(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986545
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】カートリッジのラベル付けによりカートリッジ内容物の検査が可能になる薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20211213BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20211213BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
A61M5/20
A61M5/28
A61M5/31 520
A61M5/31 530
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-501582(P2019-501582)
(86)(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公表番号】特表2019-520927(P2019-520927A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2017065895
(87)【国際公開番号】WO2018010955
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2020年6月15日
(31)【優先権主張番号】16179240.3
(32)【優先日】2016年7月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ダスバッハ
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3150720(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3187729(JP,U)
【文献】
特開昭59−15066(JP,A)
【文献】
特開2007−190128(JP,A)
【文献】
特表2013−517816(JP,A)
【文献】
特開平5−337179(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0279103(US,A1)
【文献】
特表2002−541932(JP,A)
【文献】
特開2007−195711(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2654032(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0134073(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/043875(WO,A2)
【文献】
特開2002−95745(JP,A)
【文献】
特開2006−220695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/28
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(5)であって:
異なる送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤が事前充填された複数の薬剤容器(1、1’、1’’)のうちの1つを含み、少なくとも薬剤容器(1、1’、1’’)を含むように適用された領域において透明である、シェル(6)と、
該シェル(6)上に配置されるラベル(7)であって、第1の面と、シェル(6)に連結されるように適用された第2の面とを有するホイルを含み、少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域が、ホイル内に配置され、シェル(6)内に配置された薬剤容器(1、1’、1’’)が切抜き(8)または透明領域を通して見えるようにシェル(6)上に配置されるように適用され、切抜き(8)または透明領域は、ラベル(7)がシェル(6)に適用されたときに薬剤容器(1、1’、1’’)内の送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤の検査を可能にするように適用されたサイズを表す、ラベル(7)と
を含む、前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
ホイルは、薬物送達デバイス(5)の、送達可能体積(V1、V2、V3)以外の内部を隠すために、切抜き(8)または透明領域以外は不透明である、請求項1に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項3】
切抜き(8)または透明領域は、薬物送達デバイス(5)のシェル(6)に適用されるときの遠位方向(D)を示すように尖っている、請求項1または2に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項4】
少なくとも1つの矢印(10)は、薬物送達デバイス(5)のシェル(6)に適用されるときの遠位方向(D)を示すように、第1の面に印刷される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項5】
矢印(10)は、2つの切抜き(8)または透明領域間に印刷される、請求項4に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項6】
切抜き(8)または透明領域の近くのホイル上にライングリッド(11)および/またはスケールが印刷される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項7】
第2の面は、接着剤で被覆される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項8】
シェル(6)の外面は、接着剤で被覆される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項9】
シェル(6)全体は、透明である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項10】
薬物送達デバイス(5)は、自動注射器である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(5)。
【請求項11】
薬物送達デバイス(5)の組み立てキットであって:
異なる送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤が事前充填された複数の薬物容器(1、1’、1’’)のうちの1つを含むように適用され、少なくとも薬剤容器(1、1’、1’’)を含むように適用された領域において透明である、シェル(6)と、
該シェル(6)上に配置されるように適用され、第1の面と、シェル(6)に連結されるように適用された第2の面とを有するホイルをそれぞれ含む、複数のラベル(7)であって、少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域が、複数のラベル(7)の各ラベルのホイル内に配置され、少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域は、シェル(6)内に配置可能または配置された薬剤容器(1、1’、1’’)が切抜き(8)または透明領域を通して見えるようにシェル(6)上に配置されるように適用され、複数のラベル(7)は、複数の薬剤容器(1、1’、1’’)のうち異なる薬剤容器(1、1’、1’’)の送達可能体積(V1、V2、V3)の検査を可能にするように少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域のサイズがそれぞれ異なる、異なるラベル(7)を含む、複数のラベル(7)と
を含む、前記キット。
【請求項12】
薬物送達デバイス(5)の組み立て方法であって:
少なくとも、異なる送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤が事前充填された複数の薬剤容器(1、1’、1’’)のうちの1つを含むように適用された領域において透明である、シェル(6)をもたらすことと、
所定の送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤が事前充填された、シェル(6)に挿入予定の複数の薬剤容器(1、1’、1’’)の中からある薬剤容器(1、1’、1’’)を選択することと、
複数の薬剤容器(1、1’、1’’)のうち少なくとも1つの薬剤容器内の送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤の検査を可能にするように適用されたサイズを表す少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域をそれぞれ有する複数のラベル(7)の中からあるラベル(7)を選択することであって、ラベル(7)は、その少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域のサイズが選択された薬剤容器(1、1’、1’’)に対応するように選択される、ラベルを選択することと、
シェル(6)上に、少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域を通して選択された薬剤容器(1、1’、1’’)内の送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤の検査を可能にするラベル(7)を適用することと
を含む、前記方法。
【請求項13】
切抜き(8)または透明領域は、尖っており、ラベル(7)は、尖った切抜き(8)または透明領域が遠位方向(D)を示すように、シェル(6)に適用される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの矢印(10)は、第1の面上に印刷され、ラベル(7)は、矢印(10)が遠位方向(D)を示すように、シェル(6)に適用される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
薬物送達デバイス(5)のラベル(7)であって、第1の面と薬物送達デバイス(5)のシェル(6)に接着的に連結されるように適用された第2の面とを有するホイルを含み、少なくとも1つの切抜き(8)または透明領域が、ホイル内に配置され、シェル(6)内に配置された薬剤容器(1、1’、1’’)が切抜き(8)または透明領域を通して見えるようにシェル(6)上に配置されるように適用され、切抜き(8)または透明領域のサイズは、ラベル(7)がシェル(6)に適用されたときに薬剤容器(1、1’、1’’)内の送達可能体積(V1、V2、V3)の薬剤の検査を可能にするように選択される、前記ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、薬物送達デバイスのラベル、そうしたラベルを有する薬物送達デバイス、薬物送達デバイスの組み立てキット、および薬物送達デバイスの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動注射器のような薬物送達デバイスは、一般的に、たとえば薬物送達デバイスの外側シェルに設けられた窓を通して、薬物の送達可能体積を視覚的に検査することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、薬物送達デバイスのシェル内の、異なる送達可能体積を有する薬剤容器の目視検査を可能にする解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1による薬物送達デバイス、請求項10による薬物送達デバイスの組み立てキット、請求項11による薬物送達デバイスの組み立て方法、および請求項14によるラベルによって達成される。
【0005】
例示的な実施形態は、従属請求項において提供される。
【0006】
本開示によれば、薬物送達デバイスは:
− 異なる送達可能体積の薬剤が事前充填された複数の薬剤容器のうちの1つを含むように適用され、少なくとも薬剤容器を含むように適用された領域において透明である、シェルと、
− シェル上に配置されるように適用されたラベルであって、第1の面と、シェルに連結されるように適用された第2の面とを有するホイルを含み、少なくとも1つの切抜きまたは透明領域が、ホイル内に配置され、シェル内に配置可能または配置された薬剤容器が切抜きまたは透明領域を通して見えるようにシェル上に配置されるように適用され、切抜きまたは透明領域は、ラベルがシェルに適用されたときに薬剤容器内の送達可能体積の薬剤、たとえば全送達可能体積またはその一部の検査を可能にするように適用されたサイズを表す(exhibit)、ラベルと
を含む。
【0007】
そのサイズ、たとえば長さおよび/または幅が薬剤容器の送達可能体積に対応する切抜きまたは透明領域のラベルを選択することによって、異なる成形工具が必要となる異なる送達可能体積の薬剤容器のためにシェルを適用させる必要なしに、または異なる窓のサイズのシェルを選択することなしに、薬物送達デバイスの同じシェル内に異なる送達可能体積の薬剤容器を適用することが可能になる。代わりにラベルを適用することは、より安価な解決策を提供する。
【0008】
薬剤容器は、たとえば、固定注射針付のシリンジ、または着脱可能注射針に連結されるように適用された端部を有するカートリッジであってよい。
【0009】
シェルは、実質的に管状の部材であってよい。
【0010】
例示的な一実施形態において、ラベルは、切抜きまたは透明領域のサイズが、たとえば0.3ml、0.5mlおよび1.0mlである、それぞれの薬剤容器内の複数の異なる送達可能体積の薬剤のうちの1つに対応するように、選択される。体積が小さいほど、ラベルの切抜きまたは透明領域をより小さく作ることができる。
【0011】
例示的な一実施形態において、ホイルは、薬物送達デバイスの、送達可能体積以外の内部を隠すために、切抜きまたは透明領域以外は不透明である。したがって、薬物送達デバイスの外側のデザインは、送達可能体積を保持する薬剤容器の部分を除いたシェルの内部を視界から隠しつつ、たとえば、ラベルの不透明部を着色するおよび/またはその上にさらなる関連情報を印刷することによって、様々な製品に適用させることができる。
【0012】
例示的な一実施形態において、切抜きまたは透明領域は、薬物送達デバイスのシェルに適用されるときの遠位方向を示すように尖っている。本開示の文脈における遠位方向とは、薬剤の送達中に、たとえば患者の皮膚である、注射部位に最も近くなることが意図される薬物送達デバイスの端部の方向である。切抜きまたは透明領域を尖った外観にすることによって、使用者は、薬物送達デバイスのどちらの端部を注射部位に対して配置しなければならないかを簡単に識別することができるようになる。
【0013】
例示的な一実施形態において、少なくとも1つの矢印は、薬物送達デバイスのシェルに適用されるときの遠位方向を示すように、第1の面に印刷される。矢印によって、使用者は、薬物送達デバイスのどちらの端部を注射部位に対して配置しなければならないかを簡単に識別することができるようになる。例示的な一実施形態において、矢印は、2つの切抜きまたは透明領域間に印刷される。
【0014】
例示的な一実施形態において、切抜きまたは透明領域の近くのホイル上にライングリッドおよび/またはスケールが印刷される。それによって、使用者は、たとえば、ライングリッドまたはスケールに対する薬剤容器内のストッパの位置を観察することによって、薬物送達の進捗を判断することができるようになる。
【0015】
例示的な一実施形態において、第2の面は、接着剤で被覆される。
【0016】
例示的な一実施形態において、シェルの外面は、接着剤で被覆される。それによって、非接着性のラベルの適用が可能になる。
【0017】
シェルは、薬剤容器、具体的には最も大きな送達可能体積の薬剤容器を含むように適用された領域内だけが透明であればよい。他の例示的な実施形態において、シェル全体が透明であってよい。
【0018】
本開示の一態様によれば、薬物送達デバイスの組み立てキットであって:
− 異なる送達可能体積の薬剤が事前充填された複数の薬物容器のうちの1つを含むように適用され、少なくとも薬剤容器を含むように適用された領域において透明である、シェルと、
− シェル上に配置されるように適用され、第1の面と、シェルに連結されるように適用された第2の面とを有するホイルをそれぞれ含む、複数のラベルであって、少なくとも1つの切抜きまたは透明領域が、複数のラベルの各ラベルのホイル内に配置され、少なくとも1つの切抜きまたは透明領域は、シェル内に配置可能または配置された薬剤容器が切抜きまたは透明領域を通して見えるようにシェル上に配置されるように適用され、複数のラベルは、複数の薬剤容器のうち異なる薬剤容器の送達可能体積の検査を可能にするように、少なくとも1つの切抜きまたは透明領域のサイズがそれぞれ異なる、異なるラベルを含む、複数のラベルと
を含む、キットが提供される。
【0019】
そのサイズ、たとえば長さおよび/または幅が薬剤容器の送達可能体積に対応する切抜きまたは透明領域のラベルを選択することによって、シェルを適用させる必要なしに、薬物送達デバイスの同じシェル内に異なる送達可能体積の薬剤容器を適用することが可能になる。代わりにラベルを適用することは、より安価な解決策を提供する。
【0020】
本開示の他の態様によれば、薬物送達デバイスの組み立て方法は:
− 少なくとも、異なる送達可能体積の薬剤が事前充填された複数の薬剤容器のうちの1つを含むように適用された領域において透明である、シェルをもたらすことと、
− シェルに挿入予定の、所定の送達可能体積の薬剤が事前充填された複数の薬剤容器の中からある薬剤容器を選択することと、
− 複数の薬剤容器のうち少なくとも1つの薬剤容器内の送達可能体積の薬剤の検査を可能にするように適用されたサイズを表す少なくとも1つの切抜きまたは透明領域をそれぞれ有する複数のラベルの中からあるラベルを選択することであって、ラベルは、その少なくとも1つの切抜きまたは透明領域のサイズが選択された薬剤容器に対応するように選択される、ラベルを選択することと、
− シェルの上に、少なくとも1つの切抜きまたは透明領域を通して選択された薬剤容器内の送達可能体積の薬剤の検査を可能にするラベルを適用することと
を含む。
【0021】
例示的な一実施形態において、切抜きまたは透明領域は、尖っており、ラベルは、尖った切抜きまたは透明領域が遠位方向を示すように、シェルに適用される。
【0022】
例示的な一実施形態において、少なくとも1つの矢印は、第1の面上に印刷され、ラベルは、矢印が遠位方向を示すように、シェルに適用される。
【0023】
そのサイズ、たとえば長さおよび/または幅が薬剤容器の送達可能体積に対応する切抜きまたは透明領域のラベルを選択することによって、シェルを適用させる必要なしに、薬物送達デバイスの同じシェル内に異なる送達可能体積の薬剤容器を適用することが可能になる。代わりにラベルを適用することは、より安価な解決策を提供する。シェルは、薬剤容器、具体的には最も大きな送達可能体積の薬剤容器を含むように適用された領域内だけが透明であればよい。他の例示的な実施形態において、シェル全体が透明であってよい。
【0024】
本開示のさらに他の態様によれば、薬物送達デバイスのラベルであって、第1の面と、薬物送達デバイスのシェルに接着的に連結されるように適用された第2の面とを有するホイルを含み、少なくとも1つの切抜きまたは透明領域が、ホイル内に配置され、シェル内に配置された薬剤容器が切抜きまたは透明領域を通して見えるようにシェル上に配置されるように適用され、切抜きまたは透明領域のサイズは、ラベルがシェルに適用されたときに薬剤容器内の送達可能体積の薬剤の検査を可能にするように選択される、ラベルが提供される。
【0025】
本開示の適用性のさらなる範囲は、本明細書の以下に示される詳細な説明から明らかになろう。しかし、当業者にはこの詳細な説明から本開示の趣旨および範囲内で様々な変更および改変が明らかであるので、詳細な説明および具体的な例は、本開示の例示的な実施形態を示すが、例示としてのみ示されると理解されたい。
【0026】
本開示は、例示としてのみ与えられしたがって本開示を制限するものではない本明細書の以下に示される詳細な説明および添付の図面からより十分に理解できるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1の送達可能体積の薬剤を保持するように適用された薬剤容器の概略図である。
【
図2】第2の送達可能体積の薬剤を保持するように適用された薬剤容器の概略図である。
【
図3】第3の送達可能体積の薬剤を保持するように適用された薬剤容器の概略図である。
【
図4】シェルと、シェル内に配置されている
図1の薬剤容器内の第1の送達可能体積の薬剤の目視検査を可能にする切抜きを含むラベルとを含む、薬物送達デバイスの概略図である。
【
図5】シェルと、シェル内に配置されている
図2の薬剤容器内の第2の送達可能体積の薬剤の目視検査を可能にする切抜きを含むラベルとを含む、薬物送達デバイスの概略図である。
【
図6】シェルと、シェル内に配置されている
図3の薬剤容器内の第3の送達可能体積の薬剤の目視検査を可能にする切抜きを含むラベルとを含む、薬物送達デバイスの概略図である。
【
図7】シェルと、シェル内に配置されている
図3の薬剤容器内の第3の送達可能体積の薬剤の目視検査を可能にする切抜きを含むラベルとを含み、切抜きが遠位方向を示すように尖っている、薬物送達デバイスの概略図である。
【
図8】追加の矢印が遠位方向を示すようにラベル上に印刷されている、
図4に示されるラベルの概略図である。
【
図9】追加のライングリッドがラベル上に印刷されている、
図5に示されるラベルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
すべての図面において、対応する部材には同じ参照符号が印付けられている。
【0029】
図1は、第1の送達可能体積V1の薬剤を保持するように適用された薬剤容器1の概略図である。薬剤容器1は、第1の送達可能体積V1の薬剤を受け入れるための実質的に円筒形のキャビティを画成するバレル2を含むことができる。バレル2の遠位端は、閉じられており、注射針3は、注射針3を通した薬剤の注射を可能にするように遠位端に配置される。図示されない他の実施形態では、バレル2の遠位端は、固定注射針3を有さないが、着脱可能注射針が解放可能に取り付けられるように適用され得る。ストッパ4は、バレル2内に配置され、それを近位方向に封止する。ストッパ4は、遠位方向Dに動かされるとき、薬剤を変位させることができる。バレル2の内径とストッパ4の初期位置は、第1の送達可能体積V1を画成する。例示的な一実施形態において、第1の送達可能体積は、0.3mlとすることができる。
【0030】
図2は、第2の送達可能体積V2の薬剤を保持するように適用された薬剤容器1’の概略図である。薬剤容器1’は、
図1の薬剤容器1と同一であってよい。しかし、ストッパ4の初期位置は、
図1におけるよりも近位にあり、したがって第2の送達可能体積V2は、第1の送達可能体積V1よりも大きい。例示的な一実施形態において、第2の送達可能体積は、0.5mlとすることができる。
【0031】
図3は、第3の送達可能体積V3の薬剤を保持するように適用された薬剤容器1’’の概略図である。薬剤容器1’’は、
図1および
図2の薬剤容器1、1’’と同一であってよい。しかし、ストッパ4の初期位置は、
図2におけるよりも近位にあり、したがって、第3の送達可能体積V3は、第2の送達可能体積V2よりも大きい。例示的な一実施形態において、第3の送達可能体積は、1.0mlとすることができる。
【0032】
当業者には、他の送達可能体積の薬剤容器1、1’、1’’をもたらすこともできることが容易に理解されよう。
【0033】
図4は、薬物送達デバイス5の概略図である。薬物送達デバイス5は、シェル6と、シェル6内に配置される
図1の薬剤容器1内の第1の送達可能体積V1の薬剤の目視検査を可能にする切抜き8または透明領域を含むラベル7とを含む。
【0034】
シェル6は、異なる送達可能体積V1、V2、V3の薬剤が事前充填された複数の薬剤容器1、1’、1’’のうちの1つを含むように適用され得る。シェル6は、少なくとも薬剤容器1、1’、1’’を含むように適用された領域において、透明である。
【0035】
ラベル7は、第1の面と、シェル6に接着的に連結されるように適用された第2の面とを有するホイルを含む。少なくとも1つの切抜き8または透明領域は、シェル6上に配置されるように適用されたホイル内に、シェル6内に配置される第1の送達可能体積V1の薬剤容器1が切抜き8または透明領域を通して見えるように配置される。切抜き8または透明領域のサイズは、ラベル7が薬物送達デバイス5のシェル6に適用されたとき、薬剤容器1内の第1の送達可能体積V1の薬剤の検査が可能なように、選択される。
【0036】
ラベル7は、第1の送達可能体積V1に応じて選択され、薬剤容器1内の第1の送達可能体積V1の薬剤の検査を可能にするようにシェル6に接着的に配置される。
【0037】
これは、シェル6を適用させる必要なしに、薬物送達デバイス5の同じシェル6内に異なる送達可能体積V1、V2、V3の薬剤容器1、1’、1’’を適用することを可能にする。代わりにラベル7を適用させることは、より安価な解決策を提供する。シェル6は、薬剤容器1、1’、1’’を含むように適用された領域内だけが透明であればよい。具体的には、この透明領域は、最も大きな送達可能体積V3の薬剤容器1’’の検査を可能にするのに十分なほど大きい。他の例示的な実施形態において、シェル6全体が透明であってもよい。
【0038】
例示的な一実施形態において、ラベル7またはホイルは、切抜き8または透明領域以外は不透明である。したがって、薬物送達デバイス5の外側のデザインは、第1の送達可能体積V1を保持する薬剤容器1の部分を除いたシェル6の内部を視界から隠しつつ、たとえば、ラベル7の不透明部を着色するおよび/または第1の面にさらなる関連情報を印刷することによって、様々な製品に適用させることができる。
【0039】
例示的な一実施形態において、ラベル7またはホイルの第2の面は、ラベル7をシェル6に糊付けすることを可能にするために、接着剤で被覆される。
【0040】
他の例示的な実施形態において、シェル6の外面は、接着剤で被覆される。それによって非接着性のラベル7をシェルに適用することが可能になる。
【0041】
図5は、シェル6と、シェル6内に配置される
図2の薬剤容器1’内の第2の送達可能体積V2の薬剤の目視検査を可能にする切抜き8を含むラベル7とを含む、薬物送達デバイス5の概略図である。
【0042】
薬物送達デバイス5は、
図4の薬物送達デバイス5と同一とすることができる。具体的には、同じシェル6を使用することができる。違いは、より大きな第2の送達可能体積V2の検査を可能にするためにより大きな切抜き8または透明領域を有するラベル7だけである。
【0043】
図6は、シェル6と、シェル6内に配置される
図3の薬剤容器1’’内の第3の送達可能体積V3の薬剤の目視検査を可能にする切抜き8を含むラベル7とを含む、薬物送達デバイス5の概略図である。
【0044】
薬物送達デバイス5は、
図4および
図5の薬物送達デバイス5と同一とすることができる。具体的には、同じシェル6を使用することができる。違いは、より大きな第3の送達可能体積V3の検査を可能にするためにさらにより大きな切抜き8または透明領域を有するラベル7だけである。
【0045】
図7は、シェル6と、シェル6内に配置される
図3の薬剤容器1’’内の第3の送達可能体積V3の薬剤の目視検査を可能にする切抜き8を含むラベル7とを含む、薬物送達デバイス5の概略図である。
【0046】
薬物送達デバイス5は、
図4〜
図6の薬物送達デバイス5と同一とすることができる。具体的には、同じシェル6を使用することができる。違いは、
図6のような第3の送達可能体積V3の検査を可能にするように寸法設定されそれに加えて遠位方向Dを示す尖端9を有する切抜き8または透明領域を有する、ラベル7だけである。
【0047】
図8は、ラベル7の第1の面上に、遠位方向Dを示す追加の矢印10が印刷されている、
図4に示されるラベル7の概略図である。図示の実施形態では、ラベル7は、ラベル7がシェル6の周りに巻き付けられると、2つの側(two sides)から第1の送達可能体積V1を検査することができように、2つの切抜き8を含む。図示の実施形態において、矢印10は、2つの切抜き8または透明領域間に印刷される。当業者には、矢印10は、ラベル7の異なる部分に印刷することもできることが理解されよう。
【0048】
図9は、追加のライングリッド11が切抜き8または透明領域の近くのラベル7上に印刷されている、
図5に示されるラベル7の概略図である。
【0049】
図10は、
図6に示されるラベルの概略図である。
【0050】
図11は、
図7に示されるラベルの概略図である。
【0051】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0052】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0053】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0054】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0055】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0056】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0057】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン−4(Exendin−4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC−2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034、MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド(Exenatide)−XTENおよびグルカゴン−Xtenである。
【0058】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0059】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0060】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0061】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG−F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0062】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)
2フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0063】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本開示に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0064】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0065】
例示的な抗体は、アンチPCSK−9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL−6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL−4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0066】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0067】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1〜C6−アルキル基、場合により置換されたC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10−アリル基、または場合により置換されたC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0068】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0069】
本明細書に記載の物質、配合、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または削除)は、本開示の全範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができ、本発明は、そのような修正、および本発明のあらゆる均等物もすべて包含することが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0070】
1 薬剤容器
1’ 薬剤容器
1’’ 薬剤容器
2 バレル
3 注射針
4 ストッパ
5 薬物送達デバイス
6 シェル
7 ラベル
8 切抜き
9 尖端
10 矢印
11 ライングリッド
D 遠位方向
V1 第1の送達可能体積
V2 第2の送達可能体積
V3 第3の送達可能体積