特許第6986469号(P6986469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

<>
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000002
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000003
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000004
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000005
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000006
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000007
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000008
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000009
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000010
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000011
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000012
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000013
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000014
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000015
  • 特許6986469-車両用構造部材 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986469
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】車両用構造部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/34 20060101AFI20211213BHJP
   B60R 19/04 20060101ALI20211213BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20211213BHJP
   F16F 7/12 20060101ALI20211213BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B60R19/34
   B60R19/04 M
   F16F7/00 C
   F16F7/12
   B60R19/24 N
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-46935(P2018-46935)
(22)【出願日】2018年3月14日
(65)【公開番号】特開2019-156227(P2019-156227A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】山川 大貴
(72)【発明者】
【氏名】橋村 徹
(72)【発明者】
【氏名】前田 康裕
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−241869(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1316876(KR,B1)
【文献】 特開2010−018047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00−19/56
F16F 7/00
F16F 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が備える一対のフロントサイドメンバの前端にそれぞれ固定される管状のバンパーステイと、
前記バンパーステイがそれぞれ挿入される孔部が設けられた管状のバンパービームと
を備え、
前記バンパーステイは、
前記バンパービームの前記孔部に拡管された状態で接合された挿入部を有する第1衝撃吸収部分と、
前記第1衝撃吸収部分に対して外側に隣接して設けられた第2衝撃吸収部分と
を備え
前記第1衝撃吸収部分と前記第2衝撃吸収部分とは、一体に設けられている、車両用構造部材。
【請求項2】
前記第1衝撃吸収部分は、前記フロントサイドメンバに対して固定されており、
前記バンパーステイの前記第2衝撃吸収部分は、前記フロントサイドメンバよりも外側に延在している、請求項1に記載の車両用構造部材。
【請求項3】
前記バンパーステイの前記第1衝撃吸収部分と前記第2衝撃吸収部分とは、前記バンパーステイが延びる方向に直交する断面において、閉断面形状を有する、請求項1又は2に記載の車両用構造部材。
【請求項4】
前記バンパーステイの前記バンパーステイが延びる方向に直交する断面は、
第1の八角形部と、
前記第1の八角形部に隣接して配置された第2の八角形部と
を備え、
前記第1の八角形部と前記第2の八角形部とは1つの仕切壁を共有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用構造部材。
【請求項5】
前記バンパービームは、前記第2衝撃吸収部分の前記バンパーステイが延びる方向における端部と対向する対向壁を備えており、
前記第2衝撃吸収部分の前記端部と、前記バンパービームの前記対向壁とは、前記バンパーステイが延びる方向において間隔を開けて配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用構造部材。
【請求項6】
前記バンパービームの車幅方向における寸法は、前記車両の車幅の85%以上であり、
前記バンパーステイの車幅方向における寸法は、前記車両の車幅の17.5%以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用構造部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スモールオーバーラップ衝突試験が導入されるなど、衝撃吸収用の車両用構造部材に高い衝突安全性が求められている。
【0003】
従来の衝撃吸収用の車両用構造部材としては、車体両側に設けられたフロントサイドフレームから車体前方に突出された衝撃吸収部材と、衝撃吸収部材の前端部に連結されて車幅方向に延びるバンパービームとを備えるものがある(特許文献1参照)。特許文献1には、スモールオーバーラップ衝突の際の衝撃エネルギーの吸収量を増加するために、車幅方向外側へ張り出した衝撃吸収部材を備える車両用構造部材が開示されている。また、この車両用構造部材では、衝撃吸収部分と、バンパービームとは溶接で結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−100555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の車両用構造部材では、衝撃吸収部材とビームとが溶接で結合されているため、溶接熱影響部において軟化や熱ひずみが発生し、車両用構造部材としての信頼性が低下する恐れがある。
【0006】
本発明は、信頼性を低下させることなく、スモールオーバーラップ衝突の際のエネルギー吸収効率を向上できる車両用構造部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の車両用構造部材は、車両が備える一対のフロントサイドメンバの前端にそれぞれ固定される管状のバンパーステイと、前記バンパーステイがそれぞれ挿入される孔部が設けられた管状のバンパービームとを備え、前記バンパーステイは、前記バンパービームの前記孔部に拡管された状態で接合された挿入部を有する第1衝撃吸収部分と、前記第1衝撃吸収部分に対して外側に隣接して設けられた第2衝撃吸収部分とを備え、前記第1衝撃吸収部分と前記第2衝撃吸収部分とは、一体に設けられている


【0008】
この構成によれば、スモールオーバーラップ衝突した際に、バンパービームの第1衝撃吸収部分に加えて、第2衝撃吸収部分が、バンパーステイが延びる方向に圧壊することで、スモールオーバーラップ衝突の際のエネルギー吸収効率を向上できる。また、バンパービームとバンパーステイとの接合は、バンパーステイの拡管によって行われている。すなわち、バンパービームとバンパーステイとの接合に溶接加工を必要とせず、車両用構造部材としての信頼性を低下させない。
【0009】
前記第1衝撃吸収部分は、前記フロントサイドメンバに対して固定されていてもよく、前記バンパーステイの前記第2衝撃吸収部分は、前記フロントサイドメンバよりも外側に延在していてもよい。
【0010】
この構成によれば、バンパーステイの車両のフロントサイドメンバへの取り付け位置に関わらず、第2衝撃吸収部分によって、スモールオーバーラップ衝突の際の衝撃エネルギーの吸収量を増加できる。また、バンパービームの車幅方向の寸法を大きくした場合であっても、バンパービームの車幅方向の端部からバンパーステイの第1衝撃吸収部分までの間の衝撃エネルギーを、バンパーステイの第2衝撃吸収部分が吸収することで、スモールオーバーラップ衝突の際に、車両用構造部材が横倒れしない。
【0011】
前記バンパーステイの前記第1衝撃吸収部分と前記第2衝撃吸収部分とは、前記バンパーステイが延びる方向に直交する断面において、閉断面形状を有していてもよい。
【0012】
この構成によれば、バンパーステイの第1衝撃吸収部分が、バンパーステイが延びる方向に直交する断面において、開断面を有する場合と比較して、バンパービームとの接合力を向上できる。また、バンパーステイの第2衝撃吸収部分が、バンパーステイが延びる方向に直交する断面において、開断面を有する場合と比較して、バンパーステイ全体としての断面積を大きくでき、衝撃エネルギーの吸収量を増加できる。
【0013】
前記バンパーステイの前記バンパーステイが延びる方向に直交する断面は、第1の八角形部と、前記第1の八角形部に隣接して配置された第2の八角形部とを備えていてもよく、前記第1の八角形部と前記第2の八角形部とは1つの仕切壁を共有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、信頼性を低下させることなく、スモールオーバーラップ衝突の際のエネルギー吸収効率を向上できるバンパーステイを具体的に設計できる。
【0015】
前記バンパービームは、前記第2衝撃吸収部分の前記バンパーステイが延びる方向における端部と対向する対向壁を備えていてもよく、前記第2衝撃吸収部分の前記端部と、前記バンパービームの前記対向壁とは、前記バンパーステイが延びる方向において間隔を開けて配置されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、スモールオーバーラップ衝突の際に、第1衝撃吸収部分が、バンパーステイが延びる方向に圧壊した後に第2衝撃吸収部分がバンパーステイが延びる方向に圧壊する。すなわち、スモールオーバーラップ衝突の際の衝撃を段階的に吸収できるため、衝突初期においてバンパーステイに作用する初期荷重が大きく立ち上がることを防止できる。
【0017】
前記バンパービームの車幅方向における寸法は、前記車両の車幅の85%以上であってもよく、前記バンパーステイの車幅方向における寸法は、前記車両の車幅の17.5%以上であってもよい。
【0018】
この構成によれば、車両に対して、例えば、車幅の25%のオーバーラップ衝突がされた場合には、衝突された領域の車幅方向における70%の領域でバンパーステイによって衝撃を吸収できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、信頼性を低下させることなく、スモールオーバーラップ衝突の際のエネルギー吸収効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用構造部材を取り付けた車体骨格の模式的な斜視図。
図2】第1実施形態に係る車両用構造部材の模式的な斜視図。
図3図2のIII−III線に沿った断面図。
図4図3のIV−IV線に沿った断面図。
図5】第1実施形態に係る車両用構造部材を取り付けた車体骨格の模式的な平面図。
図6】第1実施形態に係る部材を接合する第1工程の図3と同様の断面図。
図7】第1実施形態に係る部材を接合する第2工程の図3と同様の断面図。
図8】第1実施形態に係る部材を接合する第3工程の図3と同様の断面図。
図9】第1実施形態の変形例に係る車両用構造部材の図4と同様の断面図。
図10】第1実施形態の変形例に係る車両用構造部材の図4と同様の断面図。
図11】第1実施形態の変形例に係る車両用構造部材の図4と同様の断面図。
図12】第1実施形態の変形例に係る車両用構造部材の図4と同様の断面図。
図13】第1実施形態の変形例に係る車両用構造部材の図4と同様の断面図。
図14】本発明の第2実施形態に係る車両用構造部材の図3と同様の断面図。
図15】本発明の第3実施形態に係る車両用構造部材の図3と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明のバンパーレインフォースメント(車両用構造部材)1を取り付けた自動車(車両)2の模式的な斜視図である。以下の説明において、自動車2の車幅方向,前後方向,及び車高方向をそれぞれX方向,Y方向,Z方向という場合がある。
【0023】
図1を参照すると、自動車2は、X方向の両側にY方向に延在する一対のフロントサイドメンバ3を備える。バンパーレインフォースメント1は、一対のフロントサイドメンバ3の間を掛け渡すように取り付けられている。バンパーレインフォースメント1は、前方衝突の際に自動車2の本体部4を保護する役割を果たす。
【0024】
図2を参照すると、バンパーレインフォースメント1は、2つのバンパーステイ10と、1つのバンパービーム20とを備える。
【0025】
図3を併せて参照すると、バンパーステイ10は、Y方向に延びる管状である。本実施形態のバンパーステイ10は、第1衝撃吸収部分11と、第1衝撃吸収部分11のX方向の外側に隣接して配置された第2衝撃吸収部分12とを備える。第1衝撃吸収部分11は、Y方向における両端で、Y方向に垂直な平坦面を有している。また、第2衝撃吸収部分12は、Y方向の前方側の端部12aにおいて、X方向外側に向かってY方向後方へ傾斜する平坦面を有している。第2衝撃吸収部分12は、Y方向の後方側の端部において、Y方向に垂直な平坦面を有している。本実施形態のバンパーステイ10は、例えば、アルミニウム合金からなる押し出し材である。
【0026】
図4を参照すると、第1衝撃吸収部分11は、Y方向に垂直な断面において、矩形状の閉断面形状を有している。本実施形態では、第1衝撃吸収部分11の閉断面形状は、正方形であり、連続した4つの平坦な壁13で構成されている。
【0027】
第2衝撃吸収部分12は、Y方向に垂直な断面において、矩形状の閉断面形状を有している。本実施形態では、第2衝撃吸収部分12の閉断面形状は、正方形であり、連続した4つの平坦な壁13で構成されている。
【0028】
すなわち、本実施形態のバンパーステイ10のY方向に直交する断面は、第1衝撃吸収部分11を構成する第1の正方形部と、第1の正方形部に隣接して配置され、第2衝撃吸収部分12を構成する第2の正方形部とを備える。第1の正方形部と第2の正方形部とは、壁13の1つである仕切壁14を共有している。言い換えれば、仕切壁14は、第1の正方形部の一部でもあり、第2の正方形部の一部でもある。
【0029】
図3を参照すると、仕切壁14は、第1衝撃吸収部分11と第2衝撃吸収部分12とが共有する共有部分14aと、第1衝撃吸収部分11のみに含まれる専有部分14bとを備える。
【0030】
図3を参照すると、バンパーステイ10は、第1衝撃吸収部分11の外周面において、バンパーステイ10の外側へ膨らんだ張出部(挿入部)15を備える。
【0031】
図2及び図3を参照すると、バンパービーム20は、Y方向においてバンパーステイ10の前方側に配置されている。バンパービーム20は、XZ平面に配置された前壁21と、XZ平面に配置され、前壁21とY方向の後方側に離間して配置された後壁22とを備える。前壁21の両端部は、Z方向から見て、X方向の外側に向かって、Y方向の後方側に傾斜している前方傾斜部21aをそれぞれ有する。後壁22の両端部は、Z方向から見て、X方向の外側に向かって、Y方向の後方側に傾斜している後方傾斜部22aをそれぞれ有する。バンパービーム20は、Z方向に対する垂直面(XY平面)に配置され、前壁21の端部と後壁22の端部とを機械的に接続する、上壁23と下壁24とを備える。すなわち、本実施形態に係るバンパービーム20は、前壁21、後壁22、上壁23、及び下壁24で囲まれた空間部25を備える。各後方傾斜部22aには、バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11が挿入される孔部26が形成されている。孔部26は、バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11の外形と相似形の矩形状であり、第1衝撃吸収部分11の外形に比べて僅かに大きく形成されている。同様に、バンパービーム20の各前方傾斜部21aには、後方傾斜部22aの孔部26と同心に同形状の孔部27が設けられている。このようなバンパービーム20は、例えばハイテンション鋼からなる。
【0032】
図3を参照すると、バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11は、バンパービーム20の後方傾斜部22aの孔部26と、前方傾斜部21aの孔部27とに挿入されている。バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11は、空間部25と、バンパービーム20の前方傾斜部21aのY方向における前方側と、バンパービーム20の後方傾斜部22aのY方向における後方側とにおいて、張出部15が形成されている。バンパーステイ10の張出部15は、孔部26及び孔部27の全周に亘って当接している。
【0033】
また、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12のY方向における前方側の端部12aは、後壁22の後方傾斜部(対向壁)22aとY方向において間隔Dを開けて配置されている。この間隔Dは、仕切壁14の共有部分14aのY方向における寸法Aの30%以下の範囲で設定される。
【0034】
図5を参照すると、バンパーステイ10のY方向における後端部には、連結プレート5が取り付けられている。バンパーステイ10は、連結プレート5を介してフロントサイドメンバ3に固定されている。具体的には、バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11は、フロントサイドメンバ3のY方向における前方に固定されている。また、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12は、フロントサイドメンバ3に対してX方向の外側に延在している。図5に示すように、本実施形態のバンパービーム20のX方向の寸法は、自動車2の車幅Lの85%である。バンパーステイ10のX方向の寸法は、自動車2の車幅Lの17.5%である。
【0035】
図6から図8を参照して、本実施形態のバンパーレインフォースメント1の形成方法を説明する。
【0036】
図6に示すように、バンパーステイ10の形成には、第1構造部材30が用いられる。また、バンパービーム20の形成には、第2構造部材40が用いられる。第1構造部材30と第2構造部材40との接合には、第1構造部材30の内部に挿入されたゴム50(弾性体)と、ゴム50を圧縮するための押子60とを用いる。
【0037】
第1構造部材30は、XZ平面において、外形が矩形の閉断面形状をなす第1衝撃吸収部分31と、第1衝撃吸収部分31のX方向外側に隣接する第2衝撃吸収部分32を備える。
【0038】
第2構造部材40は、XZ平面に配置された前壁41と、XZ平面に配置され、前壁41とY方向の後方側に離間して配置された後壁42とを備える。前壁41の両端部は、Z方向から見て、車両の外側に向かって、Y方向の後方側に傾斜している前方傾斜部41aをそれぞれ有する。後壁42の両端部は、Z方向から見て、車両の外側に向かって、Y方向の後方側に傾斜している後方傾斜部42aをそれぞれ有する。第2構造部材40は、XY平面に配置され、前壁41の端部と後壁42の端部とを機械的に接続する、図示しない上壁と下壁とを備える。すなわち、本実施形態に係る第2構造部材40は、前壁41、後壁42、前記上壁、及び前記下壁で囲まれた空間部45を備える。各後方傾斜部42aには、第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31が挿入される孔部46が形成されている。同様に、前方傾斜部41aには、第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31が挿入される孔部47が形成されている。孔部46は、第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31の外形と相似形の矩形状であり、第1衝撃吸収部分31の外形に比べて僅かに大きく形成されている。同様に、孔部47は、第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31の外形と相似形の矩形状であり、第1衝撃吸収部分31の外形に比べて僅かに大きく形成されている。
【0039】
ゴム50は、Y方向に延びる四角柱状である。ゴム50の外形は、第1構造部材30に挿入できる程度に第1構造部材30の内形よりもわずかに小さく形成されている。ゴム50の両端は、ゴム50の長手方向に垂直な平坦面を有する。ゴム50の材質は、例えば、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、CNRゴム(クロロプレンゴム+ニトリルゴム)、又はシリコンゴムのいずれかを用いることが好ましい。また、ゴム50の硬度はショアAで30以上であることが好ましい。
【0040】
押子60は、図示しないプレス装置等に取り付けられており、このプレス装置によって駆動されることでゴム50をY方向に圧縮できる。押子60は凸部60aを有している。凸部60aはゴム50を押圧する部分である。凸部60aの端面である押圧面60bは、ゴム50の形状に対応してゴム50の長手方向に垂直な平坦面を有する。
【0041】
まず、図6に示すように、第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31を、後方傾斜部42aに設けられた孔部46に挿入し、その後、前方傾斜部41aに設けられた孔部47に挿入する。このとき、第1構造部材30の第2衝撃吸収部分32が、第2構造部材40の後方傾斜部42aからY方向に間隔を開けて配置されている。そして、第1構造部材30の内部に、ゴム50を挿入する。
【0042】
次に、図7に示すように、押子60の凸部60aを第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31内に挿入し、ゴム50をY方向に圧縮して圧縮方向に直交する方向に膨出させ、それによって第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31を拡管する。第1構造部材30は、この拡管によって、第2構造部材40にかしめ接合されている。第2構造部材40の空間部45と、第2構造部材40の前方傾斜部41aのY方向における前方側と、第2構造部材40の後方傾斜部42aのY方向における後方側とにおいて、第1構造部材30の第1衝撃吸収部分31は、張出部34が形成されている。
【0043】
かしめ接合後、図8に示すように、押子60による圧縮を解除する。圧縮力が除去されたゴム50は、自身の弾性力により元の形状に復元する。そのため、容易に第1構造部材30からゴム50を取り除くことができる。
【0044】
本実施形態のバンパーレインフォースメント1は、以下の特徴を有する。
【0045】
第2衝撃吸収部分12が第1衝撃吸収部分31のX方向外側に隣接して設けられていることで、自動車2がスモールオーバーラップ衝突した際に、バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11に加えて、第2衝撃吸収部分12がY方向に圧壊する。このため、バンパーレインフォースメント1のスモールオーバーラップ衝突の際のエネルギー吸収効率を向上できる。また、バンパービーム20とバンパーステイ10との接合は、バンパーステイ10の拡管によって行われている。すなわち、バンパービーム20とバンパーステイ10との接合に溶接加工を必要としないため、バンパーレインフォースメント1としての信頼性を低下させない。
【0046】
バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11がフロントサイドメンバ3に固定されており、第2衝撃吸収部分12がフロントサイドメンバ3のX方向外側に配置されている。このため、バンパーステイ10のフロントサイドメンバ3への取り付け位置に関わらず、第2衝撃吸収部分12によって、スモールオーバーラップ衝突の際の衝撃エネルギーの吸収量を増加できる。また、バンパービーム20のX方向の寸法を大きくした場合であっても、バンパービーム20のX方向外側の端部からバンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11までの間の衝撃エネルギーを、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12が吸収することで、スモールオーバーラップ衝突の際に、バンパーレインフォースメント1が横倒れしない。
【0047】
バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11は、Y方向に垂直な断面において、閉断面形状を有している。このため、バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11が、Y方向に垂直な断面において、開断面形状を有する場合と比較して、バンパービーム20との接合力を向上できる。また、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12は、Y方向に垂直な断面において、閉断面形状を有している。このため、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12が、Y方向に垂直な断面において、開断面を有する場合と比較して、バンパーステイ10全体としての断面積を大きくでき、衝撃エネルギーの吸収量を増加できる。
【0048】
バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12のY方向の前方側の端部12aは、バンパービーム20の後方傾斜部22aからY方向に間隔Dを開けて配置されている。このため、スモールオーバーラップ衝突の際に、第1衝撃吸収部分11が、軸方向に圧壊した後に第2衝撃吸収部分12が軸方向に圧壊する。すなわち、スモールオーバーラップ衝突の際の衝撃を段階的に吸収できるため、衝突初期においてバンパーステイ10に作用する初期荷重が大きく立ち上がることを防止できる。
【0049】
間隔Dが広いほど、第1衝撃吸収部分11を拡管接合する際に、張出部15と第2衝撃吸収部分12とが干渉しにくくなるため、バンパーステイ10とバンパービーム20との接合強度を向上できる。一般に、仕切壁14の共有部分14aに形成される張出部15のY方向における寸法B(図3参照)は、仕切部14の共有部分14aのY方向における寸法Aの30%程度である。一方で、間隔Dが、必要以上に大きい場合には、バンパーステイ10全体としての衝撃エネルギーの吸収量が低下する。本実施形態では、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12の前方側の端部12aと、バンパービーム20の後方傾斜部22aとの間のY方向における間隔Dは、上述の適切な範囲(仕切壁14の共有部分14aのY方向における寸法Aの30%以下)に規定されている。このため、バンパーステイ10全体としての衝撃エネルギーの吸収量の低下を抑制しつつ、バンパーステイ10とバンパービーム20との間の接合強度を向上できる。
【0050】
また、本実施形態のバンパービーム20のX方向の寸法は、自動車2の車幅Lの85%であり、バンパーステイ10のX方向の寸法は、自動車2の車幅Lの17.5%である。このため、自動車2に対して、例えば、車幅Lの25%(図5に示す)のオーバーラップ衝突がされた場合には、衝突領域のX方向における70%の領域でバンパーステイ10によって衝撃を吸収できる。
【0051】
以下、図9から図13を参照して、本実施形態に係るバンパーレインフォースメント1の変形例について説明する。
【0052】
図9に示す変形例では、第2衝撃吸収部分12は、Y方向に垂直な断面において、開断面形状を形成する。
【0053】
図10に示す変形例では、バンパーステイ10は、Y方向に垂直な断面において、2つの同一の八角形が仕切壁14を共有してなる閉断面形状を有する。本実施形態のバンパーステイ10のY方向に直交する断面は、第1衝撃吸収部分11を構成する第1の八角形部と、第1の八角形部に隣接して配置され、第2衝撃吸収部分12を構成する第2の八角形部とを備える。第1の八角形部と第2の八角形部とは、壁13の1つである仕切壁14を共有している。言い換えれば、仕切壁14は、第1の八角形部の一部でもあり、第2の八角形部の一部でもある。
【0054】
図11に示す変形例では、バンパーステイ10は、Y方向に垂直な断面において、2つの同一の円弧が仕切壁14を共有してなる閉断面形状を有する。本実施形態のバンパーステイ10のY方向に直交する断面は、第1衝撃吸収部分11を構成する第1の円弧状部と、第1の円弧状部に隣接して配置され、第2衝撃吸収部分12を構成する第2の円弧状部とを備える。第1の円弧状部と第2の円弧状部とは、壁13の1つである仕切壁14を共有している。言い換えれば、仕切壁14は、第1の円弧状部の一部でもあり、第2の円弧状部の一部でもある。
【0055】
図12に示す変形例では、バンパーステイ10は、Y方向に垂直な断面において、第1衝撃吸収部分11と第2衝撃吸収部分12とを連結する連結壁16を備える。
【0056】
図13に示す変形例では、バンパーステイ10は、Y方向に垂直な断面において、第1衝撃吸収部分11と仕切壁14を共有する第3衝撃吸収部分17を更に備える。第3衝撃吸収部分17は、連続する4つの平坦な壁13から構成される。
【0057】
以下に説明する第2実施形態及び第3実施形態では、第1実施形態と同一ないし同様の要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。さらに、これらの実施形態では、特に言及する点を除いて、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0058】
[第2実施形態]
図14を参照すると、本実施形態の第1衝撃吸収部分11は、Y方向の前方側の端部において、バンパービーム20の形状に適合するように構成されている。バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11は、空間部25と、バンパービーム20の後方傾斜部22aのY方向における後方側とにおいて、張出部15が形成されている。
【0059】
[第3実施形態]
図15を参照すると、本実施形態のバンパービーム20の後方傾斜部22aの孔部26は、バンパーステイ10の外形と相似形の矩形状であり、バンパーステイ10の外形に比べて僅かに大きく形成されている。本実施形態では、バンパーステイ10の第1衝撃吸収部分11に加えて、第2衝撃吸収部分12が、孔部26に挿入されている。
【0060】
また、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12のY方向における前方側の端部12aが、前壁21の前方傾斜部(対向壁)21aとY方向において間隔を開けて配置されている。
【0061】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、バンパーステイ10の第2衝撃吸収部分12のY方向における前方側の端部12aは、バンパービーム20の前方傾斜部21a又は後方傾斜部22aに当接していてもよい。
【0063】
また、バンパーステイの第1衝撃吸収部分11と、第2衝撃吸収部分12とは、別体に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 バンパーレインフォースメント(車両用構造部材)
2 自動車(車両)
3 フロントサイドメンバ
4 本体部
10 バンパーステイ
11 第1衝撃吸収部分
12 第2衝撃吸収部分
13 壁
14 仕切壁
14a 共有部分
14b 専有部分
15 張出部
16 連結壁
17 第3衝撃吸収部分
20 バンパービーム
21 前壁
21a 前方傾斜部(対向壁)
22 後壁
22a 後方傾斜部(対向壁)
23 上壁
24 下壁
25 空間部
26 孔部
27 孔部
30 第1構造部材
31b 垂直壁
32A,32B 内向突起
33A,33B 外向突起
34 張出部
40 第2構造部材
41 前壁
41a 前方傾斜部
42 後壁
42a 後方傾斜部
43 上壁
44 下壁
45 空間部
46 孔部
47 孔部
50 ゴム(弾性体)
60 押子
60a 凸部
60b 押圧面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15