【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、式(I)
Tza−X2−X3−Gly−Thr−Phe−X7−Ser−Asp−X10−Ser−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−Ala−X20−X21−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Leu−X28−X29−Gly−Pro−X32−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−X40−R
1 (I)
を有するペプチド化合物であって、
X2は、Serおよびd−Serから選択されるアミノ酸を表し、
X3は、GlnおよびHisから選択されるアミノ酸を表し、
X7は、ThrおよびAibから選択されるアミノ酸を表し、
X10は、Tyr、Leu、Val、Ile、Phe、フェニルグリシン、Thr、2−フルオロフェニルアラニン、シクロヘキシルグリシンおよびtert−ロイシンから選択されるアミノ酸残基を表し、
X12は、Lys、ArgおよびCys(VS−DO3A)から選択されるアミノ酸を表し、
X13は、Gln、TyrおよびCys(VS−DO3A)から選択されるアミノ酸を表し、
X14は、Leu、NleおよびCys(VS−DO3A)から選択されるアミノ酸残基を表し、
X15は、GluおよびAspから選択されるアミノ酸を表し、
X16は、Ser、Glu、AibおよびCys(VS−DO3A)から選択されるアミノ酸を表し、
X17は、Arg、Gln、Lys、AlaおよびCys(VS−DO3A)から選択されるアミノ酸を表し、
X18は、Arg、LysおよびAlaから選択されるアミノ酸を表し、
X20は、Gln、Glu、Aib、LysおよびCys(VS−DO3A)から選択されるアミノ酸を表し、
X16がGluであり、X20がLysである場合、X16およびX20の側鎖は、ラクタムを介した環状リングを形成してよく、
X21は、AspおよびGluから選択されるアミノ酸残基を表し、
X28は、Alaおよびβ−Alaから選択されるアミノ酸を表し、
X29は、GlyおよびThrから選択されるアミノ酸残基を表し、
X32は、GluおよびSerから選択されるアミノ酸を表し、
X40は、Cys(VS−DO3A)、Cys(VS−NO2A)、Cys(mal−DOTA)、Cys(mal−NOTA)、Cys(mal−NODAGA)、Lys(DOTA)、Lys(NOTA)、Lys(PEG−DOTA)およびLys(VS−DO3A)から選択されるアミノ酸を表し、
X12、X13、X14、X16、X17またはX20のアミノ酸の1つがCys(VS−DO3A)である場合、X40は存在しなくてよく、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAには、Gd
3+、Ga
3+、Cu
2+、(Al−F)
2+、Y
3+、Tc
3+、In
3+、Lu
3+およびRe
3+から選択される金属イオンが配位してもしなくてもよく、
R
1は、OHまたはNH
2を表す;
または、それらの金属錯体または塩または溶媒和物、を提供する。
【0017】
本発明のさらなる実施形態は、
X2は、Serおよびd−Serから選択されるアミノ酸を表し、
X3は、Glnであり、
X7は、ThrおよびAibから選択されるアミノ酸を表し、
X10は、Tyr、Leu、Ileから選択されるアミノ酸残基を表し、
X12は、Lysであり、
X13は、Glnであり、
X14は、LeuおよびNleから選択されるアミノ酸残基を表し、
X15は、GluおよびAspから選択されるアミノ酸を表し、
X16は、SerおよびGluから選択されるアミノ酸を表し、
X17は、ArgおよびGlnから選択されるアミノ酸を表し、
X18は、Argであり、
X20は、GlnおよびLysから選択されるアミノ酸を表し、
X16がGluであり、X20がLysである場合、X16およびX20の側鎖は、ラクタムを介した環状リングを形成してよく、
X21は、AspおよびGluから選択されるアミノ酸残基を表し、
X28は、Alaであり、
X29は、GlyおよびThrから選択されるアミノ酸残基を表し、
X32は、Gluであり、
X40は、Cys(VS−DO3A)であり、
DO3Aには、Gd
3+、Ga
3+、Cu
2+、(Al−F)
2+、Y
3+、Tc
3+、In
3+、Lu
3+およびRe
3+から選択される金属イオンが配位してもしなくてもよく、
R
1は、OHまたはNH
2を表す、式(I)を有するペプチド化合物;
または、それらの金属錯体または塩または溶媒和物を提供する。
【0018】
式(I)のペプチド化合物の特定の例は、配列番号3〜90の化合物ならびにそれらの塩または溶媒和物である。
【0019】
式(I)のペプチド化合物の特定の例は、配列番号6、8、13、14、35、36、49、50、60、61、79、80、85および86の化合物ならびにそれらの塩または溶媒和物である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAには担持されない式(I)を有するペプチド化合物を提供する。
【0021】
本発明のさらなる実施形態は、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAにはGd
3+、Ga
3+、Cu
2+、(Al−F)
2+、Y
3+、Tc
3+、In
3+、Lu
3+およびRe
3+から選択される金属イオンが担持される式(I)を有するペプチド化合物を提供する。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAには金属イオンGa
3+が担持される式(I)を有するペプチド化合物を提供する。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAには金属イオンGd
3+が担持される式(I)を有するペプチド化合物を提供する。
【0024】
本発明のさらなる実施形態は、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAには金属放射性ヌクレオチドイオン(Cu−64)
2+、(Ga−68)
3+、(Al−F−18)
2+、(Y−86)
3+が担持される式(I)を有するペプチド化合物を提供する。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAには1個の金属放射性ヌクレオチドイオン(Ga−67)
3+、(Tc−99)
3+、(In−111)
3+が担持される式(I)を有するペプチド化合物を提供する。
【0026】
本発明のさらなる実施形態は、
DOTA、NOTA、DO3A、NO2AまたはNODAGAには(Cu−67)
2+、(Y−90)
3+、(In−111)
3+、(Lu−177)
3+、(Re−186)
3+および(Re−188)
3+から選択される1個の金属放射性ヌクレオチドイオンが担持される式(I)を有するペプチド化合物を提供する。
【0027】
好ましい化合物は、表1に列挙した配列番号3〜90のペプチドまたは金属錯体またはそれらの塩もしくは溶媒和物である。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
配列60および61において、星印(「*」)は、Glu16とLys20との間のラクタム架橋の形成を示す。
【0035】
本発明の化合物は、グルカゴン受容体に特異的に結合することができる。本発明の化合物は、グルカゴンに対する受容体に結合すると細胞内cAMP形成を刺激することができるという観察によって確認されるグルカゴン受容体アゴニストである。化合物は、グルカゴン受容体での天然グルカゴンの相対活性と比較して、少なくとも0.1%、好ましくは0.5%、より好ましくは1.0%、さらにより好ましくは10.0%の相対活性を示す。
【0036】
本発明の化合物は、GLP1に対する受容体での結合の際に細胞内cAMP形成を刺激することができるという観察によって確認されるように、GLP1受容体も活性化する。本発明の所与の化合物の活性(GLP1受容体におけるGLP1の活性と比較してその活性によって表される)は、グルカゴン受容体における同一化合物の活性(グルカゴン受容体におけるグルカゴンの活性と比較してその活性によって表される)と比較して1%未満、より好ましくは0.5%未満、さらにより好ましくは0.1%未満である。
【0037】
驚くべきことに、1位に4−チアゾリルアラニンを有する式Iのペプチド化合物は、この位置にヒスチジンを有する誘導体と比較して、グルカゴン受容体活性化の増加を示し、GLP−1受容体の活性に対する選択性を非常に高めることが見出された。ヒスチジンは、グルカゴンの1位に天然に存在するアミノ酸であり、グルカゴン受容体の活性化機構において重要であることが示されている(Unson,C.G.ら、Arch.Biochem.Biophys.、300、747〜750、1993)。
【0038】
さらに、本発明の化合物は、好ましくは、4℃、25℃または40℃で、酸性または生理的pH値、例えばpH4.5またはpH7.4で良好な安定性を有する。好ましくは、25℃で7日後のこれらの緩衝液中の化合物の純度は80%より高く、14日後では60%より高い。
【0039】
さらに、本発明の化合物は、金属イオンに結合可能なキレート部分を含有し、分子をイメージング研究、例えばPETまたはSPECT研究に適したものにする。キレート部分は、金属陽イオンへの強力な結合を確実にするために、電子対供与元素を含有する非環状または環状構造を表す。強力なキレート化は、放射性同位体の浸出を防止するための画像診断法としての使用のための前提条件であり、全身毒性、バックグラウンドシグナルの増加および関心領域でのシグナルの減少をもたらす場合がある。最適なキレート部分の選択は、放射性金属錯体の特質によって決まる。高頻度に使用されるキレート部分およびそれらの対応する名称の例は、スキーム1に列挙され、より多くの例は、例えばWadas T.J.ら、Chem.Rev.2010、110、2858〜2902に見られる。
【0040】
【化1】
【0041】
ある特定の実施形態では、すなわち式(I)の化合物が遺伝的にコードされたアミノ酸残基を含む場合、本発明はさらに、前記化合物をコードする核酸(DNAまたはRNAである)、そのような核酸を含む発現ベクター、およびそのような核酸または発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0042】
さらなる態様では、本発明は、担体との混合剤中に本発明の化合物を含む組成物を提供する。好ましい実施形態では、組成物は、薬学的に許容される組成物であり、および担体は、薬学的に許容される担体である。本発明の化合物は、金属錯体、例えばガリウム(III)錯体、塩、例えば薬学的に許容される塩、または溶媒和物、例えば水和物の形態である。さらに別の態様では、本発明は、特にヒトの医学における診断治療を含む医療の方法で使用するための組成物を提供する。
【0043】
本発明の化合物およびその製剤は、好ましくは、PET技術を用いて、生体および関連組織におけるグルカゴン受容体を視覚化するために主に使用される。