特許第6986522号(P6986522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986522
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ステントグラフト
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20211213BHJP
【FI】
   A61F2/07
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-561236(P2018-561236)
(86)(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公表番号】特表2019-516509(P2019-516509A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】US2017034223
(87)【国際公開番号】WO2017205486
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2020年4月10日
(31)【優先権主張番号】62/341,234
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506074417
【氏名又は名称】ボルトン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ロステッター,ティモシー
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−526929(JP,A)
【文献】 特表2005−521471(JP,A)
【文献】 特表2014−533559(JP,A)
【文献】 中国特許第102973303(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04 − 2/07
A61F 2/852
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 近位端(14)、遠位端(16)、主要長手軸(18)を有するルーメンを画定し、該近位端(14)と該遠位端(16)の間の開窓(20)を画定する管状大動脈構成要素(12)、ここで、該開窓が、該管状大動脈構成要素(12)の主要長手軸(18)に直交する面にある開窓近位端(22)および開窓遠位端(24)の少なくとも1つを画定する
b) 開窓にあるポケット(38)、ここで、該ポケットは、ルーメン内でポケット近位開口(40)および該ポケット近位開口(40)の反対側にあるポケット遠位開口(42)を画定する;
c) 近位トンネルグラフト近位端(46)および近位トンネルグラフト遠位端(48)を有し、少なくとも1つの近位トンネルグラフトルーメン(50)を画定する少なくとも1つの近位トンネルグラフト(44)、ここで、該近位トンネルグラフトは、ルーメン中で、該ポケットの近位開口から近位に伸長し、その近位端で該管状大動脈構成要素(12)に固定される;ならびに
d) 遠位トンネルグラフト近位端(54)および遠位トンネルグラフト遠位端(56)を有し、少なくとも1つの遠位トンネルグラフトルーメン(58)を画定する少なくとも1つの遠位トンネルグラフト(52)、ここで、該遠位トンネルグラフトは、ルーメン中で、該ポケットの遠位開口から遠位に伸長し、その遠位端で該管状大動脈構成要素(12)に固定され、該少なくとも1つの近位トンネルグラフトの近位端および該少なくとも1つの遠位トンネルグラフトの遠位端が広がった開口を画定し、該主要長手軸に直交する面にある該開窓(20)の開窓近位端(22)および開窓遠位端(24)の少なくとも1つが、少なくとも1つの近位トンネルグラフト(44)の遠位端の全直径;および少なくとも1つの遠位トンネルグラフト(52)の近位端の全直径の少なくとも1つの長さよりも大きい長さを有する、
を含む、ステントグラフト(10)。
【請求項2】
該管状大動脈構成要素(12)の遠位端が二叉であ(82)、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項3】
該開窓(20)が、該管状大動脈構成要素(12)の主要長手軸(18)に直交する面にある開窓近位端(22)を画定する、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項4】
該開窓(20)が、該管状大動脈構成要素(12)の主要長手軸(18)に直交する面にある開窓遠位端(24)を画定する、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項5】
該少なくとも1つの近位トンネルグラフトの近位端(46)および該少なくとも1つの遠位トンネルグラフトの遠位端(56)が広がった開口を画定する、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項6】
該近位トンネルグラフト近位端(46)および該遠位トンネルグラフト遠位端(56)の少なくとも1つの広がった開口を支持する少なくとも1つのステント(67、77)をさらに含む、請求項記載のステントグラフト。
【請求項7】
該近位トンネルグラフト近位端(66)が広がった開口(67)を画定する、請求項記載のステントグラフト。
【請求項8】
該遠位トンネルグラフト遠位端(72)が広がった開口(77)を画定する、請求項記載のステントグラフト。
【請求項9】
該遠位トンネルグラフト(70)および該近位トンネルグラフト(64)を支持する少なくとも1つのステントをさらに含む、請求項記載のステントグラフト。
【請求項10】
該遠位トンネルグラフト遠位端(72)および該近位トンネルグラフト近位端(66)の両方がそれぞれ、広がった開口を画定する、請求項8記載のステントグラフト。
【請求項11】
近位頂部および遠位頂部を有するベアステント(28)をさらに含むステントグラフトであって、該ベアステント(28)が、該遠位頂部で管状大動脈構成要素(12)の近位端(14)に固定され、該近位頂部が、該管状大動脈構成要素(12)の近位端(14)を越えて近位に伸長する、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項12】
少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、それぞれの分岐ステントグラフトが、開窓(20)を通って、該近位トンネルグラフトルーメンおよび該遠位トンネルグラフトルーメンの少なくとも1つ内に伸長する、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項13】
少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、該少なくとも2つの分岐ステントグラフトがそれぞれ、開窓を通って伸長し、該分岐ステントグラフトの少なくとも1つが、該近位トンネルグラフトルーメンおよび該遠位トンネルグラフトルーメンの1つを通って伸長する、請求項12記載のステントグラフト。
【請求項14】
該近位トンネルグラフトおよび該遠位トンネルグラフトの少なくとも1つが、該近位トンネルグラフトルーメンおよび該遠位トンネルグラフトルーメンの少なくとも1つを2つのサブルーメンに仕切る隔壁(106、108)を含み、それぞれのサブルーメンが近位端および遠位端を有する、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項15】
複数の隔壁を含むステントグラフトであって、1つの隔壁が近位トンネルグラフトルーメンを2つのサブルーメンに仕切り、1つの隔壁が遠位トンネルグラフトルーメンを2つのサブルーメンに仕切る、請求項14記載のステントグラフト。
【請求項16】
少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、それぞれの分岐ステントグラフトが、開窓を通って、該近位トンネルグラフトの2つのサブルーメンの1つ内に伸長する、請求項14記載のステントグラフト。
【請求項17】
少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、それぞれが開窓を通って伸長し、それぞれが独立して、遠位トンネルグラフトのサブルーメンの1つ内に伸長する、請求項14記載のステントグラフト。
【請求項18】
該近位トンネルグラフトおよび該遠位トンネルグラフトの両方が、ステントグラフトにより支持される、請求項14記載のステントグラフト。
【請求項19】
それぞれの隔壁が、近位および遠位のトンネルグラフトルーメンを、遠位トンネルグラフトの広がった遠位開口の近位にある点または該近位トンネルグラフトの広がった近位開口の遠位にある点まで、2つのサブルーメンに仕切る、請求項18記載のステントグラフト。
【請求項20】
4つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、その全てが開窓を通って伸長し、そのそれぞれが独立して、サブルーメンの1つ内に伸長する、請求項18記載のステントグラフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は2016年5月25日に出願された米国仮特許出願第62/341,234の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
腎臓上(suprarenal)腹部大動脈瘤(AAA)および胸腹大動脈瘤(TAAA)は、外科的な困難さを示す生命を脅かす状態である。これらの動脈瘤の開放外科的修復(open surgical repair)は、大動脈の疾患領域を治療し得るが、主に手術により生じる脊髄、腎臓および周辺の腹部の内臓に対する虚血性の傷害(insult)の結果として、開放修復に伴うかなりのリスクがある。現在、腎臓上AAAおよびTAAAを修復するための開放外科的技術としては、脊髄および腎臓内臓領域に対する虚血性傷害の可能性を低減するための体外回路を介した遠位大動脈かん流、インラインシャントおよび冷却腎臓かん流が挙げられる。
【0003】
そのため、患者に対する外傷ならびに脊髄および周辺内臓への血流の消失を最小にする、腎臓上AAAおよびTAAAを治療するための新規の向上された血管内修復デバイスならびに方法についての必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明は、ステントグラフト、ならびに動脈瘤、穿通性潰瘍(penetrating ulcer)および解離(dissection)を含む腎臓上AAAおよびTAAAに関連のある血管損傷などの大動脈血管損傷を治療するためのステントグラフトの使用方法に関する。
【0005】
ある態様において、本発明は、近位端、遠位端、主要長手軸を有する、ルーメンを画定し、該近位端と該遠位端の間の開窓を画定する管状大動脈構成要素;開窓にあるポケット、ここで該ポケットは、該ルーメン中で、ポケット近位開口および該ポケット近位開口の反対側にあるポケット遠位開口を画定する;近位トンネルグラフト近位端および少なくとも1つの近位トンネルグラフト遠位端を有し、近位トンネルグラフトルーメンを画定する少なくとも1つの近位トンネルグラフト、ここで該近位トンネルグラフトは、ルーメン中で、ポケット近位開口から近位に伸長し、その近位端で該管状大動脈構成要素に固定される;ならびに遠位トンネルグラフト近位端および遠位トンネルグラフト遠位端を有し、少なくとも1つの遠位トンネルグラフトルーメンを画定する少なくとも1つの遠位トンネルグラフト、ここで該遠位トンネルグラフトは、ルーメン中で、ポケットの遠位開口から遠位に伸長し、その遠位端で該管状大動脈構成要素に固定される、を含むステントグラフトである。
【0006】
別の態様において、本発明は腎臓上大動脈瘤または胸腹大動脈瘤を治療するための方法である。ステントグラフトは、大動脈を通って患者の動脈瘤部位に送達され、該ステントグラフトは、送達デバイスの制御カテーテルの遠位端により、放射状にかつ解放可能に束縛される。該ステントグラフトは、近位端、遠位端、主要長手軸を有するルーメンを画定し、近位端と遠位端の間の開窓を画定する管状大動脈構成要素;開窓にあるポケット、ここで該ポケットは、ルーメン中で、近位開口および該近位開口の反対側にある遠位開口を画定する;近位トンネルグラフト近位端および近位トンネルグラフト遠位端を有し、少なくとも1つの近位トンネルグラフトルーメンを画定する少なくとも1つの近位トンネルグラフト、ここで該近位トンネルグラフトは、ルーメン中で、ポケットの近位開口から近位に伸長し、その近位端で該管状大動脈構成要素に固定される;ならびに遠位トンネルグラフト近位端および遠位トンネルグラフト遠位端を有し、少なくとも1つの遠位トンネルグラフトルーメンを画定する少なくとも1つの遠位トンネルグラフト、ここで該遠位トンネルグラフトは、ルーメン中で、ポケットの遠位開口から遠位に伸長し、その遠位端で該管状大動脈構成要素に固定される、を含む。該開窓は、患者の動脈瘤部位で、動脈瘤部位の大動脈の少なくとも1つの分岐と整列される。該管状大動脈構成要素(ステントグラフト)は、送達デバイスの制御カテーテルを引き込むことなどにより、送達デバイスから解放される。少なくとも1つの分岐ステントグラフトのそれぞれは、ステントグラフトの遠位端および近位端を通って、かつ遠位トンネルグラフトまたは近位トンネルグラフトを通って、開窓まで、かつ該開窓を通って、患者の動脈瘤部位の大動脈の分岐まで送達され、それにより、該分岐ステントグラフトは、遠位トンネルグラフトルーメンまたは近位トンネルグラフトルーメンに固定され、一方で、分岐ステントグラフトの反対側にある末端で分岐送達デバイスにより放射状に束縛される。それぞれの分岐ステントグラフトは、分岐送達デバイスから解放され、それにより分岐ステントグラフトの埋め込みが完了し、腎臓上大動脈瘤または胸腹大動脈瘤が治療される。
【0007】
本発明のステントグラフトおよび方法は、例えばステントグラフトの断面(profile)を低減する開窓を画定することを含むいくつかの利点を有し、該開窓は次いで分岐ステントグラフトをトンネルグラフト内に収容して、疾患大動脈に配置されるプロテーゼの直径を最小にするという利点を有する。開窓の長さおよび直径は、腎臓上AAAおよびTAAAの段階および程度に応じて、疾患大動脈の領域において臓器および組織の分枝血管に分岐ステントグラフトを導入するための低減された断面を外科医に提供しながら、外科医が、疾患大動脈の領域における外傷を最小限することを可能にするように、個々の患者に対してカスタマイズされ得る。
【0008】
本発明のステントグラフトおよび方法はまた、動脈瘤の周囲の組織に特異的な解剖学的特徴に適応させるために、分岐ステントグラフトを導入し、順行性または逆行性の構成のいずれかにおいて該ステントグラフトを配置する外科医に、より大きな選択の柔軟性を提供するという利点を有する。動脈の場合、順行性は心臓から離れる血液の流れであり、静脈の場合、順行性は心臓に向かう血液の流れである。動脈の場合、逆行性は心臓に向かう血液の流れであり、静脈の場合、逆行性は心臓から離れる血液の流れである。例えば、大動脈における分岐ステントグラフトの順行性の配置は、管状大動脈構成要素(動脈瘤の部位で大動脈に埋め込まれた開窓を有するステントグラフト)において、血液の流れと同じ方向で開窓から伸長する分岐ステントグラフトの一部を生じる、分岐ステントグラフトの埋め込みをいう。対照的に、大動脈における分岐ステントグラフトの逆行性の配置は、大動脈ステントグラフト構成要素において、心臓からの血液の流れとは逆の方向で開窓から伸長する分岐ステントグラフトの一部を生じる分岐ステントグラフトの埋め込みをいう。
【0009】
さらに、近位および遠位のトンネルグラフトはそれぞれ、該トンネルグラフトの近位端および遠位端のそれぞれで、大動脈グラフト構成要素に固定される。結果的に、腹部大動脈瘤または胸腹大動脈瘤の手術において、大動脈ステントグラフト構成要素の近位端または遠位端のいずれかを通らなければならない分岐ステントグラフトの埋め込みは、大動脈ステントグラフト構成要素内の近位トンネルグラフトの近位端および遠位トンネルグラフトの遠位端の比較的安定な配置により容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
前述のものは、添付の図面に図示されるような本発明の例示態様の以下のより詳細な記載から明らかであり、図面において、同様の参照符号は、異なる図を通じて同じ部分を言及する。異なる図面における同じ番号は同じ項目を示す。図面は必ずしも一定の割合で作られておらず、その代わりに、本発明の態様の例示に重きが置かれる。
図1図1は、本発明のステントグラフトの一態様の側面図である。
図2A図2Aは、図1のものと同様であるが、遠位ベアステントを欠き、主要長手軸の周囲で90°回転された本発明のステントグラフトの別の態様の側面図である。
図2B図2Bは、図2Aの態様の側面図であり、点線において本発明の大動脈ステント構成要素内のポケットおよびトンネルグラフトを示す。
図3図3Aは、本発明のステントグラフトの別の態様の側面図であり、ここで該態様の近位トンネルグラフトの近位端および遠位トンネルグラフトの遠位端は広がっている。図3Bは、本発明のステントグラフトの主要軸の周囲で90°回転した図3Aの態様の側面図である。
図4A図4Aは、被験体における動脈瘤部位での埋め込み後の本発明のステントグラフトのさらに別の態様の側面図であり、ここで大動脈グラフト構成要素の遠位端は二叉である。
図4B図4Bは、図4A中の線4B-4Bに沿っってとられた図4Aに示される本発明のステントグラフトの態様の断面図であり、図4Aの近位トンネルグラフトの末端図を示す。
図5図5は、図4Aおよび4Bの本発明のステントグラフトの側面図であり、被験体における動脈瘤部位での埋め込み後の本発明の管状大動脈構成要素の開窓から伸長する2つの分岐ステントグラフトをさらに含む。
図6A図6Aは、二叉の遠位端を有する本発明のステントグラフトの別の態様の側面図であり、ここで近位および遠位のトンネルグラフトは、被験体における動脈瘤部位での埋め込み後に示されるように、サブルーメンに分けられる。
図6B図6Bは、図6A中の線6B-6Bに沿っってとられた図6Aに示される本発明のステントグラフトの態様の断面図であり、図6Aの近位トンネルグラフトのサブルーメンの末端図を示す。
図7図7は、図6Aおよび6Bの本発明のステントグラフトの側面図であり、被験体の動脈瘤部位での埋め込み後の本発明の管状大動脈構成要素の開窓から伸長する4つの分岐ステントグラフトをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は一般的に、大動脈瘤の部位でのプロテーゼの埋め込みなど、血管疾患の治療における使用のためのプロテーゼに関する。
【0012】
本発明の特徴および他の詳細は、本発明の工程として、または本発明の一部の組合せとしてのいずれかで、特許請求の範囲においてより詳細に記載され、指摘される。本発明の詳細な態様は、本発明の限定としてではなく例示として示されることが理解されよう。本発明の原理的な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の態様に使用され得る。
【0013】
本発明の例示的態様の記載を以下に続ける。
【0014】
血管修復デバイスなどの、患者に送達されるかまたは埋め込まれるプロテーゼを本明細書で参照する場合、用語「近位」は、患者の心臓に対して相対的に近いプロテーゼの一部または該プロテーゼの構成要素を意味し、「遠位」は、患者の心臓から相対的に遠いプロテーゼの一部または該プロテーゼの構成要素を意味する。
【0015】
しかしながら、血管修復デバイスを送達または埋め込むために使用される送達システムまたは送達システムの構成要素を参照する場合、本明細書で使用されるように、用語「近位」は、送達システムを使用する臨床医に対してより近いことを意味する。本明細書で使用されるように、送達システムまたは送達システムの構成要素を参照する場合、「遠位」は、該送達システムを使用する臨床医からさらに遠くに離れていることを意味する。
【0016】
明確化のために、用語「最近位(proximate)」は、血管修復デバイスまたは送達システムのいずれかに関して上述されるような「近位」または「遠位」に属する意味とは全く違う、「近い(close)こと」を意味する。
【0017】
本発明のステントグラフトの一態様を図1に示す。そこに示されるように、ステントグラフト(10)は、近位端(14)、遠位端(16)、主要長手軸(18)を有する、ルーメンを画定し、ステントグラフト(10)の近位端(14)と遠位端(16)の間の開窓(20)を画定する管状大動脈構成要素(12)を含む。管状大動脈構成要素(12)は、例えば発泡(expanded)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば発泡PTFE (ePTFE)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)、例えば織られたポリエステル(woven polyester)を含む当業者に公知のものなどの適切な材料で作製される。開窓(20)は開窓近位端(22)および開窓遠位端(24)を画定する。ステント(26)は、近位端(14)と遠位端(16)の間の管状大動脈構成要素(12)の周囲の少なくとも一部の周囲に伸長する。近位ベアステント(28)および遠位ベアステント(30)は、近位端(14)および遠位端(16)のそれぞれに固定される。ステント(26)およびベアステント(28、30)は、ポリエステルePTFE(発泡ポリテトラフルオロエチレン)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、monocrylおよびポリジオキサノン、非吸収性ナイロン、ポリエステル、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)およびポリプロピレンで作製される縫合糸を含む縫合糸(31)などの当業者に公知の適切な手段により管状大動脈構成要素(12)に縫合される。ステント(26)およびベアステント(28、30)は、ニチノールを含む当業者に公知のものなどの適切な材料で形成される。当業者に公知のものなどの適切なX線撮影マーカー(32)が開窓(20)の周縁部(34)に縫合される。
【0018】
図2Aは本発明の別の態様の側面図である。ここで、ステントグラフト36は、図1のものと同様であるが、示されるように、主要長手軸(18)の周囲に90°回転され遠位ベアステント(30)を欠く。図2Bは、図2Aに示される本発明の態様の側面図であり、管状大動脈構成要素(12)により画定されるルーメン内にある輪郭線(点線)における本発明の構成要素を示す。具体的に、ステントグラフト(36)は、開窓(20)にポケット(38)を含む。ポケット(38)は、ポケット近位開口(40)および該ポケット近位開口(40)の反対側にあるポケット遠位開口(42)を画定する。ポケット(38)のポケット近位開口(40)は、開窓(20)の近位端(22)の近位に配置される面Aにある。ポケット遠位開口(42)は、開窓(20)の遠位端(24)から遠位に配置される面Bにある。図2Bにも示されるように、開窓近位端(22)は面Cにあり、開窓遠位端(24)は面Dにある。面Cおよび面Dの両方は本質的に、管状大動脈構成要素(12)の主要長手軸(18)に直交する。面Aは面Cに平行であってその近位に配置され、面Bは面Dに平行であってその遠位に配置される。
【0019】
ステントグラフト(36)の近位トンネルグラフト(44)は、近位トンネルグラフト近位端(46)、近位トンネルグラフト遠位端(48)および近位トンネルグラフトルーメン(50)を有する。近位トンネルグラフト(44)は、管状大動脈構成要素(12)のルーメン中で、ポケット近位開口(40)から近位に伸長し、近位開口(40)に固定される。ステントグラフト(36)はまた、遠位トンネルグラフト近位端(54)、遠位トンネルグラフト遠位端(56)および遠位トンネルグラフトルーメン(58)を有する遠位トンネルグラフト(52)を含む。遠位トンネルグラフト(52)は、管状大動脈構成要素(12)のルーメン中で、ポケット遠位開口(42)から遠位に伸長し、遠位ポケット開口(42)に固定される。
【0020】
近位トンネルグラフト(44)および遠位トンネルグラフト(52)の少なくとも1つは、当業者に公知のもの、例えば縫合糸または生体適合性接着剤などの適切な技術により、管状大動脈構成要素(12)の内部に固定される。例えば、一態様において、近位トンネルグラフト(44)の近位端(46)は近位縫合糸(60)により管状大動脈構成要素(12)に固定され、遠位トンネルグラフト(52)の遠位端(56)は遠位縫合糸(61)により管状大動脈構成要素(12)に固定される。代替的に、近位トンネルグラフト(44)および遠位トンネルグラフト(52)の少なくとも1つは、近位トンネルグラフト(44)および遠位トンネルグラフト(52)のそれぞれの一部または全体の長さにわたり、断続する長さまたは連続の長さ(示さず)などに沿って、1つよりも多くの縫合糸により管状大動脈構成要素(12)に取り付けられ得る。
【0021】
図3Aは、本発明のステントグラフトの別の態様の側面図である。そこに示されるように、ステントグラフト(62)は、ステントグラフト(62)が広がった近位トンネルグラフト近位端(66)を有する近位トンネルグラフト(64)を含むことを除いて、図2Aおよび2Bのステントグラフトと同様である。近位トンネルグラフト(64)は近位トンネルグラフトステント(68)を含み、ステントグラフト(62)はまた広がった遠位トンネルグラフト遠位端(56)を有する遠位トンネルグラフト(70)を含む。図3Bは、トンネルグラフト(62)の側面図であるが、軸(18)の周囲で90°回転している。少なくとも1つのステント(67、77)は、近位端(66)および遠位端(72)のそれぞれの少なくとも1つの広がった開口を支持する。近位トンネルグラフト(64)の広がった近位トンネルグラフト近位端開口(66)および遠位トンネルグラフト(70)の広がった遠位トンネルグラフト遠位端開口(72)はそれぞれ、それぞれのトンネルグラフトへの分岐ステントグラフトの配置の際に、外科医に誘導を提供する。一態様において、開窓(20)の開窓近位端(22)および開窓遠位端(24)の少なくとも1つは、それぞれ主要長手軸(18)に直交する面C、D内にあり、図3Bに示される長さLを有する。長さLは、ポケット(38)のそれぞれの近位開口(40)および遠位開口(42)から伸長する、少なくとも1つの近位トンネルグラフト(64)の遠位端(76)または遠位トンネルグラフト(70)の近位端(78)の直径よりも大きい。
【0022】
図4Aは、本発明のステントグラフトの別の態様の側面図である。ステントグラフト(80)は、図3Aおよび3Bにおけるステントグラフト(62)のものと同様であるが、二叉の遠位端(82)を含む。図4Bは、図4Aの線4B-4Bに沿っってとられたステントグラフト80の断面図である。図4Bに示すように、開窓(20)の直径の長さLは、近位トンネルグラフト遠位端(48)における近位トンネルグラフト(64)の直径Dの長さよりも大きい。図5に示すように、ステントグラフト(80)は、被験体の腹部大動脈瘤(84)に埋め込まれ、腎動脈(90、92)のそれぞれに埋め込まれる分岐ステントグラフト(86、88)のそれぞれをさらに含む。
【0023】
図6Aは、本発明のステントグラフトのさらに別の態様の側面図である。そこに示すように、ステントグラフト(100)は、図4A、4Bおよび5のステントグラフト(80)と同様であるが、仕切られた近位トンネルグラフト(102)および仕切られた遠位トンネルグラフト(104)を含む。しかしながら、近位トンネルグラフト(102)または遠位トンネルグラフト(104)の一方または他方のみが二叉である代替的な態様も可能であることが理解される。隔壁(106、108)は、それぞれの近位および遠位のトンネルグラフトルーメン(102、104)のそれぞれを、2つの近位サブルーメン(110、112)および遠位サブルーメン(114、116)に分ける。隔壁(106、108)は、それぞれの近位および遠位のトンネルグラフトルーメン(102、104)のそれぞれを、それぞれのトンネルグラフトルーメンの開口の近位または遠位の点まで2つのサブルーメンに仕切る。それぞれのサブルーメンは、サブルーメン近位端およびサブルーメン遠位端のそれぞれを有する。線6B-6Bに沿っってとられたステントグラフトの断面図100である図6Bに示されるように、近位トンネルグラフト隔壁(106)は、例えば近位トンネルグラフト(102)を、縫い目(118)により管状大動脈グラフト構成要素(12)に中心線に沿って縫い付けることにより形成され得る。当該技術分野で公知のものなどのサブルーメンを形成する他の方法を代替的に使用し得ることが理解される。例えば、それぞれのトンネルグラフトのルーメンをサブルーメンにさらに分けるための中心線に沿って縫い付けられる近位および遠位のトンネルグラフトの代わりに、2つの平行な近位または遠位のトンネルグラフトを使用し得る。
【0024】
図7に見られ得るように、分岐ステントグラフト(120、122、124、126)は、開窓(20)を通って、サブルーメン(110、112、114および116)のそれぞれ内に伸長する。分岐ステントグラフト(120、122、124、126)は、開窓から、腎動脈(90、92)、腹腔動脈(130)および上部腸間膜動脈(128)のそれぞれ内に伸長する。
【0025】
別の態様において、本発明は、腎臓上大動脈瘤または胸腹大動脈瘤を治療するための方法である。例えば、図6A、6Bおよび7を参照して、ステントグラフトは、送達デバイス(示さず)の制御カテーテルの遠位端でステントグラフトを放射状かつ解放可能に束縛することにより、大腿動脈を通って、被験体の大動脈瘤部位(84)に送達される。ステントグラフトの開窓は、動脈瘤部位(84)で、動脈瘤部位(84)の少なくとも1つの分岐動脈(90、92、128、130)と整列され、次いでステントグラフトは、送達デバイスから解放され、送達デバイスが被験体から取り除かれる。少なくとも1つの分岐ステントグラフトのそれぞれは、分岐送達デバイスにより解放可能に束縛される。それぞれの分岐ステントグラフト(120、122、124、126)は、それぞれの分岐送達デバイスにより、ステントグラフトのトンネルグラフトのルーメンを通って、次いで開窓(20)を通って動脈瘤部位(84)に送達される。開窓(20)から伸長する分岐ステントグラフト(120、122、124、126)は、それぞれの分岐送達デバイスにより、動脈瘤部位(84)で大動脈の分岐に方向づけられ、1つの末端でそれぞれの近位または遠位のトンネルグラフトルーメンに固定され、反対側にある末端で分岐動脈内に固定される。次いで、それぞれの分岐ステントグラフトは、それぞれの送達デバイスから解放され、次いで送達デバイスは取り除かれ、それにより埋め込みが完了され、腎臓上大動脈瘤または胸腹大動脈瘤が治療される。
【0026】
本発明の血管修復デバイスは、例えば経大腿(transfemoral)アクセスにより埋めこまれ得る。本発明の血管修復デバイスに方向づけられるさらなる血管修復デバイスは、例えば動脈上(supraaortic)血管アクセス(例えば、上腕動脈を通る)により、または経大腿アクセスもしくは末梢血管を含む主要血管のいくつかの他の分岐(1つまたは複数)からのアクセスにより埋めこまれ得る。
【0027】
本明細書に引用される全ての特許、公開特許出願および参照文献の関連のある教示は、それらの全体において、参照により援用される。米国特許第8,292,943号、第7,763,063号、第8,308,790号、第8,070,790号、第8,740,963号、第8,007,605号、第9,320,631号、第8,062,349号、第9,198,786号、第8,062,345号、第9,561,124号、第9,173,755号、第8,449,595号、第8,636,788号、第9,333,104号、第9,408,734号、第9,408,735号、第8,500,792号、第9,220,617号、第9,364,314号、第9,101,506号、第8,998,970号、第9,554,929号、第9,439,751号、第9,592,112号および第9,655,712号、米国特許出願第14/226,005号、第14/575,673号、第15/166,818号、第15/167,055号、第14/272,818号、第14/861,479号、第15/478,424号、第15/478,737ならびにPCT/US2017/025849の関連のある教示も、それらの全体において参照により援用される。
【0028】
本発明は、その例示態様に関して、具体的に示され、記載されているが、形態および詳細における種々の変更が、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲から逸脱することなく、本発明においてなされ得ることが、当業者には理解されよう。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
[1]a) 近位端(14)、遠位端(16)、主要長手軸(18)を有する、ルーメンを画定し、該近位端(14)と該遠位端(16)の間の開窓(20)を画定する管状大動脈構成要素(12);
b) 開窓にあるポケット(38)、ここで、該ポケットは、ルーメン内でポケット近位開口(40)および該ポケット近位開口(40)の反対側にあるポケット遠位開口(42)を画定する;
c) 近位トンネルグラフト近位端(46)および近位トンネルグラフト遠位端(48)を有し、少なくとも1つの近位トンネルグラフトルーメン(50)を画定する少なくとも1つの近位トンネルグラフト(44)、ここで、該近位トンネルグラフトは、ルーメン中で、該ポケットの近位開口から近位に伸長し、その近位端で該管状大動脈構成要素(12)に固定される;ならびに
d) 遠位トンネルグラフト近位端(54)および遠位トンネルグラフト遠位端(56)を有し、少なくとも1つの遠位トンネルグラフトルーメン(58)を画定する少なくとも1つの遠位トンネルグラフト(52)、ここで、該遠位トンネルグラフトは、ルーメン中で、該ポケットの遠位開口から遠位に伸長し、その遠位端で該管状大動脈構成要素(12)に固定される、
を含む、ステントグラフト(10)。
[2]該管状大動脈構成要素(12)の遠位端が二叉であり(82)、それにより該ステントグラフトの2つのレグが画定される、[1]記載のステントグラフト。
[3]該開窓(20)が、該管状大動脈構成要素(12)の主要長手軸(18)に直交する面にある開窓近位端(22)を画定する、[1]記載のステントグラフト。
[4]該開窓(20)が、該管状大動脈構成要素(12)の主要長手軸(18)に直交する面にある開窓遠位端(24)を画定する、[1]記載のステントグラフト。
[5]該開窓が、該管状大動脈構成要素(12)の主要長手軸(18)に直交する面にある開窓近位端(22)および開窓遠位端(24)の少なくとも1つを画定する、[1]記載のステントグラフト。
[6]該主要長手軸に直交する面にある該開窓(20)の開窓近位端(22)および開窓遠位端(24)の少なくとも1つが、少なくとも1つの近位トンネルグラフト(44)の遠位端の全直径;および少なくとも1つの遠位トンネルグラフト(52)の近位端の全直径の少なくとも1つの長さよりも大きい長さを有する、[5]記載のステントグラフト。
[7]該少なくとも1つの近位トンネルグラフトの近位端および該少なくとも1つの遠位トンネルグラフトの少なくとも1つの遠位端が広がった開口を画定する、[1]記載のステントグラフト。
[8]該近位トンネルグラフト近位端(46)の少なくとも1つおよび該遠位トンネルグラフト遠位端(56)の少なくとも1つの広がった開口を支持する少なくとも1つのステント(67、77)をさらに含む、[7]記載のステントグラフト。
[9]該近位トンネルグラフト近位端(66)が広がった開口(67)を画定する、[7]記載のステントグラフト。
[10]該遠位トンネルグラフト遠位端(72)が広がった開口を画定する、[7]記載のステントグラフト。
[11]該遠位トンネルグラフト(70)および該近位トンネルグラフト(64)を支持する少なくとも1つのステントをさらに含む、[10]記載のステントグラフト。
[12]該遠位トンネルグラフト遠位端(72)および該近位トンネルグラフト近位端(66)の両方がそれぞれ、広がった開口を画定する、[8]記載のステントグラフト。
[13]近位頂部および遠位頂部を有するベアステント(28)をさらに含むステントグラフトであって、該ベアステント(28)が、該遠位頂部で管状大動脈構成要素(12)の近位端(14)に固定され、該近位頂部が、該管状大動脈構成要素(12)の近位端(14)を越えて近位に伸長する、[1]記載のステントグラフト。
[14]少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、それぞれの分岐ステントグラフトが、開窓(20)を通って、該近位トンネルグラフトルーメンおよび該遠位トンネルグラフトルーメンの少なくとも1つ内に伸長する、[1]記載のステントグラフト。
[15]少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、該少なくとも2つの分岐ステントグラフトがそれぞれ、開窓を通って伸長し、該分岐ステントグラフトの少なくとも1つが、該近位トンネルグラフトルーメンおよび該遠位トンネルグラフトルーメンの1つを通って伸長する、[14]記載のステントグラフト。
[16]該近位トンネルグラフトおよび該遠位トンネルグラフトの少なくとも1つが、該近位トンネルグラフトルーメンおよび該遠位トンネルグラフトルーメンの少なくとも1つを2つのサブルーメンに仕切る隔壁(106、108)を含み、それぞれのサブルーメンが近位端および遠位端を有する、[1]記載のステントグラフト。
[17]複数の隔壁を含むステントグラフトであって、1つの隔壁が近位トンネルグラフトルーメンを2つのルーメンに仕切り、1つの隔壁が遠位トンネルグラフトルーメンを2つのサブルーメンに仕切る、[16]記載のステントグラフト。
[18]少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、それぞれの分岐ステントグラフトが、開窓を通って、該近位トンネルグラフトの2つのサブルーメンの1つ内に伸長する、[16]記載のステントグラフト。
[19]少なくとも2つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、それぞれが開窓を通って伸長し、それぞれが独立して、遠位トンネルグラフトのサブルーメンの1つ内に伸長する、[16]記載のステントグラフト。
[20]該近位トンネルグラフトおよび該遠位トンネルグラフトの両方が、ステントグラフトにより支持される、[16]記載のステントグラフト。
[21]それぞれの隔壁が、近位および遠位のトンネルグラフトルーメンを、遠位トンネルグラフトの広がった遠位開口の近位にある点または該近位トンネルグラフトルーメンの広がった近位開口の遠位にある点まで、2つのサブルーメンに仕切る、[20]記載のステントグラフト。
[22]4つの分岐ステントグラフトをさらに含むステントグラフトであって、その全てが開窓を通って伸長し、そのそれぞれが独立して、サブルーメンの1つ内に伸長する、[20]記載のステントグラフト。
[23]腎臓上大動脈瘤または胸腹大動脈瘤を治療するための方法であって、
a) ステントグラフトを、大動脈(83)を通って、患者の動脈瘤部位(84)に送達する工程、ここで、該ステントグラフトは、送達デバイスにより放射状かつ解放可能に拘束され、該ステントグラフトは、
i) 近位端、遠位端および主要長手軸をし、ルーメンを画定し、該近位端と該遠位端の間に開窓を画定する管状大動脈構成要素(12);
ii) 開窓にありかつルーメン内にあるポケット、ここで、該ポケットは、近位開口および該近位開口の反対側にある遠位開口を画定する;
iii) 近位トンネルグラフト近位端および近位トンネルグラフト遠位端を画定する少なくとも1つの近位トンネルグラフト、ここで、該近位トンネルグラフトは、該ルーメン中で、該ポケットの近位開口から近位に伸長し、その近位端で管状大動脈構成要素(12)に固定される;ならびに
iv) 遠位トンネルグラフト近位端を有し、かつ遠位トンネルグラフト遠位端を画定する少なくとも1つの遠位トンネルグラフト、ここで、該遠位トンネルグラフトは、該ルーメン中で、該ポケットの遠位開口から遠位に伸長し、その遠位端で該管状大動脈構成要素(12)に固定される、
を含む、
b) 該開窓を、患者の動脈瘤部位(84)で、動脈瘤部位の大動脈の少なくとも1つの分岐と整列する工程;
c) 送達デバイスからステントグラフトを解放する工程;
d) 少なくとも1つの分岐ステントグラフトを、ステントグラフトの遠位端を通って遠位トンネルグラフトルーメンを通って開窓まで、かつ該開窓を通って動脈瘤部位の大動脈の分岐に送達する工程、ここで、該分岐ステントグラフトが、第1の分岐送達デバイスにより放射状かつ解放可能に束縛される;
e) 第1の分岐送達デバイスから該分岐ステントグラフトを解放する工程;
f) 該第1の分岐送達デバイスを引っ込める工程;
g) 少なくとも1つの分岐ステントグラフトを、ステントグラフトの近位端を通って近位トンネルグラフトルーメンを通って開窓まで、かつ該開窓を通って動脈瘤部位の大動脈の分岐まで送達する工程、ここで、該分岐ステントグラフトが、第2の分岐送達デバイスにより放射状かつ解放可能に束縛される;
h) 第2の分岐送達デバイスから該分岐ステントグラフトを解放する工程;ならびに
i) 第2の分岐送達デバイスを引っ込め、それにより腎臓上大動脈瘤または胸腹大動脈瘤を治療する工程
を含む、方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7