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特許6986565光学活性ピロリジン化合物及びその製造方法
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  • 特許6986565-光学活性ピロリジン化合物及びその製造方法 図000052
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986565
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】光学活性ピロリジン化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20211213BHJP
   A61K 31/454 20060101ALN20211213BHJP
   C07D 207/16 20060101ALN20211213BHJP
   C07D 263/26 20060101ALN20211213BHJP
   C07D 413/06 20060101ALN20211213BHJP
   C07C 309/05 20060101ALN20211213BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   !A61K31/454
   !C07D207/16
   !C07D263/26
   !C07D413/06
   !C07C309/05
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-545673(P2019-545673)
(86)(22)【出願日】2018年9月28日
(86)【国際出願番号】JP2018036225
(87)【国際公開番号】WO2019065954
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2021年8月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-190331(P2017-190331)
(32)【優先日】2017年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002956
【氏名又は名称】田辺三菱製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】鶴本 穣治
(72)【発明者】
【氏名】諸熊 賢治
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−105765(JP,A)
【文献】 米国特許第05618949(US,A)
【文献】 国際公開第2015/182723(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/090743(WO,A1)
【文献】 Organic Letters,2013年,15,4250−4253
【文献】 Tetrahedron: Asymmetry,1997年,8,883−887
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/14
A61K 31/454
C07D 207/16
C07D 263/26
C07D 413/06
C07C 309/05
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
で表される、メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸。
【請求項2】
反応式:
【化2】
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルであるアミノ基の保護基を表し、Rは、1〜3個の炭素数1〜6のアルキルで置換されているシリル又はシアノを表し、そしてRは、炭素数1〜6のアルコキシを表す。)
で示される化合物(1)の製造方法であって、該製造方法は下記工程:
(a)化合物(2−a)と、化合物(3)とを反応させて、化合物(4−a)又はその塩を得る工程、
(b)化合物(4−a)又はその塩を加水分解して、化合物(5−a)又はその塩を得る工程、
(c)化合物(5−a)又はその塩におけるアミノ基の保護基Rを除去し、その後化合物(6)を反応させて、化合物(7−a)又はその塩を得る工程、
(d)化合物(7−a)又はその塩と、化合物(8)又はその塩とを縮合させて、化合物(1’)又はその塩を得る工程、及び
(e)化合物(1’)、又は化合物(1’)の塩を脱塩して得た化合物(1’)と、化合物(9)とを反応させて、化合物(1)を得る工程、
を含む、該製造方法。
【請求項3】
式(3)で表される化合物が、がベンジルであり、Rがトリメチルシリルであり、Rがメトキシである、式(3)で表される化合物である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
(4−a)で表される化合物又はその塩が、Rがベンジルである、式(4−a)で表される化合物又はその塩である請求項2に記載の製造方法
【請求項5】
式(5−a)で表される化合物又はその塩が、Rがベンジルである、式(5−a)で表される化合物又はその塩である請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸またはその塩を加水分解し、必要に応じて造塩処理に付す工程を含む、
式(11):
【化3】
で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を得る製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性に優れた、メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸(以下、「本発明化合物」と称することがある。)、その製造方法及びその製造中間体、並びにこの化合物を用いた製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メラノコルチン受容体作動活性を有し、メラノコルチン受容体の活性化が関与する各種疾患又は症状の予防・治療に有用な化合物及びその製造方法が示されており、また実施例19には、下式(11)で表される化合物の二塩酸塩が示されている。
【化1】
しかしながら、上記本発明化合物を含めた本願に記載される化合物及びそれらの製造方法について具体的な開示はない。
【0003】
また、特許文献2〜9及び非特許文献1〜3には、4−フェニル−2−オキサゾリジノンを不斉補助基に用いた、スチレン誘導体と第三級アミンとの環化反応による光学活性ピロリジン誘導体を得る製造方法が記載されている。しかしながら、本願に記載するスチレン誘導体と第三級アミンとを用いた環化反応については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2015/182723
【特許文献2】WO2001/047879
【特許文献3】WO2001/047905
【特許文献4】WO2001/047914
【特許文献5】WO2012/118850
【特許文献6】WO2014/078372
【特許文献7】WO2014/078378
【特許文献8】WO2014/078323
【特許文献9】WO2016/021629
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tetrahedron: Asymmetry 1997, Vol. 8, No.6, 883-887
【非特許文献2】Tetrahedron: Asymmetry 1999, Vol. 10, 2605-2616
【非特許文献3】Organic Letters 2006, Vol. 8, No.7, 1495-1498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医薬品原薬の製造においては、総工程の終盤に近づくにつれて中間体等の厳密な品質管理が要求されるため、常に一定品質の化合物を得る必要がある。中間体を結晶として取得出来れば、晶析や再結晶等の操作性が容易な処理操作により単離精製することが可能となるため、品質管理の面で好ましい。また、正確な秤量が可能となる点でも結晶性に優れる化合物は利点を有する。
本発明の課題は、結晶性に優れた、メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラートの塩、及び立体選択性に優れたその化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の項[1]〜[11]に関するものであるが、これらに限定されるものではない。
項[1] 式(1):
【化2】
で表される、メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸。
項[1−2] 回折角度(2θ±0.2°)として、少なくとも8.298、14.198、16.776、17.102、20.972、22.658、24.959の回折ピークを有する、項[1]に記載の化合物の結晶。
項[2] 反応式:
【化3】
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルであるアミノ基の保護基を表し、Rは、1〜3個の炭素数1〜6のアルキルで置換されているシリル又はシアノを表し、そしてRは、炭素数1〜6のアルコキシを表す。)
で示される化合物(1)の製造方法であって、該製造方法は下記工程:
(a)化合物(2−a)と、化合物(3)とを反応させて、化合物(4−a)又はその塩を得る工程、
(b)化合物(4−a)又はその塩を加水分解して、化合物(5−a)又はその塩を得る工程、
(c)化合物(5−a)又はその塩におけるアミノ基の保護基Rを除去し、その後化合物(6)を反応させて、化合物(7−a)又はその塩を得る工程、
(d)化合物(7−a)又はその塩と、化合物(8)又はその塩とを縮合させて、化合物(1’)又はその塩を得る工程、及び
(e)化合物(1’)、又は化合物(1’)の塩を脱塩して得た化合物(1’)と、化合物(9)とを反応させて、化合物(1)を得る工程、
を含む、該製造方法。
項[3] Rがベンジルであり、Rがトリメチルシリルであり、Rがメトキシである、項[2]に記載の製造方法。
項[4] 式(4):
【化4】
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルを表す。)
で表される化合物又はその塩。
項[5] 式(4−a):
【化5】
(式中、項[4]に記載の定義と同義である。)
で表される化合物又はその塩。
項[6] 式(5):
【化6】
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルを表す。)
で表される化合物又はその塩。
項[7] 式(5−a):
【化7】
(式中、項[6]に記載の定義と同義である。)
で表される化合物又はその塩。
項[8] 式(2):
【化8】
で表される化合物又はその塩。
項[9] 式(2−a):
【化9】
で表される化合物又はその塩。
項[10] 式(1’):
【化10】
で表される化合物又はその塩。
項[11] メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸またはその塩を加水分解し、必要に応じて造塩処理に付す工程を含む、
式(11):
【化11】
で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を得る製造方法。
項[11]において、メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸は、項[2]又は[3]に記載の製造方法により得られたものを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、結晶性に優れた、メチル 1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸を提供することができる。さらに、立体選択性に優れたこの化合物の製造方法及びその製造中間体、並びにこの化合物を用いた、メラノコルチン受容体の活性化が関与する各種疾患又は症状の予防・治療に有用な化合物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例7において得た、1−{2−[(3S,4R)−1−[(3R,4R)−1−シクロペンチル−3−フルオロ−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボニル]−4−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}ピペリジン−4−カルボキシラート 1/2 エタン−1,2−ジスルホン酸の粉末X線回折パターンを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における各文言の定義は、特に明記しない限り、自由に組み合わせることができる。
【0011】
本明細書中における「炭素数1〜6のアルキル」とは、炭素数1〜6(C1〜6)の直鎖又は分岐鎖状の飽和炭化水素基をいう。中でも炭素数1〜4(C1〜4)の基が好ましい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、2−メチル−n−ブチル、i−アミル(すなわち、3−メチル−n−ブチル)、2−メチル−n−ペンチルなどが挙げられ、好ましい具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルが挙げられる。
【0012】
本明細書中における「炭素数1〜6のアルコキシ」とは、前記の炭素数1〜6のアルキルが酸素原子と結合した1価基をいい、炭素数1〜6(C1〜6)の直鎖又は分岐鎖状のアルキル−O−が挙げられる。中でも炭素数1〜4(C1〜4)のアルキル−O−基が好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチル−n−ブトキシ、i−アミルオキシ(すなわち、3−メチル−n−ブトキシ)、2−メチル−n−ペントキシなどが挙げられ、好ましい具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシが挙げられる。
【0013】
本明細書中における「アリール」とは、6〜10員の、単環式芳香族炭化水素基又は縮合二環式芳香族炭化水素基をいう。単環式芳香族炭化水素基の具体例としてはフェニルが挙げられ、縮合二環式芳香族炭化水素基の具体例としてはナフチル等が挙げられる。
【0014】
本明細書中における「造塩処理」とは、対応する酸により化合物の塩(薬理学的に許容される塩を含む)を形成する処理をいう。対応する酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸又は臭化水素酸などの無機酸、および、酢酸、シュウ酸、マロン酸、2−メチルマロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、又はトシル酸などの有機酸等が挙げられる。
【0015】
本明細書中における「(化合物の)塩」とは、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は臭化水素酸塩などの無機酸塩、および、酢酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、2−メチルマロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、ジベンゾイル酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、又はトシル酸塩などの有機酸塩等が挙げられる。
【0016】
本明細書における「薬理学的に許容される塩」としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は臭化水素酸塩などの無機酸塩、および、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩又はマレイン酸塩などの有機酸塩等が挙げられる。
【0017】
(実施態様)
本発明において、好ましい態様は以下の通りである。
【0018】
、R及びRとしては、酸存在下安定であるアミノ基の保護基であればよく、具体的には炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルが挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいベンジル又は1−フェネチルであり、より好ましくはメチル、エチル、ベンジル、p−メトキシベンジル又は1−フェネチルであり、とりわけ好ましくはベンジルである。
【0019】
、R及びRにおける「炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル」の「炭素数1〜6のアルキル」としては、好ましくはメチル、エチルであり、より好ましくはメチルである。
【0020】
、R及びRにおける「炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル」の「アリール」としては、好ましくはフェニルである。
【0021】
、R及びRにおける「炭素数1〜6のアルコキシで置換されていてもよいアリールで置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル」の「炭素数1〜6のアルコキシ」としては、好ましくはメトキシである。
【0022】
としては、1〜3個の炭素数1〜6のアルキルで置換されているシリル又はシアノが挙げられ、好ましくはトリアルキルシリル又はシアノであり、より好ましくはトリメチルシリル又はシアノであり、とりわけ好ましくはトリメチルシリルである。
【0023】
としては、炭素数1〜6のアルコキシが挙げられ、好ましくはメトキシである。
【0024】
本発明の一態様として、以下の製造工程(A)〜(F)から選択される少なくとも一つ以上の工程を含む製造方法が含まれる。
【0025】
(A)式(2−a)で表される化合物と、式(3)で表される化合物を反応させて、式(4−a)で表される化合物(またはその塩)を製造する工程
【化12】
(式中、R、R及びRは前述と同義である。)
【0026】
式(2−a)で表される化合物と、式(3)で表される化合物との反応は、適当な溶媒中、適当な触媒存在下に実施することができる。
【0027】
触媒は、プロトンを提供する物質であればよく、例えば酸(例えば、無機酸または有機酸)が挙げられ、好ましくはトリフルオロ酢酸及びトリクロロ酢酸が挙げられ、より好ましくはトリフルオロ酢酸が挙げられる。又はフッ化物イオンを提供する物質であればよく、例えばテトラブチルアンモニウムフルオライドなどが挙げられる。
【0028】
溶媒は、反応を妨げないものであればよいが、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパンなどのエーテル類、クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド又はそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0029】
本反応の反応温度は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、冷却下〜加熱下、好ましくは0℃〜40℃であり、より好ましくは25℃である。
本反応の反応時間は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、30分〜2時間であり、好ましくは1時間である。
また、式(3)で表される化合物の混合量は、式(2)で表される化合物の1モル当量に対して、通常、1モル当量〜3モル当量であり、好ましくは1.8モル当量である。
触媒は、化合物(2)に対する混合比は、通常、0.01モル当量〜1モル当量であり、好ましくは0.1モル当量である。
本反応は、不活性ガス存在下、例えば窒素ガスやアルゴンガスの存在下で行ってもよい。
【0030】
式(2−a)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応は、副生成物として下記式(4−b)と呼称する)で表される化合物が得られることがある。式(4−a)で表される化合物と式(4−b)で表される化合物は互いにジアステレオマーの関係にある。
【化13】
(式中、Rは前述と同義である。)
【0031】
式(4−a)で表される化合物と式(4−b)で表される化合物を分離する方法として、例えば晶析、再結晶、クロマトグラフィー法等が挙げられ、これらの2つ以上を組み合わせてもよい。
【0032】
晶析の具体的な方法として、例えば式(4−a)で表される化合物と式(4−b)で表される化合物の混合物を、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパンなどのエーテル類、クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、又はクロロホルム、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類中に溶解し、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノールなどのアルコール類又はアセトンなどのケトン類を添加する方法が挙げられる。好ましくは、式(4−a)で表される化合物と式(4−b)で表される化合物の混合物を1、2−ジメトキシエタンに溶解し、メタノールを添加する方法が挙げられる。
【0033】
(B)式(4−a)で表される化合物(またはその塩)から、式(5−a)で表される化合物(またはその塩)を製造する工程
【化14】
(式中、Rは前述と同義である。)
【0034】
式(4−a)で表される化合物から式(5−a)で表される化合物を得る反応は、副生成物として下記式(5−b)で表される化合物が得られることがある。式(5−a)で表される化合物と式(5−b)で表される化合物は互いにエナンチオマーの関係にある。
【化15】
(式中、Rは前述と同義である。)
【0035】
式(5−a)で表される化合物と式(5−b)で表される化合物を分離する方法として、例えば晶析、再結晶、クロマトグラフィー法等による光学分割が挙げられ、これらの2つ以上を組み合わせてもよい。
【0036】
式(5−a)で表される化合物(またはその塩)は、式(4−a)で表される化合物(またはその塩)を適当な溶媒中、加水分解することにより得られる。
【0037】
溶媒としては、反応を妨げないものであればよいが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,1−ジメトキシメタン、メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、又はそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0038】
加水分解としては、好ましくは塩基存在下の加水分解が挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。
【0039】
本反応の反応温度は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、冷却下〜加熱下、好ましくは0〜30℃、より好ましくは0℃である。
本反応の反応時間は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、1時間〜6時間、好ましくは3時間である。
また、塩基の添加量は、式(4−a)で示される化合物の1モル当量に対して、1モル当量〜2モル当量であり、好ましくは1.2モル当量である。
本反応は、不活性ガス存在下、例えば窒素ガスやアルゴンガスの存在下で行ってもよい。
【0040】
(C)式(5−a)で表される化合物(またはその塩)と、式(6)で表される化合物とを反応させて、式(7−a)で表される化合物を製造する工程
【化16】
(式中、Rは前述と同義である。)
【0041】
式(7−a)で表される化合物は、式(5−a)で表される化合物と式(6)で表される化合物とを適当な溶媒中、適当な還元剤存在下で反応させることで得ることができる。
【0042】
式(5−a)で表される化合物と式(6)で表される化合物との反応は、副生成物として下記式(7−b)で表される化合物が得られることがある。式(7−a)で表される化合物と式(7−b)で表される化合物は互いにエナンチオマーの関係にある。
【化17】
【0043】
式(7−a)で表される化合物と式(7−b)で表される化合物を分離する方法として、例えば晶析、再結晶、クロマトグラフィー法等による光学分割が挙げられ、これらの2つ以上を組み合わせてもよい。
【0044】
還元剤としては、例えばニッケル、パラジウム、ロジウム、白金、ルテニウムなどから選択される遷移金属、および水素ガスなどの水素源の組合せが挙げられる。遷移金属は、金属単体、または担体(例えば、炭素(活性炭など)、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル)に担持されたものも含む。遷移金属としては、好ましくはパラジウムが挙げられる。担体としては、好ましくは炭素が挙げられる。
【0045】
溶媒としては、反応を妨げないものであればよいが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノールなどのアルコール類、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類、又はそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0046】
本反応の反応温度は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、冷却下〜加熱下、好ましくは40℃〜60℃であり、より好ましくは50℃である。
本反応の反応時間は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、3時間〜24時間、好ましくは20時間である。
また、還元剤の添加量は、式(5−a)で示される化合物の1モル当量に対して、0.01モル当量〜0.1モル当量であり、好ましくは0.016モル当量である。
また、式(6)で表される化合物の混合量は、式(5−a)で表される化合物の1モル当量に対して、通常、1〜5モル当量であり、好ましくは2.6モル当量である。
【0047】
(D)式(7−a)で表される化合物(またはその塩)と、式(8)で表される化合物(またはその塩)とを反応させて、式(1’)で表される化合物(またはその塩)を製造する工程
【化18】
【0048】
式(1’)で表される化合物は、式(7−a)で表される化合物と、および式(8)で表される化合物とを適当な溶媒中、適当な塩基と適当な縮合剤の存在下で縮合反応させることにより得られる。
【0049】
塩基としては、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンの如きアミン類が挙げられ、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンであり、より好ましくはジイソプロピルエチルアミンである。
縮合剤としては、例えばプロピルホスホン酸無水物などのアルキルホスホン酸無水物類、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などのカルボジイミド類、および1,1'−カルボニルジイミダゾールなどのカルボジイミダゾール類が挙げられ、好ましくはプロピルホスホン酸無水物である。
【0050】
溶媒としては、反応を妨げないものであればよいが、例えばトルエンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、t−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチルなどのエステル類、アセトニトリル、又はそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0051】
本反応の反応温度は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、冷却下〜加熱下、好ましくは0℃〜30℃であり、より好ましくは10℃である。
本反応の反応時間は、用いる試薬または反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、3時間〜24時間、好ましくは13時間である。
また、塩基の添加量は、式(7−a)で示される化合物の1モル当量に対して、2モル当量〜5モル当量であり、好ましくは3.5モル当量である。
また、縮合剤の添加量は、式(7−a)で示される化合物の1モル当量に対して、1モル当量〜2モル当量であり、好ましくは1.5モル当量である。
更に、式(8)で表される化合物の混合量は、式(7−a)で表される化合物の1モル当量に対して、通常、1モル当量〜1.2モル当量でありであり、好ましくは1.05モル当量である。
【0052】
(E)式(1’)で表される化合物(またはその塩)と、式(9)で表される化合物とを反応させて、式(1)で表される化合物を製造する工程
【化19】
【0053】
式(1)で表される化合物は、式(1’)で表される化合物を式(9)で表される化合物を用いて、適当な条件下、反応することにより得ることができる。
【0054】
式(1)で表される化合物はアルコール中で晶析させることにより、結晶で得ることができる。アルコールとしては、好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類が挙げられ、より好ましくはエタノール、イソプロパノールが挙げられ、とりわけ好ましくはイソプロパノールが挙げられる。
【0055】
本反応の反応温度は、反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、好ましくは50℃〜85℃、より好ましくは75℃である。
本反応の反応時間は反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、1時間〜5時間であり、好ましくは1時間である。
化合物(1’)に対する化合物(9)の添加量は、通常、0.5モル当量〜0.6モル当量であり、好ましくは0.5モル当量である。
【0056】
(F)式(1)で表される化合物から式(11)で表される化合物を製造する工程
式(11):
【化20】
【0057】
式(11)で表される化合物は、式(1)で表される化合物の塩を必要に応じて脱塩処理した後、適当な溶媒中、加水分解することで得ることができる。
【0058】
溶媒としては、反応を妨げないものであればよいが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,1−ジメトキシメタンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、又はそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0059】
加水分解としては、好ましくは塩基存在下の加水分解が挙げられる。
塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基を用いて行うことができる。
【0060】
本反応の反応温度は、反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常、冷却下〜加熱下、好ましくは10℃〜45℃であり、より好ましくは40℃である。
本反応の反応時間は、反応条件(例えば、用いる溶媒)により異なるが、通常3時間〜8時間、好ましくは4又は5時間であり、より好ましくは5時間である。
また、塩基の添加量は、式(1)で示される化合物の1モル当量に対して、1モル当量〜2モル当量であり、好ましくは1.1モル当量又は1.5モル当量であり、より好ましくは1.1モル当量である。
【実施例】
【0061】
以下、実施例、製造例及び実験例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
本明細書中、「Me」はメチルを、「Et」はエチルを、「Ph」はフェニルを、「Bn」はベンジルを、「TMS」はトリメチルシリルを意味する。
【0062】
実施例1
【化21】
化合物(13)(65.0 kg)のテトラヒドロフラン(108.0 kg)溶液に、室温にて撹拌しながらジアザビシクロウンデセン(40.8 kg)及びテトラヒドロフラン(13.4 kg)を加えた。10℃にて化合物(12)(30.4 kg)及びテトラヒドロフラン(13.4 kg)を加えた後、反応混合物を室温にて21時間撹拌した。室温にてエタノール(119.8 kg)及び7.4%水酸化ナトリウム水溶液(358.2 kg)を加えて、混合物を2時間撹拌した。室温にて水(137.7 kg)、35%塩酸(69.0 kg)、水(15.2 kg)を順に加え、混合物を室温にて30分間、0℃にて1時間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶をエタノール(24.0 kg)と水(60.9 kg)の混合液で洗浄し、さらに水(151.9 kg)で洗浄した。結晶を60℃以下で乾燥して、化合物(14)(28.6 kg)(収率65%)を得た。MS (ESI) : m/z 195.1 [M-H]-
【0063】
実施例2
【化22】
化合物(14)(28.4 kg)の1,2-ジメトキシエタン(124.4 kg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1.06 kg)の混合溶液に55℃にて、塩化チオニル(20.8 kg)及び1,2-ジメトキシエタン(24.7 kg)を加え、反応混合物を2時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、塩化リチウム(6.76 kg)、化合物(15)(23.6 kg)及び1,2-ジメトキシエタン(24.8 kg)を順に加え、混合物を55℃に昇温した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(46.8 kg)及び1,2-ジメトキシエタン(24.7 kg)を加え、混合物を55℃にて4時間、室温にて9時間撹拌した。室温でメタノール(22.4 kg)と水(114.2 kg)の混合液を加え、混合物を室温にて30分間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶を水(28.4 kg)と1,2-ジメトキシエタン(49.4 kg)の混合液で洗浄した。結晶を60℃以下で乾燥して、化合物(2−a)(42.2 kg)(収率85%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) 7.65-7.67 (m, 2H), 7.45-7.47 (m, 2H), 7.39-7.42 (m, 2H), 7.33-7.36 (m, 1H), 7.03-7.06 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 5.59 (t, 1H), 4.85 (t, 1H), 4.24 (t, 1H), 3.81 (s, 3H)、MS (ESI) : m/z 342.0 [M+H]+
【0064】
実施例3
【化23】
化合物(2−a)(42.1 kg)のテトラヒドロフラン(243.1 kg)溶液に、室温にてトリフルオロ酢酸(1.41 kg)、化合物(16)(52.7 kg)及びテトラヒドロフラン(19.0 kg)を順に加え、反応混合物を2時間撹拌した。室温にてメタノール(466.6 kg)を加え、混合物を0℃にて30分間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶を0℃のテトラヒドロフラン(26.1 kg)とメタノール(43.5 kg)の混合液及び0℃のメタノール(66.5 kg)でさらに洗浄した。結晶を50℃以下で乾燥して、化合物(17−a)の粗体を得た。得られた粗体と1,2-ジメトキシエタン(164.9 kg)の混合物を80℃で30分間撹拌し、35℃まで冷却した後に、メタノール(150.0 kg)を加え、混合物を30分間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶を1,2-ジメトキシエタン(36.6 kg)とメタノール(33.3 kg)の混合液で洗浄した。結晶を50℃以下で乾燥して、化合物(17−a)(33.4 kg)(収率57%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) 7.29-7.42 (m, 7H), 7.23-7.29 (m, 3H), 7.17 (d, 2H), 6.82-6.85 (m, 2H), 5.42 (dd, 1H), 4.75 (dd, 1H), 4.20 (dd, 1H), 4.12 (ddd, 1H), 3.73 (s, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.61 (dd, 1H), 3.19 (dd, 1H), 3.06 (dd, 1H), 2.83 (dd, 1H)、MS (ESI) : m/z 475.5 [M+H]+
【0065】
実施例4
【化24】
化合物(17−a)(33.3 kg)のテトラヒドロフラン(148.0 kg)溶液を5℃に冷却し、水酸化リチウム1水和物(3.53 kg)の水(33.3 kg)溶液及び水(16.7 kg)を加え、反応混合物を5℃で3.5時間、室温で30分間撹拌した。室温で35%塩酸(8.68 kg)を加え、混合物を1時間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶をテトラヒドロフラン(29.6 kg)と水(10.0 kg)の混合液で洗浄した。結晶を50℃以下で乾燥して、化合物(18−a)(21.5 kg)(収率88%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) 7.32-7.40 (m, 4H), 7.26-7.32 (m, 1H), 7.15 (d, 2H), 6.86 (d, 2H), 3.73-3.87 (m, 3H), 3.72 (s, 3H), 3.43 (ddd, 1H), 3.15 (dd, 1H), 2.90-3.10 (m, 2H)、MS (ESI) : m/z 330.1 [M+H]+
【0066】
実施例5
【化25】
メタノール(126.0 kg)、化合物(18−a)(21.2 kg)、シクロペンタノン(13.3 kg)、10%パラジウム−炭素/水(2.24 kg、含水率53%)の混合物を、0.60 MPaの水素雰囲気下、50℃で21時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、50℃のメタノール(42.3 kg)で洗浄した。ろ液を55℃で42 Lまで濃縮し、メタノール(6.4 kg)を加え64Lとした。混合物を50℃で30分間撹拌した後、イソプロパノール(66.6 kg)を加え、混合物を50℃で30分間、20℃で30分間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶をイソプロパノール(22.3 kg)及びメタノール(11.0 kg)の混合液で洗浄した。結晶を60℃以下で乾燥して、化合物(7−a)(17.4 kg)(収率93%)を得た。MS (APCI) : m/z 308.3 [M+H]+
【0067】
実施例6
【化26】
下記製造例1〜10に準じて製造された化合物(19)(15.2 kg)および塩化ナトリウム(6.00 kg)のトルエン(75.0 kg)懸濁液に、室温で炭酸水素ナトリウム(6.00 kg)の水(68.8 L)溶液及び水(6.9 L)を順に加え、混合物を室温で20分間撹拌した。水層を除き、有機層を水 (75.7 L) で洗浄し、濃縮した。トルエン(74.4 kg)を加え、35Lまで濃縮した。トルエン(22.0 kg)で希釈し、室温で化合物(7−a)(8.60 kg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(12.7 kg)、アセトニトリル(6.70 kg)を順に加え、室温で30分間撹拌した。混合物を10℃に冷却し、プロピルホスホン酸無水物(26.7 kg)を加え、反応混合物を13時間撹拌した。室温で炭酸カリウム(6.00 kg)の水(43.0 L)溶液、水(8.6 L)、酢酸エチル(38.8 kg)を順に加え、35℃で20分間撹拌した。水層を除き、有機層をクエン酸1水和物(7.70 kg)の水 (51.5 L) 溶液で洗浄後、濃縮し、イソプロパノール(67.4 kg)を加えた後、濃縮した。再度イソプロパノール(67.6 kg)を加え、35Lまで濃縮し、化合物(1’)の溶液を得た。
【0068】
実施例7
【化27】
実施例6で得た化合物(1’)の溶液をイソプロパノール(13.0 kg)で希釈し、75℃で1,2-エタンジスルホン酸水和物(3.09 kg)のイソプロパノール(33.8 kg)溶液、およびイソプロパノール(13.5 kg)を加え、混合物を75℃で1時間、5℃で1時間撹拌した。固体をろ取し、該固体をイソプロパノール(33.8 kg)で洗浄した。固体を50℃以下で乾燥して、化合物(1)(20.6 kg)(収率94%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) 10.50 (br d, 1H), 7.34-7.64 (m, 2H), 7.21-7.33 (m, 2H), 6.89-7.10 (m, 2H), 4.20-4.53 (m, 1H), 3.57-4.13 (m, 11H), 2.50 (m, 17H), 1.39-2.30 (m, 11H)、MS (ESI) : m/z 690.4 [M+H]+
次に、形成した固体をろ取して減圧乾燥した。得られた固体について、粉末X線構造解析を行い、結晶である事を確認した(図1)。
【0069】
測定装置:D8 DISCOVER(Bruker AXS)
操作条件:
X線管球:セラミックス球管 銅、管電圧:40kV、管電流:40mA
入射光学系:ゲーベルミラー
受光検出器:VANTEC2000
サンプルステージ:UMC150 xyz
測定範囲:2θ=5〜35°
得られた結晶は、上記粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)として、表1に示す回折ピークを有した。本発明化合物は、回折角度(2θ±0.2°)として、少なくとも8.298、14.198、16.776、17.102、20.972、22.658、24.959に特徴的な回折ピークを有した。
【表1】
【0070】
実施例7の別法
化合物(1’)(276mg)のエタノール(1.4mL)溶液に1,2−エタンジスルホン酸水和物(38mg)を加え、室温で40分間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶をエタノール(0.84mL)で2回洗浄した。40℃以下で乾燥して、化合物(1)(178mg)(収率57%)を取得し、元素分析を測定した。
【表2】
【0071】
実施例8
【化28】
化合物(1)(19.3 kg)の酢酸エチル(86.6kg)懸濁液に、室温で炭酸カリウム(3.40 kg)の水(77.0 L)溶液及び水(19.3 L)を順に加え、混合物を室温で20分間撹拌した。水層を除き、有機層を水 (96.3 L) で2回洗浄し、35Lまで濃縮した。エタノール(75.9 kg)を加え、35Lまで濃縮した。エタノール(45.4 kg)を加え、不溶物をろ去し、エタノール(30.2 kg)を加え、35Lまで濃縮した。エタノール(17.9 kg)で希釈することで58Lとし、室温で24%水酸化ナトリウム水溶液(6.1 kg)、水(15.6 kg)を順に加え、混合物を室温で5時間撹拌して、化合物(11)を得た。MS (ESI) : m/z 676.6 [M+H]+
【0072】
実施例8の別法
【化29】
化合物(1)(37.1 kg)の酢酸エチル(167.5 kg)懸濁液に、室温で炭酸カリウム(6.5 kg)の水(148.3 L)溶液及び水(36.8 L)を順に加え、混合物を室温で15分間撹拌した。水層を除き、有機層を水 (186 L) で2回洗浄し、酢酸エチル(67.2 kg)を加え、不溶物をろ過した。78 Lまで濃縮した後、エタノール(146.5 kg)を加え、78 Lまで濃縮した。エタノール(146.9 kg)を加え、56Lまで濃縮した。エタノール(44 kg)で希釈し、室温で24%水酸化ナトリウム水溶液(8.7 kg)、水(30.1 kg)を順に加え、混合物を40℃で5時間撹拌して、化合物(11)を得た。
【0073】
次に、実施例6に記載の化合物(19)の製造についての製造例を示す。
【0074】
製造例1
【化30】
水(101.5 L)に炭酸カリウム(26.1 kg)を溶解し、室温にて化合物(19−2)(18.4 kg)、トルエン(75.2 kg)及び化合物(19−1)(14.8 kg)を順に加え、反応混合物を85℃で22時間撹拌した。40℃に冷却した後に有機層を分取し、室温で水(101.5 L)及びクエン酸一水和物(14.5 kg)を加えて、混合物を撹拌した。分取した有機層に、室温で水(101.5 L)を加えて、混合物を撹拌し、分取した有機層を50℃で60 Lまで濃縮した。濃縮残渣にトルエン(47.7 kg)を加え、混合物を50℃で30 Lまで濃縮して、化合物(19−3)の溶液を得た。
【0075】
製造例2
【化31】
製造例1で得られた化合物(19−3)の溶液(30 L)に室温にて、ニトロメタン(47.0 kg)、トルエン(12.8 kg)及び28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(0.45 kg)を順に加え、反応混合物を4時間撹拌した。-5℃に冷却し、トルエン(102.3 kg)、メタンスルホニルクロリド(13.2 kg)及びトリエチルアミン(17.1 kg)を順に加え、混合物を1時間撹拌した。室温で水(29.7 L)を加えて撹拌し、分取した有機層を50℃で120 Lまで濃縮した。濃縮残渣にトルエン(79.5kg)を加え、混合物を50℃で120 Lまで濃縮した。再び、濃縮残渣にトルエン(77.0 kg)を加え、混合物を50℃で120 Lまで濃縮して、化合物(19−4)の溶液を得た。
【0076】
製造例3
【化32】
製造例2で得られた化合物(19−4)の溶液(120 L)に、室温にて水(29.6 L)、炭酸水素ナトリウム(2.96 kg)、マロン酸ジメチル(17.3 kg)及び化合物(19−5)(0.95 kg)を順に加え、反応混合物を19時間撹拌した。45℃で有機層を分取し、50℃で60 Lまで濃縮した。濃縮残渣に2-プロパノール(92.7 kg)を加え、混合物を65℃で90 Lまで濃縮した。再び、濃縮残渣に2-プロパノール(93.5 kg)を加え、混合物を65℃で90 Lまで濃縮した。混合物を25℃に冷却した後に16時間撹拌した。さらに、混合物を-9℃に冷却して2時間撹拌した後に、粗結晶をろ取し、水(147.8 L)で洗浄した。室温で粗結晶を1,2-ジメトキシエタン(106.3 kg)に溶解し、混合物を50℃で50 Lまで濃縮した。濃縮残渣に1,2-ジメトキシエタン(107.0 kg)を加え、混合物を50℃で50 Lまで濃縮した。再び、濃縮残渣に1,2-ジメトキシエタン(106.2 kg)を加え、混合物を50℃で50 Lまで濃縮して化合物(19−6)の溶液を得た。
【0077】
製造例4
【化33】
製造例3で得られた化合物(19−6)の溶液(50 L)に、室温にて1,2-ジメトキシエタン(91.6 kg)、5%ロジウム炭素(水分56.3%, 10.6 kg)及び酢酸(2.99 kg)を順に加え、反応混合物を60℃にて水素で加圧(0.6 MPa)し、20時間撹拌した。混合物を25℃に冷却した後に、反応混合物中の固体をろ過し、ろ液を得た。ろ過残渣を1,2-ジメトキシエタン(114.8 kg)で洗浄し、洗浄液をろ液と合わせ、50℃で60 Lまで濃縮した。濃縮残渣に1,2-ジメトキシエタン(115.0 kg)を加え、混合物を50℃で53 Lまで濃縮した。再び、濃縮残渣に1,2-ジメトキシエタン(114.9 kg)を加え、混合物を50℃で53 Lまで濃縮した。濃縮残渣を室温に冷却し1,2-ジメトキシエタン(11.5 kg)を加え、化合物(19−7)の濃縮液を得た。上述の手順で同様に調製した化合物(19−7)の濃縮液(スケールは1.0倍)と混合し、1,2-ジメトキシエタン(69.1 kg)を加えた。混合物を50℃で110 Lまで濃縮し、室温でメタノール(6.76 kg)、1,2-ジメトキシエタン(48.8 kg)を順に加えて化合物(19−7)の溶液(179 L)を得た。
【0078】
製造例5
【化34】
水素化ホウ素ナトリウム(7.99 kg)の1,2-ジメトキシエタン(146.7 kg)懸濁液に、45℃で製造例4で得られた化合物(19−7)の溶液及び1,2-ジメトキシエタン(49.1 kg)を順に加え、反応混合物を1時間撹拌した後に室温に冷却した。この反応溶液と1,2-ジメトキシエタン(25.0 kg)を、塩化アンモニウム(45.2 kg)の水(169.0 kg)溶液に25℃で順に加えた。室温で酢酸エチル(253.7 kg)を加えて混合物を撹拌した。有機層を分取し、室温で水(112.3 L)を加えて撹拌し、分取した有機層を50℃で170 Lまで濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチル(253.7 kg)を加え、混合物を50℃で170 Lまで濃縮した。50℃でヘプタン(231.5 kg)を加え、混合物を0.7時間撹拌した後、10℃に冷却し、15時間撹拌した。結晶をろ取し、該結晶を10℃に冷却した酢酸エチル(25.6 kg)及びヘプタン(58.0 kg)の混合液で洗浄し、さらに室温の水(112.4 L)で洗浄した。結晶を50℃で乾燥して、化合物(19−8)(30.2 kg)(化合物(19−1)を基準として、収率44%)を得た。
【0079】
製造例6
【化35】
化合物(19−8) (29.0 kg) の1,2-ジメトキシエタン (163.6 kg) 溶液に、10℃にてトリフルオロメタンスルホン酸メチル (16.1 kg) の1,2-ジメトキシエタン (87.9 kg) 溶液を加え、反応混合物を2時間撹拌した。反応混合物に0℃にてテトラヒドロホウ素ナトリウム (2.5 kg) を加えた後に、混合物を10℃にて2時間撹拌した。トリエチルアミン (16.6 kg) を加えた後に、二炭酸ジ-tert-ブチル (13.6 kg) の1,2-ジメトキシエタン (25.0 kg) 溶液を加え、混合物を2時間撹拌した。さらに45℃にて2時間撹拌した後に、混合物を25℃に冷却した。トルエン (175.7 kg) を加えて有機層を分取し、塩化アンモニウム (20.3 kg) の水 (182.7 L) 溶液を加えて有機層を分取した。次いで、有機層を炭酸水素ナトリウム (5.8 kg) の水 (110.2 L) 溶液で洗浄し、104Lまで濃縮して化合物(19−9)の溶液を得た。
【0080】
製造例7
【化36】
N,N-ジメチルホルムアミド (97.9 kg) 、水酸化ナトリウム (15.7 kg)、およびトルエン(18.0 kg)からなる懸濁液に-10℃にてヨードメタン (37.2 kg) 、N,N-ジメチルホルムアミド (13.1 kg)、製造例6で得た化合物(19−9)の溶液(104L)を順に加えた後に、反応混合物を0℃にて10時間撹拌した。水 (117.6 L)、トリエチルアミン (26.5 kg)、およびトルエン(90.0 kg)を加え、有機層を分取した。有機層を塩化アンモニウム (41.5 kg) の水 (373.7 L) 溶液で2回、続いて炭酸水素ナトリウム (10.4 kg) の水 (197.2 L) 溶液で洗浄して、化合物(19−10)の溶液を得た。
【0081】
製造例8
【化37】
製造例7で得た化合物(19−10)の溶液の全量に、40℃にて水酸化カリウム (17.3 kg) のメタノール (213.6 L)溶液を加え、反応混合物を65℃にて18時間撹拌した。混合物を50℃に冷却し、水 (106.8 L) およびヘプタン (121.8 kg) を加えた後に、水層を分取した。メタノール (10.7 L)の水 (7.1 L) 溶液及びトルエン (110.4 kg) を順に加えた。10℃にて濃塩酸 (39.8 kg) の水 (159.7 L) 溶液を加え、混合物を撹拌した後に有機層を分取し、化合物(19−11)の溶液を得た。
【0082】
製造例9
【化38】
メタノール (127.6 L) に-10℃にて塩化アセチル (41.2 kg) を加えた後に、15℃にて製造例8で得た化合物(19−11)の溶液の全量及びメタノール(16.0 L)を滴下し、反応混合物を20℃にて4時間撹拌し、メタノール(16.0 L)を加えた。10℃にて24%水酸化ナトリウム水溶液 (80.9 kg)、水(129.8 L)及び炭酸ナトリウム (13.9 kg) の水 (127.7 L) 溶液を順に加え、混合撹拌した後に、有機層を分取した。有機層を塩化ナトリウム (9.6 kg) の水 (95.7 L) 溶液で洗浄し、化合物(19−12)の溶液を得た。
【0083】
製造例10
【化39】
製造例9で得た化合物(19−12)の溶液に、トルエン(55.2 kg)、エタノール (75.6 kg)、および2−メチルマロン酸 (4.9 kg) を加え、反応混合物を15℃〜8℃にて8時間撹拌した。結晶をろ取し、8℃に冷却したエタノール (12.4 kg) のトルエン (27.8 kg) 溶液で洗浄し、50℃にて乾燥することで、化合物(19)(15.3 kg) (化合物(19−8))を基準として、収率45%)を得た。
【0084】
実験例1:
化合物(1’)(20 mg)を各種有機溶媒(100 μL)に溶解し、表1に示す酸(モル当量比:1)を加え、完溶したものについて静置した。結果を下記表3に示す。表3に示す通り、1,2−エタンジスルホン酸2水和物とエタノールの組み合わせにおいて、検討した条件の中で唯一、固体のみを得ることができた。
【表3】
表中、-は酸が溶解しなかった、又は、検討を実施していない事を表し、×は固体のみを得ることができなかったことを表し、○は固体のみを得ることが出来たことを表す。
【0085】
実験例2:
下記の化合物(2−a)、化合物(20−a)及び化合物(21−a)について、以下実験例2−1〜2−3に示す通り、化合物(16)との環化反応を行い、生成物の立体選択性について比較検討を行った。
【化40】
【0086】
実験例2−1:
【化41】
化合物(2−a)(6.75 g)のジクロロメタン(30.0 mL)懸濁液に、室温にて化合物(16)(14.1 g)のジクロロメタン(30.0 mL)溶液、及びトリフルオロ酢酸(0.152 mL)を順に加え、反応混合物を加熱還流下30分間撹拌した。室温まで放冷し、氷冷したクエン酸(25.0 g)の水(250 mL)溶液を加え、クロロホルム(100 mL)で2回抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をジイソプロピルエーテルでトリチュレーションすることにより、化合物(17−a)と化合物(17−b)の混合物(7.39 g)(収率79%)を得た。得られた混合物中のジアステレオマー比率をNMRにより測定したところ、その比率は化合物(17−a):化合物(17−b)=5.1:1であった。
【0087】
実験例2−2
【化42】
化合物(20−a)(928 mg)と化合物(16)(2.15 g)のジクロロメタン(9.0 mL)溶液に、室温にてトリフルオロ酢酸(0.023 mL)を加え、反応混合物を加熱還流下撹拌した。室温まで放冷した後、氷冷下、クエン酸(3.0 g)の水(30 mL)溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜2:1)にて精製することにより、化合物(22−a)(588 mg)(収率44%)と化合物(22−b)(253 mg)(収率19%)を得た。得られたジアステレオマー比率は化合物(22−a):化合物(22−b)=2.3:1であった。
【0088】
実験例2−3
【化43】

化合物(21−a)(34.7 g)、化合物(16)(58.0 g)及びクロロホルム(200 mL)の混合物に、室温にてトリフルオロ酢酸(0.940 mL)を加え、反応混合物を室温で30分間、加熱還流下30分間撹拌した。室温まで放冷し、化合物(14)(11.6 g)とトリフルオロ酢酸(0.188 mL)を加え、反応混合物を加熱還流下30分間撹拌した。室温まで放冷し、氷冷したクエン酸(100 g)の水(1.00 L)溶液を加え、水層を除いた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をジイソプロピルエーテル(150 mL)でトリチュレーションすることにより、化合物(23−a)と化合物(23−b)の混合物(35.5 g)を得た。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)にて精製することにより、化合物(23−a)(20.3 g)(収率43%)と化合物(23−b)(10.5 g)(収率22%)を得た。得られたジアステレオマー比率は化合物(23−a):化合物(23−b)=1.9:1であった。
【0089】
従って、上記実施例2−1〜2−3の結果において、反応生成物のジアステレオマー比は表4の通りであり、実験例2−1に示す化合物(2−a)と化合物(16)の反応が最も立体選択性が高いことが示された。すなわち、化合物(2−a)を用いることで、本発明化合物の中間体となる実施例3に示した化合物(17−a)が立体選択性の観点から効率よく得られることが示された。
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明化合物は結晶性に優れていることから、メラノコルチン受容体の活性化が関与する各種疾患又は症状の予防・治療に有用な化合物の中間体として利用可能である。また本発明の製造方法は本発明化合物の立体選択性に優れた製造方法として利用可能で、その結果として上述したメラノコルチン受容体の活性化が関与する各種疾患又は症状の予防・治療に有用な化合物の立体選択性に優れた製造方法としても利用可能である。
図1