(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一の実施の形態に係るディーゼルエンジン1の構成を示す図である。
図1に例示するディーゼルエンジン1は、船舶の主機として利用される2ストロークエンジンである。
図1では、ディーゼルエンジン1の一部の構成を断面にて示している。
【0019】
ディーゼルエンジン1は、シリンダ2と、ピストン3と、排気弁25と、排気路241と、排気管42と、過給機5と、空気冷却器43と、掃気管41と、掃気室231と、燃料供給機構6と、油圧駆動機構7とを備える。
【0020】
シリンダ2は、シリンダライナ21と、シリンダカバー22とを備える。シリンダライナ21は、略円筒状の部材である。シリンダカバー22は、シリンダライナ21の上部に取り付けられる略有蓋円筒状の部材である。シリンダカバー22は、シリンダライナ21の上部開口を覆う。シリンダライナ21の下端部近傍には、複数の貫通孔が周状に設けられる。当該複数の貫通孔は、シリンダ2内に後述の掃気を供給する掃気ポート23である。掃気ポート23の周囲には、掃気室231が配置されている。掃気ポート23は、掃気室231を介して掃気管41に接続される。
【0021】
シリンダカバー22の上端部には、シリンダ2内のガスをシリンダ2外に排出する排気ポート24が設けられる。排気ポート24の平面視における形状(すなわち、
図1中の上下方向から見た形状)は略円形である。なお、
図1中の上下方向は、必ずしも重力方向と一致する必要はない。
【0022】
排気弁25は、上下方向において排気ポート24と重なる位置に配置され、排気ポート24を開閉する。排気弁25は、弁体251と、弁棒252とを備える。弁体251は、排気ポート24の下方に位置する略円錐状の部位である。平面視における弁体251の直径は、平面視における排気ポート24の直径よりも大きい。弁棒252は、弁体251の上端部から上方に延びる略円柱状の部位である。弁棒252の上端部は、シリンダ2の上方に設けられた排気弁油圧シリンダ253の内部に収容され、上下方向に移動可能に支持される。
【0023】
排気弁25は、油圧駆動機構7により上下方向に移動される。
図1中において実線にて示すように、排気弁25の弁体251が排気ポート24から下方に離間している状態では、排気ポート24が開放されており、シリンダ2内のガスが排気ポート24を介してシリンダ2外に排出される。一方、弁体251が
図1中において二点鎖線にて示す位置に位置する状態では、弁体251が排気ポート24の周縁部に接触し、排気ポート24を閉塞するため、シリンダ2内のガスは排気ポート24から排出されない。以下の説明では、
図1中において実線にて示す排気弁25の位置を「開放位置」と呼び、二点鎖線にて示す排気弁25の位置を「閉塞位置」と呼ぶ。排気弁25は、開放位置と、開放位置よりも上側の閉塞位置との間で、上下方向に移動可能である。
【0024】
排気弁25が開放位置に位置する状態で、排気ポート24からシリンダ2の外部に排出されるガス(以下、「排気」という。)は、排気路241を介して排気管42へと導かれる。実際のディーゼルエンジン1では、複数のシリンダ2が併設されており、複数のシリンダ2が1つの掃気管41および1つの排気管42に接続される。
【0025】
排気管42内の排気は、ターボチャージャである過給機5へと送出され、過給機5のタービン51に供給される。タービン51の回転に利用された排気は、窒素酸化物(NOX)を還元するための還元触媒等(図示省略)を介してディーゼルエンジン1の外部へと排出される。過給機5のコンプレッサ52では、タービン51にて発生する回転力を利用して、ディーゼルエンジン1の外部から取り込んだ吸気(空気)が加圧される。加圧された空気(以下、「掃気」という。)は、空気冷却器43において海水等の冷媒を利用して冷却された後、掃気管41内に供給される。このように、過給機5では、排気を利用して吸気を加圧し、掃気が生成される。
【0026】
ピストン3は、シリンダ2内において
図1中の上下方向に移動可能である。
図1中にて二点鎖線にて示すピストン3の位置が上死点であり、実線にて示すピストン3の位置が下死点である。ピストン3は、ピストンクラウン31と、ピストンロッド32とを備える。ピストンクラウン31は、シリンダライナ21に挿入された厚い略円板状の部位である。ピストンロッド32は、上端がピストンクラウン31の下面に接続された略円柱状の部位である。ピストンロッド32の下端は、図示省略のクランク機構に接続される。
図1に例示するディーゼルエンジン1では、シリンダライナ21、シリンダカバー22、排気弁25、および、ピストンクラウン31の上面にて囲まれる空間が、ガスを燃焼するための燃焼室20である。
【0027】
燃料供給機構6は、燃料噴射部61と、燃料供給ポンプ62とを備える。燃料噴射部61は、先端部を燃焼室20に向けてシリンダカバー22に取り付けられるノズルである。燃料供給ポンプ62は、燃料配管を介して燃料タンク(図示省略)に接続され、燃料タンク内の燃料を燃料噴射部61へと送出する。燃料噴射部61は、燃料供給ポンプ62から供給された燃料を、燃焼室20に向けて噴射する。燃料供給ポンプ62も、上述の油圧駆動機構7により駆動される。
【0028】
次に、ディーゼルエンジン1の動作について説明する。ディーゼルエンジン1において、ピストン3が下死点から上昇して上死点近傍に位置する際には、排気弁25は閉塞位置に位置しており、排気ポート24は閉塞されている。このため、燃焼室20内のガス(後述するように、掃気)が圧縮される。そして、燃料噴射部61から燃焼室20内に燃料が噴射され、気化した燃料が自着火して、燃焼室20内のガスの燃焼(すなわち、爆発)が生じる。これにより、ピストン3が押し下げられ、下死点に向かって移動する。なお、燃焼室20内のガスは、必ずしも自着火する必要はなく、点火プラグ等を用いて燃焼室20内のガスの着火が行われてもよい。
【0029】
燃焼室20内のガスの燃焼後、ピストン3が下死点に到達する前に、排気弁25が閉塞位置から開放位置へと下降して排気ポート24が開放される。これにより、燃焼室20内の燃焼済みガスの排出が開始される。燃焼室20から排出されたガス(すなわち、排気)は、既述のように、排気路241および排気管42を介して過給機5のタービン51に供給され、還元触媒等を通過してディーゼルエンジン1の外部に排出される。
【0030】
ピストン3が下死点近傍まで下降し、ピストンクラウン31の上面が掃気ポート23よりも下側まで移動すると、掃気ポート23が開放され、燃焼室20と掃気室231とが掃気ポート23を介して連通する。これにより、掃気室231内の掃気が燃焼室20内に供給される。
【0031】
ピストン3は下死点に到達した後、上昇に転じる。ピストンクラウン31の上面が掃気ポート23よりも上側まで上昇することにより、掃気ポート23が閉塞され、燃焼室20内への掃気の供給が停止される。続いて、排気ポート24が排気弁25により閉塞され、燃焼室20が密閉される。ピストン3がさらに上昇することにより、燃焼室20内の掃気が圧縮される。そして、ピストン3が上死点近傍に到達すると、燃料噴射部61から燃焼室20内に燃料が噴射され、燃焼室20内にて上述の燃焼が生じる。ディーゼルエンジン1では、上記動作が繰り返される。
【0032】
次に、上述の油圧駆動機構7の詳細について説明する。油圧駆動機構7は、油圧駆動ライン71,72と、駆動油タンク73と、駆動油ポンプ74とを備える。駆動油タンク73は、駆動油を貯溜する。駆動油ポンプ74は、駆動油タンク73内の駆動油を油圧駆動ライン71,72へと送出する。油圧駆動ライン71は、排気弁油圧シリンダ253に接続され、排気弁25を駆動する。油圧駆動ライン72は、燃料供給機構6に接続され、燃料供給ポンプ62を駆動する。以下の説明では、排気弁25を駆動対象とする油圧駆動ライン71を「第1油圧駆動ライン71」と呼ぶ。また、燃料供給ポンプ62を駆動対象とする油圧駆動ライン72を「第2油圧駆動ライン72」と呼ぶ。
【0033】
図2は、排気弁油圧シリンダ253近傍を拡大して示す断面図である。
図2では、第1油圧駆動ライン71の構成を併せて示す。第1油圧駆動ライン71は、配管711と、バルブ712と、流路713と、油圧ピストン714と、バネ715と、スロットルバルブ75とを備える。流路713は、排気弁油圧シリンダ253内に形成されている。油圧ピストン714、バネ715、スロットルバルブ75は、排気弁油圧シリンダ253の内部に収容されている。スロットルバルブ75近傍には、スロットルバルブ75の動作監視システム76が設けられる。
【0034】
配管711は、駆動油ポンプ74(
図1参照)から送出された駆動油を流路713へと導く。
図2では、流路713等を流れる駆動油にも平行斜線を付す。バルブ712は、配管711上に設けられ、流路713への駆動油の供給を制御する。バルブ712が開閉されることにより、第1油圧駆動ライン71の駆動油の状態が、昇圧状態と非昇圧状態との間で切り替えられる。
図2では、非昇圧時の第1油圧駆動ライン71を示している。
【0035】
流路713は、油圧ピストン714の上端部およびスロットルバルブ75の下端部に接続される。油圧ピストン714は、略有蓋円筒状の部材である。油圧ピストン714の内部には、バネ715が収容される。バネ715の下端部は、排気弁25の弁棒252の上端面に接触している。弁棒252は、排気弁油圧シリンダ253内に設けられている空気ピストン254により、バネ715に向けて(すなわち、上方へと)押圧されている。バネ715は、例えば弦巻バネである。バネ715は、弦巻バネ以外の様々な弾性部材であってもよい。
【0036】
非昇圧時における第1油圧駆動ライン71では、空気ピストン254の圧力を受けて、弁棒252、油圧ピストン714およびバネ715が上方へと押圧される。油圧ピストン714の上端部は、排気弁油圧シリンダ253の天蓋部に接触または近接し、排気弁25は閉塞状態である。一方、昇圧時における第1油圧駆動ライン71では、昇圧された駆動油の圧力を受けてバネ715が下方へと押圧される。これにより、バネ715および弁棒252は、空気ピストン254の圧力に抗して下方へと移動し、排気弁25が開放状態となる。第1油圧駆動ライン71では、駆動油の昇圧が終了して非昇圧状態に戻ると、空気ピストン254の圧力により弁棒252およびバネ715が押し上げられ、排気弁25が閉塞状態となる。
【0037】
排気弁油圧シリンダ253内の駆動油は、排気弁油圧シリンダ253の側壁に設けられた複数のオリフィスから流出し、空気ピストン254の下側に設けられた駆動油溜め255にて受けられて、一時的に貯溜される。駆動油溜め255に貯溜された駆動油は、駆動油溜め255と弁棒252との間の間隙から、弁棒252の外側面を伝わって下方へと流れ落ちる。これにより、排気弁25の摺動部(例えば、弁棒252を支持する支持部と弁棒252との間の部位257)において摩擦抵抗が低減され、排気弁25の上下方向の移動が円滑に行われる。また、当該摺動部が気密にシールされる。
【0038】
駆動油溜め255から流れ落ちた駆動油は、シリンダ2の下側に位置するクランクケース(図示省略)にドレン油として一時的に貯溜される。ドレン油は、循環ポンプにて吸い上げられ、フィルタ等を通過して清浄化された後、駆動油タンク73に戻されて再利用される。以下の説明では、排気弁油圧シリンダ253からクランクケースに至る駆動油の流路を、「ドレンライン」と呼ぶ。
【0039】
スロットルバルブ75は、第1油圧駆動ライン71の駆動油のガス抜きを行う機械式のバルブである。スロットルバルブ75は、第1油圧駆動ライン71において、例えば油圧ピストン714の上方に配置される。スロットルバルブ75の上端部は、排気弁油圧シリンダ253に形成されたバッファ部716の内部に配置される。バッファ部716は、スロットルバルブ75を介して流路713から流出する駆動油を一時的に貯溜する比較的小さい空間である。
【0040】
図3および
図4は、スロットルバルブ75を拡大して示す断面図である。
図3は、第1油圧駆動ライン71の非昇圧時における開放状態のスロットルバルブ75を示す。
図4は、第1油圧駆動ライン71の昇圧時における閉塞状態のスロットルバルブ75を示す。スロットルバルブ75は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。
図3に示す例では、中心軸J1は略上下方向を向く。スロットルバルブ75の上下方向の長さは、例えば、4.3cm〜5.5cmである。
【0041】
スロットルバルブ75は、外筒部751と、内筒部752と、弾性部材753とを備える。外筒部751および内筒部752はそれぞれ、中心軸J1を中心として略上下方向に延びる略円筒状の部材である。外筒部751は、下端および上端に下部開口754および上部開口755をそれぞれ有する。内筒部752は、下部開口754と上部開口755との間において、外筒部751の内部に配置される。内筒部752は、
図3に示す位置と
図4に示す位置との間で、上下方向に移動可能である。弾性部材753は、内筒部752の外側面と外筒部751の内側面との間において、上下方向に圧縮された状態で配置される。弾性部材753は、内筒部752を下方へと押圧する。
図3よび
図4に示す例では、弾性部材753は弦巻バネである。
【0042】
内筒部752の上部側面には、内筒部752をそれぞれ貫通する複数のオリフィス756が設けられる。スロットルバルブ75では、複数のオリフィス756を介して、内筒部752の内部空間と外筒部751の内部空間とが連通している。
図3および
図4に示す例では、4つのオリフィス756が、中心軸J1を中心とする周方向において略等角度間隔に配置される。オリフィス756の数および配置は、適宜変更されてよい。
【0043】
図3に示す非昇圧時の第1油圧駆動ライン71では、流路713(
図2参照)内の駆動油が、下部開口754を介してスロットルバルブ75内に流入し、内筒部752の内部空間を上方へと流れる。当該駆動油は、内筒部752の内部空間から、複数のオリフィス756を介して、内筒部752の上部外側面と外筒部751の内側面との間の空間へと流出し、上部開口755を介してスロットルバルブ75の外部へと流出する。第1油圧駆動ライン71の駆動油中のガスは、スロットルバルブ75から外部へと流出する駆動油と共に、第1油圧駆動ライン71の外部へと排出される。スロットルバルブ75では、下部開口754が駆動油の入口であり、上部開口755が駆動油の出口である。以下の説明では、スロットルバルブ75の下部開口754および上部開口755をそれぞれ、「入口754」および「出口755」と呼ぶ。
【0044】
一方、
図4に示す昇圧時の第1油圧駆動ライン71では、昇圧された駆動油の圧力を受けて内筒部752が上方へと押圧される。これにより、内筒部752は、弾性部材753を圧縮しつつ上方へと移動し、内筒部752の上端部外面と外筒部751の内面とが接触する。その結果、出口755が内筒部752により閉塞され、スロットルバルブ75からの駆動油の流出が停止する。スロットルバルブ75では、駆動油の昇圧が終了して非昇圧状態に戻ると、弾性部材753の復元力により内筒部752が押し下げられ、出口755が開放される。
【0045】
図2に示すように、動作監視システム76は、上述のスロットルバルブ75と、センサ部761と、監視部762と、流出管路769とを備える。センサ部761は、スロットルバルブ75の出口755近傍において排気弁油圧シリンダ253に取り付けられ、バッファ部716に接続される。センサ部761は、取付部764と、圧力センサ765とを備える。取付部764は、バッファ部716の側方において排気弁油圧シリンダ253の外側壁に取り付けられる。取付部764の内部には、バッファ部716から排気弁油圧シリンダ253の外部へと流出する駆動油が流れる流路が形成されている。圧力センサ765は、取付部764の当該流路の下側に配置され、当該流路を流れる駆動油の圧力(すなわち、スロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油の圧力)を、流路下部にて継続的に測定する。圧力センサ765は、スロットルバルブ75の出口755よりも下側に配置される。圧力センサ765からの出力は、監視部762へと送られる。
【0046】
流出管路769の一方の端部は、取付部764に接続される。取付部764の内部の流路も、流出管路769の一部と捉えられる。流出管路769は、排気弁油圧シリンダ253の外部において、スロットルバルブ75の出口755よりも上側まで上方に延び、その後、下方へと延びる配管である。流出管路769の他方の端部は、排気弁油圧シリンダ253に接続され、駆動油溜め255よりも上側において排気弁油圧シリンダ253の内部空間と連通する。流出管路769は、第1油圧駆動ライン71のスロットルバルブ75以外の部位から排出された駆動油が流れる上述のドレンラインから独立して設けられる。なお、流出管路769は、排気弁油圧シリンダ253の内部に設けられてもよい。
【0047】
流出管路769は、バッファ部716から排気弁油圧シリンダ253の外部へと流出した駆動油を、排気弁油圧シリンダ253の内部へと戻す。流出管路769により排気弁油圧シリンダ253内へと導かれた駆動油は、上述の駆動油溜め255にて受けられて、一時的に貯溜される。駆動油溜め255に貯溜された駆動油は、上述のように、駆動油溜め255と弁棒252との間の間隙から、弁棒252の外側面を伝わって下方へと流れ落ちる。これにより、排気弁25の摺動部において摩擦抵抗が低減され、排気弁25の上下方向の移動が円滑に行われる。また、当該摺動部が気密にシールされる。
【0048】
流出管路769は、スロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油を、排気弁25の摺動部へと導く。当該摺動部に導かれた駆動油は、上述のように、摩擦を低減する潤滑油として利用される。なお、流出管路769は、必ずしも、スロットルバルブ75から流出する駆動油の全量を排気弁25の摺動部へと導く必要はない。流出管路769は、スロットルバルブ75から流出する駆動油の少なくとも一部を排気弁25の摺動部へと導く。
【0049】
監視部762は、例えば、通常のコンピュータである。当該コンピュータは、
図5に示すように、プロセッサ81と、メモリ82と、入出力部83と、バス84とを備える。バス84は、プロセッサ81、メモリ82および入出力部83を接続する信号回路である。メモリ82は、プログラムおよび各種情報を記憶する。プロセッサ81は、メモリ82に記憶されるプログラム等に従って、メモリ82等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算や画像処理)を実行する。入出力部83は、操作者からの入力を受け付けるキーボード85およびマウス86、並びに、プロセッサ81からの出力等を表示するディスプレイ87を備える。
【0050】
図2に示すように、監視部762は、記憶部766と、検出部767とを備える。記憶部766は、主にメモリ82により実現され、各種情報を記憶する。検出部767は、主にプロセッサ81により実現され、記憶部766に格納されている情報、および、圧力センサ765からの出力に基づいて、スロットルバルブ75および後述するスロットルバルブ75aの異常を検出する。
【0051】
具体的には、記憶部766は、排気弁25の正常動作時におけるスロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油の圧力の周期的変動を「基準変動」として予め記憶している。基準変動は、例えば、排気弁25が正常動作中であることがストロークセンサ等により確認されている状態で、圧力センサ765により駆動油の圧力を測定することにより取得される。あるいは、基準変動は、シミュレーション等により求められてもよい。
【0052】
図6は、駆動油の基準変動の一例を示す図である。
図6中の横軸は、ピストン3に接続される上述のクランク機構におけるクランク角度(°) を示す。
図6中の縦軸は、スロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油の圧力(bar)を示す。
図6中の符号90を付すグラフは、駆動油の圧力の基準変動である。クランク角度が0°から約120°の範囲では、第1油圧駆動ライン71は非昇圧状態であり、開放状態のスロットルバルブ75の出口755から駆動油が流出する。したがって、圧力センサ765により測定される駆動油の圧力は、非昇圧時の駆動油の圧力と略同じであり、比較的低い。
【0053】
クランク角度が約120°になると、第1油圧駆動ライン71が昇圧状態とされ、スロットルバルブ75は、開放状態から閉塞状態へと移行する。このとき、スロットルバルブ75が閉塞状態となるまでの短時間の間に、昇圧された駆動油がスロットルバルブ75の出口755から流出する。このため、クランク角度が約120°のときに、圧力センサ765により測定される駆動油の圧力が瞬間的に増大し、基準変動における圧力のピークが生じる。
【0054】
クランク角度が約120°から約240°の範囲では、第1油圧駆動ライン71は昇圧状態であるが、スロットルバルブ75が閉塞状態であるため、圧力センサ765により測定される駆動油の圧力は、比較的低い。また、クランク角度が約240°から360°の範囲では、第1油圧駆動ライン71が非昇圧状態であり、スロットルバルブ75は開放状態であるため、圧力センサ765により測定される駆動油の圧力は、比較的低い。なお、クランク角度が約300°から360°の範囲における駆動油の圧力変動は、駆動油の補給等によるものであり、スロットルバルブ75の開閉等によるものではない。
【0055】
スロットルバルブ75では、例えば、異物が内筒部752と外筒部751との間に挟まって、内筒部752が移動不能になる異常が生じる可能性がある。スロットルバルブ75が開放状態のときに内筒部752が移動不能になると、第1油圧駆動ライン71内の駆動油の昇圧時においても、スロットルバルブ75の開放状態が維持され、昇圧された駆動油がスロットルバルブ75の出口755から継続的に流出する。このため、圧力センサ765により測定される駆動油の圧力は、
図7中に実線91にて示すように、クランク角度が約120°から約240°の範囲において、基準変動(破線90)に比べて大きくなる。圧力センサ765の測定値は、検出部767に送られる。検出部767では、圧力センサ765の測定値と第1油圧駆動ライン71の基準変動とを比較することにより、スロットルバルブ75の異常(
図7に示す例では、スロットルバルブ75の常時開放)を検出する。なお、スロットルバルブ75の常時開放異常は、例えば、駆動油中のガスが内筒部752の内部に比較的多量に留まるガス噛み等に起因して生じる可能性もある。
【0056】
また、スロットルバルブ75が閉塞状態のときに内筒部752が移動不能になると、第1油圧駆動ライン71内の駆動油の非昇圧時においても、スロットルバルブ75の閉塞状態が維持され、スロットルバルブ75の出口755から駆動油は流出しない。このため、圧力センサ765により測定される駆動油の圧力は、
図8中に実線92にて示すように、クランク角度に関わらず比較的低い状態で維持され、基準変動(破線90)のクランク角度120°近傍におけるピークは生じない。検出部767では、圧力センサ765の測定値と基準変動とを比較することにより、スロットルバルブ75の異常(
図8に示す例では、スロットルバルブ75の常時閉塞)を検出する。
【0057】
なお、スロットルバルブ75の常時閉塞異常は、例えば、弾性部材753の折損等に起因して生じる可能性もある。また、スロットルバルブ75の複数のオリフィス756に異物等が詰まった場合、内筒部752の位置に関わらず、内筒部752内の駆動油が出口755へと流れないため、スロットルバルブ75の常時閉塞異常と同様の異常が生じていると捉えられる。動作監視システム76では、スロットルバルブ75の異常が検出されると、検出部767は、例えばディスプレイ87への警告表示や警報音等により、作業員に異常の検出を通知する。
【0058】
以上に説明したように、動作監視システム76は、ディーゼルエンジン1の油圧駆動ライン(すなわち、第1油圧駆動ライン71)に設けられて駆動油のガス抜きを行うスロットルバルブ75の動作を監視する。動作監視システム76は、スロットルバルブ75と、圧力センサ765と、記憶部766と、検出部767とを備える。スロットルバルブ75は、駆動油の入口754および出口755を有する。スロットルバルブ75は、駆動油の昇圧時に駆動油の圧力を受けて出口755を閉塞し、駆動油の非昇圧時に出口755を開放する。圧力センサ765は、スロットルバルブ75の出口755近傍に配置される。圧力センサ765は、出口755から流出する駆動油の圧力を測定する。記憶部766は、第1油圧駆動ライン71の駆動対象(すなわち、排気弁25)の正常動作時におけるスロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油の圧力の周期的変動を、基準変動として予め記憶する。検出部767は、圧力センサ765の測定値と基準変動とを比較してスロットルバルブ75の異常を検出する。
【0059】
これにより、第1油圧駆動ライン71に設けられるスロットルバルブ75の異常を自動的に検出することができる。その結果、スロットルバルブ75の異常に起因する上記駆動対象の動作異常を防止または抑制することができ、ディーゼルエンジン1の故障を防止または抑制することができる。
【0060】
上述のように、第1油圧駆動ライン71の駆動対象は、ディーゼルエンジン1の排気弁25を含むことが好ましい。これにより、ディーゼルエンジン1の駆動に重要な役割を果たす排気弁25の動作異常を防止または抑制することができる。
【0061】
上述のように、スロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油の少なくとも一部は、排気弁25の摺動部へと導かれて、潤滑油として利用されることが好ましい。これにより、駆動油とは別の潤滑油供給ラインを設けることなく、排気弁25の摺動部の潤滑異常(例えば、潤滑油不足による摩擦増大)を防止または抑制することができる。その結果、ディーゼルエンジン1の構造を簡素化することができる。
【0062】
動作監視システム76では、検出部767により検出される異常は、スロットルバルブ75の常時開放を含むことが好ましい。これにより、スロットルバルブ75の常時開放に起因する第1油圧駆動ライン71の昇圧不足を防止または抑制することができ、その結果、駆動力不足等による駆動対象(すなわち、排気弁25)の動作異常を防止または抑制することができる。
【0063】
動作監視システム76では、検出部767により検出される異常は、スロットルバルブ75の常時閉塞を含むことが好ましい。これにより、スロットルバルブ75の常時閉塞に起因する駆動油におけるガスの過剰含有を防止または抑制することができ、その結果、ガス噛み等による駆動対象(すなわち、排気弁25)の動作異常を防止または抑制することができる。
【0064】
上述のように、動作監視システム76は、好ましくは、スロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油を導く流出管路769をさらに備える。また、圧力センサ765は、流出管路769の下部における駆動油の圧力を測定することが好ましい。これにより、圧力センサ765の測定部を駆動油に好適に浸漬させることができる。その結果、圧力センサ765による駆動油の圧力測定の精度を向上することができ、スロットルバルブ75の異常を高精度に検出することができる。
【0065】
上述のように、動作監視システム76は、好ましくは、スロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油を導く流出管路769をさらに備える。また、流出管路769は、第1油圧駆動ライン71のスロットルバルブ75以外の部位から排出された駆動油が流れるドレンラインから独立して設けられることが好ましい。これにより、スロットルバルブ75から流出する駆動油の圧力測定を、スロットルバルブ75以外から流出する駆動油の圧力変動による影響を防止または低減して、精度良く行うことができる。その結果、スロットルバルブ75の異常を高精度に検出することができる。
【0066】
図9は、燃料供給機構6の燃料供給ポンプ62近傍を拡大して示す断面図である。
図9では、第2油圧駆動ライン72の構成を併せて示す。燃料供給ポンプ62は、燃料シリンダ621と、燃料プランジャ622とを備える。第2油圧駆動ライン72は、配管721と、バルブ722と、油圧シリンダ724と、油圧プランジャ725と、スロットルバルブ75aとを備える。スロットルバルブ75aは、上述のスロットルバルブ75と同じ構造を有する(
図3および
図4参照)。
【0067】
配管721は、駆動油ポンプ74(
図1参照)から送出された駆動油を油圧シリンダ724へと導く。バルブ722は、配管721上に設けられ、油圧シリンダ724への駆動油の供給を制御する。バルブ722が開閉されることにより、第2油圧駆動ライン72の駆動油の状態が、昇圧状態と非昇圧状態との間で切り替えられる。
図9では、非昇圧時の第2油圧駆動ライン72を示している。
【0068】
油圧シリンダ724は、略有底円筒状の部材である。油圧シリンダ724の内部には、略円柱状の油圧プランジャ725が収容される。燃料シリンダ621は、略円筒状の部材である。燃料シリンダ621の内部には、略円柱状の燃料プランジャ622が収容される。燃料シリンダ621および燃料プランジャ622は、油圧シリンダ724および油圧プランジャ725の上側に取り付けられる。油圧プランジャ725の上端部は、燃料プランジャ622の下端面に接触している。
【0069】
スロットルバルブ75aは、中心軸J1を略水平方向に向けて配置される。スロットルバルブ75aの入口754は、流路を介して油圧シリンダ724の内部空間と連通する。当該流路は、油圧シリンダ724の内部空間の下端部に接続される。スロットルバルブ75aの出口755は、上述の動作監視システム76のもう1つのセンサ部761aに接続される。
【0070】
センサ部761aは、上述のセンサ部761と同様に、取付部764aと、圧力センサ765aとを備える。取付部764aは、油圧シリンダ724の外側壁に取り付けられる。取付部764aの内部には、スロットルバルブ75aから流出する駆動油が流れる流路が形成されている。圧力センサ765aは、取付部764aの当該流路の下側に配置され、当該流路を流れる駆動油の圧力(すなわち、スロットルバルブ75aの出口755から流出する駆動油の圧力)を、流路下部にて継続的に測定する。圧力センサ765aは、スロットルバルブ75aの出口755よりも下側に配置される。取付部764aの流路から流出した駆動油は、流出管路769aにより上述のドレンラインへと導かれる。
【0071】
流出管路769aの一方の端部は、取付部764aに接続される。取付部764aの内部の流路も、流出管路769aの一部と捉えられる。流出管路769aは、油圧シリンダ724の外部において、スロットルバルブ75aの出口755よりも上側まで上方に延び、その後、下方へと延びる配管である。流出管路769は、第2油圧駆動ライン72のスロットルバルブ75a以外の部位から排出された駆動油が流れる上述のドレンラインから独立して設けられる。
【0072】
非昇圧時における第2油圧駆動ライン72では、油圧プランジャ725および燃料プランジャ622は駆動油により押し上げられておらず、燃料シリンダ621の内部(すなわち、燃料プランジャ622の上端面よりも上側の空間)に燃料が一時的に貯溜されている。また、スロットルバルブ75aは開放状態(
図3参照)であり、スロットルバルブ75a内の駆動油は、駆動油中のガスと共に出口755から第2油圧駆動ライン72の外部へと流出する。
【0073】
一方、昇圧時における第2油圧駆動ライン72では、昇圧された駆動油の圧力を受けてスロットルバルブ75aが閉塞状態となる。また、昇圧された駆動油の圧力を受けて油圧プランジャ725および燃料プランジャ622が押し上げられる。これにより、燃料シリンダ621内の上記燃料が、燃料供給ポンプ62から燃料噴射部61へと供給され、燃料噴射部61から燃焼室20(
図1参照)内へと噴射される。第2油圧駆動ライン72では、駆動油の昇圧が終了して非昇圧状態に戻ると、上記と同様に、スロットルバルブ75aが開放状態となり、燃料シリンダ621内に所定量の燃料が供給される。また、油圧プランジャ725および燃料プランジャ622は、それぞれの自重、および、燃料シリンダ621内への燃料の供給圧力により下降する。
【0074】
動作監視システム76では、圧力センサ765aからの出力が、上述の監視部762へと送られる。監視部762の記憶部766には、燃料供給ポンプ62の正常動作時におけるスロットルバルブ75aの出口755から流出する駆動油の圧力の周期的変動が、「基準変動」として予め記憶されている。当該基準変動は、第2油圧駆動ライン72における基準変動であり、上述の第1油圧駆動ライン71における基準変動とは異なる。第2油圧駆動ライン72における当該基準変動は、例えば、燃料供給ポンプ62が正常動作中であることが確認されている状態で、圧力センサ765aにより駆動油の圧力を測定することにより取得される。あるいは、基準変動は、シミュレーション等により求められてもよい。
【0075】
当該基本変動では、第2油圧駆動ライン72が昇圧状態とされ、スロットルバルブ75aが開放状態から閉塞状態へと移行する短時間の間に、昇圧された駆動油がスロットルバルブ75aの出口755から流出する。このため、圧力センサ765aにより測定される駆動油の圧力が瞬間的に増大し、圧力のピークが生じる。当該ピークが生じる範囲以外では、基準変動における駆動油の圧力は比較的低い。
【0076】
スロットルバルブ75aにおいて常時開放異常が生じると、第2油圧駆動ライン72の昇圧時に、昇圧された駆動油がスロットルバルブ75aの出口755から継続的に流出する。このため、圧力センサ765aにより測定される駆動油の圧力は、第2油圧駆動ライン72の駆動油が昇圧状態である間、上述の基準変動に比べて大きくなる。圧力センサ765aの測定値は、検出部767に送られる。検出部767では、圧力センサ765aの測定値と第2油圧駆動ライン72の基準変動とを比較することにより、スロットルバルブ75aの常時開放異常を検出する。
【0077】
また、スロットルバルブ75aにおいて常時閉塞異常が生じると、スロットルバルブ75aの出口755から駆動油は流出しない。このため、圧力センサ765aにより測定される駆動油の圧力は、第2油圧駆動ライン72の昇圧時および非昇圧時に関わらず、比較的低い状態で維持される。検出部767では、圧力センサ765aの測定値と第2油圧駆動ライン72の基準変動とを比較することにより、スロットルバルブ75aの常時閉塞異常を検出する。動作監視システム76では、スロットルバルブ75aの異常が検出されると、検出部767は、例えばディスプレイ87への警告表示や警報音等により、作業員に異常の検出を通知する。
【0078】
以上に説明したように、動作監視システム76は、ディーゼルエンジン1の油圧駆動ライン(すなわち、第2油圧駆動ライン72)に設けられて駆動油のガス抜きを行うスロットルバルブ75aの動作を監視する。動作監視システム76は、スロットルバルブ75aと、圧力センサ765aと、記憶部766と、検出部767とを備える。スロットルバルブ75aは、駆動油の入口754および出口755を有する。スロットルバルブ75aは、駆動油の昇圧時に駆動油の圧力を受けて出口755を閉塞し、駆動油の非昇圧時に出口755を開放する。圧力センサ765aは、スロットルバルブ75aの出口755近傍に配置される。圧力センサ765aは、出口755から流出する駆動油の圧力を測定する。記憶部766は、第2油圧駆動ライン72の駆動対象(すなわち、燃料供給ポンプ62)の正常動作時におけるスロットルバルブ75aの出口755から流出する駆動油の圧力の周期的変動を、基準変動として予め記憶する。検出部767は、圧力センサ765aの測定値と基準変動とを比較してスロットルバルブ75aの異常を検出する。
【0079】
これにより、第2油圧駆動ライン72に設けられるスロットルバルブ75aの異常を自動的に検出することができる。その結果、スロットルバルブ75aの異常に起因する上記駆動対象の動作異常を防止または抑制することができ、ディーゼルエンジン1の故障を防止または抑制することができる。
【0080】
上述のように、第2油圧駆動ライン72の駆動対象は、ディーゼルエンジン1の燃料供給ポンプ62を含むことが好ましい。これにより、ディーゼルエンジン1の駆動に重要な役割を果たす燃料供給ポンプ62の動作異常を防止または抑制することができる。
【0081】
動作監視システム76では、検出部767により検出される異常は、スロットルバルブ75aの常時開放を含むことが好ましい。これにより、スロットルバルブ75aの常時開放に起因する第2油圧駆動ライン72の昇圧不足を防止または抑制することができ、その結果、駆動力不足等による駆動対象(すなわち、燃料供給ポンプ62)の動作異常を防止または抑制することができる。
【0082】
動作監視システム76では、検出部767により検出される異常は、スロットルバルブ75aの常時閉塞を含むことが好ましい。これにより、スロットルバルブ75aの常時閉塞に起因する駆動油におけるガスの過剰含有を防止または抑制することができ、その結果、ガス噛み等による駆動対象(すなわち、燃料供給ポンプ62)の動作異常を防止または抑制することができる。
【0083】
上述のように、動作監視システム76は、好ましくは、スロットルバルブ75aの出口755から流出する駆動油を導く流出管路769aをさらに備える。また、圧力センサ765aは、流出管路769aの下部における駆動油の圧力を測定することが好ましい。これにより、圧力センサ765aの測定部を駆動油に好適に浸漬させることができる。その結果、圧力センサ765aによる駆動油の圧力測定の精度を向上することができ、スロットルバルブ75aの異常を高精度に検出することができる。
【0084】
上述のように、動作監視システム76は、好ましくは、スロットルバルブ75aの出口755から流出する駆動油を導く流出管路769aをさらに備える。また、流出管路769aは、第2油圧駆動ライン72のスロットルバルブ75a以外の部位から排出された駆動油が流れるドレンラインから独立して設けられることが好ましい。これにより、スロットルバルブ75aから流出する駆動油の圧力測定を、スロットルバルブ75a以外から流出する駆動油の圧力変動による影響を防止または低減して、精度良く行うことができる。その結果、スロットルバルブ75aの異常を高精度に検出することができる。
【0085】
上述の動作監視システム76では、様々な変更が可能である。
【0086】
例えば、第1油圧駆動ライン71のスロットルバルブ75から流出する駆動油は、必ずしも排気弁25の摺動部へと導かれて潤滑油として利用される必要はない。
【0087】
第1油圧駆動ライン71において、ドレンラインから独立する流出管路769が省略され、スロットルバルブ75の出口755から流出する駆動油は、当該ドレンラインに直接的に導かれてもよい。第2油圧駆動ライン72においても同様に、ドレンラインから独立する流出管路769aが省略され、スロットルバルブ75aの出口755から流出する駆動油は、当該ドレンラインに直接的に導かれてもよい。
【0088】
圧力センサ765は、スロットルバルブ75の出口755近傍に配置されるのであれば、流出管路769の下部以外の部位(例えば、流出管路769の上部、あるいは、流出管路769以外の部位)における駆動油の圧力を測定してもよい。圧力センサ765aについても同様である。
【0089】
検出部767により検出されるスロットルバルブ75,75aの異常は、上述のようにスロットルバルブ75,75aの常時開放および常時閉塞の双方であってもよく、いずれか一方であってもよい。また、検出部767により検出されるスロットルバルブ75,75aの異常は、スロットルバルブ75,75aの常時開放および常時閉塞には限定されず、他の様々な異常であってもよい。
【0090】
スロットルバルブ75,75aは、上述の構造を有するものには限定されず、他の様々な構造を有するものであってよい。例えば、いわゆる逆止弁が、スロットルバルブ75,75aとして利用されてもよい。
【0091】
動作監視システム76により動作を監視されるスロットルバルブは、必ずしも排気弁25または燃料供給ポンプ62の駆動用の油圧駆動ラインに設けられる必要はなく、他の駆動対象を駆動する油圧駆動ラインに設けられてもよい。
【0092】
動作監視システム76が設けられるディーゼルエンジン1は、2ストロークエンジンには限定されず、4ストロークエンジンであってもよい。また、動作監視システム76は、船舶の主機として利用されるディーゼルエンジン以外にも、発電用ディーゼルエンジンまたは自動車用ディーゼルエンジン等、上述のスロットルバルブが設けられる様々なディーゼルエンジンに設けられてよい。
【0093】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。