(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、電池反応による電極の腐蝕が発生しない、表示特性に優れた表示装置の製造方法、表示装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る表示装置の製造方法は、基板上に第1の導電材料を有する第1の電極を形成し、
上記基板上に、上記第1の電極と電気的に接続する、上記第1の導電材料とは異なる第2の導電材料を有する第2の電極を形成し、
上記第1の電極及び上記第2の電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、
上記層間絶縁膜に第1の開口部を形成して上記第1の電極の少なくとも一部を露出させ、
上記層間絶縁膜に第2の開口部を形成して上記第2の電極の少なくとも一部を露出させ、
露出させた上記第2の電極上に異方性導電層を形成し、
上記異方性導電層形成後、電解質を含む液体に上記第1の開口部、上記第2の開口部及び上記層間絶縁膜を曝す。
【0009】
この製造方法によれば、電解質を含む液体により第1の開口部、第2の開口部及び層間絶縁膜を曝す際、第2の電極上に異方性導電層が形成されているので、電解質を含む液体による電池効果が発生せず、第1の電極が電蝕することがない。したがって、第1の電極が表示領域の画素を形成する場合、第1の電極の電蝕による滅点の発生を防止することができ、表示特性にすぐれた表示装置を得ることができる。
【0010】
ここで、異方性導電層が形成されない場合、電気的に接続する互いが異種金属となる第1の電極と第2の電極が露出された状態で電解質を含む液体に曝されることになり、第1の電極と第2の電極との間で電池効果が発生し、第1の電極の腐蝕が発生する。このように第1の電極の腐蝕が発生すると、例えば第1の電極が画素を形成する場合、表示装置としたときに、この画素は滅点となり、表示特性が劣化する。これに対し、本技術では、第2の電極上に異方性導電層が形成されるので、異方性導電層により第2の電極と電解質を含む液体が接触することがなく、更に、異方性導電層は熱圧着されるまでは絶縁性を有するので、電池効果が発生せず電極が腐蝕することがない。したがって、第1の電極が表示装置の画素を形成する場合、電極の腐蝕に起因する滅点の発生が防止され、表示特性に優れた表示装置を得ることができる。
【0011】
上記第1の電極は上記基板の表示領域に形成され、上記第2の電極は上記基板の上記表示領域の外側の第1の領域に形成されてもよい。
これにより、電極の腐蝕に起因する滅点の発生が防止され、表示特性に優れた表示装置を得ることができる。
【0012】
上記層間絶縁膜は第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜及び第3の層間絶縁膜を含み、上記第1の層間絶縁膜上に上記第2の電極を形成し、上記第2の電極の形成後、上記第2の電極及び上記第1の層間絶縁膜上に上記第2の層間絶縁膜を形成し、上記第2の層間絶縁膜形成後、上記第2の層間絶縁膜上に上記第1の電極を形成し、上記第1の電極形成後、上記第1の電極及び上記第2の層間絶縁膜上に上記第3の層間絶縁膜を形成してもよい。
【0013】
これにより、第1の電極は第2の電極よりも、層間絶縁膜の厚さ方向において、第2の層間絶縁膜の厚み分、高さが高い位置に位置する。これにより第2の電極に対応して形成される第2の開口部の開口深さは、第1の電極に対応して形成される第1の開口部の開口深さよりも深くなる。
【0014】
上記異方性導電層の形成は、上記第1の導電層の露出部及び上記第2の導電層の露出部を含む上記層間絶縁膜上に異方性導電膜を形成し、上記異方性導電膜を、露出させた上記第2の導電層上に残存するように、EPD制御を用いてアッシングすることにより行ってもよい。
【0015】
このようにEPD制御を用いてアッシングすることにより異方性導電層が第2の電極上に選択的に形成されるように制御することができる。
【0016】
すなわち、第1の層間絶縁膜上に第2の電極を形成し、第2の電極の形成後、第2の電極及び第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜を形成し、第2の層間絶縁膜形成後、第2の層間絶縁膜上に第1の電極を形成し、第1の電極形成後、第1の電極及び第2の層間絶縁膜上に第3の層間絶縁膜を形成することにより、第1の電極は第2の電極よりも、層間絶縁膜の厚さ方向において、第2の層間絶縁膜の厚み分、高さが高い位置に位置する。これにより、層間絶縁膜に第1及び第2の開口部を形成し第1の電極、第2の電極をそれぞれ露出させた状態では、第2の開口部は第1の開口部よりも開口深さが深くなる。
【0017】
第1の電極及び第2の電極それぞれに対応する第1及び第2の開口部が形成された状態で、異方性導電膜を基板全面に形成し、これをエッチングして異方性導電層を形成する場合、異方性導電膜を基板全面に形成した状態では、第2の電極上に形成される異方性導電膜の膜厚は、それ以外の領域に形成される異方性導電膜の膜厚よりも厚く形成される。したがって異方性導電膜を基板面内で均一にアッシングによって除去していくと、第2の電極上以外の領域に形成されている異方性導電膜が除去された時点では、第2の電極上にのみ異方性導電膜が残存している状態となる。このように第1の開口部と第2の開口部の開口深さの違いを利用して、第2の電極上に選択的に異方性導電層を形成することが可能となる。
【0018】
上記異方性導電層の形成は、上記第1の電極の露出部、上記第2の電極の露出部及び上記層間絶縁膜上に光硬化性樹脂を含む異方性導電膜を形成し、露出させた上記第2の電極上に上記異方性導電膜が残存するように、上記異方性導電膜を露光、現像することにより行ってもよい。
【0019】
このように、フォトエッチング可能な材料を用い、フォトリソグラフィにより異方性導電層を形成してもよい。このフォトリソグラフィの現像工程において、第2の電極上に異方性導電層が形成されているので、現像液に浸漬することによる電池反応の発生を防止することができ、電極の電蝕の発生を防止することができる。
【0020】
上記異方性導電層を介して上記第2の電極と配線基板とを対向配置し、熱圧着することにより上記第2の電極と上記配線基板とを電気的に接続してもよい。
【0021】
このように第2の電極を外部接続端子として用い、異方性導電層を配線基板との接続に用いることもできる。このように、異方性導電層を電池効果の発生を防止するために用いるとともに外部との接続にも用いることができる。
【0022】
上記第1の導電材料と上記第2の導電材料とは酸化還元ポテンシャルが異なってもよい。
【0023】
上記第1の導電材料は透明導電材料であり、上記第2の導電材料はアルミニウムを含む材料であってもよい。
【0024】
上記第1の導電材料は酸化インジウムスズであり、上記第2の導電材料はアルミニウム銅合金であってもよい。
【0025】
上記第1の電極は、上記第2の導電材料からなる第1の導電層と、上記第1の導電層上に設けられた上記第1の導電材料からなる第2の導電層との積層構造を有してもよい。
【0026】
上記第1の電極は上記基板の表示領域の外側の第2の領域に形成され、上記第2の電極は上記基板の上記表示領域の外側の第1の領域に形成されていてもよい。
【0027】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る表示装置は、基板と、有機エレクトロルミネッセンス素子と、第2の電極と、異方性導電層とを具備する。
上記基板は表示領域を有する。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記表示領域に設けられ、第1の導電材料を有する第1の電極と上記第1の電極上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス層と上記有機エレクトロルミネッセンス層上に設けられた第3の電極とからなる。
上記第2の電極は、上記基板の上記表示領域の外側に設けられ、上記第1の電極と電気的に接続する、上記第1の導電材料と異なる第2の導電材料を有する。
上記異方性導電層は、上記第2の電極上に設けられる。
【0028】
このような構成によれば、表示特性に優れた表示装置を得ることができる。すなわち、表示装置の製造工程において、電解質を含む液体により基板を曝す際、第1の電極が露出され、第2の電極上に異方性導電層が形成された状態で電解質を含む液体に基板を曝すことが可能であるので、電解質を含む液体による電池効果が発生せず、第1の電極が電蝕することがない。したがって、表示領域の画素を形成する第1の電極の電蝕による滅点の発生を防止することができ、表示特性にすぐれた表示装置を得ることができる。
【0029】
上記第1の導電材料と上記第2の導電材料とは酸化還元ポテンシャルが異なってもよい。
【0030】
上記異方性導電層を介して上記第2の電極と電気的に接続する配線基板を更に具備してもよい。
このように第2の電極を外部接続端子として用い、異方性導電層を接続に用いても良い。
【0031】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る電子機器は、表示装置を具備する。
上記表示装置は、表示領域を有する基板と、上記表示領域に設けられた第1の導電材料を有する第1の電極と上記第1の電極上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス層と上記有機エレクトロルミネッセンス層上に設けられた第3の電極とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、上記基板の上記表示領域の外側に設けられ、上記第1の電極と電気的に接続する、上記第1の導電材料と異なる第2の導電材料を有する第2の電極と、上記第2の電極上に設けられた異方性導電層とを備える。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本技術によれば、電池反応による電極の腐蝕が発生しない表示装置の製造方法、表示装置及び電子機器を得ることができる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。本技術は、電気的に接続する複数の異種金属が露出された状態で洗浄液に曝される工程を経て製造されるものに適用可能なものである。本実施形態においては、表示装置として有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称す)を発光素子として備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、有機EL表示装置と称す)を例にあげて説明する。
【0035】
[表示装置概要]
図1は、本技術の一実施形態に係る有機EL表示装置の概略平面図である。
図2は、有機EL表示装置の概略部分断面図である。
図2は、
図1に示す有機EL表示装置のパッド領域と表示領域それぞれの概略断面図であり、パッド電極と表示領域のアノード電極との接続状態を説明するための模式図である。
【0036】
有機EL表示装置1は、略中央部に設けられた表示領域300と、該表示領域300を囲むように設けられた第2の領域としてのカソードコンタクト領域200と、半導体基板600の端部に設けられた第1の領域としてのパッド領域100とを有する。カソードコンタクト領域200及びパッド領域100とは表示領域300の外側に配置される。
【0037】
有機EL表示装置1は、有機EL表示パネルと、該有機EL表示パネルにACF(Anisotropic Conductive Film)400を介して電気的に接続するフレキシブル配線基板(図示せず)と、フレキシブル配線基板に電気的に接続する回路基板(図示せず)を有する。有機EL表示パネルは、半導体基板600と封止基板500とからなる。
【0038】
半導体基板600は、基板601と、該基板601上に設けられたスイッチング素子、各種配線及び有機EL素子を備えた平面形状が矩形の基板である。封止基板500は、カラーフィルタを備えた平面形状が矩形の基板であり、半導体基板600と対向配置される。半導体基板600と封止基板500とは樹脂接着剤により貼り合わせられ、有機EL表示パネルを構成する。回路基板は、後述する表示領域中のスイッチング素子を駆動するための電源や各種信号を入力するための信号出力回路等の駆動回路が搭載された基板である。フレキシブル配線基板は、回路基板と有機EL表示パネルとを電気的に接続するための基板である。尚、本実施形態においては、駆動回路を駆動回路基板に設けているが、駆動回路を半導体基板600上に設けてもよい。
【0039】
パッド領域100には複数のパッド電極103が設けられている。パッド電極103とフレキシブル配線基板とは、異方性導電層120とACF(Anisotropic Conductive Film)400を介して、電気的に接続される。ACF400は、熱硬化性樹脂401に微細な金属粒子402を混ぜ合わせたものを膜状に成型した導電性フィルムである。
【0040】
表示領域300には、複数の画素が縦横マトリクス上に配置される。各画素は、有機EL素子310と該有機EL素子310の発光を制御するスイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor、以下トランジスタと称す。)を有する。トランジスタは、ゲート、ソース及びドレインを有する。
【0041】
トランジスタとしては、駆動トランジスタとサンプリングトランジスタを備える。駆動トランジスタは、有機EL素子310を駆動する。サンプリングトランジスタは、信号出力回路から供給された信号電位を駆動トランジスタのゲートに供給する。
【0042】
有機EL素子310は、下部電極である第1の電極としてのアノード電極304と、有機EL(エレクトロルミネッセンス)層306と、上部電極である第3の電極としてのカソード電極307とが積層してなる。
【0043】
第1の電極としてのアノード電極304は、第1の導電層3041と該第1の導電層3041上に形成される第2の導電層3042との積層構造を有する。第1の導電層3041は、第1の導電材料と異なる第2の導電材料としてのAlを含む材料であるAlCu(アルミニウム銅合金)からなるAlCu層3042である。第2の導電層3042は第1の導電材料としての透明導電材料であるITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウムスズ)からなるITO層3041である。ITO層3041が有機EL層306に隣接して位置する。有機EL層306は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層が順次積層された構成となっており、正孔輸送層がアノード電極304側に、電子輸送層がカソード電極307側に位置する。
【0044】
表示領域300には、基板601上に、画素の列方向に沿って信号線が配置され、画素の行方向に沿って走査線及び電源供給線が配置されている。これら信号線、走査線及び電源供給線といった配線101は、それぞれ表示領域300の外側にあるパッド領域100の第2の電極としてのパッド電極103まで引き回されている。
【0045】
カソードコンタクト領域200には、カソード電極307と電気的に接続するカソード共通配線が配置されている。画素毎のカソード電極307は、全画素共通のカソード共通配線に接続され、カソード共通配線にカソード電源からカソード電位が供給されるようになっている。各カソード電極307とカソード共通配線とは配線を介して接続し、カソード共通配線と電気的に接続する引き回し配線は、パッド領域100のパッド電極103まで引き回されている。
【0046】
パッド電極103は、信号線、走査線、電源供給線、カソード共通配線に接続する引き回し配線それぞれに電気的に接続するものであり、パッド電極103に供給される信号は、そのパッド電極103が接続する配線の種類によって異なる。本実施形態では、配線の種類にかかわらず外部から信号等が供給される外部接続端子を一括してパッド電極103と称し、該パッド電極103と電気的に接続する、走査線、信号線、電源供給線、カソード共通配線に接続する引き回し配線を一括して配線101と称する。
【0047】
駆動トランジスタのソースはアノード電極304に、ドレインは電源供給線に電気的に接続される。サンプリングトランジスタのゲートは走査線に、ドレインは信号線に、ソースは駆動トランジスタのゲートに電気的に接続される。
【0048】
図2に示すように、表示領域300では、基板601上に、複数の金属層301、302、303と、層間絶縁膜320と、有機EL素子310と、接続孔311、312、313と、保護膜308が配置される。層間絶縁膜320は、金属層301〜303、有機EL素子310のそれぞれの間に介在する。接続孔311〜313は層間絶縁膜320に設けられており、複数の金属層301〜303と有機EL素子310のアノード電極304とを電気的に接続する。金属層301〜303又はこれら金属層301〜303と同層からなる金属層、層間絶縁膜320によりトランジスタ等が構成され、金属層301と同層で配線101が構成される。
【0049】
パッド領域100では、基板601上に、表示領域300の金属層301と同層で形成され金属層301と電気的に接続する配線101と、金属層102と、外部接続端子部であるパッド電極となる金属層103(以下、パッド電極103と称す。)と、配線101、金属層102、103のそれぞれの間に介在する層間絶縁膜320と、パッド電極103上に設けられた異方性導電層120が配置される。パッド電極103は、2層の積層構造を有するアノード電極304の下側に位置する第1の導電層であるAlCu層3042と同じ第1の導電材料から形成される。
【0050】
異方性導電層120は、熱硬化性樹脂121に微細な金属粒子122を混ぜ合わせてなる層である。異方性導電層120は、有機EL表示装置1の形態で、ACF400とともに、押圧されて、フレキシブル配線基板とパッド電極103とを電気的に接続するものである。
【0051】
カソードコンタクト領域200では、基板601上に、表示領域300と同様に、パッド領域100に設けられるパッド電極103と電気的に接続する配線101と、複数の金属層と、AlCu層とITO層(第1の電極)との積層からなる金属層と、これら配線及び金属層のそれぞれの間に介在する層間絶縁膜320とが配置され、AlCu層とITO層との積層からなる金属層上にはカソード電極と同層で設けられたカソードコンタクト層が形成され、更に、カソードコンタクト層を含む基板全面に保護膜308が設けられている。
【0052】
このように、表示領域300に設けられる有機EL素子310のアノード電極304とパッド領域100に設けられるパッド電極103とは配線101等を介して電気的に接続する構成となっている。アノード電極304はAlCu層3042とITO層3041との積層からなり、パッド電極103はAlCu層からなっている。
【0053】
また、カソードコンタクト領域200においても同様のことがいえ、カソードコンタクト領域200に設けられるITO層とパッド電極103とは配線101等を介して電気的に接続する構成となっている。
【0054】
AlCuからなるパッド電極103と、表示領域300に形成されるアノード電極304のITO層3041及びカソードコンタクト領域200に形成されるITO層とは、互いに異種金属であり、互いに酸化還元ポテンシャルが異なる。
【0055】
[表示装置の製造方法]
次に、上述の有機EL表示装置の製造方法について
図2、
図3、
図4を用いて説明する。
図3及び
図4は有機EL表示装置の製造方法の工程の一部を説明する図であり、各図は
図2に示す有機EL表示装置の断面に対応している。
【0056】
(第1の実施形態)
まず、公知の製造方法により、基板601上に金属層301〜303、及び第1の層間絶縁膜3201を形成して駆動用トランジスタ及びサンプリングトランジスタ、配線101、金属層102及びパッド電極103を形成する。パッド電極103はAlCuを用いて形成される。パッド電極103は、接続孔112、金属層102、接続孔111を介して配線101と電気的に接続する。また、金属層303は、接続孔312、金属層302及び接続孔311を介して金属層301と電気的に接続する。金属層301と配線101とは同層で形成され電気的に接続している。
【0057】
次に、金属層303、パッド電極103及び第1の層間絶縁膜3201上に第2の層間絶縁膜3202を形成する。第2の層間絶縁膜3202に接続孔313を設け、該接続孔313を介して金属層303と電気的に接続するように、アノード電極304の一部となるAlCu層3042を形成する。次に、AlCu層3042上にITO層3041を形成し、AlCu層3042とITO層3041との積層構造からなるアノード電極304を、第2の層間絶縁膜3202上に形成する。
【0058】
次に、アノード電極304及び第2の層間絶縁膜3202上に第3の層間絶縁膜3203を形成する。
【0059】
次に、パッド領域100のパッド電極103上の第2の層間絶縁膜3202及び第3の層間絶縁膜3203をドライエッチングにより除去し、パッド電極103上の第2の層間絶縁膜3202及び第3の層間絶縁膜3203に第2の開口部140を形成する。これによりAlCuからなるパッド電極103が露出された状態となる。
【0060】
次に、画素に対応する領域の第3の層間絶縁膜3203をドライエッチングにより除去し、第1の開口部330を形成する。これにより、
図3(A)に示すように、アノード電極304のITO層3041の少なくとも一部が露出された状態となり、パッド電極103も少なくとも一部が露出された状態となる。この際、第1の開口部330の側壁やITO層3041上にはドライエッチングで生じた加工残渣がある。尚、
図2においては、第1の層間絶縁膜3201、第2の層間絶縁膜202、第3の層間絶縁膜3203を一括して層間絶縁膜320として図示しており、以降の説明においても層間絶縁膜3201〜3203を一括して層間絶縁膜320として説明する。
【0061】
次に、
図3(B)に示すように、露出されたアノード電極304のITO層3041、パッド電極103及び層間絶縁膜320上に、熱硬化性樹脂121に金属粒子122が混ぜ合わされた異方性導電性材料を塗布し異方性導電膜1120を基板全面に形成する。
【0062】
次に、パッド電極103上にのみ異方性導電性膜が残存するように、O
2アッシング(ドライプラズマ処理)により一部の異方性導電膜1120を除去し、
図3(C)に示すように、パッド電極103上に異方性導電層120を形成する。
【0063】
ここで選択的にパッド電極103上にのみ異方性導電膜が残存するようにするために、EPD(End Point Detecting、終点検出)制御を使用してアッシングを行った。アッシングが進行すると異方性導電膜1120の膜厚は減少していき、やがては層間絶縁膜320が露出する。EPDでは、層間絶縁膜320が露出した際に光強度が変化する特定波長の光を常時計測しモニターすることにより、層間絶縁膜320の露出を検出する。
【0064】
ここで、
図3(A)に示すように、アノード電極304は第1の層間絶縁膜3201上に形成された第2層間絶縁膜3202上に形成される。一方、パッド電極103は、第1の層間絶縁膜3201上に形成される。これにより、アノード電極304とパッド電極103とでは、半導体基板600の厚み方向で、形成される位置が第2の層間絶縁膜3202の厚み分異なる。従って、パッド領域100に形成される第2の開口部140は、表示領域300に形成される第1の開口部330よりも、第2の層間絶縁膜3202の略厚さ分深さが深くなっており、大きな段差を有している。
【0065】
異方性導電性材料を塗布し、基板全面に平滑に異方性導電膜1120を形成した際、
図3(B)に示すように、パッド電極103に対応する第2の開口部140には異方性導電性材料が入り込んで異方性導電膜1120が形成される。これにより、パッド領域100のパッド電極103上に形成される異方性導電膜1120の厚さと、表示領域300のアノード電極304上に形成される異方性導電膜1120の厚さとは異なり、パッド電極103上に形成される異方性導電膜1120の厚さの方が厚くなっている。このようにパッド電極103に対応する第2の開口部140とアノード電極304に対応する第1の開口部330の開口部の深さの違いを利用してアッシングを行うことにより、層間絶縁膜320の露出を検出して、選択的にパッド電極103上に異方性導電層120を形成することができる。更に、アッシングを行うことにより、異方性導電層120を所望の厚さとすることができる。異方性導電層120の厚さは、例えば第2の開口部140内に収まるように形成される。例えば、異方性導電層120の厚さは第2の開口部140第2の開口部140の深さの半分くらいの厚さとすることができ、これにより後の工程の保護膜308形成時に、保護膜308をその表面を平坦に成膜することができ、半導体基板600と封止基板500との貼合わせ不良の発生を防止することができる。
【0066】
次に、
図3(C)に示すように、パッド電極103上以外に残存した異方性導電材料の金属粒子122を除去するために水洗によるスクラバ洗浄を行う。次に、
図3(D)に示すように、第1の開口部330形成工程時のドライエッチングで生じた第1の開口部330の側壁やITO層3041上にある加工残渣を除去するために、異方性導電層120、アノード電極304のITO層3041及び層間絶縁膜320を含む基板全面が電解質を含む液体であるアルカリ性洗浄液350に曝されるように、基板601をアルカリ性洗浄液350に浸漬し、洗浄を行う。反応生成物のポリマを除去する方法として、アルカリ性洗浄液350としては、例えばTMAH(Tetramethylammonium hydroxide、水酸化テトラメチルアンモニウム)、フッ化アンモニウム系薬液、有機アミン系薬液が使用できる。
【0067】
本実施形態においては、アルカリ性洗浄液350による洗浄の際、パッド電極103上に異方性導電層120が形成されているため、アルカリ性洗浄液350による電池効果は発生せず、ITO層3041が電蝕しない。
【0068】
ここで、異方性導電層120がパッド電極103上に形成されていない場合、AlCuからなるパッド電極103及びアノード電極304のITO層3041が露出された状態となる。
【0069】
このようなAlCuとITOというように酸化還元ポテンシャルが異なる異種金属が露出さえた状態でアルカリ性洗浄液350による洗浄を行うとアノード電極304のITO層3041よりOH
−が発生する。このOH
−によりAlCuからなるパッド電極103で、下記(1)式に示す反応が生じ、電子が発生する。アノード電極304とITO層3041は電気的に接続しているので、ITO層3041とパッド電極103の内部電圧差約1Vにより低抵抗となる電流パスが発生する。溶液中のH
2O、AlCu(パッド電極103)から移動してきた電子とITO層3041が反応し、下記(2)式に示す反応が生じ、In、OH
−が発生する。このような電池効果により、ITO層3041が還元され、
図8に示すようにITO層3041は電蝕される。このような電蝕が生じたアノード電極304を有する画素は、有機EL表示装置1としたときに滅点となり、表示特性が劣る。また、アルカリ性洗浄液350にIn等が流出し洗浄液の汚染を招いてしまう。
【0073】
これに対し、本実施形態においては、アルカリ性洗浄液350による洗浄の際、パッド電極103上に異方性導電層120が形成されているので、パッド電極103とアルカリ性洗浄液350との接触を防止することができ、更に、異方性導電層120は熱圧着を施す前の状態なので絶縁性を有するので、電池効果が発生せず、ITO層3041の電蝕が発生しない。したがって、ITO層3041の電蝕による滅点のない表示特性に優れた有機EL表示装置1を得ることができる。
【0074】
次に、アノード電極304上に有機EL層306、カソード電極307を順次形成し有機EL素子310を形成する。次に、有機EL素子310を含む基板全面に保護膜308を形成し、半導体基板600を形成する。
【0075】
次に、半導体基板600と封止基板500とを樹脂接着剤により貼り合わせる。その後、
図4(A)に示すように、スクライブによりパッド領域100に対応する領域の封止基板500を除去する。次に、
図4(B)に示すように、ドライエッチングによりパッド領域100に対応する保護膜308を除去し、異方性導電層120を露出させる。
【0076】
次に
図2に示すように、ACF400を異方性導電層120上に配置し、図示しないフレキシブル配線基板をACF400上に配置し熱圧着する。熱をかけながら加圧することにより異方性導電層120の金属粒子122は接触しながら重なり、押し付けられることで金属粒子122同士が引っ付きあうことで導電する経路を形成する。同様に、ACF400においても、ACF400内の金属粒子402は接触しながら重なり、押し付けられることで金属粒子402同士が引っ付きあうことで導電する経路を形成する。異方性導電層120とACF400の間においても互いの金属粒子122と402が接触して導電する経路を形成する。これによりパッド電極103とフレキシブル配線基板とは、異方性導電層120及びACF400を介して電気的に接続する。
【0077】
次に、フレキシブル配線基板と回路基板とを電気的に接続し、有機EL表示装置1が完成する。
【0078】
以上のように、電解質を含む液体である洗浄液を用いての洗浄工程において、電気的に接続する酸化還元ポテンシャルが異なる2つの異種金属層のうち一方の金属層上に異方性導電層を形成しているので、異方性導電層が上に形成される金属層と電解質を含む液体との接触が防止される。異方性導電層は、熱圧着されるまでは絶縁性を有しているので、この洗浄工程の段階では絶縁性を有しており、電解質を含む液体に曝しても電池効果は発生せず、金属層の腐蝕の発生を防止することができる。
【0079】
更に、異方性導電層が上に形成される金属層が外部との接続を担う外部接続端子部となるパッド電極である場合は、この異方性導電層をフレキシブル配線基板といった外部と電気的に接続をとる接続部として用いることができ、また、熱圧着されるまでは異方性導電層は絶縁性を有するので、製造工程中、異方性導電層を除去する工程が必要ない。
【0080】
また、カソードコンタクト領域200においても、上述の洗浄工程でITO層が露出された状態となっているが、AlCuからなるパッド電極103上に異方性導電層120が形成されているので、電池反応は生じず、カソードコンタクト領域200におけるITO層の電蝕は生じない。
【0081】
異方性導電層の製造方法は上記の実施形態に限定されず、例えば以下のような第2の実施形態、第3の実施形態に示す製造方法によって製造してもよく、以下に説明をする。上述の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0082】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、異方性導電層として熱硬化性樹脂に金属粒子を分散させたものを用いたが、本実施形態においては、異方性導電層として、フォトリソグラフィによるパターン形成が可能な樹脂に金属粒子を分散させたものを用いている点で第1の実施形態と異なる。
【0083】
図5は第2の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を示す工程図である。第1の実施形態と同様に、
図5は
図2に示す有機EL表示装置の断面に対応している。
【0084】
まず、第1の実施形態と同様に、公知の製造方法により、基板601上に金属層301〜303及び第1の層間絶縁膜3201を形成して駆動用トランジスタ及びサンプリングトランジスタ、配線101、金属層102及びパッド電極103を形成する。更に、第2の層間絶縁膜3202、アノード電極304、第3の層間絶縁膜3203を形成する。
【0085】
次に、パッド領域100のパッド電極103上の第2の層間絶縁膜3202及び第3の層間絶縁膜3203をドライエッチングにより除去し、パッド電極103上の第2の層間絶縁膜3202及び第3の層間絶縁膜3203に第2の開口部140を形成する。次に、画素に対応する領域の第3の層間絶縁膜3203をドライエッチングにより除去し、第1の開口部330を形成する。これにより、
図5(A)に示すように、アノード電極304のITO層3041、パッド電極103のそれぞれ少なくとも一部が露出された状態となる。この際、第1の開口部330の側壁やITO層3041上にはドライエッチングで生じた加工残渣がある。
【0086】
次に、
図5(B)に示すように、露出されたアノード電極304のITO層3041、パッド電極103及び層間絶縁膜320上に、ポジ型の光硬化性樹脂131に金属粒子132が混ぜ合わされた異方性導電性材料を塗布し異方性導電膜1130を形成する。尚、本実施形態においてはポジ型の光硬化性樹脂を用いたが、ネガ型の光硬化性樹脂を用いてもよい。
【0087】
次に、パッド電極103上にのみ異方性導電膜1130が残存するように、パッド電極103を被覆するマスクを介して異方性導電膜1130を露光した後、現像を行う。
図5(C)に示すように、フォトリソグラフィ時におけるアルカリ現像液360による現像工程の際、パッド電極103上には異方性導電膜1130が形成されているので、第1の実施形態で説明した電解質を含む液体による電池反応に起因するITO層3041の電蝕の発生防止と同様に、アルカリ現像液360による電池反応に起因するITO層3041の電蝕の発生が防止される。
【0088】
140
次に、
図5(D)に示すように、パッド電極103上に残存する異方性導電膜1130の膜厚を所望の厚みにするように、O
2アッシング(ドライプラズマ処理)によりEPD制御を用いて残存した異方性導電膜1130の一部を除去し、パッド電極103上に異方性導電層130を形成する。
【0089】
次に、
図5(D)に示すようにパッド電極103上以外に残存した異方性導電材料に含まれていた金属粒子132を除去するために水洗によるスクラバ洗浄を行う。次に、
図5(E)に示すように、第1の開口部330の側壁やITO層3041上にある第1の開口部330形成工程時にドライエッチングで生じた加工残渣を除去するために、電解質を含む洗浄液であるアルカリ性洗浄液350による洗浄を行う。
【0090】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、アルカリ性洗浄液350による洗浄の際、パッド電極103上に異方性導電層130が形成されているため、アルカリ性洗浄液350による電池効果は発生せず、ITO層3041の電蝕は発生しない。
【0091】
次に、アノード電極304上に有機EL層306、カソード電極307を順次形成し有機EL素子310を形成する。次に、有機EL素子310を含む基板全面に保護膜308を形成し、半導体基板600を形成する。以降の製造工程は第1の実施形態と同様である。尚、本実施形態で用いる異方性導電層130は、第1の実施形態の異方性導電層120と同様に、熱をかけながら加圧することにより異方性導電層130の金属粒子132は接触しながら重なり、金属粒子132同士が引っ付きあうことで導電する経路を形成する。
【0092】
以上のように、ドライエッチングによる残渣除去の洗浄工程、及び、フォトリソグラフィ工程におけるアルカリ洗浄工程において、パッド電極103上に異方性導電層130が形成されているので、電池効果が発生せず、ITO層の電蝕の発生を防止することができる。
【0093】
(第3の実施形態)
第2の実施形態においては、異方性導電膜を露光、現像した後、O
2アッシングによりパッド電極103上に残存する異方性導電膜の一部を除去して厚さを調整していたが、本実施形態ではO
2アッシングによる厚さ調整を行わない点が第2の実施形態と異なる。本実施形態では、O
2アッシング工程を省略することにより、O
2アッシング工程により生じる残留した金属粒子の除去を行う必要がなく、スクラバ洗浄を省略することができる。以下、第2の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0094】
図6は第3の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を示す工程図である。第1及び第2の実施形態と同様に、
図6は
図2に示す有機EL表示装置の断面に対応している。
【0095】
まず、第2の実施形態と同様に、公知の製造方法により、基板601上に金属層301〜303及び第1の層間絶縁膜3201を形成して駆動用トランジスタ及びサンプリングトランジスタ、配線101、金属層102及びパッド電極103を形成する。更に、第2の層間絶縁膜3202、アノード電極304、第3の層間絶縁膜3203を形成する。
【0096】
次に、パッド領域100のパッド電極103上の第2の層間絶縁膜3202及び第3の層間絶縁膜3203をドライエッチングにより除去し、パッド電極103上の第2の層間絶縁膜3202及び第3の層間絶縁膜3203に第2の開口部140を形成する。次に、画素に対応する領域の第3の層間絶縁膜3203をドライエッチングにより除去し、第1の開口部330を形成する。これにより、
図6(A)に示すように、アノード電極304のITO層3041及びパッド電極103それぞれの少なくとも一部が露出された状態となる。この際、第1の開口部330の側壁やITO層3041上にはドライエッチングで生じた加工残渣がある。
【0097】
次に、
図6(B)に示すように、露出されたアノード電極304のITO層3041、パッド電極103及び層間絶縁膜3203上に、ポジ型の光硬化性樹脂131に金属粒子132が混ぜ合わされた異方性導電性材料を塗布し異方性導電膜1130を形成する。
【0098】
次に、パッド電極103上にのみ異方性導電膜1130が残存するように、パッド電極103を被覆するマスクを介して異方性導電膜1130を露光した後、現像を行い、パッド電極103上に異方性導電層130を形成する。
図6(C)に示すように、アルカリ現像液360による現像工程の際、パッド電極103上には異方性導電膜1130が形成されているので、アルカリ現像液360による電池反応に起因するITO層の電蝕の発生が防止される。このように異方性導電層120の厚さを、第2の開口部140から突出するように形成してもよく、後の工程の保護膜308形成時に、表面が平坦となる程度に保護膜308を成膜できればよく、半導体基板600と封止基板500との貼合わせ不良の発生を防止することができる。
【0099】
次に、
図6(D)に示すように、第1の開口部330の側壁やITO層3041上にある第1の開口部330形成工程時のドライエッチングで生じた加工残渣を除去するために、電解質を含む洗浄液であるアルカリ性洗浄液350による洗浄を行う。
【0100】
本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、アルカリ性洗浄液350による洗浄の際、パッド電極103上に異方性導電層130が形成されているため、アルカリ性洗浄液350による電池効果は発生せず、ITO層3041の電蝕は発生しない。
【0101】
次に、アノード電極304上に有機EL層306、カソード電極307を順次形成し有機EL素子310を形成する。次に、有機EL素子310を含む基板全面に保護膜308を形成し、半導体基板600を形成する。以降の製造工程は第2の実施形態と同様である。
【0102】
以上のように、ドライエッチングによる残渣除去の洗浄工程、及び、フォトリソグラフィ工程におけるアルカリ洗浄工程において、パッド電極103上に異方性導電層130が形成されているので、電池効果が発生せず、ITO層の電蝕の発生を防止することができる。
【0103】
[電子機器]
上記有機EL表示装置は、例えば後述の適用例1及び2などの種々の電子機器に組み込まれる。尚、適用例はこれらに限定されず、他に例えばビデオカメラ、携帯電話機等にも適用可能である。
【0104】
(適用例1)
図9はデジタルカメラの外観を表したものである。
図9(A)はデジタルカメラ700の正面図、
図9(B)はデジタルカメラ700の背面図である。このデジタルカメラ700は、ビューファインダ部701を有しており、このビューファインダ部701に上記有機EL表示装置が用いられる。
【0105】
(適用例2)
図10は、メガネやゴーグル、サングラス等のアイウェア800に、アイウェア装着型の片目用ディスプレイモジュール810を装着した外観を表したものである。アイウェア装着型の片目用ディスプレイモジュール810は、制御基板と、有機EL表示装置811を有しており、この有機EL表示装置811に上記有機EL表示装置が用いられる。
【0106】
以上、これらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態においては、異方性導電層とACFを介してパッド電極とフレキシブル配線基板とを電気的に接続したが、
図7に示すようにACFは用いずに、異方性導電層120を介してパッド電極103とフレキシブル配線基板900とを電気的に接続する構成としてもよい。
【0107】
また、上述の実施形態においては、酸化還元ポテンシャルの異なる異種金属材料として、ITO(第1の電極又は第3の電極、実施形態におけるアノード電極又はカソードコンタクト領域における金属層)とAlCu(第2の電極、パッド電極)を例にあげたが、これに限定されない。例えば、ITOの代わりにIZO(Indium Zinc Oxide)、ZTO(Zinc Tin Oxide)、SnO
2、PbO
2、CdOを用いることができる。また、AlCuの代わりにAl−Ni系合金、Al、Ag、Ag合金、Cu、Cu合金、Au、Au合金を用いることもできる。
【0108】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1) 基板上に第1の導電材料を有する第1の電極を形成し、
前記基板上に、前記第1の電極と電気的に接続する、前記第1の導電材料とは異なる第2の導電材料を有する第2の電極を形成し、
前記第1の電極及び前記第2の電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜に第1の開口部を形成して前記第1の電極の少なくとも一部を露出させ、
前記層間絶縁膜に第2の開口部を形成して前記第2の電極の少なくとも一部を露出させ、
露出した前記第2の電極上に異方性導電層を形成し、
前記異方性導電層形成後、電解質を含む液体に前記第1の開口部、前記第2の開口部及び前記層間絶縁膜を曝す
表示装置の製造方法。
(2) 上記(1)に記載の表示装置の製造方法であって、
前記第1の電極は前記基板の表示領域に形成され、前記第2の電極は前記基板の前記表示領域の外側の第1の領域に形成される
表示装置の製造方法。
(3) 上記(1)又は(2)に記載の表示装置の製造方法であって、
前記層間絶縁膜は第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜及び第3の層間絶縁膜を含み、
前記第1の層間絶縁膜上に前記第2の電極を形成し、
前記第2の電極の形成後、前記第2の電極及び前記第1の層間絶縁膜上に前記第2の層間絶縁膜を形成し、
前記第2の層間絶縁膜形成後、前記第2の層間絶縁膜上に前記第1の電極を形成し、
前記第1の電極形成後、前記第1の電極及び前記第2の層間絶縁膜上に前記第3の層間絶縁膜を形成する
表示装置の製造方法。
(4) 上記(3)に記載の表示装置の製造方法であって、
前記異方性導電層の形成は、
前記第1の電極の露出部、前記第2の電極の露出部及び前記層間絶縁膜上に異方性導電膜を形成し、
露出させた前記第2の電極上にのみ前記異方性導電膜が残存するように、EPD制御を用いて前記異方性導電膜をアッシングすることにより行う
表示装置の製造方法。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表示装置の製造方法であって、
前記異方性導電層の形成は、
前記第1の電極の露出部、前記第2の電極の露出部及び前記層間絶縁膜上に光硬化性樹脂を含む異方性導電膜を形成し、
露出させた前記第2の電極上にのみ前記異方性導電膜が残存するように、前記異方性導電膜を露光、現像することにより行う
表示装置の製造方法。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の表示装置の製造方法であって、
前記異方性導電層を介して前記第2の電極と配線基板とを対向配置し、熱圧着することにより前記第2の電極と前記配線基板とを電気的に接続する
表示装置の製造方法。
(7) 上記(1)〜(6)のいずれかに記載の表示装置の製造方法であって、
前記第1の導電材料と前記第2の導電材料とは酸化還元ポテンシャルが異なる
表示装置の製造方法。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示装置の製造方法であって、
前記第1の導電材料は透明導電材料であり、前記第2の導電材料はアルミニウムを含む材料である
表示装置の製造方法。
(9) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の表示装置の製造方法であって、
前記第1の導電材料は酸化インジウムスズであり、前記第2の導電材料はアルミニウム銅合金である
表示装置の製造方法。
(10) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の表示装置の製造方法であって、
前記第1の電極は、前記第2の導電材料からなる第1の導電層と、前記第1の導電層上に設けられた前記第1の導電材料からなる第2の導電層との積層構造を有する
表示装置の製造方法。
(11) 上記(1)に記載の表示装置の製造方法であって、
前記第1の電極は前記基板の表示領域の外側の第2の領域に形成され、前記第2の電極は前記基板の前記表示領域の外側の第1の領域に形成される
表示装置の製造方法。
(12) 表示領域を有する基板と、
前記表示領域に設けられた、第1の導電材料を有する第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス層と、前記有機エレクトロルミネッセンス層上に設けられた第3の電極とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、
前記基板の前記表示領域の外側に設けられ、前記第1の電極と電気的に接続する、前記第1の導電材料と異なる第2の導電材料を有する第2の電極と、
前記第2の電極上に設けられた異方性導電層
を具備する表示装置。
(13) 上記(12)に記載の表示装置であって、
前記第1の導電材料と前記第2の導電材料とは酸化還元ポテンシャルが異なる
表示装置。
(14) 上記(12)又は(13)に記載の表示装置であって、
前記異方性導電層を介して前記第2の電極と電気的に接続する配線基板
を更に具備する表示装置。
(15) 表示領域を有する基板と、前記表示領域に設けられた第1の導電材料を有する第1の電極と前記第1の電極上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス層と前記有機エレクトロルミネッセンス層上に設けられた第3の電極とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記基板の前記表示領域の外側に設けられ、前記第1の電極と電気的に接続する前記第1の導電材料と異なる第2の導電材料を有する第2の電極と、前記第2の電極上に設けられた異方性導電層とを備える表示装置
を具備する電子機器。