(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伸縮部が、並んで配置される複数の折り線に沿って折り曲げられることで、山状の部分と谷状の部分とが交互に並んだ波型形状を有している、請求項1に記載の接続モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態を、
図1〜
図13を参照しつつ説明する。本実施形態の接続モジュール1A、1Bは、電気自動車やハイブリット自動車等の車両の駆動源として使用される蓄電モジュールMを構成する。接続モジュール1A、1Bは、
図1に示すように、複数の蓄電素子150が一列に並べられた蓄電素子群150Gに取り付けられて、複数の蓄電素子150を直列に接続する。
【0016】
[蓄電素子150および蓄電素子群150G]
蓄電素子150は、例えば、二次電池である。各蓄電素子150は、
図1に示すように、外形が扁平な直方体状であって、隣接する蓄電素子150と対向する面に対して垂直な電極配置面150F(
図1の上面)を有している。電極配置面150Fには、電極端子151A、151Bが配置されている。電極端子151A、151Bのうち一方は正極端子151Aであり、他方は負極端子151Bである。各電極端子151A、151Bは円柱状であって、外周面には、詳細には図示しないが、ねじ山が切られている。
【0017】
図1に示すように、複数の蓄電素子150が一列に並べられて蓄電素子群150Gを構成している。複数の蓄電素子150は、隣り合う2つの蓄電素子150において、異なる極性の電極端子151A、151Bが互いに隣り合うように(つまり、一の蓄電素子150の正極端子151Aと、これと隣接する他の蓄電素子150の負極端子151Bとが互いに隣り合うように)並べられている。
【0018】
なお、以下の説明においては、複数の蓄電素子150の並び方向(
図1の左下−右上方向)をX軸方向、蓄電素子150において隣接する蓄電素子150と対向する面に沿う方向(
図1の右下−左上方向)をY軸方向、電極配置面150Fに垂直な方向(
図1の上下方向)をZ軸方向として説明する。
【0019】
[接続モジュール1A、1B]
接続モジュール1A、1Bは、蓄電素子群150Gにおいて、各蓄電素子150の電極配置面150Fによって構成される面(
図1の上面)に組み付けられるモジュールである。
図1に示すように、一組の蓄電素子群150Gには、2つの接続モジュール1A、1Bが組み付けられており、一方の接続モジュール1Aは、電極端子151A、151Bの2つの列のうち一方の列(
図1の右下の列)に、他方の接続モジュール1Bは、電極端子151A、151Bの他方の列(
図1の左上の列)に組み付けられている。2つの接続モジュール1A、1Bは、同様の構成を有しているので、以下には、接続モジュール1Aを例にとり説明する。
【0020】
接続モジュール1Aは、
図6に示すように、フレキシブルプリント基板20(以下、「FPC20」と記載する)と、FPC20に接続されて、隣り合う蓄電素子150の正極端子151Aと負極端子151Bとを接続する複数のバスバー10(接続部材に該当)と、バスバー10とFPC20とを保持する樹脂プロテクタ50(保持部材に該当)とを備えている。
【0021】
(バスバー10)
複数のバスバー10のそれぞれは、金属製であって、
図8に示すように、隣り合う蓄電素子150の正極端子151Aと負極端子151Bとを接続する電極接続部11と、この電極接続部11から連なり、FPC20に接続されるFPC接続片15と、FPC接続片15から連なる係止壁16とを備えている。
【0022】
電極接続部11は、全体として長方形の板状の部分であって、電極端子151A、151Bを挿通可能な2つの電極挿通孔12と、樹脂プロテクタ50との係合のための2つの係合凹部13とを有している。電極挿通孔12は、電極接続部11の一方の短辺11Sに近接した位置に1つ、他方の短辺11Sに近接した位置に1つが配置されている。2つの係合凹部13のうち一方は、電極接続部11の一方の短辺11Sから凹む凹部であり、他方は、他方の短辺11Sから凹む凹部である。
【0023】
電極接続部11は、一対の長辺11LA、11LBのうち一方の長辺11LAから凹む接続用凹部14を有している。この接続用凹部14は、長辺11LAと平行な第1奥縁14Aと、この第1奥縁14Aの両端と長辺11LAとを繋ぐ一対の第1側縁14Bとで定義される凹部である。FPC接続片15は、第1奥縁14Aから電極接続部11と同一平面内に延びる矩形の板片状の部分である。係止壁16は、FPC接続片15の先端から垂直に延びる短い板壁状の部分である。
【0024】
(FPC20)
FPC20は、複数のバスバー10とECU(電子制御ユニット:図示せず)とを電気的に接続するための部材であって、詳細には図示しないが、銅箔によって形成された複数の導電路と、導電路の両面を被覆する絶縁樹脂フィルムとを備えている。このFPC20は、
図6および
図7に示すように、帯状をなすFPC本体21と、FPC本体21から連なり、複数のバスバー10のそれぞれに接続される複数の第1可動部41とを備えている。
【0025】
FPC本体21は、全体として細長い長方形状であって、
図1および
図6に示すように、2つのスリット(第1スリット22Aおよび第2スリット22B)と、2つの切欠き部(第1切欠き部23Aおよび第2切欠き部23B)とによって、3つの配線部(第1配線部31A、第2配線部31B、第3配線部31C)に分けられている。
【0026】
第1スリット22Aおよび第2スリット22Bは、
図6に示すように、FPC本体21の一対の長辺21LA、21LBと平行に延びるスリットである。第1スリット22Aは、FPC本体21の一端(
図6の左下端)に近い位置に、FPC本体21の一対の長辺21LA、21LBのうち一方(
図1の下側)の長辺21LAに近接して配置されている。第2スリット22Bは、FPC本体21の他端(
図6の右上端)に近い位置に、他方(
図1の上側)の長辺21LBに近接して配置されている。第1切欠き部23Aは、長辺21LAから第1スリット22Aまで延びる、比較的幅の広い隙間である。第2切欠き部23Bは、長辺21LAから第2スリット22Bまで延びる、比較的幅の広い隙間である。
【0027】
図1および
図6に示すように、第1配線部31Aは、FPC本体21の一端(
図6の左下端)に配置され、第1スリット22Aと第1切欠き部23Aとによって区画された部分である。第2配線部31Bは、第1配線部31Aから連なり、第1スリット22Aによって区画された第2伸縮部32B(伸縮部に該当)と、第2伸縮部32Bから連なり、第1スリット22A、第1切欠き部23A、第2スリット22Bおよび第2切欠き部23Bで区画された第2バスバー配置部33B(接続部材配置部に該当)とを備えている。第3配線部31Cは、第2バスバー配置部33Bから連なり、第2スリット22Bで区画された第3伸縮部32C(伸縮部に該当)と、第3伸縮部32Cから連なり、第2スリット22Bと第2切欠き部23Bとで区画された第3バスバー配置部33C(接続部材配置部に該当)とを備えている。なお、第1配線部31Aは、伸縮部を備えず、全体が、バスバー10が接続される接続部材配置部に該当する。第1配線部31Aと、第2バスバー配置部33Bと、第3バスバー配置部33Cとは、長辺21LAに沿って一列に並んで配置されている。
【0028】
図3および
図4に示すように、第3伸縮部32Cは、長辺21LA、21LBに垂直な方向に伸びる複数の折り線24に沿って軽く折り曲げられることで、山状の部分と谷状の部分とが交互に並んだ緩やかな波型に屈曲されており、折り角度が変化することで、長辺21LA、21LBに沿う方向(
図3の左右方向)に伸縮可能となっている。第2伸縮部32Bも同様である。これらにより、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cは、第1配線部31Aに対して近接−離間する方向の変位が許容されている。言い換えると、第2バスバー配置部33Bは、第2伸縮部32Bの伸縮により、第1配線部31Aおよび第3バスバー配置部33Cに対して近接−離間する方向への変位が許容されている。また、第3バスバー配置部33Cは、第3伸縮部32Cの伸縮により、第2バスバー配置部33Bに対して近接−離間する方向の変位が許容されている。
【0029】
第1配線部31A、第2バスバー配置部33B、および第3バスバー配置部33Cは、それぞれ複数の位置決め孔25を有している。
【0030】
第1配線部31Aは、第1切欠き部23Aに近接した位置に、係合孔26を有している。第2バスバー配置部33Bは、第1切欠き部23Aに近接した位置に1つ、第2切欠き部23Bに近接した位置に1つの係合孔26を有している。第3バスバー配置部33Cは、第2切欠き部23Bに近接した位置に1つ、第2バスバー配置部33Bとは反対側の端縁に近接した位置に1つの係合孔26を有している。
【0031】
第1可動部41は、
図3および
図7に示すように、FPC本体21から連なるS字の線ばね状の部分である。複数の第1可動部41は、
図6に示すように、長辺21LAに沿って一列に並んで配置されており、それらのうち一部は、第1配線部31Aから連なっており、他の一部は、第2バスバー配置部33Bから連なっており、残りは、第3バスバー配置部33Cから連なっている。第1可動部41の先端部は、詳細には図示しないが、導電路の一部が接合用ランド(図示せず)として露出された接合部となっており、ここに、FPC接続片15が半田付けにより接続される。
【0032】
(樹脂プロテクタ50)
樹脂プロテクタ50は、合成樹脂製であって、
図9に示すように、FPC本体21を保持するFPC保持部51と、バスバー10を保持する複数のバスバー保持部121、131とを備えている。
【0033】
FPC保持部51は、
図9に示すように、3つの保持ユニット(第1保持ユニット61、第2保持ユニット71、第3保持ユニット81)と、隣り合う保持ユニット61、71、81間を連結する2組の第1連結部91(連結部に該当)とを備えて、全体としてFPC本体21とほぼ同等の大きさの細長い長方形の板状をなしている。第1保持ユニット61は、第1配線部31Aと、第2伸縮部32Bにおいて第1配線部31Aに隣接する部分とを保持する。第2保持ユニット71は、第2伸縮部32Bにおいて第2バスバー配置部33Bに隣接する部分と、第2バスバー配置部33Bと、第3伸縮部32Cにおいて第2配線部31Bに隣接する部分とを保持する。第3保持ユニット81は、第3伸縮部32Cにおいて第3バスバー配置部33Cに隣接する部分と、第3バスバー配置部33Cとを保持する。
【0034】
第1保持ユニット61は、
図9および
図11に示すように、第1載置板62(載置部に該当)と、この第1載置板62から立ち上がる第1サイドリブ63と、この第1サイドリブ63から連なる第1押さえ片53A(挟み部に該当)および複数の第2押さえ片53
Bとを備えている。
【0035】
第1載置板62は、
図9および
図11に示すように、全体として長方形の板状をなす部分である。第1載置板62の一面(
図9の上面)は、FPC本体21が載置される第1載置面62Fとなっている。第1サイドリブ63は、第1載置板62の一対の長辺62LA、62LBのうち一方(
図11の上方)の長辺62LAから突出するすじ状の部分である。第1押さえ片53Aは、
図11に示すように、第1サイドリブ63から、第1載置板62と平行に延びる細長い板片状の部分であって、第1載置板62との間でFPC本体21を挟んで保持できるようになっている。第2押さえ片53Bは、同じく第1サイドリブ63から、第1載置板62と平行に延びる板片状の部分であって、第1押さえ片53Aよりも短くなっている。第2押さえ片53Bは、第1押さえ片53Aよりも第2保持ユニット71に近接して複数が配置されている。
【0036】
第1保持ユニット61は、
図11に示すように、第1載置面62Fから突出する第1センターリブ52A、位置決め突起54およびFPC係止片55を備えている。第1センターリブ52Aは、長辺62LA、62LBと平行に延びるすじ状の部分であって、第1スリット22Aに対応する位置に配置されている。複数の位置決め突起54のそれぞれは、第1載置面62Fから突出する円形の突部であって、位置決め孔25に対応する位置に配置されている。FPC係止片55は、詳細には図示しないが、第1載置面62Fから突出する係止片本体と、係止片本体の先端から突出する係止突起とを備えており、係合孔26に対応する位置に配置されている。
【0037】
第2保持ユニット71は、
図9および
図11に示すように、第2載置板72(載置部に該当)と、この第2載置板72から立ち上がる第2サイドリブ73と、この第2サイドリブ73から連なる第1押さえ片53Aおよび複数の第2押さえ片53Bとを備えている。
【0038】
第2載置板72は、
図9および
図11に示すように、全体として長方形の板状をなす部分である。第2載置板72の一面(
図9の上面)は、FPC本体21が載置される第2載置面72Fとなっている。第2サイドリブ73は、第2載置板72の一対の長辺72LA、72LBのうち一方(
図11の上方)の長辺72LAから突出するすじ状の部分である。第1押さえ片53Aは、
図11に示すように、第2サイドリブ73の中央位置から延びている。複数の第2押さえ片53Bは、
図11に示すように、第1押さえ片53Aの両側に配置されている。
【0039】
第2保持ユニット71は、
図9および
図11に示すように、第2載置面72Fから突出する第2センターリブ52B、第3センターリブ52C、複数の位置決め突起54および複数のFPC係止片55を備えている。第2センターリブ52Bは、第2載置板72の長辺72LA、72LBと平行に延びる短いすじ状の部分であって、第1スリット22Aに対応して配置されている。第3センターリブ52Cは、第2載置板72の長辺72LA、72LBと平行に延びる短いすじ状の部分であって、第2スリット22Bに対応して配置されている。複数の位置決め突起54および複数のFPC係止片55は、第1保持ユニット61と同様に、それぞれ、位置決め孔25と係合孔26とに対応する位置に配置されている。
【0040】
第3保持ユニット81は、
図9および
図11に示すように、第3載置板82(載置部に該当)と、この第3載置板82から立ち上がる第3サイドリブ83と、この第3サイドリブ83から連なる複数の第2押さえ片53Bとを備えている。
【0041】
第3載置板82は、
図9および
図11に示すように、全体として長方形の板状をなす部分である。第3載置板82の一面(
図9の上面)は、FPC本体21が載置される第3載置面82Fとなっている。第3サイドリブ83は、第3載置板82の一対の長辺82LA、82LBのうち一方(
図11の上方)の長辺82LAから突出するすじ状の部分である。複数の第2押さえ片53Bは、
図11に示すように、第3サイドリブ83から延びている。
【0042】
第3保持ユニット81は、
図9および
図11に示すように、
第3載置面82Fから突出する第4センターリブ52D、位置決め突起54および複数のFPC係止片55を備えている。第4センターリブ52Dは、第3載置板82の長辺82LA、82LBと平行に延びる短いすじ状の部分であって、第2スリット22Bに対応して配置されている。位置決め突起54および複数のFPC係止片55は、第1保持ユニット61と同様に、それぞれ、位置決め孔25と係合孔26とに対応する位置に配置されている。
【0043】
2組の第1連結部91のうち一方は、
図10及び
図12に示すように、第2載置板72と第3載置板82とを連結する部分であって、一対のU字状の連結ばね部92によって構成されている。2つの連結ばね部92は互いに向かい合って配置されており、各連結ばね部92においてU字の一端が第2載置板72の短辺72Sに、他端が第3載置板82の短辺82Sに接続されている。他方の第1連結部91は、
図9に示すように、第1載置板62と第2載置板72とを連結する部分であって、一方の第1連結部91と同様の構成を有している。これらの第1連結部91によって、3つの保持ユニット61、71、81は、互いに近接−離間する方向に変位可能となっている。
【0044】
図9に示すように、複数のバスバー保持部121、131のうち、第1保持ユニット61において第2保持ユニット71とは反対側の端に位置する1つ、第2保持ユニット71の中央に位置する1つ、第3保持ユニット81において第2保持ユニット71とは反対側の端に位置する1つは、固定バスバー保持部131であり、その他は、第2可動部111を介して保持ユニット61、71、81に連結された可動バスバー保持部121である。以下には、第2保持ユニット71から連なる第2可動部111、可動バスバー保持部121および固定バスバー保持部131について説明し、第1保持ユニット61および第3保持ユニット81から連なる第2可動部111およびバスバー保持部121、131については、同様の構成に同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図12に示すように、第2載置板72は、長辺72LBから内側に凹む複数のばね用凹部101を有している。各ばね用凹部101は、長辺72LBに平行な第2奥縁101Aと、この第2奥縁101Aの両端と長辺72LBとを繋ぐ一対の第2側縁101Bとで定義される凹部である。
【0046】
第2可動部111は、
図10に示すように、第2奥縁101Aから第1載置板62と同一平面上に延びる板片状のばね接続片112と、このばね接続片112からそれぞれ第2奥縁101Aに沿って、互いに反対方向に屈曲しながら延びる一対のばね板部113とを備えている。一対のばね板部113のそれぞれは、ばね接続片112から、U字状に湾曲しながら第2奥縁101Aに沿って延びた後、ばね接続片112に対して略垂直に延びる板ばね状をなしている。各ばね板部113は、U字部分の変形によって、第2載置板72の長辺72LBに沿う方向に伸縮可能となっている。
【0047】
可動バスバー保持部121は、
図10および
図12に示すように、第2可動部111から連なる背板部122と、背板部122から連なる底板部123と、底板部123から延びる延長片125、第1バスバー係止片126、および2つの第2バスバー係止片127を備えている。
【0048】
背板部122は、
図10に示すように、第2載置板72に対して垂直な姿勢で配される板状の部分であって、一対のばね板部113のそれぞれの先端部に接続されている。
【0049】
底板部123は、
図10および
図12に示すように、背板部122から、第2載置板72と反対方向に垂直に延びる板状の部分であって、2本の第3スリット124を有している。2本の第3スリット124のそれぞれは、底板部123の延出端から背板部122に向かって延びており、これらの第3スリット124によって、底板部123は、両端の端板部123Aと、中央の中板部123Bとに分割されている。延長片125は、底板部123の延出端から、底板部123と同一面上に延びる板片状の部分である。
【0050】
第1バスバー係止片126は、
図10に示すように、中板部123Bから延び、背板部122に対して隙間を空けて配置される第1撓み片126Aと、第1撓み片126Aの延出端から背板部122と反対方向に突出する第1係止爪126Bとを備えている。第1撓み片126Aは、中板部123Bから離れるほど背板部122から離れるように僅かに傾斜している。
【0051】
2つの第2バスバー係止片127のそれぞれは、
図10に示すように、2つの端板部123Aのそれぞれから延びている。各第2バスバー係止片127は、詳細には図示しないが、2つの端板部123Aの延出端から垂直に延びる第2撓み片と、第2撓み片の先端から背板部122に向かって突出する第2係止爪とを備えている。
【0052】
各可動バスバー保持部121は、第2可動部111によって、第2載置板72に対する変位がある程度許容されている。具体的には、第2可動部111の2つのばね板部113の伸縮によって、第2載置板72の長辺72LBに沿う方向(X軸方向)に動くことができる。
【0053】
固定バスバー保持部131は、
図9に示すように、第2可動部111を有しておらず、背板部132が第2載置板72の長辺72LBから延びている点を除いて、可動バスバー保持部121と同様の構成を有している。固定バスバー保持部131において、可動バスバー保持部121の各部位と同様の部位には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
複数のバスバー保持部121、131は、
図9に示すように、一列に並んでおり、隣り合う可動バスバー保持部121同士は、
図10に示すように、U字状の第2連結部140により連結されている。同様に、隣り合う固定バスバー保持部131と可動バスバー保持部121も、第2連結部140により連結されている。これらにより、隣り合う可動バスバー保持部121同士、および、隣り合う固定バスバー保持部131と可動バスバー保持部121とは、互いの間隔の変動がある程度許容された状態で連結されている。
【0055】
[接続モジュール1Aの組み立て]
上記の構成の接続モジュール1Aを組み立てる手順の一例を、以下に説明する。
【0056】
まず、複数のバスバー10をFPC20に接続する。各バスバー10のFPC接続片15をFPC20の各接合片に重ね、リフロー半田付けによって接合する。FPC20に接続された状態では、
図6に示すように、複数のバスバー10が長辺21LAに沿って一列に並んでいる。各バスバー10は、第1可動部41を介してFPC本体21と連結された状態となっており、第1可動部41が変形することによって、各バスバー10は、FPC本体21の長辺21LAに沿う方向(X軸方向)、FPC本体21に対して近接−離間する方向(Y軸方向)、およびFPC本体21の厚さ方向(Z軸方向)のいずれにも、ある程度自由に変位することができる。
【0057】
次に、FPC20と複数のバスバー10との接合体を、樹脂プロテクタ50に組み付ける。
【0058】
まず、FPC本体21をFPC保持部51に組み付ける。FPC本体21を、載置板62、72、82と押さえ片53A、53Bとの隙間に差し入れるようにして載置板62、72、82上に重ねる。複数の位置決め孔25のそれぞれに複数の位置決め突起54のそれぞれが挿通され、第1スリット22Aにセンターリブ52A、52Bが、また第2スリット22Bにセンターリブ52C、52Dが挿通されることで、第1配線部31Aが第1載置板62に、第2バスバー配置部33Bが第2載置板72に、第3バスバー配置部33Cが第3載置板82に位置決めされる。各FPC係止片55が各係合孔26に挿通されてFPC本体21に係合することにより、第1配線部31A、第2バスバー配置部33B、および第3バスバー配置部33Cの端部が載置板62、72、82からめくれ上がらないように押さえられている。
【0059】
図3に示すように、第2サイドリブ73および第3サイドリブ83から延びる第2押さえ片53Bは、第3伸縮部32Cを、第2載置板72および第3載置板82との間で、屈曲変形をある程度許容しつつ挟んで保持している。第2押さえ片53Bの第2載置面72Fおよび第3載置面82Fからの高さは、FPC本体21の厚さよりも大きくなっており(
図4を併せて参照)、第2押さえ片53Bは、第3伸縮部32Cを、屈曲変形をある程度許容しつつ保持している。同様に、第1サイドリブ63から延びる第2押さえ片53Bと、第2サイドリブ73から延びる第2押さえ片53Bとは、第2伸縮部32Bを、第1載置板62および第2載置板72との間で、屈曲変形をある程度許容しつつ挟んで保持している。
【0060】
次に、各バスバー10を各バスバー保持部121、131に組み付ける。第1バスバー係止片126と第2バスバー係止片127とを撓ませつつ、電極接続部11を底板部123に向かって押し込む。電極接続部11が底板部123に当接すると、
図7に示すように、第1バスバー係止片126が弾性復帰して、係止壁16が中板部123Bと第1係止爪126Bとの間で挟まれる。また、第2バスバー係止片127が係合凹部13に挿通されて、電極接続部11に係合する。このようにして、各バスバー10が各バスバー保持部121、131に固定される。このとき、バスバー10は、第1可動部41が変形することによって、FPC本体21に対してある程度自由な変位が許容されているので、バスバー10のバスバー保持部121、131に対する組み付け作業を容易に行うことができる。また、バスバー10を底板部123に向かって押し込むだけで、容易にバスバー保持部121、131に組み付けることができる。
【0061】
上記したように、バスバー10が第1可動部41によってFPC本体21に対して変位可能に連結され、可動バスバー保持部121が第2可動部111によってFPC保持部51に対して変位可能に連結されている。これらにより、可動バスバー保持部121とバスバー10とは、互いに組み付けられた状態で、FPC保持部51とFPC本体21とに対して、保持ユニット61、71、81の長辺62LB、72LB、82LBおよびFPC本体21の長辺21LAに沿う方向(X軸方向)への変位が許容されている。
【0062】
[接続モジュール1Aの蓄電素子群150Gへの組み付け]
上記の構成の接続モジュール1Aを蓄電素子群150Gに組み付ける手順の一例を、以下に説明する。
【0063】
図1に示すように、蓄電素子群150G上の所定位置に接続モジュール1Aを配置し、各バスバー10の電極挿通孔12に電極端子151A、151Bを挿通させる。その後、各電極端子151A、151Bに図示しないナットをねじ付けることにより、電極端子151A、151Bとバスバー10とを接続する。
【0064】
ここで、多数の蓄電素子150を並べて構成されている蓄電素子群150Gには、各蓄電素子150の製造上の寸法誤差や、複数の蓄電素子150の組み付け誤差の累積によって、大きな寸法公差が生じることがある。このような場合には、電極端子151A、151Bの、蓄電素子150の並び方向に沿う方向(X軸方向)の位置ずれが大きくなることがある。
【0065】
本実施形態においては、FPC20のFPC本体21が、第1配線部31Aと、第2バスバー配置部33Bを備える第2配線部31Bと、第3バスバー配置部33Cを備える第3配線部31Cとの3つに分割されている。そして、複数のバスバー10が、第1配線部31Aと、第2バスバー配置部33Bと、第3バスバー配置部33Cとに分かれて接続されている。このような構成によれば、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cのそれぞれが、蓄電素子群150Gのうち一部の蓄電素子150に接続されることとなる。したがって、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cのそれぞれが対応すべき蓄電素子150の寸法誤差や組み付け誤差等の累積を小さくすることができる。
【0066】
また、第2バスバー配置部33Bは、第2伸縮部32Bの伸縮により、第1配線部31Aおよび第3バスバー配置部33Cに対して近接−離間する方向への変位が許容されている。また、第3バスバー配置部33Cは、第3伸縮部32Cの伸縮により、第2バスバー配置部33Bに対して近接−離間する方向の変位が許容されている。これらにより、蓄電素子群150Gの寸法公差に起因する電極端子151A、151Bの位置ずれに対応して、第2バスバー配置部33Bと第3バスバー配置部33Cとを変位させ、バスバー10を電極端子151A、151Bに組み付けることができる。
【0067】
例えば、電極端子151A、151B間の距離が設計寸法よりも小さい場合には、
図2に示すように、第2伸縮部32Bを屈曲させて長さを縮め、第1配線部31Aと第2バスバー配置部33Bとの距離を小さくすることができる。同様に、第3伸縮部32Cを屈曲させて長さを縮め、第2バスバー配置部33Bと第3バスバー配置部33Cとの距離を小さくすることができる。また、電極端子151A、151B間の距離が設計寸法よりも大きい場合には、
図13に示すように、第2伸縮部32Bを伸長させて第1配線部31Aと第2バスバー配置部33Bとの距離を大きくすることができる。同様に、第3伸縮部32Cを伸長させて第2バスバー配置部33Bと第3バスバー配置部33Cとの距離を大きくすることができる。このようにして、電極端子151A、151Bの位置ずれを吸収することができる。
【0068】
さらに、第1配線部31Aと、この第1配線部31Aが組み付けられた第1保持ユニット61とに対して、第1保持ユニット61から連なる複数の可動バスバー保持部121と、これらの可動バスバー保持部121に組み付けられたバスバー10との変位が許容されているから、蓄電素子群150Gの寸法公差に起因する電極端子151A、151Bの位置ずれに対応して、各バスバー10を変位させ、電極端子151A、151Bに組み付けることができる。第2バスバー配置部33Bと第2保持ユニット71、および、第3バスバー配置部33Cと第3保持ユニット81についても、同様である。
【0069】
例えば、電極端子151A、151B間の距離が設計寸法よりも小さい場合には、第2可動部111と第2連結部140とを変形させて、各可動バスバー保持部121を、固定バスバー保持部131を基準として、固定バスバー保持部131に近接する方向に変位させる。これにより、固定バスバー保持部131に保持されたバスバー10を基準として、隣り合うバスバー10間の距離が小さくなるように他のバスバー10を変位させ、電極端子151A、151Bの位置ずれに対応することができる。
【0070】
また、電極端子151A、151B間の距離が設計寸法よりも大きい場合には、第2可動部111と第2連結部140とを変形させて、各可動バスバー保持部121を、固定バスバー保持部131を基準として、固定バスバー保持部131から離間する方向に変位させる。これにより、固定バスバー保持部131に保持されたバスバー10を基準として、隣り合うバスバー10間の距離が大きくなるように他のバスバー10を変位させ、電極端子151A、151Bの位置ずれに対応することができる。
【0071】
このようにして、蓄電素子群150Gの寸法公差に起因して、接続モジュール1Aの蓄電素子群150Gに対する組み付けが困難となることを回避し、組み付け作業性を向上させることができる。
【0072】
また、FPC20と複数のバスバー10とを樹脂プロテクタ50に組み付けることで、柔軟性を有するFPC20の形状を一定に保持し、かつ、複数のバスバー10とともに一括して蓄電素子群150G上の所定位置にセットすることができる。
【0073】
ここで、樹脂プロテクタ50は、3つの保持ユニット61、71、81を備えており、第1配線部31Aが第1載置板62に、第2バスバー配置部33Bが第2載置板72に、第3バスバー配置部33Cが第3載置板82に位置決め状態で保持される。そして、3つの保持ユニット61、71、81が、第1連結部91により、互いに近接−離間する方向に変位可能となっているから、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cの距離の変動に対応して、3つの保持ユニット61、71、81の距離を変動させることができる。これにより、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cの距離の変動による寸法公差の吸収を阻害することなく、樹脂プロテクタ50にFPC20を保持させることができる。
【0074】
[まとめ]
以上のように本実施形態によれば、接続モジュール1Aは、電極端子151A、151Bを備える複数の蓄電素子150により構成される蓄電素子群150Gに取り付けられて複数の蓄電素子150を接続するモジュールであって、FPC20と、FPC20に接続されて隣り合う蓄電素子150の電極端子151A、151B同士を接続する複数のバスバー10とを備える。FPC20が、バスバー10が接続される第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cを備えている。また、FPC20が、第2バスバー配置部33Bから連なり、第1配線部31Aおよび第3バスバー配置部33Cに対して近接−離間する方向の伸縮が許容された第2伸縮部32Bと、第3バスバー配置部33Cから連なり、第2バスバー配置部33Bに対して近接−離間する方向の伸縮が許容された第3伸縮部32Cとを備えている。
【0075】
上記の構成によれば、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cのそれぞれが、蓄電素子群150Gのうち一部の蓄電素子150に接続されることとなるから、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cのそれぞれが対応すべき各蓄電素子150の製造上の寸法誤差や、複数の蓄電素子150の組み付け誤差等の累積を小さくすることができる。また、第2伸縮部32Bおよび第3伸縮部32Cの伸縮によって、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cの距離を変動させて、電極端子151A、151Bの位置ずれに対応することができる。これらにより、蓄電素子群150Gの寸法公差に起因して、接続モジュール1Aの蓄電素子群150Gに対する組み付けが困難となることを回避し、組み付け作業性を向上させることができる。
【0076】
また、第2伸縮部32Bおよび第3伸縮部32Cが、並んで配置される複数の折り線24に沿って折り曲げられることで、山状の部分と谷状の部分とが交互に並んだ波型形状を有している。このような構成によれば、第2伸縮部32Bおよび第3伸縮部32C簡易な構成とすることができ、接続モジュール1Aの構成の複雑化を避けることができる。
【0077】
また、接続モジュール1Aが、複数のバスバー10とFPC20とを保持する樹脂プロテクタ50を備える。樹脂プロテクタ50は、第1配線部31Aと、第2バスバー配置部33Bと、第3バスバー配置部33Cとをそれぞれを保持する複数の保持ユニット61、71、81と、隣り合う保持ユニット61、71、81間を、互いに近接−離間する方向に変位可能に連結する第1連結部91とを備える。
【0078】
このような構成によれば、柔軟性を有するFPC20の形状を一定に保持し、かつ、複数のバスバー10とともに一括して蓄電素子群150G上の所定位置にセットすることができる。また、第1連結部91によって、第1配線部31Aと、第2バスバー配置部33Bと、第3バスバー配置部33Cとの距離の変動に追従して、隣り合う保持ユニット61、71、81間の距離を変動させることができる。これにより、第1配線部31A、第2バスバー配置部33Bおよび第3バスバー配置部33Cの変位を阻害することなく、樹脂プロテクタ50にFPC20を保持させることができる。
【0079】
また、第2保持ユニット71が、FPC20が載置される第2載置板72と、第2載置板72との間で第2伸縮部32Bまたは第3伸縮部32Cを挟んで保持す
る第2押さえ片53Bを備えるとともに
、第2押さえ片53Bと第2載置板72との距離が、FPC20の厚さよりも大きくなっている。第3保持ユニット81についても同様である。このような構成によれば、第2伸縮部32Bおよび第3伸縮部32Cの伸縮を妨げることなく、FPC20を樹脂プロテクタ50に保持させることができる。
【0080】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、FPC20が、第1配線部31Aと、第2バスバー配置部33Bと、第3バスバー配置部33Cとを備えていたが、フレキシブルプリント基板に備えられる接続部材配置部は2つ、または4つ以上であっても構わない。伸縮部および保持ユニットの数も、接続部材配置部の数に対応して設計されていればよい。
【0081】
(2)上記実施形態では、第1連結部91が、互いに向かい合って配置された一対のU字状の連結ばね部92によって構成されていたが、第1連結部91の形状は、隣り合う保持ユニット間を、互いに近接−離間する方向に変位可能に連結可能な形状であればよく、例えば、1つのU字状のばね部であってもよく、S字状のばね部であっても構わない。