【発明の効果】
【0007】
断路装置は、電流を遮断するように機能する。つまり、断路装置によって、例えば直流電流又は交流電流である電流が切り替えられる。有利には、断路装置は、直流電流を遮断することに適していると共にそのように提供されている。断路装置によって交流電流が切り替えられる場合、これは、例えば500Hz、800Hz、又は、900Hzよりも大きい周波数を有する。有利には、この周波数は、1kHz、1.5kHz、2kHz、5kHz、又は、10kHz以上である。具体的には、この周波数は、10MHz、5MHz、又は、1MHz以下である。具体的には、断路装置は、100A、300A、500A、又は、800A以上である定格電流を受けることに適しており、そのように提供及び構成されていることが好ましい。有利には、断路装置により切り替え可能な定格電流の最大電流強度は、2kA、3kA、又は、5kAである。例えば、断路装置は、1kAの定格電流用に提供及び構成されており、ここで、例えば+/−10%、+/−5%、又は、+/−2%の偏差が設けられる。好適には、断路装置は、特に比較的短時間、10kA、12kA、17kA、20kA、22kA、25kA、又は、30kAまでの短絡電流を受けることに適しており、そのように提供及び構成されている。有利には、最大受容可能な短絡電流は、15kA〜20kAである。受容可能な電流とは、具体的には、破損を引き起こすことなく、断路装置を介して導かれることが可能な電流であると理解される。
【0008】
例えば、断路装置は、100V、200V、300V、400V、又は、500V以上の電圧を分離すること、又は、切り替えることに適しており、そのように提供及び構成されている。例えば、切り替えられる最大電圧は、特に電流が交流電流である場合、1,100V、1,000V、900V、又は、800Vである。電流が直流電流である場合、切り替えられる最大電圧は、2,000V、1,800V、1,500V、1,200V、又は、1,000V以下であることが適している。
【0009】
例えば、断路装置は、エレクトロモビリティの分野で使用される。換言すると、断路装置によって、車両すなわち自動車の車載システム、具体的には車載高電圧システムが切り替えられる。あるいは、飛行機の車載システムが、断路装置によって切り替えられる。さらなる利用例は、太陽光発電設備の分野である。有利には、断路装置によって、太陽光発電モジュールをコンバータから電気的に分離させることが可能である。その別の例として、断路装置によって、コンバータの中間回路を切り替える。ここでコンバータは、例えば太陽光発電設備の一構成部品である。あるいは、コンバータは、産業設備の一構成部品である。有利には、断路装置によって、産業設備のロボットの電流給電が制御される。具体的には、断路装置によって、多数のロボットが電気的に接触する中間回路が切り替えられる。あるいは、断路装置は、産業設備のさらなる分野や自動化の他の分野でも使用される。有利には、断路装置は誘導負荷の切り替えに使用される。
【0010】
断路装置は、閉状態において断路装置を介して導かれた電流を受けるスイッチを有している。この場合、電流がスイッチの両端子の間を流れることが好ましい。開状態では、この両端子の間に電圧が印加される。この電気スイッチは、例えば、有利には電気的に駆動される機械式スイッチである。この機械式スイッチは、好適にはリレーであり、特に可動接点を有している。閉状態では、可動接点は、例えば同じく可動接点又は固定接点であるさらなる接点に、具体的には機械式に当接する。スイッチを切り替えるために、これらの接点は、機械的に離間して配置されている。あるいは、スイッチは半導体スイッチであり、具体的には電界効果トランジスタ(FET)である。例えば半導体スイッチは、MOSFET又はIGBTである。
【0011】
このスイッチには、電圧制限装置が並列接続されている。電圧制限装置は、スイッチの各端子にそれぞれ割り当てられた2つの端子を有していることが好ましい。電圧制限装置は、互いに並列接続された多数の素線を有しており、各素線は、有利には、スイッチに並列接続されている。各素線は抵抗器を有しており、素線のうちの少なくとも1つは、当該素線の抵抗器に直列接続されたスイッチング素子を含む。換言すると、当該素線は、抵抗器及びスイッチング素子を有しており、スイッチング素子及び抵抗器は直列接続されている。この直列接続体は、スイッチに並列接続されている。素線の抵抗器は、有利にはオーム抵抗器であり、少なくとも1mオーム、5mオーム、10mオーム、50mオーム、100mオーム、500mオーム、1オーム、2オーム、5オーム、10オーム、20オーム、50オーム、100オーム、200オーム、500オーム、1kオーム、2kオーム、5kオーム、又は、10kオームの抵抗を有していることが好ましい。好ましくは、抵抗は1kオーム、500オーム、又は、100オーム以下である。電圧制限装置は、2つの素線、3つの素線、又は、5つの素線を含むことが好ましい。素線の数は、具体的には2、3、又は、4以上である。例えば素線の数は、20又は10以下である。
【0012】
スイッチング素子によって、当該スイッチング素子を有する素線を流れる電流を阻止し、これによって、電圧制限装置の電気抵抗を設定可能である。その結果、スイッチを介して生じる電圧を、電圧制限装置によって設定することが可能になり、これによって安全性が高められる。また、断路装置は様々な要件に利用可能である。
【0013】
有利には、スイッチング素子は、スイッチを介して生じる電圧に応じて、及び/又は、スイッチのスイッチング要件に応じて動作される。好適には、スイッチが非導電状態にされると、スイッチング素子は導電状態になる。スイッチング素子は、スイッチが動作する前の期間に導電状態になることが好都合である。その結果、電流が、スイッチだけでなく電圧制限装置の各素線を介しても流れる。素線の抵抗器により、電圧制限装置を介して流れる電流は比較的低く、少なくともスイッチを介して流れる電流と比較しても低い。なぜならスイッチは、比較的低いオーム抵抗を有しているからである。スイッチが動作されると、電流は完全に電圧制限装置に向かって整流される。
【0014】
断路装置によって誘導負荷を切り替える場合、電流は維持され、抵抗器により断路装置に電圧が印加される。素線が並列接続されているため、この電圧は比較的低い。スイッチング素子によって、当該スイッチング素子を有する素線を分離することが可能になり、このため、電流は完全に電圧制限装置の1つまたは複数の他の素線に向かって整流するので、電圧制限装置の抵抗は上昇する。
【0015】
つまり、スイッチング素子によって、電圧制限装置の電気抵抗を調節可能であるので、スイッチの動作時に断路装置を介して生じる電圧を調節可能である。この場合、素線の数や各抵抗器の選択により、断路装置の拡張可能性が提供されるので、これを、様々な電圧及び/又は電流に適合させることが可能になる。従って、断路装置の利用範囲は拡大する。素線によって、スイッチを介して生じる電圧が制限される。この場合、スイッチが機械式スイッチであるならば、電圧は電気アークの生成が阻止されるように制限されることが好ましい。スイッチが半導体スイッチであるならば、印加されると半導体スイッチの破壊を導きうるアバランシェ電圧の生成が阻止される。このため安全性が向上する。また、断路装置を、比較的少ない数の安価な電気部品により実現可能であるので、製造コストが低減される。
【0016】
スイッチング素子は、具体的には半導体スイッチング素子であり、例えば、電界効果トランジスタといったトランジスタ、具体的にはMOSFETである。例えば、スイッチング素子は、電界効果トランジスタ、接合型電界効果トランジスタ(JFET)、又は、MOSFETである。電圧が素線に分割されるので、スイッチング素子には、スイッチよりも低い電圧が印加され、このため比較的安価なスイッチング素子を使用可能である。断路装置のスイッチが閉じられている場合、断路装置は導電状態にある。ここで、スイッチング素子が閉状態にあるならば、スイッチング素子により導かれる電流は、素線の抵抗器によって比較的小さくなるので、スイッチング素子を半導体スイッチング素子として選択した場合に生じる電力損は、比較的低い。
【0017】
電流を電圧制限装置に向かって整流させる際に、スイッチを開位置にして断路装置を非導電状態に移行させると、電流は、素線の抵抗によりさらに低減されるので、この場合でも、電力損は比較的低くなる。つまり比較的低い電力損しか生じない。そして、半導体スイッチング素子を選択したことにより、電気アークの生成が阻止され、このため安全性が向上する。
【0018】
各素線が、このようなスイッチング素子を有していることが有利である。ここで、素線のスイッチング素子は、例えば同一の構造を有している。選択的又は追加的に、スイッチング素子は、各素線の抵抗器に適合されている。つまり、各素線は、互いに直列接続された抵抗器及びスイッチング素子を有している。従って、スイッチング素子により、断路装置の拡張可能性が増大し、その結果、断路装置の電気抵抗及び従ってスイッチに印加される電圧を、スイッチング素子により設定可能になる。具体的には、素線は同一の構造を有している。換言すると、全ての抵抗器は同じオーム抵抗を有していると共に、全てのスイッチング素子は同じ種類である。最低限でも、素線は同一の配線形状を有している。換言すると、各素線は同様に、電気及び/又は電子部品を含むが各仕様は異なっていてよい。ここで電気及び/又は電子部品は同様に、互いに接続されている。好適には、素線は、異なるオーム抵抗を有する抵抗器を備える。断路装置が多数の素線を有している場合、オーム抵抗の値は、それぞれ、所定定数倍だけ高くなっていることが好ましい。倍数は、具体的には整数倍であり、例えば、2または3である。
最も小さい抵抗が20オームのオーム抵抗器を有しているとすれば、素線はそれぞれ、20オーム、40オーム、80オーム、・・・のオーム抵抗器、又は、20オーム、60オーム、180オーム、・・・のオーム抵抗器を有していることが好ましい。このように、スイッチを介して生じる電圧を比較的正確に設定することが可能である。また、同一部品を使用することによって製造コストの低減が可能である。
【0019】
電圧制限装置は、好ましくは1つのシフトレジスタを有している。シフトレジスタは、第1の出力部及び第2の出力部を有している。第2の出力部は、第1の出力部に好ましくは直接隣接して配置されている。シフトレジスタの動作時には、まず第1の出力部が駆動され、その後第2の出力部が駆動されることが好ましい。第2の出力部は、まさしく第1の出力部の駆動が終了した時に駆動されることが好ましい。したがって、シフトレジスタが駆動される時には、第1の出力部の駆動が終了し、第2の出力部の駆動が始まる。
【0020】
各スイッチング素子は、当該スイッチング素子の開閉位置に影響を与え得る制御入力部を有していることが好ましい。換言すると、制御入力部の制御により、スイッチング素子の開閉状態は影響を受け、その結果、導電状態又は非導電状態になる。有利には、スイッチング素子は、制御入力部に信号が印加されると、すなわちこれが駆動されると、導電状態になる。1つのスイッチング素子の制御入力部が、シフトレジスタの第1の出力部に、具体的には直接的に通じている。換言すると、このスイッチング素子の制御入力部は、シフトレジスタの第1の出力部に、電気的に直接又は信号技術的に直接接触している。このスイッチング素子の制御入力部はさらに、OR論理スイッチの第1の入力部に繋がっている。
【0021】
このOR論理スイッチの第2の入力部は、シフトレジスタの第2の出力部に、具体的には直接的に通じている。OR論理スイッチは、他のスイッチング素子の制御入力部に通じる出力部をさらに有している。OR論理スイッチの入力部のうちの一方にあるレベルが印加されると、OR論理スイッチの出力部にもあるレベルが印加されることが好ましい。したがって、その両方の入力部のうちの一方にアクティブな信号が印加されると、OR論理スイッチはアクティブになる。第1の入力部にも第2の入力部にもアクティブな信号(レベル)が印加されていない時のみ、OR論理スイッチの出力部もアクティブにならない。OR論理スイッチは具体的にはORゲートである。したがって、シフトレジスタにより、第1の出力部に信号が印加されると、第1の出力部と結合されているスイッチング素子はアクティブになる。また、OR論理スイッチの第1の入力部に信号が印加されるので、当該他のスイッチング素子もアクティブになる。したがって、電圧制限装置の少なくとも2つのスイッチング素子が切り替えられ、これによって、電圧制限装置の素線のうちの少なくとも2つが導通する。その結果スイッチを介して生じる電圧は比較的低くなる。
【0022】
シフトレジスタによって、出力信号が第1の出力部から第2の出力部に送信されると、制御入力部が第1の出力部に接触しているスイッチング素子は、非導電状態に移行する。反対に、当該他のスイッチング素子は導電状態で維持される。その結果、電圧制限装置の電気抵抗は上昇する。シフトレジスタは、さらに他の出力部、例えば、第3、第4、第5、・・・の出力部を有していることが好ましい。具体的には、出力部の数は素線の数と同じである。ここで、各スイッチング素子の制御入力部は、それぞれ1つのOR論理スイッチの出力部に通じており、OR論理スイッチの一方の入力部は、他のスイッチング素子の制御入力部に繋がり、その第2の入力部はシフトレジスタの1つの出力部に通じている。
【0023】
すなわち、具体的には、第3の素線に割り当てられた第3のスイッチング素子の制御入力部は、第2のOR論理スイッチの出力部に通じ、その第1の入力部は、他のスイッチング素子の制御入力部に通じ、その第2の入力部はシフトレジスタの第3の出力部に通じている。従って、シフトレジスタの第1の出力部が駆動されると、全てのスイッチング素子が導電状態になる。ここで、シフトレジスタの第2の出力部が駆動されると、第1の出力部と接触しているスイッチング素子以外の残りの全てのスイッチング素子が駆動されるので、電圧制限装置の導通した素線の数は、ちょうど1つだけ低減される。シフトレジスタの第3の出力部が駆動されると、電圧制限装置の素線のうちの2つの素線は非導電状態になる。このようにして、シフトレジスタの駆動により、電圧制限装置の電気抵抗を連続的かつ段階的に上昇させることが可能になる。
【0024】
シフトレジスタの第1の出力部は、具体的にはチャネル1に対応し、第2の出力部は、具体的にはチャネル2に対応する。シフトレジスタの開始出力部が空いた状態で設けられていることが特に好ましい。開始出力部は、具体的にはチャネル0に対応し、第1の出力部の前段に設けられている。具体的には、第1の出力部は、開始出力部と第2の出力部との間に設けられている。シフトレジスタの駆動時には、開始出力部が駆動される。シフトレジスタが信号を受信して初めて、開始出力部の駆動が終了し、第1の出力部の駆動が始まる。
【0025】
開始出力部は塞がっておらず、いかなる電気又は電子部品もここには接続されていない。従って、開始出力部は電気的に開放されており、いかなる部品又は電子部品もこの開始出力部とは電気的に接触していない。従って、通常状態において、スイッチング素子は非導電状態であり、電圧制限装置の電気抵抗は比較的大きい。そのため、シフトレジスタの誤動作又は電圧レジスタの他の構成部品の誤動作の際には、スイッチを介して生じる電圧が比較的大きい場合であっても、意図しない電流が電圧制限装置を介して流れることは実質的に回避される。
【0026】
有利には、シフトレジスタはリセット入力部を含む。リセット入力部の駆動により、シフトレジスタは所定の状態にもたらされる。具体的には、リセット入力部に信号が印加されると、シフトレジスタの開始出力部はアクティブになる。有利には、シフトレジスタの最終出力部がリセット入力部に通じている。シフトレジスタの最終出力部とは、具体的には、1つのOR論理スイッチに通じたシフトレジスタの出力部に直接隣接するシフトレジスタの出力部を指す。従って、OR論理スイッチの第1の入力部又は第2の入力部だけが塞がっている場合、すなわち、2つのスイッチング素子だけがシフトレジスタによって駆動される場合、最終出力部は、第3の出力部に対応する。そして、駆動されるスイッチング素子の数が連続的に低減されると、シフトレジスタの最終出力部は駆動され、その結果シフトレジスタは、新たに元の状態に移行する。ここで、有利にも、シフトレジスタの開始出力部が空いた状態にあるため、開始出力部は、時間的に最終出力部のすぐ後に駆動される。したがって、最終出力部が駆動されると、いずれのスイッチング素子も駆動されず、いずれの素線も導通しない。最終出力部とリセット入力部との間に、ダイオードが接続されていることが好都合である。こうすることによりシフトレジスタの破損が回避される。つまり、最終出力部は、シフトレジスタの最後の塞がったチャネルである。
【0027】
選択的又は特に好ましくは追加的に、シフトレジスタのリセット入力部に、電圧供給源が、例えばキャパシタを介して通じている。電圧供給源自体が、例えばキャパシタである。特に好ましくは、キャパシタは、スイッチが開いた時にスイッチを介して生成された電圧が電圧供給源を給電するように、スイッチに接続されている。ここでスイッチは、具体的には機械式スイッチであり、場合によっては生じ得る電気アーク電圧は、電圧供給源を給電するように機能する。電圧供給源がアクティブにされると、シフトレジスタは所定の状態に移行し、動作の準備が整う。
【0028】
特に好ましくは、シフトレジスタは、時間入力部を含む。シフトレジスタの時間入力部が駆動されると、シフトレジスタの出力部が連続的に駆動される。ここで、時間入力部に信号が印加されるたびに、出力部は、そのたびに切り替えられるように駆動される。有利には、シフトレジスタの時間入力部は、スイッチの制御入力部に動作可能に接続されている。具体的には、スイッチの制御入力部に信号が印加されていない時にもシフトレジスタの出力部の駆動が可能であるように、動作可能に接続されている。好ましくは、スイッチの制御入力部に信号が印加されると、スイッチは導電状態になる。従ってシフトレジスタは、スイッチが開かれた時にアクティブになる。このようにして、意図しないシフトレジスタの起動は実質的に阻止され、これによって安全性が向上する。
【0029】
電圧制限装置は、タイマーを含むことが好ましい。このタイマーは、シフトレジスタの時間入力部に動作可能に接続されている。したがって、タイマーによって、シフトレジスタは駆動される。ここで、タイマーによって、具体的には一定周期を有する所定のクロック信号が提供されることが好ましい。例えば、タイマーは、シフトレジスタの時間入力部に直接接続されている。好適には、スイッチの制御入力部は、論理スイッチの第1の入力部に通じ、タイマーの時間出力部は、論理スイッチの第2の入力部に通じている。タイマーの時間出力部には、定期的に駆動信号が提供されることが好ましい。この論理スイッチの出力部は、具体的には、シフトレジスタの時間入力部に通じている。論理スイッチの第1の入力部、及び/又は、論理スイッチの第2の入力部にあるレベルが印加されると、論理スイッチの出力部はあるレベルを有することが好ましく、ここでレベルとは、具体的にはゼロ(0)とは異なる信号を指す。換言すると、第1及び/又は第2の入力部に駆動信号が印加されると、論理スイッチの出力部には出力信号が印加される。好ましくは、スイッチの制御入力部は、タイマーに動作可能に接続されている。ここで、スイッチの制御入力部に信号が印加されている限り、測定、すなわちクロック信号の出力は停止されることが好ましい。具体的には、スイッチの制御入力部は、タイマーのリセット端子に接続されている。タイマーのリセット端子に信号が印加されている限り、これは、具体的には接地状態及び/又は開始状態で維持される。従って、断路装置のスイッチが開いている時にのみ、シフトレジスタは測定を継続する。
【0030】
例えば、この論理スイッチは、2つのNORゲートにより形成されているか、又は、これらを含み、スイッチの制御入力部及びタイマーの時間出力部は、一方のNORゲートの両入力部に通じている。このNORゲートの出力部は、他方のNORゲートの両入力部に分岐している。他方のNORゲートの出力部は、シフトレジスタの時間入力部に繋がっている。
【0031】
例えば、タイマーはNE555である。好適には、「OUT」が時間出力部であり、例えば論理スイッチに通じている、又は、シフトレジスタの時間入力部に直接通じている。具体的には、「OUT」は、ダイオードを介して「TRIG」(トリガ端子)に通じている。「TRIG」は、抵抗分配器を介してスイッチの一端子に通じている。抵抗分配器は、動作時には、好ましくはゼロ(0)とは異なる電位を有している。例えば、「GND」(GND端子)は、スイッチの残りのスイッチ接点に通じている。例えば、「RESET」(リセット端子)は、スイッチの制御入力部に、例えば1つのNORゲートを介して動作可能に接続されている。NE555は、単安定フリップフロップとして実現されていることが好都合である。
【0032】
好ましくは、スイッチング素子に、さらなる抵抗器と容量との直列接続体が並列接続されている。電圧制限装置がこのようなスイッチング素子を多数備えているならば、具体的にはスイッチング素子のうちの少なくとも1つに、このさらなる抵抗器と容量との直列接続体が並列接続されている。ここで、好ましくはスイッチング素子のうちの1つにのみ、このさらなる抵抗器と容量との直列接続体が並列接続されており、電圧制限装置は、1つだけのさらなる抵抗器と1つだけの容量とを有しているだけである。あるいは、多数のスイッチング素子のそれぞれに、さらなる抵抗器と容量との直列接続体が1つずつ並列接続されており、例えば全てのスイッチング素子に、これが接続されている場合、さらなる抵抗器の数及び容量の数は、スイッチング素子の数に対応する。電圧制限装置が、このようなスイッチング素子を多数有しており、これらの制御入力部がそれぞれ1つのOR論理スイッチを介して任意のシフトレジスタの出力部に通じているならば、この直列接続体は、最終出力部に隣接したシフトレジスタの出力部に通じるスイッチング素子に並列接続されていることが好ましい。容量はキャパシタであることが好ましい。スイッチング素子が非導電状態にある場合、これらの素線の抵抗器、さらなる抵抗器、及び、容量によって、場合によってはさらなる電流を受けるRC回路が形成される。したがって、電気抵抗が比較的大きい時にも、常に電圧制限装置を介して電流が流れることが可能である。さらなる抵抗器が比較的大きいことが好都合であり、これによって、比較的大きな誘導器が断路装置を介して接続されている場合でも、電流がゼロ(0)に対して導かれるようになる。電圧制限装置の素線によって、流れる電流は比較的小さくなるので、容量の寸法を比較的小さくすることが可能であり、これによって製造コストを節約することができる。容量にさらなる抵抗器が並列接続されていることが好適である。このさらなる抵抗器によって、容量が常に放電されることが確保される。
【0033】
電圧制限装置がアナログ技術に基づいていることが有利である。換言すると、電圧制限装置はアナログ技術で製造されている。したがって電圧制限装置がOR論理スイッチ、タイマー、論理スイッチ、及び/又は、シフトレジスタを有しているならば、これらは具体的にはアナログ技術に基づくものであり、アナログ技術で製造されていることになる。このようにして堅牢性が向上する。また、製造コストが低減される。
【0034】
断路装置は、回路遮断器において利用されることが特に好ましい。具体的には、断路装置は、誘導負荷を切り替えるため、例えばこれを送電網から分離するために使用される。例えば、断路装置を動作させるために、例えば電圧供給源であるエネルギー源が使用される。エネルギー源によって、具体的には、シフトレジスタ、タイマー、及び/又は、スイッチング素子に電源供給される。
【0035】
回路遮断器は、具体的には例えば電気的かつ信号技術的に互いに結合されたセンサ及び断路装置を含む。断路装置は、スイッチと、当該スイッチに並列接続された電圧制限装置とを有する。電圧制限装置は、互いに並列接続された多数の素線を含み、各素線は、1つの抵抗器を有しており、素線のうちの少なくとも1つは、当該素線の抵抗器に直列接続されたスイッチング素子を含む。センサは、例えば電圧又は電流センサである。換言すると、センサは、電流又は電圧を測定するように設定され、特にそのように提供及び構成されている。具体的には、動作時に、センサによって、断路装置が受ける電流又は印加された電圧、又は、グランド、具体的にはアースといった参照電位に対する電位差を検知する。有利には、断路装置は、センサの測定値に応じて動作される。特に、断路装置は、電流又は電圧が閾値以上になると動作する。例えば、回路遮断器は、マイクロプロセッサといった制御装置を含む。制御装置によって、センサの測定値が評価され、及び/又は、スイッチが駆動される。
【0036】
回路遮断器は、例えば、太陽光発電設備又は太陽光発電モジュールを介して電気的に接触されており、例えば、太陽光発電設備又は太陽光発電所の一構成部品である。一例では、回路遮断器は、車両の車載システムの一構成部品であり、例えば、100ボルト、200ボルト、300ボルト、又は、400ボルトよりも高く、例えば1,000ボルト又は900ボルトよりも低い電圧を有する車載高電圧システムの一構成部品である。車両は例えば飛行機であり、車載システムは、例えば、飛行機のアクチュエータに電力を供給する機能を有している。一例では、車両は自動車であり、具体的には電気自動車又はハイブリッド自動車である。ここで具体的には、回路遮断器は、車載システムの一構成部品であり、自動車の主モータの電流給電部として機能する。あるいは、回路遮断器は、産業設備の一構成部品であり、好ましくは、例えばコンバータ中間回路を介して給電されるロボットの安全を確保するように機能する。
【0037】
回路遮断器は、具体的には、10アンペア、100アンペア、200アンペア、300アンペア、500アンペア、又は、600アンペア以上の電流を切り替えるように提供される。有利には、回路遮断器で切り替え可能な最大電流強度は、900アンペア、1,000アンペア、1,500アンペア、又は、2,000アンペアである。例えば、回路遮断器で切り替え可能な電圧は、10ボルト、50ボルト、100ボルト、又は、200ボルトよりも大きい。具体的には、切り替え可能な電圧は、500ボルト、600ボルト、700ボルト、又は、1,000ボルトよりも小さい。
【0038】
自動車又は飛行機のような車両の車載システムの安全を確保するために、センサ及び断路装置を備える回路遮断器が用いられる。センサ及び断路装置は、具体的には、例えば電気的及び/又は信号技術的に互いに結合されている。断路装置は、スイッチと、当該スイッチに並列接続された電圧制限装置とを備え、電圧制限装置は、互いに並列接続された多数の素線を含む。各素線は、1つの抵抗器を備え、素線のうちの少なくとも1つは、当該素線の抵抗器に直列接続されたスイッチング素子を含む。センサは、例えば電圧又は電流センサである。
【0039】
車載システムは、特に好ましくは車載高電圧システムであり、当該システムを介して、10アンペア、20アンペア、50アンペア、100アンペア、又は、200アンペアよりも大きい電流強度の電流が導かれる。具体的には、車載高電圧システムによって許容される最大電流強度は、2,000アンペア、1,800アンペア、又は、1,500アンペアよりも小さい。具体的には、車載高電圧システムの電圧は、100ボルト、200ボルト、300ボルト、又は、350ボルトよりも大きい。有利には、車載高電圧システムの電圧は、1,000ボルト,800ボルト、又は、600ボルトよりも小さい。
【0040】
あるいは、回路遮断器は、産業設備の給電回路、例えば中間回路の安全を確保するために使用される。具体的には、コンバータがこの回路遮断器を含む。好適には、回路遮断器は、産業用途において、例えばロボットの安全を確保するために使用される。給電回路は、例えば、500V〜1000V、具体的には800Vの電圧を有する。
【0041】
本方法は、具体的には回路遮断器の電流遮断用の断路装置を動作させるためのものである。断路装置は、スイッチと当該スイッチに並列接続された電圧制限装置とを備え、電圧制限装置は、互いに並列接続された多数の素線を有しており、各素線は抵抗器を有し、素線のうちの少なくとも1つは、当該素線の抵抗器に直列接続されたスイッチング素子を含む。本方法は、スイッチが開かれた後に、スイッチング素子が所定期間閉じられるようになっている。ここで、スイッチング素子は、スイッチが開かれる前の例えば第2の期間に、既に導電状態に移行されている。スイッチング素子は、スイッチが閉じられると、閉状態にされることが好適である。この別の例として、スイッチング素子は、スイッチが開かれると同時に閉状態にされる。当該期間が経過すると、スイッチング素子は開かれる。
【0042】
したがって、スイッチが開かれる時には、断路装置を介して流れる電流は完全に電圧制限装置、すなわち素線に向かって整流される。抵抗器が並列接続されているため、電気抵抗は低減される。当該期間が経過すると、スイッチング素子は開かれ、これによって、電圧制限装置の電気抵抗は上昇する。電圧制限装置が、スイッチング素子を備える多数の素線を有している場合、本方法は、スイッチング素子、例えば全てのスイッチング素子のうちの少なくとも1つが、スイッチが開かれた後の所定期間閉じられるようになっている。好適には、スイッチング素子は、時間的に連続して開かれ、ここで、全てのスイッチング素子は、有利にはスイッチが開かれると、まず閉じられる。期間は、各スイッチング素子の駆動の間に電圧制限装置の電気抵抗が上昇するように設けられていることが好適である。
【0043】
断路装置によって誘導負荷が切り替えられる場合、スイッチを介して生じる電圧が制限される。当該期間が経過すると、流れる電流は、電圧制限装置の電気抵抗により低減される。ここで、スイッチング素子が動作すると、電気抵抗、したがって電圧が新たに上昇する。これによって、電流はさらに大幅に低減されることになる。従って、電気抵抗の上昇によって、電流は連続的に遮断され、印加される最大電圧は低減される。したがって、比較的安価なスイッチを使用可能である。つまり、機械式スイッチの場合、電気アークが停止される。半導体技術に基づくスイッチは、比較的小さい絶縁耐力が必要とされる。スイッチング素子に、容量及びさらなる抵抗器が並列接続されている場合、スイッチング素子の動作後、これらの直列接続体によって、場合によっては残留している電流が取り込まれ、ゼロになる。