特許第6986529号(P6986529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986529
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】配達手配システム、及び配達手配方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20211213BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20211213BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q10/08 300
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-56277(P2019-56277)
(22)【出願日】2019年3月25日
(65)【公開番号】特開2020-160524(P2020-160524A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2019年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】今井 直子
(72)【発明者】
【氏名】内山 慎也
【審査官】 池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−271836(JP,A)
【文献】 特開2010−049569(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/033944(WO,A1)
【文献】 特開2019−032621(JP,A)
【文献】 特開2003−192138(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0137454(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2018−0042598(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の配達先への物品の配達を手配する配達手配システムであって、
前記配達先への前記物品の配達を依頼する配達依頼情報を、配達を利用する利用者により使用される利用者端末から受信して、前記配達先への前記物品の配達を受付ける配達受付部と、
前記配達受付部により前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記物品の提供元から、前記施設内又は前記施設付近の配達中継所までの第1配達を管理する第1配達管理装置に対して、前記提供元から配達中継所まで前記物品を配達する前記第1配達を依頼する第1配達依頼情報を送信する第1配達依頼部と、
前記配達受付部により前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記配達中継所から前記施設内の指定対象への第2配達を管理する第2配達管理装置に対して、前記配達中継所から前記配達先まで前記物品を配達する前記第2配達を依頼する第2配達依頼情報を送信する第2配達依頼部と
前記第1配達による前記物品の前記配達中継所への配達完了時刻が、前記配達依頼情報により指定された配達希望時刻よりも第1所定時間以上前であった場合に、前記第2配達の開始時刻を、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記配達希望時刻よりも前の時刻に設定することを指示する第2配達開始時刻指示情報を、前記第2配達管理装置に送信する第2配達開始時刻調整部と
を備える配達手配システム。
【請求項2】
前記施設の利用需要を予測する利用需要予測部と、
前記利用需要の予測結果に基づいて、前記第2配達を実行するためのリソースの能力を設定する第2配達リソース設定部と
を備える請求項1に記載の配達手配システム。
【請求項3】
前記利用需要予測部は、前記施設が充電ステーションであるときに、前記充電ステーションから所定距離以内に存在する電動車両の充電需要予測に基づいて、前記施設の利用需要を予測する
請求項2に記載の配達手配システム。
【請求項4】
前記配達受付部による前記施設内の前記指定対象への物品の配達の受付件数を予測する受付件数予測部と、
前記受付件数の予測結果に基づいて、前記第2配達を実行するためのリソースの能力を設定する第2配達リソース設定部と
を備える請求項1に記載の配達手配システム。
【請求項5】
前記受付件数予測部は、前記施設内の配達先への配達依頼の対象物品が飲食物であるときに、時間帯に基づいて前記施設内の配達先への物品の配達の受付件数を予測する
請求項4に記載の配達手配システム。
【請求項6】
施設内の配達先への物品の配達を手配するために、コンピュータにより実行される配達手配方法であって、
前記配達先への前記物品の配達を依頼する配達依頼情報を、配達を利用する利用者により使用される利用者端末から受信して、前記配達先への前記物品の配達を受付ける配達受付ステップと、
前記配達受付ステップにより前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記物品の提供元から、前記施設内又は前記施設付近の配達中継所までの第1配達を管理する第1配達管理装置に対して、前記提供元から配達中継所まで前記物品を配達する前記第1配達を依頼する第1配達依頼情報を送信する第1配達依頼ステップと、
前記配達受付ステップにより前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記配達中継所から前記施設内の指定対象への第2配達を管理する第2配達管理装置に対して、前記配達中継所から前記配達先まで前記物品を配達する前記第2配達を依頼する第2配達依頼情報を送信する第2配達依頼ステップと、
前記第1配達による前記物品の前記配達中継所への配達完了時刻が、前記配達依頼情報により指定された配達希望時刻よりも第1所定時間以上前であった場合に、前記第2配達の開始時刻を、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記配達希望時刻よりも前の時刻に設定することを指示する第2配達開始時刻指示情報を、前記第2配達管理装置に送信する第2配達開始時刻調整ステップと
を含む配達手配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達手配システム、及び配達手配方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両から走行ルート情報を含む商品の注文を受けたときに、車両の現在位置から目的地までの走行ルート上に引渡位置を設定して、引渡位置への発注商品の配達を配送センタに依頼する発注管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された発注管理システムにおいて、引渡位置は、車両をできる限り待たせることなく発注商品を短時間で引き渡すことができる地点に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−321828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のシステムでは、発注商品の引渡位置が、地下の駐車場や充電ステーションのように、ある程度広くて各駐車スペースに至る経路が複雑な施設に設定された場合に、施設に到着した配達員は、施設内で配達先の車両を見つけ出さなければならない。この場合、配達員が施設のレイアウトに不慣れであると、配達先の車両を見つけ出すのに手間取り、発注商品の配達に要する時間が長くなる。そのため、配達の効率が低下するという不都合がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、施設内の配達先に物品を配達する際の効率を向上させることができる配達手配システム、及び配達手配方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための態様として、施設内の配達先への物品の配達を手配する配達手配システムであって、前記配達先への前記物品の配達を依頼する配達依頼情報を、配達を利用する利用者により使用される利用者端末から受信して、前記配達先への前記物品の配達を受付ける配達受付部と、前記配達受付部により前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記物品の提供元から、前記施設内又は前記施設付近の配達中継所までの第1配達を管理する第1配達管理装置に対して、前記提供元から配達中継所まで前記物品を配達する前記第1配達を依頼する第1配達依頼情報を送信する第1配達依頼部と、前記配達受付部により前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記配達中継所から前記施設内の指定対象への第2配達を管理する第2配達管理装置に対して、前記配達中継所から前記配達先まで前記物品を配達する前記第2配達を依頼する第2配達依頼情報を送信する第2配達依頼部と、前記第1配達による前記物品の前記配達中継所への配達完了時刻が、前記配達依頼情報により指定された配達希望時刻よりも第1所定時間以上前であった場合に、前記第2配達の開始時刻を、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記配達希望時刻よりも前の時刻に設定することを指示する第2配達開始時刻指示情報を、前記第2配達管理装置に送信する第2配達開始時刻調整部とを備える配達手配システムが挙げられる。
上記配達手配システムによれば、配達受付部により、施設内の配達先への物品の配達の依頼が受付けられたときに、第1配達依頼部により、第1配達管理装置に対して、配達中継所への物品の配達を依頼する第1配達依頼情報が送信される。また、第2配達依頼部により、第2配達管理装置に対して、配達中継所から施設内の配達先への物品の配達を依頼する第2配達依頼情報が送信される。これらの処理により、施設内の配達先への物品の配達が、物品の供給元から配達中継所までの第1配達と、配達中継所から施設内の配達先までの第2配達とに分けて実行される。この場合、第2配達は、施設内の配達に従事して施設のレイアウトを熟知した配達員によって、迅速に行われることが期待できる。そのため、第1配達と第2配達を分けずに、施設のレイアウトに不慣れな一人の配達員が全ての配達工程を担当する場合に比べて、配達の効率を向上させることができる。また、第1配達を担当する配達員も、不慣れな施設内での配達に時間を要することを回避して、物品の提供元と配達中継所間の配達に専念できるため、この点においても、配達の効率を向上させることができる。また、第1配達による配達中継所への物品の配達が早めに完了した場合に、利用者の配達希望時刻に物品が配達されるように、第2配達の開始時刻を調整して対応することができる。
【0006】
上記配達手配システムにおいて、前記施設の利用需要を予測する利用需要予測部と、前記利用需要の予測結果に基づいて、前記第2配達を実行するためのリソースの能力を設定する第2配達リソース設定部とを備える構成としてもよい。
この構成によれば、施設の利用需要の予測結果に基づいて、第2配達を実行するためのリソースの能力を設定することにより、リソースの過不足が生じることを抑制することができる。第2配達を実行するためのリソースには、配達員の人数、配達員の能力(経験年数等)、配送車の台数、配送ロボットの台数及び性能等が含まれる。
【0007】
上記配達手配システムにおいて、前記利用需要予測部は、前記施設が充電ステーションであるときに、前記充電ステーションから所定距離以内に存在する電動車両の充電需要予測に基づいて、前記施設の利用需要を予測する構成としてもよい。
この構成によれば、施設が充電ステーションであるときに、付近に存在する電動車両の充電需要予測から、充電ステーションの利用需要を予測することができる。
【0008】
上記配達手配システムにおいて、前記配達受付部による前記施設内の配達先への物品の配達の受付件数を予測する受付件数予測部と、前記受付件数の予測結果に基づいて、前記第2配達を実行するためのリソースの能力を設定する第2配達リソース設定部とを備える構成としてもよい。
この構成によれば、施設内の配達先への物品の配達の受付件数の予測結果に基づいて、第2配達を実行するためのリソースの能力を設定することにより、リソースの過不足が生じることを抑制することができる。
【0009】
上記配達手配システムにおいて、前記受付件数予測部は、前記施設内の配達先への配達依頼の対象物品が飲食物であるときに、時間帯に基づいて前記施設内の配達先への物品の配達の受付件数を予測する構成としてもよい。
この構成によれば、例えば、飲食物の配達依頼が増加すると予測される昼食時間帯について、配達の受付件数が増加すると予測することができる。
【0011】
上記目的を達成するための別態様として、施設内の配達先への物品の配達を手配するために、コンピュータにより実行される配達手配方法であって、前記配達先への前記物品の配達を依頼する配達依頼情報を、配達を利用する利用者により使用される利用者端末から受信して、前記配達先への前記物品の配達を受付ける配達受付ステップと、前記配達受付ステップにより前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記物品の提供元から、前記施設内又は前記施設付近の配達中継所までの第1配達を管理する第1配達管理装置に対して、前記提供元から配達中継所まで前記物品を配達する前記第1配達を依頼する第1配達依頼情報を送信する第1配達依頼ステップと、前記配達受付ステップにより前記配達先への前記物品の配達が受付けられたときに、前記配達中継所から前記施設内の指定対象への第2配達を管理する第2配達管理装置に対して、前記配達中継所から前記配達先まで前記物品を配達する前記第2配達を依頼する第2配達依頼情報を送信する第2配達依頼ステップと、前記第1配達による前記物品の前記配達中継所への配達完了時刻が、前記配達依頼情報により指定された配達希望時刻よりも第1所定時間以上前であった場合に、前記第2配達の開始時刻を、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記配達希望時刻よりも前の時刻に設定することを指示する第2配達開始時刻指示情報を、前記第2配達管理装置に送信する第2配達開始時刻調整ステップとを含む配達手配方法。
上記配達手配方法によれば、配達受付ステップにより、施設内の配達先への物品の配達の依頼が受付けられたときに、第1配達依頼ステップにより、第1配達管理装置に対して、配達中継所への物品の配達を依頼する第1配達依頼情報が送信される。また、第2配達依頼ステップにより、第2配達管理装置に対して、配達中継所から施設内の配達先への物品の配達を依頼する第2配達依頼情報が送信される。これらの処理により、施設内の配達先への物品の配達が、物品の供給元から配達中継所までの第1配達と、配達中継所から施設内の配達先までの第2配達とに分けて実行される。この場合、第2配達は、施設内の配達に従事して施設のレイアウトを熟知した配達員によって、迅速に行われることが期待できる。そのため、第1配達と第2配達を分けずに、施設のレイアウトに不慣れな一人の配達員が全ての配達工程を担当する場合に比べて、配達の効率を向上させることができる。また、第1配達を担当する配達員も、不慣れな施設内での配達に時間を要することを回避して、物品の提供元と配達中継所間の配達に専念できるため、この点においても、配達の効率を向上させることができる。また、第1配達による配達中継所への物品の配達が早めに完了した場合に、利用者の配達希望時刻に物品が配達されるように、第2配達の開始時刻を調整して対応することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記配達手配システムによれば、施設内の配達先への物品の配達が依頼されたときに、物品の供給元から施設内又は施設付近の配達中継所までの第1配達と、配達中継所から施設内の配達先までの第2配達に分けて、配達が手配される。そして、第1配達が物品の供給元と配達中継所間の配送に慣れた配達員により実行されると共に、第2配達が施設内の配達に慣れた配達員により実行されることが期待される。これにより、施設内の配達先への配達の効率を向上させることができる。上記配達手配方法による場合にも、同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、配達手配システムの構成及び配達手配の態様の説明図である。
図2図2は、利用者データベースの説明図である。
図3図3は、受注データベースの説明図である。
図4図4は、第1配達依頼情報の説明図である。
図5図5は、第2配達依頼情報の説明図である。
図6図6は、販売店から配達中継所までの第1配達と、配達中継所から施設内の配達先までの第2配達を手配する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.配達手配システムによる配達手配の態様]
図1を参照して、本実施形態の配達手配システム1による配達手配の態様について説明する。図1では、配達手配システム1が、配達先車両100に乗車した利用者Uからの依頼に応じて、飲食物450(本発明の物品に相当する)の提供元である販売店400から配達先車両100への飲食物450の配達を手配する態様を示している。
【0015】
配達先車両100は電動車両であり、配達先車両100の全体的な作動を制御するECU(Electronic Control Unit)110、バッテリ111、及び目的地への経路案内等を行うナビゲーション装置112を備えている。配達先車両100は、充電ステーション500(本発明の施設に相当する)に駐車して充電を行っている。
【0016】
充電ステーション500には、配達中継所510が設けられている。配達手配システム1は、販売店400から配達先車両100への配達を受付けたときに、販売店400から配達中継所510までの第1配達と、配達中継所510から配達先車両100(施設内の配達の指定対象に相当する)までの第2配達とに分けて手配する。第1配達は配達車両410を使用して第1配達員D1により行われ、第2配達は運搬カート530を使用して第2配達員D2により行われる。図1では、第1配達による配達経路をRt1で示し、第2配達による配達経路をRt2で示している。
【0017】
ここで、第1配達員D1は、販売店400の従業員であって充電ステーション500内のレイアウトに不慣れな場合があり、この場合に第1配達員D1に充電ステーション500内の配達を担当させると、充電ステーション500での配達に手間取って時間をロスするおそれがある。そこで、充電ステーション500内の配達を、充電ステーション500内での配達に専従していて、充電ステーション500のレイアウトを熟知している第2配達員D2に分担させることにより、配達を迅速に行って配達の効率を高めることができる。
【0018】
[2.配達手配システムの構成]
図1図5を参照して、配達手配システムの構成について説明する。図1に示したように、配達手配システム1は、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ30、通信部40等により構成されたコンピュータシステムである。
【0019】
配達手配システム1は、通信部40により、通信ネットワーク900を介して、販売店400に備えられた第1配達管理装置401、配達中継所510に備えられた第2配達管理装置511、及び利用者Uにより使用される利用者端末90との間で通信を行う。また、第1配達管理装置401は、第1配達員D1により使用される第1配達員端末420との間で通信を行い、第2配達管理装置511は、第2配達員D2により使用される第2配達員端末520との間で通信を行う。
【0020】
配達手配システム1のメモリ30には、配達手配システム1の制御用プログラム31、配達手配システム1の利用登録を行った各利用者の情報が記録されたり利用者DB(Data Base)32、配達手配システム1の利用登録を行った各販売店の情報が記録された販売店DB33、配達手配システム1の利用登録を行った各配達中継所の情報が記録された配達中継所DB、及び各利用者による配達依頼の注文情報が記録された受注DB35が保存されている。各施設の情報には、各施設内又は各施設付近(例えば、各施設から数10m以内)に配置された配達中継所の情報が含まれている。
【0021】
CPU10は、メモリ30に保存された制御用プログラム31を読み込んで実行することにより、利用者登録部11、販売店登録部12、配達中継所登録部13、配達受付部14、第1配達依頼部15、第2配達依頼部16、利用需要予測部17、受付件数予測部18、第2配達リソース設定部19、及び第2配達開始時刻調整部20として機能する。
【0022】
なお、配達受付部14により実行される処理は、本発明の配達手配方法における配達受付ステップに相当し、第1配達依頼部15により実行される処理は、本発明の配達手配方法における第1配達依頼ステップに相当する。また、第2配達依頼部16により実行される処理は、本発明の配達手配方法における第2配達依頼ステップに相当する。
【0023】
利用者登録部11は、利用者端末90から送信される利用者登録情報を受信して、利用者情報を利用者DB32に記録することにより、配達手配システム1への利用者Uの登録を行う。図2に示したように、利用者DB32には、各利用者について、利用者ID32a、利用者情報32b、及び配達先車両情報32cが記録されている。利用者IDは、配達手配システム1により、各利用者に対して発行される固有の識別情報である。利用者情報には、利用者の氏名、電話番号、Eメールアドレス、顔画像、自宅住所等が含まれる。配達先車両情報32cには、配達先車両(利用者が使用している車両)の車種、色、年式、グレード、車両画像等が含まれる。
【0024】
販売店登録部12は、第1配達管理装置401から送信される販売店登録情報を受信して、販売店情報を販売店DB33に記録することにより、配達手配システム1への販売店400の登録を行う。販売店DB33には、各販売店について、販売店ID、販売店名、所在場所、配達エリア、販売品等の情報が記録されている。
【0025】
配達中継所登録部13は、第2配達管理装置511から送信される配達中継所登録情報を受信して、配達中継所情報を施設DB34に記録することにより、配達手配システム1への配達中継所510の登録を行う。配達中継所DBには、各配達中継所について、配達中継所ID、対応する施設の名称、所在場所、配達受付時間等の情報が記録されている。
【0026】
配達受付部14は、利用者端末90から送信される配達依頼情報MOiを受信することにより、利用者Uによる配達先車両100への物品の配達依頼を受付け、配達依頼情報MOiにより指示された内容を、受注DB34に記録する。図3に示したように、受注DB34には、各受注案件について、受注番号35a、利用者ID35b、販売店ID35c、注文品3d、配達先35e、配達希望時刻35f、及び配達状況35gが記録されている。
【0027】
利用者ID35bは、配達依頼を行った利用者の利用者IDである。販売店ID35cは、配達依頼により指定された発注先の販売店の販売店IDである。注文品35dには、注文された物品の品名、個数等が含まれる。配達先35eには、配達先車両100が駐車している場所の住所、地点(緯度・経度)、施設名称、配達先車両情報等が含まれる。地点(緯度・経度)は、利用者端末90又はナビゲーション装置112に備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)センサにより、配達先車両の現在位置の検出情報が取得可能な場合に記録される。
【0028】
配達先車両情報には、配達先車両の車種、色、グレード等の配達先車両を特定するための情報が記録されている。さらに、配達先35eには、配達先車両が充電ステーションで充電している場合には、充電器の識別表示が含まれる。充電器の識別表示は、例えば、充電器の筐体に視認可能に示されている番号やマーク、或いは充電器に備えられた表示器に表示される番号やマークであって、目視により確認可能な表示である。
【0029】
第1配達依頼部15は、配達受付部14により、販売店400から配達先車両100への飲食物の配達依頼が受付られたときに、販売店400から配達中継所510までの第1配達を依頼する第1配達依頼情報D1iを、第1配達管理装置401に送信する。図4に示したように、第1配達依頼情報D1iには、複数の第1配達の依頼情報が含まれ、各依頼情報は、受注番号36a、利用者ID36b、販売店ID36c、注文品36d、配達中継所36e、配達希望時刻36f、及び配達状況36gが含まれている。
【0030】
配達中継所36eには、第1配達による配達先である配達中継所の情報として、配達中継所が配置された施設の名称(ここでは、YY充電ステーションを例示)、住所、地点(緯度・経度)が記録されている。
【0031】
第2配達依頼部16は、配達受付部14により、販売店400から配達先車両100への飲食物の配達が受付けられ、販売店400から配達中継所510までの第1配達が完了したときに、配達中継所510から配達先車両100までの第2配達を依頼する第2配達依頼情報D2iを、第2配達管理装置511に送信する。
【0032】
図5に示したように、第2配達依頼情報D2iには、各配達依頼について、受注番号37a、利用者ID37b、販売店ID37c、注文品37d、配達先37e、配達希望時刻37f、第2配達開始時刻37g、及び配達状況37hの情報が記録されている。配達先37eには、配達先が充電ステーションで充電中の電動車両であるときには、接続されている充電器の番号により、受電中の配達先車両を特定するために、充電予約がされている充電器の番号が記録されている。第2配達依頼部16は、充電器の番号を、利用者端末90、第2配達管理装置511、或いは、充電ステーション500における各充電器の予約を管理する充電管理システム(図示しない)との通信によって取得する。
【0033】
第2配達開始時刻37gは、第2配達開始時刻調整部20によって設定された第2配達開始時刻が記録される。第2配達開始時刻調整部20は、配達中継所510に物品が配達された時刻が、配達希望時刻よりも第1所定時間以上前(例えば30分以上前)であるときに、第2配達開始時刻を、配達希望時間よりも第2所定時間(例えば10分)前の時刻に設定する。第2所定時間は、配達中継所510から配達先車両100までの第2配達に要する時間を考慮して、配達先車両100への配達完了時刻が配達希望時刻付近になるように、第1所定時間よりも短い時間に設定される。
【0034】
第2配達開始時刻調整部20は、設定した第2配達開始時刻を示す第2配達開始時刻指示情報を、第2配達監視装置511に送信する。第2配達監視装置511は、第2配達開始時刻指示情報を第2配達員端末520に送信することにより、第2配達開始時時刻を第2配達員D2に通知する。
【0035】
利用需要予測部17は、充電ステーション500における利用需要(ここでは充電需要)を予測する。利用需要予測部17は、充電ステーション500から所定距離以内(例えば数100m以内)に存在する電動車両のバッテリの残量を認識することにより、これから充電ステーション500で充電を行うと予想される電動車両の台数を推定する。そして、利用需要予測部17は、推定した電動車両の台数に基づいて、充電ステーション500における今後の利用需要を予測する。
【0036】
受付件数予測部18は、配達受付部14により、これから受付けられる充電ステーション500への配達依頼件数を予測する。受付件数予測部18は、飲食物の販売店400から充電ステーション500に内に駐車している電動車両への配達依頼の件数を、時間帯に応じて予測する。受付件数予測部18は、配達の対象物品が飲食物である場合に、例えば、昼食の時間帯(12:00〜13:00等)に、販売店400から充電ステーション500内に駐車している車両への飲食物の配達依頼の受付件数が増加すると予測する。
【0037】
第2配達リソース設定部19は、利用需要予測部17による充電ステーション500の今後の利用需要の予測結果、及び受付件数予測部18による充電ステーション500内の配達先への配達の今後の受付件数の予測結果に基づいて、配達中継所510に準備する必要がある第2配達のためのリソースの能力を設定する。リソースの能力は、例えば、第2配達員D2の人数、第2配達員D2の配達スキル(これまでの勤務実績等に基づいて認識される)である。また、第2配達に配達ロボットを使用する場合には、配達ロボットの台数や性能がリソースの能力となる。
【0038】
そして、第2配達リソース設定部19は、第2配達のためのリソースの能力を示す必要リソース能力情報を、第2配達管理装置511に送信する。第2配達管理装置511は、必要リソース能力情報を受信して、必要なリソース能力を確保することにより、今後のリソース能力の過不足が生じることを抑制する。
【0039】
[3.配達依頼がなされた場合の処理]
図6に示したフローチャートに従って、図1に示した状況で、利用者Uが、利用者端末90を操作して、充電ステーション500に駐車している配達先車両100への飲食物450の配達を依頼した場合に、配達手配システム1により実行される処理について説明する。配達手配システム1は、利用者端末90、飲食物の販売店400に備えられた第1配達管理装置401、及び充電ステーション500の配達中継所510に備えられた第2配達管理装置511との間で通信を行うことにより、配達先車両100への飲食物450の配達を手配する。
【0040】
図6のステップS1で、配達受付部14は、利用者端末90から、販売店400から配達先車両100への飲食物450の配達依頼を示す配達依頼情報MOiを受信したときに、ステップS2に処理を進める。ステップS2で、配達受付部14は、利用者DB32及び販売店DBを参照して、利用者U及び販売店400の情報を取得し、配達依頼の内容を受注情報として受注DB35に記録する。
【0041】
続くステップS3で、第1配達依頼部15は、配達中継所DB34を参照して、配達先車両100が駐車している充電ステーション500に、配達中継所が存在するか否かを判断する。図1の例では、配達中継所510が存在するので、第1配達依頼部15は、販売店400から充電ステーション500の配達中継所510までの第1配達を依頼する第1配達依頼情報D1iを生成する。そして、第1配達依頼部15は、第1配達依頼部15は、第1配達依頼情報D1iを第1配達管理装置401に送信する。
【0042】
第1配達管理装置401は、ステップS10で第1配達依頼情報Di1を受信したときに、第1配達依頼情報D1iによる依頼内容に基づいて、販売店400から配達中継所510まで飲食物450を配達する第1配達を指示する第1配達指示情報を、第1配達員端末420に送信する。第1配達員D1は、第1配達指示情報を確認して、配達車両410により第1配達を行う。この場合、第1配達員D1は、利用者Uにより依頼された飲食物450以外の配達中継所510までの配達品があるときには、これらをまとめて配達中継所510まで配達する。これにより、販売店400から配達中継所510までの配達の効率を向上させることができる。
【0043】
配達中継所510に到着した第1配達員D1は、飲食物450を含む配達品を配達中継所510の一時保管スペースに収納して、第1配達を完了する。そして、第1配達員D1は、第1配達員端末420を操作して、第1配達が完了したことを示す第1配達完了情報を、第1配達管理装置401に送信する。第1配達管理装置401は、第1配達完了情報を受信したときに、ステップS11で、第1配達が完了したことを配達手配システム1に通知する。
【0044】
配達手配システム1において、第2配達依頼部16は、ステップS4で第1配達管理装置401から第1配達の完了通知を受信したときに、ステップS5に処理を進める。ステップS5で、第2配達依頼部16は、受注DB35を参照して、配達中継所510から、充電ステーション500内の配達先車両100を含む各配達先までの第2配達を依頼する第2配達依頼情報D2iを生成する。そして、第2配達依頼部16は、第2配達依頼情報D2iを第2配達管理装置511に送信する。
【0045】
第2配達管理装置511は、ステップS20で第2配達依頼情報D2iを受信したときに、第2配達依頼情報D2iによる依頼内容に基づいて、配達中継所510から充電ステーション500内の各配達先までの第2配達を指示する第2配達指示情報を、第2配達員端末520に送信する。第2配達員D2は、第2配達指示情報を確認して、運搬カート530により第2配達を行う。この場合、第2配達員D2は、配達中継所510に配属され、充電ステーション500のレイアウトを熟知しているため、充電ステーション500内の第2配達を迅速に行うことができる。
【0046】
以上説明したように、配達手配システム1は、販売店400から充電ステーション500に駐車している配達先車両100までの飲食物450の配達を、販売店400から配達中継所510までの第1配達と、配達中継所510から配達先車両100までの第2配達とに分けて手配する。これにより、第1配達については、充電ステーション500内の移動に比べて、相対的に遠方の販売店400まで戻る必要がある第1配達員D1の拘束時間を減らすことができる。また、第2配達については、大規模な充電ステーション500等の大規模で複雑な施設であっても、施設のレイアウトを熟知した専任の第2配達員D2によって迅速に配達を行うことができる。その結果、販売店400から配達先車両100までの配達全体の効率を最適化することができる。
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、第2配達リソース設定部19を備えて、利用需要予測部17による利用需要の予測結果、及び受付件数予測部18による配達依頼の受付件数の予測結果に基づいて、第2配達を行うためのリソースの能力を設定したが、第2配達リソース設定部19を省略した構成としてもよい。また、利用需要予測部17と受付件数予測部18のいずれか一方のみを備えて、利用需要の予測結果又は配達依頼の受付件数の予測結果に基づいて、第2配達を行うためのリソースの能力を設定してもよい。
【0047】
上記実施形態では、配達先車両100として電動車両を示したが、ガソリン車両等の燃料を使用する車両が配達先車両である場合にも本発明の適用が可能である。また、配達先が指定される施設として充電ステーション500を示したが、ショッピングセンター、オフィスビル、レジャー施設等のある程度の広さを有して、内部に多数の配達先が指定され得る施設であれば、本発明の適用が可能である。また、配達先は車両に限られず、商業ビル内の所定エリアに所在するオフィスや、オフィスで勤務中の従業者、レジャー施設の訪問者等が配達先である場合にも、商業ビルやレジャー施設に配達中継所を設置することで、本発明を適用することができる。
【0048】
なお、図1は、本願発明の理解を容易にするために、配達手配システム1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、配達手配システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…配達手配システム、10…CPU、11…利用者登録部、12…販売店登録部、13…配達中継所登録部、14…配達受付部、15…第1配達依頼部、16…第2配達依頼部、17…利用需要予測部、18…受付件数予測部、19…第2配達リソース設定部、20…第2配達開始時刻調整部、30…メモリ、31…制御用プログラム、32…利用者DB、33…販売店DB、34…配達中継所DB、35…受注DB、40…通信部、90…利用者端末、100…配達先車両、110…ECU、111…バッテリ、112…ナビゲーション装置、400…販売店、401…第1配達管理装置、410…配達車両、420…第1配達員端末、450…飲食物、500…充電ステーション(施設)、510…配達中継所、511…第2配達管理装置、520…第2配達員端末、530…運搬カート、900…通信ネッワーク、U…利用者、D1…第1配達員、D2…第2配達員。
図1
図2
図3
図4
図5
図6