知することができる。したがって、車両100の盗難防止の観点からは、車両100が備えるすべてのタイヤに設けられている必要はなく、一つのタイヤに設けられていればよい。
【0028】
車体側受信機2は、第1の通信部12から送信された情報を受信し、受信したタイヤに関する情報を表示部に表示したり、スピーカーから出力したりする。車体側受信機2は、車両100に内蔵されたものであっても、ダッシュボードの上などに後から取り付けられるものであってもよい。タイヤに関する情報を出力する表示部やスピーカーは、車体側受信機2が備えていても、車両100が備えていてもよい。
【0029】
携帯機器3は、TPMSが搭載された車両100に装着しないで用いられる所定の装置であって、ブルートゥース通信可能なものである。例えば、スマートキー、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコンなどを携帯機器3として用いることができる。携帯機器3とタイヤ側送信機10(第1の通信部12)とを予めペアリングしておくことにより、それ以降に所定の携帯機器3が車両100内に持ち込まれた時には、自動的にタイヤ側送信機10の第1の通信部12に接続することができる。
【0030】
基地局4は、携帯電話などの広域通信網(Wide Area Network, WAN)を構成する無線局であり、タイヤ側送信機10(第2の通信部13)との間で無線通信を行い、タイヤ側送信機10を電話回線やインターネットなどに接続する。
【0031】
外部装置5は、基地局4を介して第2の通信部13から送信された盗難情報の受信に用いられるものであり、例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコンなどが挙げられる。ここで、特にスマートフォンなどは、広域通信網に接続可能であるとともに、常に車両100の使用者が身近な場所に携えている可能性が高く、受信した盗難情報をより確実に確認できるため外部装置5として用いられる可能性が大きい。また、スマートフォンがブルートゥース通信可能なものであればタイヤ側送信機10とペアリングされる携帯機器3として使用することも可能である。すなわち、広域通信網に接続可能であるとともにブルートゥース通信可能な機器を用いれば、タイヤ側送信機10とペアリングされた所定の携帯機器3は外部装置5として使用することも可能である。
【0032】
図2は本発明に係る車両盗難防止システム1の動作を示すフローチャートである。同図に示すフローチャートは、タイヤ側送信機10が所定の携帯機器3とブルートゥース接続され、携帯電話網を構成する基地局4を介して外部装置5と接続される場合を説明している。
【0033】
同図に示すように、車両100のタイヤに備え付けられたタイヤ側送信機10は、車両100の使用を開始したときにはディープスリープモード(S1)となっている。ディープスリープモード(S1)では、検知部11により所定の加速度が検知されるまで繰り返して所定の加速度が検知されたか否かの判定(S2)が行われる。すなわち、検知部11により所定の加速度が検知された時(S2のYES)にディープスリープモード(S1)は解除され、所定の加速度が検知されない場合(S2のNO)にはディープスリープモードを維持する。なお、所定の加速度は、例えば、車両100が所定の速度以上で走り出したときや、タイヤが車両100から取り外されたときに検知部11により検知された加速度である。ディープスリープモードの解除(S3)に用いられる加速度は、所定の加速度そのものでも、所定の加速度を演算処理して得られた情報であってもよい。
【0034】
検知部11により所定の加速度が検知されると(S2のYES)、タイヤ側送信機10のディープスリープモードが解除されて(S3)、第1の通信部12が所定の携帯機器3との間で第1の無線通信としてのブルートゥース接続を用いた接続を試みる(S4)。ブルートゥース接続では、予め機器登録(ペアリング)という操作しておくことにより、登録済の機器が通信可能な範囲にある場合には自動的に接続される。
【0035】
タイヤ側送信機10を車両100のタイヤに取り付ける際に、車両100のスマートキーやスマートフォン等の所定の携帯機器3をタイヤ側送信機10に登録する機器登録(ペアリング)の操作を行っておく。この操作により、あらかじめタイヤ側送信機10に所定の携帯機器3を機器登録しておくことで、タイヤ側送信機10の第1の通信部12がブルートゥース接続を試みたとき(S4)に、所定の携帯機器3が車両内にある場合には第1の通信部12とブルートゥース接続され、所定の携帯機器3が車両内にない場合には第1の通信部12とブルートゥース接続されない。
【0036】
制御部14は、第1の通信部12と所定の携帯機器3とのブルートゥース接続により接続できたか否か(S5)に応じて、異なるモードでタイヤ側送信機10を起動する。所定の携帯機器3と接続できた場合(S5のYES)には、制御部14は車両盗難が起こっていない(所定の携帯機器3を所持しているので車両100の使用者(所持者)が使用中である)と判断し、通常起動モードに切り替える(S6)。通常起動モードでは、制御部14がタイヤ側送信機10から車体側受信機2へタイヤの物理的状態の計測データを送信する指示を出す。通常起動モードでは、例えばタイヤの空気圧、内部温度等のタイヤに関する情報を所定の送信頻度で、車体側受信機2に送信する。送信頻度は、通常時は30秒間隔程度とし、タイヤのパンク等の異常を検知したときは1秒間程度とする。
【0037】
所定の携帯機器3と接続できなかった場合(S5のNO)には、制御部14は車両盗難が起こったもの(所定の携帯機器3を所持していないので車両100の使用者(所持者)以外が使用中である)と判断し、盗難通知モードに切り替える(S7)。盗難通知モードでは、制御部14がタイヤ側送信機10から盗難情報を車体側受信機2以外に第1の無線通信とは異なる無線通信網を介して通知する指示を出す。盗難情報の通知としては、例えば、盗難の事実を知らせる電子メールを所定のアドレスに送信することや、警備会社、警察などに電話をして、盗難の事実を自動音声により知らせること等が挙げられる。なお、盗難通知モードにおいては、制御部14がタイヤ側送信機10から盗難情報を車体側受信機2以外に通知する指示を出す、と説明したが、車体側受信機2以外に盗難情報の通知と平行して、通常起動モードと同様に車体側受信機2へタイヤの物理的状態の計測データを送信していても良い。
【0038】
検知部11がタイヤ側送信機10の位置情報を検知するGPS機能を備えている場合、盗難情報として定期的にタイヤ側送信機10の位置情報を電子メールで送信してもよい。タイヤ側送信機10の位置情報を含む盗難情報を通知することにより、タイヤ側送信機10すなわち盗難された車両100やタイヤの位置情報が得られるから、捜索が容易になる。また、制御部14により第2の通信部13を制御して、盗難情報を所定の時間間隔で繰り返し通知するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明は、TPMSのディープスリープモードが解除されるタイミングを利用して、車両の盗難を検知する車両盗難防止システムとして有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 :車両盗難防止システム
2 :車体側受信機
3 :携帯機器
4 :基地局(無線通信網)
5 :外部装置
10 :タイヤ側送信機
11 :検知部
12 :第1の通信部
13 :第2の通信部
14 :制御部
100 :車両
図1
図2