(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変流突部は、前記本体流路の内面において、前記第1連通部および前記第2連通部のうちのいずれか一方側の端部に位置して、他方側を向く一端面に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
複数の細孔のうち、前記変流突部と前記細孔の開口方向で対向する前記細孔の流通抵抗は、残りの前記細孔の流通抵抗より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の防振装置。
前記第1障壁の、前記本体流路側を向く内面において、前記変流突部と前記細孔の開口方向で対向する部分の平面積に占める前記細孔の開口面積の割合が、残りの部分の平面積に占める前記細孔の開口面積の割合より大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防振装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャビテーション崩壊に起因した異音を確実に小さく抑えるために、細孔の内径をさらに小さくすることが考えられる。
しかしながら、この場合、仕切部材の製造が困難になるという新たな問題が生ずる。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、細孔の内径を過度に小さくしなくても、キャビテーション崩壊に起因した異音を確実に小さく抑えることができる防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、これら両取付部材を弾性的に連結する弾性体と、液体が封入された前記第1取付部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、前記制限通路は、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方は、前記第1液室または前記第2液室に面する第1障壁を貫く複数の細孔を備え、前記本体流路に、前記第1連通部および前記第2連通部のうちのいずれか他方側からの液体を衝突させてその流動方向を変化させる変流突部が配設され、前記変流突部は、前記第1障壁に前記細孔の開口方向で対向していることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、振動入力時に、両取付部材が弾性体を弾性変形させながら相対的に変位して第1液室および第2液室の液圧が変動し、液体が制限通路を通って第1液室と第2液室との間を流通しようとする。このとき液体は、第1連通部および第2連通部のうちの一方を通して制限通路に流入し、本体流路内を通過した後、第1連通部および第2連通部のうちの他方を通して制限通路から流出する。
ここで、液体が、複数の細孔を通して制限通路から第1液室または第2液室に流入する際に、これらの細孔が形成された第1障壁により圧力損失させられながら各細孔を流通するため、第1液室または第2液室に流入する液体の流速を抑えることができる。しかも、液体が、単一の細孔ではなく複数の細孔を流通するので、液体を複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔を通過した液体の流速を低減させることができる。これにより、仮に防振装置に大きな荷重(振動)が入力されたとしても、細孔を通過して第1液室または第2液室に流入した液体と、第1液室内または第2液室内の液体と、の間で生じる流速差を小さく抑えることが可能になり、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。また、仮に気泡が第1液室や第2液室ではなく制限通路で発生しても、液体を、複数の細孔を通過させることで、発生した気泡同士を、第1液室内または第2液室内で離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができるうえ、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
【0009】
特に、本体流路に、第1連通部および第2連通部のうちのいずれか他方側からの液体を衝突させてその流動方向を変化させる変流突部が配設されているので、前記他方側からの液体を、第1障壁に到達させる前に変流突部に衝突させることで、液体に圧力損失を生じさせ、その流速を、第1障壁に到達する前に確実に低減することができる。これにより、細孔の内径を過度に小さくしなくても、キャビテーション崩壊に起因した異音を確実に小さく抑えることができる。
しかも、変流突部が、第1障壁に細孔の開口方向で対向していて、本体流路における第1連通部側と第2連通部側との間の中央部から離れた位置に配設されているので、変流突部を本体流路に設けたことに起因して、チューニングが困難になるのを抑えることができる。
【0010】
ここで、前記変流突部は、前記本体流路の内面において、前記第1連通部および前記第2連通部のうちのいずれか一方側の端部に位置して、他方側を向く一端面に配設されてもよい。
【0011】
この場合、変流突部が、本体流路の前記一端面に配設され、かつ第1障壁に細孔の開口方向で対向しているので、本体流路の前記一端面付近に到達した前記他方側からの液体が、第1障壁に達する前に、変流突部に衝突することとなる。したがって、防振装置に大きな荷重が入力されたことにより、前記他方側からの液体が、本体流路の前記一端面付近に高速で到達しても、その流速を第1障壁に達する前に確実に低減することが可能になるとともに、この液体を拡散させることもできる。これにより、防振装置に大きな荷重が入力されたときに、前記他方側からの液体が、複数の細孔のうち、本体流路の前記一端面の近くに位置する細孔から集中して第1液室または第2液室に高速で流入するのを防ぐことができる。
【0012】
また、複数の細孔のうち、前記変流突部と前記細孔の開口方向で対向する前記細孔の流通抵抗は、残りの前記細孔の流通抵抗より小さくてもよい。
【0013】
この場合、変流突部と細孔の開口方向で対向していて、前記他方側からの液体が到達しにくい細孔の流通抵抗が、変流突部と細孔の開口方向で対向しておらず、前記他方側からの液体が到達しやすい細孔の流通抵抗より小さいので、前記他方側からの液体を、複数の細孔に、変流突部と細孔の開口方向で対向しているか否かを問わず、偏り少なく均等に流入させることができる。
【0014】
また、前記第1障壁の、前記本体流路側を向く内面において、前記変流突部と前記細孔の開口方向で対向する部分の平面積に占める前記細孔の開口面積の割合が、残りの部分の平面積に占める前記細孔の開口面積の割合より大きくてもよい。
【0015】
この場合、第1障壁の内面において、変流突部と細孔の開口方向で対向していて、前記他方側からの液体が到達しにくい部分の平面積に占める細孔の開口面積の割合が、変流突部と細孔の開口方向で対向しておらず、前記他方側からの液体が到達しやすい部分の平面積に占める細孔の開口面積の割合より大きいので、前記他方側からの液体を、複数の細孔に、変流突部と細孔の開口方向で対向しているか否かを問わず、偏り少なく均等に流入させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、細孔の内径を過度に小さくしなくても、キャビテーション崩壊に起因した異音を確実に小さく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る防振装置の実施の形態について、
図1から
図3に基づいて説明する。
図1に示すように、防振装置1は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材11、および他方に連結される第2取付部材12と、第1取付部材11および第2取付部材12を互いに弾性的に連結する弾性体13と、液体Lが封入された第1取付部材11内の液室19を後述する主液室(第1液室)14と副液室(第2液室)15とに区画する仕切部材16と、を備える液体封入型の防振装置である。
【0019】
以下、第1取付部材11の中心軸線Oに沿う方向を軸方向という。また、軸方向に沿う第2取付部材12側を上側、仕切部材16側を下側という。また、防振装置1を軸方向から見た平面視において、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O周りに周回する方向を周方向という。
なお、第1取付部材11、第2取付部材12、および弾性体13はそれぞれ、平面視した状態で円形状若しくは円環状に形成されるとともに、中心軸線Oと同軸に配置されている。
【0020】
この防振装置1が例えば自動車に装着される場合、第2取付部材12が振動発生部としてのエンジンに連結され、第1取付部材11が振動受部としての車体に連結される。これにより、エンジンの振動が車体に伝達することが抑えられる。なお、第1取付部材11を振動発生部に連結し、第2取付部材12を振動受部に連結してもよい。
【0021】
第2取付部材12は、軸方向に延在する柱状部材であり、下端部が下方に向けて膨出する半球面状に形成されている。第2取付部材12において、半球面状の下端部より上方に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出する鍔部12aが形成されている。第2取付部材12には、その上端面から下方に向かって延びるねじ孔12bが穿設され、このねじ孔12bにエンジン側の取付け具となるボルト(図示せず)が螺合される。第2取付部材12は、弾性体13を介して、第1取付部材11の上端開口部に配置されている。
【0022】
弾性体13は、第1取付部材11の上部の内周面と第2取付部材12の下部の外周面とにそれぞれ加硫接着されて、これらの間に介在させられたゴム体であって、第1取付部材11の上端開口部を上側から閉塞している。弾性体13の上端部には、鍔部12aにおける下面、外周面、および上面を覆う第1ゴム膜13aが一体に形成されている。弾性体13の下端部には、第1取付部材11の内周面を液密に被覆する第2ゴム膜13bが一体に形成されている。なお、弾性体13としては、ゴム以外にも合成樹脂等からなる弾性体を用いることも可能である。
【0023】
第1取付部材11は、円筒状に形成され、図示されないブラケットを介して振動受部としての車体等に連結される。第1取付部材11の下端開口部は、ダイヤフラム20により閉塞されている。
ダイヤフラム20は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料からなり、有底円筒状に形成されている。ダイヤフラム20の外周面は、ダイヤフラムリング21の内周面に加硫接着されている。ダイヤフラムリング21は、第1取付部材11の下端部内に、第2ゴム膜13bを介して嵌合されている。ダイヤフラムリング21は、第1取付部材11の下端部内に加締められて固定されている。ダイヤフラム20およびダイヤフラムリング21それぞれの上端開口縁は、仕切部材16の下面に液密に当接している。
【0024】
そして、このように第1取付部材11にダイヤフラム20が取り付けられたことにより、第1取付部材11内が、弾性体13とダイヤフラム20とにより液密に封止された液室19となっている。この液室19に液体Lが封入(充填)されている。
なお図示の例では、ダイヤフラム20の底部が、外周側で深く中央部で浅い形状になっている。ただし、ダイヤフラム20の形状としては、このような形状以外にも、従来公知の種々の形状を採用することができる。
【0025】
液室19は、仕切部材16によって主液室14と副液室15とに区画されている。主液室14は、弾性体13の下面13cを壁面の一部に有し、弾性体13と第1取付部材11の内周面を液密に覆う第2ゴム膜13bと仕切部材16とによって囲まれた空間であり、弾性体13の変形によって内容積が変化する。副液室15は、ダイヤフラム20と仕切部材16とによって囲まれた空間であり、ダイヤフラム20の変形によって内容積が変化する。このような構成からなる防振装置1は、主液室14が鉛直方向上側に位置し、副液室15が鉛直方向下側に位置するように取り付けられて用いられる、圧縮式の装置である。
【0026】
仕切部材16には、主液室14と副液室15とを連通する制限通路24が設けられている。制限通路24は、例えば周波数が10Hz前後のシェイク振動が防振装置1に入力されたときに共振(液柱共振)が発生するようにチューニングされている。制限通路24は、
図2に示されるように、主液室14に開口する第1連通部26、副液室15に開口する第2連通部27、および第1連通部26と第2連通部27とを連通する本体流路25を備える。
【0027】
本体流路25は、第1連通部26および第2連通部27のうちのいずれか一方から、周方向の一方側に向けて延びる主流路31と、主流路31における周方向の一方側の端部から径方向の内側に向けて突出する端室34と、を備える。
図示の例では、主流路31は、第2連通部27から周方向の一方側に向けて延びている。端室34と第1連通部26とが軸方向に直結されており、端室34は、本体流路25における第1連通部26側の端部となっている。
【0028】
主流路31は、仕切部材16の外周面に形成されている。主流路31は、仕切部材16に、中心軸線Oを中心とする360°未満の角度範囲に配置されている。図示の例では、主流路31は、仕切部材16に、中心軸線Oを中心とする180°を超える角度範囲に配置されている。
【0029】
主流路31は、中心軸線Oと同軸に配置され、上側に位置して表裏面が軸方向を向く環状の上側障壁35の下面と、中心軸線Oと同軸に配置され、下側に位置して表裏面が軸方向を向く環状の下側障壁36の上面と、上側障壁35および下側障壁36それぞれの内周縁同士を連結し、径方向の外側を向く溝底面37と、により画成されている。
上側障壁35は主液室14に面している。下側障壁36は副液室15に面しており、第2連通部27は、下側障壁36を軸方向に貫く1つの開口により構成されている。
【0030】
端室34は、軸方向から見た平面視で円形状を呈し、端室34の中心軸線は、軸方向に延びている。端室34は、中心軸線Oから離れた位置に配置されている。
端室34と主流路31とを連結する外連通部46は、前記平面視で直線状に延びている。外連通部46は、前記平面視で端室34の内周面の接線方向に延びている。外連通部46の周方向の大きさは、端室34の内径より小さい。端室34は、外連通部46に対して、主流路31における周方向の他方側に張り出している。外連通部46および端室34それぞれの軸方向の大きさは、互いに同等になっている。
【0031】
端室34を画成する壁面のうち、上側に位置して下方を向く上壁面は、上面が主液室14に面する第1障壁38の下面とされ、下側に位置して上方を向く下壁面は、下面が副液室15に面する第2障壁39の上面となっている。第1障壁38の下面、および第2障壁39の上面は、軸方向に直交する方向に延びる平坦面となっている。第1障壁38、および第2障壁39は、端室34の中心軸線と同軸に配置された円板状となっている。
【0032】
ここで、本実施形態では、本体流路25の、第2連通部27側から第1連通部26側に向かう延在方向Rの終端面(一端面)25aが、本体流路25における第1連通部26側の端部である端室34の壁面のうち、外連通部46と前記延在方向Rで対向する部分となっている。本体流路25の終端面25aは、前記延在方向Rに沿う第2連通部27側を向いている。この終端面25aは、第2連通部27側からの液体Lに対向する。本体流路25の終端面25aは前記平面視で凹曲線状を呈する。終端面25aは、端室34の内周面の一部となっている。
【0033】
第1連通部26は、主液室14に面する第1障壁38を貫く複数の細孔26a、26bを備える。細孔26a、26bは、第1障壁38を軸方向に貫いている。すなわち、細孔26a、26bの開口方向は、軸方向と一致しており、本体流路25の前記延在方向Rに対して直交している。なお、細孔26a、26bを、副液室15に面する下側障壁36に形成し、第2連通部27に備えさせてもよい。細孔26a、26bの開口方向を、本体流路25の前記延在方向R、および軸方向に対して傾斜する方向としてもよい。
【0034】
図3に示されるように、複数の細孔26a、26bの各流路長は互いに同等になっている。細孔26a、26bの内径は、全長にわたって同等になっている。複数の細孔26a、26bはいずれも、主流路31の流路断面積より小さく、軸方向から見た平面視において端室34の内側に配置されている。
複数の細孔26a、26bそれぞれにおける流路断面積の総和は、主流路31の流路断面積の最小値の例えば1.5倍以上4.0倍以下としてもよい。図示の例では、主流路31の流路断面積は、全長にわたって同等となっている。細孔26a、26bの流路断面積は、例えば25mm
2以下、好ましくは0.7mm
2以上17mm
2以下としてもよい。
【0035】
制限通路24を画成し、かつ主液室14に面する上側障壁35、および第1障壁38、並びに、制限通路24を画成し、かつ副液室15に面する下側障壁36、および第2障壁39のうち、複数の細孔26a、26bが形成された第1障壁38の厚さが、上側障壁35、下側障壁36、および第2障壁39の各厚さより厚くなっている。複数の細孔26a、26bが位置する第1障壁38の厚さは、全域にわたって同等になっている。第1障壁38の上面および下面は軸方向に直交する方向に延びる平坦面となっている。
【0036】
そして、本実施形態では、本体流路25に、第1連通部26および第2連通部27のうちのいずれか他方側からの液体Lを衝突させてその流動方向を変化させる変流突部41が配設されている。
図示の例では、変流突部41は、第2連通部27側からの液体Lを衝突させる。変流突部41は、本体流路25の端室34に配設されている。変流突部41は、本体流路25の終端面25aに配設されている。変流突部41は、第1障壁38に軸方向で対向している。変流突部41は、第1障壁38のうち、その中央部よりも、本体流路25の前記延在方向Rに沿う第1連通部26側に位置する半分未満の部分と軸方向で対向している。変流突部41は、第2連通部27側からの液体Lを衝突させて逆流させる。
【0037】
変流突部41は、表裏面が軸方向を向く板状に形成されている。前記平面視において、変流突部41の外周縁は、端室34の終端面25aに接続され、かつ終端面25aに沿って延びる第1弧部41bと、第1弧部41bの両端部同士を連結し、かつ直線状に延びる第1弦部41cと、により構成されている。第1弦部41cは、前記平面視で前記延在方向Rにほぼ直交し、外連通部46とほぼ平行になっている。変流突部41は、前記平面視において終端面25aから第1弦部41cに直交する方向に離れるに従い漸次、下方に向けて延びている。変流突部41は、前記平面視において第1弦部41cの延びる方向に沿ってその中央部に向かうに従い漸次、下方に向かうように湾曲している。変流突部41は、制限通路24内を流通する液体Lの流動圧では変形、および変位しない剛体となっている。
【0038】
複数の細孔26a、26bのうち、変流突部41と軸方向で対向する細孔(以下、対向細孔という)26aの流通抵抗は、残りの、変流突部41と軸方向で対向していない細孔(以下、非対向細孔という)26bの流通抵抗より小さい。
【0039】
図示の例では、非対向細孔26bは、変流突部41を介さず端室34の下壁面(本体流路25の内面)と軸方向で対向している。対向細孔26aは、第1障壁38において、その中央部よりも、本体流路25の前記延在方向Rに沿う第1連通部26側に位置する部分に配設されている。対向細孔26aの数は、非対向細孔26bの数より少ない。対向細孔26aの数は、第1障壁38に形成された複数の細孔26a、26bの半数未満となっている。対向細孔26aの内径が、非対向細孔26bの内径より大きくなっている。対向細孔26aおよび非対向細孔26bそれぞれの流路長は互いに同等になっている。複数の対向細孔26aは、互いに同じ形状で同じ大きさとなっている。複数の非対向細孔26bも互いに同じ形状で同じ大きさとなっている。
【0040】
なお、対向細孔26aの流路長を、非対向細孔26bの流路長より短くしてもよいし、また、対向細孔26aの内周面を平滑面にする一方、非対向細孔26bの内周面に凹凸部を形成してもよく、その他、内径、および流路長等の少なくとも1つを適宜調整することで、対向細孔26aの流通抵抗を、非対向細孔26bの流通抵抗より小さくしてもよい。
【0041】
ここで、仕切部材16は、上側部材47と中間部材42と下側部材48とが軸方向に重ねられて構成されている。上側部材47、中間部材42および下側部材48はそれぞれ、表裏面が軸方向を向く板状に形成されている。上側部材47および下側部材48はそれぞれ、中心軸線Oと同軸に配設された円板状に形成されている。なお、仕切部材16は、全体が一体に形成されてもよい。
【0042】
上側部材47の外周面、および中間部材42の後述する第2弧部42aが溝底面37となっている。上側部材47の下面に第1凹部が形成され、下側部材48の上面において、第1凹部と対向する位置に、第2凹部が形成されている。第1凹部および第2凹部それぞれの内面により、端室34が画成されている。上側部材47のうち第1凹部が位置する部分に、第1連通部26が形成され、この部分が第1障壁38となっている。下側部材48のうち第2凹部が位置する部分が、第2障壁39となっている。
下側部材48の上端部の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、かつ第2連通部27が形成された環状の下側障壁36が形成されている。上側部材47の上端部の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、下側部材48の下側障壁36と軸方向で対向する上側障壁35が形成されている。
【0043】
中間部材42は、上側部材47の下面と下側部材48の上面との間に挟まれて配設されている。中間部材42の全体が、上側部材47の前記第1凹部の底面、つまり第1障壁38より下方に位置している。中間部材42の外周面は、前記平面視において、溝底面37の一部をなす第2弧部42aと、第2弧部42aの両端部同士を連結し、かつ直線状に延びる第2弦部42bと、により構成されている。中間部材42のうち、端室34内に位置する一部が変流突部41となっており、中間部材42の第2弦部42bのうち、端室34内に位置する一部が、変流突部41の第1弦部41cとなっている。中間部材42の表裏面のうち、変流突部41以外の部分は、軸方向に直交する方向に延びる平坦面となっている。
【0044】
このような構成からなる防振装置1では、振動入力時に、両取付部材11、12が弾性体13を弾性変形させながら相対的に変位する。すると、主液室14の液圧が変動し、主液室14内の液体Lが制限通路24を通って副液室15に流入し、また、副液室15内の液体Lが制限通路24を通って主液室14に流入する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置1によれば、液体Lが、複数の細孔26a、26bを通して制限通路24から主液室14に流入する際に、これらの細孔26a、26bが形成された第1障壁38により圧力損失させられながら各細孔26a、26bを流通するため、主液室14に流入する液体Lの流速を抑えることができる。しかも、液体Lが、単一の細孔26a、26bではなく複数の細孔26a、26bを流通するので、液体Lを複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔26a、26bを通過した液体Lの流速を低減させることができる。これにより、仮に防振装置1に大きな荷重(振動)が入力されたとしても、細孔26a、26bを通過して主液室14に流入した液体Lと、主液室14内の液体Lと、の間で生じる流速差を小さく抑えることが可能になり、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。
【0046】
また、仮に気泡が主液室14ではなく制限通路24で発生しても、液体Lを、複数の細孔26a、26bを通過させることで、発生した気泡同士を、主液室14内で離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができるうえ、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
【0047】
特に、本体流路25に、第2連通部27側からの液体Lを衝突させてその流動方向を変化させる変流突部41が配設されているので、第2連通部27側からの液体Lを、第1障壁38に到達させる前に変流突部41に衝突させることで、液体Lに圧力損失を生じさせることができる。
しかも、変流突部41に衝突した液体Lが逆流するため、この液体Lを、変流突部41に向けて第2連通部27側から流れてくる液体Lに、正面から衝突させることが可能になり、発生する圧力損失を確実に高めることができる。
以上より、第2連通部27側からの液体Lの流速を、第1障壁38に到達する前に確実に低減することが可能になり、細孔26a、26bの内径を過度に小さくしなくても、キャビテーション崩壊に起因した異音を確実に小さく抑えることができる。
【0048】
さらに、変流突部41が、第1障壁38に軸方向で対向していて、本体流路25における第1連通部26側と第2連通部27側との間の中央部から離れた位置に配設されているので、変流突部41を本体流路25に設けたことに起因して、チューニングが困難になるのを抑えることができる。
【0049】
また、変流突部41が、本体流路25の終端面25aに配設され、かつ第1障壁38に軸方向で対向しているので、本体流路25の終端面25a付近に到達した第2連通部27側からの液体Lが、第1障壁38に達する前に、変流突部41に衝突することとなる。したがって、防振装置1に大きな荷重が入力されたことにより、第2連通部27側からの液体Lが、本体流路25の終端面25a付近に高速で到達しても、その流速を第1障壁38に達する前に確実に低減することが可能になるとともに、この液体Lを拡散させることもできる。これにより、防振装置1に大きな荷重が入力されたときに、第2連通部27側からの液体Lが、複数の細孔26a、26bのうち、本体流路25の終端面25aの近くに位置する細孔26a、26bから集中して主液室14に高速で流入するのを防ぐことができる。
【0050】
また、変流突部41と軸方向で対向していて、第2連通部27側からの液体Lが到達しにくい対向細孔26aの流通抵抗が、変流突部41と軸方向で対向しておらず、第2連通部27側からの液体Lが到達しやすい非対向細孔26bの流通抵抗より小さいので、第2連通部27側からの液体Lを、複数の細孔26a、26bに、変流突部41と軸方向で対向しているか否かを問わず、偏り少なく均等に流入させることができる。
【0051】
ここで、前記実施形態では、対向細孔26aの流通抵抗を、非対向細孔26bの流通抵抗より小さくしたが、これに限らず例えば、
図4に示されるように、第1障壁38の下面(本体流路25側を向く内面)において、変流突部41と軸方向で対向する部分の平面積に占める対向細孔26aの開口面積の割合を、残りの、変流突部41と軸方向で対向していない部分の平面積に占める非対向細孔26bの開口面積の割合より大きくしてもよい。
図示の例では、非対向細孔26bは、変流突部41を介さず端室34の下壁面と軸方向で対向している。対向細孔26aおよび非対向細孔26bそれぞれの内径が互いに同等となっている。
【0052】
この場合、第1障壁38の下面において、変流突部41と軸方向で対向していて、第2連通部27側からの液体Lが到達しにくい部分の平面積に占める対向細孔26aの開口面積の割合が、変流突部41と軸方向で対向しておらず、第2連通部27側からの液体Lが到達しやすい部分の平面積に占める非対向細孔26bの開口面積の割合より大きいので、第2連通部27側からの液体Lを、複数の細孔26a、26bに、変流突部41と軸方向で対向しているか否かを問わず、偏り少なく均等に流入させることができる。
【0053】
また、対向細孔26aの流通抵抗を、非対向細孔26bの流通抵抗より小さくしたうえで、
図4に示されるように、第1障壁38の下面において、変流突部41と軸方向で対向する部分の平面積に占める対向細孔26aの開口面積の割合を、残りの、変流突部41と軸方向で対向していない部分の平面積に占める非対向細孔26bの開口面積の割合より大きくしてもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、変流突部41が、終端面25aに配設された構成を示したが、これに限らず例えば、
図9に示されるように、端室34の内周面のうち、終端面25aより主流路31における周方向の他方側に位置する張出部分34aに配設してもよい。図示の例では、前記平面視において、端室34の張出部分34aは、主流路31における周方向の他方側に突となる円弧状を呈し、変流突部41は、端室34の張出部分34aにおける全長にわたって配設されている。
変流突部41の第1弧部41bは、前記平面視において、端室34の張出部分34aに接続され、かつ張出部分34aに沿って延びている。変流突部41の第1弦部41cは、前記平面視において、外連通部46の周方向の両端部のうち、主流路31における周方向の他方側に位置する端部に接し、前記延在方向Rに延びている。
【0055】
また、前記実施形態では、上側部材47の下面に第1凹部を形成し、中間部材42の全体が、上側部材47の前記第1凹部の底面、つまり第1障壁38より下方に位置する構成を示したが、これに限らず例えば、
図10に示されるように、上側部材47の下面に第1凹部を形成せず、上側部材47の下面のうち、第1障壁38が位置する部分と、中間部材42の上面に当接して固定する部分と、をほぼ面一にすることで、変流突部41を、第1障壁38の下面に近付け、かつ第2障壁39の上面から上方に離間させてもよい。
この場合、主流路31から端室34に流入した液体の多くを、第1障壁38に到達させる前に変流突部41に衝突させることが可能になり、発生する圧力損失をより一層確実に高めることができる。
【0056】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0057】
本実施形態に係る防振装置2の変流突部141では、
図5から
図7に示されるように、第1連通部126および第2連通部27のうちのいずれか他方側からの液体Lを衝突させて分岐させる。
【0058】
図示の例では、変流突部141は、第2連通部27側からの液体Lを衝突させて分岐させる。変流突部141は、
図7に示されるように、軸方向の内側から外側に向かうに従い漸次、縮径された2つの円錐状体の底面同士が突き合わされて一体とされ、かつ径方向の外側から見て菱形状を呈する構成となっている。変流突部141は、端室34の中心軸線と同軸に配設されている。
以下、前記平面視において、端室34の中心軸線に交差する方向を端室径方向といい、端室34の中心軸線回りに周回する方向を端室周方向という。
変流突部141の表面は、端室34を画成する壁面と非接触となっている。前記平面視において、端室34に占める変流突部141の平面積の割合は半分程度となっている。変流突部141は、制限通路24内を流通する液体Lの流動圧では変形、および変位しない剛体となっている。
なお例えば、変流突部141は、2つの角錐状体の底面同士が突き合わされて一体とされ、かつ端室径方向の外側から見て菱形状を呈する構成、柱状、若しくは板状等であってもよい。
【0059】
変流突部141の表面のうち、軸方向の中央部から下方に向かうに従い漸次、端室径方向の内側に向けて延びる表面は、第2連通部27側からの液体Lを変流突部141の下方から衝突させて分岐させる分岐面141aとなっている。変流突部141の表面のうち、軸方向の中央部から上方に向かうに従い漸次、端室径方向の内側に向けて延びる表面は、分岐面141aによって分岐された液体Lを合流させて変流突部141を上方に通過させ、第1障壁38に案内する案内面141bとなっている。分岐面141a、および案内面141bそれぞれの、端室34の中心軸線に対する傾斜角度の大きさは、互いに同等になっている。
【0060】
変流突部141の表面に、変流突部141を端室34の壁面に固定する連結片143が配設されている。連結片143は、変流突部141の表面に、端室周方向に間隔をあけて複数配設されている。連結片143は、変流突部141を、端室34を画成する壁面のうち、端室径方向の内側を向く内周面に固定している。連結片143は、変流突部141の軸方向の中央部に配設されている。複数の連結片143の端室周方向の大きさの総和は、変流突部141の軸方向の中央部において、連結片143が配設されていない部分の端室周方向の大きさの総和より小さい。変流突部141は、外連通部46に連結片143を介さず対向している。
【0061】
複数の細孔126a、126bのうち、変流突部141と軸方向で対向する対向細孔126aの流通抵抗は、残りの、変流突部141と軸方向で対向していない非対向細孔126bの流通抵抗より大きい。
【0062】
図示の例では、非対向細孔126bは、変流突部141を介さず端室34の下壁面(本体流路25の内面)と軸方向で対向している。非対向細孔126bは、第1障壁38の外周部に配設され、対向細孔126aは、第1障壁38において外周部より径方向の内側に位置する中央部に配設されている。対向細孔126aの内径が、非対向細孔126bの内径より小さくなっている。対向細孔126aおよび非対向細孔126bそれぞれの流路長は互いに同等になっている。複数の対向細孔126aは、互いに同じ形状で同じ大きさとなっている。複数の非対向細孔126bも互いに同じ形状で同じ大きさとなっている。
【0063】
なお、対向細孔126aの流路長を、非対向細孔126bの流路長より長くしてもよいし、また、非対向細孔126bの内周面を平滑面にする一方、対向細孔126aの内周面に凹凸部を形成してもよく、その他、内径、および流路長等の少なくとも1つを適宜調整することで、対向細孔126aの流通抵抗を、非対向細孔126bの流通抵抗より大きくしてもよい。
【0064】
仕切部材16の中間部材142の外周面は、前記平面視において、溝底面37の一部をなす第2弧部142aと、第2弧部142aの両端部同士を連結し、かつ直線状に延びる第2弦部142bと、により構成されている。中間部材142に、前記平面視において、第2弦部142bに開口する半円形状の開口142cが形成されており、この開口142cの内周面が、端室34の内周面の一部をなしている。開口142cの内周面に、連結片143を介して変流突部141が連結されている。連結片143の表裏面は、中間部材142の表裏面と面一となっている。連結片143および変流突部141は、中間部材142と一体に形成されている。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置2によれば、本体流路25に、第2連通部27側からの液体Lを衝突させて分岐させる変流突部141が配設されているので、第2連通部27側からの液体Lを、第1障壁38に到達させる前に変流突部141に衝突させ分岐させることで、液体Lに圧力損失を生じさせることができる。これにより、第2連通部27側からの液体Lの流速を、第1障壁38に到達する前に確実に低減することが可能になり、細孔126a、126bの内径を過度に小さくしなくても、キャビテーション崩壊に起因した異音を確実に小さく抑えることができる。
【0066】
また、変流突部141に案内面141bが形成されているので、第2連通部27側からの液体Lが、変流突部141に衝突して分岐した後に、案内面141bにより合流させられることで、分岐した液体L同士が衝突し、圧力損失が生ずることとなる。したがって、第2連通部27側からの液体Lを、変流突部141を通過させることで、この液体Lの流速を、第1障壁38に到達する前により一層確実に低減することができる。
【0067】
また、変流突部141と軸方向で対向していて、変流突部141を通過して合流し、比較的流量の大きい液体Lが流入する対向細孔126aの流通抵抗が、変流突部141と軸方向で対向しておらず、比較的流量の小さい液体Lが流入する非対向細孔126bの流通抵抗より大きいので、第2連通部27側からの液体Lを、複数の細孔126a、126bに、変流突部141と軸方向で対向しているか否かを問わず、偏り少なく均等に流入させることができる。
【0068】
ここで、前記実施形態では、対向細孔126aの流通抵抗を、非対向細孔126bの流通抵抗より大きくしたが、これに限らず例えば、
図8に示されるように、第1障壁38の下面(本体流路25側を向く内面)において、変流突部141と軸方向で対向する部分の平面積に占める対向細孔126aの開口面積の割合を、残りの、変流突部141と軸方向で対向していない部分の平面積に占める非対向細孔126bの開口面積の割合より小さくしてもよい。
図示の例では、非対向細孔126bは、変流突部141を介さず端室34の下壁面と軸方向で対向している。対向細孔126aおよび非対向細孔126bそれぞれの内径が互いに同等となっている。
【0069】
この場合、第1障壁38の下面において、変流突部141と軸方向で対向していて、変流突部141を通過して合流し、比較的流量の大きい液体Lが導かれる部分の平面積に占める対向細孔126aの開口面積の割合が、変流突部141と軸方向で対向しておらず、比較的流量の小さい液体Lが導かれる部分の平面積に占める非対向細孔126bの開口面積の割合より小さいので、第2連通部27側からの液体Lを、複数の細孔126a、126bに、変流突部141と軸方向で対向しているか否かを問わず、偏り少なく均等に流入させることができる。
【0070】
また、対向細孔126aの流通抵抗を、非対向細孔126bの流通抵抗より大きくしたうえで、
図8に示されるように、第1障壁38の下面において、変流突部141と軸方向で対向する部分の平面積に占める対向細孔126aの開口面積の割合を、残りの、変流突部141と軸方向で対向していない部分の平面積に占める非対向細孔126bの開口面積の割合より小さくしてもよい。
また、変流突部141は、第1障壁38の下面に近付け、かつ第2障壁39の上面から上方に離間させてもよい。
この場合、主流路31から端室34に流入した液体の多くを、第1障壁38に到達させる前に変流突部141に衝突させることが可能になり、発生する圧力損失をより一層確実に高めることができる。
【0071】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、前記実施形態では、変流突部41、141を本体流路25の端室34に配設したが、主流路31若しくは外連通部46に配設してもよく、変流突部41、141は、第1連通部26、126側からの液体Lを衝突させてその流動方向を変化させてもよい。
また、変流突部41、141は、液体Lを衝突させてその流動方向を変化させればよく、液体Lを逆流させたり、分岐させたりしなくてもよい。
また、第1連通部26、126および第2連通部27の双方が、細孔26a、26b、126a、126bを有する構成を採用してもよい。
また、主流路31として、仕切部材16を約1周する構成を示したが、仕切部材16を1周より長く周回する構成を採用してもよい。
また、本体流路25として、例えば軸方向に延びる構成、若しくは端室34を有しない構成等を採用してもよい。
【0073】
また、前記第2実施形態では、変流突部141に案内面141bを形成したが、案内面141bを有しない変流突部141を採用してもよい。
この場合、第2連通部27側からの液体Lが、非対向細孔126bよりも対向細孔126aに到達しにくくなるので、対向細孔126aの流通抵抗を、非対向細孔126bの流通抵抗より小さくしてもよく、また、第1障壁38の下面において、変流突部141と軸方向で対向する部分の平面積に占める対向細孔126aの開口面積の割合を、残りの、変流突部141と軸方向で対向していない部分の平面積に占める非対向細孔126bの開口面積の割合より大きくしてもよい。
【0074】
また、前記実施形態では、支持荷重が作用することで主液室14に正圧が作用する圧縮式の防振装置1、2について説明したが、主液室14が鉛直方向下側に位置し、かつ副液室15が鉛直方向上側に位置するように取り付けられ、支持荷重が作用することで主液室14に負圧が作用する吊り下げ式の防振装置にも適用可能である。
【0075】
また前記実施形態では、仕切部材16が、第1取付部材11内の液室19を、弾性体13を壁面の一部に有する主液室14、および副液室15に仕切るものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ダイヤフラム20を設けるのに代えて、弾性体13を軸方向に一対設けて、副液室15を設けるのに代えて、弾性体13を壁面の一部に有する受圧液室を設けてもよい。例えば、仕切部材16が、液体Lが封入される第1取付部材11内の液室19を、第1液室14および第2液室15に仕切り、第1液室14および第2液室15の両液室のうちの少なくとも1つが、弾性体13を壁面の一部に有する他の構成に適宜変更することが可能である。
【0076】
また、本発明に係る防振装置1、2は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントに適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントに適用することも可能である。
【0077】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。